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2006/01/23

『草の根保守』が支持する安倍総理

私は小泉純一郎を『保守』とは思っていない。彼は『変人』である。『変人』であるから
こそ「自民党をぶっ壊す!」と言えた。
戦後の行政主導型の高度成長体制が金属疲労を起こし、それがバブルとそれに続く『失われた10年』という停滞をもたらした。小泉が政治という舞台の主役になれたのは、そういう時代だったからだ。
小泉は織田信長が好きだという。信長も当時の常識から言えば『変人』であり『改革者』だった。楽市楽座、検地などの改革政策を実行し、そして『延暦寺焼き討ち』という、
当時としては破天荒な行為を平然としてやってのけた。

一方、小泉が後継者として期待し、そうなる可能性がもっとも高いと言われる安倍晋三は『真性保守』である。ちっとも『変人』ではない。

「家族を愛し、地域をよくしたいと考え、日本という国家の未来を信じる人々に支えられた政治」、安倍が語った『政治理念』である。
ここから読み取れるのは、『家族愛』『郷土愛』『愛国心』である。
靖国参拝や外交における対中、対韓姿勢など、小泉と安倍の姿勢は一見よく似ているようにも見える。が、小泉には安倍のような『理念』はない。『女系天皇』の是非を巡る
両者の食い違いが、それを如実に示している。
小泉は一言で言えば『リアリスト』である。だから『政局を読む天才』と言われ権力闘争に強い。対中強硬姿勢も、その方が日本にとって有益(実利的)と考えている節がうかがえる。
一方の安倍は、日本の歴史と伝統的価値を大切にし、そこから未来を展望する。どちらかといえば『ロマンチスト』である。

私は、政治家としての小泉を高く評価する。が、人間的にはあまり好きなタイプではない。それは『理念なきリアリスト』であるからだ(信念を曲げないところは尊敬に値するが)。
他方の安倍は人間的には尊敬できる。が、政治家としては不安が残る。理念と現実のバランスをどう取るのか、その力量がイマイチ解らないからだ。

安倍は教育基本法を改正し、『国を愛する心』を盛り込むよう主張している。家族のあり方を根本的に変える『夫婦別姓』に反対している。『国益』を前面に掲げ、北朝鮮による日本人拉致問題には毅然とした態度を貫いている。『女系天皇』には反対である。

この姿勢が、『草の根保守』の根強い支持を獲得している。『草の根保守』とは、家族を愛し、地域社会に貢献し、倫理・道徳を大切にし、そして日本人の伝統的価値に依拠する人たちのことである。
この『草の根保守』が『安倍人気』の源泉である。

英語でいうところの、グラスルーツ・コンサーバティブ(grass roots conservative)。米国のブッシュ政権を支えているのが、このグラスルーツ・コンサーバティブ、つまり『草の根保守』。

米国の『草の根保守』は、キリスト信仰、家族愛、郷土愛、倫理・道徳を大切にする。
だから、『妊娠中絶』が国政の重要問題になったりする。
米国の『草の根保守』にとって、NHKで長年放送された『大草原の小さな家』が理想の家族だという。私もこのドラマを視て感動したものだ。
ところで、日本の『草の根保守』は、米国の『キリスト信仰』の代わりに『天皇制の護持』と『祖先を敬う心』が加わる。

『草の根保守』は、自助努力と勤勉を旨とする。そういう意味では、安倍政権になれば、今よりますます『小さな政府』を志向することになるのではないか。また、愛国心から、外交姿勢はより『タカ派』になる。
当然、公明党・創価学会との関係も緊張感を孕んだものになる。『草の根保守』ともっとも相容れないのが創価学会だからである。中国や韓国の反発も強まるであろうし、国内の親中派や『大きな政府』派の抵抗も激しくなるであろう。
このときに心配なのが、我が国の『草の根保守』の脆弱さである。我が国の『草の根保守』は、米国のように『信仰』という強い絆に支えられていない。それだけに漠然とした
ところがある。その分、柔軟なところもあるのだが、崩れやすいのも否定できない。

安倍に望みたいのは、自民党内の基盤をより強化することであり、国民に直接語りかける政治の実践である。
小泉は国民に直接語りかけ、そして『ワンフレーズ・ポリティクス』と揶揄されながらも、単純明快に争点を国民に解らせる手法を駆使して支持を拡大した。

安倍には強い味方が付いている。中川秀直政調会長や竹中平蔵総務相も安倍支持だし、他派閥ながら、中川昭一農水相も「安倍官房長官とは昔からの友人で、国民や国際的な評価が高いなら、このまま首相になってほしい」と明言している。おそらく麻生太郎外相(河野派)も主義主張が似ているので、『勝ち馬に乗る』ということで『安倍支持』に回ると思う。後は、『草の根保守』の支持を、ムードではなくより強固なものにすることだ。
そういう点では、『働く女性の子育て支援』や『荒れる教育現場の改善』、国民年金より生活保護の方が何倍も支給額が高いという『モラルハザードの解消』、『悪化する治安の回復』など、国民の目線に立った政策の実現が欠かせない。
怠け者を救済するのではなく、真面目に働き、日々努力しているにもかかわらず困っている人たちに陽を当てることだ。

安倍総理・総裁の実現を期待する!

