中国の呆れた本音
週刊朝日7月15日号に、船橋洋一氏の興味深い記事が載っている。
記事のタイトルは、「日本の常任理事国入り反対2千万人署名を運動する中国系米国人」
カリフォルニア州には華人系米国人が多く住み、これらが活発に「反日」活動をやって
いる。華人系団体が今、いちばん力を入れているのが「日本の常任理事国入り反対
キャンペーン」である。
4月の北京や上海で行われた「反日デモ」も、これが最大のテーマだった。実は、中国本土における「反日デモ」も、仕掛け人は、カリフォルニア州の華人系団体だったので
ある。
「第二次大戦史実維護会」と「世界抗日戦争史実維護会」と称する二つの団体である。米国の華字紙・「僑報」は、この春からこの問題を精力的に報道している。
上記の二団体のウェブを覗くと、次のような指導者のコメントが載っている。
*日本が歴史に真摯に直面し、南京虐殺、731部隊、慰安婦問題などを含む罪行を
認めない限り、日本を常任理事国にさせてはならない。
*日本政府は歴史を尊重し、その過去の行いを反省しないばかりか中国を侵略した
歴史も捏造しつつある。また、中国の海洋国土(東シナ海)をかすめ取ろうと企んで
いる。このような国が常任理事国になる権利はない。
2月28日に始めたインターネットを使ったオンライン反対署名は、今年3月末には1160万に達し、このうち1143万が中国本土からのものだった。この運動には280ものウエブサイトが参加した。
これらの団体の代表は、カリフォルニア州選出の2人の上院議員にも会い、日本の常任理事国入りに反対するのが、米国内のアジア人社会の総意である事を伝えた。
(要約・筆者)
何というむき出しのナショナリズム。何という横車。もう、こんな連中と、こんな連中に
感化された中国本土のバカどもを相手にしても仕方がない。
しかし、このような考え方が中国国内に浸透しているとすれば、極めて危険である。
事実を客観的に分析する、あるいは情勢を冷静に判断する、と云う姿勢が欠如して
いる。
これは、もうアジテージョンである。事実であるかなしかは関係なく、激烈な言葉でナショナリズムを煽り立てる。そして、このアジテーションに、中国本土の無分別な若者が
反応する。
ところで、船橋洋一氏は、日本の常任理事国入りに反対する中国の本音を、以下の
ように解説する。
・中国が、日本の常任理事国入りに反対するのは、日本が過去の歴史を反省していないからではない。
・東アジアを代表する大国は、中国一国で十分。日本は邪魔。
・歴史的に東アジアにおける超大国は中国一国であり、19世紀末以降その立場を失ったのは、例外的・変則事態である。
(要約・筆者)
つまり、中国は4000年の歴史において常に超大国であったし、今もそうあるべきである。19世紀後半からの百数十年は例外であり、本来の姿とはかけ離れた変則的事態であった。そう中国は考えている。
この指摘は「なるほど」と頷ける。中国の最近の動きは尋常ではない。中央アジアや
インドシナを己の影響下に組み込み、東シナ海や南シナ海を自らの内海にしようとしている。軍事力を拡大し、近代化を急いでいる。大国志向、覇権国家願望が強いので
ある。
おそらく、小泉首相が靖国参拝を止めても、中国が、日本の常任理事国入りを支持する立場に転換するとは考えられない、と船橋洋一氏は云う。
そして船橋洋一氏は続ける。
日本は、経済力だけの国から、経済力を政治力に転換しつつある(「普通の国」への
移行)。中国が、この日本の「普通の国」になろうとする努力を抑え付けようとするから日本の「反中」「嫌中」感情が醸成されると。
(要約・筆者)
もはや、日本人の「反中」「嫌中」感情が好転することはない。東アジアの大国は俺(中国)だけで、オマエ(日本)は黙ってカネだけ出しとけばよい、と云う態度では友好関係になれる筈がない。
船橋洋一氏は、中国が日本の常任理事国入りにこうまで反対する理由として、次のような理由も挙げる。
中国は、第二次大戦において、自らが大きな役割を果たしたと自負している。しかし、
それが欧米諸国に評価されていないことを恨んでいる。
欧米諸国は、中国が被った甚大な被害にも同情していない。米国も世界も「ノー・モア・ヒロシマ」と云うのに、「ノー・モア・ナンキン」とは誰も云ってくれない。原爆ドームは、
