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2005/05/12

トヨタ 2期連続で1兆円突破

トヨタ自動車が10日発表した05年3月期連結決算は、最終(当期)利益が前期比0.8%増の1兆1712億円となり、3期連続で過去最高を更新し、2期連続で1兆円を超えた。
円高による為替差損や原材料価格の高騰の影響を、北米やアジアでの大幅な販売増とコスト削減で吸収した。利益水準は、販売不振に陥っている米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターを大きく引き離した。
売上高は同7.3%増の18兆5515億円、本業のもうけを示す営業利益は同0.3%増の
1兆6721億円で、いずれも過去最高を更新。5期連続の増収増益になった。
(中略)
損益面では、研究開発費が1849億円増えたほか、為替差損が1400億円発生。鋼材など原材料価格の高騰で数百億円規模の影響も受けたが、販売増による利益の増加と部品単位で積み重ねたコスト削減で吸収し、増益を確保した。張富士夫社長は「90年代から円高に対応できるよう進めてきた海外展開が実を結んだ」と述べた。
トヨタ 3期連続で最高益更新 2期連続1兆円を超える
(毎日新聞) - 5月11日

いやあ、すごいことだ。利益は自動車業界でダントツの世界No.1。売上もフォードを
抜き、ダイムラー・クライスラーに肉薄。GMを追い抜くのも時間の問題か。
しかも、円高や原材料価格の高騰という逆風を受けながらの結果であるから、益々
価値がある。
世界主要企業の最終利益(純利益)ランキングでは、03年度の6位からベストテン圏外の13位に後退した。しかし、上位組は、原油価格の高騰を背景にした石油大手や金融関連が占めており、製造業としてはNo.1である。
トヨタ、利益ベスト10から後退=世界主要企業の04年度
(時事通信) - 5月10日

この数字がいかにすごいかは、以下の比較で実感できる。
売上の18兆円という数字は、アジアの優等生タイのGDPに匹敵する。利益の1兆1712億円は、人口356万人の横浜市の一般会計予算とほぼ同じであり、日産とホンダの
合計をはるかに上回る。また、トヨタ銀行とも呼ばれるほどの金融資産は、新生銀行に匹敵すると言われる。
余裕のトヨタは、GMに燃料電池分野の提携を申し出たり、GMやフォードの救済策
(窮余の策?)として、北米市場における値上げを検討したりしている。
これに対してGMとフォードは、投資不適格企業に格下げされる始末である。
GM・フォード、投資不適格に格下げ…米格付け会社
(読売新聞)05月06日

なぜ、米ビッグスリーが凋落し、トヨタが実質的に世界No.1になったのか。今日はこの
あたりを分析してみたい。

アメリカの自動車産業に共通する弱点を上げてみよう。

①戦前から現在に至るまで、アメリカ経済の屋台骨を支えてきた伝統産業である
こと。
そのために変化に対応するスピードが鈍い。実際、1980年代後半以降、従来の「大量生産方式(Mass Production System)」からトヨタ式の「チーム生産方式(Lean Production System)」に転換しようと努力しているが、なかなか徹底しない。

②組合が異常に強いこと。
UAW(全米自動車労組)は、組合員67万2000人を数える米国でも有数の強力な労組である。そしてアメリカの労組は、日本のような企業内組合ではなく、産業別組合である。したがって、個別企業の事情に、日本の労組ほど配慮しない。
例えば、UAWは最近、GMの大規模な医療保険システムのコスト削減提案を拒絶した。
GMが負担する医療保険費用は年間56億ドル(約6000億円)に達するといわれる。アメリカの全者の医療費自己負担比率の平均は約32%なのに対し、GMのUAW組合員は、医療費の約7%しか自己負担していない。
会社が危機的状況に陥ってもこの調子なのだ。

③系列を嫌うため、自前の販売網を持たないこと。
規制を嫌う自由経済の本場だけに、自社系列の販社を持つなどという発想がない。

④アメリカの経済構造が、製造業から金融に収益が集中する体制に変わったこと。
実際、企業収益の30%が金融関連に集中しており、米国内では製造業の空洞化が
深刻になっている。

これに対し、日本企業の強みとは。

①トヨタのカンバン方式に代表されるように、生産ラインが極限まで効率化されている
こと。
必要なものを必要なときに、というジャスト・イン・タイムは有名である。

②ラインの効率化とコストダウンに対応できる関連企業の層が厚いこと。
乾いたタオルをさらに絞る、というトヨタに対応するため、下請けも徹底した合理化を進めている。

③トヨタ式の「チーム生産方式(Lean Production System)」が徹底していること。
これによって、生産現場レベルの努力で、生産効率のアップと品質の向上が図れる。
海外工場も例外ではない。

