過去の妄言と今の日本
昨日(7月28日)の読売新聞朝刊に、過去20年の日本の閣僚による問題発言が載っている。
以下に、それを転載する。
1986年9月 藤尾正行文相(中曽根内閣)
「(日韓併合について)韓国側にもいくらか責任がある」
「日韓併合は当時の日本を代表した伊藤博文と韓国を代表した高宗との合意に基づいて行われている」
「当時、ほうっておいたら朝鮮半島はロシアの属領になっていたかもしれない」
罷免処分
1988年5月 奥野誠亮国土庁長官(竹下内閣)
「(先の戦争について)日本に侵略の意図はなかった」
「日中戦争は偶発的に始まった」
辞任
奥野長官は辞任に際して
「日中両国は迎合しあうのではなく、考えの違いを議論して理解を深めていくことが真の日中友好につながる」と述べた。
1994年5月 永野茂門法相(羽田内閣)
「南京大虐殺はでっち上げだ」
その後
「南京大虐殺は否定できない事実と認識している。私が疑問に思っていたのは、3000人ぐらいから30万人ぐらいまで(犠牲者数)の数が大きく違っていることだ」
と陳謝し、発言を撤回した。
辞任
1994年8月 桜井新環境庁長官(村山内閣)
「侵略しようと思ってやった戦争ではない。日本だけが悪いわけではない。アジアの国々には迷惑をかけた反面、そのおかげで独立できて、教育も普及したから、ヨーロッパに支配されたアフリカの国より、はるかに識字率が高い」
辞任
1995年11月 江藤隆美総務庁長官(村山内閣)
「植民地時代、日本は韓国に良いこともした」
その後
「(日本が朝鮮で)教育を施し、港や道路を作り、用水路を開いたのはいいことをしたと思うが、朝鮮半島の人にとっては日本が自らの利益のためにやったことで、迷惑千万だというなら我々の思い違いで、いいことをしたというのは誤りだ」
と釈明した。
辞任
1997年1月 梶山静六官房長官(橋本内閣)
「私たちよりも上の世代は従軍慰安婦といっても驚かない。当時は厳然と公娼制度も
あった」
陳謝
発言内容は、一面的に過ぎる面はあるとはいえ、概ね事実である。にもかかわらず、
発言した閣僚たちは、罷免や辞任に追い込まれている。
梶山静六官房長官(当時)のように、その時代の世相を在りのまま述べただけでも
「陳謝」しなければならない。これまでの日本のメディアや世論の在り方が、いかに
偏っていたかの証明である。
「日中両国は迎合しあうのではなく、考えの違いを議論して理解を深めていくことが真の日中友好につながる」という奥野長官の発言は、「韓国や中国の言う通りに全部しろ、という考えを私はとっていない。日本には日本の考え方がある。違いを認めて友好増進を図ることが国と国として大切だ」という最近の小泉首相の発言とどこが違うのであろう。
2003年5月 麻生太郎総務相(小泉内閣)
「(植民地時代の)創氏改名は朝鮮人の要望で始まった」
2005年6月 中山成彬文科相(小泉内閣)
(今春行われた中学校教科書検定に合格した社会科教科書から「従軍慰安婦」の表現が消えた点について)「従軍慰安婦という言葉はそもそもなかった。これまでなかった
ことがあるということが問題」
麻生大臣は、「学生にわかりやすく説明しようとして言葉が足りなくなり、真意が伝わらなかった」と陳謝。中山大臣については、陳謝したのかどうか、結末さえもうやむやで
ある。
これらの発言は、以前であれば間違いなく辞任に値する。しかし、発言の根拠が事実であるから、「妄言」という中韓の批判にマスメディアも、むやみに迎合できない。また、
迎合を許さないだけの世論が国内に形成されつつある。だから野党の辞任要求も、
以前ほどには声が大きくならなかった。
それにしても「妄言」が、「リベラル」を自認した村山内閣でも止まることがなかったことに注目したい。つまり主義主張や政治理念や信念よりも、眼前の権力を志向して政治家は野合するということの証明である。
今の自民党と民主党の政治的ねじれもそれが原因である。政治家の打算に付き合ってはいられない。
「普通の国」であろうとすることを「日本の右傾化」と言って批判する立花隆氏のような
オールド左翼もいる。
参照:日本を軍国主義へ導く「普通の国」論の危険性
しかし、そうではない。
日本は、やっと「普通の国」というより「当たり前の国」になりつつあるのだと思う。立花隆氏のような方には、さっさと引退してもらいたい。
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コメント
日本は、やっと「普通の国」というより「当たり前の国」になりつつあるのだと思う。立花隆氏のような方には、さっさと引退してもらいたい。・・・まったくもって正論です。20世紀の評論家たちは、さっさと引退してもらいたい。
投稿: gaku | 2005/07/30 00:28
立花隆氏の「普通の国」論の・・・読みました。
