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2005/09/30

ムネオに怯える外務官僚(笑)

今回は笑えるけど、まじめな話です。

鈴木宗男、今回の選挙で復活したけれど、れっきとした刑事被告人である。彼が政界入りできたのは、当時のニューリーダーで首相候補の一人でもあった故・中川一郎氏(中川昭一経産相の父)の筆頭秘書だったからだ。
中川氏は、タカ派の反共主義者でありながら出身地(北海道・帯広近郊)の絡みで、
ソ連通としても有名だった。中川氏は自殺したが、米国に政治亡命した元KGB工作員が携行した極秘書類に「ソ連協力者」として名前が挙げられていたと言われる。
筆者も記憶している。ソ連崩壊後、旧ソ連の日本担当幹部が新聞紙上で、「ソ連は中川一郎氏にもっとも期待していた。彼の死は大きなマイナスだった」と語っていたのを。

中川氏の自殺は、「ソ連協力者」であることが暴かれ、スキャンダルになることを悩んだためという説。「ソ連協力者」が首相になるのを恐れた米国が自殺に追い込んだという説。ソ連から資金を受け取っていたことを、金庫番の鈴木宗男氏から問い詰められ、
追い込まれて自殺したという説。
様々な説があるが、真相は藪の中。ただ、鈴木氏が最後は中川氏を裏切る形になり、窮地にあった中川氏を自殺に追い込んだように当時は思えたものだ。
いずれにしても鈴木氏は、恩人である中川氏に後ろ足で泥を掛けながらも、そのソ連(現・ロシア)コネクションだけはしっかりと受け継いだのは間違いない。そして、親中派のボスであり、経世会の最高実力者であった野中広務氏の最側近として外務省に君臨したのである。

私は、鈴木宗男氏のスキャンダル発覚と逮捕・失脚は、対ロシア、対中国をにらんだ、小泉-米国ラインと野中-鈴木ラインの暗闘の中で起こったような気がしてならない。
鈴木氏が逮捕され失脚した時点で、野中氏=親中・親ロ派の敗北が決定した。野中氏も北朝鮮スキャンダルが暴かれるのを恐れて政界を引退した。
少々うがった見方かもしれないが、田中角栄氏の追い落としに米国が一枚噛んでいた事実を勘案すれば、下司(げす)の勘ぐりでは片付けられない。

少々前書きが長くなったが、本題はこれから。
鈴木氏が衆院議員に返り咲いたことで外務省がオタオタしている(笑)。鈴木氏といえば、声が大きく、その傍若無人ぶりは群を抜いていた。相手が次官であっても呼びつけて怒鳴り上げる。言うことを聞かないと恫喝する。
私は関係者から話を聞いたことがあるが、役人がもっとも嫌う政治家としてダントツのNo.1らしい。そんな鈴木氏が復活したので、なんと外務省が「対宗男マニュアル」を作ったというのだ(爆笑)

(以下、引用)

先の衆院選で鈴木宗男衆院議員(57)が返り咲いたことを受け、かつて「不適切な関係」として問題となった外務省が、なんと幹部職員向けに“ムネオ対策”のマニュアルを作成し、配っていたことが30日までに分かった。宗男氏の復活に対する外務省の戦々恐々ぶりを示すものと言えそうだ。

外務省がマル秘で「鈴木宗男衆院議員からの依頼等に対する対応ぶり」と題して作成していた対応マニュアルでは、「鈴木議員に対しても他の議員と同様、一国会議員として政と官の在り方を踏まえ、適切な関係を保つ」と強調。

そのうえで、宗男氏に説明を要求された場合は「原則的に対応する」としたものの、強い意見表明があった場合などは「官房総務課に相談と指示。外務省サイドから積極的に説明に行かないよう注意を喚起している。

また、会食や陳情への立ち会いなど事務的な説明を超える接触は原則行わないことやりとりの内容は文書にして報告することなども求め、宗男氏に会食に誘われた
場合は過去の経緯を説明し「当面辞退させていただきたい」と具体的な回答例を示し、“恫喝(どうかつ)”から逃れる術を伝授している。
(後略)

外務省が幹部職員向けに…“ムネオ対策”
(2005年9月30日 ZAKZAK)

本当に外務省の役人は意気地がないというか、お公家様集団というか。「もっとしっかりせい!」と言いたい(笑)。こんなことで狡猾な中国に対抗できるのか?強圧的な米国と渡り合えるのか?
せっかく鈴木氏を追い払ったのに、マニュアルがないと不安になるとは(苦笑)・・・
野中氏は引退、鈴木氏は刑事被告人、河野洋平元外相は衆院議長に祭り上げた。
加藤紘一氏も、次期首相候補・谷垣貞一氏に遠慮して派閥を離脱し無派閥に。古賀誠元幹事長にも復活の兆しはない。綿貫民輔、亀井静香の両氏は島流し(笑)。