(文中・敬称略)

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政治(国内)」カテゴリの記事

コメント

風見鶏とは違うのでしょうが、「風向きを嗅ぐ」能力には長けてますよねぇ。
週明けのネタはゼーリック国務副長官来日かなぁと思いつつ、例の牛肉の一刀両断の措置も、実は小泉流の先制パンチだったんじゃないかなぁと。議題としては、六カ国協議と日中関係が主眼だったでしょうし、さてどうなりますことやら・・・・

安倍官房長官は一年位前から米紙では「小泉首相の有力後継候補」みたいな書かれ方していましたね。祖父が岸信介だし、対北強硬姿勢とかが頼もしく映ったのでしょうか。

森前首相の発言何か読んでますと、恐らく後継には福田氏辺りを持って来たいのでしょうが、それこそ風向きを読むと今さら高齢化&対中融和派はないでしょうし、そういう路線は小泉氏も潰しにかかる気がします。

投稿: tsubamerailstar | 2006/01/23 15:43

坂さん、お見事な解説です。
対近隣国との状態を考察し、今後数年内に起き得る事(北か中共崩壊・韓国混沌?)を考察すれば、まず保守有りきだと感じています。そして公明党との連立解消も願ったりかなったりです。
ブッシュも賢い大統領だとは思っていないが、ブュシュ・小泉関係において、今までの一方的なものから、対等な日米同盟に移りつつあるとも感じています。次期大統領しかり日本の総理大臣しかり、誰がなるかで、路線が180度変わる危険性も秘める。今後求められるのは、他国任せでなく日本の国益を守れる者(首相)しかいない。
時代が、小泉さんを選んだとすれば、次の時代には、切り札投入でも相応しい人がなるでしょう。そう願います、売国政治家がいなくなるその日まで。

投稿: NZ life | 2006/01/23 17:00

以下のサイトに売国政治家などの情報が詳しく書かれています
 
http://www.tamanegiya.com/ura.html
 

投稿: lim | 2006/01/23 17:48

いつも読ませていただいています。本当に参考になります。
TBがいかないようなので、コメントさせていただきます。
この記事を引用させていただきました、タイトルは、「草の根保守宣言」です。

投稿: 百式 | 2006/01/23 19:23

『草の根保守』ですか。なるほど、いいネーミングですね。
ジェンダー猪口の大臣の抜擢やら、皇位継承の破壊工作を見るにつけ、ただの変人破壊者と認識されつつある小泉首相。全面支持派は激減中とみます。このままなら、民主党と同じで自民党も危ういですね。
出でよ、真性保守政党!!
阿部さんよりもいいけど麻生さんのしぶとさや判りやすさも捨てがたい気が・・・。

投稿: 岩手の田舎人 | 2006/01/23 20:35

私の幸福の価値観は『保守的』なのです。
両親や祖父母、先祖が幸せだと感じたことを
自分も幸せだと感じたい。
だから安部晋三氏を支持します。
個人の幸せもまず国家ありきでしょう。
『夫婦愛』『家族愛』『郷土愛』『愛国心』『倫理』。すべて今の日本が失いかけているものです。官邸主導に切り替わった日本政治の次の内閣は是非
真性保守政権の誕生を願います。

投稿: 奈良の田舎者 | 2006/01/23 20:40

最近、耐震強度偽装に関連して、阿部さん及び秘書の名前が取りざたされています。疑惑はないと個人的には確信していますが、マスコミの報道姿勢に一抹の不安を感じます。このような報道で今まで何人の政治化がつぶされてきたか。安部つぶしを意図しているとしたら、怒りを感じます。

投稿: TMDS | 2006/01/23 21:19

典型的な左翼ブログを発見しました。
http://anarchist.seesaa.net/article/12090053.html

自称歴史研究者の戯言の典型ですな。古代史は日本に限らずどの国も神話に彩られていて、何処までが事実か分からないのが現状。
マルクス史観に毒されると、普遍的歴史学も分からなくなる始末。
日本の天皇家が血筋で朝鮮系ならば、歴代朝鮮王朝は中国よりもモンゴルに近いですが(笑)。

投稿: mugi | 2006/01/23 22:04

阿部さんには頑張って欲しいです。
『草の根保守』というのは的確かと思います。
「日本人」として「日本人らしさ」を一番大事にしなければならないと思います。
小泉さんが築いた土台をしっかりと踏み固めてほしいものです。

