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2005/06/08

中国崩壊の序章-part2

私は、「中国は、いつ崩壊するのか?」の中で、中国経済の最大の弱点は、四大国有銀行の巨額な不良債権であり、これが体制崩壊の引き金になると指摘した。
さらに、「中国崩壊の序章」の中で、「中国が、この四大国有銀行の不良債権問題を
解消できないまま変動相場制に移行すれば、市場の影響力に翻弄されることは間違いない」とも指摘した。
以上の私の問題提起を裏付ける内容が、今日の読売新聞で報道されている。控えめではあるが。

【北京=東一真】中国の通貨・人民元の切り上げ問題をめぐり、中国政府が進めている4大国有商業銀行の改革が進むかどうかが注目を集めている。7日、日米欧の中央銀行総裁らが集まって北京で開かれた国際通貨会議(IMC)では、米中の中央銀行トップが人民元切り上げの時期を巡って応酬し、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は「銀行改革が切り上げの前提になる」との見方を強調した。しかし、中国の4大国有銀行では不祥事などで改革が遅れ、このままでは人民元改革がずれ込む可能性も
出ている。

IMCでは衛星中継で参加した米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長が「通貨の柔軟性を増すことは中国自身の利益になる」と、人民元改革を急ぐよう中国に求めた。これに対し周総裁は「改革には準備が必要だ。まずは金融機関を改革しなければならない」と述べた。

4大国有銀行のうち、中国銀行、中国建設銀行の2行は一昨年末に総額450億ドルに上る政府の資本注入を受け、昨年中に不良債権を処理し、株式会社に改組した。今年は香港やロンドン、ニューヨークなどで株式上場を果たす計画だ

しかし、今年1月、中国銀行の黒竜江省の支店長が顧客口座から8億元(約100億円)を奪って海外逃亡した。同行北京支店では4月、行員も加担した住宅ローン詐欺で6億5000万元(約85億円)に上る損失が発生した模様だ

中国政府は建設銀行に金融行政の若手のエース、郭樹清・国家外貨管理局長を董事長(会長)に送り込むなどしてテコ入れに懸命だ。しかし、相次いだ不祥事で「国有銀行はコンプライアンス(法令順守)に根深い欠陥がある」(日系金融筋)という投資家の
懸念は広がっている。

一方、中国工商銀行は、今年4月にやっと政府から150億ドルの資本注入を受け、株式会社化を急いでいる状況だ中国農業銀行は、資産の傷みが激しい模様で、不良債権比率さえ公開できず、資本注入のメドも立っていない

金融システムの根幹である4大国有銀行の改革が進まなければ、人民元の切り上げで一時的に悪化が見込まれる中国企業の資金繰りを支えることができない信用力が
ないままでは人民元改革後の為替取引に4大国有銀行が参加できず、為替市場が
混乱する恐れもある
。米国から事実上「10月まで」と期限を切った人民元為替改革を
求められている中国政府は、難しい判断を迫られている。

中国国有銀改革進まず-不祥事相次ぐ 元切り上げに影響も
(2005年6月8日 読売新聞)(下線は筆者)

>4大国有銀行のうち、中国銀行、中国建設銀行の2行は一昨年末に総額450億ドルに上る政府の資本注入を受け、昨年中に不良債権を処理し、株式会社に改組した。
今年は香港やロンドン、ニューヨークなどで株式上場を果たす計画だ<

「しかし、国有銀行とその最大の融資先である国有企業にコーポレートガバナンス(注)が欠如したままでは、公的資金の導入は不良債権を一時的に減らすことができても、その新規発生を止めることができないため、問題の根本的解決にはつながらない」
あるいは
「また、四大国有銀行が、近い将来海外の株式市場で上場する計画を立てているが、
不良債権問題が深刻化する時期と重なることになれば、その実現は難しくなるだろう」
と云う、野村資本市場研究所シニアフェロー・関志雄氏の指摘が、上記報道からすれば真実味を帯びているのではないか。(下線及び注は筆者)
バブル崩壊後の中国経済の姿

