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2005年8月

2005/08/31

財政再建は待ったなし

先日、フジテレビの朝のワイドショーに、各党の政策責任者が顔を揃えていた。そこにおける論議を聞いていて、私は絶望的な気分になった。
財政再建に対する道順を誰一人として明確に示しえないのだ。共産党と社民党は、
相変わらず低負担による高福祉を主張していて論外である。
しかし、自民党も民主党も、言葉を濁して明確な意見を述べることができない。選挙を
意識して増税論議に踏み込めないのだ。
誰だって負担は軽く、給付は多い方が良いに決まっている。しかし、日本国を一つの
家庭に見立てた場合、月収40万円のうち15万円が借金の利払いで消え、可分所得は
25万円しかない。にもかかわらず、支出は54万円もあり、毎月29万円を借金している。こんなことが成り立つであろうか?
(以下の比較表参照)

平成17年度の財政状況        1ヶ月分の家計にたとえた場合

税収+税外収入(A) 47.8兆円     1世帯月収(C)      約40万円(ボーナス込み)
国債費(B)      18.4兆円    ローン元利払い(D)   約15万円

(A)-(B)       29.4兆円    可処分所得(C)-(D) 約25万円

一般歳出(E)     47.3兆円    家計費(G)        約40万円
地方交付税等(F)  16.1兆円    田舎への仕送り(H)   約14万円

歳出(E)+(F)    63.4兆円    支出(G)+(H)      約54万円    

公債金収入      34.4兆円    不足分=借金      約29万円

(四捨五入により、数字に若干の誤差があります)
平成17年度一般会計予算

私は「やっぱり争点は郵政民営化」の中で次のように書いた。

日本の長期債務残高は、約774兆円もの巨額にのぼる(地方を含む。2005年度末見込み)。これは、国民一人当たり600万円超の借金を背負っていることになる。4人家族なら2千5百万円近い借金だ。
我が国の2004年度の国内総生産(GDP)は505兆円であるから、対GDP比率は150%を超える。これは先進国の中で最悪の水準であり、個人で云えば、とっくに破産宣告を受けている状態である。
この史上空前の財政赤字問題を放置して憲法改正や安全保障を論じても、すべてが空論になる。年金問題も介護等の福祉問題も、論議する
前提が成り立たないのだ。

この財政赤字を削減するもっとも有効な手段が郵政民営化である。340兆円にのぼる郵便貯金・簡易保険の巨額マネーが、国や特殊法人の
非効率な事業に費やされている。

国家の財政事情を考えれば、歳出削減に聖域はない。中でも重要なのが公務員の
削減と政府保証債や財投債の廃止である。
国家公務員の人件費は、4兆6千571億円(17年度)に上り、一般歳出の約一割を占める。政府保証債や財投債(国債)を廃止すれば、借金も無駄遣いも減る。郵政民営化を実現すれば、郵貯・簡保資金→財投債→特殊法人の無駄遣い、という構図が改善される。
一方、歳入を増やすことも待ったなしである。歳入増のもっとも有効な手段は消費税の引き上げである。所得税は増税するべきではない。なぜなら、俗に「とうごうさん」と言われるように、サラリーマンの税金が10割とすれば、自営業者は5割、農家は3割しか
税金を払っていないとされるからだ。
私の実家は農家である。また、自営業の経験もある。それからすれば、「とうごうさん」の指摘はけっして大げさではない(もちろん、まじめに納税されている方もたくさんおられると思う)。また、働く者のうち、課税最低限度の恩恵によって25%、つまり4人に1人が所得税を納めていない。
このような実態を踏まえ、税負担の公平性を考えれば、やはり所得税ではなく消費税に重点を置くべきである。

ところが、自民党も民主党も税制の抜本的見直しと言うだけで、増税に対する明確な
考え方の表明はなかった。
どちらも選挙が終われば方針を打ち出すつもりであろうが、それはずるい。
やはり、構造改革による歳出の削減、借金体質の改善を訴えるのであれば、同時に、それと対を成す歳入増をどうするのかにも言及するべきである。
そして高負担・高福祉なのか、低負担・低福祉なのかを国民の前に選択肢として提示するべきである。今のような低負担・高福祉は絶対にありえないことなのだから。

参考資料1:国家公務員人件費 一般歳出の9.8% 財政を圧迫、削減不可避
(2005年 6月16日 産経新聞)
参考資料2:所得税の課税最低限

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2005/08/30

平沼赳夫氏からのメール

郵政民営化賛成派blog 一覧」という、空色 さんのBlogがある。彼は、郵政民営化
賛成派のblogを糾合して、それを反対派の(前)議員に送りつける作業を続けている。
彼の行為に、唯一反応を示したのが平沼赳夫氏である。平沼赳夫氏は、誠実かつ丁寧なメッセージを返信してきた。これだけでも、この政治家の姿勢が解る。

私は、過去のエントリーで

①ただ、このまま潰してしまうには惜しい人材である。麻生太郎よりは、まともである。
麻生は×!
「水に落ちた犬を棒で叩く」のが政治の現実である。平沼氏が水面下に沈まないことを祈る。

②これは、表向き自民党執行部を批判しているようだが、実は古賀、
高村両氏に向けた怒りでもある。平沼氏は確かに甘すぎた。政治を、
権力闘争を舐め過ぎていた。
しかし、古賀氏や高村氏に比べればずっと信頼できる行動だ。政治家には筋を通すときも必要である。自民党政治の堕落が、無定見な妥協の繰り返しにあったことを考えればなおさらだ。
私は、郵政民営化論者であるから平沼氏を支持しない。しかし、できればその復活を祈る。
なお、平沼、古賀、高村、麻生の四氏は、郵政民営化法案で共同歩調を取ることも確認していたのだ。

と書いた。

郵政民営化に関する平沼氏の主張や行動は是認できないが、政治家の取るべき道としては筋が通っていると思う。
以下に、平沼氏からの返信を全文掲載する。読んでから、この政治家を判断して欲しい。なお、出所は、空色 さんの「郵政民営化分家blog」。

平沼赳夫です。
メール拝見いたしました。

郵政改革の推進自体には賛同しています。公務員制度の抜本改革、天下りの禁止の徹底なども含めて改革は推進しなければなりません。ただ今回の政府提出「法案」は
公社化2年目の折り返し点で、党内議論・国民議論も成熟しておらず余りにも拙速で
あること、法案の内容も地方の切捨てに繋がりかねず、また「分社化・株式会社化」に
よって貴重な国民金融資産の外資流出の恐れがあり、より慎重審議を積み重ねるべきであるという考えから、現時点では到底容認できるものではなく、採決の際に反対票を投じました。
竹中平蔵氏が中心になって作成された郵政民営法案の内容が、米国から日本政府に提示される「年次改革要求書」に準拠し、分社化・株式会社化によって外国資本(ヘッジファンド)に金融資産が取得・買収しやすいものとなっていることが最大の懸念です。
日本の将来のためにこそ使われるべき資産や利益が外資に吸い上げられる危険性に対して、きちんとした防衛策が必要です。改革は進めなければなりませんが、内容に
関係なく取り敢えず通せばよいというのでは余りにも無責任です。国の方針や法律は
ゲームのように簡単にリセット出来るものではありません。だからこそ危惧される点を
ひとつひとつ吟味し成案を得るべきだと主張しているのです。改革とは「看板」だけではなく、真に国民の利益になる内容こそが重要です。

公明党が強く求めている「人権擁護法案」は、郵政法案と同様の党内議論を無視した強権的な手法で国会提出・採決が強行されようとしていました。この法案は、「人権
侵害」の定義が曖昧であり、拡大解釈が可能で歯止めがありません。また人権委員に裁判所の令状なしで立ち入り捜索や押収などの強力な調査権を与え、委員に「国籍条項」を設けることも拒否し、強力なメディア規制法を備えており「人権特高警察設置法」「言論統制法」とも言うべき、国民生活や言論・表現の自由に根底から影響を与えかねない危険性と問題を持っている法案です。そしてこの法案は安易な外国人参政権付与へと繋がる可能性があります。この法案が成立すると、北朝鮮による日本人拉致に
ついて北朝鮮や朝鮮総連の活動を批難することが「人権侵害だ」として訴えられ、自由な言論や日本人救出のための行動に制約が出ることすら想定されます。
この法案内容について国民に提示することもせず、法務部会における議論の一方的な打ち切りをはじめ、修正案の拒否、強引に執行部一任を取り付け国会提出をはかろうとしたことなど、この法案の内容や自民党内の強引な動きについて、全てのメディアが
全くといっていいほど報道しないという異常な状況がありました。これは危機的状況です。普通に生活している人々の人権が守られる、安心できる社会の実現こそが真の
人権擁護であると考え、余りにも問題が多い自民党「人権擁護法案」・民主党「人権
侵害救済法案」にはこれからも断固反対して参ります。

郵政法案と人権擁護法案は表裏一体、公明党は郵政法案成立に協力し、自民党は
人権擁護法案成立に協力する、このふたつの法案は「セット」と申しても良いものです。性急で強引な進め方も双子のように似ています。ひとつはアメリカの注文、ひとつは
公明党の注文、いずれも原案通りに進めることが注文先の希望と利益になることですから、修正・変更には応じず、内容の吟味や議論の打ち切りを行い、何が何でも可決を目指そうとする姿勢に納得が出来ます。しかし郵政法案に関して自民党内で衆議院において大量51名の法案内容の慎重審議を求めるが議員が出て、僅か5票差での通過という事態になり、参院での審議を前に人権擁護法案の国会提出は更なる波乱要因となることから今国会提出は見送られました。

「改革」「人権」いずれも大切なことでありますが、看板や字面よりも重要なのは「法案の内容」です。
郵政法案も、人権擁護法案も、内容についての危険性や問題点について吟味し、国民の不利益にならないものにしようとするための議論そのものを否定・封殺する現在の状況に、恐怖に近い危機感を抱いています。議論を否定しては民主主義とは言えません。

私は参議院で、郵政法案が可決否決にかかわらず、衆議院の解散が行われるものと覚悟いたしておりました。
それは小泉総理と党執行部・公明党が、法案の修正なしの再提出・可決と、人権擁護法案の提出・可決を期している以上、慎重審議派の排除は急務であるからです。
現に今や改革推進に反対している訳でもない「慎重審議論」は、「反対派」「抵抗勢力」とのレッテルを張られ、非公認とされ、対立候補を送り込まれ、マスコミからも批判的な扱いをされ、大変厳しい戦いをしています。
私は自由民主党が、他国や他党の利益や要求を優先するのではなく、日本国の国益そして日本国民のための政策実現に向けて、党内で侃々諤々の議論を積み重ねてゆくまっとうな姿に一刻も早く目覚め、立ち戻っていただきたいと心から願っています。
自民党が真に国民が安心できる保守政策を訴えて選挙に臨むことこそが、他党との
選挙協力に依存しなければ選挙に勝てないという呪縛から解き放たれ、国民有権者の信頼を回復する唯一のまっとうで正しい道であると信じます。

もとより日本が抱えている重要課題は郵政民営化だけではありません。
何よりも国益を守り、日本国の伝統や文化、日本国民の生命、財産、主権、教育を
日本自身の手で守ること、国民の安全・安心を保証することこそが日本国政府、そして政治に携わるものの責務であるはずです。
国民の安心・安全の確保を最優先にする国家運営とそのための政策課題の優先付けを徹底することにより、真に日本にとって大切な課題に全力で取り組んで参る必要が
あると考えます。
また北朝鮮拉致被害者の救出のためにも、一刻も早く経済制裁の発動を行い、国家として日本と日本人に対するテロや不当な行為は断固許さないという意思を明確にし、
決然とした行動を起こすべきです。
ひたすら郵政民営化に狂奔し、その影で国民の目から隠すようにして人権擁護法成立を画策している小泉政権下において後回しにされてしまっている国家的な命題、ようやく端緒についた自民党の党是でもある憲法改正、教育基本法改正、年金をはじめとする社会福祉政策、安全保障問題、地方の活性化、北朝鮮拉致問題や繰り返される
領海侵犯や不当に踏みにじられている日本の主権や日本人の生命に係わる外交課題の解決、安心して生活できる治安の回復、日本経済の中核である中小企業対策を
中心とした地に足がついた景気回復などに早急に取り組み、国民全てが心を一つにして、まっとうな日本を創るために全力を傾注することが重要です。
これら憲法や教育基本法改正など国の根幹を左右する肝心要の政策が、公明党との考え方の違いによって制約を受け、自民党の独立独歩が失われているとするならば、今こそ謙虚に連立そのものを見直す必要があると考えます。

奇をてらわない堂々と落ち着きを持った、まっとうな視線を持ち、すさんだ心を整地して情感豊かな日本を取り戻さねばなりません。
まっとうな真正自民党の再建と、祖国日本と愛する郷土の確かな未来のために、私はどんな立場になろうとも、あきらめることなく全力で取り組んで参りたいと存じます。

長文失礼いたしました。

なかなか読ませる内容である。ご存知の方も多いと思うが、政治家には意外と「?」が付く人間が多い。政治的信条や政策的内容もなく、ただ個利・個略で動いている。
たとえば田中真紀子氏や野田聖子氏である。本人たちは政策通で、政治信条に基づいて行動していると錯覚しているかもしれないが、その発言や行動を見ていると「?」を
付けざるを得ない。
また、論理的な文章もまともに書けず、ただ地元の利害や業界の利害で活動している議員もけっこう多いのである。
その点からすれば、平沼氏は本物である。

ただ、

米国から日本政府に提示される「年次改革要求書」に準拠し、分社化・株式会社化によって外国資本(ヘッジファンド)に金融資産が取得・買収しやすいものとなっていることが最大の懸念です。日本の将来のために
こそ使われるべき資産や利益が外資に吸い上げられる危険性に対して、きちんとした防衛策が必要です。

という主張には賛成できない。

経団連による会員企業の役員・管理職クラス(3178人)に対するアンケートでは、81%が小泉内閣を支持し、郵政解散については80%が支持している。また、投票に際して「郵政民営化」を重視するかとの問いに、79%が「重視する」と答えている。
(8月12日~25日に実施)(2005年8月30日 読売新聞朝刊)
つまり、大企業の幹部クラスは小泉内閣支持、郵政民営化支持なのである。彼らは、民営化されることにより「官」に滞留している340兆円のマネーが「民」に流れることを
歓迎している。もちろん、外国資本(ヘッジファンド)に金融資産が取得・買収されるリスクも承知した上での判断である。
ビジネスの第一線にいると、グローバリズムの流れが抗し難いものであることが解る。であれば、その中で外資と競い合うしかない、それが彼らの本音なのである。

郵政法案と人権擁護法案は表裏一体、公明党は郵政法案成立に協力し、自民党は人権擁護法案成立に協力する、このふたつの法案は「セット」と申しても良いものです。性急で強引な進め方も双子のように似ています。ひとつはアメリカの注文、ひとつは公明党の注文、いずれも原案通りに進めることが注文先の希望と利益になることですから、修正・変更には応じず、内容の吟味や議論の打ち切りを行い、何が何でも可決を目指そうとする姿勢に納得が出来ます。

この主張も「?」を付けざるを得ない。

公明党の意向を受けて「人権擁護法案」成立に向けて馬車馬のごとき働きを見せたのは古賀誠元幹事長である。その古賀氏は「郵政民営化法案」に関しては、今度は逆に反対派の一方の旗頭になった。本人は、派閥の都合もあって土壇場で棄権に回ったが、彼の手兵の相当数が民営化反対に回ったのは事実である。
「郵政法案と人権擁護法案は表裏一体」で「セット」というのであれば、創価学会=公明党と太いパイプを持つといわれる古賀氏の行動はどう説明するのか?この二つの法案がリンクしていないからこそ、古賀氏のような行動が可能になったのではないか。
古賀氏が師と仰ぐ野中広務氏も「民営化反対」で強力に動いた。その野中氏は人権擁護法案には賛成である。つまり、自民党内で人権擁護法案の中核になっているのは、反小泉派・郵政民営化反対派なのである。
小泉首相の後継者といわれる安部晋三幹事長代理は、平沼氏以上に強硬な人権擁護法案反対派である。

なお、自民党全体の雰囲気は、「人権擁護法案は平成15年にも廃案になっており、
今回で二度目の“挫折”。何の理由もなく三度俎上に載せるわけにもいかない」という
ものらしい。
“がその影で国民の目から隠すようにして人権擁護法成立を画策している”のは、小泉政権ではなく古賀氏なのである。
拙記事「甦るゾンビ:人権擁護法案」を参照されたい。

まあ、私は「郵政民営化賛成派」であり、平沼氏は「反対派」であるから、どこまで行っても議論は噛み合わない。ただ、今回の一ブロガーのメールに丁寧な返信を返してきた行為、それから「国のあり方」に対する高い見識、この点は積極的に評価したい。

なお、明日からは、ネット上における選挙運動が禁止されます。したがって、特定の
候補者や特定の政党が有利・不利になるようなエントリーは自粛します。

関連記事1:甘すぎた亀井と平沼
関連記事2:談合組織「士志の会」崩壊

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2005/08/29

民主党の人権擁護法案弾劾!

私は、人権擁護法案には条件付賛成派だった。一部の人が言うような、「現代版治安維持法」などとは、まったく思わない。これは、治安維持法→戦前の過酷な思想・言論弾圧というイメージを、人権擁護法案に植えつけるためのプロパガンダに過ぎない。
私は、メディアによる人権侵害の凄まじさを知っているだけに、報道による人権被害を
法律で救済する必要性を強く感じている。

例えば、「松本サリン事件」の河野義行さんと「桶川ストーカー殺人事件」の猪野詩織
さんに関する報道である。河野さんはサリンの実行犯にされ、猪野さんは「風俗嬢」のごとく報道された。
河野さんは、奥さんを廃人同様にされた被害者であり、猪野さんは、老人や子供に優しい普通の女子大生だった。にもかかわらず、河野さんに関する「誤報」を認める記事は極めて小さく、猪野さんに関しては「言いっ放し」に終わっている。
もっとひどい例がある。記憶しておられる方も多いと思うが、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」のときの報道姿勢である。加害者は少年という理由で匿名。にもかかわらず、被害者は写真付きの実名で報道され、一部の有名週刊誌は彼女の水着姿まで
掲載した。
愛娘が、いかにして殺害されたかを警察から聞かされ、母親は精神がおかしくなっていた。にもかかわらず、被害者の自宅に連日のように押しかける。これは「犯罪」ではないのか?絶対に許されない。

私は、人権擁護法案の欠陥を次のように指摘した。

①第二十二条第3項の後段には、「弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから」推薦する、と書いてある。
「人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」から選ぶことになれば、特定の「人権団体」の指定席になる危険性を排除できない。
現に、解放同盟(解同)は「被差別部落出身者、女性、障害者、在日外国人などを人権委員にする」ことを要求している。

②日本国民だけに限定する国籍条項が明記されていない。
このままでは「朝鮮総連などから多数の人権擁護委員が選任されるのではないか?」という懸念が生じるのも無理はない。

③この法案には「異議申し立て」についての記述がない。

④この法律で守られるべき「犯罪被害者等」の中に、未成年の被疑者や被告人が含まれている。
これでは、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」や「名古屋アベック殺人事件」の犯人のような鬼畜たちも、この法律で守られることになる。

私は、以上の4点について納得できる修正が施されれば、法案に賛成すると書いた。
しかし、納得できる修正はされなかった。したがって、私は「反対」の論陣を張った。
幸い法案は廃案になった。古賀誠氏は、まだ復活を目指しているようだが、取り敢えずは葬り去ることができた。

参照1:人権擁護法(案)について考える
参照2:解同と人権擁護法(案)- part2
参照3:甦るゾンビ:人権擁護法案

ところが、今回の総選挙において、民主党が「人権侵害救済法案」という名の、同じような法律を実現させるとマニフェストで謳っている。
この法案の原案を読むと、自公の法案より更にひどい。

2005年 衆議院選挙マニフェスト 政策各論
民主党

12.法務・人権

(7)差別の解消をめざす法律を制定します。

社会に残っているさまざまな差別を解消するため、すべての障がい者に「完全参加と
平等」を保障し、具体的な差別の禁止を規定する「障がい者差別禁止法」、年齢を理由とした就職差別を禁止する「年齢差別禁止法」など、差別解消のための法律の制定をめざします。

法務省から独立した人権委員会の設置などを盛り込んだ「人権侵害救済法案」を成立させます。
(太字は筆者)

法案の内容は以下のとおりである(民主党・2005年 衆議院選挙マニフェストより) 。

「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」について
2005年8月1日

法案の内容について

5)人権擁護委員の国籍要件、職務について
人権擁護推進審議会は、2001年12月に「人権擁護委員制度の改革について」の
中で、「我が国に定住する外国人が増加していることなどを踏まえ、市町村の実情に応じ、外国人の中からも適任者を人権擁護委員に選任することを可能とする方策を検討すべきである。」と答申しています。

民主党は、この答申を踏まえ、また、外国人であるからという理由だけで、人権
擁護委員を委嘱できないとすることは妥当でないとの考えから、国籍要件を設けない
こととしました。
(太字は筆者)

さらに詳しく法案の内容を見るとどうか。

人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案

第二十七条 人権擁護委員は、地方人権委員会が委嘱する。

3 市町村長は、地方人権委員会に対し、当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)の住民で、人格が高潔であって人権に関して高い識見を有する者及び弁護士会その他人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。
(太字は筆者)

つまり、人権擁護委員に関しては自公案と同じで、解放同盟や特定の「人権団体」の指定席になる危険性を排除できないのだ。
解同は民主党の有力支持団体であり、議員の中には組織内候補もいる。解同は
糾弾闘争の合法化」を狙っているとされる。まさに、民主党は、その狙いの実現の
ために動いているのだ。
「人権侵害救済法」という通称そのものが、解同が常用しているものと同じである。

第六十九条 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者(以下この条において「報道機関等」という。)は、
報道機関等がする次に掲げる人権侵害について、自主的な解決に向けた取組を行う
よう努めなければならない。

ロ 犯罪行為を行った少年

「自主的な解決に向けた取組」という文言を入れることによって。メディアに主体を預けているように見えるが、未成年の被疑者や被告人が保護の対象になっていることに
変わりはない。
「鬼畜」であっても未成年であれば報道が自主規制され、保護される。国民は、「鬼畜」に関する情報を何も得られないということである。

また、自公案で問題視された「国籍条項」については「国籍要件を設けない」と積極的に外国人に門戸を開いている。よりひどい法案であるということだ。
民主党員の中には在日韓国・朝鮮人がかなりいると言われる。読者の方が民主党に、「北朝鮮籍もいるのか、外国人が何人なのか」と問い合わせたところ「個人情報なので教えられない」と言われたそうだ。
また、「総連」コネクションで、パチンコ業界から献金を受けている議員もいるとされる(「南朝鮮革命は既に完了」参照)
まさしく、この「国籍要件」に関しては、「在日韓国・朝鮮人」に配慮したものと受け止めて間違いない。

このような「人権侵害救済法案」を、堂々とマニフェストに掲げる民主党を許してはならない!

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2005/08/28

逃げるな!岡田代表

民主党が自民党に、1対1の公開党首討論を申し入れた。言い出しっぺは小沢一郎
副代表で、「パフォーマンスで小泉首相と競っても無理。堂々と政策論争を挑めばいい」というのが理由だった。
民主党の狙いは以下のとおり。

「郵政選挙」の性格を薄めたい民主党としては、「二大政党」による党首討論で「政権選択選挙」をアピール。同時に、広範な政策をめぐる討論の舞台をつくることで「誠実な人柄の岡田氏」(幹部)と首相との“違い”を
浮かび上がらせる戦略があった。
「首相が応じなくても、議論を拒否したマイナスイメージを国民に与える
ことができる」(幹部)との計算も働いた。
(2005年 8月26日 産経新聞)

これに対して小泉首相は次のように述べた。

首相は同日、首相官邸で記者団に「政党は民主党だけじゃない。他の党に失礼でしょ」と述べるとともに「野党は自分たちだけだと際立たせたい選挙戦術の一環でしょう。(討論は)国会でもテレビ討論でもいつもしている」と反論した。
(2005年8月26日 日経新聞)

小沢副代表は、小泉首相が党首討論を拒否するのは「小泉なにがしは中身がないからだ」といった主旨のことをTVでしゃべっていた。
岡田克也代表も、「受けないのは説明する自信がないからだ。都合の良いことだけ言って進める政治のやり方は絶対に許せない」(2005年8月26日 日経新聞)と強調している。

果たしてそうだろうか?

