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2005/07/19

中国は間違いなく崩壊する part3

私は、このブログで、中国の崩壊を予測する記事を6本も書いた。一連の記事は以下のとおりである。私は、これらを「中国崩壊シリーズ」と名付けたい。ぜひ通読してほしい。
ところで、これらの私の主張を裏付ける興味深い記事が、昨日の読売新聞に掲載されている。読売の記事を基にして、シリーズ第7弾を書くことにする。

05年4月14日:中国は間違いなく崩壊する
05年5月20日:中国は間違いなく崩壊する part2
05年5月23日:中国は、いつ崩壊するのか?
05年5月31日:中国崩壊の序章
05年6月08日:中国崩壊の序章-part2
05年7月10日:石油をガブ飲みする中国の末路
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(以下は、このエントリー以降に書いた関連記事一覧)
05年7月24日:中国に奇跡は起こるのか?
05年7月30日:中国崩壊への胎動
05年8月22日:中共:崩壊する統治能力
05年8月26日:中国は崩壊後どうなる?

中国の聯想(レノボ)グループによる米IBMのパソコン事業買収、中国海洋石油による米石油大手ユノカル買収の動き、相変わらず活発な海外からの投資、持続する高い
経済成長率。
中国経済に関するニュースは、明るい話題に満ちている。これをもって中国は崩壊しないという楽観論を述べる人もいる。しかし、それは安易に過ぎる。専門家が、中国経済の先行きに強い懸念を示すのは、それ相当の大きな理由があるからである。

中国の現状は、日本のバブル崩壊直前より危険な状況にある。東南アジアや韓国を
破綻状態に追い込んだ1997年の「アジアの金融危機」と同じ条件が揃っている。中国経済の破綻を防いでいるのが、人民元の為替レートのドルへの固定である。
もし人民元が変動相場制へ移行したらどうなるのか?専門家は、その先に、日本の
バブル崩壊や「アジアの金融危機」の再現を見出すのである。
もちろん、経済が崩壊し、それに伴って共産党独裁体制が崩壊したからといって、中国がなくなるわけではない。誤解しないでほしい。

中国経済は2008年の北京五輪までは大丈夫、あるいは2010年の上海万博までは
成長を持続する、という見方もあるが、いずれも希望的観測の域を出ない。
では、読売の記事を見てみよう。「地球を読む」という特別寄稿欄の「中国経済 負の遺産」というタイトルの記事で、筆者は東大大学院教授・伊藤元重氏である。

(以下引用)
中国経済には明るい面と暗い面が錯綜していて理解しにくい点が多い。年率9%前後で成長を続けているというのに、銀行部門は20%近くの不良債権を抱えている。海外から多くの投資が入り、外資系企業の活動が拡大し中国の輸出を支えているが、国営企業の非効率は是正されていない。もし、国営企業の改革に本格的に手をつければ、
大量の失業者が発生するという。
高い成長率が続く限りこうした中国経済の陰の部分は覆い隠されるが、成長率が鈍化するようであれば難しい問題が表面化して中国経済は大変だろう、というのが大方の
見方である。今後とも中国経済は順調な成長を続けていくことができるのだろうか。
それともどこかの時点で大きく躓くことになるのだろうか。これは多くの人が持っている疑問であるはずだ。
(中略)
後から考えてみると、農村部の改革から着手し、その力を都市部に回していった
中国の発展過程は成功であったと言える。中国の一人あたりの国内総生産(DGP)はまだ1000ドル前後である。3万ドルを超える日本とは比べるまでもないが、1万ドル前後の韓国や2000ドルのロシアに比べても、まだその水準は非常に低い。もちろん都市部の所得水準はこれよりはるかに高い水準にあるので、それだけ農村部の賃金水準が
低いことになる。つまり農村部から都市部への移動によって、中国はまだ高い
成長を続けることができるはずだ。
(中略)
問題は、社会主義国である中国にはロシアと同じ問題が残っているということだ。それは国営企業の存在だ。農村部の改革と海外資本による生産拡大で経済成長を続けてきた中国であるが、国営企業の改革は進んでいない。膨大な者を抱え、政府から様々な補助を与えられ、金融機関から優先的な融資を受けている国営企業を改革することは容易ではない。
国営企業を破綻させれば金融機関の不良債権を表面化させることになるし、大量の
失業者を作り出すことにもなる。しかしいつまでも効率性の劣る国営企業を維持しながら、そこに巨額の政府資金や金融機関の融資をつぎ込み続けることはできない。
多くの専門家が中国の銀行が抱える不良債権に注目するのもこの点と関係がある。
海外からの巨額の投資を国内の農村部の潤沢な力と組み合わせて成長を続けてきた中国であるが、その成長のエンジンとは別の所に巨大な構造的問題を抱えているのだ。この構造的な問題に蓋をしたまま成長を続けることはできない。
今、話題になっている人民元の切り上げもこの問題と無関係ではない。先進国が求めているのは、単なる為替切り上げだけではなく、中国の通貨制限の緩和を軸とした金融制度の自由化であるからだ。このような今後の動きを想定すれば、不良債権を大量に抱えた銀行の経営改善を加速させることが必要となる。そして銀行の不良債権処理が進めば、その波は国営企業にも及んでくることは必死であるのだ。
(中略)
言うまでもなく、国営企業は共産主義独裁という中国の政治体制と深い関係にある。
日本のような民主主義国家においても、国鉄や日本電電公社、そして道路公団や郵政(これはまだ国会審議中であるが)の民営化は非常に大変な作業である。それよりも
はるかに規模の大きな中国の国営企業群をどのように民営化し、金融機関に蓄積されている巨額の不良債権をどう処理していくのか、その難しさは想像を絶するものがある。
独裁的な共産党政権だからそうした難しい事業を強権的に成し遂げることができるのか、それとも共産党政権だからこそ改革が難しいのかは、政治学を専門としない筆者にはわからない。いずれにしろ、海外からの資本の導入によって成長を続けている華やかな中国だけではなく、社会主義の制度の負の遺産で苦しんでいる陰の部分の中国にも注目する必要がある。
(引用終わり)

