談合組織「士志の会」崩壊
平沼赳夫、古賀誠、高村正彦、麻生太郎の四氏でつくる「士志の会」というのをご存知だろうか。ポスト小泉を狙って、古賀氏主導の下、2002年末に結成された。
元々は、野中広務氏の意を受けた古賀氏が、YKK(注-1)や亀井静香氏などをすっ
飛ばして、同じ当選7回(現8回)組の三氏をポスト森の先頭候補として押し立てることによって主導権を握ろうと意図したものが源流である。
「加藤の乱」で加藤紘一氏を潰し、山崎拓氏も女性スキャンダルで貶めた。小泉純一郎氏は自民党の異端児だから問題外。平沼氏も亀井氏と距離を置き始めた。野中-古賀ラインの野望は成就するかに思えた。
しかし、ポスト森において麻生氏を擁立するも、肝腎の橋本派の支持を得られず、苦し紛れに擁立した橋本龍太郎元首相は、小泉氏の前に圧倒的な大差で敗れてしまった。野中-古賀ラインにとってはまったくの計算外だった。しかも、懐刀の鈴木宗男氏が
逮捕され、失脚する。
そこで、古賀氏はポスト小泉に照準を変更した。が、前回の総裁選に高村氏を擁立するも、小泉首相にまったく歯がたたなかった。
今や、ポスト小泉の期待は、安倍晋三幹事長代理や谷垣貞一財務相に耳目が集まりつつある。まさに、古色蒼然とした談合政治が終焉を迎えつつあるのだ。
今回の郵政民営化騒動が、更に拍車を掛けた。毅然と筋を通す者、うまく立ち回る者、「士志の会」は崩壊した。以下は、「士志の会」四氏に関わる最近の記事である。
(前略)
15日夜、麻生太郎総務相や古賀誠元幹事長ら四氏が都内で開いた定例の会合は、
重苦しい雰囲気に包まれた。郵政民営化を主導した麻生氏、棄権した古賀氏と高村
正彦元外相、反対票を投じた平沼赳夫元経産相-と立場が大きく異なったためだが、出席者の一人は「古賀、高村両氏は早くも公認前提の口ぶりだった」と指摘する。
執行部では、解散直後から欠席・棄権者の処遇で意見が分かれた。武部勤幹事長らは、欠席・棄権者までも青票(反対)組に準じて処分すると政局が混乱し、「選挙ができない」と判断。郵政民営化法案に賛成することを条件に全員公認の構えを見せた。
だが、安倍晋三幹事長代理らは「反対した前職は当選一回議員まで非公認で対抗馬を立てられるのに、棄権がお咎めなしでは説明がつかない」と抵抗し、個別に判断すべきだと主張した。
中でも焦点だったのが古賀、高村両氏の扱い。派閥領袖級の両氏の棄権は若手議員や参院の投票行動に影響を与えたとされるためだ。特に古賀氏は、衆院採決前に「旧堀内派10票は私が握っている」などと漏らし、参院の若手議員にも欠席を
促す動きを見せたとの理由で、問題視する声があった。
欠席・棄権者 自民公認 反対組と処遇に差
(2005年8月17日 産経新聞)
この古賀誠という政治家は絶対に許せない。亀井氏とともに「反小泉」「郵政民営化潰し」を主導しながら、最後は棄権に回り、選挙で「自民党公認」をもらいニンマリする。
まさに、権謀術数の世界を地で行く男だが、こんな政治家を、もはやこれからの政界に生かしておくわけにはいかない。さすがに平沼氏も怒り心頭のようだ。
郵政民営化関連法案の衆院採決で反対票を投じ、衆院選では無所属で出馬する平沼赳夫・前経済産業相は18日、日本外国特派員協会での質疑で、「採決の直前、古賀誠代議士と高村正彦代議士がこそこそと本会議場から出ていった。非常にわかりやすい小泉流の政治なら欠席・棄権も罰の対象だ。しかし、(欠席・棄権まで)排除すると過半数の241を取れない(から処分しない)。非常にこそくなやり方だ」と指摘し、首相の対応を批判した。
「欠席・棄権の処罰免除」 平沼氏が批判
(2005年8月18日 読売新聞)
これは、表向き自民党執行部を批判しているようだが、実は古賀、高村両氏に向けた怒りでもある。平沼氏は確かに甘すぎた。政治を、権力闘争を舐め過ぎていた。
しかし、古賀氏や高村氏に比べればずっと信頼できる行動だ。政治家には筋を通すときも必要である。自民党政治の堕落が、無定見な妥協の繰り返しにあったことを考えればなおさらだ。
私は、郵政民営化論者であるから平沼氏を支持しない。しかし、できればその復活を
祈る。
