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2005/07/06

深化する「悪の連合」

kokintoujpg私が「悪の連合」と名付けたSCO(注-1)が、その反米姿勢とブロック化の傾向をますます強めている。
以下は、5日、カザフスタンの首都アスタナで開かれたSCO首脳会議の内容を報道する産経新聞の記事である。

【モスクワ=内藤泰朗】ロシアと中国、中央アジア4カ国でつくる上海協力機構(SCO)の首脳会議が5日、カザフスタンの首都アスタナで開かれ、ウズベキスタンなど中央
アジアに展開する米軍の撤退時期を明確にすることを求めた首脳宣言を採択した。
会議はこのほか、反テロや反分離主義で連携強化をうたい、イラン、インド、パキスタンの3カ国を新オブザーバー国と認めた。

会議には、中露のほか、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの計6カ国の首脳が出席した。

プーチン大統領は、首脳宣言が「力で強引に制度を押し付けるのではなく、多様なモデルの発展に敬意を払い大切にしなければならないという加盟国の共通認識を示したものだ」と述べ、民主主義拡大に動く米国を暗に批判した。

一方で、イタル・タス通信は、米軍などの撤退時期の明示を求めた同首脳宣言が「最後通告ではない」とするロシア代表団筋の話を伝えた。

しかし、同通信は、ロシアのプリホチコ大統領補佐官の話として、米国がSCOにオブザーバー参加を求めたが、「機構の性格上適格ではない」として認められなかったとも
伝えており、SCO加盟国が米国の影響力排除に動いていることが浮き彫りになった。
会議はまた、「テロ・分離主義・過激主義に対する戦いに関する協力の理念」と題する決議など3文書も採択。

同理念は、現代の「脅威」として、テロ、分離主義、過激主義を挙げたうえで、各国の政治の不安定化をもたらすこれらの脅威と戦うため、「テロリストやテロ団体の共通一覧表」を作成し支援を行わないことなどで連携強化を求めている

独裁体制的な傾向が強いSCO加盟国が、反政府活動や独立運動などには今後、結束し、妥協しないで対抗していこうという姿勢を示したものだ。

ただ、中露両国を軸に米国排除の姿勢を鮮明にし始めたSCO首脳は今回、昨年1月にオブザーバーとなったモンゴルに加え、先の大統領選挙で保守強硬派が勝利した中東の大国イランなど3カ国を準加盟国に迎えた。世界への民主主義拡大に動き始めた
米国を牽制(けんせい)する狙いがあるものとみられるが、反テロ戦を戦う米軍に対する
撤退要求ともあいまって、今後、米国側がSCOへの警戒感を、さらに強めてくることは
避けられそうもない。

≪首脳宣言要旨≫

■反テロへ共通行動

1、SCOは効果的に機能しており、今回採択された「テロ・分離主義・過激主義に対する戦いに関する協力の理念」はSCOの発展する方向性を示している。

1、イラン、インド、パキスタンのオブザーバー参加は、SCOの多様な方向における発展形態の可能性を示した

1、SCOがさらに発展するためには将来、共通した外交方針を定める必要が
ある

1、SCOは、内政干渉を行わず、平等と相互尊敬の理念をもつ国々との関係を
強化し、国連との関係を最優先にしながら発展させていく

1、SCOは、アジア太平洋地域において、いかなる分断線が引かれることにも反対する。

1、SCOは、地域の安定化に貢献する。そのために、外交、治安、保安、国防機関などが協力し、地域の不安定化を阻止するために、ともに行動できるメカニズムを構築し、
反テロに向けた共通行動を実施していく。

1、SCO諸国は、アフガニスタンで作戦行動を行う反テロ連合国を支援してきた。だが、作戦が終了しつつあることを念頭に、連合国側が速やかに軍事基地の使用終了期限を明示することを望む。

1、SCOの拡大は、第三国を敵視したものではなく、ブロックの創設を目指したものではない。(内藤泰朗)

上海協力機構が首脳宣言 米の影響力排除に動く
(2005年7月6日 産経新聞)(太字は筆者)

