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2005/11/14

中国バブルに黄信号点灯

朝日新聞に山田厚史という編集委員がいる。
朝日が全般的に中国の提灯記事を書く傾向にある中で、この編集委員だけは少々
毛色が違う。 山田編集委員は、AERA・2005年5月16日号「人民元切り上げ問題が
はらむ中国リスク
」の中で以下のように書いている。


(前略)
中国のGDP(国内総生産)は04年までの10年間で3倍になった。次の10年で日本を
追い越す規模になる見通しだ。米国に匹敵する大国になる中国をこのまま放置して
いいのか。(米国の)「切り上げ」論には、そうした思いがある。[()は筆者 ]

(中略)

(人民元の切り上げは)中国製品が値上がりするなど、消費者にとっても多少影響は
あるだろうが、相殺すれば日本にとってさほど大きな影響はない。[()は筆者 ]

ただし、それは通貨調整が中国経済に衝撃を与えなかった場合の話だ。問題はリスク・シナリオが現実化した時だ。都市の不動産バブル、国有企業の赤字、銀行の不良債権など中国には波乱要因が溜たまっている。海外からの投資と高成長が問題の噴出に蓋をしてきた。マネーの逆流が経済の屋台骨を揺るがすことはアジア通貨危機でも
経験した。

(中略)

不動産価格の高騰は上海や広州(クワンチョウ)など沿岸部にとどまらず、重慶(チョンチン)、成都(チョントゥー)、西安(シーアン)など地方都市に広がっている。赤字の国営企業まで子会社を通じて投機に走っているといわれる。バブルが弾ければ企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業の増大という負の連鎖が始まる。

中国バブルの崩壊は、きっかけが予測もつかない。元切り上げに当局が慎重なのも、引き金になることを恐れているからだ。

13億人の中国が混乱すれば世界が揺さぶられる。最大の問題は失業だろう。高成長の現在でさえ3億5000万人の「不完全就労」がある、と推計される。高成長が挫折すれば、億単位での失業の増加も予想される。職を失った人が周辺のアジア諸国に流出し、人口流動に拍車がかかる。

08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない。

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まさに、私がこれまでに書いた「中国崩壊」の可能性に言及したエントリーと同様のことを書いているのだ。
中国の現状に対して強い懸念と苦言を呈した「中国--貧しい人を救えるのか」という2005年10月14日付けの【社説】も、山田氏が書いたのではないか(論説委員は編集委員も兼務している場合が多い)。

ところで、この山田氏が、いよいよ「中国バブル」の崩壊に言及した記事を書いている。「be on Saturday」の「読み・解く」の中の「中国バブルに黄信号」という記事である。
以下は、山田氏の書いた記事からの引用である。


2010年の万博を目指し、建設ラッシュが続く上海。熱気の陰でマンション価格が下降線を描き始めた。「上海で売り出されたマンションの平均価格は1平方メートル1万元を
超えた4月がピーク。最近は7000元台まで下がっている」

みずほ総研中国室の劉家敏さんは警告する。「販売の重点が中所得層へと移っていることもあるが、不動産相場に調整が始まったようだ」と。夜の上海を歩くと半分も明かりがともっていないマンションを見かける。投資目的でたまにしか住まない。あるいは転売先や借り手が見つからない物件だ。

買っているのは、まず華僑を中心とする香港など海外の投資家。沿岸都市には外国人が増えているが、まともな住宅は少ないから値上がりする、人民元が切り上がれば
値上がり益+為替益で二重にもうかる。そんな思惑から投機資金が不動産に向かっている。

買い手は国内にもいる。国有企業の改革で「格安社宅」がなくなり、貯蓄をはたいて
買わなければならない。ところが買ったマンションがどんどん値上がりする。目端の利いた人は銀行からカネを借りてまた買う。3軒目を買ったという人も珍しくない。年金制度が整っていない中国で、マンション投資は老後に備える財テクになった。

買えば値上がり、建てればもうかる。そんなムードに乗って上海のマンション価格は04年、平均世帯の可処分所得の12年分を超えた。庶民に手が届かない豪華マンションが多く、建設ラッシュが供給過剰を起こしている。

