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2005/12/17

夢を語るのは勝手だけれど

国家の指導者がビジョンを語らなくなったら、その国は近い将来にお終いになる。が、
ビジョンではなく、荒唐無稽な夢しか語れないとなると、その国はもっと危機的な状況にあると言える。
中国の温家宝首相が、東アジアサミット後のビジネス会議で2020年の夢を語った。


中国の温家宝首相は12日、訪問先のクアラルンプールで開かれたビジネス会議で
講演し、「中国は2020年までに国内総生産(GDP)は4兆ドル(約480兆円)、1人当たりGDPは3000ドルまで引き上げることを目標にしている」と述べ、経済成長を持続させる考えを示した。04年の中国のGDPは1兆6537億ドル。【クアラルンプール大谷麻由美】

中国首相「2020年までにGDP4兆ドルに」
(2005/12/13 毎日新聞・東京朝刊)

夢を語ることは自由だが、一国の首相が国際的なビジネス会議で、15年後の姿にまで言及するなんて常軌を逸している。
インドやASEANも含めた諸外国からの投資をさらに誘発するために、バラ色の将来像を示したのであろうが、それが中国の夢想にすぎないことは誰もが知っている。

まず、足下で火が点いているのが『バブルの崩壊』である。

2010年の万博を目指し、建設ラッシュが続く上海では、表向きの熱気の陰でマンション価格が下降線を描き始めた。上海で売り出されたマンションの平均価格は、1平方メートル1万元を超えた今年4月がピークで、最近は7千元台にまで下がっている。
買えば値上がり、建てれば儲かる。そんなムードに乗って上海のマンション建設ラッシュは続いた。が、価格は04年、上海の平均世帯の可処分所得の12年分を超えた。
つまり、庶民に手が届かない豪華マンションが多く、建設ラッシュが供給過剰を起こしているのである。
マンション価格が、わずか半年余りで30%も急落。いよいよ、不動産相場の調整が
始まったということだ。
参照:中国バブルに黄信号 (「be on Saturday」)

バブルの崩壊は不動産ばかりではない。造船業界もバブル景気崩壊の瀬戸際にある。
中国造船業界はかつてない勢いで新造船の建造能力を増強しているが、リスクも大きくなっている。
中国で現在建造中の船舶の総トン数は4千万トンで、世界の新造船需要のほとんどを占めている。2015年に2千4百万トンの造船量を達成するという業界の目標を、10年も残した段階で大幅に上回っている。

米金融大手モルガン・スタンレーのアナリストによると、世界の海運業の伸び率は06、07年と低下する見込みであり、造船の受注量が減るのは確実。
新造船の需要が減少した場合、ここ数年増加を続けてきた中国の造船能力は30%近く過剰となり、造船所同士の値引き受注合戦が始まり、船舶の資産価値が大幅に下落する。造船業界のバブル景気も崩壊するとの見方が出ているのである。
参照:造船バブル景気に懸念 生産過剰が表面化 (FujiSankei Business i.)

バブル崩壊の兆候は、鉄鋼業界でも起きている。
中国国家発展改革委員会工業司筋によると、「第11次五ヵ年計画において中国の鉄鋼生産能力を4億トンのレベルに抑え、立ち遅れた1億トンの製鉄能力と5千5百万トンの製鋼能力を淘汰することになった」という。

中国国家発展改革委員会工業司は「鉄鋼工業が生産総量をコントロールし、立ち遅れた生産能力を淘汰し、工業構造の調整を加速する」としている。
要は20%以上が設備過剰になっている。その分、生産効率の悪い製鉄所を閉鎖するということだ。
参照:中国 立ち遅れた1億トンの製鉄能力を淘汰 (「チャイナネット」)

不動産業界から製造業にまで及ぶ『バブル崩壊』の兆し。これが何を意味するか。
中共政府が、人民元の変動相場制への移行を頑として拒んでいるのは、4大国有銀行の巨額の不良債権と元高による失業者の増大である。
中共政府の発表によれば、20%近くあった4大国有銀行の不良債権は、2005年10月末時点で10.18%(約1兆230億元)まで改善された。
参照:10月末四大国有銀行の不良債権比率10.18% (中国情報局)

