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2006/03/17

銀行も所詮は金貸し


小泉純一郎首相は15日午後、参院予算委員会の証券・金融問題に関する集中審議で「消費者金融」に関し「わずかなお金を借りて多額の借金を返さないといけない。高金利をむさぼっている業者に被害を受けないような対策を講じなくてはならない」と述べ、
利用者保護に取り組む考えを示した。

与謝野馨金融担当相も「高い金利で貸す消費者金融業者の広告が堂々と出て、超一流だと思っていた銀行が消費者金融業者と一緒に広告を出しているのは不愉快だ」と、大手銀行が消費者金融と共同で事業を展開する現状を批判した。

利用者保護が必要 首相、高利の消費者金融で
(2006年3月15日 共同通信)


「超一流銀行と思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることは不愉快だ」。与謝野金融相が15日の参議院予算委員会で、消費者金融と提携して商品広告を出している大手銀行を痛烈に批判した。

共産党の大門実紀史氏の質問に答えた。大門氏が示したのは、三井住友銀行と大手消費者金融プロミス、両社が出資するアットローンの3社が全国紙に掲載した共同広告で「三井住友銀行店内のローン契約機で、3社のお申し込みができます!」と書かれている。

金融庁は今後、有識者で構成する「貸金業制度等に関する懇談会」で、多重債務者
増加の一因と指摘される貸金業者の広告の規制を検討する。貸金業者の広告には
有識者からも「利便性ばかり強調して、肝心な利息を顧客に認識させていない」との
批判が出ていた。

大手行では、三菱UFJグループがアコムやプロミスとともに消費者ローンを展開している。

金融相が痛烈批判「大手行とサラ金の提携広告不愉快」
(2006年3月15日 朝日新聞)

「サラ金」の金利は「出資法(出資の受け入れ預かり金及び金利等の取締等に関する法律)」の金利が適用されている。この金利は年率29.20%(平成12年5月末までは40.004%)。
よく「違法金利」とか「グレーゾーン」とか言われるのは、この金利のことである。
が、実際はどうなのか?

利息を規制する法律には、実は「利息制限法」という法律がある。こちらの方が金利が安く、裁判所の判断はこの「利息制限法」に基づいて行なわれる。
だから、裁判になると「サラ金」が負けるのである。が、「サラ金」の金利自体は「違法」ではない。なぜなら、「サラ金規正法(貸金業の規制に関する法律)」は「出資法金利の有効性」を認めているからである。
ちなみに「利息制限法」の金利(年率)は「10万円未満:20%」「10万円以上100万円以下:18%」「100万円超:15%」。「出資法」の金利と「利息制限法」の金利の格差は一目瞭然である。

では、なぜ「サラ金」は「違法金利」を取っていないのに裁判に負けるのか?
「サラ金規正法」では、「出資法金利」は「任意金利」とされているからである。「出資法金利」の有効性を保つには、常に店頭で返済してもらい、「任意金利支払合意書」に
その都度サインしてもらう必要がある。だから、ATMで返済された瞬間に、「任意金利」である「出資法金利」は「合意」されていないことになる。
「合意」されていないのに「任意金利」である出資法金利を取る。これが「グレーゾーン」といわれる所以(ゆえん)であり、裁判になると「サラ金」が負ける原因になるのである。

かつて「サラ金地獄」と呼ばれた時代があった。家の前で「カネ返せ、ドロボー」と大声で叫ぶ。隣近所にふれ回る。玄関のドアに「催告書」を貼り付ける。夜中に電話をかける。電話に出ないと夜中に電報を送りつける。
当時は、こうした、返済の滞った債務者を徹底的に追い詰める手法がまかり通っていた。金利(年率)も確か50%近かったと思う。

このような状況下で自殺者が続出した。まさに「地獄」と呼んでもおかしくない状況だった。そこで「サラ金規正法」ができたのである。
今は、多重債務者の相談に乗る専門弁護士もいるし、任意整理という手段もある。が、当時は救済手段が何もなかった。
性格的に弱い人は「夜逃げ」。逃げる当てのない人は「自殺」。それくらい厳しくてひどい「取立て」が横行していた。