確かに小泉首相は、「ワンフレーズ・ポリティクス」といわれるように、話が断片的で説明が足りない。しかし、小泉首相のトークは迫力がある。切り返しがうまいし、論点をすり替えるのも巧みだ。
その点、「原理主義者」と言われる岡田氏は理論家で理路整然としゃべるが、ボソボソといった感じで迫力に欠ける。真面目な分だけ融通が利かず、小泉首相の論点のすり替えについていけない。
公開討論は、どちらにプラスするか分からないのではないか。

むしろ、民主党の狙いは、拒否されることを前提としたものではなかったか。つまり
「首相が応じなくても、議論を拒否したマイナスイメージを国民に与えることができる」という戦略だ。
それ以外に、他の野党との関係もある。共産党は、「今、たしかな野党が必要です」をキャッチフレーズにし、「民主党は憲法でも消費税でも米軍基地問題でも介護保険でも自民、公明党と同じ立場です」(日本共産党・市田書記局長)と主張している。
もし、与野党各党首による公開討論会になったら、志位和夫共産党委員長が民主党を攻めるのは間違いない。野党間の違いを際立たせ、「共産党が唯一の野党である」ことを有権者にアッピールした方が効果があるからだ。
自民党支持票が共産党に流れる可能性は低いが、民主党支持票が共産党に流れる確率はかなりある。したがって、共産党にとっては、自民党よりも民主党の方が主たる敵なのだ。
志位委員長は、論破合戦になる左翼の討論を経験しているだけに、討論に関しては
他党首の追随を許さない。おそらく岡田代表では、志位委員長に太刀打ちできない。

共産党の志位和夫委員長は、自民党と民主党の1対1の党首討論について「2党だけでやるというのは民主主義の考えから言って受け入れられない」
(2005年 8月28日 時事通信)

と反対している。いっそ、与野党各党首による公開討論会を提案したらどうか、岡田
代表殿。そのときは、共産党の次のような批判にどう反論するか、真剣に考えておいた方がよい。

小泉純一郎首相の郵政民営化政策を終始応援してきたのは民主党議員だった――郵政民営化政策に対し民主党の対応が右往左往していますが、その背景の一つに民主党の有力議員が首相の郵政民営化構想に終始応援団の役目を買ってでていた事情があります。

小泉氏は1998年の自民党総裁選に出馬し、郵政民営化を訴えましたが三位で敗北しました。その後99年5月に自ら会長になって超党派の郵政民営化研究会を旗揚げ。「(郵政三事業の)民営化へ向けての具体的なプランを立案し、国民に積極的に働きかけていきたい」(趣意書)としていました。同年11月7日には「私たちが提起する郵政事業改革」を提言しています。

郵政民営化研究会の加入メンバーは2001年6月現在で28人。自民党
5人にたいして民主党からは19人が参加。事務局長を松沢成文民主党衆院議員(当時、現神奈川県知事)がつとめ、民主党議員が小泉氏を
担ぎ上げて郵政民営化を推進するかっこうでした。

郵政民営化研究会に参加したメンバーの多くは現在、民主党執行部の主要ポストについています。(別項)

郵政問題担当の民主党の責任者である五十嵐文彦・「次の内閣」総務大臣、前原誠司・同防衛庁長官、鮫島宗明・同農林水産大臣、古川元久政調会長代理らが加わっていました。

郵政民営化構想を応援団として推進しながら、今回の政府の「郵政民営化法案」に反対。他方、マニフェスト(政権公約)では郵貯・簡保の縮小という形で民営化の方向をにじませる。わかりにくい民主党の郵政民営化問題への対応です。

もともと岡田代表は郵政民営化賛成の立場を表明していました
総選挙向けに「二大政党対決」をつくり出そうとして法案に反対したものの、民営化賛成の本音とのつじつま合わせに苦労している背景がみえてきます。

小泉首相の郵政民営化 民主議員が終始応援
(2005年8月25日「しんぶん赤旗」)(太字は筆者)

以上の内容で追求されたら、どう答える、岡田代表!小泉首相が逃げているのではなく、あなたの方が逃げているのではないか。
私は、あなたが「郵政民営化」にイチバン熱心だったと聴いていますが、いかがですか?
それから、あなたの不肖のアニキが相変わらずバカやってますなあ・・・

民主党の小沢一郎副代表が反小泉勢力の結集に向け、2新党や参院自民党の反対派との連携を模索している。衆院選で与党、民主党のいずれも過半数を獲得できなかった場合をにらんだ布石だ。
ただ、小沢氏が期待した自民分裂は小規模に終わり、仕掛けは不発
気味。選挙後の巻き返しをうかがう。
(2005年8月25日 日経新聞)

こんなバカとは早く手を切ったほうが良いですよ。

【選挙関連記事】
1:狂気の創価学会
2:郵政解散:屋山太郎氏の正論
3:絶滅危惧種・社民党のなぜ
4:新党日本のご健闘を祈る
5:やっぱりそうか綿貫先生
6:談合組織「士志の会」崩壊
7:民主党を斬る!
8:米国のための郵政民営化?
9:仁義なき戦い
10:甘すぎた亀井と平沼
11:亀井静香の闇
12:やっぱり争点は郵政民営化
13:郵政解散→政界再編

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2005/08/27

狂気の創価学会

私は、小泉首相を支持している。これまでに書いた総選挙関連のエントリーは、すべて小泉支持を基調にしている。

私は、人間としての小泉純一郎はあまり好きではない。理由は、これまでにも書いた
ことだが、世襲議員にありがちな、世間知らず、人間知らず、苦労知らずの「三知らず」人間だからである。「人生色々、会社も色々、仕事も色々」という発言にそれが如実に表れている。
それでも私が小泉首相を支持するのは、彼の唱える「構造改革」と、その突破口である「郵政民営化」が私の持論と重なるからである。それだけではない。バブル全盛の
ころ、誰からも相手にされなかったにもかかわらず「郵政民営化」を唱え、その信念を
変えることなく今日に至ったことを高く評価するからでもある。

多少の語弊はあるかもしれないが、私は世襲議員はけっして悪くないと思っている。
安部幹事長代理、町村外相、中川経産相、いずれも世襲議員である。彼らは、変な
しがらみがない分、思ったことをズバズバと言える。それに、幼いときから政治を見て
いるだけに、政治がリアリズムであることもよく知っている(もちろん、どうにもならない
世襲議員もいるが・・・)。

今、小泉自民党には追い風が吹いている。このまま行けば、与党で過半数という目標は十分可能であると思う(もちろん、風向きが急に変わることもあるので、油断はでき
ないが)。そのような状況下で、敢えて与党にとってマイナスになることは書くべきではないのかもしれない。
しかし、党利党略で政治を論じてはならない立場にある私としては、どうしても書かなければならないことがある。それは、公明党=創価学会についてである。

公明党が与党であるばかりに、憲法改正や教育基本法の改正がスムーズに行かない。防衛庁を「省」に昇格させられない。公明党=創価学会との選挙協力の手前、公約の靖国参拝もできない。児童手当というわけのわからない手当が拡充されたりする。
自民党は、できるだけ早く公明党=創価学会と手を切るべきである。小泉氏も、首相になるまでは、「学会にもらった分だけ従来の自民支持票が逃げていく」と言って連立には懐疑的だった。
しかし、今の自民党は公明党=創価学会なしには存立さえ危うい。これは、理念よりも目先の政治権力を優先する自民党の悪しき体質に根本的な原因がある。その結果、
小泉首相でさえ「構造改革」の成否を公明党=創価学会に委ねざるを得なくなってしまった。

政界再編を私が声高に叫ぶ理由は、まさにここにある。民主党の中にも憲法改正・
教育基本法改正・構造改革支持の議員はたくさんいる。若手を中心に半数近くがそうではないか。
小泉首相を始めとする自民党改革派は、もし選挙に勝利すれば、政界再編に大胆に
踏み出すべきだ。国家観、憲法観及び安全保障という、政治の根本において相容れない相手と連立するなんて禁じ手だったはずだ。
それが、野中広務という寝業と妥協を旨とする政治家が、「自・社・さ政権」を作ってから政治の見境がなくなってしまった。

公明党=創価学会と組むべきではないというのは、国家観、憲法観及び安全保障に
隔たりがあるからだけではない。創価学会は一種のカルトである。疑う方は聖教新聞を読めば解る。
聖教新聞における脱会者や学会批判者に対する反批判は、まさに罵詈雑言の嵐である。人格攻撃や出所の怪しい情報を事実のごとく書き立てるなんて朝飯前である。日常生活における嫌がらせも後を絶たない。

その異常ぶりは選挙においてさらに大きく発揮される。重点選挙区には周辺から住民票を大量に移動させると“言われている”。投票日の直前(1~2日前)に紙爆弾と呼ばれる「謀略ビラ」で絨毯爆撃を行う。相手の反撃が間に合わない時期を選んでやるのだから悪質極まりない。
今回の選挙で、公明党の選挙準備が間に合わず、不利と言われるのは、都議会選挙が終わって3ヶ月経っておらず住民票の移動が役に立たないと“される”からだ。

共産党も似たような体質を持っている。上意下達。どこを切っても同じ顔が出てくる
「金太郎飴」。自分たちが絶対的に正しいと信じている。批判する者に対しては容赦なく攻撃する。
しかし、共産党のビラには「日本共産党」と出所が明記されている。ところが、学会の「謀略ビラ」は、誰が発行人か分からないのだ。
発行人が分からないのに、なぜ学会の仕業だと分かるかって?それは、これまでに
何回か犯人が検挙され、いずれも学会員であることが明らかになっているからだ。もちろん、本人たちは組織ぐるみの行為であることを否定している・・・ということは、「創価
学会」ではなく「創価学会員」の仕業というべきなのかもしれない(笑い)。
それから、共産党は攻撃するときに、相手の主張を意図的に曲解することはあっても、政策論争の建前は堅持している。ところが、公明党=創価学会の攻撃は罵詈雑言のオン・パレードなのだ。

2000年の総選挙のときの平沢勝栄氏(自民党)のコメントが忘れられない。平沢氏は「反学会」で有名な議員だが、選挙の遊説時、主婦と思しき女性に掴みかかられた。
そのとき、その主婦は「私たちも税金を払っている国民なのよ!」と喚いたそうである
(TVニュースを見ていた私は笑ってしまった)。
平沢氏の公明党=創価学会に対する批判に激昂した主婦が、平沢氏を襲撃した(?)わけだ。このときの平沢氏のコメントは、「共産党とは政策論争ができるけど、公明党=創価学会はそんなレベルじゃない」というものだった。

こういうことを書くと、「○顕の手先」とか「○○党」とか「地獄に堕ちる」という書き込みがあるかもしれない。○顕とは、大石寺の日顕法主のことであり、○○党とは共産党の
ことである。数年前、Yahoo!の掲示板で創価学会に関するトピを立てた時に、そういう
書き込みがいっぱいあった。
まあ、依存症の独り言だから今回は無視してくれるかもしれないね・・・

私には、学会員の知人がたくさんいる。皆さん、平時は優しくて人が好い。それが池田大作氏や選挙のことになると人間が変わるから不思議というか恐ろしい。
学会員の自宅に行くと、なぜか池田大作夫妻の写真が必ず掲げてある。まず、それだけで普通の人は引いてしまう。私も最初のころはビックリした。でも、彼らにとっては
当たり前なんだね、これが・・・
私が幼いころ、田舎では、まだ天皇・皇后両陛下のお写真(御真影ではない)を掲げている家があったが、思わずそれを思い出した。

こういう創価学会の政治部である公明党と連立を組むのは、一刻も早くやめるべきだ。日本の政治が堕落してしまう。これは自民党のみの責任ではない。民主党の心ある
方たちも、この政治状況を変革するために立ち上がり、政界再編を断行してほしい。
そして、政権から公明党=創価学会を排除しなければならない。
それにしても創価学会の真実を何も書かないマスメディアはひどすぎる。「鶴(学会)タブー」や「解同タブー」を克服しない限り、日本のメディアは信頼できない。
なお、公明党の選挙公約は批評するに値しないので割愛する。創価学会の本質については、別の機会に改めて言及したい。

以下は、2000年の総選挙のときに、反学会の急先鋒・白川勝彦元衆院議員を追い落とすためにばら撒かれた「謀略ビラ」の写真である。投票日2日前に、白川氏支持者が
多い地域にばら撒かれた。
白川氏陣営は、ビラを投げ込んで歩いている男を4人を捕まえて警察に突き出したそうである。男たちは、対立候補の民主党陣営とは無縁の者だった。ある大きな宗教組織の信者だったそうだ。
白川氏は、「どこの誰かは分かるだろう」としか・・・

bouryaku1bouryaku2bouryaku3
←クリックすると大きくなり、ビラの内容が確認できます。
実物はカラーで、仕上がりの美しいプロが編集したもの
だった。



(追記)
「重点選挙区には周辺から住民票を大量に移動させる・・・」については、いくつかの
事例に基づく類推であり、正確なデータがあるわけではないので「と“言われている”」に訂正させていただきました。
ただ、従来から「人為的な得票の積み増し作戦」が指摘されてきたことは、否定できない事実です。


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2005/08/26

中国は崩壊後どうなる?

私は、これまで10回にわたって中国崩壊に関する記事を書いてきた。その過程で、
「いつ崩壊するのか?」というご質問があった。これについては、変動相場制移行→
金融不安→マネー流出→バブル崩壊→企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業者の増大という負の連鎖が、いつ起こるかによると説明した。
中共政府も、このあたりは心得ていて、変動相場制移行をできるだけ遅らせ、国有銀行への公的資金の注入と外資との提携を急いでいる。しかし、コーポレート-ガバナンスとコンプライアンスを欠如したままでは見通しは暗い。
おそらく、早ければ2008年の北京オリンピック後、遅くとも2010年の上海万博後には、深刻な危機に直面すると思われる。
これらの私の記事に対して、「では、崩壊後はどうなるのか?」というご質問があった。したがって、今日は、崩壊後の姿について可能な範囲で書いてみたい。

崩壊後の姿を考察するには、①政治的側面、②歴史的側面、③経済的側面、④文化的側面、⑤民族的側面の五つの要素を踏まえて分析する必要がある。

政治的側面から分析する前に、まず「国家」とは何かを認識してもらいたい。日本人は「国家」を誤解している方が多い。かなりの方が、民族的・文化的・経済的共同体が
国家であると誤解している。
しかし実際は、ほとんどが同じ民族で、同じ言語をしゃべり、共通の歴史的・文化的
背景を持つ国家なんて、世界では極少数派である。
例えばスイスを見てみよう。民族構成はドイツ人、フランス人、イタリア人、ロマン人
(人口順)である。有名な都市であるジュネーブはフランス語であり、チューリヒはドイツ語である。九州よりも小さな国の中に、民族・言語・宗教・文化が違う人たちが共存しているのだ。
もっと解りやすいのはアラブである。民族・言語・宗教・文化が共通しているにもかかわらず、10カ国以上の国に分かれている。しかも国境線は、西欧列強が人為的に引いたものだ。
つまり、国家とは極めて政治的なものであり、民族や言語、宗教や文化とはイコールではないのである。したがって、政治的条件が変動すれば、当然のことながら国家も根底から変貌する。そして、その政治的条件を突き動かすのが下部構造-経済なのである。

中国の現状は共産党独裁国家である。これは間違いない。しかし、ここで多くの日本人が共産党独裁国家というとソ連を連想する。これが、中国を誤解する最初の第一歩なのだ。
共産主義国家は、共産主義イデオロギーで末端まで統一されている中央集権的独裁体制である。ソ連がまさにそうだった。しかし、今の中国は違う。中共政府の指示・命令に、必ずしも地方政府が従わないという、地方分権的な独裁国家に変貌しているのである。
これは、鄧小平の時代に、イデオロギーとしての共産主義を捨て去り、経済成長至上主義に転換したことが大きく影響している。しかも鄧小平は、「先に豊かになれるものから豊かになれ」と、一時的な経済格差を容認する「先富論」を提唱した。この結果、地域によって、同じ国とは思えないほど経済格差が広がった。
この地域ごとの経済格差に、伝統的な地域主義が結びついて、中央政府のコントロールが効かない地方政府が出現したのである。

そもそも、歴史的に見ても中国は一つであったときの方が短い。中共が統一する前の中華民国のころは、各地に軍閥が群雄割拠し、中華民国の支配地域は限られた部分にすぎなかった。
歴史上、漢族が100年以上にわたって華北、華中、華南を統一的に支配したのは、漢、唐、宋、明の時代だけである。中共政府以外で、東北地域(旧・満州)や西域(新疆ウイグル)、内モンゴル、チベットまでを版図に収めたのは、モンゴル族の元と女真(満)族の清以外にはない。
つまり、中共政府が出現するまでは、漢族の支配地域は華北、華中、華南に限られ、しかも分裂・抗争が常であり、匈奴を始めとする異民族の侵略・支配を受けることもしばしばだった(例外的にシルクロードのころ西域を支配下においたことはある)。
したがって、前述した政治の実態に歴史的経緯を加味すれば、経済的破綻が即、中国の分裂に繋がる可能性は極めて高い。要は「カネの切れ目が縁の切れ目」なのである。
(※唐王朝の李氏は、鮮卑系である(との見方が支配的)ことが分かりましたので、「唐」を削除します)

今、中国には四つの経済先進地域がある。

①<長江デルタ地域>
上海市
江蘇省(南京、蘇州、無錫、常州、揚州、鎮江、南通、泰州)
浙江省(杭州、寧波、湖州、嘉興、紹興、舟山)
②<珠江デルタ地域>
広東省(広州、深セン、珠海、佛山、江門、中山、東莞、恵州、恵陽、恵陽、恵東、
博羅、肇慶、高要、四会等)
③<福建東南地域>
福建省(福州、厦門、泉州、漳州、莆田の5沿海都市)
④<環渤海湾地域>
北京市天津市河北省遼寧省山東省

これらが、お互いをライバル視し、対立・競争している。これらの地域の地方政府は、
国家や国民のことなんて眼中にない。「先富論」を拠りどころにして、自分たちが豊かになることしか考えていない。
したがって、経済的破綻が社会的混乱→政治的混乱にまで至れば、これらの四つの
地域が自らの権益を優先し、それを守るために政治的独自性をさらに強める可能性は高い。

中国語と一口で言うが、その種類は多岐にわたる。大雑把に言って、①北方語(北京語など)、②粤語(広東語など)、③呉語(上海語など)、④閩語(福建語など)、⑤かん語(湖北語など)、⑥湘語(湖南語など)、⑦客家語の7大方言(郷音)に分類される。
方言といっても、我が国の方言とはレベルが違う。各方言によって、発音、字体、文法が違うので、まるで外国語と同じで、方言同士では意思疎通がまったくできないのだ(通訳が必要なレベルである)。
また、これらの方言は、地域ごとにさらに細分化され、これまた意思疎通ができない
ほどの隔たりがある。各方言の後ろに「など」を付けたのは、そのためである。
そこで、中共政府は、北京語を「普通話」=共通語として普及させることに力を入れている。テレビやラジオ放送は「普通話」で、義務教育も「普通話」で行われている。現在では約7割が「普通話」を理解できるといわれる。
しかし、「普通話」が普及し始めたのは最近のことである。数千年の長きにわたって、
お互いに意思疎通が不能な言語を使用し、その言語に裏打ちされた社会の下で暮らしてきたのだ。
しかも、言語の違いは、四つの経済先進地域に重なる。

①長江デルタ地域:呉語
②珠江デルタ地域:粤語
③福建東南地域:閩語
④環渤海湾地域:北方語

つまり、政治(地方政府)も違うし、経済圏も違う。歴史も違うし言語も違う。一つの国であることの方がおかしいのである。

中国には言語、文化、歴史の異なる56の民族がいる。92%を漢族が占める。が、同じ漢族でも、華北と華南では体型や肌の色に違いが見られる。
その昔、中国南部には「南蛮」と呼ばれたタイ族が住んでいた。人口増や戦乱により
南下した漢族は、このタイ族と混血したのである。一方、北の漢族は、北方から侵入してきた遊牧民族と混血する。つまり、北京と上海や広東では、DNA的な均一性に欠けるのである。
北京と上海は特に対抗意識が強く、お互いにボロクソに言うらしい。北京人に言わせれば「北京語をしゃべれる者が人間」であり、上海人は北京語をしゃべりたがらず、「北京なんて田舎だ、遅れてる」と言う。
漢族の中でもこれだけ違うのに、さらに55もの少数民族が住んでいる。主な少数民族は、モンゴル族、回族、ウイグル族、チワン族、チベット族、朝鮮族、満族である。
このうち、民族意識の高いモンゴル族、ウイグル族、チベット族は、政治的・経済的・
社会的混乱が続けば、それに乗じて独立する可能性が高い。

結論から言うと、漢族は、経済圏ごとの①長江デルタ地域、②珠江デルタ地域、③福建東南地域、④環渤海湾地域に、⑤重慶を中心とする四川省を加えた五つに分裂し、
モンゴル族、ウイグル族、チベット族が独立するという形にならざるを得ないのではないか(香港は別と考える)。
後は、中共政府を支える人民解放軍がどう動くかである。150万人を数える人民武装警察は、中共政府の意思に忠実に動くであろう。しかし、総兵力231万人(2001年)の
人民解放軍が中共政府に忠実であるとは限らない。
なぜなら、人民解放軍は国家の軍隊ではなく、中国共産党の軍隊であるからだ。したがって、中国共産党が地域ごとに分裂すれば、人民解放軍が混乱する可能性は高い。
実際に、文化大革命のときに、人民解放軍の一部が「実権派」の側に立って「造反派」に対抗した「武漢事件」が起きている。毛沢東全盛のときでもそういうことがあったのだ。
胡錦濤主席にカリスマ性はなく、指導力も絶対ではないと言われる。人民解放軍が、
政治的・経済的・社会的混乱が起きたときにどう動くかだけは読めない。

中共体制が崩壊し中国が分裂しても、中国という社会がなくなるわけではない。したがって、中国に進出、あるいは投資している日本企業が大きな被害を被るとしても、壊滅的打撃を受けるとは限らない。
それより怖いのは、政治的・経済的・社会的混乱の中で、1億~2億に達するであろう
追い詰められた貧民による民族大移動が起こることである。
東シナ海を超えて我が国に百万人単位で中国人難民が押し寄せて来たらどう対応するのか、ちょっと想像が付かない事態である。それは現実問題として大いにありうることである。実に恐ろしいことだ。

参考資料1:漢民族
参考資料2:中国
参考資料3:中国語の言語
参考資料4:中国の歴史
参考資料5:中国簡略史
参考資料6:中国の少数民族
参考資料7:省市自治区・主要都市別の地域情報
参考資料8:中国人民解放軍
参考資料9:アジアの都市とアジア人
参考資料10:

関連記事1:中国は間違いなく崩壊する
関連記事2:中国は間違いなく崩壊する part2
関連記事3:中国は、いつ崩壊するのか?
関連記事4:中国崩壊の序章
関連記事5:中国崩壊の序章-part2
関連記事6:石油をガブ飲みする中国の末路
関連記事7:中国は間違いなく崩壊する part3
関連記事8:中国に奇跡は起こるのか?
関連記事9:中国崩壊への胎動
関連記事10:中共:崩壊する統治能力

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2005/08/25

郵政解散:屋山太郎氏の正論

久しぶりに「我が意を得たり」という記事に出会った。8月22日付の産経新聞【正論】に掲載された屋山太郎氏の“「郵政解散」の意義は日本の病巣清算”である。
屋山氏は、1932年生まれであるから、いわゆる「戦後闇市派」に属するのだが、国際
経験豊かなジャーナリストであるだけに、その切れ味は鋭い。その主張は、ジャーナリストとしての的確な視点と、国際経験に基づく幅広い視野を併せ持っており、頷くところが多い。

屋山氏は、構造改革論者としてその名を馳せている。1981年には臨時行政調査会
委員となり、その後の「国鉄民営化」に大きな影響を与えた。
しかし、屋山氏は、単なる構造改革論者ではない。憲法改正問題(憲法改正議論封じは間違い)や教育基本法改正問題(無法教師は教壇を去れ)においても傾聴に値する卓見を述べられている。常に世界の中の日本と日本人を考えておられる。
偏った意見に見えながらも説得力があるのは、そこに特定の政治的意図が隠されて
いないからだと思う。
以下に、屋山氏の郵政解散に関わる意見を掲載する。

官の壟断(ろうだん)から政治救う好機だ

反対派の非公認は当然だ

今回の総選挙を(1)政党のあり方(2)官僚政治システムの根本的改革-のきっかけにしなければならない。

小泉首相が「構造改革の本丸」としてきた郵政民営化法案が参院で否決されたことについて、「改めて国民の声を聞いてみたい」と衆院を解散した。小泉氏は過去三回の
国政選挙と、二回の自民党総裁選で郵政の民営化を唱え、03年の衆院選のマニフェスト(政権公約)では「郵政事業を07年4月に民営化する」と明確にしている。ところが、
自民党では郵政族が反対し、総務会での多数決も「認めない」として、ついに参院で
否決してしまった。

これまでの自民党政治は、勝てる総裁を担いで、適当な政策を並べて政権を取る。
取った後は総裁が公約したものであれ、「党内のコンセンサスが得られない」と改革案をつぶす歴史の連続だった。

選挙制度を小選挙区比例代表並立制に変えたのは、こういうインチキな政党の歴史を清算し、まともな政党政治を確立する狙いだった。党内で論議して最後は多数決で
決め、それに従うというのが政党政治、民主主義の基本だ。これは民主党にも当て
はまる。

小泉総裁が最重要と信じる郵政民営化について、国民の声を聞く以上、反対派を公認しないのは当然だ。賛成の人は自民党、反対の人は民主党と色分けがはっきりし、
国民の政党評価を容易にする。

「官」の握る金を取り戻せ

郵政民営化に失敗すれば、明治以来の「官僚内閣制」を清算できないだろう。明治の官僚内閣制は官僚が行政府と立法府の二府を握るというものだった。後発資本主義国として、当時は必要だったが、今日もこの形がまったく変わっていないのが日本の病巣だ。

総理大臣が民営化の号令をかけているのに、総務省の郵政担当の次官級官僚二人は、与党を民営化阻止の根回しに歩いた。目に余る動きに、首相は二人を担当替え
したが、本来なら解任されて当然だ。一方で、旧郵政官僚の長谷川憲正参院議員は、
与党や総理大臣の意向を無視し、総務省(旧郵政省)の手先となって法案つぶしに
動いた。

党の最重要法案をつぶす動きに除名もできないのでは政党の体をなさない。各省とも
この種のOBを送り込み、出身省の指示によって立法府を牛耳っている。本省と結び
ついたOBを排除しない限り、三権分立はありえない。

郵政民営化が必要なのは、個人金融資産1400兆円のうちの約四分の一にあたる340兆円を「官」が握る形をやめるためだ。この資金を使う公団、事業団が乱立し、本来、
税金を使うべき道路や橋を金利のついた金で造る悪習が蔓延(まんえん)した。

瀬戸内海の本四架橋三本で、毎年5百億円の赤字が発生している。古くは国鉄が2兆円の赤字を垂れ流し、それを郵貯・簡保を原資とする財政投融資資金で賄い、利子分を一般会計に計上した。見た目には2百-3百億円だが、裏に2兆円もの金利のついた
借金が隠されていたのだ。

小泉内閣が誕生したとき、亀井静香元政調会長は30兆円の財政資金を投入して景気対策をやれ-と提唱した。亀井式景気対策は、官業の部分に金をぶち込んで景気を
よくしろというものだが、もともと官業に金を投入しても波及効果は少ない。

民営化は改革をもたらす

その効率の悪い景気対策を歴代続けてきたからこそ、国と地方の借金が770兆円にも膨らんだのである。なぜそんな無駄をやったか。特殊法人への天下り官僚に仕事を
供給してやり、そのおこぼれを政治献金として政治家がもらう政・官・業の癒着システムが完成しているからだ。

日本の公共投資はGDP(国内総生産)比で、先進国の三倍以上(6.2%)もあった。小泉政権発足以来、相当減ったが、増えた主因は郵貯・簡保の金を無駄に使ったからだ。財務省は「財投はすでにやめた」と強弁しているが、郵貯・簡保の金が官の手にある
限り、官業システムは存続する。

いまどき、先進国で中央省庁が建設技監を雇っている国があるか。建設技監を雇えば、そのための事業を国が作ってやらねばならない。日本道路公団から関連会社への天下りとすさまじい談合。すべて官が直轄事業をやることから発生する不正だ。

郵貯・簡保を民営化すれば、その金はおのずと必要なところに流れていく。そもそも
直轄事業などはまったく必要ない。金さえ渡せば、地方が適切に使うからだ。

国の官業システムの資金源を断ち、官僚の壟断(ろうだん)から政治を救うチャンスだ。

【正論】「郵政解散」の意義は日本の病巣清算
(2005年8月22日 産経新聞)

屋山太郎(ややま・たろう)
1932年福岡県生れ。東北大学文学部卒。時事通信社に入社。
海外特派員、編集委員などを経て、現在、ジャーナリスト、日本国際フォーラム参与。

屋山氏は、一貫して行政改革、政治改革、規制緩和の推進を唱えつづけている。
行政改革によって官僚の専横をやめさせ、小選挙区制により族議員を排除し、規制
緩和によって経済を活性化、国際的に対応できるシステムをつくる。この三つは氏に
とって切り離せないものなのである。
1981年より臨時行政調査会委員となり、以後、長きにわたり「行政改革」に関わり続ける。82年の「国鉄国賊論」は、その後の国鉄民営化に大きな影響を与えた。
しばしば激しい批判を展開し、論争を行う。

著書は「自民党・創価学会亡国論」(三笠書房:2001年)、 「抵抗勢力は誰か 改革を阻む“亡国の徒”リスト」(PHP研究所:2002年)、「道路公団民営化の内幕  なぜ改革は失敗したのか」(PHP研究所:2004年)他多数。

上記の記事中にも亀井静香氏の名前が出ている。亀井氏は、典型的な「大きな政府」「公共事業推進派」なのだ。しかも、それが弱者や地方に配慮したものであれば、まだ救いがあるが、どう見ても己の利権が絡んでいるとしか思えない。派閥-カネ-利権-公共事業・・・日本国を食い物にするのは、もうやめろ!