が、バブルが崩壊すれば、せっかく半減した国有銀行の不良債権は、また大きく増大する。失業者も増える。
ますます人民元の変動相場制移行は遅れ、外国(特に米国)との貿易摩擦は拡大の一途を辿る。貿易摩擦が、人民元切り上げ圧力をいっそう高める。
中国は瀬戸際に追い詰められる。

一方においてエネルギー不足も深刻である。

広東省では今年1~8月、原油高と燃料油不足の影響で、工業増加値の伸び率が昨年同期より6.2ポイント縮小した。香港中小型企業連合によると、広東省に進出する会員の30%が生産を停止、約10%の会員が撤退に追い込まれた。

広東省統計局によると、同省の1~8月の工業増加値は前年同期比16.8%増の5479億元だった。伸び率は昨年の23%を6.2ポイント下回り、大幅に縮小した。
参照:広東:エネルギー不足で約30%の香港企業が生産停止 (中国情報局)

電力不足も深刻で、国家発展・改革委員会(国家発改委)の馬凱・主任によると、2005年の電力不足は最大で2500万キロワットに達すると予測している。
参照:発改委:炭鉱封鎖の影響で電気料金を引き上げか (中国情報局)

中国の経済成長目標を達成するために必要なエネルギー資源の約60%を占める石炭の不足も深刻である。
中国では、環境が劣悪な違法炭鉱が多い。頻発する炭鉱事故を受け、中国政府は違法炭鉱の閉鎖に乗り出した。その結果、省エネ化が進むことを加味しても、2010年には石炭が約3億トンの供給不足に陥る可能性があるとされる。(国家安全生産監督管理総局・王顕政・副局長)
参照:石炭不足:2010年に3億トン、政府幹部も「心配」(中国情報局)

環境問題も深刻である。

現時点で観測所のある川の7割が「汚染河川」とされている。
中国では工業排水の3分の1、生活汚水の9割以上が未処理で直接河川に流れている。
観測所のある全国1200河川のうち、「汚染河川」数は850に上る。

深刻な有機物汚染を受けた飲用水の利用人口は、1億6000万人に上るとされる。
長江(揚子江)では、工業、生活排水、農薬や化学肥料などを含んだ汚水が、年間
約256億トン流入。約500都市の飲用水を脅かしている。
黄河には、こうした水が少なくとも40億トン流入している。流域の汚水処理施設は25ヶ所に過ぎず、生活排水の処理率は13%。

海や湖も例外ではない。
(中国)環境保護総局が昨年行った調査によると、近海の海水の約50%が環境基準に達しておらず、約35%が深刻な汚染と判定された。また、全国の湖の75%に富栄養化現象が現れている。

大気汚染も深刻で、年間約40万人以上が大気汚染が原因で死亡している。中国の
大気汚染状況は、世界のワースト10都市に中国の7都市が入るほど悪化している。
中国では都市住民のほぼ3分の1が「人の健康に悪影響を及ぼす程度」である汚染度
2級以上の都市で、さらに1億1千6百万人が「非常に危険な程度」とされる汚染度3級の都市で生活している。(国家環境保護総局・王金南・中国環境計画研究員)

このままでは、2020年に『国内総生産(GDP)は4兆ドル(約480兆円)、1人当たりGDPは3000ドル』になるまでに、中国は人間が住めない国になる(笑)。

バブルの崩壊、慢性化するエネルギー不足、深刻化する一方の環境破壊。
温家宝くんに言いたいのは、夢を語るのは悪いことではないが、目の前の現実を直視したうえで語らないと、夢も荒唐無稽な『夢想花』になってしまうということだ。

中国政府は、来年からの第11次五ヵ年計画期間中に、環境保全に1兆3千億元(18兆2千億円)を投じ、抜本的解決を目指すというが、省エネ・環境技術の蓄積も、環境に対する国民意識も低い中で、それを達成するのは容易ではない。

