小泉改革の影
ここに来て、小泉改革の影の部分について言及するニュースが増えてきた。新聞などのメディアはもちろん、政治家もこの問題について発言することが多くなった。
これは、この9月に小泉純一郎首相が退陣するということが大きく影響している。
メディアは5年に及ぶ小泉政治の功罪を検証しようとし、政治家はポスト小泉における
自らの政治的スタンスを明らかにすることによって、その地歩を確保しようとしている。
この問題に対する小泉首相の立場は、「格差が出るのは悪いことではない」「『負け組』の人もチャンスがあれば『勝ち組』になるかもしれない」というものだ。
要は「再挑戦できる仕組みを整えれば、格差があっても問題はない」という立場である。
では、他の有力政治家の考えはどうか?
「『光と影』に二極分化し、格差が広がっている」(青木幹雄参院議員会長)
「構造改革の進展で、『影』というべきゆがみが広がっている」(神崎武法公明党代表)
「光と影という言葉もあるが、格差社会が進行しないように、どうしたらいいかということを、政策の柱の一つとして取り組んでいきたい」(山崎拓前自民党副総裁)
「規制緩和により、いろいろと雇用のチャンスも生まれたし、経済に活力が出てきた」「『勝ち組』『負け組』が固定されず、再チャレンジできる社会を作りたい」(安倍晋三
官房長官)
「競争したり切磋琢磨したりして、浮かぶ人もあれば沈む人もあるというのは否定できない。そういうものが構造的に固定していくとすれば、問題があり得る」(谷垣禎一財務相)
「経済が活性化する時には一時期、元気のいいのが引っ張っていくしか方法がない。
それが波及していかないといけない」(麻生太郎外相)
「中央(経済)の方もしっかりしてきましたから、これからは地方がしっかりしなければ、この改革は完成したとはいえない」「地域の格差というものも十分視野にいれて、これからの政治をしていかなければいけない」(福田康夫元官房長官)
「格差が拡大している。影が色濃く出ている」(前原誠司民主党代表)
発言の内容によって、それぞれの政治家の小泉首相に対するポジションが分かる。もっとも首相に近いのが安倍官房長官。次が麻生外相、そして谷垣財務相。
三氏以外の政治家は、首相とかなりの距離があるのが分かる。前原民主党代表は
論外だが。
ところで、「影」「影」というが、実際のところはどうなのか。
確かに地方経済は苦しいところが多い。が、これは今まで公共事業に依存した部分が大きかったからである。
小泉内閣の下で国は公共事業を削減。地方もバブル時代の無節操がたたって財政はパンク寸前。公共事業どころではない自治体も多い。大阪市がその典型である。
したがって、これをもって「改革の影の部分」というのは筋違いである。
では、影の部分はないのか?
ある。それは高齢者からの利子収入の剥奪である。
↓
日本銀行の白川方明理事は23日の参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の低金利政策で家計が受け取る利子収入がどれだけ減ったかについて、「(高金利だった)1991年の受取利子額38.9兆円が2004年まで継続したと仮定して、現実の金利収入と比較すると、304兆円が失われたことになる」との試算を示した。
白川理事は「家計部門の利子所得の減少が、これまでの金融緩和政策のマイナス面なのは十分認識している」としたうえで、「借入金利の減少による(プラスの)影響などを含め、経済活動全般に与える効果も総合的に判断していく必要がある」と強調した。
家計の利子収入、304兆円が消えた…低金利政策で
(2006年2月24日 読売新聞)
なんと、バブル崩壊後の「実質ゼロ金利」「金融の量的緩和」という政策の下で、家計から304兆円ものおカネが消えたのである。これは、今も「現在進行形」。
もちろん、家計に対してプラス面もある。例えば住宅ローンや教育ローンを借りれば、
金利が極端に低いため家計にはプラスに働く。
したがって、借金をする世代、つまり30歳代半ばから50歳代前半までの世帯は「実質ゼロ金利」で恩恵を受ける確率が高い。
問題は高齢者世帯である。
60歳以上で、住宅ローンや教育ローンを借りる人はあまりいない。逆に、老後の備えとして退職金等を預金している人が多い。
私の知人(70歳代)は、10年以上前は金利で夫婦の小旅行ができていたと言う。が、