投稿: 黒星★ | 2006/01/23 22:59

突然申し訳ありませんが相互リンクをして頂けませんでしょうか?
相互リンクして頂けますなら私のサイトのコメント欄にご連絡下さい。

投稿: 投資家向け無料レポート・セミナー銀行 | 2006/01/23 23:51

自分のホームページで、「教科書問題」について書いていたので、気が変わって安倍氏を支持する側に回った。

人権擁護法案への反対で、これは本物だと思うようになった。

今の時代は、こういう人が必要です。
幸い、中川&麻生という強面が脇を固めてくれそう。
山谷えり子、高市早苗、小池百合子と、女性人気も取れそうな人が保守派の人材もいる。

安倍首相で、5~6年、支那崩壊の序曲が始まる2008年北京五輪の後まで行ってもらいたいです。

投稿: ろろ | 2006/01/24 01:03

しかし次の総理は消費税引き上げの汚れ仕事をしなくてはなりませんよ。

投稿: 蔵信芳樹 | 2006/01/24 01:07

どうでも安倍さんを引きずりおろしたい連中が蠢いていますね~

http://www3.diary.ne.jp/user/338790/
http://straydog.way-nifty.com/yamaokashunsuke/

投稿: っs | 2006/01/24 01:09

わたしも安倍さんを支持します。
前は麻生の次が安倍かな、、と思っていたんですが。。
ご指摘通り多少脆弱なところがあるように見受けられますがなんとか切り抜けていってもらいたい。憲法改正は彼が首相の時でないとできないのではないかなと思います。ついでにスパイ防止法も成立させて欲しいけど。。どうなることやら。
消費税アップはもう国民もある程度わかっているから、アップしただけで人気が急落することはないのではないかと思います。

↑のきっこの、、は人気あるようですね。なぜあんな読みにくいブログが人気があるのかよくわからないんですが。。
あからさまな引きずり下ろし作戦ですね。

投稿: 主婦 | 2006/01/24 02:50

国際的基準では寧ろ中道左派なんでしょう。
特にラムズフェルド氏と比べるとどうも穏やかな人
に見えてならないのが安倍晋三氏でしょう。
そこが日本人的には安倍氏の魅力なんですが。

又、小泉首相と比べると権謀術数で大きく見劣る
気がするのですが、文句を言ったらきりがない
というか贅沢な悩みですなあ。

結局、谷垣氏と安倍氏のマッチレースになるの
でしょうかね。

投稿: abusan | 2006/01/24 05:46

世界の漁獲量、半世紀で5倍 乱獲深刻 中国消費が突出
http://www.sankei.co.jp/eco/news/2005/01/13-2.html
昨日NHKで、世界の魚を食い尽くす勢いで、中国の
魚消費ブームを放映していました。日本近海は韓国に竹島近郊の数兆円の価値のある良漁場を占有され、そして日本海では中国に、根こそぎ魚を持っていかれます。日本漁船が苦労して季節や状態で異なる良魚場に網を降ろすと、その船を取り囲むように一斉に数十隻の中国漁船が網を降ろし根こそぎ魚を採りますが、それを卑劣とも思わないわけです。アフリカ諸国への武器輸出で石油代金を払うやりかたも非道です。日本は同じアフリカで約1兆円の債務放棄をさせられ、ダメージを与えられましたが国連では常任理事国に票をもらえませんでしたね。またクリントイーストウッド主演の中国共産党全面協力による南京大虐殺の映画製作も報道されています。日本はすでに中国に殺されつつあります。このまま世界に金を供給し続けた歴史上最も愚かな民族として、日本はもうすぐ滅びるのでしょうか。その流れに逆らう安倍総理が誕生するかどうかは、これは中国が最も警戒しているでしょうね。場合によっては非合法な手段で安倍氏を政治的に、または肉体的に抹殺される可能性もあります。歴史に詳しい方、教えて下さい。小泉氏を信長に例えるのであれば、安倍氏を徳川になぞらえて考えていいのでしょうか? 

投稿: 普通の国民 | 2006/01/24 09:18

皆さんこんにちわ。
コメントありがとうございます。
私も、発言する『草の根保守』として生きて行きたいと思います。

憶測系ブログは、スキャンダラスですから読者が多い。
世の中には、それだけゴシップ好きが多いということですね(笑)

安倍氏は、維新の先達で郷土の大先輩でもある吉田松陰を尊敬しているようです。

投稿: 坂 眞 | 2006/01/24 11:51

全面的に賛同します。完ぺきに分析されています。
安倍氏は総理・総裁になってから、更に伸びると思います。
まったく軸足がぶれないのは、ご指摘のとおり、確たる信念を持っているからです。
こちらも旧来から応援しています。

投稿: 閑話ノート | 2006/01/24 23:53

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