なお、平沼、古賀、高村、麻生の四氏は、郵政民営化法案で共同歩調を取ることも
確認していたのだ。
自民党の平沼赳夫前経済産業相、古賀誠元幹事長、高村正彦元外相、麻生太郎総務相でつくる「士志の会」が23日夜、東京都内で会合を開き(1)郵政民営化関連6法案は修正が必要(2)戦没者慰霊のための新追悼施設は靖国神社の代替にはならない――との認識で一致した。
<自民党>士志の会、「郵政法案は修正が必要」
(2005年6月24日 毎日新聞)
麻生氏は、所管大臣として何もできなかった。小泉-竹中のラインに引きずられただけだ。解散を決めた最後の閣議でも、異議を唱えたものの、最後は小泉首相に押し切られている。敢て罷免された島村宜伸農相とは天地の開きである。
私は四人の中で、この男が最も嫌いである。
野中広務氏が被差別部落出身であることを捉えて、「部落民を総理になんかできるか」と言い放った。この程度の見識しか持てない人間が総理総裁を目指すだなんて、国民を愚弄している。
注-1:YKK
山崎拓氏(Y)・加藤紘一氏(K)・小泉純一郎氏(K)の三氏を中心とした反「経世会=
竹下派」の「グループ新世紀」を指す。
| 固定リンク
「政治(国内)」カテゴリの記事
- 安倍総理ご苦労様でした。来年は憲法改正の正念場です。(2018.12.30)
- 山本一太氏の群馬県知事選出馬に思う...(2018.12.25)
- 日本共産党の微笑みに騙されてはなりません!(2018.12.16)
- 鬼の目にも涙 って言うけど、こういう場合は何と言えば(2018.12.08)
- 山尾志桜里と望月衣塑子は中学・高校の先輩・後輩(2018.11.29)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こんばんは。私も古賀誠だけは絶対に許せません。人権擁護法案をしつこく提出しようとする様は怒りを通り越して殺意すら覚えそうです。櫻井よしこ氏も報道2001で古賀氏を批判し自民党の公認のやり方に意義を唱えてました。平沼氏に関しては私も同じ意見で郵政で反対しましたが、それ以外では期待出来る政治家だっただけに復活を望んでいます。
投稿: サカエイ | 2005/08/19 22:40
見事に分断され、各個撃破されつつありますね。
お気の毒に。
投稿: takeyan | 2005/08/19 23:11
空色です。お世話になります。古賀は人権擁護法案を通すために執念を燃やしているのでしょうか?選挙の後はこういう連中の掃除をしなければなりませんね。
投稿: 空色 | 2005/08/19 23:44
前回の民主党アンケートは誰でも登録できたので私の1票も入っています、念のため(笑
とにもかくにも筋を通す政治家、候補者が期待されるところですね。
これは単なる野合の民主党には無いものでしょう。(早く消えてなくなれ!!)
ところで、郵政民営化に関しては、何が国益なのかわからなくなって着ている今日この頃です。
公務員削減という見方で素朴に賛成という立場であるんだが、結果、アメリカの国債・株を買うための郵政民営化なら面白くないですね。350兆円の運用先に関しての話ですが、民営化するしないで、どこで運用するのか分かれるのか?
「桜魂」さんのところで紹介されてたものです。
↓郵政民営化は国民と日本経済に危機をもたらす(増田俊男さんの主張)
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h17/jiji050817_315.htm
いつか取り上げられていた、こっちも似たようなものかな?
↓森田実政治日誌[230]
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02040.HTML
まあ、民営化しようがいまのままだろうが、結局は運用先は安定した国債が主であるのは同じだと思うが、アメリカ国債&リスクマネーがもっと増える?
運用成果次第ではあるが、リスクマネー増やして、どうせ下手だろうから、結局やられちまうのか?
黙って日本国債の運用だけしているほうがよさそうではあるがそうもいかないか?