小泉首相は、亀井氏の主張する景気回復のための30兆円の財政出動を断固として
拒否した。「構造改革なくして景気回復なし」と。
確かにあのころは苦しかった。株は下落し続け、企業倒産やリストラが相次ぎ、デフレが進行した。私自身も非常に辛い時期だった。当時、(私立の)高校生と中学生の二人の子供を抱えていながら、年収が400万円に満たない年が続いた。
しかし、私は、公的資金の注入による不良債権の強制処理によってしか景気回復は
ありえないという小泉-竹中ラインの考え方は正しいと信じていた。その結果が更なる企業倒産を引き起こしても・・・

中堅ゼネコンや、ダイエー、マイカル等の大手小売業者、大京、カネボウ、りそな銀行、地方銀行、中堅生保・損保・・・
確かに、小泉内閣になってから銀行や生保や大手企業の倒産が続いた。しかし、膿は切開して出すしかない。安易な財政出動と不良債権の先送りを続けていたら、日本経済ばかりか日本国そのものが沈没していただろう。

野中広務氏や亀井氏が猛烈に反対した不良債権の強制処理によって景気は確実に
回復した。私の会社も、今は上昇気流に乗っている(おかげさまで)。
西友はウォルマートに買収されたが、日本企業が特段、外資に食い荒らされたわけではない。ちなみに、公的資金の注入と不良債権の強制処理も米国の要望(要求?)
だった。が、私は小泉-竹中ラインが米国の意向に従ったなどとは毛ほども思っていない。それが取り得る最良の方法だったのだ(もちろん、米国の圧力を利用した面は
あった)。

小泉構造改革は緒に付いたばかりである。ここで頓挫させるわけにはいかない。大きな政府-財政支出-公共事業-財政赤字の拡大(崩壊)をこれ以上許してはならない。
改革の本丸=郵政民営化を断固実現しよう!

【選挙関連記事】
1:絶滅危惧種・社民党のなぜ
2:新党日本のご健闘を祈る
3:やっぱりそうか綿貫先生
4:談合組織「士志の会」崩壊
5:民主党を斬る!
6:米国のための郵政民営化?
7:仁義なき戦い
8:甘すぎた亀井と平沼
9:亀井静香の闇
10:やっぱり争点は郵政民営化
11:郵政解散→政界再編

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2005/08/24

絶滅危惧種・社民党のなぜ

「社民党は小さい。絶滅危惧(きぐ)種が国会にまだいると思うてはるかも知れへんけど、絶滅危惧種は大事なんです。多様性ですわ」
衆院大阪10区に、社会民主党(社民党)公認で立候補予定の辻元清美氏(45)の弁である。

社会民主党は、その名のとおり「社会民主主義」を標榜する政党である。社会民主主義政党は、先進国では非常に勢力が大きく強い。
(英国)党、ドイツ社会民主党(SPD)、スウェーデン社会民主党、スペイン社会党、ノルウェー党、オランダ党、オーストリア社会民主党は政権党であり、フランス社会党(PS)、左翼民主党(イタリア)、デンマーク社会民主党、全ギリシャ社会主義運動も政権担当能力のある最大野党である。
先進国の中では、唯一、米国にのみ社会民主主義政党が存在しないが、民主党の
リベラル派は欧州の社会民主主義政党よりも左寄りのところがある。

にもかかわらず、なぜ我が国においては社会民主主義政党が衰退し、絶滅寸前なのか?これは我が国の政治風土が特殊なわけではない。むしろ、我が国の社会民主主義政党が特殊なのだ。
今、我が国に存在する社会民主主義政党は、社会民主党と新社会党(旧・社会党最左派)の二つである。社会民主党は辻元氏が言うように絶滅寸前であり、新社会党に至っては国会に議席すら有していない。

ここで、社会民主主義とは何かを簡単に説明しておこう。
社会民主主義はマルクス・レーニン主義(共産主義)に対するアンチである。共産主義は、暴力革命、プロレタリアート(者階級)独裁、世界革命を目指す。国家を否定し、宗教を否定し、私有財産を否定するインターナショナルなイデオロギーである。
これに対し、社会民主主義は、議会を通じた変革、独裁の否定、どちらかといえば一国主義のイデオロギーである。私有財産を肯定し、信教の自由を認める。社会主義インターナショナルという国際組織は存在するが、各国の多様性を認め、特定の教義を強制するものではない。
これに対し、共産主義の国際組織は、常に特定の教義(マルクス・レーニン主義)を
各国の共産党に強制してきた。かつてのコミンテルン(第3インターナショナル)は、
「ロシア革命の世界革命化」が主たる目的だった。戦前の日本共産党も、コミンテルンの日本支部だった(ただし、現在の日本共産党は自主独立路線であり、一国主義である)。

社会民主主義の源流は、ドイツの社会主義者ベルンシュタイン(1850~1932)にまで遡る。ベルンシュタインは、共産主義の始祖・マルクスやエンゲルスと深い交流があったが、1896年ごろからマルクス主義の批判に転じ、「革命」ではなく「議会を通じた改良」を主張するようになる。
第一次大戦後のドイツで起きた1920年のスパルタクス団(社民党極左派=ドイツ共産党)の武装蜂起は、社会民主党政権が鎮圧した。

一方、英国では、ベルンシュタインにも大きな影響を与えたフェビアン協会が主導する
フェビアン主義が影響力を強める。フェビアン協会は、①民主主義、②漸進的改革、
③不労所得の公有化と再分配、④余暇、教育、慈善等の国家による支援--保障を
掲げ、(英国)党に大きな影響を与えた。
ここで特筆すべきは、大陸欧州の社会民主主義勢力がマルクス主義を源流に持つのに対して、フェビアン主義は様々な思想を折衷したもので、非マルクス主義であったことだ。

社会的平等、富の再分配、市場経済下における生産手段の公有化を目指した欧州の社会民主主義政党も、最近は様変わりしつつある。(英国)党のトニー・ブレアに
代表される「第三の道」である。
「第三の道」--「効率と公正の新たな同盟」は、重視する価値として「平等」「弱者保護」「自主性としての自由」「責任を伴う権利」「民主主義なくして権威なし」「世界に開かれた多元主義」「哲学的保守主義」を挙げる。これが、旧式の社会民主主義とサッチャー元首相に代表される新自由(保守)主義という二つの道を超克する「第三の道」であると主張するのだ。
ゲアハルト・シュレーダー率いるドイツ社会民主党も、この流れにある。米国民主党の
クリントン前政権の中道主義にも相通ずるものがある。

欧州の社会民主主義政党は、もともと国防・安全保障などの面では、軍隊の保有や
軍事同盟への参加を容認し、保守政党と大差なかった(この点が日本の社会民主主義政党と決定的に違う)。
そして、これからは、従来どおり福祉や環境問題も重視しますが、過保護はやめ、自由競争や市場の価値も認めましょうということだ。

ここで、我が国の社会民主主義政党が、なぜ特殊なのかを説明しよう。
大雑把に言うと、我が国には社会民主主義政党は存在しなかったのだ。日本共産党という共産主義政党と、日本社会党という「共産主義政党もどき」が存在していただけなのだ。日本社会党は、社会主義インターナショナルに加盟していたが、実態は社会民主主義政党ではなかった。
日本社会党は、実に様々な思想潮流の寄合所帯だった。右は、キリスト教リベラル派や民間労組の代表。左は、官公労組の代表や社会主義協会や親中共派。官公労組の中には、動労(現・JR総連)や全逓(現・郵政公社労組)といった、革マル派の影響力が極めて強い労組もあった。
この中で、もっとも影響力が強く、日常の政党活動を担っていたのが社会主義協会である。

日本の共産主義(マルクス・レーニン主義)には二つの流れがあった。講座派と労農派である。
前者は、日本の社会変革は、ブルジョア民主主義革命とその後の社会主義革命との「二段階革命」が必要と主張し、明治維新を封建的土地所有の単なる再編過程とみなした。
後者は、日本は明治維新以降、すでに資本主義社会として発達してきており、したがって直接に社会主義革命に向かうことができるという「一段階革命」路線を主張した。
前者の講座派は日本共産党に連なり、後者の労農派は戦後、社会主義協会として
日本社会党の中核を成した。指導者は大内兵衛氏や向坂逸郎氏である。

日本社会党は、ソ連の消滅とそれに伴う冷戦の終結で、その存在意義を無くし瓦解した。国会議員の大多数は民主党に移行し、残った部分は社会民主党と新社会党に
分裂した。社会主義協会も分裂し、それぞれ社会民主党と新社会党を支えている
(実際の社会主義協会の現状はもっと複雑なのだが、ここでは本旨に関係がないので言及しない)。

以上で、日本社会党が社会民主主義政党ではなかったことがご理解いただけたと思う。右派労組のダラ幹から正真正銘の共産主義者や革マル派のような極左勢力までが同居していたのだ。
だから、明白な証拠が挙がっていても、「拉致事件は権力のでっち上げ」などという、
北朝鮮を擁護する主張が何のためらいもなくできる。中国や韓国に行って反日を煽る。日本の主権を否定し、国土や国民の防衛を否定するような路線を平然ととる。
日本共産党でさえ、共産党が政権をとったら憲法を改正し、軍隊を持つと言っている
(今は戦術的に隠しているかも知れないが・・・)。それと比較しても、日本社会党が、
いかに異常な政党であったかが解るであろう。

ところで、社会民主党(旧・社会党)が絶滅するのは大歓迎である。が、である。日本に欧州や米国のような社会民主主義政党、あるいはリベラル派政党が存在しないのは
極めて不正常である。自民党と民主党がお互いに大分裂し、議員個人の利害・損得ではなく、理念と政策によって再編成されるべきである。
一方は新自由(保守)主義、他方は社会民主主義、あるいはリベラル派という、お互いが、お互いの行き過ぎを牽制し合う政治体制が、日本の民主主義が健全に発展していくためには不可欠である。そうなれば、今回の選挙のような、どうしようもないネジレはある程度解消されるであろう。もちろん、社会民主主義(リベラル派)は「第三の道」で
なければならない。
今回の選挙を機に、政界が再編されることを切に願う。

参考資料1:社会民主主義
参考資料2:社会主義インターナショナル
参考資料3:「第三の道」
参考資料4:エドゥアルト・ベルンシュタイン
参考資料5:コミンテルン
参考資料6:ドイツ(共産)革命
参考資料7:フェビアン社会主義
参考資料8:ベルンシュタイン
参考資料9:イデオロギーの復活
参考資料10日本資本主義論争
参考資料11:日本で「第三の道」は可能か?

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2005/08/23

新党日本のご健闘を祈る

田中康夫長野県知事が「新党日本」の代表に担ぎ出された。クサイ田舎芝居を見せられているような・・・それ以外に適当な言葉が見つからない。それほどまでにバカバカしい、ということだ。担いだ方も担がれた方も、何を考えているのやら・・・
田中知事は石原慎太郎東京都知事と親しい(らしい)。その石原都知事と小林興起
前衆院議員は近しい関係にある。そのあたりの繋がりだろうか?

田中康夫氏は、1981年に「なんとなく、クリスタル」という小説で文壇に華々しくデビューした。まだ一橋大学の学生だった。
私は、このころから田中氏が大嫌いだ。風貌、しゃべり方、しゃべる内容、総てが嫌いだった。とにかく軽いのだ。ペラペラと燃える紙みたいに。
いつだったか、もう20年以上前だと思うが、ビートたけしが田中氏の首を本気で絞めたという話を聞いて、「やったね!たけちゃん」と心の中で喝采したほどだ。さすがは元明大全共闘!
ちなみに私は、ビートたけしがデビューしたときからの大ファンである。同類であることが匂いで解るんだなあ、何となく・・・

田中知事は支持率35%で、全国で唯一の「不支持率が支持率を上回る知事」である。もっとも支持しているのが共産党支持層で、次が社民党支持層である。この両者が
田中知事を支えているようなもんだ。
そんな知事と、元自民党の政治家が肩を組む。悪乗りというか野合というか。まあ、
両者の思惑も解らぬでもないが・・・

(以下、朝日新聞より引用)
朝日新聞社が参院選の情勢調査に合わせ、各都道府県知事の支持率を調査した
結果、田中康夫知事を「支持する」と答えた人は35%で、「支持しない」の40%を下回った。「その他・答えない」は24%。全国の知事の中で、不支持率の方が高かったのは田中知事だけだった。
(中略)
政党別の支持率は、共産支持層が60%と最も高く、ついで社民支持層57%、民主支持層45%の順。公明支持層は28%、自民支持層は26%だった。知事は「ウルトラ無党派」を名乗るが、無党派層の支持は32%で、不支持の39%を下回った。
(後略)

知事「不支持」40% 「支持」を上回る
(2004年7月5日 朝日新聞)

田中知事は、今回の一件で、その共産、社民両党からも見放されつつある。自業自得であるが、本人は「ウルトラ無党派」であるから、そんなことは歯牙にも掛けていないのであろう。

(以下、朝日新聞より引用)
(前略)
県内の政党関係者は、知事の党首就任を批判的に受け止めた。
自民党の石田治一郎幹事長は「支持率35%の知事が党首になったからといって大きな影響はない。改革が争点になっている選挙に便乗して、元祖改革派のイメージを広めたいんだろう」と指摘。
民主党の倉田竜彦事務局長は「元自民党の人たちと田中知事が理念を共有できるのか。『反小泉』という点では競合するので、比例区の票を奪われないような対策が必要かもしれない」と、今回の総選挙への警戒感を示した。
共産党の今井誠委員長は「前回も民主党の『自称応援団』として利用された。国政選挙のたびに振り回される姿勢は支持を得られない」。
社民党の中川博司幹事長は「県政を留守にする地方政治の切り捨てだ。まずは県民への責任を果たしてもらいたい」と注文をつけた。

田中知事が新党党首 両立自信に賛否両論
(2005年8月21日 朝日新聞)

田中知事と「新党日本」のご健闘を祈る。

(追記)
空色さんが、賛成派のblog集という、賛成派を糾合したBlogを立ち上げています。
ぜひ、ご覧になってください。また、賛成派のブロガーの方、積極的なご参加を希望します。


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2005/08/22

中共:崩壊する統治能力

「土地を返せ」「政府にだまされた」。畑と工場が点在する村に怒声が響いた。今月8日朝。広東省仏山市南海区の郊外。区政府出張所を農民数百人が取り囲み、職員は
出て来られない。公安の説得で、農民が「封鎖」を解いたのは4時間後だった。
発端は今年3月。区政府が突然、1992年の契約書を示し、農民7000人に立ち退きを
求めた。契約書には「土地使用権を上級部門の南海区政府に移転する」とあり、当時の村幹部の署名があった。
農民の転居費用、補償条件は書いていない。農民の一人は「そんな契約書は、だれも知らない。今になって役人は『出て行け』『補償はない』と言う。こんな横暴があるか」と吐き捨てるように言った。
土地は12平方㌔・㍍。省都・広州に向かう幹線道路に近く、再開発にもってこいの場所だ。ここに物流センターなどを作る計画で、区政府には数億元の利益が入ると見られている。
農民は5月、開発業者のブルドーザーの搬入阻止を試みたが、区政府は警官4000人で強制排除。着々と収用を進め、転居を余儀なくされた農民も出た。8日の騒動は「敵の本丸」を狙った実力行使だった。
その数日後、農民たちに「8月中に土地収用を再開する」との通知書が届いた。区政府は「警官3000人を動員する」という。
(中略)

「土地開発は実にうまみが多い。地方政府と密接な関係を持つ開発業者が仲介し、
二束三文で農地を収用して再開発し、経済開発区などとして売り出す」。上海の開発区で外資系企業誘致を担当するコンサルタント業者が打ち明けた。
「地方政府の仕事は、地図の上に線を引いて区画を決めて業者に手渡すことくらい。
こんなに楽して、もうかる仕事はない」
仏山の騒ぎの翌日、近くの深圳で商用地の競売が行われた。総面積36平方㌔。深圳で今年最大規模の「売り出し」。落札総額は予想価格を4割も上回る16億5900万元(232億2600万円)だった。
土地収用では、地方政府と業者が利益の8割以上を手にし、農民に渡るのは1割以下とされる。中央政府は土地収用が「腐敗の温床」になっているとして規制を始めたが、地方政府は一度覚えた味を忘れない。
北京の人権問題研究家(35)は「地方政府は農民の財産を違法に奪っている。さらに
多くの暴動が起こる」と警告する。
(後略)

再開発 土地収用で紛争相次ぐ
(2005年8月20日 読売新聞)

以上をお読みになって、どう感じられるだろうか?
地方政府の、業者とグルになった違法かつ強引な農地収用。それに体を張って抵抗する農民。これまでもたびたびメディアで報じられてきたし、私も何度か記事を書いた。

①「中国崩壊への胎動」 ②「中国は間違いなく崩壊する part2」 参照。

しかし、今回は、これまでとは少し状況が違う。
去る7月5日に開かれた中央政府の会議で周永康公安相は、民衆による暴動、騒乱などを指す「集団性事件」について次のように報告した。
「集団性事件(暴動・騒乱事件)」は、1994年の1万件から昨年は7万4000件に激増し、参加者数も同73万人から376万人に膨れ上がるなど、急速に拡大している。しかし、「基本的には経済利益上の問題で、明確な政治目的はなく、大部分は予防と適切な
処理が可能である」と。
にもかかわらず、直後にこういう事件が起きている。しかも仏山市は、先進地域・深圳のすぐ近くなのだ。周公安相の発言とは裏腹に、予防も適切な処理も不可能であることを事実が示している。
映像がTVで放映されたので覚えておいでの方も多いと思うが、6月11日にも河北省で、発電所建設に反対する住民らを地方政府に雇われた武装集団が襲撃し、6人の
死者を出している。
温家宝首相は、昨年10月末、国務院(内閣)の全国会議で「農地を保護し、法に基づいて土地を管理し、農民の利益を保障しなければならない」と強調し、中央政府も社会の不安定化につながるとみて警戒を強めていた。そのさなかでも、こういう事件が後を
絶たないということだ。

私は、前出「中国崩壊への胎動」の中で以下のように書いた。

この「独裁的な共産党政権」というのが大きな勘違いなのだ。「共産党
政権」は共産主義イデオロギーで末端まで統一されている中央集権的独裁体制である。しかし、今の中共には共産主義イデオロギーは既に
ない。鄧小平の指導の下、「継続革命」路線から「改革開放」路線へと
コペルニクス的転換を図った時点で、共産主義から経済成長至上主義に変わったのだ。
したがって、党も社会も「カネ」がすべての基準である。そこには政治的規範も社会的規範もない。今の中共は中央集権的独裁政権ではなく、地方分権的独裁政権なのである。だから党中央がいくら笛を吹いても、地方政府は思惑通りには踊らない。むしろ自分勝手に踊りだすのである。

「失地農民」は既に全国で4千万人以上にのぼり、今後も毎年200万人以上のペースで増えるとみられる。まさに、北京の中共中央政府は、統治能力を喪失しつつあると言っても過言ではない。

私は、同じく「中国崩壊への胎動」の中で次のようにも指摘した。

胡錦濤政権は、発足当初から格差是正、弱者救済、腐敗対策を優先課題に掲げている。いや、その前の江沢民政権時代もそうだった。しかし、事態は一向に改善されていない。「大部分は予防と適切な処理が可能」であれば、今頃は解決しているはずだ。

以下、同じ読売新聞から、中国共産党幹部の凄まじい腐敗ぶりを報じる記事を紹介する。

「副県長ポストは17万元(1元は約14円)」「局長なら約10万元」--。中国沿海部、
福建省周寧県で行われていた「官職売買」の価格だ。社会主義市場経済下で進む
官僚たちの腐敗。不正は官職売買のほか、市街地再開発をめぐる収賄、公金横領、
不正融資、密輸など実に幅広い。
新華社発行の時事雑誌「半月談」によると、周寧県は人口約19万人、財政収入わずか3000万元の山間の貧困県。ここのボスが林竜飛・県共産党委員会書記。官職売買、公金乱用、女遊びの“三冠王”だった。
ある県建設委員は同委員会主任に抜擢された謝礼として2001年11月、林書記に4万元を渡した。主任はその後も5回にわたって計6万元以上を贈り、その結果、翌年の
機構改革でも解任を免れた。
同県では林書記が人事権を独占。ポストを欲しがる幹部の間で賄賂合戦が起き、1996年から2003年までの在任中、幹部1000人以上の異動に絡んで計230万元以上を手にした。汚職摘発が任務のはずの副検察長や監察局副局長も賄賂を贈っていた。林書記は昨年12月、死刑の一審判決を受けている。
官僚の腐敗は全土に広がっている。党機関紙・人民日報(電子版)によると、最高人民検察院は7月、2000年から今年6月までに官僚の汚職事件3万4685件、3万8554人を摘発したと発表した。直接の経済的損失は計約480億元。官僚1人がもたらした損失は100万元を超える計算となる。
さらに近年は、閣僚や省トップが摘発されるなど、腐敗が上層部にまで及び始めた。2003年、河北、貴州両省で元トップが腐敗事件で党を除名されたほか、国土資源相が規律違反で解任された。昨年2月には安徽省の副省長が収賄罪などで死刑になった。
胡錦濤政権は「党内監督条例」を公布し、相互監視システムの構築に乗り出した。
(以下略)

はびこる官僚腐敗
(2005年8月20日 読売新聞)

収賄で死刑になる国で、なぜこうも腐敗がはびこるのか。それはシステムの問題ではない。拠って立つべき規範がないのだ。

①法治社会ではなく人治社会であること。
②共産党主義イデオロギーが崩壊した後、それに代わる政治的、社会的規範を見出せていないこと。
③宗教を否定し弾圧してきた結果、先進資本主義国のような宗教的倫理観が欠如していること。
④「人命は紙よりも軽く、欲望は底なし沼よりも深い」と言われる民族性を克服できないこと。
⑤過去の党による大罪、「大躍進」や「文化大革命」が事実上不問に付されていること。
⑥権力が世襲され、社会的身分や貧富の格差が固定化されつつあること。

以上の結果、コネとカネが社会を支配し、権力志向と欲望が社会を突き動かしている。そして、それをチェックしバランスを取る機能が、司法・行政・立法・メディアのすべてにおいて欠如している。要は、近代国家の体をなしていないのだ。
前時代的・前近代的社会に、むき出しの資本主義を接ぎ木した結果なのである。暗黒の中国社会に出口は見えない。

関連記事1:中国は間違いなく崩壊する
関連記事2:中国は間違いなく崩壊する part2
関連記事3:中国は、いつ崩壊するのか?
関連記事4:中国崩壊の序章
関連記事5:中国崩壊の序章-part2
関連記事6:石油をガブ飲みする中国の末路
関連記事7:中国は間違いなく崩壊する part3
関連記事8:中国に奇跡は起こるのか?
関連記事9:中国崩壊への胎動
関連記事10:中国は崩壊後どうなる?