非効率的で赤字の国営企業群。それらを支える四大国有銀行の巨額の不良債権。
国営企業群は地域経済の中核を成しているので簡単には整理できない。その結果、
国有銀行の不良債権は益々拡大する。
銀行の不良債権率が20%というのは公式発表であり、スタンダード・アンド・ブアーズ(Standard & Poor’s)によれば、中国の銀行の不良債権率は45%にも上るという。
そういう状況において人民元が変動相場制に移行したらどうなるのか。「アジアの金融危機」を例にとれば、海外から流入してバブルの元凶になっている巨額の投機マネーは、あっという間に流出する。
高成長の現在でさえ3億5000万人の「不完全就労」がある、と推計される。銀行の巨額の不良債権を処理するために国営企業群をリストラし、さらに失業者が増大したらどう
なるのか。
バブルが崩壊し、今や1億人とも云われる民工が路頭に迷う事態になれば何が起こるのか。

今、中国は、自国経済の最大の弱点であり、体制崩壊の引き金になりかねない四大
国有銀行の不良債権処理と財務体質改善に躍起になっている。
これは、危機感と焦燥感の表れである。中国は、その最終的改革を、四大国有銀行の海外株式市場への上場で実現しようとしている。
しかし、この上場は「中国は、いつ崩壊するのか?」で述べたように可能性が薄い。
赤字垂れ流しの国有企業を抱えたままでは、公的資金をいくら注入しても不良債権が減ることはないからである。だからといって、国有銀行の不良債権を処理するために
国有企業をリストラすれば大量の失業者が発生する。
中国が、この四大国有銀行の不良債権問題を解消できないまま変動相場制に移行
すれば、市場の影響力に翻弄されることは間違いない。米国は中国に、人民元の切り上げを今年の10月までという期限付きで要求している。
中国は進退窮まっているのだ。

伊藤元重氏の分析は、私が「中国崩壊シリーズ」の中で書いてきた内容と、ほとんど
同じである。違うのは、伊藤氏が「独裁的な共産党政権だからそうした難しい事業を
強権的に成し遂げることができるのか、それとも共産党政権だからこそ改革が難しい
のかは、政治学を専門としない筆者にはわからない」と結論を保留しているのに対し、私は「改革は無理である、中国は崩壊する」と結論を下している点である。

硬い記事ですが、気楽にコメントしてください。

(追記)
毒吐き@てっくさんの「南京大屠殺?・・・夢でも見取るのか?」というエントリーに
貴重な映像がアップされています。関心のある方は、ぜひご覧ください。

参考資料1:中国国有銀行の海外上場 <HSBCの中国情報>
参考資料2:建設銀行:四大国有銀行の先陣切って株式上場へ
参考資料3:バブル崩壊後の中国経済の姿
参考資料4:中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?