アメリカは日本にこれ以上の借金(国債)を押し付けて、その後どうするつもりなんだろう? アメリカの国債暴落(あるいは円高)でアウトってことなら、結局、アメリカに取り込まれたのと同じこと。
アメリカに貢ぐか中韓に貢ぐのかという情け無い選択肢しかないなら「会話できる」という意味で迷うことは無いが・・・・。
投稿: 岩手の田舎人 | 2005/08/19 23:56
こんばんは。
この中で、本当に代議士として相応しいのは平沼氏くらいだと感じますが、それでも他の3人を見て、「組みべき政治家か、信ずるに足る相手か否か」の判断が甘すぎるような気もします。
私も郵政民営化すべきだと考えておりますし、こういった柵のキツイ改革は、小泉総理の蛮勇でしか出来ないと思っております。
(同じ独断専行型でも、“策士、策に溺れる”小沢氏や、“単なる我が儘”真紀子氏では、とても強行突破出来ないでしょう。まして岡田氏では・・・。)
来年の任期切れまでに、出来るだけ多くの負のシガラミを断ち切って欲しい。
小泉後も当然、反発必至の税制改革等、重要かつ困難な改革が継続して必要となりますが、本当に政界再編して、実行力と将器を兼ね備えたリーダー(誰が適任でしょう?)に託さないと、議会制民主主義とか政党政治が機能しなくなり、極めてマズイと感じます。
投稿: 靖彦 | 2005/08/20 04:05
権謀術数は小泉首相の方が1枚も2枚も上手だった
様で古賀誠も後手後手に回っていますな┐(´ー`)┌
しかも古賀誠はカリカマ性なし、国民人気無しですから
小泉首相に「滅ぼされる」のも時間の問題でしょう。
投稿: abusan | 2005/08/20 07:19
おはようございます。
旧経世会は田中角栄時代に生まれ、分裂を繰り返し崩壊に至った、豪腕揃いだが、利権に巣食う腹黒さが目立つ(自民党自体がそうだが)という認識があります。その中で、小沢さんが利権の匂いがせず、理念があったので応援していました、昔は。よく人間は年をとると顔に性格が出ると言いますが何故か納得できます。平沼さん復帰は私も望みます。
郵政民営化反対論者は何故アメリカ恐怖論を出してくるのか私には理解不能です。まず、何故国債が膨れあがってるのか説明して欲しいですね。ど田舎のNZは郵便は民間(一律料金)ですし不便もない、銀行も外資と国内組が競争してサービスいいですよ。公務員が異様に少ないが失業率も低い。
投稿: NZ life | 2005/08/20 08:44
サカエイさん、こんにちわ。
古賀誠氏、本人は苦労人なのですが、野中広務氏と師弟関係になってからおかしくなりましたね。
根本に「左翼」が根付いてしまった。
残念です。
takeyanさん、どうもです。
政治は非情ですね。
水に落ちた犬は棒で叩かれる。
一瞬の判断ミスが命取りになる。
空色さん、こんにちわ。
>古賀は人権擁護法案を通すために執念を燃やしているのでしょうか?
燃やしています。
下記の拙記事をご覧ください。
「甦るゾンビ:人権擁護法案」
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2005/08/post_7a64.html
岩手の田舎人さん、どうもです。
>350兆円の運用先に関しての話ですが、民営化するしないで、どこで運用するのか分かれるのか?
まず、財投債や財投機関債だけで運用するのは考えられません。
投資するにしても、道路公団や政府系金融機関の採算や見通しを厳しくチェックすることになると思います。
米国債は、ある意味「紙くず」ですから、そんなには買わない。
問題は、為替や株、デリバティヴといった分野です。
民間でさえ、日本の銀行は米国に後れを取っている。
「親方日の丸」だった郵政公社がどこまで対応できるのか?
民間の銀行や証券会社(外資系を含む)との提携もあり、だと思います。
米国の餌食になる、といった論調を、私はまったく受け付けません。
こういうことを言う人は、日本経済の実態とその歴史を見ていない。
危機感を煽ることで目立ちたい「オオカミ少年」にすぎません。
シンクタンクや大手証券のアナリストで、そういうことを言っている方がいますか?