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2005/08/21

植民地支配を詫びた国は?

毎日、暑い日が続きますね。
街を歩くと、アスファルトの照り返し熱でめまいがしそうです。
夏バテかもしれません。
どうも思考がまとまらないのです。
長文を書く気力も湧いてこない。
したがって、今、心の中にある疑問を一つだけ書いて、本日のエントリーにします。


今まで、相手に対して戦争を詫びた国があったでしょうか?
戦争に負けて賠償金を支払った国はたくさんありますが・・・
また、かつての植民地支配を詫びた国があったでしょうか?
最近、下記の記事を読んで、そういう疑問が湧いてきたのです。


【ジャカルタ=共同】オランダ政府は16日、旧植民地インドネシアを第二次世界大戦で占領した日本の敗戦から2日後の1945年8月17日に独立運動指導者スカルノ(初代
大統領)らが行った独立宣言を、60年ぶりに有効と認めると表明、その後4年間続けた植民地支配について謝罪した。オランダのボット外相が17日のインドネシア建国60周年祝賀式典に出席するためジャカルタを訪問、16日夜の演説で表明した。オランダの閣僚がインドネシア独立記念日の式典に出席するのは初めて。

オランダは日本敗戦直後の空白期間に宣言された独立を認めず、独立戦争が4年間
続いて泥沼化。49年に米国の仲介で主権を移譲した。インドネシア側が「建国」と位置付ける独立宣言を認めたことで戦後60年の歴史の清算が実現する。

ボット外相は「(独立戦争の過程で)オランダの攻撃で多数の人命が失われた。歴史の過ちで、政府を代表し、苦難を与えたことに遺憾の意を表したい」と述べた。

オランダはこれまでハーグでの円卓会議を受け49年12月27日にインドネシア独立を
認めたとの立場だったが、外相は「独立は8月17日だ」と語った。

インドネシアに謝罪 オランダ 60年ぶり『独立』認める
(2005年8月17日 共同通信社)

よく読むと、(侵略が悪と定義された)戦後の再侵略と独立宣言を認めなかったことを
詫びているだけですね。
過去の350年もの長きに渡る植民地支配と数千万人に上るといわれる犠牲者には何ら触れておりません。
なお、この再侵略で、インドネシア側に80万人の死者が出たそうです。


戦後の日本とドイツを対比する際に、よく引用される西ドイツのヴァイツゼッカー大統領の演説はどうでしょう?
演説「荒れ野の四〇年」は、終戦40周年記念の1985年8月5日に国会で行われました。


問題は、過去を克服することではありません。
さようなことができるわけはありません。
後になって過去を変えたり、
起こらなかったことにするわけにはまいりません。
しかし、過去に目を閉ざすものは、
結局のところ現在にも盲目となります。
非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、
またそうした危険に陥りやすいのです。
ユダヤ民族は今も心に刻み、
これからも常に心に刻みつづけるでありましょう。
我々は人間として心からの和解を求めております。
 
<永井清彦訳>
ヴァイツゼッカー大統領演説集(岩波書店)


これも、よく読むと、ユダヤ人に対するホロコーストを詫びているのであって、戦争そのものを詫びているとは思えないのですが・・・
国際法上は、戦争そのものは犯罪ではありません。
近代において、戦争や植民地支配を詫びた国があったら教えてください。
私が寡聞なだけで、ひょっとしたらそういう国があったかもしれないと思うのです。

(追記)
読者の方からご指摘があり、ヘラルド・トリビューン紙の記事を読んだところ、オランダの外相は「謝罪」したわけではなく、単に「後悔の念を表明した」だけであることが分かりました。
欧米人にとって「謝罪」は大変に重い行為ですから、「後悔の念」程度で済ませたのだと思います。

「But he refused to apologize and sidestepped the issue when pressed by reporters.」
「しかし、外相は謝罪を拒否し記者会見でこの問題を避けた」
しかも、
「The embassy said his comments were not to be construed as an apology, which some Indonesian lawmakers have demanded.」
「大使館は、外相のコメントはインドネシアの一部の議員が要求している謝罪と解釈すべきではない」と念を押しています(ムカッ)。

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2005/08/20

やっぱりそうか綿貫先生

私は、綿貫民輔氏が郵政民営化反対の先頭に立つのがイマイチ解せなかった。なぜなら、綿貫氏は衆院議長経験者である。普通、議長経験者は政局の表舞台には立たない。
議長というのは、いわゆる「上がり」のポストだからだ。もちろん、水面下で動くことは
ある。
ところが、今回、綿貫氏は反対派の総帥になり、新党まで立ち上げた。このパッション(passion)が何に由来するのかが解らなかったのだ。
亀井静香氏と違い、小泉首相との人間関係も悪くなかったと言う。綿貫氏が幹事長の
ときの筆頭副幹事長が小泉首相で、一緒に酒を飲んで意気投合することも多々あったらしい。

しかし、日本郵政公社のホームページを読んでいて、その謎が解けた。綿貫氏が実質的創業オーナーであるトナミ運輸が、日本郵政公社と極めて密接な関係にあることが
分かったからだ。
トナミ運輸は、年商1,290億円の東証一部上場企業である。現社長の綿貫勝介氏は
長男だ。そのトナミ運輸は、日本郵政公社の提携民間運送事業者(16社)の一つで、
25都府県で提携関係にあり、一般小包の取扱いでは全国第2位である。

日本郵政公社 民間物流事業者との提携

最近も新たな提携を結んでいる。

発表日:2005年4月27日(水)
タイトル:トナミ運輸(株)、日本郵政公社が「ゆうパック」で提携

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~トナミ運輸の「ふるさと特急便」をゆうパックで取扱い~

日本郵政公社北陸支社(支社長:清水初己)は、お客さまの利便向上のため、トナミ
運輸株式会社と業務提携し、ゆうパックでふるさと特急便の取扱いを開始します。
なお、トナミ運輸株式会社とは平成10年6月12日にチルドゆうパックの取扱いについて業務提携しています。
  
1 取扱開始時期
  平成17年5月1日(日)

2 取扱内容
  トナミ運輸株式会社がお客さまからお預かりした「ふるさと特急便」を郵便局に差し
  出し、郵便局では全国のお届け先に配達します。
  注:「ふるさと特急便」とはトナミ運輸で取り扱っている農協窓口での小荷物の取り
  次ぎ・配達サービスを言います。

3 その他 
  引き受け開始セレモニーをトナミ運輸株式会社において、次のとおり行う予定です。

 (1) 日時
  平成17年5月2日(月) 14:00~14:30
 (2) 場所
  となみ野農業協同組合本店
  富山県砺波市宮沢町3-11

連絡先:郵便事業部経営管理課
(担当:山本、松本)
電話:076-220-3122

日本郵政公社北陸支社 報道発表資料

もちろん、営利企業であるトナミ運輸が、郵政公社と取引するのは自由である。しかし、その会社のオーナーが、国会議員という公的立場を利用して郵政公社の側に立った
運動を、しかも先頭に立って繰り広げるのはいかがなものか。
政・官・業の癒着という構図は、普通はあからさまにはならない。それを、ここまでオープンにされると、言葉がない。
ご本人は、「俺は信念に基づいてやっている。何のやましいところもない」と言うので
あろう。が、民営化され、下請けにも競争の原理が持ち込まれれば、トナミ運輸にとってマイナスはあってもプラスはない。

綿貫氏も、民営化反対派のご多分に洩れず、「郵政民営化=米国のため」論を展開している。以下は、綿貫氏の公式HPからの引用である。

国内問題であるにも関わらず、アメリカからの要望が非常に多い事に驚きます。6月22日付けの夕刊フジでUFJ総合研究所主任研究員である森永卓郎氏はご自身のコラム「サラリーマン塾」で次の様に述べておられます。

「(前略)恐らく米国が最後に期待をかけているのが、郵政民営化なのだろう。民営化で売り出される株式を買い占めて一定の経営権を握れば、郵貯・簡保資金を米国に振り向ける事が出来る。350兆円の郵貯・簡保資金は好都合な事に米国の経常収支赤字の4年分にも相当する。アメリカの海外投資を復活させるのに十分な額だ。結局郵政
民営化で起こる事は、国民の資産を米国による日本買い占め資金に回すだけなのではないか。」
(6月22日(水)夕刊フジ 森永卓郎「サラリーマン塾」より)

私は、「郵政民営化=米国のため」論を読むたびに思うのだが、論理が強引なのだ。
まず、「郵政民営化=米国のため」という結論ありきで論理を組み立てている。
森永卓郎、増田俊男、森田実、そろいも揃って反小泉の左巻きばかりではないか。言っていることが極左の主張とそっくりなのである。以下は左翼過激派・日本党の主張である。

米国と多国籍大企業のための郵政民営化と断固闘おう

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確かに、株式交換型M&A(三角合併)の解禁は、日本企業に大きなリスクをもたらす。同業種トップクラスの日米企業の株式時価総額の差は約10倍にものぼるからだ。
しかし、日本の会社の株価が、その実力より相対的に低いのは日本的特殊事情に
よる。私は、本来であれば、グローバリズム(globalism)よりもリージョナリズム(regionalism)の側に立つ。しかし、歴史の方向がグローバリズムの流れにあるので
あれば、その中で対応していくしかないではないか。

綿貫氏は、私的利害のために郵政民営化反対を声高に主張しているとしか思えない。そして、反対派は、その反米感情故に、結果的に左翼のプロパガンダを増幅しているのだ。
民主党の田中慶秋衆院議員(前)などは、「これでいいのか、米国圧力の郵政民営化」「日本は米国の属国か?」「郵政民営化は亡国への一里塚」などとほざいている。これは、日本党の主張のオウム返しである。
このレベルに自らを貶めてはならない。

参考資料1:WEB TONAMI
参考資料2:綿貫民輔のホームページ

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2005/08/19

談合組織「士志の会」崩壊

平沼赳夫、古賀誠、高村正彦、麻生太郎の四氏でつくる「士志の会」というのをご存知だろうか。ポスト小泉を狙って、古賀氏主導の下、2002年末に結成された。
元々は、野中広務氏の意を受けた古賀氏が、YKK(注-1)や亀井静香氏などをすっ
飛ばして、同じ当選7回(現8回)組の三氏をポスト森の先頭候補として押し立てることによって主導権を握ろうと意図したものが源流である。

「加藤の乱」で加藤紘一氏を潰し、山崎拓氏も女性スキャンダルで貶めた。小泉純一郎氏は自民党の異端児だから問題外。平沼氏も亀井氏と距離を置き始めた。野中-古賀ラインの野望は成就するかに思えた。
しかし、ポスト森において麻生氏を擁立するも、肝腎の橋本派の支持を得られず、苦し紛れに擁立した橋本龍太郎元首相は、小泉氏の前に圧倒的な大差で敗れてしまった。野中-古賀ラインにとってはまったくの計算外だった。しかも、懐刀の鈴木宗男氏が
逮捕され、失脚する。
そこで、古賀氏はポスト小泉に照準を変更した。が、前回の総裁選に高村氏を擁立するも、小泉首相にまったく歯がたたなかった。

今や、ポスト小泉の期待は、安倍晋三幹事長代理や谷垣貞一財務相に耳目が集まりつつある。まさに、古色蒼然とした談合政治が終焉を迎えつつあるのだ。
今回の郵政民営化騒動が、更に拍車を掛けた。毅然と筋を通す者、うまく立ち回る者、「士志の会」は崩壊した。以下は、「士志の会」四氏に関わる最近の記事である。

(前略)
15日夜、麻生太郎総務相や古賀誠元幹事長ら四氏が都内で開いた定例の会合は、
重苦しい雰囲気に包まれた。郵政民営化を主導した麻生氏、棄権した古賀氏と高村
正彦元外相、反対票を投じた平沼赳夫元経産相-と立場が大きく異なったためだが、出席者の一人は「古賀、高村両氏は早くも公認前提の口ぶりだった」と指摘する。

執行部では、解散直後から欠席・棄権者の処遇で意見が分かれた。武部勤幹事長らは、欠席・棄権者までも青票(反対)組に準じて処分すると政局が混乱し、「選挙ができない」と判断。郵政民営化法案に賛成することを条件に全員公認の構えを見せた。
だが、安倍晋三幹事長代理らは「反対した前職は当選一回議員まで非公認で対抗馬を立てられるのに、棄権がお咎めなしでは説明がつかない」と抵抗し、個別に判断すべきだと主張した。

中でも焦点だったのが古賀、高村両氏の扱い。派閥領袖級の両氏の棄権は若手議員や参院の投票行動に影響を与えたとされるためだ。特に古賀氏は、衆院採決前に「旧堀内派10票は私が握っている」などと漏らし、参院の若手議員にも欠席を
促す動きを見せた
との理由で、問題視する声があった。

欠席・棄権者 自民公認 反対組と処遇に差
(2005年8月17日 産経新聞)

この古賀誠という政治家は絶対に許せない。亀井氏とともに「反小泉」「郵政民営化潰し」を主導しながら、最後は棄権に回り、選挙で「自民党公認」をもらいニンマリする。
まさに、権謀術数の世界を地で行く男だが、こんな政治家を、もはやこれからの政界に生かしておくわけにはいかない。さすがに平沼氏も怒り心頭のようだ。

郵政民営化関連法案の衆院採決で反対票を投じ、衆院選では無所属で出馬する平沼赳夫・前経済産業相は18日、日本外国特派員協会での質疑で、「採決の直前、古賀誠代議士と高村正彦代議士がこそこそと本会議場から出ていった。非常にわかりやすい小泉流の政治なら欠席・棄権も罰の対象だ。しかし、(欠席・棄権まで)排除すると過半数の241を取れない(から処分しない)。非常にこそくなやり方だ」と指摘し、首相の対応を批判した。

「欠席・棄権の処罰免除」 平沼氏が批判
(2005年8月18日 読売新聞)

これは、表向き自民党執行部を批判しているようだが、実は古賀、高村両氏に向けた怒りでもある。平沼氏は確かに甘すぎた。政治を、権力闘争を舐め過ぎていた。
しかし、古賀氏や高村氏に比べればずっと信頼できる行動だ。政治家には筋を通すときも必要である。自民党政治の堕落が、無定見な妥協の繰り返しにあったことを考えればなおさらだ。
私は、郵政民営化論者であるから平沼氏を支持しない。しかし、できればその復活を
祈る。
なお、平沼、古賀、高村、麻生の四氏は、郵政民営化法案で共同歩調を取ることも
確認していたのだ。

自民党の平沼赳夫前経済産業相、古賀誠元幹事長、高村正彦元外相、麻生太郎総務相でつくる「士志の会」が23日夜、東京都内で会合を開き(1)郵政民営化関連6法案は修正が必要(2)戦没者慰霊のための新追悼施設は靖国神社の代替にはならない――との認識で一致した。

<自民党>士志の会、「郵政法案は修正が必要」
(2005年6月24日 毎日新聞)

麻生氏は、所管大臣として何もできなかった。小泉-竹中のラインに引きずられただけだ。解散を決めた最後の閣議でも、異議を唱えたものの、最後は小泉首相に押し切られている。敢て罷免された島村宜伸農相とは天地の開きである。
私は四人の中で、この男が最も嫌いである。
野中広務氏が被差別部落出身であることを捉えて、「部落民を総理になんかできるか」と言い放った。この程度の見識しか持てない人間が総理総裁を目指すだなんて、国民を愚弄している。

注-1:YKK
山崎拓氏(Y)・加藤紘一氏(K)・小泉純一郎氏(K)の三氏を中心とした反「経世会=
竹下派」の「グループ新世紀」を指す。

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中国:反日の結節点

(前略)
教育の結果として反日になったのではない。戦争では(中国の)一般大衆が大変な
被害を受けた。大衆はもともと反日・抗日だった。それを毛沢東や周恩来たちが抑え、戦争を(日本の)一握りの軍国主義者の責任にして、中国の大衆を説得した。

(小泉首相が)一握りの人がまつられているところ(靖国神社)に行って、その名誉回復をしたことになると、(中国の)論理が破綻してしまう。民衆感情だから抑え切れない。
(後略)
自民党 野田毅元自治相
日本の歴史 客観視を (2005年8月12日 読売新聞)

同じようなことを、NHKの「戦後60年・じっくり話そう・アジアの中の日本」(2005年
8月15日)という討論番組で、朱建栄東洋学園大学教授(中国人)がまくし立てていた。

中国が、日中国交回復に際して賠償請求をしなかったのは、第一次大戦後のワイマール共和国(ドイツ)が巨額の賠償金を求められ、結果的にナチスの台頭を許したことを
考慮したからだ。
しかし、それでは中国の一般大衆は納得しない。暴動を起こす可能性さえあった。そこで毛沢東や周恩来が、「責任は一部の軍国主義者にある。日本の国民も軍国主義者の犠牲者だった」と言って大衆を納得させた。
日本は、日清戦争後、国家予算の数倍にのぼる賠償金を中国に請求したにもかかわらず・・・
(私の記憶なので不確かな点もあると思う。ただ、主旨は間違っていないと思う)

以上は事実だと思う。しかし、一面に過ぎない。外交には、もっと奥深い背景がある。
1972年の日中国交回復時、中共政府は、日米安保条約を積極的に評価した。日米
安保は、東アジアの安定に欠かせないと。これには、当時の時代背景が大きな影を
落としている。当時の中国はソ連と鋭く対立していた。国境紛争では武力衝突まで起こしていた。
何より、共産主義革命を巡るイデオロギー対立が深刻だった。一国革命主義のソ連に対して、毛沢東指導下の中共は世界革命主義=革命の輸出にこだわっていた。これが、国際共産主義運動に大きな亀裂をもたらしていた(日本共産党も分裂した)。
共産主義思想はインターナショナルである。したがって、世界の一部であっても異端が存在することは許されない。革命の本家・ソ連にとっては、中国は粛清の対象だったのである。
実際に、ハンガリー動乱やプラハの春で、共産党が支配する国家に武力侵攻し、屈服させた実績がソ連にはあった。ソ連の脅威は、中共政府にとっては逃れられない現実の問題であった。
ここから、敵(ソ連)の敵(米日)は味方という、中共政府の大胆な外交政策が生まれたのである。したがって、戦争の賠償にこだわって国交回復が遅れるより、とりあえず
国交回復が先だ。経済的補填は、その後で話し合えばよい、という判断になったのだ。

国交回復以来、いわゆる「日中友好」が続いた。毛沢東・周恩来の後を受けた鄧小平も、尖閣列島問題に関して、「われわれの世代の人間は知恵が足りない。……次の世代はわれわれよりももっと知恵があろう」と言って日中の対立を避けた。
1978年に、いわゆる「A級戦犯」が靖国神社に合祀され、時の首相の参拝が続いても、中共政府は何の文句も言わなかった。ところが、1985年に中曽根首相(当時)が参拝したとたん、俄然として問題になった。

当時、経済成長優先の胡耀邦総書記は、日本の首相の靖国参拝に抑制的な対応を
していた。ところが、「戦後政治の総決算」を掲げ、米国に「日本を不沈空母にする」と
約束した中曽根政治に危機感を募らせた野党の首脳が、直ちに動いた。
野党の首脳は北京に行って、胡耀邦総書記に「なんでもっと怒らないのか」と言った。
それでも胡耀邦総書記は抑制的だった。するとその首脳は旧満州に行き、そこで更に煽った。
その結果、「靖国参拝反対」が中国全土に広がり、胡耀邦総書記は政治生命が危うくなった。「胡耀邦が危ないぞ」というので、中曽根首相は靖国公式参拝をやめた。
それでも、まだ中国の「反日感情」は限定的だった。

ところが、時代は急激に変わる。

1989年に天安門事件が起こる。中共政府はこれを武力によって鎮圧した。人民の党が人民を武力で攻撃したのである。これによって共産党の威信は一気に低下した。欧米諸国の制裁もあって経済も停滞した。
ここで最高実力者・鄧小平は賭けに出る。経済成長=豊かになることによって国民の
不満を吸収しようと。
1991年にはソ連が崩壊した。中国は、後門の虎を恐れる必要がなくなった。となれば、今度は日米安保条約が中国に残された唯一の脅威となる。このような状況下で、ポスト鄧小平として登場したのが江沢民なのだ。
胡耀邦は既に亡く、趙紫陽は天安門事件で完全に失脚していた。

1993年に国家主席に就任した江沢民の課題は明確だった。イデオロギーとしての求心力をなくした共産党の正当性を保つには何をなすべきか、である。それは鄧小平が敷いた市場経済路線を推進し、絶え間ない成長を続けることであった。しかし、それだけでは足りない。経済成長は共産党でなくてもできる。
そこで持ち出してきたのが、抗日戦争を勝利に導き、今日の中国を建国したのは共産党であるというプロパガンダだ。
それ以来、日本軍国主義と旧日本軍の悪業が次々と暴かれ、それに対抗した中共と中国人民解放軍の英雄的行為が大々的に宣伝されるようになったのである。

反日の根は深い。それが中国の不可欠の国策だからである。しかし、私が何度も指摘しているように、それはブーメランのごとく中共政府に跳ね返っていく。
自業自得の行為が、自縄自縛をもたらす。

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2005/08/17

民主党を斬る!

今日は、民主党がどういう政党なのかを知っていただくために、幹部がどういう方々
なのかを紹介する。なお、副代表の小沢一郎氏と代表代行兼副代表の藤井裕久氏は旧自由党の代表と幹事長で、皆さんよく知っていると思われるので省略する。
政治理念や主義主張は、旧自由党時代と大差なし。

代 表 岡田 克也 (影の内閣 総理大臣:元自民党竹下派・新生党・新進党)

以下は、民主党・岡田幹事長「妄言」録 (知っておいてためになる話:平成16年3月号)より引用。

○先ず、中国ありき?

まずA級戦犯に「非常に抵抗感を覚える」とした国会での発言を紹介しよう。

2月10日の衆議院予算委員会で、岡田幹事長はA級戦犯を合祀する靖国神社に総理大臣が参拝するのは問題だと述べた上で、「私は、靖国神社にお参りするときに、やはりそこに戦争について責任を持つ人たちが一緒に祭られているというのは非常に抵抗感を覚えます。総理はいかがですか」と質問した。

それに対して小泉総理が「私は、抵抗感を覚えておりません」と答えたことは大きな
話題となったが、岡田幹事長はさらに、ドイツは戦争犯罪にけじめをつけたが日本は
そうではないという認識を示し、こう質問したのである。

「私は、この問題は、総理が参拝をされるのであれば、やはりA級戦犯合祀の問題、
もう少しきちんとした方がいいと思うんですね。例えば、中国や韓国が言っているのは
まさにそのこと。靖国神社参拝そのものを言っているんじゃなくて、A級戦犯が合祀されているということについて、それぞれの国は問題にしているわけですね。総理は、この靖国参拝の問題について、きちんと説明をするとおっしゃったけれども、中国に対して
どういう説明をされているんですか」

戦後処理の問題でドイツと日本を同列に置くのは明らかな事実誤認だし、総理への
質問はまるで中国の代理人である。もっともこの時は「よその国からああしろこうしろ
言われて、今までの気持ちを変えるつもりは全くない」と総理に一蹴された。

○いまだに「五人を返せ」?

この質問では、岡田幹事長は北朝鮮問題をだしにして国益や外交の在り方を尤もらしく語っているが、そもそも彼が北朝鮮問題の解決について語っても、説得力はない。

例えば、昨年1月19日、岡田幹事長はNHKの討論番組で「五人の方が『いたい』というなら日本にとどめておくことは当然だが、政府が決める必要はなかった。そのことで
北朝鮮が態度を硬化させた。世論に迎合しすぎだ」と語り、前原誠司議員や松原仁
議員など身内の民主党議員はじめ、世間から「五人を返せということか」との猛反発を買った。
これを受けて岡田幹事長は陳謝したものの、そんなのは表面上のことに過ぎないということを佐藤勝巳氏がある座談会で明らかにしている。

(「諸君!」平成15年12月号)

佐藤:民主党の 「マニフェスト」では、拉致問題については通り一遍しか書かれていません。しかも、「被害者家族のすみやかな帰国、事件の全容解明を強く迫る」と書いてあるのに、民主党の岡田幹事長はいまでも五人を北朝鮮に返せと言っています。

横田(引用者註・横田早紀江さん):ほんとうですか。その発言を撤回しませんでしたか?