この10年近くは預金の取り崩しの連続で、残高も少なくなり不安でいっぱいだと言っていた。
つまり、改革は高齢者世帯を直撃しているのである。この事態を、これ以上放置し続けるわけにはいかない。
確かに、「実質ゼロ金利」「金融の量的緩和」政策を取らざるをえないという時代的背景はあった。そうしなければ、我が国の金融システムを再生することはできなかった。
また、金利が上昇すれば、国債や自治体が抱える公債の金利負担が膨れ上がり、
破綻自治体が続出したであろう。
つまり、高齢者を犠牲にして、金融機関や国、自治体が救済されたのである。これは
間違いのない事実である。
が、景気は着実に回復軌道に乗った。金融機関も復活した。この3月期は、大多数の
上場企業が史上最高益を更新する見込みだという。
政府は、まだデフレを克服できていないという。が、日銀の福井俊彦総裁は24日の
衆院財務金融委員会で、量的緩和政策の解除について「消費者物価指数(CPI)は
この先、より鮮明にプラスになっていく。条件は少しずつ成熟しつつある」と述べ、「金融の量的緩和」解除の時期が近づいているとの認識を改めて強調している。
早期の日銀による「金融の量的緩和」政策の転換を望む。そうすれば、いずれ「実質
ゼロ金利」も解消され、「不安でいっぱい」という高齢者の心も「安心」に傾く。
【追記】
読者の方から
「経済全体からみれば、まだ資金が高齢者に集まりすぎなのでは?
高齢者で個々に苦しい人は追い詰めないように手当てが要りますが、全体には若い人に収入の道が無ければ先が暗い」
というコメントが寄せられた。
実は、下記の参照記事「格差社会 データにくっきり」の中に、以下の記述がある。
総務省の家計調査によると、貯蓄残高から負債残高を差し引いた純貯蓄額は、30歳未満の世帯で、02年の119万円から04年には53万円へと約55%も減った。60歳以上の世帯では2,146万円から2,029万円へと約5%減にとどまっている。
要は、20歳代の世帯では、02年~04年の間に、純貯蓄額は半減。しかし、60歳以上の世帯では微減ということだ。
これは、若い世代にフリーターが増えていること、貯蓄よりも(ネットの)株式などに若者の資金が流れていること。その一方、1990年代末から2000年代の初めにかけて高年者のリストラが進み、(退職金割増し等の)優遇措置を受けて早期退職した高齢者が増えていることの反映だと思う。
この高齢者の貯蓄を消費やマーケットに引き戻すためにも、「実質ゼロ金利」を解除し、将来の生活不安を解消してやることが重要だと思う。
「全体には若い人に収入の道が無ければ先が暗い」のは論を待たないが、ニートやフリーターの増加という現実は、構造改革とは別の問題が絡んでいる。
別の機会に、改めて言及したい。
【追記2】
「金融の量的緩和」+「実質ゼロ金利」を「低金利政策」と勘違いして、まったく理解不能な批判を展開するカキコがあった。ときどきいるんですよね。物知り顔で的外れな批判をする人(笑)
誤解のないよう、ここで「金融の量的緩和」について説明しておきます。
量的緩和とは、市中の金融機関が日銀に持つ当座預金の残高を大幅に上積みし、
金融機関がいつでも必要なときに必要な資金を使えるようにすること。そのために日銀は、金融機関が保有する国債や手形を大量に買い取る。
これは、資金供給量を大幅に増やし、デフレ・スパイラルに陥る懸念や金融不安を払拭するためにとられた政策である。
つまり、株価下落や不良債権問題により、景気の先行き不安が高まっていたために取られた緊急避難的措置。デフレ経済からの脱却と多額の不良債権処理に苦しんでいた金融機関を支援することが目的。
政府・日銀が、「実質ゼロ金利」政策だけでは不十分である、と判断したために取られた。
なお、「実質ゼロ金利」は金利に着目した政策であり、「量的緩和」は量に着目した金融政策である。
参照1:格差社会 データにくっきり
参照2:ホリエモンと改革の“影”
参照3:格差社会論争:小泉首相、強気に転換 「機会の平等」を強調
参照4:日銀総裁、量的緩和解除「条件は成熟しつつある」
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「構造改革&小泉内閣」カテゴリの記事
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コメント
経済全体からみれば、まだ資金が高齢者に集まりすぎなのでは?
