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2005/07/04

悪の連合

私の昨日の記事「胡錦濤とチェチェン虐殺」に、masaさんと喜多龍之介さんからコメントをいただいた。どちらも、中露とウズベキスタンの関係に言及しておられた。
そうなのだ。今、世界には、「悪の連合」が築かれつつあるのだ。
ブッシュ大統領は、北朝鮮とイラクとイランの3国を「悪の枢軸」と呼んだ。その内の一つイラクのフセイン体制は、米国によって打倒された。残る北朝鮮とイランも、今の体制が長続きするとは思えない。いずれ「悪の枢軸」は崩壊する。
ところが、ここに来て「悪の枢軸」よりもっと危険な勢力が台頭して来た。「独裁」「腐敗」「虐殺」「反民主主義」「反米国」を軸として連携しようとする国々である。

「上海協力機構(SCO)」(注-1)。加盟国は、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの6ヶ国である。
2001年6月のSCO設立に関する各国大統領・国家主席による共同宣言では、
①加盟国間の相互信頼強化
②地域安全保障協力
③経済、科学技術、文化、教育、電力・エネルギー、運輸、環境保護の分野での協力
が、同機構設立の目的として謳われている。

ウズベキスタンは、この5月、反政府暴動を起こした市民たちを軍を動員して虐殺した。その数は400人とも500人以上とも云われるが、はっきりしない。徹底した情報統制が敷かれているのと、空軍の輸送機で死体をどこかに運んだとされるなど、当局による
隠蔽工作が激しいからだ。
この国家権力による、無抵抗な市民や子供まで殺害する残虐な行為に、欧米諸国では非難の声が高まった。ところが、ロシアは、さっそくウズベキスタン当局の「イスラム
過激派との戦い」を支持する声明を出し、中国もそれに続いて支持を表明した。しかも中国は、あろうことか、事件後初の外遊先として訪れたカリモフを21発の礼砲と赤絨毯で大歓迎したのである。
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そのウズベキスタンでは、更なる暴虐が進行している。

【モスクワ=古本朗】多数の犠牲者を生んだ5月の暴動鎮圧事件を巡って欧米の非難を浴びる中央アジア・ウズベキスタンのカリモフ政権が、新たにプロテスタント系教会に対する弾圧に乗り出した模様だ。

警察幹部の1人は「キリスト教徒は米国に魂を売ったので射殺する」と信者を脅したと
報じられており、政権が、教会と米政府、米民間団体とのつながりを疑い始めた可能性もある。

中央アジア情報の専門サイト「フェルガナRu」が3日までに伝えたところによると、首都
タシケントに近いアングレン市など3都市で教会が閉鎖された。タシケントでは先月、
牧師、信者計20人が警察に尋問され、うち4人が殴るけるの暴行を受けた。19歳の
男性信者は警官や留置場の同房者たちにより、暴行や拷問を受け、信仰を捨てるよう
強要された。
ウズベク、キリスト教弾圧…政権が米との関連警戒か
(2005年7月3日 読売新聞)

ウズベキスタンのカリモフは、元々はソ連共産党の幹部だった。カザフスタンのナザルバエフ、タジキスタンのラフモノフも、元ソ連共産党の幹部であり、その強権体質と国家の私物化はカリモフと同じである。キルギスだけが、3月のチューリップ革命(注-2)で政権が変わった。
しかし、そのキルギスも、CIS集団安全保障条約(注-3)加盟国と、上海協力機構加盟国の部隊の駐留を希望している。

中国は、東アジアにおいて米国と対峙する自らの背後を固めようとしている。ロシアは、欧州における影響力の減退を中央アジアで補い、中国とリンクすることで増大する米国の圧力をかわそうとしている。もちろん、中国にとっては、中央アジアにおける原油や
各種金属などの天然資源を確保することも大きな目的である。
中央アジア諸国は、ロシアや中国との結びつきを強めることによって、グルジアやウクライナで見られたような欧米諸国の介入を排除し、現在の強権支配体制を維持しようと
している。
要するに、自らの利益のためであれば、自国民を虐殺しようが、一部の支配層が国家の富を収奪しようがお構いなしなのである。

まったく、よくぞ「目クソ・鼻クソ」みたいな国が、こうも集まったものだ。「上海協力機構(SCO)」=「悪の連合」を解体しなければならない。
日本は、中央アジア諸国に巨額のODAを供与している。こういうときこそ、その力を外交に生かさなければ、国民の税金をドブに捨てることになる。
なお、パキスタン、イラン、インドもオブザーバー参加を検討していると云う。日本は、
これらの国々とも、ODAを含めて経済的に密接な関係にある。もっと腰の据わったダイナミックな外交を展開しないと、中国にやられてしまうぞ!