「サラ金地獄」を再現させないために「サラ金規正法」ができた。出資法の上限金利も
大幅に引き下げられた。が、問題が解決されたわけではない。
金利の上限は、まだ3割近い高水準に止まっている。テレビでは、簡単におカネが借りられて、楽しい生活がすぐ手に入るかのようなコマーシャルが大々的に流されている。
そこでの警告は、「ご利用は計画的に」という、ごく短いワンフレーズだけだ。

私は、今でも「サラ金」は社会悪だと思っている。
確かに、ボーナス前に50万円を借りて海外旅行に行き、帰国後にボーナスで返済(期間:1週間)すれば、数千円の金利ですむので「サラ金はコンビニエンス」と言った評論家もいた。
が、「サラ金」からカネを借りる人の大半は、そんな「健全な人」ではない。確たる返済の当てもないのに、「目先の必要」のために高利のカネを借りる。そして返済に行き詰まり、ほかの「サラ金」に手を出す。
行き着くところは「多重債務者」であり、社会生活の破綻である。中には、「サラ金」よりもはるかにあくどい「暴力金融」の食いものにされる人も現れる。

考えてみれば、「サラ金」やクレジットのキャッシングが300万円に膨れ上がった時点で、もうその人は破綻を待つ身に陥る。年収400万円の人でも、毎月の金利を返済するだけで精一杯。元金は1円も減らない(独身者は別)。
こういう事態に陥る前に、「任意整理」か「法的整理」のいずれかを選択した方がよい。そうすれば、まだ再起できる可能性がある。

「サラ金」に多少の善意というものがあれば、他の「サラ金」から融資を受けている人には新規の貸付をおこなうべきではない。
融資を申し込んだ人が、今、どのくらいの借金を抱えているのかは瞬時に分る。だから、クレジット系の会社は、「サラ金」からカネを借りている人には新規融資をしない。
銀行は、「サラ金」はもちろん、相手がクレジット会社であっても、借り入れ金額が大きい場合は融資を受け付けない。
「サラ金」も、最近は「自主規制」で多少なりとも姿勢が改められたらしい。が、ついこの間までは、3社目までは積極的におカネを貸していた。
50万円×3社=150万円。こういう、複数のサラ金から借金をする人は、クレジットのキャッシングも借りまくっている可能性が高い。したがって、借金の総額は、すぐ200~300万円になる。
つまり、「サラ金」は多重債務者への道を後押ししているのである。

もちろん、カネを借りるのは自己責任である。借りたものは返さなければならない。貸す方が悪いのではなく、借りたカネを返さない方が悪い。
これはそのとおりである。が、暴利の金融から簡単にカネが借りられるという社会状況は改善されるべきである、と私は思う。

タバコの警告表示は、「吸いすぎると健康に害を与える場合がある」という抽象的なものから、「喫煙は脳卒中による死亡の危険性を約1.7倍に高める」、あるいは「肺がんによる死亡の危険性を約2倍から4倍に高める」という具体的なものに変わった。また、テレビコマーシャルも禁止された。

「サラ金」も、それを利用することによって「多重債務者」に陥る危険性があることを、
明確に告知するべきである。
それができなければ、テレビコマーシャルを禁止する。
そうすることによって、「サラ金」を利用する人がなくなることはないが、利用者が減ると同時に、利用する前に慎重に判断するようになるのは間違いない。
また、金利が金利を生み、借金が雪だるま式に膨れ上がるような「出資法」の金利を、大幅に引き下げることが必要である。

パチンコやその他のギャンブルのために「サラ金」にはまった、あるいは海外旅行やブランド物の誘惑に負けて「サラ金」にはまった、そういう話を見聞きするたびに、「欲望喚起型消費社会」の罪深さと家庭や学校教育の堕落を感じる。
そして、そんな「欲望喚起型消費社会」において、銀行と「サラ金」が提携して、しかも
一体となった広告を出すなんて、銀行の社会的使命感の喪失を痛感せざるを得ない。

ここでも、「カネさえ儲かれば、そして違法でさえなければ何でもあり」という、経営者のモラルの荒廃が如実に表れている(怒)

参照:サラ金・消費者金融の内情(企業研究や就職希望向け)