佐藤:その発言をした後、8月頃ですが、お会いして色々北朝鮮問題に関してお話し
しました。でも、岡田さんは軟着陸論者なんですよ。まずモノやカネを与えればいいと
いう。
「北朝鮮は変化しだしている」というクリントンと同じ考えです。刺激しないほうがいいし、五人は帰すという約束なんだから北朝鮮へ帰したほうがいいという考えです。
クリントン政権が8年間やった軟着陸路線の結果が何かと言えば、北朝鮮国民を強制収容所と餓えで何百万人も殺し、核開発やミサイル開発を許して、日本や東アジア
全体を危険に陥れたことだと説明しました。それでも彼の考えは変わりませんでした。
(引用終わり)

以上の記事に、私のコメントを加える必要はない。ちなみに彼は、熱心な郵政民営化論者である。

副代表 岡崎 トミ子 (参議院議員:出自不明)

以下の記事は、民主党のHPからの引用である。

岡崎副代表、戦時性的強制被害者問題解決促進法案早期成立へ決意
(2004年12月03日)

岡崎トミ子副代表は3日、国会内で行われた「被害者とともに『戦時性的強制被害者
問題解決促進法案』の早期成立を求める集い」に参加した。

同日昼、韓国とフィリピンの元慰安婦代表と細田官房長官との直接面談が実現。岡崎副代表はこの面談にも同席した。この面談は11月4日の参院内閣委員会で、岡崎副代表が官房長官に被害者代表と直接会って話しを聞くように求めたのに対し、官房長官が「直接会う」と答弁し、実現したもの。
面談で細田官房長官は「慰安婦問題は父親の世代の罪だと思う。皆さまの尊厳・名誉を大変大きく傷つけたことを、心から反省し、お詫びする」として謝罪の言葉を明らかに
した。小泉首相に対しても皆さまの気持ちを伝えたいとするとともに、中山文科相の
「従軍慰安婦とか強制連行とかそういう言葉が減ってきてよかった。自虐史観に立った教育だけはしてはいけない」とする発言をめぐっては「全く理解できない。その発言に
よって政府の政策が変更することはない。安心してほしい」と語った。

岡崎副代表は「日本としてきちんと謝罪し、法的賠償を求める小泉総理あての要請書を手渡した」として、面談でのやりとりを語るとともに、戦時性的強制被害者問題解決
促進法案を参議院に1日に提出したことを改めて報告。「来年は戦後60年の年、この
問題の解決にむけ法案をぜひとも成立させていきたい」と、改めて決意を表明した。

集会には神本美恵子参議院議員、石毛えい子衆議院議員も出席した。
(引用終わり)

tomiko
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岡崎トミ子氏は、2002年に、「従軍慰安婦」に対する賠償のための立法活動と称して、
韓国で「元従軍慰安婦」と称する連中とともにデモをした。ハングルで日本反対と書き、
×印を付けた日の丸を掲げて、日本大使館前で拳を振り上げて日本国に対する敵対
感情を剥き出しにした。
民主党は、こういう、韓国で韓国人と一緒になって「反日デモ活動」をする人物を副代表に据えているのである。

幹事長 川端 達夫 (影の内閣 国務大臣:元民社党)

川端達夫公式ウェブサイト を覗いて見てください。何の政治哲学も理念もありません。極めて軽量級。
中身がなさ過ぎて、これ以上コメントできません。

政策調査会長 仙谷 由人 (影の内閣 官房長官:元社会党)

さすがに元東大全共闘の闘士だっただけに弁は立つ。以下、公式HPから彼の対中国・韓国観が解る記事を引用する。

先ほどの「冬のソナタ」現象の論点から見ますと、いよいよアジア・中国・韓国との関係を我々が本格的に覚悟を決めて考える必要がある。結論的に言うと、日韓連携のもとで東アジアの共同市場なり共同社会をつくる。
脱亜入米、脱亜入欧政策から、入亜入米、入亜入欧政策というか、そういう政策にここは覚悟を決めて入っていかなければ、いよいよアジアで孤児になってしまう。

昨日も日本の大学で研究している上海社会科学研究所に籍を置いている中国の方と電話で話をしました。中国の教育も問題なんだと認識されています。特に重慶での今度のサッカー試合、君が代吹奏から始まってものすごいブーイングの中で日本の選手は試合をしている。
なんでこんなに日本人は中国人に嫌われるようになったのかわからないというぐらい、今の時期は反発が強い。これは中国のインターネットの、日本で言えば2チャンネル
みたいなものなのでしょう。そういうところでも、中国的排外主義的ナショナリズムの
対象に日本がなっているようです。

ただ、中国のある種のやり過ぎた反日教育もあり、しかし、韓国も考えてみれば数年前まではやり過ぎた反日教育、抗日教育が行われていたことは間違いないわけですが、日韓ワールドカップ以降、今や韓国の人々に対して、これだけ女性を中心に「ヨン様ブーム」か「冬ソナブーム」か知らないけれども起こってくる。

文化交流が行われると、10年前に想像できないことが今起こっているわけで、漢字文化なのか儒教的な精神構造の背景なのか、いずれにしても中国人も韓国人もそれほど一神教ではございませんから、そういう中でこの種の反日的な雰囲気を払拭して、必ず日中と日韓の共同市場や東アジアの共同体になっていくと思います。
この中国の学者も、「どうもこれは一遍政権交代でもないとそういうふうに切り変わらないかもしれませんね」と言っていました。
アジアとの共生、共存、共栄 (2004年7月29日)

>入亜入米、入亜入欧政策

そんな政策がありうるのか?具体的なイメージさえ湧かない。河野洋平氏のように、「米国に対しても中国に対しても、同じように対応したらいい」ということか?
そんなことが現実にできるのであろうか?国益を損なうことなく。極めて疑問と言うか、非現実的な考え方である。

>「ヨン様ブーム」か「冬ソナブーム」か知らないけれども・・・文化交流が行われると、10年前に想像できないことが今起こっている

「ヨン様ブーム」のどこが文化交流なんだ?「冬ソナ」を見たことがあるのか?うちのカミさんの例で言えば、日本のTVドラマが失くした「古きよき青春のノスタルジア」に過ぎない。
韓国文化に触れているという意識もなければ、文化を理解しているわけでもない。そもそも韓国に、外国に誇れるような文化があるのか?

>漢字文化なのか儒教的な精神構造の背景なのか、いずれにしても中国人も韓国人もそれほど一神教ではございませんから

漢字文化、儒教的な精神構造、多神教、そんなもの中国人や韓国人が持っていると
思うのか?
中国人は無神論。儒教とも無縁。社会的規範も宗教的倫理も欠如している。それが、中国の大きな弱点の一つと指摘されているのを知らないのか?
韓国は既にハングル文化である。宗派でいちばん多いのはキリスト教徒だ。信仰を持っている者の実に68%を占める(国民全体の約30%)。何が漢字文化だ!どこが一神教ではございませんから、だ!

>東アジアの共同市場なり共同社会をつくる

本気でそう思っているとしたら、あなたはアホとしか思えない。
文化も宗教も言語も歴史も、何一つ共通性がない。しかも中国は独裁国家である。そんなことを考えること自体がおかしい。何をか言わんやである。

国会対策委員長 鉢呂 吉雄 (常任幹事:元社会党)

この人物も中身がない。自称政策通だが、公式WEBはちろWEB を覗いても、ありきたりの事が書いてあるだけ。唯一、自身のHPにある以下の文章から外交姿勢が見て取れる。

「アメリカ追随の外交から自主自立の平和外交をめざします。自衛隊は海外派兵せず、PKOなど国際協力は別組織で行います」

最近、ニュースになった発言は下記の記事くらい。

民主党の鉢呂吉雄国会対策委員長は27日午前の記者会見で、森岡正宏厚生政務官が靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯を「罪人ではない」などと述べたことについて「断じて許されない」と批判した。そのうえで「辞職に値する。内閣として速やかな処置をとるべきだ」と森岡氏の更迭を要求した。
民主国対委員長、靖国発言で森岡厚労政務官の辞職要求
(2005年5月27日 日経新聞)

菅 直人 (影の内閣 国土交通大臣:元社民連)

菅直人氏は、代表を辞任したものの、未だに大きな影響力を持つ。盟友は参議院議員会長の江田五月氏。
菅氏も元東工大全共闘だが、彼の本質は以下の記事で一目瞭然である。

2002年5月5日、日本民主党の菅直人幹事長夫妻一行6名が南京大虐殺遭難同胞
記念館を訪れ、遭難者たちに花輪を捧げ、生存者代表に会ってお詫びとお悔やみを
伝えた。

記念館の弔う広場で、南京大虐殺の生存者代表李秀英と倪翠萍両氏が日本軍に刀で刺された傷痕を見せながら当時の大虐殺の実態を生々しく語り伝えた。菅直人幹事長は両氏にお詫びを述べ、中国を侵略した日本軍が中国人民特に南京の人民に与えた深刻重大な災難に深いお悔やみを表明した。

小泉首相の靖国神社参拝について、菅直人幹事長は首相の靖国参拝を反対すると
明確に表明した。

菅直人幹事長はさらに、今度南京大虐殺の歴史をもっと知るために南京大虐殺遭難者同胞記念館をわざわざ訪れたのであり、南京での見聞をより多くの日本国民に伝え、歴史を正しく認識しそれを鑑にして、絶対に歴史の悲劇を二度と繰り返さないと述べた。菅直人幹事長は最後に「歴史を鑑に、未来に向ける」と記帳して見学を終えた。

日本民主党の菅直人幹事長が南京大虐殺遭難同胞記念館を見学
著作権所有:中華人民共和国駐日本国大使館

さすがは、元極左の面目躍如である。これで彼の政治的スタンスが解る。

なお、横路孝弘氏(影の内閣 厚生大臣:元社会党左派)は、社民党とほぼ同じと思ってもらってよい。鳩山由紀夫氏(影の内閣 外務大臣:元自民党竹下派・新党さきがけ)についてはコメントしない(必要がない)。

関連記事1:岡崎トミ子・日本の恥部
関連記事2:菅直人の歴史認識と民主党

参考資料:韓国におけるキリスト教の土着化

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2005/08/16

60%が日中両国は再び戦争

中国の週刊誌「中国新聞周刊」の15日付最新号は、同誌が企画したインターネットによる世論調査で、日中関係の将来について中国人の約60%が「日中両国は資源をめぐり再び戦争になる」と回答した、と伝えた。

ネットの利用者は20代などの若年層が多く、同世代に根強い過激な反日感情を反映しているとみられる。

今月行われた調査には約7万6000人が回答。日本と聞いた際に「危険な軍国主義国家を連想する」と約80%が回答。約95%は「日本の軍国主義が復活する可能性が高い」と述べ、さらに約55%は「日本政府が正式に謝罪しても永遠に信用しない」と断じた。(共同)
60%が「日中は再び戦争」 中国誌のネット調査
(2005年8月15日 産経新聞)

ついに来るところまで来たか、というのが上記記事を読んだ率直な感想である。まったく国家による洗脳というのは怖いものがある。
若年層の60%が対日戦争を予想。80%が日本に軍国主義の影を見る。55%は日本を絶対に許さないと・・・
学校教育による「反日」、メディアを総動員した「反日」、異常なまでの「反日(抗日)」
施設の建設と見学の義務化。中共政府が自らを正当化するための手段として行った「反日教育」が、若者の意識をここまで「高めた」のである。
しかし、これは、中共政府にとってブーメランになる可能性がある。外交の選択肢を著しく狭める。一歩選択を誤ると、取り返しのつかないことになる。

今月の初旬だったか、読売新聞に「胡錦濤は4月の反日デモに強い危機感を持った」という主旨の記事が掲載されていた。そして、二度とデモを起こさせないこと。デモの首謀者を拘束し、デモを煽るサイトは強制的に閉鎖させることを命じたそうである。これは、
反日デモが容易に「反政府デモ」に転化する可能性があることを、胡錦濤が認識して
いることを示している。
読売新聞には、もし今、「天安門事件」が起こったとしたら、胡錦濤政権はそれを武力で制圧できないという消息筋の話も載っていた。
毛沢東や鄧小平のような革命第一世代は、カリスマ性と絶対的独裁者という両面を
併せ持っていた。だから武力制圧しても民衆は、じっと我慢するしかなかった。しかし、胡錦濤は1964年に中国共産党に入党した革命第二世代であり、カリスマ性もなく、
絶対的独裁者でもない。だから、国民を抑えきれないというのである。

おそらく中共政府は今後、難しい舵取りを迫られることになる。反日の旗は降ろせない。だからといって、日本と正面からぶつかる事態を招くことは国益に反する。東シナ海のガス田問題で我が国が原則的対応を貫けば、進退窮まるのは中共政府の方である。
自業自得とはいえ、まさに自縄自縛の状態に自らを追い込んでいるのだ。

ところで、韓国でも面白い世論調査結果が発表されている。「新世代(1980年代生まれ・16歳~25歳)」に「米国と北朝鮮の間で戦争が起こる場合、どちらに肩入れするのか」との問いに65.9%もの者が「北朝鮮に肩入れする」と答えているのだ。「米国に肩入れする」は、わずか28.1%に過ぎない。
参照:新世代の66%「米朝戦争の際、北朝鮮に肩入れ」
(2005年8月15日 朝鮮日報)

まさに、反米・反日の偏狭なナショナリズムが、国家が拠って立つ基盤さえも崩壊させようとしている。今の韓国が米国の庇護の下に成立していること、今の経済発展が日米の援助によって可能になったことなどの、直近の歴史の事実さえ直視できない世代が増殖しているということだ。

今の韓国で、若い世代を中心に見られるのが、自信感を背景にした「わが国最高!」的に韓国及び韓国人を自らたたえる雰囲気である。日本などでの韓流ブームも、相互理解というより「韓国最高!」の愛国ムードで解釈されている。
参照:韓国の8.15 「反日愛国」と「親北」と
(2005年8月15日 産経新聞)

盧武鉉政権の反米・親北的傾向と併せて、韓国は、まさに国を挙げて亡国への道を
歩み始めたと受け止めざるを得ない。完全に反米・反日、親北・親中国家に変貌したと見て差し支えなかろう。愚かと云うしかないが、自らの姿が見えないのであるから仕方がない。
金正日は「南朝鮮革命は既に完了。これからは日本の世論育成に力を尽くせ」との
方針転換指令を朝鮮総連に下したという。
参照:南朝鮮革命は既に完了

中国・北朝鮮・韓国という反米・反日ブロックが東アジアに形成された。我が国は絶対に妥協してはならない。一歩譲ることによって、すべてを失くす。「米国べったり」と言われようと、日米の信頼関係を更に強化しなければならない。

昨日、NHKで興味深い番組があった。「戦後60年・じっくり話そう・アジアの中の日本」という討論番組である。19時30分に始まった第2部のテーマは「どう受け止める韓国の
反日感情」で、参加者は、町村信孝外務大臣、栗山尚一元駐米大使、櫻井よしこ氏、リー・ジョンウォン立教大学教授(韓国人)、朱建栄東洋学園大学教授(中国人)等と、日本人、韓国・中国からの留学生、その他のアジアからの留学生等である。

櫻井よしこ氏の、事実関係やデータに基づいた鋭い指摘・反論に、中・韓側がたじたじだったのが印象深い。町村外相は慎重に言葉を選びながらも、相手の言い分には必ずしも組しなかった。
それに比べて外務省顧問である栗山尚一元駐米大使の発言は情けなかった。「戦前の日本は悪いことをした。しかし戦後の平和な日本を見てほしい」という、「戦前の日本=悪」という図式から抜け出せないのだ。
後、印象に残ったのは、韓国の留学生の発言に対し、ミャンマーの留学生が「植民地にされた側も歩み寄る必要がある」旨の発言をして、韓国側を愕然とさせたことであろうか。
朱建栄教授に代表される「事実関係がどうとか証拠がどうとかより、中国(韓国)が被害者なのは間違いない。まず誠意を見せよ」という旨の、乱暴かつ感情的な発言に、中・韓の主張の本質が透けて見えた。
(この教授の、目と歯をむき出しにしたしゃべり方には苦笑するしかなかった)
以上が、私の感想だが、番組の途中で特筆すべきことがあった。携帯電話によるリアルタイムの緊急アンケートが実施されたのである。

「小泉首相の靖国参拝」に関わる問いかけで、①「国内問題として決める」②「他国に
配慮すべき」の二者択一だった。結果は①が70%以上、②は25%程度に過ぎなかった。
回答総数63,115人。
国家意識の昂揚、主権外交に対する渇望がこのアンケート結果に表れている。選挙の結果がどうであろうと、もはや中・韓に対する土下座外交は国民レベルでも許容されないということを、政治家は肝に銘じるべきである。

(追記)
先の大戦に関わるエントリーで、アクセス数の多いものを紹介させてもらいます。
できれば読んでみてほしい。

南京大虐殺
A級戦犯
通州大虐殺:中国の戦争犯罪
幻の従軍慰安婦

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2005/08/15

なぜ終戦記念日なのか?

私は8月15日になると不機嫌になる。それは、「終戦記念日」という言葉とともに、「繰り返してはならない悲惨な戦争」という論調がメディアに溢れるからである。それも、日本国と日本国民が、その責を負うべきであるかのごとき論調が・・・
8月15日は「終戦記念日」なんかではない。「敗戦・屈辱の日」である。私は、「敗戦」を記念する気になんかなれない。確かに大東亜戦争は、我が国民やアジアの民に塗炭の苦しみをなめさせた。このような悲惨な戦争を繰り返してはならない。しかし悲惨な
戦争は、我が国だけではなく、米英やソ連にも大きな責任がある。

米国は我が国に原爆を落とし、東京大空襲で非戦闘員のジェノサイドを行った。原爆と空襲による非戦闘員の死者は50万人を超える。日ソ中立条約を一方的に反故にした
ソ連は、8月15日の無条件降伏後も我が国を攻撃し続けた。徒歩で避難する着の身
着のままの日本人居留民を追撃し、略奪・レイプした挙句に殺害した。攻撃は、降伏
文書が調印された9月2日まで続いた。
そして、54万人もの日本兵を極寒のシベリアに抑留し、奴隷に従事させた。その
結果、飢餓と窮乏で約6万人が非業の死を遂げた。

確かにあの戦争は、史上稀に見る悲惨な戦争だった。しかし、責任は我が国にだけ
あるのではない。その点を誤解してはならない。
8月15日は、けっして「記念するべき日」ではない。310万人もの犠牲者を出した「屈辱の日」なのだ。
もちろん、我が国自身にも責任はある。

・なぜ、戦線不拡大という天皇陛下のご意思を無視して満州事変を拡大したのか?
・対米開戦に反対する陛下のご意思を、なぜ御前会議で無視したのか?
・欧州戦線に参戦したいルーズベルトの、「裏口から欧州戦線へ参戦する」ための陰謀
 に、なぜ乗せられてしまったのか?
・なぜ国力を無視して、戦線を中国大陸からソロモン諸島に至るまで拡大したのか?
・制空権も制海権もなくし、兵や物資の補給もままならない状況下で、なぜ玉砕戦法を
 強制したのか?
・補給路を断たれて餓死者が大量に発生し、継戦能力を喪失したインパール作戦の
 継続をなぜ強制したのか?
・空も海も米軍に包囲された中で、なぜ沖縄戦を戦ったのか?
・対日参戦の機会を虎視眈々と狙っていたソ連ごときに、なぜ和平工作を依頼したの
 か?

これらは「結果論」と言う方もおられよう。しかし、情報力のなさ、展望のなさ、戦略の
なさ、見通しの甘さ、判断力の甘さ、自己認識の欠如等々、反省を避けては通れない問題が数多くある。
また、これらの過ちを犯した責任者を不問に付したままでは、最前線で命を落とした
英霊たちに申し訳が立たない。満州でソ連軍の戦車に蹂躙された人々、原爆や焼夷弾で焼き殺された人々、沖縄戦でなくなった人々、これらの第一次的責任は敵国にある。しかし、このような状況に我が国と我が国民を追い込んだ指導者たちの政治責任は、我が国民自身の手によって追求されねばならない。

もちろん私は、極東国際軍事裁判を認めていない。この裁判の不当性は、拙記事
A級戦犯」で詳述しているので、ぜひ読んでほしい。
インド代表のパル判事は、極東国際軍事裁判そのものは勝者による敗者への「儀式化された復讐」とし、被告全員を無罪とする「パル判決書」を提出した。また、米国の最高裁判所のダグラス判事(当時)は「司法的な法廷ではなかった。それは政治権力の
道具に過ぎなかった」と述べている。
裁判が行われていた期間中、ソ連は約54万人の日本兵捕虜をシベリアで奴隷に従事させていた。フランスはベトナムを、オランダはインドネシアを、それぞれ再び植民地化しようとして、現地民族独立軍と“再侵略戦争”中だった。これらこそ、極東国際軍事裁判所条例が定める紛れもない「戦争犯罪」である。

私が云うところの「指導者たちの政治責任の追求」とは、極東国際軍事裁判とは立場も考え方もまったく違う。当たり前のことだが、過ちや失敗には必ず責任が伴う。日本が「敗戦」し「屈辱」にまみれる結果をもたらした者たちの責任を問わずに、戦後は終わらない。
「戦犯」としてではなく、時の国家指導者としての責任を問いたいのだ。我が国自身が、自らけじめを付けることによって、我が国は初めて「当たり前の国」になれる。
繰り返しになるが、先の戦争は「終戦」ではなく「敗戦」である。

国家指導者、あるいは戦争指導者としての責任を問いたい人物が何人かいるが、今日は敢て具体名を挙げない。先の戦争を多少なりとも調べたことのある方は、言わずともお分かりであろうと思う。

関連記事:A級戦犯

参考記事:[戦後60年」「『戦争責任』を再点検したい」(8月15日付・読売社説)

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2005/08/14

対中ODAを即刻中止せよ!

以下は、外務省のHPに掲載されている「対中ODA実績概要」である。

対中ODAは、1979年に開始され、これまでに有償資金協力(円借款)を約3兆1331億円、無償資金協力を1457億円、技術協力を1446億円、総額約3兆円以上のODA
実施してきました。

過去のODA事業では、中国に道路や空港、発電所といった大型経済インフラや医療・環境分野のインフラ整備のための大きなプロジェクトを実施し、現在の中国の経済成長が実現する上で大きな役割を果たしています。

例えば、我が国の有償資金協力(円借款)により総延長5200kmもの鉄道が電化され、港湾分野においては1万トン級以上の大型バースが約60ヶ所整備されました。また、
無償資金協力によって設立された日中友好病院では、一日に約3,000人の患者の治療を行うなど、首都北京でも主要な医療機関となっています。

また、インフラ整備のみならず、技術協力についても、独立行政法人国際協力機構(JICA)が行政官の養成支援などの分野を中心に、2003年度までの累計で15,000人を超える研修員を、海外技術者研修協会(AOTS)が産業促進に必要な人材の育成のために累計で22,000人を超える研修員を中国から受け入れたほか、JICAが5,000人の
専門家を中国に派遣しました。

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↑クリックすると大きくなります。

◎ 大型経済インフラ分野 (有償資金協力)

 ● 空港
   ・ 上海浦東国際空港建設事業(400億円)
   ・ 北京市首都空港整備事業(300億円)
   ・ 蘭州中川空港拡張事業(63億円)
   ・ 武漢天河空港建設事業(63億円)
   ・ 西安咸陽空港拡張事業(30.9億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額1,116億円

 ● 鉄道
   ・ 北京-秦皇島間鉄道拡充事業(870億円)
   ・ 貴陽-婁底鉄道建設事業(300億円)
   ・ 重慶モノレール建設事業(271億円)
   ・ 北京市地下鉄建設事業(197億円)
   ・ 大同-秦皇島間鉄道建設事業(184億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額6,418億円  

 ● 道路
   ・ 杭州-衢州高速道路建設事業(300億円)
   ・ 梁平-長寿高速道路建設事業(240億円)
   ・ 河南新郷-鄭州高速道路建設事業(235億円)
   ・ 貴陽-新寨道路建設事業(150億円)
   ・ 黒龍江省黒河-北安道路建設事業(126億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額1,951億円

 ● 港湾
   ・ 秦皇島港拡充事業(674億円)
   ・ 青島港拡充事業(597億円)
   ・ 河北黄力港建設事業(154億円)
   ・ 深セン大鵬湾塩田港第一期建設事業(147億円)
   ・ 大連大窯湾第一期建設事業(67億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額2,726億円

 ● 発電所
   ・天生橋水力発電事業(1,180億円)
   ・ 江西九江火力発電所建設事業(296億円)
   ・ 五強渓水力発電所建設事業(252億円)
   ・ 三河火力発電所建設事業(246億円)
   ・ 北京十三陵揚水発電所建設事業(130億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額4,882億円

 ● 肥料工場
   ・ 渭河化学肥料工場建設事業(269億円)
   ・ 内蒙古化学肥料工場建設事業(214億円)
   ・ 九江化学肥料工場建設事業(214億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額1,063億円

 ● 製鉄工場
   ・ 上海宝山インフラ整備事業(310億円)

 ● 環境保全
   (大気汚染対策)
   ・ 環境モデル都市事業(貴陽・重慶・大連)(307億円)
   (植林)
   ・ 寧夏回族自治区植林植草事業(80億円)
   (下水道)
   ・ 湖南省湘江流域環境汚染対策事業(31億円)
   ・ 北京市下水処理場整備事業(26億円)
   これらのプロジェクト以外にこの分野での協力総額8,578億円

 ● 人材育成事業
   ・ 内陸部・人材育成事業(888億円)

◎ 医療・環境分野のインフラ整備
  ・ 中日友好病院(無償資金協力:164.30億円)
  ・ 日中友好環境保全センター(無償資金協力:104.99億円・技術協力:19.97億円)

対中ODA実績概要(太字は筆者)

以上の対中ODAの実績をご覧になって、どう思われるであろうか?普通の感覚であれば、「中国も中国人も日本に感謝しているだろうなあ」と思うであろう。しかし、ご存知のように、現実の中国民衆は「反日」意識で固まっている。

戦後、我が国は米国から総額18億ドル(現在の価値で約12兆円相当・内13億ドルは
無償)もの援助を受けた。このことは、教育現場や一般社会で周知され、日本の左傾化を防ぐとともに、潜在的な親米感情を培った。
原爆を落とされ、東京大空襲というジェノサイドを受けながら、「米国憎し」という声が
高まらなかったのも、この援助のおかげである。
実に米国は巧妙で、日本人は素直だった。当時の共産党でさえ、米国を「解放軍」と
みなしたほどである。

ところが、中国の民衆は日本のODAを知らない。空港や港湾や高速道路や地下鉄が、日本の援助のおかげであるなんて、これっぽっちも思っていないのである。中共政府が教えないからだ。それどころか中共政府は、「反日教育」を行っている。

中国は、有人人工衛星を飛ばし、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を所有し、中南米やアフリカ諸国に多額の援助を行い、日本の常任理事国入りを妨害している。
軍事費は、表向きは299億ドルだが、米国政府の推計によれば最大で900億ドル(約10兆円)に達すると見られている。
こんな国にODAを供与する必要は100%ない。途上国に援助をし、政治的影響力を強め、反日に動いている国に、どうして援助が必要なのだ。

確かに2003年度の対中ODAは967億円で、ピーク時の2000年度と比べて半減した。2008年か2010年には中止する方針だという。しかし、それでは生ぬるい。中共政府が、今の姿勢を改めない限り即刻ODAを中止するべきである。

参考資料:日本の戦後復興

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2005/08/13

米国のための郵政民営化?