やっと自分の国より他国の利益=己の利益を優先する政治家の勢力を削ぐことができた。これからが肝腎なんだよ外務省の諸君!東シナ海の問題もあれば北朝鮮もある。
主権外交を貫くには、政治家だけではなく、君たちがしっかりしなければうまく行かない。諸派の鈴木宗男ごときに「戦々恐々」とは情けない限りだ。
チャイナスクールやロシアンスクールなど、どこの国の外交官か分からないような連中は島流し。それくらいの覚悟でやらないと国民の信頼は取り戻せない。もう、これからは、「お殿様」と言われたような従来の感覚で外交ができる時代ではない。
東アジアは、世界でもっともキナ臭い地域の一つになったのだ。もっと自覚がほしい。

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政治(国内)」カテゴリの記事

コメント

この記事読んで、なんで日本にCIAやKGBのような情報機関がいまだに創設されていないのか納得できた。

( τωヽ)ニホンモウダメポ

投稿: ガンチ | 2005/09/30 22:43

この頃の気になる外交関連記事を。
外務省といえば、有名な?在中国日本大使館の阿南大使。
その息子が、トップクラスの中国人民解放軍の娘と婚姻関係にあるという仰天な話題・・・。
http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=431247&log=20050927
いくらなんでも、この話は信じられないのだが? ほんとなら、単なるアホだという証拠か? ムネオさんに負けて当たり前です。

阿南氏の輝かしい記録を手繰ると、
「(北朝鮮)亡命者、館外へ押し返せ」の指示はあまりにも有名。対中ODA削るな、とかね。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kokumin-shinbun/H14/1406/140619anami.html

で、中国に一生懸命尽くした挙句はこれ。「中国人いらっしゃいませ」の北側大臣とともに大恥。笑えます。
↓北側国土交通相と阿南大使のメンツが潰された『日中観光の夜』
http://beijing.exblog.jp/1764302/

さて、中国の崩壊の足音がまた高まってきました。↓遼寧省大連:日系企業ストライキに現地政府が介入
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/09/html/d84256.html
日本企業の味方をするとは、身から出たさびとはいえ、収拾つきませんね。

今日、おかしな裁判官?による靖国参拝違憲判決が出ましたけど、こっちもまた気になりますね。棄却だけしておけばいいものを、高裁で憲法判断とはこれいかに?

投稿: 岩手の田舎人 | 2005/09/30 23:07

ガンチさん、はじめまして。
日本に情報機関かぁ?
KGBでプーチンのことを思い出しました。
あるEU国のジャーナリストの質問で「子供の頃は何になりたかったですか?」というのがありました。
すると彼は「KGBで働くこと」と言っていたのです。
まったくもう、子供の頃からそんなことを考えていたのかぁ・・・。
当時のソ連のエリートとか、頭のいい人は「スパイ」を夢見てめざしていたんですねぇ。
プーチンは一筋縄でいかない顔していますね。

 

投稿: tachibana | 2005/09/30 23:07

岩手の田舎人様
初めて知った情報ですた。 ジャスコ岡田を越えてますなぁ…溜息。

>相手が次官であっても呼びつけて怒鳴り上げる。言うことを聞かないと恫喝する。
大声で怒鳴られると弱い、日本人の習性って外国人にもわりと有名。
日本人と利害が対立した時は、怒鳴りつければ言う事聞くって思われてる。
両家の子女が多い害無償では、免疫が皆無ってとこでしょ。 (笑
ま、せいぜいがんばって・・・


投稿: 玄米茶 | 2005/10/01 02:55

おはよう御座います。
外務省と絡んだODAを使い、特定企業に利益を与える。ムネオさんは、官・議員・企業癒着の典型的な人でしたね(地方に金を落とすのは悪い事ではないが)。多くの政治家が「日本を変える」と言い当選するが、その多くが日本の事ではなく地方の利益しか考えていなかった様に感じます。
もし親中・ロが日本に利益を生み出すならば快く受け入れるでしょうが、彼等は日本を利用するだけ。
私は、外務省は良い方向にまた1歩前進した、それも癒着議員の力が完全に殺がれたからだと認識しています。小泉後も逆戻りしない事を願います。

投稿: NZ life | 2005/10/01 07:07

阿南の記事?本当ですか、本当なら正に異常ですね。
自分から大使を辞めるのが普通の人間の姿でしょうに、息子も息子、こりゃ外務省てのは日本の「ゴミだめ」みたいな気がして来ましたよ。
いやあ、まいった、まいった。