>力で強引に制度を押し付けるのではなく、多様なモデルの発展に敬意を払い大切にしなければならないという加盟国の共通認識を示したものだ<

これは、ブッシュ・ドクトリン(注-2)に対する反発と恐れを、加盟国が共通して抱いて
いると云うことの吐露である。しかし、自国民を平気で虐殺する強権・腐敗体制に敬意など払えるわけがない。傲慢極まりない。人権や民主主義に正常な感覚を持っている者は、相手にしない。

>現代の「脅威」として、テロ、分離主義、過激主義を挙げたうえで、各国の政治の
不安定化をもたらすこれらの脅威と戦うため、「テロリストやテロ団体の共通一覧表」を作成し支援を行わないことなどで連携強化を求めている<

テロ、分離主義、過激主義・・・ロシアにおけるチェチェン、中国における新疆ウイグル・チベット・台湾、中央アジア諸国における民主化勢力・イスラム原理主義勢力を念頭に置いたものと思われる。
自身が侵略して虐殺を繰り返している地域や、強権・腐敗体制に対する民主化要求に、テロ、分離主義、過激主義と云うレッテルを貼って貶め、自らの行為と存在を正当化しようと云うわけだ。
一方的にレッテルを貼り付けて相手を貶め抹殺する。共産主義の常套手段である。
さすがは、現共産主義者と元共産主義者が集まった首脳会談である。正義を悪とし、悪を正義とするなんて、お手のものである。

>イラン、インド、パキスタンのオブザーバー参加は、SCOの多様な方向における発展形態の可能性を示した<

イランはともかくとして、インドとパキスタンがオブザーバーとはいえ参加したのは問題である。「世界最大の民主主義国家」と云われるインド、親米派であるパキスタン、この
両国の加盟は、強権・腐敗体制の国家の集まり、反米国家の集まり、と云うSCOの
イメージをカモフラージュするためのものである。
インドは、経済成長に伴う中央アジアにおける資源の確保が狙いであると云われる。
パキスタンも、仇敵であるインドの動きに対抗する必要性からだと思われる。
この両国を正式加盟国にしてはならない。

>SCOがさらに発展するためには将来、共通した外交方針を定める必要がある<

明らかにブロック化の動きである。

>SCOは、内政干渉を行わず、平等と相互尊敬の理念をもつ国々との関係を強化し、国連との関係を最優先にしながら発展させていく<

高らかなる「反米宣言」である。「悪の連合」諸国に「平等と相互尊敬の理念をもつ国々」とは?北朝鮮か?それとも韓国の盧武鉉政権か?アヘンの密栽培で生き延びているビルマの軍事独裁政権か?

>SCOの拡大は、第三国を敵視したものではなく、ブロックの創設を目指したものではない<

わざわざ、こういう文言を宣言に盛り込まなければならないと云うところが、「反米ブロック化」を強めていることの証である。

日本にとっては、要警戒の動きである。特に、SCOは中国がイニシアチブを取っている。機構の立ち上がりから力を入れており、事務局を北京に置いているほどである。

ウズベキスタンは、旧ソ連諸国の中にあって、ソ連離れが著しい国であった。ソ連が
主導する「CIS集団安保」にも加盟していないし、SCOにも当初は加盟していなかった。米国によるアフガン攻撃のときは、喜んで米国に基地を提供したほどである。
そのウズベキスタンを中露の側に追いやったのは米国である。
独裁政権のウズベキスタンとの友好よりも、「軍事力を積極的に行使し、自由や人権、民主主義、資本主義といった米国的価値観を世界に普及させる」と云う原則的立場を優先した結果である。
米国では、今、ウズベキスタンを非難する声が強まっているとされる。援助の削減も
検討しているようだ。
ウズベキスタンも、キリスト教会やキリスト教徒を、米国の手先として新たに弾圧し始めていると云う。

SCO=「悪の連合」が反米ブロックであることは明確である。しかし、中国にとっては、
それは反「日米同盟」である。米国は「悪の枢軸」を崩壊させた後は、「悪の連合」の
解体に動くであろう。
日本は、ロシアを除くSCOの総ての国(オブザーバー参加国を含む)に巨額のODAを
行っている。中国は別として、それらの国々に、ここで影響力を行使できなければ、
何のためのODAかと云うことになってしまう。
幸い、中央アジア諸国やインド、パキスタン、イランには、反米感情はあっても反日感情はない。それらの国々と中露との間に、クサビを打ち込む外交努力が必要なのでは
ないか。