高齢者で個々に苦しい人は追い詰めないように手当てが要りますが、全体には若い人に収入の道が無ければ先が暗い。
金利の是正と同時に、年金や社会保険も造り替えるべきと存じます。
投稿: MultiSync | 2006/02/25 13:53
小泉構造改革の光と影という言葉は良く聞かれますが、
もし、小泉構造改革を行わなければ影は生じなかったでしょうか?
私はそうは思いません。
むしろ、小泉構造改革がなければ日本経済全体が暗い影の中に沈んでしまったままになっていたと思います。
余りにも明確な構造改革の成果を見せられた反小泉のマスメディア等が
苦し紛れの末に小泉改革の光と影とい言葉を編み出したような気がしてなりません。
投稿: yuki | 2006/02/25 15:19
僕の場合、小泉改革の影というか目をそらしたくなる部分というのは、政策というより総理の裏にいる飯島勲秘書官の存在ですね。
投稿: 蔵信芳樹 | 2006/02/26 00:31
有り難うございます。
エントリーに取り上げられて汗が出る思いです。
経済全般の流れに中国の影響が大きいのは実感します。またグースさんのエントリーも参考になりましたが、これはニートやフリーターも含め、国の将来に直接関わる重要課題です。
関連のエントリーを是非御願い致します。
投稿: MultiSync | 2006/02/26 02:18
小泉・竹中内閣は公共事業を1.6兆円削減しても、その結果として税収を23兆円も失ったのです
http://electronic-journal.seesaa.net/category/1083225.html
「日本は財政危機ではなく政策危機である」
ここで今までのところを整理しておきたいと思います。現在の日本の財政の現状は、対外債権国であること、それに豊富な金融資産を有していることなどにより、純債務でみる限り財政危機ではない――そのようにいってよいと思います。
しかし、反論する向きも多いでしょう。純債務でみても2004年の純債務のGDP率は78.4%――かなり多いではないかと。確かにその通りですが、これについてはEJ第1762号で述べたように、財務省の債務のかさ上げ(2001年以降)工作の結果なのです。これを補正してみると、60%ぐらいになるのです。これなら、何も問題はないはずです。
問題は財政赤字がなぜ増えたかです。それは税収が激減していることが原因です。税収が減少している状況において増税をすれば、税収はさらに減少します。小泉政権が発足した2001年の税収は47.9兆円でした。
その前年の2000年度は、小渕政権が積極財政を展開して、橋本政権のとき3年連続で50兆円を切っていた税収を50兆円台に回復させ、国債新規発行額を4.5兆円減額させることができていたのです。
それなのに、2001年度がなぜ50兆円を大幅に割ったのかというと、小渕政権を引き継いだ森政権が緊縮財政をひき、定期預金のペイオフ解禁などを強行したためであることは既に述べた通りです。さらにその森政権を引き継いだ小泉政権が構造改革と称して2年連続してさらに緊縮財政を続けたので、2003年度に税収は遂に41.8兆円まで減少したのです。
2004年度は主として大企業のリストラ努力と若干の景気の回復基調によって45.5兆円に戻しています。デフレが進行しているときでも景気は循環しており、落ち込みがきついときは一時的に景気は浮上しますが、長続きしないのです。
小泉政権はこれを「構造改革の成果である」と自画自賛していますが、けっしてそうではなく、その証拠に2005年度は44兆円と再び落ち込んでいます。ちなみにこの税収44兆円は1986年度並みの数字なのです。構造改革によって日本経済は大きく陥没し、実に20年前の税収しか上がらない経済に落ち込ませてしまったのです。
その結果として、政府長期債務、すなわち、長期国債発行残高は、2004年度末で490兆円――2000年度末が350兆円ですから、140兆円も増加してしまっているのです。一体何のための構造改革だったのでしょうか。この状態では税収が50兆円台に戻ることはありえないのです。
