少子高齢化と中国農村の困窮
「再び皇室典範改正について」という2月14日のエントリーは、読者の方の反発が強かったですね。人気ブログランキングにおけるこのブログの獲得ポイントは、平日で1日につき6,000~7,000。それが、一気に5,000ポイントも下がってしまいました。
まあ、これは「想定内(笑)」。それを覚悟のうえで、この問題についての私の見解を明らかにすべきであると考えたからです。
>思考の構造が左翼にそっくりで笑ってしまいます。
>まさに金科玉条というか教条主義というか・・・
という私のコメント返しについて、「自分と意見が合わない人を十把一絡げにバッサリ
切り捨ててしまうのは残念なことです」というご指摘がありましたが、これはそのとおりだと思います。
「正義は我にあり、真理は一つ」という偏狭な立場の人は、ごく一部にすぎませんでした。大多数の方が私の主張を受けとめ、そのうえでの問題提起、反論であったと思います。
ここで率直に謝罪したい。
人気ブログランキングの獲得ポイントは、すぐに元に戻りました。この事実が、このブログの読者の大多数が、皇統をめぐる見解で私と意見を異にしても、引き続きこのブログを支持してくれていることの証だと思います。
深く感謝しております。
さて、ここからが本日の本題です。
↓
我が国は、世界に例を見ない速度で本格的な高齢化社会(超高齢社会)を迎えると
予測されている。しかし、お隣の中国も負けてはいない。実は、中国は、既に高齢化
社会の入り口にいるのである。
中国の一人当たりの国内総生産(GDP)は、まだ1,300ドル程度で、我が国(約3万4,000ドル)の26分の1にすぎない。つまり、極めて貧しい社会なのだ。にもかかわらず、既に高齢化社会のとば口に立っている。なぜか???
それは、一人っ子政策による人口出生率の極端な低下と、生活水準の向上による平均寿命の大幅な延びが原因である。
ユネスコの高齢化社会基準は、「国または地域の60歳以上の人口が当該国または
地域の総人口の10%あるいはそれ以上を占めていること、または65歳以上の人口が
総人口の7%あるいはそれ以上を占めていること」である。
中国第5次国勢調査の結果では、現在、全国の60歳以上の人口は既に1億3,200万人に達し、総人口の10%を占めている。また、65歳以上の人口は8,811万人に達し、総人口の約7%を占めている。
(ちなみに、我が国の65歳以上の高齢者人口は2,488万人で、総人口に占める比率は19.5%)
ということは、中国は既にユネスコの高齢化社会基準に該当する。要は、先進諸国は「豊かになってから高齢化した」のに対し、中国では「豊かになる前に高齢化が始まっている」のである。
中国の人口出生率の極端な低下と平均寿命の上昇が、いかに社会の年齢構成に
影響を与えているか?
今から35年前は6人で1人の高齢者を扶養していたのが、35年後は1人で2人の高齢者を扶養しなければばらない。このままでは、将来1人で4人の高齢者を扶養しなければならない破目に陥る。
生産年齢人口の総人口に対する割合は、2011年に下降が始まると予測されている。
また、生産年齢人口の絶対的数量は2010年ごろに安定し、2022年から下がり始める。
同時に、総人口は2030年ごろをピークに、その後下がり始めると予測されている。
このような、経済的に貧しい中での「少子高齢化」の進行が、中国社会にどのような
影響を与えているのか?
