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2005/11/11

朝日も認める中国の前途多難

私は、これまで再々にわたって中国の実情及び中国崩壊の可能性について言及して
きた。
その中で私は、早ければ2008年の北京オリンピック後、遅くとも2010年の上海万博後には、中国は深刻な危機に直面すると書いた。
私は、その要因として次の点を挙げた。

①非効率的で赤字の国有企業群と巨額の不良債権をかかえる国有銀行
②地域間及び階層間における経済的格差の急激かつ極端な拡大
③3億5000万人にのぼる不完全就労者の存在
④共産主義イデオロギーの崩壊に伴う社会的規範の喪失と宗教的な社会倫理の欠如
⑤世襲される政治権力=「太子党」の増殖=政治・経済の独占と私物化
⑥官僚組織における汚職の横行と社会に蔓延する拝金主義
⑦頻発する暴動・騒乱、深刻化する治安の悪化(民衆暴動は昨年約7万4000件発生)
⑧資源的制約の顕著化と慢性化するエネルギー不足
⑨国民の生存権を脅かすまでになった急激な自然破壊と環境汚染
⑩社会的平等と政治的自由を求める動き

今の中国は、今年中に外貨準備高世界一、貿易黒字額世界一を達成する勢いである。GDPの成長率も依然として9%を超える見込みであり、高い水準の成長を維持している。
しかし、その背後には上記のような極めて深刻な「負の要因」を抱えているのである。

上記の負の要因は複合的なものであり、一朝一夕に解決できる問題ではない。
高度成長が負の要因に蓋(ふた)をしている。しかし逆に見れば、高度成長が負の要因をますます深化させている。つまり、負の要因と高度成長はメダルの裏表で、自転車のようにこぎ続けなければ倒れてしまうのである。
自転車のようにこぎ続けることができなくなる=つまり経済の失速--その引き金に
なるのが、人民元の変動相場制への移行と、それに伴う為替レートの大幅な切り上げである。

中国共産党は、10月に開催された中央委員会第5回総会において、成長至上主義から「持続可能な発展」路線への転換を目指す「第11次5か年計画」(2006~10年)の基本方針を採択した。
具体的な目標は、2010年の1人当たり国内総生産(GDP)を00年から倍増させ、またGDPに対するエネルギー消費の割合を05年比で20%縮減するというものだ。

総会は、全国民が改革の成果を享受できる「調和社会」の建設加速を強調する声明を発表した。
この声明は、胡錦濤総書記の新指導思想「科学的発展観」に基づくもので、江沢民
時代の成長至上主義を排し、貧富の格差是正、資源節約、環境保護などに重点を置く内容になっている。
声明はまた、リサイクル経済の発展と健康で文明的な消費モデルの確立を目指すと
している。
(参照:2005年10月12日 読売新聞)

つまり、「第11次5か年計画」は、深刻化する一方の「負の要因」に対する中共なりの
処方箋であり、それが胡総書記の基本的考え方なのである。
しかし、高度成長を維持しながらエネルギー消費の割合を縮減し、環境を保護する。
政治的・社会的体制はそのままで貧富の格差を是正し、健康で文明的な消費モデルを確立する。
こんなことが果たして可能なのであろうか?

中国は今現在において、1GDPあたりで我が国の9倍ものエネルギーを消費する産業構造なのである。革命的な産業構造の変革がなければ、エネルギー消費の割合を大幅に縮減することなどありえない。
国務院の調査では、一人当たり平均の年収が約12,000円、月収にして1,000円以下の人たちが8600万人もいる(実際はもっと多いと思われる)。
その一方においてベンツなどの高級車が飛ぶように売れる。上海や北京、広州などの大都市では、自動車保有台数が百世帯当たり20台以上に達している。

