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2006/03/26

国の借金が増えると個人の金融資産が増える???

財務省によると、国債や借入金などの国の借金残高が、2005年12月末に813兆1830億円に達した(前年同期比8.3%増)。国民1人当たりの借金は約636万円になる。
地方自治体の債務合計は約200兆円で、国と地方を合わせた借金は重複分を除いて、この3月末に1000兆円を超える見通しだという。

政府債務残高の約8割を占める国債のうち、一般会計予算の社会保障費や公共事業費の不足分を埋める普通国債は、525兆9234億円円で過去最高となった(同7.5%増)。政府系金融機関などに資金を供給するための財投債は133兆2389億円だった(同20.3%増)。

ここで、普通国債と財投債は分けて考える必要がある。まず普通国債について言及する。
普通国債の新規発行分は、減ってはいないが抑制はされつつある。では、なぜ前年比7.5%も増えるのか?

バブル経済が崩壊し、その後の不況が長期化した(失われた10年)ため税収が減少。それにともなう歳入不足を補うために、政府は多額の国債を発行した。
しかも、不況を克服するために、景気対策を目的とした国債の発行も、たびたび行なわれた。
ところが、景気は一向に回復せず、歳入不足が常態化。、過去に発行した国債の償還資金さえ不足する事態になった。このため国は、社会保障や公共事業などの政策経費の不足分を補うための国債と、発行済国債を償還するための国債を発行しなければ
ならない破目に陥った。
つまり、収入が思ったように増えないので、生活のために新規の借金をした上で、
「過去の借金を返すための借金」もする。こうして借金が雪だるま式に膨らんでいったのである。

このような事態は、どうすれば解消できるのか。それは、個人が家計を立て直すのと
同じである。
(1)無駄な支出を減らす。(国の所管事業見直し)
(2)扶養家族を減らす。(公務員削減)
(3)不要不急な財産を処分する。(国有財産の処分)
(4)収入を増やす努力をする。(景気のさらなる回復と増税)

23日から衆院本会議で審議入りした「行政改革推進法案」は、①公務員総人件費
削減、②政府系金融機関改革、③独立行政法人の見直し、④特別会計改革、⑤国の資産・債務削減を5本柱としている。
具体的には、①既存の政府系金融8機関を平成20年度に一元化し、貸付金残高を国内総生産(GDP)比で16年度の半分以下とする、②自衛官や独立行政法人を含む国家公務員の定員(約69万人、日本郵政公社を除く)を5年間で5%以上純減させる、③31の特別会計を2分の1から3分の1に減らし、平成19年度に「整理合理化法案」(仮称)を国会に提出する、④10年間で国の資産をGDP比で半減させることを目安に公務員宿舎など政府資産を売却する、ことなどが盛り込まれている。

つまり、国家公務員の数を減らし、利権の巣窟になっている特別会計のムダをなくし、国の貸付金残高=財投債を半減させる、国の資産もできる限り売却する、ということだ。

国の資産削減については、自民党財政改革研究会のプロジェクトチームが22日に、112兆1000億円の政府資産の圧縮を目指すとした中間報告をまとめた。
一方、経済同友会は23日、政府の資産を総額175兆円圧縮するべきだとした緊急提言を発表した。
同友会案では、庁舎や公務員宿舎などの資産売却で11兆7000億円を圧縮。さらに、NTT株、JT株の完全売却や独立行政法人などへの貸付金の証券化、日本郵政公社
など民営化される機関からの貸付金回収などで合計163兆円が減らせるとしている。

政府や自民党がめざしている方向そのものは正しい。あとは、それが本当に効果的に実行できるかどうかにかかっている。
何しろ相手は、霞ヶ関の官僚と公務員労組である。霞ヶ関の官僚のバックには族議員が付いている。公務員労組には野党が付いている。
その抵抗力の強さは半端ではないと思われる。が、これができないと、もっとも重要な「収入を増やす」=「増税する」ということに対する国民の理解が得られない。
増税がスムーズにできなければ、財政再建は「絵に描いた餅」になる。