また、先月末に164人の死者を出した黒龍江省・七台河市の東風炭鉱は、「優秀炭鉱」として3年連続で表彰された国有炭鉱であるという。そのような「優秀炭鉱」でも重大事故をまぬがれない。
つまり、環境・省エネ以外に、環境の改善にも多額の投資が必要であるということだ。

このような現状の中にあって、ほんとうに『2020年までに国内総生産(GDP)は4兆ドル(約480兆円)』を達成できるのかね?温家宝くん。
毎年8%の経済成長を15年も維持できるの???

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コメント

アメリカでのエンロンの粉飾、今回の日本での耐震強度偽装にしても信用が基盤となる資本主義社会に於いては その対応は緊急を要し、関わった民間企業にとっては致命的となります。
 中国に関していえば、発表される経済指標はまったく信用できません。上場されている中国企業はそのすべて100%粉飾決算だとみなさなければならない有様です。
 中国国民がこの先 世界市場の中で国民生活の維持向上を図るための経済活動を続けるには共産党の一党独裁体制を倒す以外に道はありません。彼らがそのことに気がつく時は目前に迫っていると思うのですが。

投稿: 武井 | 2005/12/17 19:09

>長江(揚子江)では、...チョキチョキ...約256億トン流入。
琵琶湖の容積が約275億m^3なんで、1tを1m^3とすると1年を待たずに琵琶湖が汚水ダメになります。

(`ハ´ )カッテ(`ハ´ )カッテ(`ハ´ )カッテ(`ハ´ )カッテ
なくそう北京五輪グッズ! 売らない 買わない 貰わない
(´∀`)イラネ (´∀`)イラネ (´∀`)イラネ (´∀`)イラネ

投稿: 御御御付(合わせ希望) | 2005/12/17 19:51

計算ミスです(^ ^;)。約1.1年ですね。

投稿: 御御御付(合わせ希望) | 2005/12/17 19:57

前からちょっと疑問に思っているんですが、公表されている中国の経済成長率8%とか9%とかいう数字は信用できるんでしょうか。どなたか詳しい方いらっしゃいましたら、教えてください。

投稿: masa | 2005/12/17 20:57

MASAさんへ
中国株への投資を薦められたのですが、そのときもらった資料では・・GDPがですね・・中国全体と各省の値を足した数が合わないんですよ。省の合計の方が多かったように記憶しています。だから真の成長率はもっと高い・・と、説明されました。

投稿: SAKAKI | 2005/12/17 21:54

こんばんは。
不良債権については、御用達のサーチナがうわべだけを取り繕ったに過ぎません。
日経の記事を見れば、減った理由がわかりますし、実質減っていないことがわかります。
http://www.nikkei.co.jp/china/finance/20051205d2m0500l05.html
要は子供に借金押し付けて、親の私は借金がありませんよって言ってるだけです(笑)

投稿: Delfin | 2005/12/17 22:14

 初めて書き込みします。
 いつもいつも的確な中国(ついでに朝鮮)情報とその論評、感心し、敬服しながら読ませて頂いております。
 さて中国経済、大分前から、「バブル」だ、「崩壊」だといいながら、9%(?!)の超高度成長が続いている(?)ようです。銀行融資で施設を作り、銀行融資でマンションなどを購入している。供給も需要も銀行頼みであり、銀行はすごい不良債権になっている、といわれて経済は破綻している、といいながら崩壊しない。
 なぜなのか?もうすぐ本当に崩壊するのか?それとも別の要素(タダの土地が資産となる)でマダマダ続くのか?難しいでしょうが、一度解説を、お願いします。

投稿: よっちゃん | 2005/12/17 23:54

中国政府から日本企業が狙い打ちされている。中国・デジカメ差し止め 日本メーカー影響懸念(ASAHI)2005年12月17日07時11分
世界のデジカメ市場を席巻している日本メーカーにとって、中国
当局から販売差し止めを勧告されるのは初めてといい、中国事業に
大きな影響を及ぼす可能性がある。ペンタックスも不合格となった
が、ソニーへの勧告が先行したため「ソニーが狙い撃ちされた」と
の見方もあり、日本メーカーは疑心暗鬼に陥っている。

