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2006/02/23

日本は「成熟した債権国」

昨日の讀賣新聞朝刊に興味深い記事が載っていた。
とても参考になるので、全文を転載する。


海外とのモノやカネのやりとりの収支を示す日本の2005年の経常収支で、海外への
投資に伴う配当金や金利収入などの黒字額が、モノのやりとりでの黒字額を初めて
上回った。日本は長い間、海外への製品輸出で外貨を獲得してきた「貿易立国」だったが、海外への投資でも外貨を稼ぐ「投資立国」に変わりつつある。(黒川茂樹)

経常収支は、配当金や金利収入などの所得収支、製品の輸出入による貿易収支の
ほか、海外旅行者が土産品を買ったり食事をして支払った額の収支などを示す「サービス収支」、途上国への政府開発援助(ODA)の一部などを示す「経常移転収支」をあわせたものだ。
05年の経常収支の黒字額は18兆479億円で4年ぶりに減ったが、ドイツ(円換算で
約12兆4000億円)などを大きく引き離し、依然として「世界一の経常黒字国」となって
いる。
経常収支のうち、貿易黒字は10兆3502億円、所得黒字は11兆3595億円で、全体を
押し上げる2本柱となっている。

所得収支は、日本企業が海外に工場を建てたり、海外企業の株を買ったりして得た
配当や利子などと、海外の企業が日本で得た配当や利子などの差額をいう。投資額
そのものは資本収支に区分けされ、経常収支には含まれない。
20年前には日本の所得黒字はわずか約1兆6000億円で、貿易黒字(約13兆円)の8分の1程度だった。しかし、1985年9月に、先進5か国がドル高を是正していくことを決めた「プラザ合意」で、1ドル=約240円だった為替相場は円高が進み、所得黒字と貿易黒字の差が縮まる大きなきっかけとなった。
それまで主に欧米へ工業製品を輸出して外貨を稼いできた日本の自動車や電機メーカーは円高で輸出がしにくくなり、一斉に生産拠点を海外に移すグローバル化を進めた。日本からの輸出が現地生産に移って貿易黒字が抑えられ、一方で海外などにつくった生産子会社などから得る配当などは増え続け、所得黒字の拡大につながった。
日本国内の需要(内需)拡大や、バブル崩壊以降の景気回復を狙って日本の金利が
低く抑えられたことも、所得黒字拡大を後押しした。国内投資家が金利が高い欧米へ
積極的な証券投資を続けたためで、04年末の日本の対外資産残高は約434兆円と
99年末より4割以上も増え、利子や配当を生むようになっている

「経常収支の変化は、国の経済の発展段階を反映している」という「発展段階説」に従うと、日本は経常黒字が大きい「未成熟な債権国」から、貿易・サービス赤字を所得黒字が補う「成熟した債権国」の段階に向かいつつある。
この説によれば、目立った輸出産業がない発展途上国は、海外からの投資(借金)で国内産業を育成する。この段階では貿易・サービス、所得とも収支は赤字だが、輸出産業が稼げるようになれば、もうけを海外への投資にも回せるようになり、その国は「借りる側」の債務国から「貸す側」の債権国に移行する。

しかし、人件費の高騰などで、国内産業は次第に国際競争力を失い、貿易黒字はその後、減少に向かう。しばらくは所得収支の黒字が穴埋めして経常収支は黒字だが、
貿易収支が大幅な赤字になると、海外から国内の株式市場などに投資を呼び込まなければ必要な資金が賄えなくなる。これが海外の負債が資産を上回って増える「債権
取り崩し国」で、巨額の経常赤字を抱える米国はこの状態にある。貿易黒字が1019億ドルと日本を抜いた中国は「債務返済国」で、日本は米国と中国の中間段階にある。

経済財政諮問会議がまとめた「日本21世紀ビジョン」は、2030年度の日本経済は、
貿易・サービス収支が赤字になるが、中国などへの投資による所得黒字が拡大して
経常黒字は保つ「投資立国」の姿を描いている。ただ、「高齢化が進んだ21世紀半ばには、所得黒字では貿易・サービス赤字が賄えなくなる」(櫨浩一・ニッセイ基礎研究所
チーフエコノミスト)との指摘もある。
今後、米国のように経常赤字が定着すると、赤字穴埋めのため、外国からの借金に
頼らざるをえなくなり、経済運営が不安定になりかねない。