投稿: 古田 | 2005/10/01 11:28

はじめまして、いつも読ませて戴いてます。
このニュースは本当にがっかりしました。今までチャイナスクールは思想と利権からと考えていたが たんに腑抜けのおぼっちゃまだったということか。宗男ごときにこれなら懐柔恫喝がお得意の中国には赤子の手をひねるより簡単なわけだ。ゴギられたら後を追いかけてお土産お届けする北川のような男は徹底して舐められますからね。信念を持って対立する相手には一目置くのは中国だけではないでしょう。小泉氏は大阪高裁のバカ判決に屈しないでほしいです。

投稿: az | 2005/10/01 14:30

はじめまして、いつも読ませて戴いてます。
このニュースは本当にがっかりしました。今までチャイナスクールは思想と利権からと考えていたが たんに腑抜けのおぼっちゃまだったということか。宗男ごときにこれなら懐柔恫喝がお得意の中国には赤子の手をひねるより簡単なわけだ。ゴギられたら後を追いかけてお土産お届けする北川のような男は徹底して舐められますからね。信念を持って対立する相手には一目置くのは中国だけではないでしょう。小泉氏は大阪高裁のバカ判決に屈しないでほしいです。

投稿: az | 2005/10/01 14:30

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。
害務省、やはり皆さんお怒りのようで・・・
当たり前か(笑)
ところで在中国日本大使館の阿南大使の件、本当なら大問題ですね。
阿南個人に止まらず、政府レベルで対処すべき問題だと思います。
今後とも害務省の動向には要注意です。

投稿: 坂 眞 | 2005/10/01 14:44

坂さん。
今年のノンフィクションの大傑作と評価の高い「国家の罠」ですが、坂さんの評価はいかがですか?影響されやすい私は、鈴木氏に対する評価をガラリと変えられました。国益について深く考えさせられました。宗男=罪人、外務省=悪、そんな単純じゃないですね。

投稿: 初心鹿 | 2005/10/01 15:09

横レス、失礼します。
 「国家の罠」は、第一線の情報分析官の検察(政府)告発ですから、確かに面白いですね。ただ、佐藤優氏の弁明であることを差し引いて読むべきではないかと思います。宗男氏についてネガの部分がきれいに、落ちている。
 私の感想は、外務省も鈴木宗男もどうしょうも無いけど、小泉氏の田中・川口とつないだ人事は最悪で、対ロシア外交、ひいては対中国外交に致命的な悪影響を与えたと思います。
 といいながら、小泉氏と野中の抗争で、野中・宗男を追い出さなければ、宗男が政府のさらに中枢に近づいたと想像すると、ゾッとします。

投稿: toshi | 2005/10/01 16:39

初心鹿さん
toshi さん
コメントありがとうございます。
「国家の罠」、不勉強にして読んでおりません。
新聞で書評を読んだときから、読みたい本の一冊でした。
今度、読んでみます。
政治も外交も、角度を変えるとまったく違って見えますからね。
田中角栄氏も金権政治家の代名詞みたいに言われますが、極めて高く評価する人たちもいます。
鈴木氏も、スケールは小さいですが、似たところがあります。
地元で人気があり、弱者の視点を持っているということです。
野中氏もそう。
売国的な利権政治家に見えますが、サリン事件のときの言動は素晴らしいものがありました。
正義感が強く人道主義者的要素が強い。
3人に共通しているのは、出自が貧しい(田中→豪雪地帯の貧農、野中→被差別部落、鈴木→貧しい開拓農家)。
たたき上げの党人派でもあります。
たたき上げの党人派は、官僚出身者や世襲議員と違って、後ろ盾がない分、汚れたカネに手を出さざるを得ない。汚職で逮捕された政治家は、たたき上げの党人派が多い、という説を聞いたことがあります。
3人とも、まさに小泉首相とは対極にありますね。
>田中・川口とつないだ人事は最悪<まったくそう思います。
特に田中真紀子はバカです。断言する!
いずれにしても、鈴木氏や野中氏は古い時代遅れの政治家で、もはや退場すべき存在以外の何ものでもありません。

投稿: 坂 眞 | 2005/10/02 16:30

>チャイナスクールやロシアンスクールなど、どこの国の外交官か分からないような連中は島流し。

これに関して、元スウェーデン外交官によるロシア分析をTBします。著者は長年にわたってロシアやウクライナの資本主義化にたずさわった生粋の「ロシア・スクール」で、現在は米カーネギー国際平和財団の上級研究員です。

本当のロシア・スクールとはこれくらい厳しい態度でロシアに臨むべきという見本を示してくれます。

同時に、日本だけでロシアに対処してもスターリンに裏切られた例があります。ヨーロッパをしっかり念頭に置かないと対露外交は成立しないでしょう。・・・ムネオごときに戦々恐々では情けないです。

投稿: 舎 亜歴 | 2005/10/03 18:54

舎 亜歴さん、おはようございます。
貴エントリー拝見しました。
日本の害務省もこうあってほしいもの。

>ムネオごときに戦々恐々では情けないです。

まったくです。

投稿: 坂 眞 | 2005/10/04 11:20

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