増田俊男氏ごときは、経歴を見ると経済の専門家とはとても思えません。
むしろ左翼運動家です。
森田実氏もまったく同じ。
ふざけるな!!と言いたい。
バブル崩壊と金融ビッグバンで、日本の銀行や証券会社が外資の餌食になる、日本も「ウィンブルドン化」するといった論調がありました。
結果は長銀と山一だけでした。
長銀(新生銀行)ついては、特殊な事情があります。
ゴールドマン・サックスの代表である山﨑養世という特異な人物が、大蔵省(当時)に食い込んでいたのです。
これに省内で対抗したのが、今回小泉首相から刺客に選ばれた片山さつき氏。
しかし、片山氏では荷が重かったようです。
山一については、ご存知のように、メリルリンチは撤退寸前です。
センターコートでは日本のプレイヤーが活躍しています。
「オオカミ少年」の売名行為、民主党のプロパガンダに騙されないでください。
靖彦さん、まいどです。
>本当に政界再編して、実行力と将器を兼ね備えたリーダー(誰が適任でしょう?)に託さないと、議会制民主主義とか政党政治が機能しなくなり、極めてマズイと感じます。
以上の危機意識、まったく同感です。
心ある方々は、皆、同じ思いではないでしょうか。
abusanさん、こんにちわ。
>権謀術数は小泉首相の方が1枚も2枚も上手だった
様で古賀誠も後手後手に回っていますな┐(´ー`)┌
まったくです。大いに笑いましょう
NZ lifeさん、どうもです。
>郵政民営化反対論者は何故アメリカ恐怖論を出してくるのか私には理解不能です。まず、何故国債が膨れあがってるのか説明して欲しいですね。
まったくです。
目立ちたがり屋の「オオカミ少年」と、それに乗っかった民主党のプロパガンダです。
なんとも胡散臭い。
この論に同調する人は「反米」の気分かもしれませんが、実は左翼の戦略に踊らされているにすぎません。
増田俊男氏、森田実氏、どちらも臭すぎます。
本来は右のに位置する方が、なぜこんな連中の言い分を信じるのか理解不能。
投稿: 坂 眞 | 2005/08/20 12:12
坂さん、詳しいコメントに感謝します。
>なぜこんな連中の言い分を信じるのか理解不能。
私の場合ですが、
法案では、民営化後の株を10年以内にすべて売却しなければならいというようなことが書かれていたと思います。
時価総額がいくらになるのかわかりませんが、国内に受け皿があるのか?という不安が多少あったのです。
受け皿がなければ、期限を根拠に叩き売らなければならない状況になってしまうか?ということです。
株を握った勢力が資産を食い散らかす、そういった状況にならないかという危惧ですね。
(まあ、預金者に逃げられるような変なことはしないとは思いますが)
まあとにかく、逃げ場がないド田舎の唯一の金融機関ですから、合理性を追求されると切捨て等、いろいろあらぬ妄想込みで心配するわけです。(笑
せめて、外国人持ち株比率30%とかの制約(いつか撤廃するにしても)をつけるとか、そういったことですね。
いい案なのかは不明ですが・・・。
投稿: 岩手の田舎人 | 2005/08/20 18:54
よく見たらタイプミス
× カリカマ性
○ カリスマ性
大変失礼しましたm(__)m
つまり、古賀誠の自民党内での人望も知れている
と言うことを言いたかったのですので。
かような中韓の走狗の様な奴をのばらせては
いけません。ついでに加藤紘一も(ー_ーメ)
投稿: abusan | 2005/08/21 05:00
abusanさん、おはようございます。
加藤紘一、野田毅、河野洋平、「中国の友人」結構いますね。
みな、落選してほしいのですが、今回は自民党に勝利させるために、私はスルーします。
投稿: 坂 眞 | 2005/08/21 09:41
談合といえば鉄鋼ですよね。「鉄は国家」とか
いって日本の守護神だとおもっていたら、新日鉄、神戸製鋼、いろいろと鉄鋼株の頭目が道路公団談合で暗躍していたのですね。
特に新日鉄はポスコと共同戦線を張り出した頃から、日本なんてどうでもいいみたいな戦略をたてていますよね。産業には浮き沈みがあり、IT産業といえども例外ではないと毅然とした態度を、
日本のボロ金融界に示せなかったんでしょうか?
たしかに、新日鉄の借金も利益と同じくらい半端じゃないのでそんなこといえねえか?
それよりもこの十年金融機関は日本の足を引っ張ってきたがその足かせをとることに成功した。しかし、今まで小規模ベンチャーを育てることが出来なかったのを切実に反省して傲慢金融はやめるべし。融資は将来への目利きが主役になるべきで、目利きになるためにはある程度視野を狭めてスペシャリストであらねばならないと思う。
投稿: わだつみ | 2005/10/03 01:54