(中略)

価格下落が売りを誘い、売るから下がる、という下降サイクルに不動産市場が陥れば、海外からの資金流入は細るだろう。銀行の不良資産は膨らむ。建設ラッシュにブレーキがかかる。

高度成長の持続は中国政府の大命題である。拡大する貧富の差、農村が抱える潜在的な失業、国有企業の経営難、もろもろの難題を封印するためインフレを起こさない
範囲で経済を噴かし続けることが今の中国に必要とされる
成長率が9%を下回ると
矛盾が噴き出すとも言われる
。経済の過熱を引き締める、といいつつも当局が短期金利を低めに誘導しているのは、不動産市況の下支えを狙っている、とも読める。

上がりすぎた相場は下がる。市場の変動は為政者の思いのままになるものではない。ぱんぱんに膨らんだ中国経済に、不動産相場の変調がプスッと穴をあけるかもしれない

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1㎡が1万元ということは、円に換算すると約15万円になる。
私が住んでいるところは、東京都心から直線距離で約20km、電車で30~35分である。この地域における70㎡の新築マンションの価格は3千5百万円前後である。
同じ広さのマンションが、4月時点の上海では約1千万円だったということだ。物価の
違い、所得の格差を考えれば、この価格は尋常ではない。

山田氏は、この1千万円を平均世帯の可処分所得の12年分と書いている。確かに上海の2004年の一人あたりGDPは5300ドル余りに達しており、これは我が国の約6分の1に相当する。
が、上海の工場者の月収は1万~1万5千円である。したがって、上海の一般庶民からすれば、50~80年分(一生涯分)の収入に相当する価格であると言える。
このバブルマンションの価格が一気に3割も下落した。まさにバブル崩壊の前兆であろう。

バブル崩壊がいかに深刻な負の連鎖を引き起こすかは、1990年代初頭の我が国、
そして90年代後半の「アジア通貨危機」でも経験した。
我が国は立ち直るのに10年以上の時間を要した。アジア諸国は比較的に短期間で
立ち直ることができた。が、アジア諸国の経済規模は極めて小さい。最大の韓国で
さえ、経済力は我が国の7分の1にすぎない。
ところが中国の経済規模は、既に我が国の3分の1の経済規模に達している。しかも
人口は13億人を超える。不完全就労者は3億5千万人にのぼり、1日の収入が1ドル
未満の貧困人口は1億7千3百万人いるとされている
(アジア開発銀行の今年9月の報告)。
「中国危機」は90年代後半の「アジア危機」の比ではないのだ。

人民元の切り上げが経済の失速を招き、それがバブル崩壊を加速させる。バブル崩壊は、さらなる景気の後退につながる。そして、企業倒産→銀行破綻→さらなる経済失速→失業の増大という負の連鎖が始まる

人民元のより一層の切り上げは絶対に避けられない。それも最低でも10%。中国政府直属の社会科学院経済研究所の報告によると、切り上げ幅が5%で失業者は最大300万人以上。20%だと、1千万人以上にのぼると予測されている。
一方においてバブルは崩壊の兆候を見せ始めている。

山田氏が言うように「08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と
見られているが希望的観測の域をでない
」のが現実である。
いかに独裁政権とはいえ、市場の変動は為政者の思いのままになるものではない。
まさに「中国崩壊」のカウントダウンが始まった、そんな気さえする。

参照記事1:調和社会へ中流層拡大 社会・経済保障政策に重責
       (2005年11月12日 フジサンケイ ビジネスアイ)
参照記事2:中国バブルに黄信号
       (2005年11月12日 「be on Saturday」)

関連記事:人民元切り上げがもたらす恐怖

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コメント

坪じゃないと感覚が解らない俺みたいな人は
JavaScriptによる単位変換
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これがオススメですよ。東京ドーム算もできちゃう。

ところでこんな事やってます。良かったら見て下さいな。紹介してくれても嬉しい。
ザビ家販促 竹島の日のお礼に島根のお歳暮を!「買えよ国民!」
http://d.hatena.ne.jp/torix/20051107
そろそろ経済活動に結び付けないとなとか思いまして。保守政策が地方の利益になった例でも作れたらと良いなと思ってます。

投稿: Tori | 2005/11/14 17:00

新聞では誰が書いたのかわからない匿名記事が多いのが気になります。
記事に責任持たないという姿勢がにじみ出ているような感じがしますけど、どうなんでしょうね? ネットの記事と変わらない部分があると思いませんか?
そういえば、日本特有なのかな?