今の中国は共産党中央のコントロールが効かない状態にある。
これは「先に豊かになれるものから豊かになれ」という、一時的な経済格差を容認した鄧小平の「先富論」がもたらした必然的結果である。
地方政府は我先に外資を呼び込み、低賃金の力と組み合わせて輸出を伸ばすという形の経済成長を実現してきた。その過程で地方官僚は、政治権力と経済的富を
独占・私物化し、自らを肥大化させた。
胡総書記が、国土の均衡ある発展という本来あるべき姿に戻したくても、地方が独自に(=勝手に)発展を遂げ、ここまで経済規模が拡大した今では、それは不可能に近いと言わざるをえない。

実際に、中国共産党政治局員も兼任する張徳江・広東省党書記も、地域間の極端な
貧富の格差を前にして、「広東省は長期的な目標として、中流階級社会(小康社会)の実現を目指しているが、それは夢のような話だ」と本音とも弱音とも取れる言葉を吐いている。
ちなみに広東省は、珠江デルタ経済圏を抱える、中国でももっとも豊かな省である。

以上のような、これまでのエントリーにおける私の分析は何に拠っているか。それは
讀賣、産経、日経、毎日等の新聞各紙であり、TV情報であり、中国人や日本人の経済学者の論稿である。
もちろん参考にした資料の数は膨大なものになる。
が、それでも「そうではない。その見方は偏りすぎている。中国はこれからも発展を続ける」と反論される方もおられるかもしれない。
そういう方に読んでもらいたいのが、以下の朝日新聞の社説である。
「親中共」で名高い朝日新聞は、めったに中国のマイナスになるような記事は書かない。その少なさは、産経や讀賣はもちろん、毎日や日経に比べてもはるかに少ない。
が、その朝日新聞が、私の分析を裏付けるような記事を書いているのだ。
さすがの朝日も、中国の現状を黙視できず、内心に秘めていた懸念と不安を吐露せざるをえなくなっているということだろう。

(以下引用)

「病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない」「病気になったら
焦る。焦る。病気になったら、計画経済が懐かしい」

中国ではやっている中国式狂歌である。最近、医療への不満をぶちまける歌が増えている。

計画経済が中心だったころは、職場が医療費を負担した。だが、市場経済化に伴って、国有企業が次々に解体し、多くの人たちが医療費を自分で工面しなければならなくなった。おまけに、病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくない。
貧しい人は病院に行けない
のだ。

中国の経済発展はめざましいが、国民の収入の差は大きい。国家統計局が都市住民の収入を調べたところ、上位10%の人たちに富の45%が集まっていた。下位の10%の人たちは2%も得ていない。

医療だけでなく、福祉や年金の制度もくずれたため、貧しい人たちの生活は悲惨だ。
このままでは5年後に社会がもたなくなる
、と政府系の賃金研究所でさえ警告している。

一方、農村では開発のために、ただ同然で田畑を取り上げられた農民の暴動が頻発している。背景には地方官僚と開発業者の結託が目立つという。親中国の香港紙によると、一昨年には中国で6万件の暴動が起きた。

そんななか、中国共産党中央委員の年に1度の全体会議が北京で開かれた。06年から10年までの第11次5カ年計画の方針が採択された。

10年で1人あたりの国内総生産(GDP)を00年の倍にする。同時に20%の省エネをめざす。そうしたことが方針に盛り込まれた。

現在のような高い成長率を保ちつつ、できる限り資源やエネルギーを大切に使っていこうというのだ。

こうした方針の転換には、国家主席を兼ねる胡錦涛総書記の考えが反映している。
これまでの発展至上主義だけでは、資源やエネルギーが足りなくなって、いつかは行き詰まる。人々の生活も壊れてしまう
。そんな危機感の表れだろう。全体会議は深刻な格差についても「緩和に努力する」と約束した。

問題はどうやって実行するかである。格差を縮めるには、個人や企業から所得に見合う税金を徴収して、医療や福祉にあてる再配分システムをもっと充実させることが必要だ。多くの人たちを生活苦から救うためには、税制や財政の思い切った改革が欠かせない