それは、農村における高齢者の困窮である。
↓
中国は1980年代半ばから農村の社会保険の模索を始めた。
一部には山東省煙台市のように農民老齢保険を実施しているところもある。加入農民は数十万人で、老後に月80元(約1,170円)を得ることができる。
しかし中国全体で見ると、社会保障に加入している人口は農村を1とすると都市は24、その補償金額も農村を1とすると都市は22である。
この保険制度実施の困難の理由は、農民の収入が極端に低いこと、人口が極端に
多いこと、老齢化が急速に進んでいること、若年者は都会に出稼ぎに行っており、農村の土地財産を子供に譲って家族子孫を継承する伝統が消えつつあり、若年者の収入が農村に戻らないこと等々にある。
各家庭の農民が土地の使用で得る収入は3分の1のところもある。つまり農民の主要な収入は出稼ぎということになる。
現在既に4,000万の農民が土地なく、仕事なく、預金なく、社会保障もない状態となっている。
しかし専門家が欧州13カ国を調査した結果、農業生産が全生産量の15%以下の国家でも社会保障をしており、中国は既にこの条件を満たしている。
2030年頃に中国では高齢者が最大となる時代を迎える。このままでは困難は大きくなるばかり。
国務院 労動和社会保障部 農村社会保険司 副司長 劉属竜
中国の農民保険を考える
06/01/19 南方週末
現在、既に4,000万の農民が土地なく、仕事なく、預金なく、社会保障もない状態となっている。
これは、すさまじい事態である。そして、この状態は、高齢化の進行で、ますます拡大する。
「35年後は1人で2人の高齢者を扶養しなければばらない」というのもすごい。我が国は、 2008年には3人で1人、2030年ごろには2人で1人を扶養しなければならなくなる、ということで大騒ぎしているのだから。
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コメント
はじめまして。
何時も楽しみに読ませて頂いているシルバーエイジです。
中国の高齢化、数字を以て示して頂いてありがとうございました。
URLは、4年前の旅行に際しての感想です。
投稿: Helio | 2006/02/19 12:01
え~、実は37歳にしてようやく英検1級の
一次試験に合格し、インタビューテストの
準備で、『高齢化社会にどう対処するか』、
『皇室典範改正はどうなされるべきか』等、
テーマに出される可能があるトピックについて
準備するために、このブログを読ませていただいております。 『皇室典範』だけは、スピーチの選択テーマに出ても、絶対に避けようと分ログを読んで堅く決意しました。
国民が豊かになる前に高齢化社会になってしまった中国は大変ですね~。
日本はまだラッキーなのかも知れません。
投稿: 奈良の田舎者 | 2006/02/19 13:06
私は、日本の超高齢化の原因は進みすぎた医療技術のせいだと思っているのですが、中国のほとんどの高齢者の方は多分、日本の高齢者のような医療保障は受けられないと思います。なので高齢者が増えていったとしても、日本に居る大勢の高齢者のように生き残らずに、自然に死んでいけると思うので、日本より深刻な状況には陥らないと思うのですが…どーなんでしょうか。
投稿: tsk | 2006/02/19 17:30
中国国民の平均寿命は意外と長いですよ。最も当局発表値しかありませんのでその統計の取り方はわかりませんが・・・。
中国の西洋医療は当然日本と比べるとかなり遅れています。しかし当たり前ですが通常治療に針、灸などの東洋医療を取り入れており薬においても漢方薬が流通しています。そして何より健康に対する意識、取り組みは凄いですね。上海の早朝には個人、団体で体操等を行う大勢のご老体の姿を見ることができます。排気ガス規制がようやく始まろうとしているひどい環境の中で健康的といえるかどうか疑問ですが・・・。
私は日本より中国のほうが高齢化についてより深刻な事態になるように感じます。
日本では生きれるのに死ぬことになる事態が起こる可能性はは少ないでしょう。
投稿: 大熊猫 | 2006/02/19 19:37
高齢化の質も重要と思います。中国の大きな悩みの一つは、文革世代が無教育のまま社会の中核世代を構築していることでしょう。今40代半ば~50代半ばの人たちです。日本の場合、高齢者といっても働く気になればある程度の生産性が期待できますが、文革世代はやたらと怒りっぽい以外取り柄のない人たちで、ただのお荷物に成り下がります。そこへもってきて本質的にアナーキストで国を捨てるのが理想である中国人気質が加わる。おそらく小金をもって国外脱出する流れが加速し、高齢者を支える人口に所得を乗じた積算値はどんどん下がり続けると思われます。この流れはおそらく軍事クーデターを引き起こしますね、あの国の伝統から言っても。我が国にとっても、核の管理や一衣帯水の環境汚染が野放しになることを含めて、今から対処に着手すべきと思います。といって、よいアイデアもないのですが。
投稿: かろかろ | 2006/02/19 22:57
今回のテーマはとても他人事ではとても思えません。少子高齢化問題は日本もそうですが、ドイツでも日本と同じような状況です。その上ドイツでは現在500万人以上の失業者がいます。将来定年を67歳にするかどうかという論議が現在行われていますが、いったいこれからどうなるのかと思ってしまいます。私の友達にも失業者は数人いますが中年になり解雇されたらもう職には就けないような状況です。ただしドイツでは失業保険制度などが日本と比べて充実しているので失業してもすぐに困るということはありませんが、それでもドイツの社会保険制度は以前ほど寛大ではなくなってきています(控除額は増えているにもかかわらず)。日本の場合はドイツほど失業者がいませんが将来を考えると世界的に先は暗いのではないでしょうか。これは中国だけの問題ではなさそうです。
投稿: 冒険ダン吉 | 2006/02/19 23:51
大丈夫。中共にとって人の命などゴミのようなものだから、姥捨山かもっと手っ取り早く姥捨川とか姥捨焼却場とかできて、すぐに解決!ってなりますからw
投稿: N | 2006/02/20 09:49
以前朝鮮日報か何かで韓国の高齢化は日本よりも急速に進んでいて酷いという記事を読みましたが特定アジア国家は先行き明るい所は無さそうですね。
投稿: 一政 | 2006/02/20 22:36