追って構造改革がいかに日本経済を破壊したかについて検証しますが、小泉政権の経済政策は明らかに失政だったのです。それは税収が落ち込んで、2000年度の50兆円台に回復しない事実を見れば明らかなことです。
現政府は、2001年度から2004年度までに1.6兆円の公共事業費を圧縮したことを成果として強調しています。しかし同じ3年間の税収の累計額は23兆円にも達するのです。
2000年度の税収の50.7兆円から、2001年度~2004年度のそれぞれの税収を引いた額を合計した数字です。
-----------------------------
2001年度 50.7-47.9= 2.8兆円
2002年度 50.7-44.1= 6.6兆円
2003年度 50.7-41.8= 8.9兆円
2004年度 50.7-45.5= 5.2兆円
―――――――――――――――――――――――
23.5兆円
-----------------------------
これによると、公共事業を1.6兆円削減しても、その結果として税収を23兆円も失ったのです。この場合、政府は1.6兆円の削減成果のみを強調し、税収の大幅減少についてはふれていませんが、あまりにも一面的な見方といえます。
デフレが進行しているときは、投資関連の財政支出は減らしてはいけないのです。少なくとも前年同額か増加させるのが常識なのです。削減してしまうと、その削減額をはるかに上回る税収の減少につながるからです。
しかし、政府はその失敗を反省するどころか、逆に改革の成果を強調して、失敗の埋め合わせに大増税をやろうとしている――理不尽な話です。しかし、それを大多数の国民は仕方がないと受け入れようとしているのです。何と寛容な国民なのでしょうか。
つまり、こういうことになります。
純債務という観点から日本の財政をみると、そのGDP比率は欧州諸国並みであって、現状は財政危機ではないといえます。しかし、財政赤字は増え、政府債務は増えている――その原因は、国の経済政策が間違っているからです。
しかし、国が間違いを反省せず、このままの政策を継続しようとすると、大増税しかないことになります。そうなると、日本の財政そのものが破綻してしまうことになります。したがって、これは「財政危機」ではなく、「政策危機」である――菊池英博教授はこういうのです。
菊池英博教授は、銀行マンの出身であり、国内のみならず、米国やヨーロッパ、オーストラリアなどの営業店で、長年にわたる銀行経営の豊富な体験を持つ実務派の学者です。その主張は理論的であると同時に実践的であり、きわめて説得力があります。
1995年から、文京女子大学(現文京学院大学)の教授をされていますが、そのかたわら衆参両院で開かれる公聴会などで、公述人を務めるなど、国の経済政策に関して多くの提言をされ活躍している気鋭の学者です。
その菊池教授が現政権の経済政策は完全に間違っており、現在の経済政策を続けると、本当に財政は破綻するといっているのです。しかし、その提言が素直には受け入れられない不可解な基盤のようなものがあるのです。 ・・・[日本経済07]
・公共投資はGDPの増加に寄与する――菊地教授意見
―――――――――――――――――――――――――――
・「公共投資はGDPの増加に寄与していない」――この言
葉は、当初から小泉純一郎氏と竹中平蔵氏がよく宣伝し、
マスコミも使っている。しかし、事実に反する発言であり
大間違いである。
・1998年度と1999年度の公共投資が2000年度の
GDPを押し上げ、税収は50.7兆円に達している。
・しかし、2001年度に小泉構造改革が出てきたため、効
果が吹き飛んでいる。これは、橋本政権に次ぐ2度目の失
敗といえる。
・公共投資のGDP成長への寄与度合いを減殺させているの
は、効果が出るか出ないうちに、すぐに緊縮財政に転じて
しまうからである。
菊池英博著、増税が日本を破壊する、「本当は財政危機ではない」これだけの理由・ダイヤモンド出版http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?link_code=ur2&tag=electronicj02-22&camp=247&creative=1211&path=ASIN%2F4478231389%2Fqid%253D113866779