(注-1):上海協力機構(SCO)
(注-2):チューリップ革命
(注-3):CIS集団安全保障条約
CIS(独立国家共同体)加盟12カ国のうち、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国が加盟している。

関連記事1:深化する「悪の連合」
関連記事2:胡錦濤とチェチェン虐殺

参考記事1:上海協力機構首脳会議の議題について 外交部
参考記事2:経済成長を背景に高まる市場性(カザフスタン)
参考記事3:外交部:キルギスへの派兵・駐留に慎重な構え
参考記事4:Uzbek leader seeks China support
参考記事5:類は友を呼ぶ ウズベキスタン&中華人民共和国

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(追記)
【モスクワ=内藤泰朗】親ロシア派のチェチェン共和国政府が、チェチェン民間人の大量虐殺に露連邦軍が関与した疑いがあるとの批判を始めた。チェチェン側は「犯罪」に
かかわった露連邦軍の共和国からの早期撤退を促すことで、政治的に分裂した共和国内の求心力を生み出す狙いとみられるが、ロシア側は、チェチェン共和国政府がロシアから事実上の「独立」状態を勝ち取る戦術に出たものとみて、警戒を強めている。

チェチェン共和国政府のヌハジエフ人権委員長は先週、複数のメディアとのインタビューで、共和国内で多数の住民が集団で埋められた場所が52カ所あると言明。そのうえで「連邦軍に拘束され行方不明となった多数の住民が含まれる可能性が高い」と述べ、ロシア軍がチェチェン市民の大量虐殺にかかわった可能性があると間接的に非難した。

同委員長によると、遺体の数は未確認だが、行方不明者は1999年末に始まった第二次チェチェン紛争中に「反テロ戦」の名の下に行われた「ザチストカ(浄化作戦)」で発生し、その数は5万-6万人にのぼるとされ、「チェチェン人なら誰でも、親族に行方不明者を抱えている」という。

チェチェン共和国政府は、今後の自治権をめぐりロシア側と協議を重ねているが、この時期にロシア軍のチェチェン人大量虐殺への関与を示唆したのは、11月に予定する
共和国議会選挙をにらんだ動きだとみられる。「民族の悲願」である露軍撤退を実現
させることで、「ロシアの傀儡(かいらい)」とのイメージを薄めることが政治的に重要と
なるからだ。
(後略)
チェチェン親露政府 露軍撤退促し独立模索 大量虐殺関与を非難
(6月23日 産経新聞)

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コメント

おはようございます。貴バックグラウンドと共に興味深く拝読させて頂きました。また、こちらのエントリーには名前まで出して頂き恐縮です。

ウズベキスタンについての追加情報がなかなか出てきません。5月当時は各紙競争のようにして「死者400名以上の証明」をしていたように思えます。死体の足の指からぶら下げられた識別番号が400番台まであった、というのが、非常に単純でありながらもあり得る証言か、と…。

捏造が横行するのは、元KGBといわれるカリモフ政権なら当然でしょうが、しかも、あの後で、「カリモフ・マンセー!」デモまでやったらしいです。「撃ち殺されたのはどうもイスラム過激派らしい」という印象工作報道を行ったBBCが、このマンセーデモを喜んで報道しておりました。

現在アメリカ議会が非常に怒っています(なんにでも怒っていますが:苦笑)。それで何が出来る、というわけでもないでしょうが、連中が怒ると目立つので注意を惹けてよろしいのではないか、と。

…ウズベキスタンと違って、日本なら数百人まとめて撃ち殺されるなんて事ないんだから、もっと騒げよな、と思う今日この頃でした。

投稿: 喜多龍之介 | 2005/07/05 09:28

喜多龍之介 さん、どうもです。

>現在アメリカ議会が非常に怒っています(なんにでも怒っていますが:苦笑)。それで何が出来る、というわけでもないでしょうが、連中が怒ると目立つので注意を惹けてよろしいのではないか、と。

ウズベキスタンは、当初は、CIS安保にも加盟せず、親米的な外交路線だったのが、ここに来て親露・親中になってきた。
米国が怒っているのは、そのあたりが原因でしょうか?

「貴バックグラウンド」削除しました。なんだか無意味に思えて・・・

投稿: 坂 眞 | 2005/07/05 14:09

考えさせられます。

では。

投稿: 因幡兎 | 2005/07/05 18:18

しばらくはロシアとの蜜月はあるだろうが、中露とも、お互いを信ずることも無く、いずれ再度の対決をしだすでしょう。

投稿: hide | 2005/08/02 14:25

hideさん、どうもです。
>しばらくはロシアとの蜜月はあるだろうが、中露とも、お互いを信ずることも無く、いずれ再度の対決をしだすでしょう。

中露を結び付けているのは「対米国」の一点です。
あと、中国にとっては石油もありますね。
仰るとおり、お互いの信頼感なんて皆無でしょう。

投稿: 坂 眞 | 2005/08/02 18:09

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