ましてや、
>一方、中国工商銀行は、今年4月にやっと政府から150億ドルの資本注入を受け、
株式会社化を急いでいる状況だ。中国農業銀行は、資産の傷みが激しい模様で、不良債権比率さえ公開できず、資本注入のメドも立っていない<
状況である。

私の「中国崩壊の序章」が、単なる希望的観測ではないということが、上記報道で
ある程度、裏付けられたと云える。
すなわち、(以下は、拙記事「中国崩壊の序章」からの引用)
①中国の銀行が抱える不良債権は、既に世界最悪の水準にある。不良債権の元凶である非効率的で赤字の国有企業は、容易に整理できない経済的、社会的環境にある
②過熱経済(バブル)を心配する当局は、金融引き締めに躍起だが、中国的特殊事情(密貿易や海外の子会社との経理操作)から効果が上がらない
のが実情である。

これに人民元の変動相場制への移行、すなわち市場の影響力の増大が加われば、1990年代後半のアジアの「経済・通貨危機」のときと同じ条件が揃う。
投機マネーの大量流出が起これば、バブルの崩壊→企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業の増大という負の連鎖が始まる。

中国は、自国経済の最大の弱点であり、体制崩壊の引き金になりかねない四大国有銀行の不良債権処理と財務体質改善に躍起になっている。
これは、危機感と焦燥感の表れである。中国は、その最終的改革を、四大国有銀行の海外株式市場への上場で実現しようとしている。
しかし、この上場は「中国は、いつ崩壊するのか?」で述べたように可能性が薄い。
赤字垂れ流しの国有企業を抱えたままでは、公的資金をいくら注入しても不良債権が減ることはないからである。
中国が、この四大国有銀行の不良債権問題を解消できないまま変動相場制に移行すれば、市場の影響力に翻弄されることは間違いない。

革命は常に経済的困窮から起きる。
一見、高まいな政治理念やイデオロギー、あるいは宗教的動機に基づくと見られる革命も、根本にあるのは経済的に困窮した民衆の巨大なエネルギーの爆発である。
バブルが崩壊し、今や1億人にのぼると云われる民工が路頭に迷う事態になれば、
中国の強固に見える強権支配体制も、またたく間に瓦解する。

アメリカのセーフガードの発動とEUや開発途上国からの圧力の前に、中国は早晩、
人民元の変動相場制への移行を決断せざるを得ない。
今回の「中国製繊維製品をめぐるせめぎ合い」は、中国崩壊の序章となる可能性を
秘めている。

(注):コーポレートガバナンス [corporate governance]
企業統治。所有・経営・管理ではなく、統治という視点から企業を見た場合、日本では統治の実権は経営者にあると見られるのに対して、アメリカでは株主にあるとされる。

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コメント

TBありがとうございました。
 いやぁ、素晴らしいブログですねぇ!
 三つほど記事を読ませて頂きましたが、全て綿密な調査と冷静な考察が行き届いていて、ブログというより、もはや「ジャーナリズム」とも言うべき域に達しています。
 私のブログは、どちらかと言うと「森の石松」
のような”威勢のよさ”だけが売り物ですが、貴ブログのような「大親分・清水の次郎長」が後ろに控えていてくだされば、心強い限りです。
 とても貴ブログには及びませんが、森の石松の”無鉄砲な純真さ”も少しは認めて下さいね(笑)
 では、今後・益々の御活躍をお祈りいたしております!

投稿: 紫藤ムサシ | 2005/06/09 02:51

紫藤ムサシ さんへ
コメント&ご評価いただきありがとうございます。
「森の石松」威勢がよくて、いいじゃありませんか。
「清水の次郎長」はどうかと思いますが(笑)

投稿: 坂 眞 | 2005/06/10 10:03

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