これまでの日本の通商戦略は輸出産業の育成に力を注いできた。今後は、高い技術を持つ人材の有効活用や、グローバルな投資活動などの重要性がより高まりそうだ。

naruhodo22902



















貿易立国から投資立国へ
(2006年2月22日 読売新聞)

我が国が、ここまで成熟してきたことは奇跡と言ってよい。
20年前には日本の所得黒字はわずか約1兆6000億円で、貿易黒字(約13兆円)の8分の1程度だった。それが、05年には貿易黒字(10兆3502億円)を所得黒字(11兆3595億円)が上回った。そして、経常黒字額は18兆479億円でダントツの世界一。
まさに、1985年9月の「プラザ合意」をきっかけに日本は変わり始め、ついに変身を成し遂げたということだ。

「プラザ合意」のとき、私はある商売をしていた。それは、輸出企業にコンピュータを使った貿易システムを売り込むという仕事だった。
私は絶望的な気分になった。顧客も青い顔をしていた。「もうダメなんじゃないか」と。
なにしろ1ドル=約240円だった為替相場が、1ドル=約90円にまで急騰した
のである。
しかし、これを契機に我が国は、生産拠点の海外移転と内需拡大という路線にシフトした。そして、中曽根内閣の『民活』路線と大幅な金融緩和が状況を変えた。『民活路線+大幅な金融緩和』がバブルを生み出し、見せかけの繁栄に世の中が浮かれることになる。

が、バブルはしょせん泡。大蔵省の『不動産融資総量規制』という劇薬が効きすぎて
バブルは一気に崩壊。ここから失われた10年が始まる。
「ジャパン・バッシング(Japan bashing)」と言われるほどに世界中から嫉妬されていた国が、「ジャパン・ナッシング(Japan nothing)」と呼ばれ、バカにされるようになった。
私自身も最悪の状況に追い込まれ、「今度こそ、もうダメだろう」と観念した。
バブル崩壊によって、なんと1千389兆円もの資産が泡となって消えたのだ。家計も623兆円の損失を被った。

ただ、私には、戦後一貫して続いて来た行政主導型の成長政策、いわゆる「行政指導」「護送船団」「横並び」などの言葉に代表される経済体制を変革する、これができれば、まだ日本は捨てたものじゃない、という思いも強かった。

戦後体制は、政治・経済ともに完全に金属疲労を起こしていた。しかし、政治も経済も一向に変わる気配がない。政治においては相変わらず経世会(竹下派)の支配が
続き、金融機関の巨額な不良債権の処理は先送りされる。そして国債頼みの財政
出動。
日本沈没の危機に直面しているのに、旧態依然とした体制は変わらない。社会全体が閉塞感におおわれ、私自身もやりきれない気分に陥ったものだ。
ところがである。不可能!!!絶対にありえない!!!と思っていた小泉純一郎が総理大臣に
なった。そして2005年、日本は力強く復活した。

大多数の上場企業が、この3月期、史上最高益を更新する。
間違いない!

やはり日本人は賢い。日本国は偉大である。将来、今の米国のような『債権取り崩し国』になるとは思わない。

ここで、讀賣新聞の記事に書かれていない問題点を指摘しておく。
我が国は、米国債の海外保有額の約4割を占めている。2005年2月現在の残高で、米国債を7千020億ドル(約82兆8千400億円)も抱えている。この米国債の利回りも、我が国が「投資立国」になった要因の一つである。
米国債をこれほどまでに抱えることになった要因は、主として円高を防ぐための為替介入にある。が、このままだと『米国と共倒れになる』という危険がある。

今の米国は財政赤字と経常赤字という巨額な双子の赤字を抱えている。にもかかわらず経済は『バブル』と言われるほどの活況を呈している。レストランのウェートレスまでが不動産投資に走っているそうだ。その米国の『バブル』を支えているのがジャパンマネーなのである。そのことを、この場で明確にしておきたい。
なお、中国も、05年11月末現在で2千498億ドル(約29兆4千800億円)の米国債を保有している。これも元高を防ぐために為替介入を繰り返した結果である。