投稿: JSF | 2006/02/26 04:45
政府主導(公共事業等)で、日本のGDP(経済力)を上げるのと、民間主導で上げるのでは、雲泥の差があると思います。上の方(大企業)で小手先だけ儲けても経済基盤は弱いが、日本の中小企業が活性化され動きだせば経済基盤は固まり、全てが回りだす。
私が小泉さんの光を挙げるなら、銀行改革で中小にもお金が回るようになった事、公社・公団の民営化した事(橋本派では出来ない)だと思います。実際この後、経済が回復したのは事実。1日、1年で所得格差が拡大する事は100%ないでしょう。バブル崩壊で皆、資産喪失や倒産・リストラを経験した。耐えてチャンスを待った者、諦め腐ってしまった者の格差が今、出ているに過ぎない(一部は負け犬の遠吠え)と思います。
影を挙げるなら、経済回復を先行した為、金利上昇と消費税上昇が同時期に訪れるであろう事(やや止む無し)。そして旧橋本派の残骸が残ってる事です。
投稿: NZ life | 2006/02/26 07:48
小泉改革がなければ、未だに日本は年功序列、終身雇用、護送船団、談合、規制といった悪平等の闇に閉ざされていたと思います。
ところで、永田議員のインタビュー記事が話題になっています。政治家としての原点というか目指す方向はまさに小泉改革じゃないかと思われます。
詳しくはこちら
http://blog.livedoor.jp/hamaguri1101/archives/2006-02.html#20060225
投稿: 青い炎 | 2006/02/26 10:00
日本の考える公共投資とは「土建」が主体、土建業界が日本の中小企業の主体で税金の収入比率の多くを支えるのは間違い、地方財政の悪化は財政に対する行政側の親方、日の丸意識の延長、危機感など持たぬ官僚の怠慢。
年金制度、医療制度、生活保護を取っても日本は世界に先じている、それを維持する事が必要なら節度ある競争の中で生きなければ日本は落ちこぼれる。
企業も1年単位、5年単位、10年単位で事業の見直し、新規の事業を考える、行政も時代と共に不要なものは切り、新規には人事の転用を基本にすべきを未だ認識できていない。
小泉改革は間違って居ないと思う。
投稿: 猪 | 2006/02/26 11:39
うーん,最近こんな話が盛んですね.まあ,民主党やらブタTVやら,ジャーナリストを自認する捏造メディアが盛んに宣伝していますが.はっきり言って,今更なんだ!って感じです.ちょっと怒りを吐かせてください...m(__)m
10年前に,盛んに構造改革を叫んでいたのは,てめーらマスゴミと政治評論家だろ!!公共事業削減も,規制緩和も,全部正しいことのように叫んで,小泉がそれに乗って構造改革をやったら,いつの間にか”小泉改革は悪だ!”と言い始めた.
格差社会ができることも,マネーゲームが盛んになることも,分かり切っていたこと.ホリエモンが改革の旗手だと,だれが信じた!くだらない言いがかりで,自分達の罪を他人に押しつけるな!そんなに靖国が気に入らないの?そんなに中国が好きなの?頭の中が透けてみえるよ!
たしかに,不良債権処理などでしわ寄せを喰らった中小企業が犠牲者であり,またこれまでに無い社会のひずみも出てきたことも認めます.だけど,それを全て政府の責任に押しつける態度はおかしいです.そして,これをネタに政権を攻撃して,一体何が変わるのですか?結局,民主主義において,全責任は政府では無く,国民が負っているのです.まして,民間主導の流れの中では,改革によって変化した社会構造が誰の責任であるかは自明の理でしょう.
ヒューザーもライブドアも,小泉が作ったものではなく,民間が持つ欲望が作ったものである.なら,それを不可とするのは,政府ではなく,民間では無いのか?いつまで経っても,政府に甘えていれば,また官僚主導の巨大泥船船団のできあがりである.
偽装問題もライブドアも,劇場国家のワイドショーのネタで終わらせないためには,各業界の自浄機構を作り,そこで処理をする必要がある.政府に丸投げしてはいけない.馬鹿呼ばわりしながら,何とかしろって理屈がおかしくない?
