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2006/01/13

やっぱりイタイイタイ病が・・・


中国長江の支流で、南部の湖南省を流れる湘江に工場からカドミウムが流入し、流域住民にイタイイタイ病に似た症状が起きていることが明らかになった。中国では各地で河川汚染が相次いでいるが、住民の具体的な健康被害が報じられるのは異例だ。

共産主義青年団の機関紙「中国青年報」などによると、湘江の河川工事が原因で4日、沿岸にある精錬工場からカドミウムを含む排水が大量に流れ出た。流域の一部で基準の22~40倍のカドミウムが検出されたという。この工場は04年から小規模なカドミウムの排出を続けていたとの情報もある。

地元の湘潭市当局によると、流域には体の痛みを訴える住民が現れており、全身56カ所を骨折し死亡した住民もいた。全身の骨がもろくなる骨軟化症や腎臓障害を引き起こすイタイイタイ病の症状とみられる。
(後略)

イタイイタイ病、中国で発生か 河川のカドミウム汚染で
(2006年01月13日 朝日新聞)

やっぱり出たか!というのが、この記事を読んだ率直な感想である。以前、このブログの読者の方から、「中国では間違いなくイタイイタイ病患者が発生している」というコメントをいただいたこともある。
朝日は、『具体的な健康被害が報じられるのは異例』と書いているが、中共政府当局も隠し切れないと判断したのだろう。
ところで、この朝日の記事中にある
『「中国青年報」などによると、湘江の河川工事が原因で4日、沿岸にある精錬工場からカドミウムを含む排水が大量に流れ出た。流域の一部で基準の22~40倍のカドミウムが検出されたという。この工場は04年から小規模なカドミウムの排出を続けていたとの情報もある』
という部分は正確ではない。
正しいのは以下である。


中国青年報(10日付)によれば、今年に入って発生した湖南省湘江のカドミウム汚染事故は、水利工事の際に精錬所の排水が流出したのが原因とされた。
しかし、実際には以前から同江上流で工場の排水垂れ流しによる慢性的汚染があり、流域の溜め池のカドミウム濃度が基準値の200倍に達し、それが川に染み出していることや、各精錬工場が午前4時から同8時の間に汚水を湘江に排出する「内部規則」があり、イタイイタイ病のような死亡例があったという。

(参照:2006年1月11日産経新聞

つまり、工場が「規則」としてカドミウムを川に流していたのだ。そして、カドミウム濃度は基準値の200倍。既に、イタイイタイ病のような死亡例も発生している。
これが事実なのである。
まさに人命も環境も眼中にない。ただ、儲かればよい、という中共の本質まる出し。

さすがに中共政府も危機感を抱いたのか、昨年末に、国家環境保護総局の王玉慶・副局長は『一部地方の不合理な経済発展が環境保護活動に大きな圧力を与え、わが国はすでに環境汚染事故多発期に入った』(同上・産経新聞)という警告を発している。
が、この種の事故(事件)はけっしてなくならない。以下の記事を読んでほしい。昨年の11月に発生した黒龍江省の炭鉱事故に関するものである。


黒龍江省・七台河市の東風炭鉱で発生した爆発事故で、同炭鉱を経営している七台河鉱業精煤(集団)有限責任公司の曲継賢・董事長が停職になり、警察などの取り調べを受けている。一方、事故の責任について、同社幹部は、「業務規則に従っていない作業員の方が悪い」との考えを示した。12月1日付で中国新聞社などが伝えた。

発言を行ったのは、同社の宋凱成・首席エンジニア補。「炭鉱内は広いので、業務規則に従わないと、大きな事故につながる」「何度も研修をしているのに、作業員の能力は、会社側の要求よりも、はるかに低い」などとして、責任を作業員側に転嫁するとも受け取れるコメントをした。

これに対して、作業員の家族は、「作業員の方は、ストライキまでちらつかせながら、何度も安全対策の不備を指摘したのに、会社側が無視した」と憤りの気持ちを明らかにした。
(後略)

炭鉱事故:会社主張「悪いのは作業員」に家族怒り
(2005/12/01 中国情報局)

会社側は作業員が「無能」だと言い、作業員側は会社が安全対策を「おざなり」にしていると言う。おそらく、どちらも事実であろう。
人命を軽視する会社と能力の低い従業員。これが、安全操業の模範となる「優秀炭鉱」として3年連続表彰されている国営炭鉱の実態なのだ。現場の責任者は「優秀鉱長」に選出されている。国から表彰されるほどの企業にしてこれである。それ以下の企業や工場のレベルがどの程度のものか、推(お)して知るべしである。

環境汚染も炭鉱事故も、このまま行けば、どちらも体制崩壊の要因になる。ただ、炭鉱事故は中国人が死ぬだけだが、環境汚染は地球環境、とりわけ我が国を含む周辺国に深刻な悪影響を与える。
ロイター通信も「中国はまだ国内の環境問題が国際社会にとって潜在的脅威になるとまで気づいていない」「中国は繊維品を輸出するように汚染も輸出している」(同上・産経新聞)と論評している。
一刻も早い「中共体制の崩壊を願う(その後も心配だが・・・)。