日本銀行が「金融の量的緩和」を解除した。中央銀行が、半ば強制的に市中の金融機関にマネーを押し付けるという、世界に例を見ない異常な政策が転換された。
日本銀行は、「実質ゼロ金利政策」は当面の間は堅持するとしている。が、「ゼロ金利」などという金融政策を、永遠に続けられるはずもない。「量的緩和の解除」を受けて、
すでに長期金利は、ジワリジワリと上がり始めた。

金利が上がり、国債が値下がりすると、その大半を受け持っている郵貯や民間の金融機関が大打撃を受ける。
国庫も同様である。2004年度の財務省試算によれば、国債金利が2005年度から、
今の想定(10年物で年2%)より1%高くなると、3年後の2007年度の国債利払い費は
想定より約3兆7000億円多くなる。
1%の金利上昇で国債の元利払いが年間に1兆2000億円以上膨らむ。約3兆7000億円という数字は、消費税率5%のほぼ4割の減収にあたる。

つまり、金融政策が正常化されると、今のままでは、国も金融機関も持たない。一刻も早く借金(国債)を減らさなければならない。改革をすみやかに実行し、スリムな体に
なったうえで消費税を引き上げる。
もう待ったなしなのである。

なお、財投債について言えば、財政投融資の残高自体は、政府系金融機関の融資
縮小などに伴い減っている。が、01年度からの財政投融資改革で、政府系金融機関や公社・公団(独立行政法人)への資金供給のために財投債を発行するようになったので、発行残高が膨らみ続けているのだ。
これは、普通国債とは事情が違う。「行政改革推進法案」が実行に移されることによって、政府系金融機関や独立行政法人の業務見直しや統廃合、民営化等の経営効率化が実現されれば、財投債は確実に減る。
ただ、これも、霞ヶ関の官僚と族議員と公務員労組が三位一体となって抵抗するのは必定であるから、心してかからなければ失敗する。

ところで、借金が813兆にも膨れ上がって我が国は大丈夫なのか?とご心配の方もおられよう。
実は、財務省が国の借金を発表した同じ日に、日本銀行が、昨年12月末の家計部門(個人)の金融資産残高を発表した。何と、前年末よりも5.2%も増えて、1509兆円と過去最高を記録した。1500兆円を超えたのは、統計が残る79年以降初めてである。景気回復で所得が増えたことに加え、株価や投資信託の価格上昇が、個人金融資産残高を押し上げたという。

統計によると、超低金利が続く中で、高い利回りが期待できる金融商品が人気を呼び、株式が前年末比48.4%増の118兆円、株式や債券で運用される投資信託も同40.1%増の51兆円、国債・財投債も同31.8%増の26兆円に達した。いずれも過去最高の水準である。

なお、金融商品に人気が集まる一方、現金・預金志向も相変わらず強く、現金・預金は同0.6%減の783兆円で個人資産のなお半分強を占めている。

この、世界第2位の1500兆円を超える個人金融資産がある限り、我が国が、かつてのロシアやアルゼンチンのような利払い停止-デフォルトという事態に陥る可能性は低い。国債の国内消化率は95%を超えているし、政府保有資産は280兆円にのぼる。
こういう我が国の特殊性を考えると、国と地方を合わせた借金が1000兆円を越えるからといって、今すぐこの国が立ち行かなくなるというわけではない。
もちろん、だからといって、前述したように、財政再建が「待ったなし」の状況であることに変わりはない。今後、金利の上昇が見込まれるだけになおさらである。

では、世界第1位の個人金融資産を誇る米国と我が国を比較してみよう。そうすれば、我が国の底力がもっとよく解る。

米国債の発行残高は、2003年7月時点で、6兆7510億ドル(約790兆円)。2005年末の発行残高は、正確には分らないが、もう少し多いであろう。
日本国債の2005年末の発行残高は、約5兆6339億ドル(659兆1623億円)。