投稿: toorisugari | 2006/02/26 12:47
~植民地のインドは商品を輸出しても、その見返りの代金は
ポンドでイギリスに蓄積され、デフレになり、不景気になった~
アメリカの謎を解く 橋本裕の文学・人生日記帳 http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/
ブッシュ大統領が1月31日の一般教書演説で、「私は8800億ドルを減税し、国民に返却した。今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」と述べた。
一方で、アメリカの経常赤字は05年が7900億ドル(93兆6940億円)、財政赤字も06年度は4230億ドル(約50兆2千億円)で過去最大、債務残高はすでに8兆ドル(約950兆円)を越えている。
日本では、税制赤字を解消するために、増税をしなければならないと考えられているが、アメリカは逆である。減税をして国内消費を活性化し、景気をよくして税収をあげようとする。さらにアメリカの場合は戦争によって軍需景気を作りだしているわけだ。
いずれにせよ、アメリカは消費大国。国も国民も借金をして消費を楽しんでいる。このアメリカの消費を助けているのが日本をはじめとするアジア諸国だ。とくに日本の貢献が大きい。日本は政府と民間が何百億ドルというアメリカ国債を買っている。
先日、朝日新聞夕刊「経済気象台」に「米国のもう一つの謎」という文章が載った。経常収支の赤字が拡大しているにもかかわらず、ドル高が持続している謎について、それは借金国のアメリカが負債について支払う金利が「異常」に低いからだと書いている。これに反して、アメリカの対外資産は巨大な利益を手にしている。
アメリカは莫大な借金をし、そしてその中から、わずかな一部を他国に貸している。そして不思議なことに、巨大な借金のための利払いよりも、わずかな海外資産の方が多くの利益を生み出しているというのだ。
どうしてこんなマジックが可能なのか。それは日本がこの逆をしているからである。なぜ日本がこの分の悪い役回りを続けるのか、実はこれこそが本当の謎だということになる。
<驚くべきことに、小さな対外資産から受け取る利子と配当が、大きな対外負債に支払う利子と配当を今日まで上回り続けている。家計にたとえると、収入を上回る買い物をして毎月赤字が続き、借金が膨らんでいる。ところが、多額の借金に支払う金利がゼロに近ければ、わずかばかり保有する預金などから受け取る利子の方が大きいという状態なのだ。これでは赤字をいくら出しても、借金さえできれば、後は何の憂いもなく買い物ができる>
<このうまい話に手放しで悪のりして、米国は経済収支赤字を続け、負債の増加に加速度がついている。この構図が最近話題になり、債権国が浮き足だっている。日本にその気配がないことが「謎」の源である>
実はアメリカのこの「うまい話」は、19世紀に繁栄した大英帝国をまねているだけだ。大英帝国の場合は、その繁栄の謎をとく鍵はインドをはじめとする植民地が持っていた。たとえば当時イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、そのままイギリスの銀行に預けられていた。
だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けられたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちになったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリスの銀行は国内の人々に貸し出した。
イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリスの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展した。
一方植民地はどうなったか。たとえばインドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイギリスに蓄積されるだけだから、国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景気になった。
仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出してもインドは豊かになれなかった。そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄を謳歌できた。
このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言ってもよい。経済同友会元副代表幹事の三國陽夫さんは、「黒字亡国」(文春新書)にこう書いている。
<輸出拡大によっていくら日本が黒字を蓄積しても、それはアメリカ国内にあるアメリカの銀行にドルで預け入れ、アメリカ国内に貸し置かれる。日本からの預金は、アメリカにしてみれば資金調達である。貸し出しなどに自由に使うことができる。
日本は稼いだ黒字にふさわしい恩恵に与らないどころか、輸出関連産業を除いて国内消費は慢性的な停滞に喘いでいる。停滞の原因であるデフレはなかなか出口が見えない。
日本の黒字がドルとして流入したアメリカはどうなのか。ドルはアメリカの銀行から金融市場を経由して広く行き渡り、アメリカ経済の拡大のために投下されている。日本の黒字は結局、アメリカが垂れ流す赤字の穴埋めをし、しかもアメリカの景気の底上げに貢献しているのである。・・・
輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく、アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく、政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても、一向に持続性ある効果は現れないのである>
幸い、最近この貿易構造がかわりつつある。日本の貿易相手国が中国をはじめとするアジアやヨーロッパにシフトしたことで、日本の対米黒字の割合が相対的に低下したからだ。こうして日本がデフレから解放されるチャンスがここから拡大した。
しかし、問題はすでに厖大なドル建て資産をアメリカに持っていることだ。日本人の汗の結晶であるドル建て資産が、今後ドル安で何百兆と失われる可能性がある。こうした形で、アメリカは最終的に日本の資産を合法的に手に入れようとする。
「今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」というブッシュの一般教書の宣言は、これからも日本をはじめ、世界から資金を調達するという意思表示と読むべきなのだろう。
投稿: JSF | 2006/02/26 12:51
・「公共投資はGDPの増加に寄与していない」のは間違いである。
という指摘と
・「公共投資はGDPの増加に寄与する」
という主張は(一部しか)一致しません、イコールとの主張は詭弁です。
郵貯で集めた金を、土木工事(と官僚・元官僚)に還元しても、それによる価値の再生産効率が極めて低い。
金は直接民間に回し、消費者に行き渡らせて購買力を上げるのが、経済の基本構造で、その意味で郵政民営化は避けて通れない。
「金の流れをコントロールし、上手く消費者に行き渡らせ、再生産を促す」
ことこそ政府の仕事です。
投稿: MultiSync | 2006/02/26 12:51
皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。
小泉内閣になって歳入(税収)が減った、あるいは国債が増えたという主張はタメにする議論です。
米国従属論もそう。
プロパガンダにすぎない。
>むしろ、小泉構造改革がなければ日本経済全体が暗い影の中に沈んでしまったままになっていたと思います。
この意見が正しい。
冷静に分析すれば解るはず。
>郵貯で集めた金を、土木工事(と官僚・元官僚)に還元しても、それによる価値の再生産効率が極めて低い。
これも正しい。
生産性が低く、波及効果に乏しい産業に税金を注ぎ込んでも、ムダ!というか、日本沈没に拍車がかかるだけ。
小泉内閣以前の公社・公団・事業団がどれだけのデタラメをやっていたか!!!
一度、勉強されたらよい。
「日本は財政危機ではなく政策危機である」という主張は、上記の勉強をしてからにしてもらいたい。
>総理の裏にいる飯島勲秘書官の存在ですね。
これは、ある意味『同感』
小泉内閣でスキャンダルが出るとしたら『彼』だろうと思っていました。
何事もなく有終の美(笑)を迎えられそうで何よりです。
まだ、分りませんが・・・
投稿: 坂 眞 | 2006/02/26 13:44
小泉首相が正しいかどうかなんてわかりません。確かなことは、彼が何らかのきっかけを作ったということだけで、それを活かせるか、沈没するかはこれからの勝負でしょう。
投稿: mikage | 2006/02/26 14:27
「カーリングに学ぶ叩かれ外交術」 大礒正美 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/5562/column/latest.html
1年前の2月から3月は、島根県が2月22日を「竹島の日」とする県条例(3月16日可決)を巡って、韓国で大騒動になっていた。日本大使館へのデモや抗議の自殺未遂、はては地方の一議員がカッターナイフを持って島根県まで押し掛けてきたりした。どこまで本気か分からないが、韓国民がどういう行動をとるかというパターンをよく示していた。
日本から見れば不思議な話で、韓国が島を実効支配しているのに、それを抗議されると日本人以上に憤激、逆上するのはなぜだろう? やっぱり本心は、日本領土を不法に占拠しているという後ろめたさがあるんだろう、などと考えてしまう。
しかし、そういう日本的解釈は全く見当外れである。
最近、日本が好感度トップということで話題になった米国メリーランド大学/英国BBCの世界世論調査(33カ国対象)を見ると、韓国民は日本だけでなく、アメリカ、中国、ロシアの全部に対してマイナスの評価、すなわち好感よりも嫌悪感を強く抱いている。こんな特異な国は少ないだろう。
つまり韓国民は、周辺国に対する警戒感が強く、常に猜疑心を掻き立てることによって、周辺国から叩かれているという自覚を生み出すように行動しているのである。
日米中ロの4カ国から嫌われ、圧迫を受けているという虚構の心理をつくり出し、その結果として、だから仕方なく、北朝鮮への接近を余儀なくされていると自ら思い込む。
これと同じようなことを中途半端にやったのが小泉首相である。
靖国参拝であれほど中韓両国から反発を買うとは誰も予想していなかった。あまりにも中韓首脳の小泉バッシングが強く、また執拗であったため、それが日本国民の思わぬ反感を呼んで、首相への強い支持が生まれた。
そういう意味では、小泉長期政権を支えたのは中国共産党だといっても差し支えないだろう。中国からヤスクニというきわめてわかりやすい外圧がかかり、それがどんどん強まっていくのに比例して、小泉改革が世論をバックに「抵抗勢力」をねじ伏せて進行していった。ありがとう、胡錦濤さん、多謝!!