さらに、国民の声が政策に反映する民主的な仕組みができない限り、貧しい人たちの不満は収まらないだろう。

全体会議が閉幕した翌日、2人の飛行士を乗せた有人宇宙船「神州6号」が打ち上げられた。07年をめどに月探査も計画する。08年には北京五輪もある。

光り輝く計画の一方で、影の部分に本当に光をあてることができるのか。世界がその
成り行きを見つめている。

中国--貧しい人を救えるのか
(2005年10月14日 朝日新聞【社説】)

「全体会議が閉幕した翌日、2人の飛行士を乗せた有人宇宙船「神州6号」が打ち上げられた。07年をめどに月探査も計画する。08年には北京五輪もある」
社説のこの下りは、「有人宇宙船や北京五輪で浮かれている場合ではない」という朝日なりの警鐘とも読める。いずれにしても、朝日新聞的眼から見ても「中国は前途多難」「この先どうなるか分からない」ということだ。

なお、有人宇宙船は「神州6号」ではなく「神舟6号」である(笑)。書きたくなかった記事を書く破目になって、中国様自慢の宇宙船の名前を取り違えたってか(爆笑)。

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中国崩壊シリーズ」カテゴリの記事

コメント

何かで読んだんですが、米国の政治家が「日本の右派はあまり中国崩壊論を言わない方がいい」と言っていました。中国をこれからの市場としたい人にとって崩壊論は都合が悪いのでしょうね。日本は豊かになってもそれほどアメリカ製品を買いませんから、これからは中国の方が大事だと思われるのもしょうがないかもしれません。
中国経済が張子の虎であることはたぶん間違いないのでしょうが、しかし儲けた中国人は海外に出て惜しみなく消費しますし、日本もその恩恵を受けているのは間違いないことですから、なんとかゆっくりとでも優しい変化を遂げてくれることを願う方が日本の国益にもかなうことではないでしょうか。
それにはまず法治国家になることが大事だと思います。とてつもなくわがままな個人主義がはびこる国のようですから、今のまま民主主義に移行するのは危険だと思います。
救急車で運ばれた病人でさえ先にお金を払わないと治療してくれない、という話を聞くにおよんでは本当に背筋が寒くなる思いです。

投稿: hana | 2005/11/11 18:26

昨日今日と朝日がらみ。朝日の芸は多くのブログのアイドルですね。(笑 
影響力を削ぎつつも芸としては楽しむ状況なら健全ですがまだまだ影響はありそうです。
>hana さん
中国は言論と選挙の自由が担保されない限り、法治国家にはなり得ず他国との友好は築けないでしょう。それはすなわち中共の崩壊無しには達成不能かも。資本も逃げ出しますよ。
現実に軍拡路線、侵攻路線ですから信用ならんってことでいいんでは? 見る指標は言論の自由化でしょうね。日本に朝日新聞が存在できるレベルまでとは言いません。まあ、日本のマスコミは「記者クラブ」の問題もあって独裁国家よりはちょっとましってな評価がほとんどのようですけどね。
とにかく、ネット規制までやらかしているんだから、中共の崩壊まで行かないと変わらないでしょう。
いま求めたら、またこういうこと↓になるのでは?
http://www.epochtimes.jp/jp/2005/06/html/d12607.html
共産党陣営はプロパガンダ命。他国の言論メディアまで牛耳ろうとします。台湾でいま起こっていること。
↓TVBS事件、陳水扁の背信
http://www.emaga.com/bn/?2005110039649747009509.3407
100%中国資本のテレビ。どこかで聞いたような話です。擁護する陳水扁。陳水扁は中国に懐柔されているようですね。どっかの政治家と同じで女か?

