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2006/03/29

新「対日新思考」

【北京=藤野彰】中国が歴史問題で対日圧力を強める中、政府系研究機関・中国社会科学院の元日本研究所長で国際問題専門家の何方氏が、「歴史問題を日中関係の
基礎にしてはならない」との見解を、中国の専門誌「社会科学論壇」(3月上期号)に
発表した。

何氏は歴史偏重の対日政策を批判し、事実上、歴史カードの放棄を主張。中国で
「対日新思考」が封殺されて以降、対日政策の大胆な転換を訴える意見が公開されるのは極めて異例で、論議を呼びそうだ。

何氏は外務省弁公庁副主任、国務院国際問題研究センター副総幹事も務めた元政府幹部。同誌に掲載した自らのインタビュー記事の中で持論を表明した。

何氏は「歴史問題を国家関係の基礎とするのは非現実的で不適当。歴史に決着をつけようとすれば、どんな国家と隣国の関係も大国同士の関係もうまくいかない」と指摘した。

さらに、「日中関係の基礎を歴史問題での共通認識に置いても、実現は難しいだろう。歴史の決着を最優先すれば、両国関係は絶え間ない悪循環に陥る。それはわが国の戦略的利益にかなうのか」と疑問を呈し、歴史カードを切り続けることは中国の国益を
損なうとの見方を示した。

「歴史を基礎にするな」中国政府系元所長が対日転換論
(2006年3月28日 讀賣新聞)

中国社会科学院の元日本研究所長・何方氏の発言は、極めて当たり前のことを述べているにすぎない。
政治的・経済的友好関係を築くうえで、「歴史問題を国家関係の基礎とするのは非現実的で不適当」である。
「歴史に決着をつけようとすれば、どんな国家と隣国の関係も大国同士の関係もうまくいかない」

仮に、我が国が米軍による「東京大空襲(死者10万人)」や「広島・長崎の原爆投下
(死者21万5千人)」をめぐって、米国に「謝罪」を求め続けたら、日米同盟など成り立たない。
「日米関係の基礎を歴史問題での共通認識に置いても、実現は難しい」からである。
我が国から見れば、「東京大空襲」や「原爆投下」は、非戦闘員を狙った「無差別大量虐殺」である。
が、米国から見れば、「東京大空襲」は「日本の軍需工場(民家)を破壊した」のであり、「原爆投下」は「連合軍の日本本土上陸により、日本人や連合軍兵士の多くが犠牲になる」ことを防いだのである。

我々日本人から見れば、米国の主張はとうてい容認できない。が、米国が、自らの
正当性を否定することは永遠にないであろう。

ところで、讀賣の記事中にある、封殺された「対日新思考」とは、どのような考え方で
あろうか?

「対日新思考」は、胡錦涛政権の登場に合わせるかのように登場した、対日関係論の新潮流である。

その主張は、
①歴史問題は解決した、あるいは棚上げにすべき
②日本の軍国主義復活の危険性はない、日本が普通の国になってもかまわない
③中国は古くさい対日観を捨て、日本との接近をはかるべき
などと要約することができる。

つまり、歴史問題に固執せず、日中両国の接近を主張する。

しかし、こうした「新思考」に対する反発は党幹部、大衆のいかんを問わず根強く、新思考論者たちを「漢奸」(売国奴)と非難する声が強く上がった。
結局、胡錦涛政権は、「『歴史を鑑とする』ことが日中関係の基礎である」という立場を維持せざるをえず、この「対日新思考」を封殺したのである。

この「対日新思考」は、以下のような考えを背景にしていた。

①経済建設第一の視点からの対日経済関係重視。
中国の最大の貿易相手国は日本だが、すでに日本にとっても対中輸入額は米国を
上回っている。将来的には貿易総額は日中が日米を上回ることになる。日本からの
投資もさらに必要だ。不安定な日中関係は経済発展の障害となる。

②東アジアの政治的安定が不可欠なこと。また対日接近が米国に対する牽制ともなる。

③歴史カードを使っても、日本は変わらなかった。ソフトな太陽政策の方が歴史問題でも日本の変化を促せるかもしれない。

極めて現実的で、理にかなった考え方である。このような考え方を封殺し、「『歴史を鑑とする』ことが日中関係の基礎である」と主張することが、いかに理に反したものであるかがよく分る。

我が国の親中派の皆さんに、「対日新思考」に対する評価と、このような考え方を封殺し、「『歴史を鑑とする』ことが日中関係の基礎である」とする主張を支持する理由を尋ねたい。

なお、今回の何方氏の主張は、「対日新思考」に近い。このような主張が堂々と登場したのは、共産党系知識人の中にも、当局による「言論抑圧」を批判する声が上がり始めたことと無縁ではない。