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中国(社会)」カテゴリの記事

コメント

> 一刻も早い「中共体制の崩壊を願う(その後も心配だが・・・)。
かって外国でトルコ人の友人と船で侵入してくる難民の話した時、彼は機銃掃射のものまねをして、海上でこれをやればだいじょうぶさ、と明るく言っていました。私も難民は子供であっても一人も入国させないのが正しいと思います。中国人や韓国人の難民を日本に入れて定住させたいという方は、彼等をホームステイさせるか、保証人になってみてください。私は中国人留学生の保証人、しんどかったです。

投稿: 普通の国民 | 2006/01/13 15:29

どうしたんですかね、朝日新聞。
中国の悪いニュースは他紙と違って報道しないはずだったのでは?それとも日本政府に対応せよとでも画策してるのかなあ、遺棄兵器とやらに便乗して。

投稿: ぱとり夫 | 2006/01/13 17:20

こんにちは。
いきなり失礼しますが、共感はできるのですがこの件について「儲かれば人命などどうでもよい」という非難は、日本人にも帰ってくるのでは?
少なくともあのときの日本人もそうだったのですから。

日本にはもう、それをかなり克服する技術の蓄積があります。
その技術を生かし、世界のどこであっても無辜の弱者が生きることができて欲しいです。
祈るだけではなく、そのためにできることがあればいいのですが。

投稿: Chic Stone | 2006/01/13 19:17

こんな記事がありました。

http://plaza.rakuten.co.jp/kannon/diary/200601130001/

これから先の日本のゆくえは・・・?

投稿: ミサ | 2006/01/13 19:40

ちょっと前までは、何もわからず、韓国の低レベルな挑発に激怒していましたが、最近は、いろいろな記事や発言を見て、自分で取捨選択できるようになって来ました。
”なら日本人は?”って意見にはろくなもんがありませんね。イタイイタイ病は、まだ、カドミウムの毒性が良く知られてなかった頃に起きた公害です。神岡工場所は、毒性を知らずに流していましたが、中国の工場はそれを承知で流しているところが問題だっていってるんです。まさに殺人行為ですね。
そして、日本の足尾銅山公害問題の田中正造のような政治家も、中共に皆無とくれば、もう救いようがないですね。

投稿: takayuu | 2006/01/13 23:08

Chic Stoneさん

>技術の蓄積

 理想はそうですが、現実問題として、いくら優秀な技術を使って糞尿水を飲料水に浄化しても、浄化するそばから国民をあげて糞尿を撒き散らされたら、とても追いつけるものではありません。浄化のために相当なエネルギーも消費します。問題は「クオリティ(=技術)Xクオンティティ(=民度)」ですね。
 更に、日本レベルの環境問題にあっては「強者」「弱者」の尺度は「加害者」「被害者」の尺度とは大分かけ離れたものになっています。これは共産国に共通した都合のいい一般観念の一つですが、「貧乏人」=「弱者」=「善人」=「ある程度の脱法は許される」式でみんなが少しずつ汚染源を振りまきながらも、企業の汚染源には声高に批判するんですね。弱者も強者も、応分の環境保護を負担しなければ、何の解決にもならないと思います。
 そういう意味では、日本は世界で最も社会主義の理想型・完成型に近いのかもしれません。

投稿: 未定 | 2006/01/13 23:40

はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。

耐震強度偽造問題で、創価・公明党が最近ネット上で注目されてます。

メディアがまったく報道しないので、実態がわかりません。よかったら詳しくブログで書いてくれませんか?

宜しくお願いします。

投稿: 日本を憂う | 2006/01/14 00:03

これだけの被害がでているのに、中共の空念仏のような対応案ばかりで
一向に改善する見込みが無いという所が凄いですね。

ところで捕鯨船に体当たりした勇気ある環境保護団体の皆さんは何故沈黙しているんですかね。

投稿: yas | 2006/01/14 00:08

まあ、人命軽視の中共の体質とあっては公害病を
軽視するのは当然なんでしょう凸(`、´X)
如何に非人間的、反民主主義な事かと!!

人民を軽視する政権は必ずや人民の報復を受ける
事でありましょう。人民解放軍も何時までも無能野郎の
「共産党」の味方ではありますまいて!