まずもって改憲論者を一括りに「愚か者」だの「ナイーブな人(悪い人の別名)」だのと口汚く罵る姿に、”サヨク”として一蹴されてしまう類の人々の、はかない哀愁が滲み出ていてため息が漏れる思いです。
しかし、まったくもって素晴らしい妄想、まさに「電波」ってヤツですね。
「憲法第9条は、幣原喜重郎が考えに考え抜いてつくった仕掛けだ!」と、かつての上司による仮説をもとに、「幣原はマッカーサーや憲法起草に係わる占領軍、更には日本国民までも欺く仕掛けを施した。レーガン大統領をして「日本にいいようにされてしまった」とまで言わしめた程の経済発展を成し遂げた」・・・とのたまいます。
憲法第9条によって国防権を剥奪し、その後の安保条約によって国土防衛を完全に掌握、そして日本がアメリカに依頼する形で米軍駐留を認めるという、憲法第9条+日米安保+講和条約のセットで「半保護国化」されている現実を完全にスルーしてしまいました。
一体こういう方々は、目の前に転がる「中国脅威論」についてはどの様にお考えなのでしょうか。
台湾やスプラトリー諸島、東シナ海が侵攻・占領される脅威は、下衆の勘ぐりとでも言うのでしょうか。
繰り返される北朝鮮の恫喝についてどうお考えなのでしょうか。
本土に対する脅威に及んでも専守防衛に徹し、誰かが死ぬまで耐え忍び、その後の自衛行為は敵の最前線に対するパッシブなもののみで、反撃については米軍任せで・・・とでも思っているのでしょうか。
日米共通の同盟国を守る戦闘で米兵が苦戦し、目の前で玉砕しようとも一切関知せずシラを切るとでも言うのでしょうか。
国家の指導者には究極のエゴイズムが求められる・・・などと、冷戦後のアメリカによる対日批判を強引になぎ払う男に、武士道精神は生涯理解できないのでしょう。
仰る通り、引退してもらうのが一番かと思われますね。
投稿: mao | 2005/07/30 00:40
ごめんなさい、決まり文句を言い忘れて・・・。
結局、立花隆氏等あっち系の方々は、日本弱体化・親中派だから熱烈な反米であり、それ故に戦後日本の平和が日米安保、つまりは米軍の庇護によるものだなんて口が避けても言えない。
だから憲法第9条のお陰だとことさら強調し、無批判で護憲に走らざるを得ない。
皮肉にも大嫌いな米軍に守られながら、そんな事実はすっ飛ばして基地縮小を叫ぶ。
憲法9条の維持は、すなわちアメリカに出て行ってもらって、中国様についていく事だなんて、墓場まで持っていくしかない。
投稿: mao | 2005/07/30 03:27
ネットのおかげで人々が本当のコトを知り、本当のコトを言えるようになったのでしょうか。未だ空気が読めていない政治家や自称評論家/文化人もいますが、速やかに淘汰されていくコトを期待します。
ネット上の正論をネット右翼と批判する左巻きな人々もいますが、子供じみた罵倒を除けば言論に攻撃性を感じるものはあまり見かけませんし、淡々と客観的事実を考察する意見が殆どだと思います。
意外なほど平和主義な日本の右傾化に(笑)、左翼はなにを言おうというのでしょうか。
投稿: ιょぅ | 2005/07/30 17:07
gakuさんこんにちわ。
>20世紀の評論家たちは、さっさと引退してもらいたい。
「進歩的文化人」などという死語になった人たちは「特に」ですね
maoさん、どうもです。
>しかし、まったくもって素晴らしい妄想、まさに「電波」ってヤツですね。
>国家の指導者には究極のエゴイズムが求められる・・・などと、冷戦後のアメリカによる対日批判を強引になぎ払う男に、武士道精神は生涯理解できないのでしょう。
仰る通り、引退してもらうのが一番かと思われますね。
まったく、節々に60年代左翼のエリート意識とチンケな思い込みを感じます。
定義も定かでない難解な言葉を使うことが知識人だと思っている。
時代錯誤のバカには、さっさと退場してもらうしかありません。
ιょぅさん、こんにちわ。
>ネットのおかげで人々が本当のコトを知り、本当のコトを言えるようになったのでしょうか。未だ空気が読めていない政治家や自称評論家/文化人もいますが、速やかに淘汰されていくコトを期待します。
立花隆氏もネットの論調を右翼扱いし、危険な兆候だと大仰に言われておりました。
私も、こういう連中が、速やかに淘汰されていくコトを期待します。
投稿: 坂 眞 | 2005/07/30 18:41
もう、立花隆とか田原総一郎とか言うのは
今や化石のインテリ気取りのチンケなオッサン
でしかありませんな┐(´ー`)┌
マスコミの庇護の元、既得権益にあぐらをかいている
間に一般大衆はインターネットなどで知識を身につけ
この者共の底の浅さを見抜いてしまった。本来、彼ら
は司馬遼太郎のように取材熱心、推敲熱心に努力
すべきだったのに怠惰な豚に陥ってしまった。
今や、一般大衆の嘲笑の対象となりつつあるのを
彼らは知って知らずや。下品な表現をすれば
「引っ込め!立花のイモイモイモ!」
の一言です┐(´ー`)┌
投稿: abusan | 2005/08/01 07:35