今回の解散・総選挙をどう見ればいいのか。識者に聞く。

<上:政治評論家・森田実氏に聞く>

 ――小泉首相がいう郵政民営化の真の狙いは、何なのでしょうか。

「小泉さんはは自分の信念だと言いますが、その根っこに一番重要な日米関係があることを隠し続けていますね。米国政府が毎年、日本政府に突きつけてくる『年次改革要望書』の存在をご存じですか。
93年の宮沢首相とクリントン大統領の日米首脳会談で決まり、翌年から始まった。米国の国益にとって都合の悪い日本の制度、法律の変更を迫る要望書です。日本のこの10年間のあらゆる構造改革の、いわばバイブル。米国政府の最後の大きな要求がなのです」

 ――米国の圧力?

「小泉さんがやりたいことと米国の利害が一致しているんですよ。クリントン大統領が
米国の財政難を救うために、日本のに目をつけたんですね。
法案が提出されたとき、米国のウオール街は大変だったそうです。『郵政公社の覆いが取れ、巨額マネーが世界のマーケットに流出してくる』と。郵貯・簡易保険の340兆円は国民がつめに火をともすようにためた金です。は日本国民の利益になると小泉さんは言いますが、米国ファンドのごちそうになるだけだと、私は見ています」
(以下略)
郵政民営化は米国の国益に
(2005年8月12日 朝日新聞)

上記の主張は、に反対する人たちが、よく口にする常套句である。「340兆円の郵貯資金がハゲタカ・ファンドの食い物にされる」と。果たしてそうであろうか。
ところで、森田氏の云う「米国政府が毎年、日本政府に突きつけてくる『年次改革要望書』」とは何かを、簡単に説明したい。
「年次改革要望書」は、1993年の宮沢・クリントン両首脳の合意を契機として、翌94年以来毎年10月に定期的に発行されるようになった。要は米国政府による日本政府に
対する「規制緩和・構造改革要望書」である。ただ、これは、単なる要望ではなく、検証作業を伴うから「究極の外圧」とも言える。
しかし、これを内政干渉と云うのは早計に過ぎる。我が国からも米国に対して、「年次
改革要望書」を提出できるのだ。いわゆる相互主義。しかし、米国は「究極の自由経済社会」であるから「要望書」を出す余地がない。

日本国政府への米国政府の年次改革要望書(2004年10月14日)
米国政府は、日本国政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、
日本からの米国に対する改革要望を歓迎する。

1.提言分野 
 
①電気通信 ②情報技術(IT) ③エネルギー  ④医療機器・医薬品 ⑤金融サービス ⑥競争政策 ⑦透明性およびその他の政府慣行 ⑧民営化 ⑨法務制度改革 
⑩商法 ⑪流通

2.主要なテーマ
  ①「競争政策」→独占禁止法の罰則強化。公正取引委員会の機能強化。
  ②「透明性及びその他の政府慣行」→政策決定過程の透明化と国際基準の適用。
  ③「民営化」→・金融事業と非金融事業間の相互補助の防止。
  ④「法務制度改革」→外国人弁護士の対日進出促進。司法による行政機関の
    監視強化。
  ⑤「商法」→内部告発者の保護を通じたより良い企業統治の推進。
    株式交換型M&A(三角合併)の解禁等。

3.提言分野のうち、郵政民営化に関する部分

・郵便保険と郵便貯金事業に、民間企業と同様の法律、規制、納税条件、責任準備金
 条件、基準及び規制監督を適用すること。
・特に郵便保険と郵便貯金事業の政府保有株式の完全売却が完了するまでの間、
 新規の郵便保険と郵便貯金商品に暗黙の政府保証があるかのような認識が国民に
 生じないよう、十分な方策を取る。
・日本郵政公社の金融事業と非金融事業の間の相互補助の可能性を排除する。
・新規の郵便保険と郵便貯金が、その市場支配力を行使して競争を歪曲することが
 無いよう保証するため、独占禁止法の厳格な施行を含む適切な措置を実施する。

以上が、「年次改革要望書」の骨格と、最新の「要望書」に盛り込まれた「郵政民営化」に関する内容である。
(私が抜粋・要約したものなので、詳しくは参考資料1:日米規制改革および競争政策
イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府の年次改革要望書
を読んでほしい)

私は、内容が特に問題だとは思わない。「行政指導」「護送船団」「横並び」。「政・官・業の癒着」「根強い談合体質」。バブルを引き起し、バブルを崩壊させ、失われた10年をもたらした日本の時代遅れの体制。未だに、このアンシャン‐レジーム(Ancien Rgime)の残滓を払拭できない我が国に対する警鐘とも受け取れる。
確かに、米国にここまで言われる筋はないし癪にさわる。が、米国には、日本は外圧を加えないと動かないという認識があるのは間違いない。

史上空前の繁栄を我が国にもたらしたかに見えた「バブル」は、1991年に崩壊した。
未知の状況に直面した日本政府は、まったく無策だった。
従来型の財政支出の拡大による景気対策に固執し、護送船団方式を維持することに
よって、金融機関の不良債権処理を先送りするばかりだった。これが、「失われた10年」を生み出し、日本の財政を今の破綻寸前の状況に追い込んだのだ。欧米諸国からは、「日本ナッシング」と揶揄されるほどの醜態だった。
実は、このときに構造改革に着手すべきだったのである。しかし、それができなかった。米国による「年次改革要望書」はこのような状況の中で生まれたのである。
(この時期に、政権及び自民党を牛耳っていたのが野中広務氏と亀井静香氏である)

「年次改革要望書」は、もちろん米国の国益に基づいている。しかし、米国が主導する
グローバル・スタンダードに準拠した経済体制に変革しなければ、もはや日本経済の
未来はない、という状況だったのも事実なのだ。米国の「年次改革要望書」が、自己
変革ができなかった日本を後押ししたとも言える。
小泉内閣になり、銀行への公的資金の注入と不良債権の強制処理というハードランディング政策が実行された。
政府の役割も、大蔵省(現・財務省)の「指導」から金融庁(大蔵省から独立)による
「監査・監督」に変わった。
このときも守旧派は「反対」の大合唱だった。「多くの銀行が潰れる」「日本経済が破綻する」等々・・・
確かに多くの不良銀行が潰れた。しかし、日本の金融システムは甦った。自己資本比率8%という国際基準は、バブルの後遺症を引きずる銀行にとっては難題だったが、
これもクリアーした。日本企業も、国際会計基準への変更で一時的に資金繰りに窮したが、最終的には問題なく適応した。

確かに、株式交換型M&A(三角合併)の解禁は、日本企業に大きなリスクをもたらす。同業種トップクラスの日米企業の株式時価総額の差は約10倍にものぼるからだ。
しかし、だからといって、企業は政府の保護に頼るべきではない。利益重視、株主重視に体質を転換し、企業の実力よりも株価が相対的に安いという日本企業の特殊事情を改革するべきである。そして、国内企業同士による合併を進め、規模をもっともっと拡大するべきである。
もちろん、政府がM&Aに関わるルールを明確にすることは前提である。が、そのルールが国際基準から乖離することは、経済のグローバル化がここまで進んだ以上許されない。

1960年代に、外資に日本市場を開放したとき、「第二の黒船来訪」「日本市場は外資に席巻される」という危機意識に駆られた論調が盛り上がった。しかし実際は、まったく
違った。
日米繊維摩擦、鉄鋼摩擦、自動車摩擦、プラザ合意後の急激な円高、これまでも米国が押し付けてきた難題を日本企業は必死の努力で克服してきた。90年代後半のアジア金融危機のとき、韓国や東南アジア諸国はハゲタカ・ファンドに翻弄され、壊滅的打撃を受けたが、日本はバブル後の不況期にもかかわらずビクともしなかった。
外資や投機ファンドを恐れる余り、危機意識を過剰に煽ってはならない。

「郵政公社の覆いが取れ、巨額マネーが世界のマーケットに流出してくる」。けっこうなことではないか。「米国ファンドのごちそうになるだけだと、私は見ています」。何を根拠にそれを言うのだ。
バブル崩壊後、破綻した日本の金融機関が外資の餌食になると心配された。が、結果は、大手銀行で米国ファンドの餌食になったのは長銀だけである。破綻した山一証券を買収したメルリリンチは、目論見がはずれ撤退寸前である。中小生保を買収した外資も、その存在感はけっして大きくない。
結局、「米国ファンドのごちそうになるだけ」と言うのは、反対派・反小泉派のプロパガンダなのである。確たる根拠なんかない。

「郵政民営化」は、日本の民間金融機関も長年に渡って要求してきたことである。小泉首相は、既に20年前から「郵政民営化」を自身の最大の政治目標にしている。私も、1992年に宮澤内閣で、小泉氏が郵政大臣に就任したときからの「郵政民営化」支持者である。米国の意向などまったく関係がない。
「郵政民営化」の裏に米国がいる、あるいは、小泉首相が米国の手先であるかのような非難は、為にする議論であると断言せざるを得ない。極めて悪質な政治的意図を感じる。
現に、民主党の田中慶秋衆院議員(前)などは、「これでいいのか、米国圧力の郵政民営化」「日本は米国の属国か?」「郵政民営化は亡国への一里塚」などとほざいている。
なぜ、石原慎太郎都知事が「郵政民営化」に賛成するのか?「郵政民営化」が米国の圧力とは関係がないと解っているからである。
森田実氏に問いたい。「米国ファンドのごちそうになるだけだ」と言うのなら、その根拠を明示せよ!と。

関連記事1:やっぱり争点は郵政民営化
関連記事2:郵政解散→政界再編
関連記事3:郵政民営化と自民党の崩壊
関連記事4:小泉首相の「郵政民営化」を考える-part2
関連記事5:小泉首相の「郵政民営化」を考える

参考資料1:日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書
参考資料2:「米国による日本改造」
参考資料3:外資による日本企業乗っ取り(三角合併)

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2005/08/12

仁義なき戦い

小池百合子環境相(衆院比例近畿ブロック)は9日、9月11日投票の総選挙に、衆院
東京10区から出馬する意向を固めた。小泉首相、武部勤自民党幹事長らと協議した
結果、「小泉改革を成し遂げるために小選挙区から出馬すべきだ」との考えで一致した。近く記者会見して、正式に選挙区替えの意向を明らかにする。
東京10区の前職は郵政民営化法案に反対した小林興起前衆院議員(亀井派)。首相や党執行部には、強硬な反対派の対立候補に小泉内閣の閣僚を擁立することで、
「郵政選挙」の象徴的な選挙区にする狙いがある。
(2005年8月10日 朝日新聞)

竹中平蔵・経済財政担当相のブレーンであった元財務官僚の岸本周平氏(49)が12日、和歌山市内のホテルで会見し、衆院和歌山1区から民主党公認で出馬することを表明した。
岸本氏は民主党から出馬することについて、「既得権益にからみとられている自民党
政権では本当の構造改革はできない」と指摘、その上で「本当の構造改革を実行するために、リスクをとって政治にチャレンジしたい」と述べた。
岸本氏は昨年10月から2年間の任期で内閣府政策参与に就任したが、今月8日付で
辞職。同選挙区は岸本氏のほか自民前職と共産新人の2人が立候補を予定している。
(2005年8月12日 産経新聞)

自民党は11日、「反対票」組の城内実・前議員が出馬予定の静岡7区に、財務省の
片山さつき国際局開発機関課長を擁立する方針を固めた。
また、熊代昭彦・前衆院議員が出馬する岡山2区には萩原誠司・岡山市長を出馬させる方針で、「刺客」選びは着々と進んでいる。
片山氏は、東大卒のキャリア官僚で、女性初の主計官として防衛関係予算を担当していた。
また、小泉首相は同日、首相官邸で、萩原市長と会い、岡山2区への出馬を要請した。萩原氏は「首相の改革への意欲に胸を打たれている。最終的に地元の方々と相談して結論を出したい」と記者団に語り、前向きな姿勢を見せた。
自民党は、山梨3区では、保坂武・前議員に対し、かつて同区で当選した横内正明・
元議員を擁立する方向で調整している。鹿児島5区の森山裕・前議員には、2003年の衆院選で無所属で出馬した米正剛氏をぶつける案が出ている。
ほかにも、候補者として知名度の高い比例選出の参院議員の擁立が取りざたされて
いる。
(2005年8月11日 読売新聞)

郵政民営化法案に反対した東京10区の小林興起前衆院議員について、東京都の
石原慎太郎知事は12日、「発想力のある人で、日本の政治の中で失いたくない」などと述べ、自民党が擁立する小池環境相らとの選挙戦で、同氏を支援する考えを示した。
もともと、石原知事はには賛成の立場。取りざたされる反対派による「新党構想」にも否定的だが、小林氏の応援については「それはそれ、これはこれ。彼は友人だから」などと語った。
一方、前日には、反対派に対立候補を立てる小泉首相の強硬姿勢について、「ある意味、当然だ。自民党の習慣になかっただけで、物事を徹底してやろうと思ったらああいうことになる」などと発言している。
(2005年8月12日 朝日新聞)

自民党富山県連の長勢甚遠会長は12日、武部勤幹事長と党本部で会い、郵政民営化関連法案に反対した綿貫民輔元衆院議長が出馬する衆院選富山3区について、綿貫氏と萩山教厳、橘康太郎両前衆院議員の3氏から公認申請が出ており、「県連として
候補者を決める段階に来ていない。引き続き検討する」と報告した。
武部氏は「党の方針は変えることはできない」として綿貫氏は公認しない考えを示し、萩山、橘両氏に対象を絞り最終調整するよう求めた。党内では萩山氏が有力視されている。
(2005年8月12日 共同)

小池百合子環境相が兵庫6区から東京10区にくら替え出馬するのに伴い、後継候補として自民党兵庫県連が公認申請した同県伊丹市議の木挽司氏(46)が12日、同市役所で記者会見し、正式に立候補を表明した。
木挽氏は小池氏の後援会青年部副会長。小池氏が10日夜、地元支持者にくら替えを説明した後、後継に指名されたという。「東京に出て行くと聞いた時はがくぜんとしたが、改革の一員として戦えることを喜びと思う。厳しい選挙だが挑戦したい」と述べた。
(2005年8月12日 共同)

自民党の武部勤幹事長は11日午前の記者会見で、郵政民営化関連法案の衆院採決で反対して非公認となる前衆院議員を地方組織が支援する動きが出ていることに関連し「国政選挙は(党本部が)公認、推薦を決める。それ以外にルール上、公認とか推薦はあり得ない」と述べ、都道府県連が反対議員の公認、推薦を党本部に申請しても
受け付けない考えを強調した。
(2005年8月12日 共同)

郵政民営化関連法案の衆院本会議採決で反対票を投じた自民党の「造反組」を衆院選で支援するとした地元組織は11日も増え、同日夜までに13府県連が20人を支援する方向となった。共同通信の調査で分かった。
造反組計37人、地元26都道府県連のうち、9府県連は未定で、さらに調整を続けている。
11日に新たに造反組の支援を固めたのは長野、大阪、滋賀、鹿児島の4府県連。いずれも反対した前議員を党本部に公認申請する。ただ、党本部は受け付けない方針を
示しており、具体的な選挙戦の戦い方は今後詰めることになりそうだ。
党方針に従って造反組を支援しないのは、青森が加わり、北海道、東京、愛知とともに計4つになった。東京都連は11日、反対派の小林興起前衆院議員(東京10区)に対抗して党執行部が擁立する小池百合子環境相の支援方針を決めた。
(2005年8月12日 共同)

自民党の能勢和子前衆院議員(亀井派)は11日夜、読売新聞の取材に対し、衆院選への出馬を断念する意向を明らかにした。
当選2回の能勢氏は従来、比例中国ブロックに立候補していたが、郵政民営化関連法案採決で反対したため、今回は党から公認されないことが決まっている。反対票組の出馬断念は能勢氏が初めて。能勢氏は12日に出馬断念を正式表明する。
(2005年8月12日 読売新聞)

自民党の亀井静香元政調会長は12日午前、郵政民営化関連法案に反対した「造反組」の新党結成について「(選挙用の)ポスターやビラの関係もあるので、いつまでも
ペンディングというわけにはいかない」と述べ、近く最終結論を出したい意向を示した。都内で記者団の質問に答えた。
造反組は新党をいったん断念したが、亀井氏は「無所属では選挙運動で手足を縛られる。選挙民の理解を得るには新党の方がいいか、仲間と真剣に協議している」と強調。同時に「自民党の人に選挙運動をやってもらってきて、公認されないから新党というのは本当に理解されるのか。地域によっても違いがあるので、どうするか検討の最中だ」と述べた。
(2005年8月12日 共同)

自民党の橋本龍太郎元首相(68)は11日、都内のホテルで後援会幹部らと会い、次期衆院選に岡山4区から立候補しない意向を正式に伝えた。出馬要請に「体調が芳しくないこともあり4区からはしない」と言明した。
後援会は代わりに久美子夫人(63)の出馬を強く要請。橋本氏はこれを拒否せず、岡山県連の調整に任せる考えを表明、同席した夫人も「よく考えたい」と前向きな姿勢を示した。橋本事務所が11日夕、記者団に明らかにした。
(2005年8月12日 共同)

自民党執行部は12日、橋本竜太郎元首相(68)の衆院比例選への単独での立候補を認めない方針を固めた。同党幹部が同日午前、「橋本氏の比例単独立候補を認めないのは、党の方針だ」と明らかにした。
(2005年8月12日 読売新聞)

まさに、政治は「権力闘争」であり、選挙は「戦争」であるということだ。そこには「仁義」などない。勝つか負けるか。勝てば100%、負ければゼロ。痛み分けがない分、戦争よりもきついかもしれない。
ただ、私たち有権者には「理」もあれば「仁義」もある。今の我が国にとって何が重要なのか?何が必要なのかを見極めて選択する必要がある。

それにしても、小泉首相の演出は鮮やかである。
「小泉劇場」を乗り越えるだけの舞台を、造反派や民主党は用意できるのか?
結果は、私にも分からない。が、一時的に民主党が政権を取るようなことがあっても、
必ず分裂する。基本政策においてコンセンサスが取れていない政党、「反自民」だけで野合している政党、こんな政党は細川政権の二の舞になるのは間違いない。
一方において、憲法観、外交、安全保障に顕著なように、自民党も右から左まで混在している。今回の選挙を引き鉄にしてガラガラポン、大胆な政界再編が起こるような気がしてならない。
小泉首相に勝利してほしいのが基本であるが、たとえ敗北しても、今回の選挙が、
日本が「普通の国」「当たり前の国」になる端緒になるという予感がする。

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2005/08/11

甘すぎた亀井と平沼

政治とは権力闘争であり、選挙は戦争である。見通しを誤れば、たちまち不利な状況に追い込まれるし、認識が甘ければ敗北する。
その意味で、郵政民営化反対の政治家たちは、政治を甘く見すぎた。特に亀井派に
おいてそれが顕著である。

派閥会長の亀井静香氏は、「解散にはならない」との見通しの下に反対活動を強力に展開した。これに対し、

「甘く見すぎた。今ごろ『何とか公認をくれ』と言っても、うまくいくものか」
(8月10日 読売新聞)

と、身内(亀井派)の西川公也内閣府副大臣から公然と批判される始末だ。

大幹部の平沼赳夫氏も同様である。平沼氏は、郵政民営化法案が5票差で衆議院を
通過した5日後、石原慎太郎都知事を都庁に訪ねている。

新党を結成し、トップに、国民の人気が高い石原を据え、小泉首相に
対抗しようとしたのだ。
しかし、石原は「俺は郵政民営化に賛成だ。新党には大義がないよ」と最後まで首を縦に振らなかった。
それでも、平沼は「参院での法案否決-解散」に向けて突き進んだ。
(中略)
<造反組がまとまれば、衆院選後にキャスチングボートを握れる。小泉退陣なら、自民党に戻り、総裁選に挑戦できる>
こうした展開を思い描く平沼は「法案否決で解散なら造反組に追い風が吹く」と断言したこともあった。
(8月11日 読売新聞)

亀井氏にしろ平沼氏にしろ、何という見通しの甘さであろう。「加藤の乱」のとき、YKKの同志である加藤氏や山崎氏と袂を分かち、敢然と両氏の前に立ちはだかった小泉純一郎の冷徹・非情な姿を想起すべきだったのだ。
このとき、青木参院幹事長(当時)は、「小泉はまったくブレない。大したものだ」と高く
評価している。

亀井派は混乱の極みにある。
大阪10区から立候補予定の元職・松浪健太氏(亀井派)は、「党公認でないと戦えない」という危機感から「賛成」を表明する予定。
比例近畿ブロックからの単独立候補か兵庫6区からの立候補か、党本部の裁定待ちの元職・阪上善秀氏(亀井派)は、自身の選挙区に関する記者会見の席上、「私は郵政民営化には賛成の立場だ」と明言。
前職で法案に棄権した自民党大阪府連会長の柳本卓治氏(亀井派)は、「今後も改革に賛同する」との趣旨の弁明書を党本部に提出。
前職で法案に反対した青山丘氏(亀井派)は、「郵政民営化には賛成する」という弁明書を提出するも、武部幹事長から「こちらは対立候補を立てますよ」と一喝されるあり様。
前職・萩山教厳氏(比例北陸信越ブロック・亀井派)に至っては、綿貫民輔元衆院議長の対抗馬(刺客)として富山3区から立候補する予定である。
亀井派内の賛成組は、「亀井会長を中心にしては選挙戦は戦えない」と伊吹文明元労相を中心に独自に選挙戦を戦うことを表明。賛成票を投じた水野賢一氏は同派を退会してしまった。
亀井派は、従来通り独自の選挙本部を立ち上げるものの、賛成組(白票)と反対組(青票)で、別々に選挙本部を設置する予定。同派議員は「白組と青組では一緒にやろうという雰囲気はない」と語る。

小池百合子環境相(比例近畿ブロック)が刺客として送り込まれる東京10区の前職・
小林興起氏については、保坂三蔵・都連会長代行が緊急国会議員会議で、「非情と言われるかもしれないが、地元の党組織は応援はしないよう、お願いしたい」と出席者に要請。応援すれば、都連として処分する方針も確認。
小林氏と同じ亀井派の島村宜伸前農相は会議終了後、「非公認は仕方がないと思うが、正直言って対立候補を立てることまでするとは思わなかった」と語ったが、都連の
決定には従う姿勢。

小泉首相は、10日夕、記者団に対し、「(民営化)反対だけの候補者になったら、有権者も困る。賛成の自民、公明どちらかの候補者を出さないと選択できない」と対立候補の必要性を指摘。「(反対派の選挙区に対立候補を擁立する方針は)実現できそうだ。改革したいという候補者がたくさん出ている」と語った。武部幹事長も「公明党が出て
いないところは全選挙区に立候補させる」と強調した。

政治は権力闘争であり、冷徹・非情な者が勝利する。もちろん政治家にはロマンが
必要だ。が、政治そのものはロマンではなく現実である。
見通しを誤った者、認識の甘い者は敗北する。亀井派の現状が、それを如実に指し
示している。
外交も同様である。外交は駆け引きであり騙し合いである。ロマンではなく現実である。冷徹・非情な者が勝利する。
平沼氏のような甘ちゃんでは、政治も外交も担えないことがはっきりした。彼の総理・
総裁の目は消えた。判断に切れというものがない。
ただ、このまま潰してしまうには惜しい人材である。麻生太郎よりは、まともである。
麻生は×!
「水に落ちた犬を棒で叩く」のが政治の現実である。平沼氏が水面下に沈まないことを祈る。そして亀井氏は、二度と浮かび上がってこないことを強く願う。
支持率は急上昇中である。がんばれ小泉純一郎!