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コメント

小学生時代から「株式投資」を教える時代ですが「金利」の恐ろしさを教えない。
まあ、買いたいものは現在では金さえ出せば大体のものは手に入れられる、金は貸りられる、銀行で借り入れするには理由、返済資源、返済能力、保証人が必要ですが、サラ金は保険証、免許証で借りられると聞きます。

従い「金利が19%」以上と云うのを見ると小生など3の足を踏んでしまう、とてもじゃ無いが借り入れる気力も無い、月利か年利か知らないが、手形の3%(一流手形)位でも割り引かず出来る限り永く維持したいと考えるの習性に成っている人間には19%以上の金利で借り入れる人の勇気には頭が下がる。

日本の銀行も焦げ付きを引いても安易に稼げる個人金融に走り出して居ます、借り手の心配をする心配りなど出来る訳が無い、「銀行も所詮は金貸し」免許を持った泥棒と思わなければ、我慢を忘れた日本人、今一度金利の計算方法など勉強する必要が有るのでは無いでしょうか、一寸した我慢がゆとりを呉れるのですが、筆者が言われる教育ですね。

投稿: 猪 | 2006/03/17 17:03

こんにちは。
いつも楽しく拝見してますが、本日は普段から関心のあるサラ金について書いているので、初めてかきこみます。
わたしは消費者金融という呼び名は好きではありません。素直にサラ金と呼ぶべきです。そして、サラ金の分際でさわやかに流れるCMの嵐も即刻やめさせるべきです。
最近はなくなりましたが、ついこの間まで借金して犬を買おう、という内容でCMが流れてチワワが流行ったというふざけた話を聞きました。CMの影響力の大きさとともに、借金して犬を買うのなら犬小屋や首輪にエサも借金して買えというのか?と思います。
このような目障りなCMはやめさせるべきですが、かつて注意を受けたテレビ局は猛反発し、自主規制といってゴールデンタイムでは流さなくなりましたが、21時になれば普通に流れています。かの激しさで有名なTVタックルもサラ金がスポンサーです。ですから、いまやどんなテレビでもサラ金を批判できなくなっているように思います。

政治家に望むことは、うるさい中国や韓国の相手をしているヒマがあれば、すぐに法案のひとつでも作って安易に借金を進めるサラ金のCMをとめることではないでしょうか。
マスコミがうるさいでしょうが、彼らの商売を気にする必要はないと思います。