米国の2005年の経常収支は8000億ドル超(約93兆6000億円)の赤字。日本の2005年の経常収支は約1579億ドル(18兆479億円)の黒字。

2004年末の米国の外貨準備高845億ドル。2005年末の準備高は、正確には分らないが、もう少し少ないであろう。日本の2005年末の外貨準備高は8469億ドル。

米国の個人金融資産の総額は、日本の約12兆9000億ドル(1508兆6760億円)を2倍以上上回る。
ただ、我が国の個人金融資産は現金・預金の比率が5割を超えるが、米国は株式や
投資信託のウエイトがかなり高く、したがって景気次第で大幅に変動(減額)する可能性が高い。
為替レートも実体経済以上にドル高になっており、米国の個人金融資産の総額は、
このドル高分も差し引く必要がある。
また、米国の家計には、「低貯蓄率」「過剰債務」という構造的な問題もある。

要するに、日本株式会社は借金も多いが利益も多い。会社も従業員も蓄えが多い。対する米国株式会社は、借金が多いうえに大赤字。従業員はカネを持っているが、会社の蓄えはほんのわずか。
解りやすく言えば、こんなところであろうか。
我が国の実力からすれば、財政再建は必ずできる。悲観することなく改革を進めていくことだ。

参照1:国の借金800兆円突破 05年末、前年比62兆円増
参照2:個人金融資産、初の1500兆円突破 昨年末
参照3:米国の経常赤字が世界的な資金移転を引き起す可能性
参照4:国際比較:個人金融資産1,400兆円
参照5:グローバル化の進展とマクロ経済の動向
参照6:政府資産175兆円圧縮可能…経済同友会が提言
参照7:米国家計支出はなぜ堅調か
参照8:行革実効性どこまで 推進法案審議入り 首相「最重要課題」

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構造改革&小泉内閣」カテゴリの記事

コメント

自治労はミンスですが、国公労連はキョーサン系っす。それはもう…orz

投稿: 故あってAC | 2006/03/26 17:17

増税=消費税な風潮が不明

投稿: nasi | 2006/03/26 17:53

故あってACさん。
ご指摘ありがとう。
確かにそのとおりですね。
ただ、民主党内にも反対勢力は多いですし、社民党も反対なので、「野党」に訂正しておきました。

投稿: 坂 眞 | 2006/03/26 17:58

増税=消費税な風潮

ガソリンや自動車重量税のように特定の分野以外で使われると叩かれるワケでなく、酒やタバコのように値段や個人の嗜好に左右されること無く税収が見込めて、なおかつ子供から大人まで漏れなく徴収でき、所得税を増税するより反発が少ないからじゃないかなぁ・・・と思うのだがどうだろう?

低所得層、年金生活者や、その予備軍、特に反発するでしょうけど、税収の一部は年金対策にまわすと言っておけばとりあえず黙るだろうからね。

投稿: nimvas | 2006/03/27 03:14

「オカチ・マチコの日記」で批判が続いてますね。
でも批判だけ。悪口だけ。
彼女の「意見」無いなぁ。
悪口だけなら簡単、誰でも書ける。
コメント書かせないのもなんだか卑怯だ。

少しでも考える頭を持っている人間なら、
どちらが間違ってるか判ります。

単なる悪口、なんかに負けないで頑張って!

投稿: 困ったヤツだ | 2006/03/27 08:45

増税=消費税な風潮

消費税なら家計のやりくりで節税(?)できますが、所得税UPは会社員としては抵抗のしようがないので、消費税UPのほうがマシかなぁ。

できれば、法人税UPからやって欲しいですけどね。最近の株主への配当金をみるかぎり、企業はけっこう潤っていそうですし。

投稿: わか | 2006/03/27 09:33

>「オカチ・マチコの日記」で批判が続いてますね。

「批判」というよりは、中傷誹謗の類でしょう。批判なら反論も可能ですが・・・・・まぁ、「才知と学問には無縁だが、目立ちたいという欲望だけは人一倍の人間」の妬みがなせる所業なんでしょうね。