日本国・構造改革 抵抗派一覧

【北海道ブロック】
・山下貴史(北海道10区・亀)
 
【東北ブロック】
・野呂田芳成(秋田2区・橋)
・津島恭一  (東北比例・橋)
 
【北関東ブロック】
・小泉龍司(埼玉11区・橋)
 
【南関東ブロック】
・堀内光雄(山梨2区・堀)
・保坂武  (山梨3区・橋)
 
【東京ブロック】
・小林興起(東京10区・亀)
・八代英太(東京比例・橋)
 
【北陸信越ブロック】
・綿貫民輔(富山3区・橋)
・村井仁  (長野2区・橋)
・松宮勲  (福井1区・亀)
 
【東海ブロック】
・野田聖子(岐阜1区・無)
・古屋圭司(岐阜5区・亀)
・青山丘  (愛知7区・亀)
・藤井孝男(岐阜4区・橋)
・城内実  (静岡7区・森)

【近畿ブロック】
・小西理  (滋賀2区・橋)
・田中英夫(京都4区・堀)
・左藤章  (大阪2区・堀)
・森岡正宏(奈良1区・橋)
・滝  実  (奈良2区・橋)
 
【中国ブロック】
・川上義博(鳥取2区・亀)
・亀井久興(中国比例・河)
・熊代昭彦(岡山2区・無)
・平沼赳夫(岡山3区・亀)
・亀井静香(広島6区・亀)
・能勢和子(中国比例・亀)

【四国ブロック】
・山口俊一(徳島2区・無派閥) 

【九州ブロック】
・自見庄三郎(福岡10区・山)
・武田良太  (福岡11区・亀) 
・今村雅弘  (佐賀2区・橋)
・保利耕輔  (佐賀3区・橋)
・衛藤晟一  (大分1区・亀)
・江藤拓    (宮崎2区・亀)
・古川禎久  (宮崎3区・橋)
・松下忠洋  (九州比例・橋)
・森山裕    (鹿児5区・橋)  

参考記事1:亀井派の呪縛 「郵政反対」イメージ払拭に躍起
(2005年8月11日 産経新聞)
参考記事2:自民執行部、反対派全員に対立候補 対亀井・綿貫氏優先
(2005年8月11日 朝日新聞)
参考記事3:小林興・八代氏支援せず 郵政「反対」で自民都連決定
(2005年8月11日 朝日新聞)
参考記事4:自民党青票議員選挙区への執行部対立候補擁立のまとめ

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2005/08/10

亀井静香の闇

過去、「巨悪」と呼ばれた政治家が何人かいる。数々の疑惑にまみれながらも逮捕されず、権力者としての地位を維持した者たちだ。田中角栄氏は無防備すぎて逮捕されたから、「巨悪」でありながら、そのイメージからは遠い(人間的には好きである)。
今の政治家で「巨悪」というイメージに近いのは誰か?それは亀井静香氏である。

kamei2亀井静香
1960年:東京大学経済学部卒業
1962年:警察庁入庁
警察庁入庁後は、一貫して公安畑を歩む。連合赤軍あさま山荘
事件の統括責任者
1979年:衆議院議員に初当選


亀井氏の力の源泉は何か?それは、第一に公安情報に精通していたことである。他の政治家の数々のスキャンダルを握っていた。今は、どうなのか分からないが・・・
次が「カネ」である。亀井氏は、ずいぶんと危ない橋を渡っている。もっとも有名なのが
5年前に発覚した「石橋産業事件」である。

「石橋産業事件」とは、平成8年に、闇の怪人・許永中が中堅燃料商社・石橋産業から180億円を騙し取ったというものである。この事件に絡んで逮捕された政治家は中尾栄一元建設相だけだった。しかし当時、永田町では以下のような会話が挨拶代わりに
交わされていた。
「逮捕者は、もういないようだな。どうやらヤツは逃げ切ったらしいな」「中尾栄一でおしまいか。まあ、いまの特捜じゃあ、これが精一杯だろう」
ここで、“逃げ切った”とされるのが、自民党の実力者・亀井静香政調会長(当時)なのである。なぜ、ここで亀井氏の名前が取りざたされたのか?それは亀井氏が、許永中を自らの「盟友」と公言してはばからなかったからである。
当然、中尾栄一元建設相以外に、亀井氏にも裏資金が提供されたのではないか?
それも、もっと多額の金額が?という“疑惑”が噴出したのである。
この件については、民主党の前原誠司氏が国会で追及している。

許永中、ご存知の方も多いと思うが、簡単に人物像を紹介しておこう。
彼は名前からも分かるように在日朝鮮人である。若いときは朝鮮総連の活動家で、
頭も切れ弁も立ったそうである。彼は、その後、山口組の企業舎弟になる。
許永中が有名になったのは、何といってもイトマン事件である。彼は、老舗商社・イトマンをしゃぶり尽くし、企業消滅に追い込んだ(彼はイトマン事件でも逮捕された。一審判決は懲役7年6ヶ月・罰金5億円)。
許永中は、誕生日に高級ワインを千本も贈るほど金正日と親密で、他方において韓国の政界要人にも太いパイプがあった。
亀井氏はこのような闇の大物と「盟友関係」にあったのだ。

亀井氏は、大仕手集団のリーダーとして有名だったコスモポリタンの池田保次代表とも親密だったと言われている。池田氏は、元山口組系暴力団の組長で地上げ屋に転身した後、仕手筋として成功を収めた。
しかし、その後、仕手戦に大失敗して100億円もの借金を抱え、スポンサーの暴力団に追われて失踪。いまだ生死不明の人物である。
亀井氏と、このコスモポリタンとの“疑惑”は1989年10月6日付の読売新聞が報道している。しかし亀井氏は、この疑惑を否定。“疑惑”はうやむやになったままである。

以上を読まれてどう思われるであろうか?亀井氏が何とも胡散臭い人物であることが
分かる。
このような裏世界の大物たちとの親密ぶりを疑われること自体、今の時代の政治リーダーとしての資質に欠ける。こういう政治家が総理総裁を目指すこと事態が不見識である。
このような人物に日本の政治を託すことは絶対に許されない。

亀井派は真っ二つに分裂し、脱退者も相次いでいる。会長代行の伊吹文明元労相を
担いで「伊吹グループ」を結成する動きもある。
まさに自業自得である。

参考資料1:兜町事件簿(7巻)
参考資料2:石橋産業事件
参考資料3:イトマン事件
参考資料4:第8回 亀井静香の虚像と実像
参考資料5:「Kファイル」が、 連立与党を崩壊させる!?
参考資料6:質問本文情報

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2005/08/09

やっぱり争点は郵政民営化

「郵政民営化は、それほど重要な政治課題ではない。もっと大事な政治課題がある」という声を聞く。果たしてそうであろうか。郵政民営化は、国営企業を株式会社に変えるというような単純な問題ではない。私は、我が国の将来を左右する極めて重要な問題であると考える。
外交、安全保障、拉致問題、憲法問題、年金等々、確かに他にも重要な政治課題はある。しかし、日本が沈没すれば、それどころではない。郵政民営化は、我が国の浮沈がかかった問題なのだ。
したがって私は、郵政民営化の重要性を他の政治課題と比較するのは適当ではないと考える。郵政民営化問題を軽視する人は、私に言わせれば、極めて「鈍感」な、政治的センスに欠ける人である。

日本の長期債務残高は、約774兆円もの巨額にのぼる(地方を含む。2005年度末見込み)。これは、国民一人当たり600万円超の借金を背負っていることになる。4人家族なら2千5百万円近い借金だ。
我が国の2004年度の国内総生産(GDP)は505兆円であるから、対GDP比率は150%を超える。これは先進国の中で最悪の水準であり、個人で云えば、とっくに破産宣告を
受けている状態である。
この史上空前の財政赤字問題を放置して憲法改正や安全保障を論じても、すべてが
空論になる。年金問題も介護等の福祉問題も、論議する前提が成り立たないのだ。

この財政赤字を削減するもっとも有効な手段が郵政民営化である。340兆円にのぼる
郵便貯金・簡易保険の巨額マネーが、国や特殊法人の非効率な事業に費やされている。
第二の予算と云われた財政投融資制度は、2001年に改革され、郵貯・簡保の国への全額預託義務はなくなった。しかし、「国の保証」を付けて集められた郵貯・簡保資金は、国債等の安全資産での運用が義務付けられている。
郵貯・簡保資金が、特殊法人が発行する財投機関債(注-1)や特殊法人のために国が発行する財投債=国債(注-2)の受け手になり、公社、公団、政府系金融機関が生き延びるための兵糧になっているのだ。郵貯・簡保による国債保有残高は170兆円(2005年6月末)にのぼる。
改革前は、国会の承認が不要だったため、その使途をめぐり族議員が跋扈した。しかし、改革後も実質は、ほとんど変わっていないのである。

郵政事業を民営化して資金の「入り口」を絞れば、道路公団や政府系金融機関などの資金の「出口」を改革せざるを得ない。
民営化すれば、将来の株式売却益を財政赤字に充当することもできる。国債にとどまっている巨額の資金が民間に流れることにより、経済の活性化も大いに期待できる。なにより、国家公務員全体の約3割をも占める40万人の郵政公務員が民間企業の社員に
なる。
族議員が跋扈する余地もなくなる。利益誘導型政治も、基盤が崩壊する。守旧派の
存在価値もなくなる。

政・官・業の癒着が日本の癌、失われた10年の元凶と云われて久しい。しかし、道路
公団は、未だに「官製談合」の主役だった。このことを真剣かつ深刻に反省するべきである。このままだと、本当に日本は潰れる。

郵政民営化なくして、消費税や所得税を引き上げても根本的な改革にはならない。
我が国を真に立て直すには、が避けて通れないのだ。「郵政民営化を否定することは、手足を縛って泳げということだ」という小泉首相の主張は100%正しい。
やはり、選挙の最大の争点は、郵政民営化でなければならない。

(注-1)財投機関債
特殊法人が自らの信用力で発行する、政府保証のない債券
(注-2)財投債
特殊法人に融資するために、財政融資資金特別会計が国の信用で発行する国債

関連記事1:郵政解散→政界再編
関連記事2:郵政民営化と自民党の崩壊
関連記事3:小泉首相の「郵政民営化」を考える-part2
関連記事4:小泉首相の「郵政民営化」を考える

参考資料1:年次経済財政報告
参考資料2:GDP・景気・経済
参考資料3:だから、いま民営化
参考資料4:財政投融資制度

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2005/08/08

郵政解散→政界再編

郵政民営化法案が参議院で否決された。賛成108、反対125、予想以上の大差で
ある。
これまでの過程を見ると、まさに泥仕合だった。法案の中身なんてそっちのけ。まさに「小泉憎し」の大合唱だった。
なぜ「小泉憎し」なのか?
小泉首相の官邸主導型政治=党軽視に対する反感。派閥の意向無視=閣僚の一本釣り。派閥の地盤低下と派閥領袖の凋落。しかし、これらは、小泉首相が総裁選に
立候補したときから公言してきたことだ。「自民党を変える。変わらなければぶっ壊す」と・・・

反対派は云う。「過疎地から郵便局がなくなる」「350兆円の国民の財産が内外の金融機関の食い物にされる」「やり方が乱暴で強権的だ」等々・・・
しかし、何をか言わんやである。過去2回の参院選、前回の衆院選、自民党は「郵政民営化」を公約に掲げて戦ってきたではないか!それを(一部とはいえ)自らが否定する。
「小泉は単なる選挙の顔だ。あいつの政策なんてクソ食らえだ」という政治家というより「政治屋」が自民党にはたくさんいるということだ。
小泉首相が、「反対は倒閣運動である」「否決は小泉内閣に対する不信任である」というのはもっともなことである。

参議院の否決を受けて衆議院を解散するのは筋違いというのも、いただけない。郵政民営化は、小泉改革の「本丸」であり、首相は政治生命を掛けていた。それが選挙公約を踏みにじる形で否定された。しかも衆議院と参議院で賛否が分かれた。十分に民意を問う理由になる。
反対派の本音は、道路公団の民営化に続き、郵政公社まで民営化されれば、自らの利権の温床、自らの選挙基盤が突き崩されるという恐怖感だったと思う。
「民営化法案を否決しても解散なんかできっこない。なぜなら自民党が潰れるから」と、反対派は高をくくっていた。しかし、「自民党を変える。変わらなければぶっ壊す」というのが、小泉首相の原点だったことを忘れていた(軽視していた)。小泉首相が反対派とはまったく異なった感性の持ち主であることを最後まで理解できなかったのだ。
結果は、守旧派がもっとも恐れる、衆院解散→自民党敗北→下野→自民党崩壊という最悪のシナリオが現実味を帯びてきた。しかし、小泉首相にとって、今の自民党が潰れるのはむしろ好ましいことなのである。
私は小泉首相を断固支持する。

なお、郵政民営化に反対した議員を、信念を貫いたとして評価する向きがあるが、それはまったく違う。党の選挙公約に反対するということは、有権者を愚弄しているということだ。

総選挙が具体的日程に上った。我々は何を基準に投票するべきか?郵政労組や日教組の支援を受ける民主党は論外である。しかし、自民党の守旧派、親中派に一票を
投じるわけにもいかない。
やはり、政党政治の常道に反するかもしれないが、候補者個人を見て選ぶしかないのではないか。

基準は、
①改憲か護憲か
②小さな政府か大きな政府か
③機会の平等か結果の平等か
④首相の靖国参拝・是か非か
⑤主権外交か土下座外交か
であると思う。

日本の現状を打破できる、信念を持った政治家を選び、政治の流動化→政界再編に
繋げようではないか!

関連記事1:郵政民営化と自民党の崩壊
関連記事2:小泉首相の「郵政民営化」を考える-part2
関連記事3:小泉首相の「郵政民営化」を考える

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2005/08/07

「つくる会」の教科書は1%

「つくる会」の教科書の採択率は、どうやら「1%行くか、行かないかだろう」(東京新聞)というところに収まりそうですね。
断念ながら、これが現実です。
理由は、様々あると思います。「右翼偏向」という思い込みも国民にはあるでしょう。が、私は「右」の組織力のなさも大きいと思います。

日本の政治の表舞台から「左翼」は姿を消しました(そう見える)。でも、実際は違うんです。革共同両派、特に革マル派は深く静かに社会に浸透しています。
JR総連、日本郵政公社労組、日教組 、各自治体労組に革マル派は、しっかりと根付いています。また、かつての社会党の屋台骨を支えた社会主義協会も依然として影響力を保っています。

左翼には、大衆を煽る政治課題が常に必要なんです。ベトナム反戦、70年安保、沖縄返還、三里塚(新空港)と、60年~70年代は、政治課題が常にありました。だから左翼が伸長した。しかし80年代以降、これといった政治課題がなく、左翼は衰退してしまいました。
実は、ソ連の崩壊など左翼にとっては痛くも痒くもなかった。元々「反スターリン主義=反ソ連」でしたから。しかし、大衆を煽る政治課題を喪失する中で、バブルという異常な繁栄が国民の意識を変えた。これが80年代以降、左翼が衰退した大きな原因です。

だから「つくる会」の教科書というのは、左翼にとって、待ちに待った「大衆を煽る政治課題」なんです。私のかつての同志の3分の1は、生協運動を初めとする市民運動に従事しています。
この草の根の「左翼」が、実は「つくる会」の教科書を拒んでいるわけです。

これに対して、「つくる会」の教科書を支持する勢力は、市民社会に確たる基盤を持っていません。ネットも重要ですが、現実社会でも意思表示をする必要があるのではないでしょうか。
「右」というと、黒塗りのワゴンに乗って軍艦マーチを大音量で流す暴力団と同一視されるのが現実です。
もっと、地域社会で地道な運動をする勢力でありたいと思います。私も今後は、地元の自治体に影響力を及ぼせる立場に立とうと思っています(だからと云って政治家になる、というわけではありません)。

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2005/08/06

残忍な人たち

60年前の今日、広島に原爆が投下された。死者は約14万~15万人とされる。
私は米国を、日本のかけがえのない同盟国だと思っている。しかし、毎年8月がくると
怒りがこみ上げてくる。
これは、もう理性を超越した、日本人としての血がなせる業だと思う。やはり、今日は、原爆と米軍の話を書かずにはいられない。

私は、広島の平和記念公園を二度訪れたことがある。もちろん、原爆死没者慰霊碑に首(こうべ)を垂れ、祈りを捧げた。そのときは、「過ちは繰り返しませぬから」という碑文の文言には、何の抵抗もなかった。しかし、今日、その碑文を読み直して強い違和感を覚えた。
原爆投下という過ちを犯したのは米国である。なのに「過ちは繰り返しませぬから」とは・・・・・・おそらく、この慰霊碑が建立された頃は、日本の誤った戦争が原爆の悲劇をもたらしたという認識が、我が国民に強かったということであろう。当時の私も、何の
抵抗も感じなかったのだから・・・

広島に原爆が投下されたことに対して、我が国及び我が国民に非は一切ない。史上
最大級の戦争犯罪を犯したのは米国である。したがって、原爆被害に遭われた方々に対して、「過ちは繰り返しませぬから」などと言うのはもう止めにしたい。
「原爆の悲惨さは永遠に忘れません。皆様の筆舌に尽くしがたい苦痛と無念を心の
奥底に深く刻み込みます」と誓いたい。

読者の皆さんの中には、米軍は紳士的だったと思われている方もおられるかもしれないが、とんでもない。
以下の記事は、週刊新潮8月11・18日夏季特大号に掲載された帝京大学教授・高山正之氏の連載コラム「変見自在」に、私の持つ知識を加味したものである。

映画「パールハーバー」の中の、日本の艦載機が病院を銃爆撃し、患者や看護婦が
ばたばた殺されていく場面を見て、石原東京都知事は「嘘が多すぎる」と言って怒った
そうである。これは、明らかに米国の捏造である。
元JAL機長で、真珠湾攻撃にも参加した藤田怡与蔵氏は、「米軍のパイロットならいざ知らず、日本軍はそんなことを思いつきもしない」と言っている。

「米軍のパイロットならいざ知らず」とは、つまり米軍機は、非戦闘員や非軍事施設を
狙うのが常だったということだ。石原知事自身が「麦畑を走っていると米軍のP51がきて機銃掃射された」という。
また、知事は、二子玉川(東京)の床屋で、「橋を渡って東京側に逃げる若い女性を
米軍機が低空飛行で追跡し撃ち殺した。パイロットの顔が地上からも見えた」という話を聞いたとも語っている。
1942年東京に飛来したB25は、超低空で飛行し、必死で校舎に逃げ込もうとする国民学校高等科の14歳の少年を撃ち殺している。
高山正之氏によれば、米軍機が女子供を狙い撃ちした事例は数え切れないほどあるという。要するに、彼らは狩猟感覚で日本の市民を撃ち殺していたということである。

米軍が最初に進駐した神奈川県では、一ヶ月に2千件もの「大きい男」による婦女暴行事件が起きた。「大きい男」とは米兵のことである。GHQが、新聞検閲で米兵をそう表記するように命令したのだ。

米国は、日本の文化財に敬意を表して京都を爆撃しなかったというが、これも真っ赤な嘘である。
原爆の投下候補地は、
①直径3マイルを超える都市
②有効な損害を与えられる地形を持つ都市
③通常爆弾による爆撃を実施していない都市
であった。
これに適うのが京都、小倉、新潟、広島、長崎で、中でも盆地状の京都市街は申し分なかった。したがって、本土爆撃が始まってからも京都爆撃は一切行われなかった。
最終段階で、京都は第一候補からはずされたが、「日本の文化財に敬意を表したから京都を爆撃しなかった」というのは嘘なのである。
広島も爆撃されなかったし、小倉、新潟、長崎も、他の大都市に比べればほとんど無傷だった。ちなみに、長崎は第二候補だった。広島とともに第一候補にされた小倉上空が曇りであったために、長崎が標的になったのである。

一方において、東京や大阪は、一面焼け野原となるほどの爆撃を受けた。
特に、1945年(昭和20年)3月の東京大空襲は、1日で死者10万人以上を出す地獄を生み出した。1機平均6トン以上の焼夷弾を搭載した344機のB29が、低空飛行で東京の下町を襲ったのである。約100万発(2000トン)もの焼夷弾が無差別に投下されたのだ!
しかも、先発部隊が江東区・墨田区・台東区にまたがる40k㎡の周囲にナパーム製
高性能焼夷弾を投下して火の壁を作っていた。火の壁で市民の逃げ道を断ち、猛火の中に閉じ込めた状態での凶行だった。(怒りで頭痛がしてきた・・・)
要は、ジェノサイドだったのだ!!!!!!
逃げ惑う市民には超低空飛行のB29から機銃掃射が浴びせられ、なんとか隅田川に
逃げ延びた人たちも、川面をなめるように駆け抜けた焼夷弾の炎で焼き殺された。

幼子を背負ったまま焼かれた母親の背は白い、そして子供は・・・/浅草・花川戸
Ikaritonamida
涙が止まらない・・・私だけだろうか?





本土空襲の指揮を取っていたカーティス・E・ルメイ少将は、明かに非戦闘員を狙ったと
する批判に対して、戦後の回想録のなかで次の様に述べている。
「私は日本の民間人を殺したのではない。日本の軍需工場を破壊していたのだ。日本の都市の民家は全て軍需工場だった。ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。木と紙でできた民家の一軒一軒が、全て我々を
攻撃する武器の工場になっていたのだ。これをやっつけて何が悪いのか…」

我が国と米国は今、政治、経済、軍事において密接な関係にある。冒頭で述べたように、米国は、かけがえのない同盟国でもある。
しかし、米国が我が国に対して犯した過去の戦争犯罪を忘れてはならない。いまさら
米国を声高に非難するつもりはないし、反米を煽る気もない(何のプラスもない)。が、
歴史の事実や相手を知った上で、初めて真の友好・同盟関係が生まれるのである。
エノラ・ゲイの機長は、90歳になった今も相変わらず、「連合軍が本土上陸作戦を決行していたら、日本人や連合軍の多くが犠牲になっていた」として原爆投下を正当化している。

しかし、ジョン・F・ケネディ政権で国防長官だったマクナマラ氏は、「勝ったから許されるのか?私もルメイも戦争犯罪を行ったんだ」と告白している。
マクナマラ氏は経営管理の理論を戦争に応用した。攻撃効率を高めるために統計を取り分析した。彼の報告書を基にして日本に無差別絨毯爆撃が行われた。彼の上司は、後に広島・長崎に原爆を落としたカーティス・E・ルメイ少将だった。
建前はともかく、本音の部分でそういう反省があればそれで許そう。

しかし、我々日本人は、間違っても「過ちは繰り返しませぬから」と言ってはならない。過ちもあれば、やむを得ないこともあれば、正当なこともある。加害者の面もあれば被害者の面もある。
「過ちは繰り返しませぬから」と言って懺悔しても、得るものは何もない。当時の国際情勢、極東情勢、国内事情等を総合的に勘案して反省するべきである。

(注):「小倉」は、現在の北九州市小倉北区・南区である。

参考資料:東京大空襲

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2005/08/05

日系米人強制収用の教訓

米国政府及び米国人の差別と偏見に屈することなく闘い抜いたFred Korematsu氏が、San Francisco Chronicle紙に寄稿した記事にめぐり合ったのでを転載する。
なお、直訳的な文章で読みづらいと思うが、ご容赦願いたい。
この一文を読んで、私が言うところの「偏狭なナショナリズム」について、多少なりとも
考えていただければ幸いである。

我々は、果たして日系アメリカ人強制収用の教訓を再び学ばなければならないのか?
Do we really need to relearn the lessons of Japanese American internment?

Fred Korematsu
Thursday,September 16,2004 San Francisco Chronicle

1942年、湾岸地区に住む私は、日系アメリカ人であるということで逮捕され、有罪を
宣告された。当時、私の逮捕を新聞は、大見出しで「ジャップのスパイ、サン・リアンドロで逮捕」と報じた。

もちろん、私はスパイではなかった。政府も私をスパイとして告訴したのではない。私は米国市民である。オークランドで生まれ育った。沿岸警備隊に志願したことすらあった(人種を理由に採用されなかったが)。しかし、私の市民権も忠誠心も、連邦政府にとって問題ではなかった。1942年2月19日、日本人の血を引く誰もが、西海岸から退去するよう命じられた。私は日系アメリカ人であるために告訴され、有罪宣告を受けた。私と
同じ地域に住んでいた日系人も全員が強制収容を命じられた。

私はそのとき、私の有罪宣告をめぐり闘った。私の事件は米最高裁まで持ち込まれたが、合衆国憲法の下での保護を求める私の努力は1944年に却下された。

1945年に釈放された後も、私の犯罪歴は人生に影響を与え続けた。仕事を見つける
ことも困難だった。私は犯罪者と受け止められた。事件の再審が認められるまで、ほぼ
40年の歳月と多くの人々の努力を要した。1983年、連邦裁判所判事は、米国政府が
証拠を隠蔽し、私の訴えに関して最高裁で偽証していたことを見出した。判事は、日系アメリカ人が、政府が公に主張したような脅威ではなかったことを理解した。私の犯罪歴は抹消された。

私の事件が裁判で再考されたことと、全国の多くの人々の再度の努力の結果、米国
議会は日系アメリカ人の排除と拘禁について調査する委員会を設置した。委員会は、日系アメリカ人による諜報活動や破壊行為が行われたことはなく、日系アメリカ人を
拘禁する軍事的必要性もなかったと判定した。委員会の調査結果と、戦史研究家による原文記録の再調査に基づき、議会は「1988年人権保護法」を採択し、日系アメリカ人の拘禁が不当であったと宣言した。ついに、両肩に圧し掛かっていた“敵性人種”という非難の重荷から、私達は解放されたように見えた。

しかし、今、過去の非難がよみがえっている。フォックス・ニュース(注-1)のパーソナリティ、ミッシェル・マルキン(注-2)は、第二次大戦中に何人かの日系アメリカ人はスパイだったと主張している。ミッシェル・マルキンは自らの疑念に基づき、全ての日系アメリカ人の強制収用は、結局悪い考えではなかったと主張する。彼女は、アラブ系アメリカ人を人種的に分別することはテロとの闘いの必要性において正当化されるとも主張している。マルキンによれば、少数民族に属する何人かの個人が怪しいのであれば、少数民族全体の市民権を剥奪することは問題なしというのである。マルキンは、古い罪の
概念を復活させることを唱えている。

第二次大戦中の、政府による日系アメリカ人拘留が正当かどうかについて、再び真剣に議論される様を目にするのは、痛ましいことだ。私は、私の事件や日系アメリカ人
強制収容事件が、人種や民族をスケープゴートにする危険性を想起させることを望む。

少数民族に対する恐怖や偏見は、あまりにも容易に想起され誇張される。そして、しばしば、恐怖を煽る人々の政治課題に貢献する。このようなスケープゴートの結末が、
どのようなものであるか、不当な容疑が政府により事実と承認された後、汚名を晴らすことがいかに困難であるかを、私は知っている。もし誰かがスパイやテロリストである
ならば、彼らはその行為によって告発されるべきである。単に同じ人種とか、民族とか、宗教とかを理由に、スパイやテロリストとして拘束してはならない。日系アメリカ人強制収容事件によって、そうした原理が学ばれていないなら、私達の民主主義にとって極めて危険な時代である。
(訳:坂 眞)

↓英語の得意な方は、以下の原文をお読みください。
Do we really need to relearn the lessons of Japanese American internment?