日本が、中露と米国の間に立ってバランサーになる条件は皆無である。日米同盟の
旗幟を鮮明にするべきである。

(注-1):SCO(上海協力機構)
(注-2):ブッシュ・ドクトリン

関連記事1:悪の連合
関連記事2:胡錦濤とチェチェン虐殺

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投稿: みんなのプロフィール | 2005/07/07 05:59

中央アジアと周辺の情勢に詳しい方なら御存知だと思いますが、露中印は必ずしも良好な関係とは言えません。表向きは多極主義を主張していますが、中央アジアへの影響力を巡って争っていると思われます。確かにSCOには独裁的な国家が多く加盟していますが、民主革命が実現したキルギスの存在も忘れてはいけません。中国主導のSCOを中央アジアの国々が加盟しているのは、恐らく経済支援が関係していると思われます。中国を喜ばすことが出きれば、それだけの経済的な見返りも期待できるというわけです。共同で米国のアフガニスタンからの撤退を呼びかけたのも、米国の影響力を脅威と感じたからだけでなく、中央アジアの国々が同調することで経済支援という見返りが受けられると考えたからだと思います。良くできていますよね。中国は似たようなことを様々な国に対して行ってきました。

ついでなので以下の参考資料を残しておきます。中国の帝国主義が如何に危険なものかを実感して頂けると思います。皆様も中国のプロパガンダに洗脳されないように気をつけましょう。

豪州政府を買収する中共の戦略、亡命外交官が証言
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/06/html/d98624.html

中国は豪州の植民地化を画策=4人目の亡命者・元北京大教授語る
http://news.goo.ne.jp/news/jiji/kokusai/20050615/050615005346.wiyjcfo7.html

南沙諸島問題と中国拡大主義
http://www.iris.dti.ne.jp/~rgsem/china.html

中国の戦略的国境論について
http://www.shinchosha.co.jp/books/html/4-10-127225-5.html

日本解放第二期工作要綱
http://www1.u-netsurf.ne.jp/~kokueki/guntai/china.htm

中国、インターネットで工作員が世論操作(ロイター)
http://www.nzherald.co.nz/index.cfm?c_ids2&ObjectID=10126454
http://www.signonsandiego.com/news/computing/20050519-0617-china-internet.html
和訳
http://nifty.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fwww.nzherald.co.nz%2Findex.cfm%3Fc_ids2%26ObjectID%3D10126454&langpair=1%2C2&toolbar=no&lang=JA&c_id=nifty
http://nifty.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fwww.signonsandiego.com%2Fnews%2Fcomputing%2F20050519-0617-china-internet.html&langpair=1%2C2&toolbar=no&lang=JA&c_id=nifty

CHINA: China hires Net squad to sway opinion
中国:中国(政府)、ネット工作員を養成し、世論操作
http://www.asiamedia.ucla.edu/article.asp?parentid=24609
和訳
http://nifty.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fwww.asiamedia.ucla.edu%2Farticle.asp%3Fparentid%3D24609&langpair=1%2C2&toolbar=no&lang=JA&c_id=nifty

以下、英文

Governing party said to win in Dominica
http://24hour.startribune.com/24hour/world/story/2372687p-10622223c.html

Zimbabwe's New Colonialists
http://www.weeklystandard.com/Content/Public/Articles/000/000/005/654nqqde.asp

Chinese to take over former white-owned farms
http://www.zimonline.co.za/headdetail.asp?ID=9747

Chinese help Mugabe to bug media in Zimbabwe
http://news.scotsman.com/international.cfm?id=496212005

投稿: 流浪人 | 2005/07/07 10:12

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» 上海協力機構などに絡んでの動き [人生とんぼ返り]
さて、今回は当然英国テロの話を取り上げるべきでしょうが、どこのブログさんでもやるでしょうし、それ以上の記事が書けるわけでもないので。タイミングは多少逃しましたがまた上海協力機構あたりの話を。 五日、カザフスタンの首都アスタナで上海協力機構(SCO)の首脳会議が行われました。 そこでウズベキスタンなど中央アジアに展開する米軍の撤退時期を明確にすることを求めた首脳宣言が採択されました。(これは撤退を求める「最後通告ではない」とする意思も報道を通じて示しており、微妙なバランスをとりながらではあるん... [続きを読む]

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