投稿: 疑問符 | 2006/03/27 11:15

国の財政問題を議論するとき、債務である国債の発行残高は必ずでてくるのに、日本国の債権残高の情報が出てこないのはなぜだろうという疑問を持ちます。
日本は借金も多いが、アメリカの国債引受、各国へのODAによる資金貸与など、債権も相当額有すると思う。その辺の事情も教えていただければ助かります。
それと、政府の借金と個人資産の多さを対比しておられるが、これは主体が別ものであり、対比することはそれほど意味のあることなのかと思います。
なにぶん経済問題はうとく、的外れなことを言っているかもしれないんですが、その辺ご教授いただければありがたいのですが。

投稿: プライム | 2006/03/27 11:19

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。

やはり、所得税増税ではなく、メインは消費税の引き上げです。
所得税は「とりっぱぐれ」が多く、勤労者から不満が出る。
アップ率は最低5%、理想は10%でしょう。

が、実施時期と引き上げ率は、景気の状況が大きく作用すると思います。

プライムさん、
我が国は、毎年1兆円前後、実に全世界のODA支出の4分の1を支出しています。
金利1.0%、償還期間30年~40年ですから、残高は30兆円以上あるのではないでしょうか。

米国債の保有額は、2005年2月現在で、7千020億ドル(約82兆8千400億円)も抱えています。
これは、米国債の海外保有額の約4割を占め、もちろんダントツの第1位です。

813兆1830億円に達した国の借金は、最終的には国民の借金。国民1人当たりの借金は約636万円。
一方、国民の金融資産残高は1509兆円。国民一人当たり1180万円。
つまり、我が国には、外国に頼らずとも、国の借金を帳消しにしてお釣りがくるくらいの個人金融資産があり、国有資産も280兆円あるということです。

「困ったヤツだ」さん、疑問符さん、応援ありがとうございます。
オカチ・マチコ
「バカは相手にしない!!!」と宣言したので、何を書いているのか分かりませんし、知りたくもありません。
「コメント書かせない」(爆笑)とは知りませんでした。
きっと自信がないからでしょう、書いていることに。
そのくせ、他人のブログには複数のHNを使い分けて悪罵を投げつける。
もう狂っています。

>「才知と学問には無縁だが、目立ちたいという欲望だけは人一倍の人間」の妬みがなせる所業なんでしょうね。

おっしゃるとおりでしょう。
人気ブログランキングを見たら、週間INが1600でした。
ということは、1日20人くらいしか支持がないということ。
トップの私のブログをタタクことで批判票を集めよう(爆笑)という魂胆なのでしょうが、私のブログを攻撃した過去の2例を見れば、明らかに凋落しています。

他人に対する誹謗中傷を読んで不快な気分になる人はたくさんいますが、支持したくなる人(バカ)が増えるとは思えません。

なお、今後、オカチ・マチコが何を書いているか等は、お知らせいただく必要はありません。
無視です。
この女(男?)からコメントが来たら、即削除するだけ。

投稿: 坂 眞 | 2006/03/27 14:51

財政制度等審議会は、歳出を削減しない場合、消費税率を22%必要があるとの答申(?)を出した。
ウソである。消費税を何10%にしたところで、その分、お役人がたくさん無駄使いや官制談合、天下り機関創設をするので、消費税増税の効果はあまり無い。
役人は、コトが起きれば、「焼け太り」を成し遂げてきた。
橋本行革の時も、独立行政法人となって焼け太った。当時、私がやっていた天下り問題のブログに、ある役人からメールがきたことがある。その内容は、
「私はあなたが言う小役人です。そういう私が言うのも変ですが、役人は焼け太りを狙っています」というものだった。
はたして、独立行政法人の職員は、報酬が青天井になってしまった。
社会保険庁の改革も改悪になった。
そこで一句。
「お役人、Yをとったら悪人だ」

投稿: miekun | 2006/03/27 15:09

先日このエントリーにTBさせてもらった者です。いつも勉強させて貰っています。TBもありがとうございました。これからも応援しますので、気骨と品位と含蓄ある文章を書き続けてください。また、他の皆さんもお暇なら僕のブログも読んで見てください。基本的にニュースにブツクサ言っているのみですが(w

http://bluelong.exblog.jp/

投稿: 蒼き鎮守の森の主(? | 2006/03/27 16:12

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受信: 2006/03/27 02:51

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