投稿: 岩手の田舎人 | 2005/11/15 01:25

NZに来てから、2つの事に気づきました。
1.デフレでも日本の物価は高い。逆に言えば、それだけ所得が多いという事です。ex日本の中華料理は高くてうまい。ココは3-4人でタラフク食っても日本の1人分ぐらい。
2.例えば東京都の○○と言う地区には大会社の社長さんも住み、下宿のアルバイターも住む。個人格差・地域格差(1部高級住宅地はあるが)はかなり少ない。ココでは金持ち地域と貧乏地域でハッキリ分かれる。(中国人所有のアパートはベッドルームの壁が黄色い、by風水。)
コレは上海やソウルにも言えます。
先日、上海で不動産関連の仕事をしていた日本人が、「バブル崩壊のラストスパートに入ったから、逃げて来た」と申しておりました。2010年までもつかは疑問です。

投稿: NZ life | 2005/11/15 05:12

私は新規開拓営業研究所というサイトを運営しております大和と申します。
この度、このサイトを見つけ、大変為になる素晴らしいサイトだと思い、ぜひリンク
させていただきたくメールをさせてもらいました。

もしよろしければですが、当サイトをリンク集に加えていただけないでしょう
か?

当サイトも習って、今後素晴らしいサイトにしていくつもりです。
当サイトはアクセスアップにかなり力をいれており、各種アクセスアップの業者に依
頼して日々アクセスアップに努めており、納得のいくヒット数を提供できるようにがんばっ
ていきます。

です。もし相互リンクがOKでリンク完了いたしましたら、メールをいただけるとあ
りがたいです。

では、どうぞよろしくお願いいたします。


■新規開拓営業研究所 管理人 大和 良太郎■

URL http://www.shinki-kaitaku21.com/
E-mail info@shinki-kaitaku21.com

投稿: 新規開拓営業研究所 | 2005/11/15 08:10

 北京へ行って夜の街を通る度に不思議に思ってました。高層マンションはたくさん建ったけれども灯りがついている部屋はほんのわずか。これで本当に採算がとれてるんだろうかと。
 昔と違って街中に灯りはあふれているけれども、大半はパチンコ屋の電飾と同じで、要するに豊かさの演出にすぎないということなんですね。根拠のない経済成長率の数値も何ですが、この国は自己愛人格障害国家なんじゃないでしょうか。

投稿: duzhe | 2005/11/15 09:47

夜の電飾などで明るいという事は、電力を無駄に消費しているという事です。発電所で使う重油、石炭が無駄な
電飾になって消えていきます。電球が多用されていると、電球はエネルギーの3%くらいしか光に変換されず残りは熱に変わります。
・中国の石炭灰が南極、北極の氷に付着し融雪剤となり
 氷が激しく溶けている
・二酸化炭素放出量がもうすぐ(今は?)世界一である
・エチゼンクラゲ大発生の原因は、海にリンなどが流れ
 込み、豊栄養化で汚れきったため。
 
 中国バブル崩壊で反省し、地球にやさしい経済発展に
なってほしいですね。

投稿: 普通の国民 | 2005/11/15 14:30

すみません
 石炭灰 ー> 石炭を燃やした時に出るすす
に訂正いたします。

投稿: 普通の国民 | 2005/11/15 14:33

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。
中国、原因は上部構造は社会主義独裁、経済はむき出しの(弱肉強食の)資本主義という「超変則」な体制にあります。
が、胡耀邦が失脚しなければ、まだここまでひどくはなっていなかったと思います。
アホな江沢民が首領になった。
自業自得ですが、我が国もかなり迷惑を受けそうな気がします(泣)

投稿: 坂 眞 | 2005/11/15 15:27

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