④労組が企業内組合で、会社に協力的であること。
たとえば、トヨタでは、史上空前の利益を上げているにもかかわらず、経営側がデフレ
からの脱却の遅れや、海外メーカーとの競争激化を理由にベアを議論する余地がないと言えば、ベア要求を3年連続して見送るほどである。
また、アメリカの日系メーカーでは、従業員の圧倒的多数がUAWに加盟することに反対しており、トヨタとGMの合弁会社NUMMIの工場以外はUAWに加盟していない。日系
メーカーの待遇が良いために労使関係が安定しているということであろう。

⑤自前の販売網を完備していること。
アメリカでは自前の販売網は持っていないらしい。しかし、日本車はプレミアムが付く
ほど人気が高いので、積極的に販売するディーラーが多い。

以上を見ると、今後ともアメリカ市場を日本車が席巻するのは間違いない。GMはトヨタに抜かれ、フォードはホンダに抜かれる可能性が高い。

ただ、本音を言えば、アメリカの工場や部品メーカーの方がゆとりのある人間らしい環境にあるような気もする。トヨタ式の効率一辺倒、利益至上主義が果たして幸せなのだろうか?という疑問は残る。
労組も、ないよりあった方が良い。

(参考記事)
WSJ-GM株が12年ぶり安値 UAWが医療保険費用削減に応じず
(ダウ・ジョーンズ) - 4月15日
ベア見送りを正式決定 トヨタ労組、3年連続(共同通信) - 2月14日
圧倒的な大差で否決 日産米国工場のUAW加盟
GMを誰が殺そうとしているのか。
GM、UAW、そしてランシング

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コメント

TBありがとうございます。トヨタの業績はすごいのですが、自動車摩擦も懸念されます。ところが、苦しいはずの米自動車業界は日本の為替介入を批判していますが規制や保護は求めず、一方で、トヨタの奥田会長は米市場での値上げを口走ったりして自主規制を視野に入れているかのようです。なんだか皮肉な構図が見えてきます。自主規制を考えるより、工場などをゆとりある人間らしい環境としてさらにレベルアップを図るとか、米国市場の株主への還元、あるいは文化や芸術・地域社会への貢献など、一般受けしそうなことにその利益を使うことのほうが摩擦を回避するいい方法ではないかと考えています。1兆円の利益も使い方を知らなければ意味がないということかなと思います。

投稿: tomorin | 2005/05/13 12:15

コメントありがとうございます。

>自主規制を考えるより、工場などをゆとりある人間らしい環境としてさらにレベルアップを図るとか、米国市場の株主への還元、あるいは文化や芸術・地域社会への貢献など、一般受けしそうなことにその利益を使うことのほうが摩擦を回避するいい方法ではないかと考えています。

最後に、本音として述べたように、私も「アメリカの工場や部品メーカーの方がゆとりのある人間らしい環境にあるような気もする。トヨタ式の効率一辺倒、利益至上主義が果たして幸せなのだろうか?という疑問は残る。」
ただ、トヨタは米国でも、地域やマイノリティのイベントの冠スポンサーになったりして、宣伝と地域貢献の両方をうまくミックスしているみたいですよ。
とにかく抜け目がない企業です。

投稿: 坂 眞 | 2005/05/13 15:32

TBありがとうございました。

やはりアメリカにとっても自動車産業は国の代表産業して捉えられていますし、労働者の数も半端じゃなく多いので、どうしても普通の企業経営のようにレイオフが簡単に行かないですね。自由で労働者の流動性が高い国であるアメリカでさえもこうした一昔前の日本的な労使関係、経営状況が存在するのは興味深いです。

私もやはり働くなら従業員を大切にする企業で働きたいな、と思います。

投稿: デミアン | 2005/05/13 19:39

コメントありがとうございます。

>私もやはり働くなら従業員を大切にする企業で働きたいな、と思います。

トヨタが従業員を大切にしていない、と指摘しているわけではありません。
4~5年前、リストラの嵐が吹き荒れたころ、「安易に従業員の解雇に走るのは経営者失格」みたいなことを奥田会長は言っていました。
キャノンも、そうだったと思います。結果的に両社とも業績がいい。
やはり、従業員の忠誠度やモラルが高いのでしょう。
しかし、私が言いたいのは、そういうことではなく、利益や効率で組織や人間をギリギリまで絞り上げることに対する人間としての反発です。
そういう意味では、トヨタやキャノンが居心地のよい会社かというと、私にはそうは思えない、ということです。

投稿: 坂 眞 | 2005/05/13 20:27

トラバありがとうございます。

>アメリカの工場や部品メーカーの方がゆとりのある人間らしい環境にあるような気もする

とのことですが、一言で言えば国民性の違いなんでしょね。現場の余裕を必要なゆとりととらえるか無駄ととらえるか。トヨタは無駄ととらえてカイゼンしてきたわけですから、今更変えるのは難しいのかもしれません。下請工場の酷使っぷりは地元では有名ですけどね。

投稿: 将軍 | 2005/05/18 07:26

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