投稿: mori | 2006/03/17 17:22

CMが多い、のはサラ金の利益が大きい事を反映しているとの記事をどこかで見ました。

外資系の保険もCMは多い様に、儲かる企業ほど余った資金を宣伝に使うというのは普通に解りやすい話。
問題はそれが悪徳な高利貸で人を食いものにした金である事です。

決めつけにはしたくないですが、大手サラ金に(元?)在日の経営者が多いというのも印象が悪いです。

投稿: MultiSync | 2006/03/17 21:29

初めて書き込みます。

サラ金を社会悪と考える人が多いようですね。
しかしこれ以上、消費者保護を推し進めるのは反対です。

なぜならそれをすればその体制に「甘える人間」がでてくることが必然だからです。

はっきりいえば詐欺まがいの人種です。
体制が甘ければ甘いほど、財テクという目的で詐欺をはたらく人間が増えます。

そういう人間が増えれば、貸金業者は金利をあげなければなりません。

すなわちヤミ金が増えるのです。

まっとうな上場している消費者金融の会社員は法律と会社の制度に板挟みという厳しい状況の中で仕事をしているんです。

そこらへんの現状を知らないと、高利貸しは社会悪にしか見えないんですね。

消費者保護は単なる甘やかしです。
そこでヤミ金が増え、まっとうな業者がやりにくくなり、その利用者が悲惨な目にあうんです。

この悪循環を防ぐには「出資法」の改正は必須だと考えます。

サラ金は大もうけと考えられていますが、現実的にそうはなりません。
けっこう経費がかかるようですよ。
破産されたらどうしようもありませんしね。

一兆円近く債権をもたなければ現状の制度では中々利益がでないのが現状です。

投稿: しゃも(鶏) | 2006/03/18 00:13

追記

消費者金融のcmは「安易な借入れの助長」とか言われてますがあまり関係ないです。

なぜなら消費者金融も来客される方をちゃんと「審査」してるからなんです。

「へいらっしゃい!」と寿司屋のように貸し出してるわけじゃないんですね。

たかがテレビcm見たくらいで借りようと思います。?
なんらかの理由で借りようと思ったのならば、
その方には「なんらかの打算」があったというこです。

この「打算」をリスクとして承知しているのが
消費者金融なんですね。

まー

アイフルのcmはお客を馬鹿にしてるような印象を与えてますがね。

なんとかならんかなあ・・・・

投稿: しゃも(鶏) | 2006/03/18 00:32

「超一流銀行と思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることは不愉快だ」

このコメント・・・・・・なぁ。

タコな経営で、倒産になってもおかしくないのに、膨大な公的資金をつぎ込まれて命長らえたのはのはどこだったか?

そもそも、財務格付 DやEの銀行が一流銀行といえるのか?

経営的に自立し、経営難でも公的支援をされることはない消費者金融業者が堂々と広告を出すのは当然の営業行為。
経営的に自立できず、公的資金を投入された名前だけ一流の銀行は、業績をあげるために勢いのある消費者金融業者と共同で事業を行うのも当然の営業行為。

この批判は的を外しているんじゃないの?

金利の高さ、グレーゾーンの金利など、以前より指摘されていた。
TVCMも含めて、規制するのは大賛成だが、問題にするのが遅すぎる。

最後に、消費者金融に言いたいこと。
CM規制で浮いた広告費は、街頭のティッシュ配りにさらに廻してくれ。
ティッシュをわざわざ買いにに行かなくて済む。

投稿: nimvas | 2006/03/18 02:34

「サラ金の後ろに大銀行あり」,とは数年前に亡くなられた山本夏彦さんが繰り返し書かれていましたね. その意味で大銀行とサラ金とは同じ穴のムジナ,職業に貴賎ありとも.

「消費者金融」も「サラ金」も婉曲的な呼び名であり,実態を表しているとは思えません. この際「高利貸し」と改めべきでしょう.

投稿: 花粉症 | 2006/03/18 08:55

皆さん、こんにちわ。
コメントありがとうございます。

>サラ金を社会悪と考える人が多いようですね。
しかしこれ以上、消費者保護を推し進めるのは反対です。

なぜならそれをすればその体制に「甘える人間」がでてくることが必然だからです。

>経営的に自立し、経営難でも公的支援をされることはない消費者金融業者が堂々と広告を出すのは当然の営業行為。
経営的に自立できず、公的資金を投入された名前だけ一流の銀行は、業績をあげるために勢いのある消費者金融業者と共同で事業を行うのも当然の営業行為。

上記の二つのコメントに「一理ある」ことを認めます。

ただ、「高利の借金を勧める」ようなコマーシャルを大量に流すこと
借金すれば豊かな生活が手に入るような錯覚を起こさせるようなコマーシャルを流すこと
は、私の思う「公序良俗」に反します。

投稿: 坂 眞 | 2006/03/18 11:52

久しく投稿させていただきます。このサラ金達に金を貸しているのは、一般の銀行なんですね。
銀行は一時の経営の悪化で税金で救済されたものの、今は空前の利益をあげています。
政府は、不良債権処理がいよいよ終焉を向かえ日本の金融改革の成果だと胸を張っていますが、これらは、銀行がサラ金に違法金利で貸し付けているからです。
税金で救っていただいきながら、国民やその銀行の顧客にその利益が還元されることはありません。
むしろ一般の顧客、中小企業には貸し渋り、弱者を餌食にしてきたのです。
そのサラ金は、たくさん書き込みされておられるように、大手マスコミに対して大スポンサーとなり、当然彼らの悪行を叩けるはずはありません。
ここまで宣伝費用を掛けるのですから、政治献金も破格であるに違いありませんから、そのカラクリにメスを入ることは、命懸けでしょう。
確かに借りる方も落ち度がないわけではありませんが、健康であっても、なんとか生活するのに精一杯で、病気や家族の看病などによる生活苦から、毎日の宣伝効果で借りてしまった方もいるでしょう。いずれにしても税金を納める国民を侮辱する行為に間違いないです。

投稿: 夢 | 2006/03/18 22:53

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