投稿: 岩手の田舎人 | 2005/11/11 20:59

どれも深刻ですが、中でも私が最も深刻だと思うのが環境問題です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051111-00000001-scn-int
中国はそもそも工業化すべきではなかったと思います。そして、日本はこの問題で中国を助けない方がいいでしょう。助ければ助けるほど、彼等は反日になるでしょうから。

投稿: masa | 2005/11/12 01:03

ファリード・ザカリア著『民主主義の未来』から引用です。
一人あたりのGDPが1500ドル以下の国家では民主主義政権は平均8年、1500ドルと3000ドルの間では平均18年持続する。6000ドル以上で民主主義が崩壊する確率は500分の1にすぎない。9000ドル以上では、民主主義政権は一つも崩壊していない。
一万ドル以上で独裁制を敷いている国家は産油国以外では、シンガポールのみだとか(筆者は近い将来、民主主義へ移行するだろうと予測してます)。産油国は国民の勤勉な労働ではなく、豊かな石油資源による国家収入でインフラや社会福祉を整備している。そのため、識字率は低いままで、先進技術は外国に依存しており、独立心に富んだブルジョワジーが育だたず、それらの要因が民主制への移行を妨げている。
経済発展により、識字率の向上、マスコミの隆盛、ブルジョワジーの独立精神の向上等の社会変動が起こり、独裁制から民主制への社会的圧力が強まると。
インドなどの例外もあり、単純にはいえないが、経済発展と民主主義国家への移行は相関関係があるといって差し支えない。
筆者は、中共政府はリークワンユー独裁政権をモデルに経済の自由化と政治的コントロールは使い分けできると考えているが、それは歴史を振り返れば、到底無理な話であろうと述べてます。
この本は、巷に溢れている反中書ではなく、民主制度を様々な観点から検証している内容なので、その点からも、妥当性が高い記述かと思います。
一人当たりのGDPが6000ドル程度で民主制へ移行する可能性が高いとか。2003年の中国は1090ドル。さてさて、近い将来どうなりますか・・・。
追記・・・あっそうだ、中共政府は自国を民主主義国家だといってましたね。私はトンチンカンなことを書いてしまったかも(笑

投稿: ボンバye | 2005/11/12 02:16

おはよう御座います。 今日は2つありますね。
韓国の大統領の存在感の無さは解りきっていますよ!(^^)!。ココでもニュースにすらならないし、まだ整形前の顔と並べて比較(使用前・後)されるよりはマシかも・・・。
朝日が中国を否定的に書くなんて、エイプリルフールと勘違いしたんでしょうか?まあ冗談はともかく、中国崩壊も本当に最後のカウントダウンに入ってる証拠なんでしょう、朝日が取り上げるぐらいだから。

投稿: NZ life | 2005/11/12 05:12

この朝日新聞記事に関しては他紙が散々取り上げている
だけに余計に或る意味説得力が有りますなwww
人民日報東京支局と呼ばれる築地の新聞だけに( ´,_ゝ`) プ

法輪却の新聞では日常茶飯事の記事で有るわけですが。

投稿: abusan | 2005/11/12 11:59

自転車操業もぼちぼち疲れが出て来て、人口だけでもアフリカ辺りに追い出そうと必死で、石油、資源の開発と合わせ、人間の移転先も探しながら、周辺国を侵略、人材派遣(体の良い棄)政策を促進してる。
アフリカに1000万、中東に500万、近隣諸国に500万、植民地に1000万、アメリカに???
13~4億人だからね、焼け石に水、共産党で維持出来る訳が無いのが未だ判らないいんだね。
7馬賊、北京、南京、大連か、近代?明、元、清国に戻るのがいいんじゃない。

投稿: 猪 | 2005/11/12 12:02

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。
朝日がこんなことを書くなんて!
やはり、そうとう深刻であるということでしょう現実は。
「5年もたない」
知れば知るほど「さもありなん」と思ってしまいます。

投稿: 坂 眞 | 2005/11/12 15:11

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