ペンタックスも不合格 中国・デジカメ差し止め勧告(ASAHI)
2005年12月17日06時53分
ソニーのデジタルカメラ6機種が中国浙江省工商行政管理局によ
る検査に合格せず省内販売差し止めを勧告された問題で、ペンタッ
クスの2機種も基準に合わない不合格品と認定されていたことが
16日、分かった。

中国市場を相手にするには政治関係が冷えているときには無理です。民主国家ではなく政経が分離していない独裁国家なのですから仕方がないのです。台湾企業も中国側に靡かせる手段としてキミ企業に強力な圧力を加えたのです。人質にされに内に撤退する事です。円高120円ですからチャンスです。

投稿: ようちゃん | 2005/12/18 01:08

 中国のマンション人気って、よくわからないんですよね。
うろ覚えですけど、土地は相変わらず国有のままなので、年限付きの居住権を売買してるだけなんでは?と思うのです。
そんなのに資産価値はあるんでしょうか?
目先の利益しか見えてないのかな。

在日中国大使館のHPからして、「投資してくれ」丸出しです。
よほど困っているんでしょうね。

投稿: よしだ | 2005/12/18 01:17

中国の経済成長率8-9%はあながち嘘では無いと思います。IT関連産業も後押ししていますが、メインの繊維(衣服)と軽工業製品(意味としてはブランドで無い小製品・部品)の、圧倒的世界需要、そして、日・米・EUが貿易関税や中国元切上げで騒ぐ事が、8-9%が嘘で無い証明の気がします。先進国の人件費では、コレを薄利多売と言うが、中国では当てはまらない。
しかし経済を支えるバックボーンは、坂さん言われる通り、「崩壊前夜」の形相は否めない。ロウソクは消える前が一番明るいもの。世界経済への一時の悪影響より、中共が早く崩壊する事を望みますが、金や権力を得た者はナカナカそれを離さない。侵略を含めた最後のアガキが起こる事を危惧します。

投稿: NZ life | 2005/12/18 05:18

チャイナ全体ではそんなに成長して無いでしょうせいぜい今まででも年3~4%ぐらいでは。

中央が8%成長を政治目標に掲げているので地方政府はそれに色を付けて9%成長にしないと無能の烙印を押されて失脚すると聞きました。

今年に入って成長の原動力の不動産価格が30%マイナス、建設は新規がかなり止まっている様子です。自動車生産は25%マイナス、チャイナ向け貨物船の単価が半値、中東ではチャイナ向けタンカーが溢れています。今年は確実にマイナス成長でしょう。

投稿: のぶ鈴♪ | 2005/12/18 14:34

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。

中国は崩壊する、バブルはもうすぐ弾ける、といわれながら高度成長が相変わらず続いている。
これは、外国からの投資と、投機マネーの流入が相変わらず活発だからです。
しかし、外国からの投資も、投機マネーも、環境の変化に敏感に反応します。
アジアの金融危機のときに如実に示されましたが、投機マネーは、あっという間に逃げていく。
だから当局は人民元の変動相場制に容易に踏み切れない。

中国の統計についてですが、良い数字はほぼ正確だと思います。世銀の数字ともあまり変わらない。
問題は悪い数字です。
銀行の不良債権は昨年20%とされていましたが、スタンダード&プアーズによれば40%ともいわれていました。
大気汚染や労災事故、犯罪などの負の数字も信用できないと思います。

中国の土地。制限はありますが私有は認められています。
それにマンション投資は、国有企業や行政と癒着した悪徳業者がやっていますから、ウラでなんとでもなる(笑)
ただ、造りは、日本の偽装マンションよりもひどいそうです(笑)

投稿: 坂 眞 | 2005/12/18 17:56

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