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2005/11/06

中国【民主化の小崗】挫折

私は、過去のエントリー「中国:農村から起こる地殻変動」の中で、広東省太石村で
起きた農民の抗議行動について以下のように書いた。


農地を巡る農民と行政当局の争いは、今の中国では珍しくない。が、今回だけは様相が違う。農民の抗議行動が、これまでのような「実力行使」や「中央政府への直訴」ではなく、「リコール運動」という法的手段を通じて行われたからだ。
これは、農村における民主化運動の萌芽とも言える。この動きは、「民主化の小崗」(注-1)と知識人らに注目され、民主化の「星火」になるのではと期待された。
つまり、民主活動家(知識人)が農村に入り込んで農民を啓蒙し指導している。そして米国政府に、「抗議デモを指揮した農村の民主活動グループと連絡を取り合っていく」と言明させるところまで波紋を広げたのである

実際に、米政府高官は以下のように言及している


エレリ国務省副報道官は「我々は太石村での暴力行為に懸念を抱いており、中国政府にもそうした懸念を伝えた。農村の民主活動家が暴力を受けたほか、外国人記者も
脅迫された」と語り、重ねて懸念を表明した。
米政府は引き続き、抗議デモを指揮した農村の民主活動グループと連絡を取り合っていくと言明。中国政府が太石村の関係者を徹底的に捜査し、加害者を摘発するよう
求める姿勢を示した。
(参照:2005年10月12日 日本経済新聞)

ところが結果は、「やっぱり」なのである。
今回は、中央政府直属の社会科学院研究者も、地元当局を「権力乱用」と批判した。人民日報も、「村民自治の模範」と高く評価し、賞賛する記事を掲載した。
農民を支援するグループは、「地方の横暴を黙認すれば、中央はこれと共謀しているに等しい」と言って中央政府の介入を求めた。
さすがに中央政府も座視しているわけには行かなくなり、調査チームを派遣した。が、そこまでで終わりである。調査の結果、腐敗が省幹部らに及ぶことが分かったため、
中央政府は深入りを避け、事態を放置したのだ。
その結果、正当な法的手続き(「村民委員会組織法」)を踏んだにもかかわらず、農民による村幹部罷免の運動は挫折させられた。

中国政府は、ここのところ、国内の民主化が進展していることを世界に向かってアピールしている。既に「村」レベルでは、全国66万カ所以上で村長選挙に直接選挙を導入しており、今後はより高いレベルまで直接選挙を拡大して行くと。
最近では、ブレア英首相との会談前の記者会見で、温家宝首相が「中国は、断固として民主政治の発展を推進する」と大見得を切っている。


[北京 5日 ロイター]中国の温家宝・首相は、欧州連合(EU)との首脳会議に先立つ記者会見で、中国は確実に民主化へ向かっているとの認識を示した。
首相は、「中国は、断固として民主政治の発展を推進する。これは、直接選挙を含めた再建策を意味する」と述べ、「中国人民が村を管理できれば、数年後には町を管理できるだろう。そういう進化するシステムになる」と語った。
中国は66万カ所以上の村で、村長選挙に直接選挙を導入しており、当選者の多くは
共産党員ではない。しかし当局は、より高い地位の選挙への選挙権拡大については、二の足を踏んできた。
温家宝・首相はかつて、中国は広大で人口の多い発展途上国であり、教育水準が
十分ではないとして、選挙拡大の遅れを擁護していた。
(2005年9月6日 ロイター)

しかし、いかに「民主化」の大見得を切っても、「衣の下から鎧」である。それを実証したのが、今回の広東省太石村における農民の抗議行動をめぐる一連の騒動である。

nouminminsyuka中国広東省太石村で、村民を包囲する警官隊
2005年9月12日(AP)
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(以下引用)

中国広東省広州市郊外の太石村で、幹部に汚職があったとして地元農民が約3カ月間続けた罷免運動が挫折した。疑惑幹部を罷免直前まで追い込んだため「中国の草の根民主主義の歴史に残る事件」(中国の民主活動家)とも評されるが、失敗の背景には当局の圧力があり、民主化の壁の厚さがあらためて浮き彫りとなった。

人口約2000人の同村の農民らは7月、知らない間に農地が収用されたなどとして、
幹部の罷免を求めて役場前で抗議を開始。村当局は当初、多数の農民を拘束し、役場前で会計帳簿を監視していた農民らを放水銃で追い払った。

農民らは9月、「村民委員会組織法」に基づき、幹部罷免のために必要な有権者の5分の1以上の署名を集めて抵抗。当局は罷免が妥当かを問う村民投票を10月に実施すると宣言した。

ハンストなど平和的手段で粘り強く展開した運動は一時「村民自治の模範」(人民日報華南版)と中国メディアも称賛。しかし、地元当局は水面下で反撃を展開した。

「署名を撤回すれば拘束中の家族を解放する」「撤回しなければ水や電気を止める」。村民投票の実施宣言直後、農民らは当局側からこんな通知を受けたという。当局は
罷免運動を「(人権活動家らに)扇動された農民が違法に集結した」とし、帳簿公開も
しないまま疑惑を否定。署名も相次いで撤回され、村民投票は立ち消えになった。

当局は農民らの要求撤回が「自主的」と強調する一方、外部との接触や地元紙の報道を厳しく制限。取材に訪れた香港紙記者は当局が雇ったとみられる男らに暴行を受けたという。