しかし、残念なことに、小泉さんはその外圧を百パーセント国内政争に転用してしまって、外交に使うことをしなかった。これが、中途半端という理由である。
靖国参拝を特定して攻撃し始めたのは、明らかに敵失なのだから、それに対してはたとえば台湾の李登輝氏(前総統)が自由に来日できるようにする。もう一般人なのだからそれが当然で、日本訪問が自由となれば李氏は自分の意思で必ず靖国神社に参拝する。
それに憤激して中国がさらに外交攻勢を強めるようなら、台湾政府の要人を日本に招待するとか、あるいは日本の外相が公式に台湾を訪問するぞというような対抗策を、あらかじめ中国に警告しておく。
つまり、向こうのいちばん嫌がることを、こちらも一手打つことが必要なのである。それで相手がさらに強い手を打ってくるなら、こちらにも次の一手があるぞと分からせておく。冬季五輪のカーリング競技でいえば、相手の失投で当てられたこちらの石が、スーっと真ん中に移動していったようなものだ。相手にまずかったと分からせないような外交では外交にならない。こちらが動くことが肝心である。
そうした外交ゲームを小泉首相は知らなかったようだ。小泉さんが意識的に抵抗勢力をあぶり出し、叩かれているイメージを巧みに演出し、国民は内容をよく理解しないまま改革だからいいことに違いないと思い込む。このパターンには、外交政策が含まれていない。だから、政権末期が近づくにつれて、アメリカとの重要な行き違いまで表面化してきた。
政権基盤の弱いリーダーは、よくグライダーにたとえられる。逆風をうまく利用して浮揚力とするしかないからだ。しかし、向かい風が止まると、間違いなく下降する。悪くすると失速する。向かい風はいつまでも続かない。
いつまでも吹き続ける、と油断したホリえもんは、墜落した。国際政治史では、旧ソ連最後の大統領ゴルバチョフがそうだった。小泉さんと逆に、外国(西側)からの大きな支持を背景に国内の抵抗勢力に打ち勝とうとしたが、味方のはずのエリツィン(ロシア共和国大統領)に足元をすくわれてソ連邦を解体されてしまった。
ホリえもんの失脚は小泉政権の終わりの始まりを告げた。新たな抵抗勢力を求めて皇室典範改正を掲げてみたが、これも天の配剤であっけなく手元から消え去った。
まだ遅くない。グライダーではなく、カーリングに切り替えるときである。
投稿: JSF | 2006/02/26 14:55
低金利政策が、金融機関救済との言及は、あまりに勉強不足では?
金融機関が潤うのは、金利上昇局面です。
低金利政策は、企業を救済するためのものです。
まぁ企業の救済を通じ、不良債権の拡大を防ぐのと、国債の金利上昇に伴う暴落を防ぐという意味では関係あるかもしれませんが、拡大解釈では?
投稿: JFK | 2006/02/26 17:08
JFK殿
「低金利政策」ではない。
「金融の量的緩和」+「実質ゼロ金利」なのである。
まったく解っていない!
「金融の量的緩和」が何を意図しているのか、一度勉強されることをお勧めする。
トンチンカンなカキコはやめてもらいたい。
解らなければ、そう言えばよい。
質問には、可能な範囲でお答えする。
投稿: 坂 眞 | 2006/02/26 17:32
どこかで改革(既得権益との縁切り)は
行わなければならず、本来政党政権交代により
行われることが、自民党内で行われているに
すぎないのでしょうね。
今の国家予算を見ると、やはり歳入(税収)が少ない
バブル期と比べるのもなんですが
ガクッと下がり、社会保障費は1兆円ずつ増加。
次は、高齢者への補助の見直しが立て直しの
カギかもしれません。
投稿: 慶次 | 2006/02/28 13:56