投稿: abusan | 2006/01/14 01:22

はじめまして。毎回、楽しく読ませて頂いて居ますが、ちと書き込ませて下さい。

> 一刻も早い「中共体制の崩壊を願う(その後も心配だが・・・)。
上でもどなたか書いておられましたが、自分の知人のベトナム人も中華難民流入時の対処として機銃掃射の真似をしてました(笑)。

南ベトナム側ではそれほどでも無いのかもしれませんが、ベトナム北部の知識人にとっては中華崩壊による難民大流入は最悪の悪夢として認識されているようです。
崩壊の際は、周囲に迷惑を掛けずに思う存分、殺し合って欲しいものですがどうなる事やら・・・・・・・・・・・・・・・。

投稿: blackhawk | 2006/01/14 01:53


ロジャーズ氏:-21世紀は中国の時代
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003013&sid=aYKAmuOCLRyQ

 1月9日(ブルームバーグ):米投資家のジム・ロジャーズ氏は7日、都内 で講
演し、日本株は数カ月後に調整を迎えるものの、その後2008年まで上昇局 面が続
くとの見通しを明らかにした。また、中国の経済発展は著しく、21世紀 は中国の時
代になるとの見方を示した。

(中略)
▼21世紀は中国の時代-BRICsにも格差
 ロジャーズ氏は、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)といった新興
国の経済発展に格差が出始めるとの見方も示した。ブラジルは「膨大な天然資源が
あり、原材料の市況が活況で恩恵を受けている。これから10年間投資先を探すのな
ら、ブラジルのような国が良い。債券、通貨、経済も良い」と語る。

 中国については「一番重要なテーマ。好むと好まざるにかかわらず、次の大国に
なる。19世紀は大英帝国、20世紀は米国、21世紀は中国になる」と断言。 中国は
最も優秀な資本主義の国、労働意欲も高く、貯蓄率も高いと評価した。一 時的な調
整局面もあるが、数十年の単位で経済発展が続くと分析した。

 一方、ロシアについては経済・政治の不安定さを懸念。ロシア経済はマフィアが
コントロールしていると指摘したほか、「ロシアはチェチェン共和国をコントロー
ルしようとしているが、10年経っても抑えることができない。もう、抑 える人は
いない」と述べた。また、インドについては、官僚的な制度に加え、教育制度や道
路整備などで遅れが目立つとし、投資先としては適格でないとの見方 を示した。


ロジャーズ氏もこのように分析していますね。
どう考えても中国に対する配慮、だとは取れません。
皆さん、このサイトの中国崩壊説は、鵜呑みにしては危険です。
管理人様は明らかに露骨な反中国感情を持つのは明白です。
感情で決め付け、論理的に中国情勢を分析できていません。
マスコミを批判する割にはマスコミのソースしか当てに出来るものがない(実際に中国に行ったり、取材をしたりしていない)
明らかにこのサイトの情報は信用に値しないと思います。
このような内容を書くと、私は中国の工作員だと思われたりするかもしれませんが、中国人の妻を持つ生粋の日本人です。

投稿: 中国は間違いなく発展するみたいです・・・ | 2006/01/15 17:15

>中国人の妻を持つ生粋の日本人さま

御存じでしょうか。かってアメリカに行った事がなくても、アメリカ旅行のすすめを書いていた作家がいました。「行ったことがないのに、なぜ書いているのか?」とその作家も言われましたが、入手できるデータから、わかりやすく書くのが仕事」と気にしませんでした。後にアメリカ旅行に行ったとき、それは極めて正しい事を書いていたことの確認の旅になったそうです。日本には中国に行っているビジネスマンがたくさんいます。では、彼等が中国を深く理解しているでしょうか?なぜこのブログが支持されているのでしょう。それは、多くの読者の方も中国に関心を持ち、そして中国の現状に関して人並み以上に知識を吸収している最中です。自らブログこそ書く勇気がないものの、ここの管理人さんの指摘に、いちいち共鳴しているからです。自分の奥様が中国の方ということで、気持ちはわかります。では、あなたは「ロジャーズ氏」を信じて行動なさってください。考え方の多様性こそ日本が全体主義でない証拠です。できればブログを書いてみてください。でも、かって「ジャパンアズナンバーワン」という本を書いた米国の学者もいましたが、まあ大はずれでしたね。(笑) ロジャーズ氏の属する世界は、なんでもありです。私は株の売り抜けや、日本からもっと凍死ではなかった投資を引き出すための主張かもしれない、と疑ってしまいます。どうか、ロジャーズ氏を信じて有り金全部を中国に投資なさってください。そして、よければ数年後に結果を示していただければ幸いです。なんなら老後は発展する中国で生活なさってください。私は中国の現状は危機的であると信じていますが...

投稿: 普通の国民 | 2006/01/15 19:21

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» 遂に発生 中国イタイイタイ病! [ヨン様の南中山教室!]
やはりというか遂に中国でイタイイタイ病が発生したとのこと。 中国湖南省を流れる湘江が有害物質カドミウムに汚染された問題で、イタイイタイ病と酷似した症状の死者が流域住民から出ているようです。この汚染は先日、水利工事の際に精錬工場の廃水が誤って河川に流れ込んだもので、一部の地点では一時、基準値の25倍に達したと報道されていたものです。 ところがどっこい、これは真赤な嘘!実際は上流の工場の排水垂れ流しが�... [続きを読む]

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