温家宝首相は9月、北京でのブレア英首相との会談前の記者会見で「直接選挙の実施を含め民主政治を発展させる」と強調。太石村での事件を念頭に置いた発言とみられている。

地元当局の対応については、中央政府直属の社会科学院研究者も「権力乱用」と
批判。罷免運動の支援者は「地方の横暴を黙認すれば、中央はこれと共謀しているに等しい」と、中央政府の介入を求めた。

しかし「中央政府は調査チームを派遣したが、腐敗が省幹部らに及ぶことが分かったため、積極的に処理しなかった」(香港誌、亜洲週刊)との報道もある。地方官僚の汚職が各地で相次ぐ中、太石村の運動が成功すれば全国に飛び火するとの懸念があったとみられる。
(共同)

中国で「草の根民主主義」が挫折 農民、幹部罷免できず
(2005年11月5日 産経新聞)

中国に「民主選挙」が定着しないのは、温家宝首相が言うように「中国は広大で人口の多い発展途上国であり、教育水準が十分ではない」からではない。
そもそも歴史的に、統治者をまともな選挙で選んだ経験が一度もない。強権で支配され、隷従を強いられることが国民の意識の中で当たり前になっているのだ。
現に、中共の支配自体が、強権で抑圧し隷従を強いる体制そのものではないか。そこには「公平」や「公正」という概念はない。搾取と抑圧、不法と無法がまかり通る社会である。
やはり中共が支配する限り、どんなに格好を付けても、滑稽な“猿芝居”にしか見えないのだ(笑)。

「断固として民主政治の発展を推進する」などと力むより、「我が国民は公序良俗の
意識に欠け、教育水準も極端に低いから、強権支配しないと国が崩壊する。こんな国で民主主義だなんて、“豚に真珠”“猫に小判”だ」と開き直った方がよいのではないか(笑)。


(注-1)「民主化の小崗」
安徽省は1978年、百年ぶりの大干魃(かんばつ)に見舞われ穀物生産は壊滅。農民たちは続々と上海などに物ごいに出た。被害を大きくしたのは、農民の意欲を奪った人民公社という集団経済制度だった。
同省鳳陽県の小崗村。村の二十戸からなる生産隊(人民公社の末端単位)の二十一人は同年暮れ、死中に活を求め密約を結ぶ。生産隊の田畑を各戸に分割、それぞれが生産に責任を持つ請負制の取り決めだ。人民公社制への反逆だった。
当時の華国鋒政権は通達で請負制を禁じ、党機関紙「人民日報」が批判キャンペーンを展開。これに対し、安徽省の万里・党第一書記(当時)は「人民日報は農民を食わせられるのか」と小崗農民を支持した。
79年、小崗生産隊は平年の四倍という穀物大増産を達成。80年5月、既に政権の実権を掌握していた鄧小平氏が高く評価したのを機に請負制は全国に広がり、やがて人民公社は崩壊する。

関連記事:中国:農村から起こる地殻変動

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コメント

こんばんは
中国農民も大変ですね。作っても、衛生問題で海外には出荷できず、地主や役人に利益を吸い取られ、土地は自然破壊で枯れ果てる。踏んだり蹴ったりですね。
「中国が民主化できるはずがない」誰もが感じていると思います。利権を握った者がそれを手放す筈も無いし、国民にそれを判断する能力も無ければ、抵抗する術も無い。民主化になる前に崩壊が先でしょう。今回の日本の選挙でもそうでしたが、利権政治家は生き続けてますし(今回は国民の判断でかなり減ったが)。中国にモラルを求める事は不可能です。
ps.夏到来、ショッピングセンターにSyogunとかYokozunaとか日本名を付け絵の付いた花火が沢山ありましたが、全部Made in Chinaでした。暴発しそう。

投稿: NZ life | 2005/11/06 19:34

http://news.goo.ne.jp/news/jiji/kokusai/20051019/051019030405.642xhnbg.html

中国の民主主義は「共産党が指導する人民民主主義」なのだそうです。中共は勿論民主化などする気がない訳ですが、それ以前に民主主義がどういうものなのか分かっていない節があります。人民にも何千年にも渡る奴隷根性が染み付いています。漢民族の民族性というのは、世界で一番民主主義に不向きなのかもしれません。

投稿: masa | 2005/11/06 19:58

 こりゃやっぱり、坂眞さんのおっしゃるように、共産党支配の終焉は近いですな。国家分裂の可能性も高い。
 ただ、経済面に関してはまったく別の話で、共産党一党支配が終わっても、相変わらずの安値攻勢で、も労働集約型産業に関しては、世界中をかき回すような気がします。中国人の金儲けへのバイタリティーはすごい。

投稿: 三等水兵 | 2005/11/06 23:40

皆さん、おはようございます。
コメントありがとうございます。

>中国の民主主義は「共産党が指導する人民民主主義」なのだそうです。

そして共産党は「民主集中制」(笑)
まさに民主主義の何たるかが解っていない。

>民主化になる前に崩壊が先でしょう。
>共産党支配の終焉は近いですな。国家分裂の可能性も高い。

早晩、そうなるでしょうね。
が、しぶとい中国人は生き残る。
世界中に拡散して、金儲けと犯罪に励む。
「勘弁してくれえ・・・」という状況になるのでは(笑)

投稿: 坂 眞 | 2005/11/07 11:50

中国の民主化は本当にあり得るのだろうか? 答えはノーだそうです。

↓何清漣:中国共産党に迎合する世界メディア、その裏側を分析
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/10/html/d95992.html

投稿: 岩手の田舎人 | 2005/11/07 20:25

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