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コメント

はじめまして。貴ブログの緻密な分析による硬派な記事を、いつも興味深く拝見しております。

これまで坂眞様が書かれた記事を読ませて頂き、「中国は間違いなく崩壊する」とのご意見には、私の拙い見識を以ても共感出来るものです。

ただ、「中国の崩壊」とは、坂眞様も仰っておられる様に、勿論中国自体が無くなるわけでなく、「高度成長経済の破綻」・「中共独裁政府の倒潰」による「現社会制度の崩壊」であり、それにより、民族対立や経済格差等から国家が分裂したとしても、中華思想と巨大人口を持った大国が、なお近隣国として存在し続けることには変わりはないでしょう。
国際社会から見ても、中国人民にとっても、圧政の終焉と民主主義体制への変革は歓迎すべきことでしょうが、良いことばかりではないはずです。(例えば、負の部分を切り捨て、周辺国の美味しい処のみを喰い荒らす「新覇権国家」の誕生等)

「中国は、いつ崩壊するのか?」でも、「崩壊後にどうなるか?については後日、予測可能な範囲で記事にしたい。」と述べられており、催促するようで大変恐縮なのですが、その点こそが我々日本国民にとって最も気になる所だと感じており、いつか記事にされる日を楽しみにしております。

投稿: 靖彦 | 2005/07/19 20:45

先日は、僕の不躾な批判に対して真摯にご反応頂き、至極恐縮しております。自分の本音を書きましたが、前日の酒が残っており(汗)、表現が過ぎたとちょっと後悔^^;

今回のポイントはやはり「経済が崩壊し、それに伴って共産党独裁体制が崩壊したからといって、中国がなくなるわけではない。誤解しないでほしい」ですね。

中共崩壊は僕も避けられない運命だと思います。が、自分としては中共がどのくらい踏ん張ってしまうのかで極東地域の命運が決まってしまうと考えます。

「どれくらい耐えるか」は不確定要素が多いので(笑)、判断するには今しばらく時間がかかると思いますし、僕は現在ちょっと悲観的になっています。。。

投稿: ιょぅ | 2005/07/19 21:32

靖彦さん、ようこそ。
>はじめまして。貴ブログの緻密な分析による硬派な記事を、いつも興味深く拝見しております。

ありがとうございます。

>国際社会から見ても、中国人民にとっても、圧政の終焉と民主主義体制への変革は歓迎すべきことでしょうが、良いことばかりではないはずです。(例えば、負の部分を切り捨て、周辺国の美味しい処のみを喰い荒らす「新覇権国家」の誕生等)

周辺国にまで混乱が及ぶのは必定です。

>催促するようで大変恐縮なのですが、その点こそが我々日本国民にとって最も気になる所だと感じており、いつか記事にされる日を楽しみにしております。

これは、仮定条件が多すぎてかなり難儀な作業になると思いますが、連休のときなどにチャレンジしてみようと思います。

ιょぅ さん、こんにちわ。
>先日は、僕の不躾な批判に対して真摯にご反応頂き、至極恐縮しております。自分の本音を書きましたが、前日の酒が残っており(汗)、表現が過ぎたとちょっと後悔^^;

いえいえ、ありがたかったです。根が過激なもんで。

>「どれくらい耐えるか」は不確定要素が多いので(笑)、判断するには今しばらく時間がかかると思いますし、僕は現在ちょっと悲観的になっています。。。

時期は断定できませんが、「世界経済のエンジン」と呼ばれた東南アジア諸国が、あっという間に破綻した例を見ると、ある日突然ということもあり得ると思います。

投稿: 坂 眞 | 2005/07/20 19:20

どうも、ROMのことが多いのですが、情報元がまた大紀元なのが不明瞭ですが、中国でエボラ出血熱が出たとのこと。
これを政府が隠してるという内容でした。
中国が崩壊するのは確実でしょうが、いったいなにがトリガーになるかさっぱりわからなくなってきましたね。あの衛生観念の低い国で伝染病が発病したら日本も人権を無視して強行的に国境封鎖をかけないとえらいことになると思いました。

投稿: kinslot | 2005/07/21 16:28

kinslotさん、いらっしゃいませ。
>中国が崩壊するのは確実でしょうが、いったいなにがトリガーになるかさっぱりわからなくなってきましたね。

崩壊の要因はたくさんありますが、やはり「パン」の問題でしょう。
ロシア革命も、発端は「パン」です。

投稿: 坂 眞 | 2005/07/21 18:57

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ブログの普及で、自宅に居ながら情報が集められるようになりました。 おかげで情報の持つ力を実感する次第です。 今まで一部の権力者が独占していた情報がパソコンのおかげで瞬時に手に入り、 私にも国際情勢が何となく見えるようになって来ました。 中共の崩壊は秒読み状態になって来たのが肌で感じ取れます。 今日崩壊してもおかしくない状況です。 つい数年前まで原油の輸出国だった中共が今やお金に糸目を付けず地球上のエネルギー資源を 買いあさっているのを見てもその異常さが分かります。 資... [続きを読む]

受信: 2005/07/20 17:37

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