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2005/04/09

小泉首相の「郵政民営化」を考える

はじめて内政についての記事を書く。
今、内政でいちばん重要な問題は、やはり郵政民営化であろう。
この問題は奥が深い。単なる民営化=効率化の問題ではない。その点、戦後最大の改革であった「国鉄民営化」とは違う。「国鉄民営化」は年々深刻化する赤字体質の
解消と、国鉄内の左翼勢力の一掃が狙いだった。

ところで、郵政民営化を語る上で、小泉純一郎を語らずにはいられない。
俺はこの政治家を信用できない。彼は世襲政治家の典型であり、自民党のHPに掲載されている彼の経歴は、まさしく政治エリートそのものである。
要は、生活者の視点や考え方など理解できない政治家なのだ。その点はブッシュに
似ている。ウマが合うはずだ。
実際のところ、二度も厚相を務め、自民党の厚生族の実力者でありながら、エイズや
ハンセン氏病の問題を解決できなかった。いや、もともと関心がなかった、と云った方が正確だろう。つまり小泉という政治家は、弱者の痛みを知らないのではないかと考えざるをえないのだ。

しかし、こんな小泉首相に対する個人的な好き嫌いと、郵政民営化における彼に対する評価は、また別問題である。
小泉首相は、1992年の宮澤内閣で 郵政大臣に就任した。このとき、就任の挨拶で
「郵政民営化」をぶつ大臣に対し、No.2の次官が「大臣がなんと言おうと民営化なんてありえない」と反論するという、前代未聞の事態が発生したのである。
小泉首相が「郵政民営化」をいつから最大の政治信条にしたのかは知らない。が、少なくとも20年にはなると思う。これだけでも並の政治家ではないが、そのころは高度成長時代の爛熟期である。「郵貯→財政投融資→政府関係機関への資金の垂れ流し=
非効率・不採算=国民の財産の無駄遣い」という、彼が提起する問題に同調する政治家などいなかった。それでも彼は信条を曲げずに今日に至ったのである。このことは
率直に評価したい。

ここで、今の郵政の問題点を整理しよう。
日本には予算のほかに第二の予算と呼ばれる財政投融資がある。これは、予算と違って国会の審議も承認も不要である。財政投融資は、郵便貯金や国民年金・厚生年金など国の制度と信用で集められた資金が財源となっている(融資残高は2003年末で400兆円弱)。そのためこの資金は、「使う」のではなく、「融資する」という使い方になっている。
ここが問題なのである。国の制度と信用で集められた膨大な資金が国会の審議も承認もなく、政府の思惑で気ままに投資される。相手は、特殊法人である日本道路公団や都市基盤整備公団(旧住宅公団=現都市再生機構)、水資源開発公団などであり、
政府系金融機関と呼ばれる中小企業金融公庫、住宅金融公庫、国民生活金融公庫、商工組合中央金庫、農林漁業金融公庫、日本政策投資銀行(旧日本開発銀行と旧北海道東北開発公庫が統合)、国際協力銀行(旧海外経済協力基金と旧日本輸出入銀行が統合)などである。
これらの法人や機関は、確かに国民生活の向上に役立った面もある。が、いかにも
「政治家が自らの利権を確保するために利用しやすい組織」であり、「非効率・不採算の役人天国」といった感がぬぐえない。そして、彼らが垂れ流した赤字をぬぐうのは、最終的には国民の税金になる。

このような不合理な仕組みは、まさに自民党のバラマキ政治、利権政治の温床だが、
これを改革するために小泉首相の「郵政民営化」はある。したがって「郵政民営化」は、 お金の「入り口」である郵政だけでなく、「出口」となる特殊法人や政府系金融機関も
改革し効率化することに直結するのである。そして、それは自民党の旧来の支持基盤を掘り崩し、利権構造を破壊する。
小泉首相の「自民党をぶっ壊す」という発言も、あながちホラとは言い切れないのである。だから守旧派は反対する。彼らの「郵政は国営のほうが国民のため」という主張は詭弁である。
これだけの大改革であるから100%は望めない。が、せめて70~80%は完遂してほしい、そう思うこのごろである。

(注1)政府系金融機関も特殊法人である。
(注2)2001年4月からスタートした財投改革により、郵便貯金や年金積立金の全額が
「財務省資金運用部に預託される仕組み」から特殊法人などが施策に必要な資金を「金融市場から調達する仕組み」へと変わった。
これによって、特殊法人が資金調達をする際に、これまでのように財政投融資に直接依存することができなくなり、財投機関債を発行するなどして資金調達する必要性がでてきた。しかし、財投資金から借金するという点で実態はあまり変わらない。

(参考資料)財政投融資改革

関連記事1:郵政民営化と自民党の崩壊
関連記事2:小泉首相の「郵政民営化」を考える-part2

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コメント

こんばんわ、お邪魔致します。
民営化メリットは国益に直結です、
故に自分は賛成です。
しかし現首相は郵政族の首を差し出す
バーターで自己保身を図っている気もします。
勿論身柄保証はアメリカにしてもらうという。。。

投稿: 8 | 2005/04/10 01:32

>バーターで自己保身を図っている気もします。

一連の言動の中には、自己保身もあるかもしれません。
何しろ、傍流から竹下=橋本派に闘いを挑み、総理になった方ですからね。
常に権力闘争を意識している。

投稿: 坂 眞 | 2005/04/10 12:32

TB有難うございます。
グリフィン通りのは~とnoエース です。

既得権益にしがみ付く、守ろうとする構図は何処も同じ様ですね。
しかし一方で。郵政民営化に反対派諸氏の求める要求は、
既に「改正案」の中に"丸呑み"されている?という見方をする人もいます。
ええ~!となると?この大詰めのゴタゴタって何?
まさか、お芝居?ちょっと~!
支持者へ配慮した見せ掛けの『欺き』だけは止めて下さいね!
そうでない事を祈りおきます。

投稿: は~とnoエース | 2005/04/11 11:38

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