Fred Korematsu氏は本年3月30日に逝去された(享年86歳)。

c3ab21f3-s正義をもとめてamazon

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(注-1)Fox News
(注-2)Michelle Malkin
ちなみに彼女はフィリピン系米国人である。自身もマイノリティなのだ・・・アホか?

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2005/08/04

甦るゾンビ:人権擁護法案

「人権擁護法案」はもう死んだ、と思っている方も多いと思う。が、そうでもないので
ある。ゾンビのごとく甦る可能性があるのだ。
以下は「週刊新潮」の記事である。なかなか興味深いので読んでほしい。


郵政民営化法案と並ぶ今国会のもう一つの注目案件、人権擁護法案の今国会提出が見送られることになった。
「この法案は、報道規制に繋がる危険性や人権侵害の定義が曖昧だとして、かねて
より問題視されてきた。そのため、平沼赳夫前経産相らが猛反対しました」
とは、ある政治部デスク。
「一方、推進派を束ねた古賀誠元幹事長は、部会での議論を強引に打ち切ってまで
法案を通そうとした。これに与謝野政調会長も同調。反対派を“勉強能力なし”と罵ったほどです」
結局、郵政で手一杯となった自民党執行部が提出を断念。これで問題法案は二度と
陽の目を見ることがないように思われた。が、
「古賀は、またこの秋に法案を持ち出してくる」
と、ある自民党関係者は警鐘を鳴らすのだ。
「人権擁護法案を提出させてくれれば、他の法案で融通を図ってやろうと反対派に持ちかけたと言われるほど、古賀は凄まじい“執念”を持っている。簡単に引き下がるはずがない」
とは言っても、同法案は平成15年にも廃案になっており、今回で二度目の“挫折”。
何の理由もなく三度俎上に載せるわけにもいかない。そこで検討されているのが次の方法だという。
「9月に国連の場で、日本の差別は深刻だとの報告書が提出される予定。これを理由に、やはり人権擁護法案が必要だと言い出す腹積もりなんです」(同)
国連という“錦の御旗”の前には、反対派もそうは口出しできないだろうという算段なのだ。だが、
「国連の人権委員会には人権侵害国もメンバーに名を連ねており、機能不全が問題視されてきた。組織改変が検討されている問題の多い組織なんです」(同)
怪しげな“威光”をも、利用しようと画策する推進派。まだまだその動向から目を離す
わけにはいかない。

秋にぶり返す「人権擁護法案」
(8月11日・18日夏季特大号 週刊新潮)

人権擁護法案に凄まじい“執念”を見せる古賀誠元幹事長が拠りどころとする「日本の差別は深刻だとの報告書」とは、以下のものである。

国連人権委員会で特別報告者として各国の人種差別の現状を調査しているディエン氏(セネガル出身)は11日、日本での9日間の調査を終え、都内で記者会見した。
このなかで、同氏は、日本では被差別部落や在日韓国・朝鮮人などに対し深刻な差別があり、政府は対応措置を講じる必要があるとの報告書をまとめ、9月に開催される国連総会に提示する考えを示した。

同氏は、これらの人々が特に、就職時や住宅を探す際に厳しい差別に直面していると指摘。日本政府が十分な対応をとっておらず、是正が
必要との勧告も報告書に盛り込む意向だ。

日本に深刻な差別、是正の必要を勧告へ…国連人権委
(2005年7月12日 読売新聞)

国連の人権委員会とは、上記「週刊新潮」の記事が「国連の人権委員会には人権侵害国もメンバーに名を連ねており、機能不全が問題視されてきた」と指摘しているように、中国、 ベトナム、 キューバ、スーダンなどが名を連ねているとんでもない組織なので
ある。
これらにすがってまで人権擁護法案を通そうとする古賀誠元幹事長の真意は何か?
まず言えるのは、創価学会=公明党との親密な繋がりである。次に、彼の生まれ育った地が、三池炭鉱で有名な福岡県南部であったということであろう。同地には、被差別部落がたくさんあり、在日も多い。そのような環境の中で、差別に敏感に育ったと思う。おそらく、彼の背景には、被差別部落民や在日朝鮮人の存在がある。
その気持ちは解らぬでもないが、責任ある政治家であれば、人権擁護法案という社会的・政治的影響力の大きい法律を、もっとニュートラルな立場で考えるべきである。
反対派の論拠の一つが、解同や在日が人権擁護委員会を牛耳るのではないか、という危惧にあることを考えればなおさらである。

私は、創価学会や被差別部落民や在日朝鮮人のための人権擁護法案であってはならない、と考える。

参考資料:MEMBERSHIP OF THE COMMISSION ON HUMAN RIGHTS

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2005/08/03

薄っぺらな国会決議

昨日(8月2日)、「戦後60年決議」が衆議院において採択された。この決議の正式名称は、「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年にあたり、更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」という。
名称を見ただけでも中身のバカバカしさが解りそうだが、この決議に対する論評は後で加えるとして、まず、採択までの経緯を見てみよう。

この決議案は、河野洋平衆院議長の強い意向に基づいている。衆院議院運営委員会の理事会で採択の方針が決まったのは、わずか1週間前のことだ。
最初は、自民、民主両党を中心に原案が作成された。原案の特徴は、「戦後50年決議」で取り上げた「植民地支配」や「侵略的行為」との表現は盛り込まず、「反省」色を薄めたのが特徴だった。(毎日新聞)

「反省」色が薄まったのは、「自民党内には村山内閣の『ざんげ路線』はもう十分という考えがあり、民主党内にも旧社会党色はもういいというムードがあった。10年前は「ざんげ」が軸、今回は未来志向で良いのではないかと考えた」(民主党議員:毎日新聞)
しかし、民主党の幹部会では、1995年の「戦後50年の決議」に明記されていた「植民地支配」や「侵略的行為」の文言を盛り込まなかったことに強い批判が出た。そこで、
決議に「10年前の『決議』を想起し」という文言を加えることで折り合ったのである。

まったくもって、何を考えているのか?「10年前の『決議』を想起し」という文言を入れれば、「今回は未来志向」という決議の主旨と矛盾するではないか。「妥協するのが政治」とはいえ、余りにも安易過ぎる。案の定、左右両派から反発を受けることになってしまった。
自民党の安倍晋三幹事長代理や拉致議連会長の平沼赳夫氏を始め、自民、民主両党の議員10人近くが採決に先立って本会議場を退席し、共産党は「植民地支配」や「侵略的行為」が入っていないことを理由に反対に回った。

そもそも歴史認識が絡む決議を、様々な歴史観を持つ政治家で構成されている国会において採択させようという河野洋平衆院議長の考え方が間違っている。
政治家もそうである。議員の半数以下の賛成しか得られなかった「戦後50年決議」の
二の舞を避けようとして安易に妥協する。しかも「戦後50年決議」と連続性を持つ決議とするのであれば、決議自体に何の意味があるのか?河野議長の本当の目的は何なのか?
特に民主党はひどすぎる。「旧社会党色はもういいというムード」がありながら、「植民地支配」や「侵略的行為」の文言を盛り込まなかったことを強く批判する勢力が幹部会にいる。こういう鵺(ぬえ)のような政党の存在は、国民に対する欺瞞である。
ちなみに、「戦後50年決議」における「植民地支配」や「侵略的行為」に関わる表現は
以下のとおりである。

「世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する」

以下に「決議全文」を掲載する。下線部が原案と違う、修正された部分である。できるだけ多くの議員の賛同を得ようとする余り、抽象的な文言に終始し、何が言いたいのか、何が目的なのかはっきりしない決議である。

■戦後60年決議(全文)

「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり、更なる国際平和の構築への
貢献を誓約する決議」

国際平和の実現は世界人類の悲願であるにもかかわらず、地球上に戦争等による
惨禍が絶えない。
戦争やテロリズム、飢餓や疾病、地球環境の破壊等による人命の喪失が続き、核兵器等の大量破壊兵器の拡散も懸念される。
このような国際社会の現実の中で、本院は国際連合が創設以来六十年にわたり、
国際平和の維持と創造のために発揮した叡智(えいち)と努力に深く敬意を表する。
われわれは、ここに十年前の「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」を想起し、わが国の過去の一時期の行為がアジアをはじめとする他国民に与えた多大な苦難を深く反省し、あらためてすべての犠牲者に追悼の誠を捧(ささ)げるものである。
政府は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、唯一の被爆国として、世界の
すべての人々と手を携え、核兵器等の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである。

右、決議する。

(2005年8月2日 毎日新聞)

以下に、産経、読売、朝日3紙の社説のエッセンス部分を紹介する。全文を読みたい方は、リンクを貼っているので、それぞれのWebに飛んでほしい。

(前略)
この10年で、日本を取り巻く国際環境は大きく変わった。
平成10年、北朝鮮がテポドンを発射し、11年には、北の工作船の領海侵犯による自衛隊初の海上警備行動が発令された。2001(平成13)年の米中枢同時テロ以降は、
日本の自衛隊も国際テロ撲滅の一翼を担うようになった。さらに、平成14年9月、金正日総書記が拉致事件を認め、北の国家犯罪が白日の下にさらされた。
国家意識が希薄になりがちだった戦後の日本人も、「国家」や「主権」を意識せざるを
得ない状況が生まれた。だが、今回の戦後六十年決議は、こうした10年間の変化を、ほとんど考慮に入れていない。相変わらず、「世界連邦実現」「人類共生の未来」といった地球市民的な理念が書き連ねられている。これでは主権国家としての意志がはっきりとせず、何も言っていないのに等しい。
この戦後六十年決議に、自民党の安倍晋三幹事長代理や拉致議連会長の平沼赳夫氏らは途中退席したが、その行動にはうなずけるものがある。
国権の最高機関として、あまりにも空虚で現実味に乏しい決議である。
(2005年8月3日 産経新聞【社説】

歴史の重みなどを、全く感じさせない、薄っぺらな国会決議である。
(中略)
「戦後50年決議」は、自社さ連立政権の村山内閣時代に、当時の社会党が主唱し、
衆院で採択された。文言をめぐっては、各党の間で激論が交わされた。
最終的にまとめられた決議案の採決では、与党からも約70人が欠席した。新進党の
議員も全員が欠席し、共産党は出席して反対した。賛成は、衆院議員総数の過半数にも満たない、惨たんたる「国会決議」だった。
今回の「戦後60年決議」には「国際連合が創設以来六十年にわたり、国際平和の維持と創造のために発揮した叡智(えいち)と努力に深く敬意を表する」というくだりもある。なぜ戦後60年になって、いきなり国連を持ち出したのだろうか。
しかも、日本は1956年以来、50年にわたり国連を構成する当事者である。国連予算の約20%を負担し、安保理の常任理事国入りをめざす責任ある中核メンバーでもある。
まるで国連の外にいる第三者であるかのように国連に「敬意を表する」のでは、諸外国の失笑を買うだろう。
「世界連邦実現」と言うが、なぜ戦後60年の今なのか。唐突な印象を受ける人が多いのではないか。
何のための国会決議か。そんな疑問をぬぐえない。
(2005年8月3日 読売新聞【社説】

(前略)
10年前、同じように戦後50年の節目に国会決議が採択された。今回の決議とは違って、その時は激しい論争が巻き起こった。自民党、社会党、さきがけの3党連立のもとで、社会党の村山富市氏が首相だった。
(中略)
結局、植民地支配などの表現は入ったものの、与党である自民党から本会議への欠席者が続出。野党の新進党も欠席し、決議への賛成者は衆院の議席の過半数にも達しない異常事態だった。
われわれは社説で「恥ずかしい。悲しい。やりきれない」と書いた。
あれから10年。今回の決議では「わが国の過去の一時期の行為」がアジアや他国の人々に多大な苦難を与えたとし、反省を表明している。だが、「侵略的行為」「植民地支配」の表現は消えた。
では、戦後50年決議やその後の「村山談話」にはっきりとうたわれたこうした過去に
触れる必要がないほど、われわれの反省はアジアに広く受け入れられたのか。残念ながら、そうではない。
(中略)
国会決議に「侵略」などの表現が入らなかったからといって、反省の気持ちが後退したとは思いたくない。野党の要求で「10年前の決議を想起し」という一文が挿入され、
戦後50年決議を踏襲する形にはなっている。
自民党や民主党に退席、欠席した議員がいたとはいえ、賛同した議員は前回とは比べものにならないほど増えた。
近隣諸国との付き合いがうまくいっていないこんな時期だからこそ、国会の意思として改めて反省を表明したことは意味がある。この趣旨が少しでも生かされ、和解が進む
よう国会自身が努力する責任がある。
(2005年8月3日 朝日新聞【社説】

「国家意識が希薄になりがちだった戦後の日本人も、「国家」や「主権」を意識せざるを得ない状況が生まれた。だが、今回の戦後六十年決議は、こうした10年間の変化を、ほとんど考慮に入れていない。相変わらず、「世界連邦実現」「人類共生の未来」といった地球市民的な理念が書き連ねられている。これでは主権国家としての意志がはっきりとせず、何も言っていないのに等しい」という産経の主張には同意できる。

逆に「近隣諸国との付き合いがうまくいっていないこんな時期だからこそ、国会の意思として改めて反省を表明したことは意味がある。この趣旨が少しでも生かされ、和解が
進むよう国会自身が努力する責任がある」という朝日の主張は、いかにも朝日らしい。
「10年前の決議を想起し」という一文が挿入され、戦後50年決議を踏襲する形にはなっている・・・と必死に前向きの評価をしているが、前述したように、「戦後50年決議」は
議員の半数以下の賛成しか得られなかった「惨澹たる決議」であった。
朝日は、これを「恥ずかしい。悲しい。やりきれない」と書いた。
まあ、今回の決議が河野議長の発案で、しかも圧倒的多数で採択されたことを考えれば、朝日が多少強引でも肯定的に評価するのは頷ける。
「近隣諸国との付き合いがうまくいっていないこんな時期だからこそ・・・・・・和解が進むよう国会自身が努力する責任がある」というのが河野議長の意図であるとしても、「国権の最高機関として、あまりにも空虚で現実味に乏しい決議である」と言わざるを得ない。

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2005/08/02

永遠に追いつけない韓国

昨日のエントリー「今の日本人とこれから」で「偏狭なナショナリズムとそれに基づく偏見に囚われてはならない」と書いたが、少し誤解があるようなので補足したい。

私の云う「偏狭なナショナリズムとそれに基づく偏見」とは、事実に基づかない、あるいは根拠が薄いにもかかわらず、あたかもそれが中国人や韓国人の仕業であるように
書きたて、意図的に「嫌韓」「反中」を煽る行為である。
たとえば、最近、私が最も腹が立ったのは、先日の「悪質リフォーム事件」に関するある
エントリーである。

「悪質リフォーム業者」=「在日朝鮮人」という構図を組み立て、「あくどい在日が人の
好いお年寄りを騙し、なけなしの老後資金を巻き上げている」というストーリーを作り
上げる。話がよくできているから、事情の分からない人は、あたかも真実であるがごとく受け止める。しかし、よく読むと確たる根拠はない。
こうして根拠の乏しい情報から、在日=犯罪者が多い=やっぱり在日か=日本人として許せない、という民意が醸成される。こういうデマゴギーを、もっともらしく流布することが「偏狭なナショナリズムとそれに基づく偏見」に通じるのである。

中国も韓国も批判すべき点は多い。「北」と「総連」に至っては、存在そのものが悪で
ある。しかし、批判は事実に基づいたものでなければならないということだ。
私は仕事柄、リフォーム業界に詳しい。半分はまともな業者だが、残り半分は悪質業者である。ヤクザの企業舎弟が経営している大手リフォーム会社すらある。もちろん在日が経営している会社もたくさんある。が、悪質業者の中で最も多いのは、残念ながら
日本人である。

なぜ私が「偏狭なナショナリズム」を排除するべきであると言うのか。それは中共や
韓国の日本に対する批判が、「偏狭なナショナリズム」に基いているからである。
たとえば韓国の場合、「独島」も「東海」も何ら正当な根拠のない主張である。にもかかわらず、政府、マスメディア、世論が一体となって理不尽な主張をする。我が日本国
及び日本人を、彼らと同じレベルに貶めてはならないのだ。

ちなみに、韓国が「日本海」という呼称を「東海」に改めるよう世界に訴えている件に
ついてだが、外務省の調査によると、19世紀に発行された1285枚の世界地図のうち
「日本海」という表記が82%を占め、「朝鮮海」が15%、「中国海」2%、「東洋海」1%、「東海」に至っては0.1%だった。
(米議会図書館所蔵地図による。2005年7月31日 読売新聞)
にもかかわらず、韓国は、「日本海」が定着したのは日本の植民地主義が原因と主張する。まさに、「偏狭なナショナリズム」そのものではないか。

なぜ、韓国がこのような「偏狭なナショナリズム」に支配されるのか?それは日本に
対するコンプレックスと、その裏返しの対抗意識である。
彼らからすれば、戦前の植民地支配さえなければ、今頃は日本より韓国の方が上に
いるはずだ、という大いなる思い込みと錯覚がある。
そこにおいて歴史を実証的に検証するという姿勢はない。「韓国及び韓国人の方が
日本及び日本人より上」というのが大前提になっているからである。そこには、中国人と同様の「自尊自大」という韓国人の特質がある。これを克服しない限り、韓国及び韓国人は日本及び日本人に永遠に追いつくことはできない。

たとえば「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の高度成長である。これによって彼らは、先進国クラブと云われるOECDに加盟を果たした。これの原動力となったのが、1965年に
締結された日韓基本条約に基く日本からの莫大なODAと技術移転である。
植民地時代の教育の普及も役に立った。他の途上国に比較して、識字率も高く、教育水準は先進国に近かったのである。
しかし、彼らはそのことに感謝するどころか、日韓基本条約を否定的に評価し、その見直しさえ要求している。この考え方、この姿勢こそが自らの成長を阻害しているのだ。

日本は1945年、廃墟の中から立ち上がった。そして60年後の今では、一人当たりのGDP(国内総生産)は3万ドルを優に超えている。
韓国の出発点は1965年である。それから40年が過ぎた。40年経っても、一人当たりのGDPはまだ1万ドルを超えた程度で日本の3分の1である。しかも週休2日制さえ満足に普及していない。
「戦前の植民地支配さえなければ、今頃は日本より韓国の方が上にいるはず」であれば、40年も経っているのだから、せめて2分の1くらいになっていてもおかしくはないのではないか。

なぜこんなにも差が付いているのか?それは、韓国が日本の上っ面は学んでも、本質的な部分を学ばなかったからである。技術は学んだ、知識も学んだ。しかし、日本人の組織に対する忠誠心、誠実さと謙虚さ、労使一体となった「改善」努力、こういう欧米諸国を追い越す原動力になった部分を彼らは学ぶことができなかった。
「改善」は「Kaizen」と訳されて、欧米でも学習の対象になっている。韓国は、こういう
世界的に知名度の高い経済用語を一つでも生み出しただろうか?
相変わらず経営者はブルーカラーを軽視し、労使紛争が絶えないのが実情ではないか。

日本が韓国に技術供与を開始したとき、「ブーメラン効果」という言葉が警告として出てきたことがある。やがて技術を吸収した彼らが日本企業の最大のライバル(脅威)になると。
これに対して、誰だったかは忘れたが、当時の経済学者で「心配ない。韓国が日本の技術を習得した頃は、日本は既にその先にいる。韓国は永遠に日本に追いつけない」と看破した方がいた。今考えれば、ものすごい慧眼である。
確かに造船業やITの分野で、韓国は日本の大きなライバルに成長した。しかし、彼らが「自尊自大」である限り日本に追いつくことはできない。「偏狭なナショナリズム」に突き動かされる限り、いつか来た道を辿ることになる。

逆に言えば、日本人も組織に対する忠誠心、誠実さ、謙虚さ、勤勉さを失くすことなく、他方において「経済のサービス化・ソフト化」という時代の流れに対応できるだけの柔軟性を身に付けなければならない。
レベルは低いが、韓国は我が国の反面教師でもある。我々日本人も、慢心は戒めなければならない。

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2005/08/01

今の日本人とこれから

今の日本及び日本人を考えたとき、驚くべきことがいくつかある。

①戦後60年間、一度も他国と戦火を交えたことがないということ。もちろん内戦もない。このような国が果たして世界中にいくつあるだろうか。
あのドイツでさえ、湾岸戦争では対空ミサイル部隊を派遣し、コソボ紛争では空爆に
参加した(注:ドイツの行為を否定しているわけではない)。

②政治における政教分離が確立されている。もちろん、一部に政教一致の政党があり、これが与党になっている。が、この党が日本の政治を大きく左右しているわけではない。
靖国問題も、政教一致という問題ではなく、極めて歴史的、外交的な問題である。
米国の大統領選では、妊娠中絶や同性愛が宗教がらみで主要な争点となった。日本においては、これらは個人の問題である。

③排外的民族主義の傾向が極めて薄い。サッカー・アジア杯のとき、中国人は「反日」で大騒ぎを起こし、日本公使の車を襲撃して日の丸を焼くなどした。
これに対し、日本で行われたW杯予選の対北朝鮮戦では、北のチームに対するブーイングなど一切なかった。同胞を何十人も拉致している国の代表チームであるにもかかわらず。
ソ連崩壊前に、NHLの試合をテレビで見ていた私は、ロシア人の選手が活躍すると、
地元の観衆までが大ブーイングを浴びせる光景に強い違和感を覚えた。
1979年の在イラン米国大使館占拠事件のとき、米国の街角で、在米イラン人が白昼
公然と集団暴行を受ける映像を見て私は衝撃を受けた。
今回の中国における「反日暴動」で日本領事館が襲撃されても、日本で対抗デモが
起きるわけでもなく、在日中国人が襲われたわけでもない。

④③に関連して、民族差別が余りない。在日朝鮮人差別は確かにある。就職、結婚などにおいてそれは厳然としたものがある。私の知人の在日2世の奥さんは日本人だが、奥さんの親に結婚を認めてもらえず、子供ができてやっと奥さんと子供だけが里帰り
できるようになった。
しかし、米国や英国、フランス、ドイツのように、国籍や市民権を取得しても、(元)外国人が固まって白人とはまったく別のコミュニティーを形成せざるを得ない状況にはない。
大多数の在日が日本人社会に溶け込んで暮らしている。大阪市生野区のような例もあるが、これはむしろ例外である。
静岡県浜松市や群馬県太田市周辺の日系ブラジル人コミュニティーも、日本人社会から隔絶されているわけでも排斥されているわけでもない(言葉や食習慣の問題が大きい)。
米国においては、黒人やヒスパニックが街の一角に住み着くと、白人はぞろぞろと街を出て行く。

以上から言えるのは、日本は世界的にも稀な平和・平等・非宗教の国であるということだ。これは人類の進歩の標しとして誇ってもよいことではないか。
ただ、これが政治的アパシー(apathy=無関心)や国を愛する心、民族としての誇りの喪失の裏返しであれば問題である。
しかし、私はそうではないと考える。日本という国の姿や政治のあり方が解りづらいからそう見えるだけである。サッカーやオリンピックで日の丸が掲揚されたときの熱狂ぶりを見れば、潜在的に国を意識しているのが解る。
私たちの世代は、欧米に留学した者の多くが、いかに外国が進んでいるか(日本が
遅れているか)をしたり顔で語るのが常だったが、今の若者はそうではない。

私は、たとえ憲法第9条がなくても日本は他国と戦争することはなかったと思う。歴史的にみても、日本は他国と争ったことが少ない国である。日清戦争から大東亜戦争に至る過程は、帝国主義列強による世界分割という時代的な背景が大きく影響している
(ただ、今の東アジア情勢を鑑みると今後は分からないが)。

宗教の問題にしても、大多数の日本人は、お盆はお墓でお線香をあげ、正月は神社に参拝し、クリスマスを家族で祝うという、宗教にこだわらない傾向が強い。
民族問題も、欧米諸国のように、異民族、異教徒を集団的暴力で襲撃するといったような深刻な事態にはならないはずだ。

したがって、これからの世代に、日本という国の歴史と文化に誇りを持ち、日本人であることに感謝する心をはぐくむこと。異文化や異宗教に対する寛容の精神を養うこと。これらが、20世紀の後半を生き、21世紀に人生の総仕上げをする時期を迎えた私及び私たちの世代(団塊の世代+α)に課された責務であると考える。
そのための大きな仕事が、自分の国は自分で守る、自分の身も自分で守るという、
自立した国家、自立した個人の確立である。そうすれば、「フリーター」や「ニート」と
いった、日本の将来を危うくする存在も淘汰される。
自立した国家、自立した個人を確立することによって、初めて他国や他人に対する真の理解と友情が生まれてくる。

偏狭なナショナリズムとそれに基づく偏見に囚われてはならない。相手の良さは認め、過ちは断固として指摘する。相手の友誼には素直に感謝し、理不尽な要求には毅然とした対応をとる。
そうすることによって、①~④という、世界にも稀な現代日本の特性を、真の民族性に転化できるのではないか。

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