アウシュビッツのユダヤ人強制収用所とともに世界遺産(「負の遺産」)に指定されて
いるのに、南京虐殺は知られてもいなければ関心も払われていない。
このことに中国は我慢ならないのである。
第二次大戦に貢献し、大戦で甚大な被害を被ったからこそ中国は常任理事国になれているのであって、国連分担金とかODAと同列に扱ってもらっては困る。
(要約筆者)
つまり、中国は「反ファシズム」の戦いに貢献し、甚大な被害を被った。それに対し、
日本が国連分担金やODAを米国に次いで負担していることなど小さなことだ。そんな
ことで常任理事国になられてたまるか、と云うところであろう。
しかし、欧米諸国が第二次大戦において中国の果たした役割を評価しないのは、事実を見ているからである。日本は米国に負けたのであって、中国に負けたわけではない。
ニューヨークタイムスも、中国は、「中国が日本を敗北させた」という、事実とは異なる
歴史教育を行っていると批判している。これが、欧米の一般的認識なのである。
南京虐殺も同様である。
船橋洋一氏によると、米国の中国問題専門家・ピーター・グリーズ氏は、著書の中で、
『中国人の深層心理の中には、「ナンキンはヒロシマより被害が大きかった」ことを確かめたいという心理が働き、それが20万人の死者を出したヒロシマより大きな犠牲ということで30万人の犠牲という数字をもたらしているのではないか』
と述べている。
南京虐殺の数も、欧米は中国の主張を信用していないのだ。
これに対し、前出の華人系米国人の団体は、カリフォルニア州当局に働きかけて、カリフォルニアの高校生の世界史で「南京大虐殺」を教えるようガイダンスを出させている。
また、中国国内では、「南京大屠殺記念館」の敷地面積を3倍にし、世界文化遺産に
登録する運動が始まっている。
(船橋洋一氏の記事による)
日本は、中国による歴史の捏造を許してはならない。中国は世界的な華人ネットワークを使って歴史の捏造を行おうとしている。
外務省の在外公館も、新聞記事に対しては都度、反論しているようだが、そんな受身ではなく、もっと能動的に事実と日本の立場を広報して行くべきである。
それが国益を守ると云うことである。
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コメント
アカピのフナやんにしてはまともなこといってるやん。驚き、桃の木、ブリキの木、山椒にタヌキに洗濯機。やってこいこい大魔神。
投稿: くえひこ | 2005/07/08 01:00
本当に、産経新聞の「正論」かと思いました。びっくり。
投稿: masa | 2005/07/08 01:26
こんにちは、坂眞さん。
中国の歴史の歪曲・捏造は日に日に増していますね。
他のプログで紹介されてい記事では、14年の日中戦争で、民間人だけの死者が5000万人に達したと、中国の学者の説がのっていました。これが、事実なら、日本軍は、毎日1万人近くの民間人を殺さないといけない計算だとか。ありえませんよね。
結局、中国での歴史とは共産党のプロパガンダであり、事実より創作話が歴史なんでしょうね。
(中国人にとっての歴史とは、例えば三国志でも、正史でなく、演義の方が歴史なんでしょうね)
投稿: Mars | 2005/07/08 12:56
くえひこ さん、masaさんこんにちわ。
私も我が目を疑いました。
でも、週刊朝日やAERAは、新聞とは少し違うようです。
AERAに、人民元切り上げが中国経済の崩壊をもたらす可能性が高いという記事が、編集委員の署名入りで載っていたりします。
Marsさん、どうもです。
自分の主張を通すためには、歴史を歪曲しデータを捏造するなんて当たり前です。
中国人の国民性もあるでしょうが、共産党というのも大きいと思う。
デマや謀略は得意ですから。
投稿: 坂 眞 | 2005/07/08 13:35
あくまでも中国政府が悪いのであって、中国国民までが悪いような書き込みは良くないと思います。つい最近、日本政府も歴史を歪曲していたのが発覚しましたからね。
投稿: カロン | 2009/12/26 18:35