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2006/02/08

噴火口上の中国

何清漣、49歳、米国在住。元・中国共産党深圳市委員会宣伝部職員。昨年の11月、突然発行停止となった、大胆な報道で有名な「深圳法制報」の元記者。
何氏は、1998年に現代中国の抱える問題点を突く『中国現代化の落とし穴』(邦訳・
草思社刊)を発表し、大反響を呼ぶ。が、その結果、中共当局の監視下に置かれるようになり、2001年に渡米(実質的な亡命)。
現在は、民間団体『中国人権』の研究員などを務め、研究・執筆活動を続けている。

その何氏が言う。
「中国は、性・食・余暇など生活分野の自由度は非常に大きい。しかし、政治分野では90年代後半から制約が強まり、民主化からますます遠のいている。記者や作家の
拘束、新聞・雑誌の発禁、農民暴動の鎮圧が相次いでいる」と・・・

90年代後半と言えば、江沢民から胡錦濤への権力移譲が進んでいたときだ。胡錦濤は1998年3月、全人代で国家副主席に選出され、1999年9月には軍事委員会副主席に就任している。
そして、2003年11月、中国共産党総書記に選出され、中国の最高権力者の地位に
就いた。

私は、江沢民にはよい印象を持っていない。経済成長一辺倒。強烈な反日民族主義
教育の実践者。今の中国の深刻な内部矛盾は、この江沢民の時代に作られたと思っている。
以前の私は、この上海の田舎官僚・江沢民から、共産主義青年団出身のエリート
官僚・胡錦濤にトップが代わったことで、中国は変わるのではないかという期待を抱いていた。
しかし、何氏の言うとおりであるとすれば、実際は、強権政治は江沢民の時代よりも
ひどくなっているということだ。

何氏は「中国は、以前は政権に抗議する人々にアメとムチを使っていたが、今はムチしか使わない」とも言う。
そう言えば、胡錦涛は、昨年秋の党中央委員会総会後の内部会議で、国際的な流れと逆行する北朝鮮やキューバの共産党一党独裁体制を称賛し、「中国も北朝鮮の金正日総書記やキューバのカストロ大統領を見習わなければならない」と発言している。
民主化どころか、北朝鮮のような圧殺体制が見習うべき「お手本」と言っているのだ。

この点について何氏は、「江沢民時代は腐敗も貧富の差も今ほど深刻ではなく、政権は問題を解決できる可能性があると考えていた。しかし胡錦涛時代になると、問題を
根本的に解決できないと悟った。指導部は、民衆を愛しているという演出と、党への
脅威と感じる批判や行動を抑圧することだけに専念しているのだ」と断罪する。

何氏は、中国の中産階層の少なさ(全体の15%)や農村や都市の余剰力の膨大な数(農村3億人、都市部数千万人)を挙げ、中産階層社会ができるという幻想を否定する。
「職がないのに中産階層社会を作れるだろうか」と、胡錦涛政権がさかんに宣伝する「調和社会」建設や「小康社会」の実現を不可能と断定する。

そして、経済成長についても、「環境的制約」「資源的制約」「低賃金」という三つの理由を挙げて、このまま高度成長が続くという楽観論に対して冷水をあびせている。
何氏は言う。
「環境(悪化)はすでに経済成長を支えきれなくなっている」「中国はすでにエネルギー資源の相当量を輸入に頼っているが、将来、依存度は50%を越える」「中国は賃金が低いので購買力に欠ける。中国経済は国内需要が伸びなければ、長く栄えることは
できない」
この何氏の分析と主張は、私がこのブログの『中国崩壊シリーズ』で述べてきたこととほぼ同じである。ここまで私の主張を裏付けるような見解を、当の中国人研究者から
披瀝されると、さすがにうれしい。
また、このように、今の中国を冷静に分析できる中国人がいるということが、もっとうれしい。

何氏は、今の中国を出口のない状態と指摘する。これは、「大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、出口の見えない混迷に震えている」という、讀賣新聞の藤野彰中国総局長の分析結果とまったく同じである。
つまり中共当局者自身が、いまの事態に、どう対処すればよいのかが分かっていない。だから、「以前は政権に抗議する人々にアメとムチを使っていたが、今はムチしか
使わない」「民衆を愛しているという演出と、党への脅威と感じる批判や行動を抑圧することだけに専念」する以外になす術(すべ)がないのである。

今の中共体制は、噴火口の上にある。

参照記事:「膨張中国」 (2006年2月7日 讀賣新聞朝刊)

【追伸】
年明けから、部下が80人に増えて、仕事量が1.5倍になりました。9:00~23:00の14時間。おまけに週休1日。エントリーを更新するのがやっとで、TB返しやコメント返しが満足にできません。
ただ、コメントやTBいただいたエントリーは必ず読んでいます。ご容赦を!

china-otosiana 
中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国
何 清漣 (著)





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中国崩壊シリーズ」カテゴリの記事

コメント

噴火の先には何があるのか? こっちにも降りかかりますね。
今でも4月になると、中国上空の大気が日本に流れて来るそうな。石炭には水銀が含まれていて、これを石炭火力発電所で燃焼させることで水銀蒸気が発生するとのこと。
↓水銀鉱山から製品まで
http://www.lib.kumamoto-u.ac.jp/suishin/mercury/02/02right.html
↓水俣病の原因は有機水銀(メチル水銀化合物)
http://soshisha.org/nyuumon/shitsumonbako/genin.htm
脳の細胞をこわしてしまうのだそうだ。
石炭発電から出る水銀蒸気が有機水銀といわれる物かどうかは知識不足でわかりませんが、いいものではないでしょう。
水銀は体内に蓄積され妊婦への影響が大きい(奇形児など)といわれています。
日本でも花粉症用ではないマスクが売り出されるも近いか?

投稿: 岩手の田舎人 | 2006/02/08 21:11

歴史を見るに、独裁政権打倒に必要なのは、内部からの爆発(市民運動)しかない。政権は、外部からの圧力(人々や他国の声)に屈っさないし、他国の強大な軍事攻撃のみが政権崩壊の他の道。
仮に崩壊させても、噴火後の溶岩の様に垂れ流される難民、(経済の)地殻変動による世界的不況を考えれば、外部から崩壊させたくない理由も理解できる。
賢者や弱き者達が、国外からいくら声をあげても馬耳東風、国内に残る者は政府から迫害され洗脳されていく。
打倒に向け、1番厄介なのは、中国は国連常任理事国である事。国際貢献度が最も低く、環境を破壊し、人権侵害がまかり通る国が、1員であることは地球の損失でしかない。

投稿: NZ life | 2006/02/09 07:00

毎日楽しみに拝見し勉強させて頂いております。
14時間労働、週休1日という過酷な状態でこのようなブログを更新されている・・本当にご苦労様です。そして有り難うございます。
これからはポチを3箇所共、真面目に押させていただく事にしました。
お身体お大切に下さいます様 これからも応援させて頂きます。

投稿: フミ | 2006/02/09 10:45

皆さん、こんにちわ。
コメント、ありがとうございます。

時間がないと、深く斬り込んだエントリーがなかなか書けないですね。
昨日の昼は、とうとう気分が悪くなって、会社を早退、今日はお休みしています。
やはり相当、疲れが溜まっていたみたいです。

まあ、中国の人たちは、月一の休みでも頑張っているわけですから、私はまだ恵まれている(爆笑)

投稿: 坂 眞 | 2006/02/09 14:57

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