米国債保有高 第1位:日本 第2位:中国。つまり、日・中両国で米国経済を支えている(笑)

参照1:米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?
参照2:アメリカのために日本をつぶす
参照3:バブル崩壊 家計の損失は623兆円
参照4:米上院委長 「為替操作国」と批判 元の再利上げ求める

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コメント

まあ、暴力国家の面目躍如と云う処ですね、日本も骨抜きにされ、黒字と云う「文字」を見て喜んで居るのは甘いのですが、ライブドア事件で国会が遊んでいる状況を見ていると怖く成りますね。
しかし、竹島、尖閣、北方領土ですら主権を主張しない日本政府、黒字をチャラにして欲しいと云っても日本は反対しないよ、どんどん黒字を貯めて置けよ。
こんなアメリカの感覚でしょうね、何せ国会が主権と云う言語を理解しない人間の集合体ですから、救えません。
選ぶのは国民、国民は愚民化、教育基本法も「愛国心」で止まる、救い様がない様な気がしています、今からでも遅くは無いので日本人は正気を取り戻して欲しいものです。
普通の「憲法」「教育基本法」を日本人の為のものに変えるだけで日本は変れるのですが。

投稿: 猪 | 2006/02/23 12:19

日本の盾と矛(資産)は、真面目な労働力(個人主義に走らない協力)と技術力(他を流用し、より高い技術を生み出す能力も)だと思います。アメリカには高い技術力はある、中国は両方無いと感じますし、日本の信頼関係を重んじる風習が、コレを生み出してるのではないでしょうか。中小企業の強さも秘密の一つだと思います。
私も外へ出て、コノ資産の無さを痛感しています。しかし、アメリカの崩壊は無い、あったら資本主義の崩壊と世界経済の破綻を意味する事ですし、日本もただでは済まないでしょう、怖いですね。
誰も開けられなかった不景気(気分的なものも)の缶の蓋を開けた小泉さんの功績は称えて良いと思います。

投稿: NZ life | 2006/02/23 12:42

 日本は、明治以降、「西欧諸国から侵略されない国家」、「日本文化・精神の保持」のために努力してきたように思います。島国日本には資源がなく、あるのは文化・歴史・人的資源のみであります。
 このような国家が生き残る方法は、「世界平和に寄与し、安定した貿易国家の維持」を目標にするしか無いと思います。時には命を賭けて。
 究極は日本文化を他国に尊敬させることです。
 その為にはドルの防衛も必要と考えます。ただ所得黒字が貿易黒字を上回る事態は危険を感じます。利息が給料を上回ると勤労意欲が減少します。イギリスの衰退もそれが原因ではなかったでしょうか?アメリカの金融支配も同じことでしょう。他国民も自国民も不幸になりませんか?移住可能な金融資本家は幸せになれますが。
 健全に働き、高い収入を得て、年金・介護・医療等を充実し、安心して死ねる幸せを享受したいものです。
 所得黒字と貿易黒字の望ましい比率とか無いのでしょうか?
 
 
 

投稿: koubunnyuu | 2006/02/23 20:22

高校生三人が世相を斬る!!↓
http://seemax.blog49.fc2.com/

投稿: oki | 2006/02/23 20:46

企業が利益を上げたのは
派遣やアウトソーシングなどの
人件費を大幅に切り捨てた
面もあると思うけどね

投稿: しかし | 2006/02/23 23:09

皆さん、おはようございます。
コメントありがとうございます。

>ただ所得黒字が貿易黒字を上回る事態は危険を感じます。利息が給料を上回ると勤労意欲が減少します。

ココです問題は。
ただ、もうかればいい、すべてをカネで判断する米国と違い、日本人は勤勉を美徳とします。
これがなくならない限り大丈夫ではないかと・・・

>企業が利益を上げたのは
派遣やアウトソーシングなどの
人件費を大幅に切り捨てた
面もあると思うけどね

これは事実。
パートタイマーと正社員の待遇格差を縮小させることは、企業の社会的責任だと思います。

投稿: 坂 眞 | 2006/02/24 09:59

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