「中国青年報」の付属週刊紙「氷点週刊」が、「中国の歴史教科書は事実を記していない。日本批判だけでなく自国の教科書も見直すべきだ」と主張した論文を掲載して共産党中央宣伝部から停刊処分を受けた。このことについて、同紙の李大同編集長は、
公開抗議文を発表した。
「中国青年報」は、中国共産主義青年団の機関紙である。

また、この停刊処分に対しては、同紙に執筆経験のある北京大、清華大など国内の
学者や知識人13人が、胡錦濤国家主席ら指導者に宛てた抗議文(公開書簡)をインターネット上に公表した。公開書簡で学者や知識人は、「言論や報道の自由をはく奪した。断固反対する」と党中央を非難した。

胡錦濤政権の掲げる「親民政治」や「和諧(わかい)社会」を実現するには、政治・社会の民主化が避けられない。ところが、胡政権は、歴史の流れに逆行している。
今回の何方氏の主張や学者・知識人の当局批判は、このような胡政権の姿勢に対する有識者層の危機感の表れである。

何方氏の主張に対する中共当局の対応から目が離せない。

【追記】
メンテナンス後、コメントが許可制になりました。私は反対なのですが、今のところ解除の仕方が分りません。
コメントがすぐに反映されなくても、連投しないでください。

参照1:「歴史問題は解決した」
参照2:「対日関係の新思考」をどう受け止めるべきか

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中国(政治)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。いつもお世話様でございます。
TBが先日からどうもうまくいきません。メンテナンスの影響なのかどうかは分かりませんが。
こちらにリンクさせて頂くことお許し下さい。
http://blog.goo.ne.jp/sakuragaokanogen/e/cf2d829ce79999eb82d1e18f48a77d43

投稿: ヨン様 | 2006/03/29 17:59

外交政策が歴史問題に言及するかしないかに係わらず、彼等の反日政策に変更は無いでしょう。コレは朝鮮半島にも言える事だと思いますが、反日政策(教育を含めた)だけが国をまとめる求心力ですし、無くせば騒乱となる事必定。
中国の政策に振り回されず、日本の進む道だけを見つめた方が国益に適うと感じます、経済関係と外交関係は、似て非なる物ですから。

投稿: NZ life | 2006/03/29 18:13

中共はこれから「政治の季節」ですか。

投稿: 煬帝 | 2006/03/29 18:33

歴史に関しては、総理の態度がはっきりしているので通用しない事が変更の動きに繋がってきた訳で、痛ごく内の情勢によって次第に変わって来るのでしょうね。

しかし太平洋の権益を狙っている以上は日本と台湾が目の上のこぶなので諦めはしない。
日本を攻める姿勢自体は変わりようがないはずで、別のところを探して圧力を掛けてくるのでしょう、どんな手で来るのか?

投稿: MultiSync | 2006/03/29 21:00

坂さんのブログに不具合がでているようですが、これは一種の妨害工作じゃないでしょうか?中共政府は世界中でこういう妨害工作をするために、マイクロソフトやグーグルにソフトウエア運用で協力させ、ノウハウをゲットしてるわけで。頭を押さえつけときたい日本で言論誘導・弾圧工作しないわけがない。すでに日本の各界に、協力者を大勢送り込んでいますし。

坂さんみたいに、元共産主義者で、その後、欠点を自覚して止めたという方の話が、一番説得力あるんですよ。

「台湾独立」不表示…グーグル、検閲に協力し中国進出(2006年1月25日18時29分 読売新聞)
「米マイクロソフト、中国人の人気ブログを閉鎖・香港紙[2006年1月7日/共同]

投稿: 本当に有難うございました | 2006/03/29 22:53

私は特に徹底した中国嫌いというわけではないのですが、
真摯なお付き合いは共産党が崩壊してからにしたいと思います。反日をやめてもらうのは有難いですが、どこまでやる気がどうか? ちょっと信用はね~。

投稿: 奈良の田舎者 | 2006/03/29 23:37

>②東アジアの政治的安定が不可欠なこと。
>また対日接近が米国に対する牽制ともなる。

この考え方、はっきり言って迷惑です。
要するに、日本を同盟国と言う名の属国ににしようというのが
連中の腹でしょう。
戦前に大陸権益に首を突っ込みすぎて陸軍が暴走したのと
同じ轍を踏むことになるような腐れ縁は絶対結んでは行けません。
日本には、どうも「アジア主義」ともいうべき妄想があるようです。
すなわち、中国や韓国が日本に歩み寄りさえすれば彼らと和解して、
大東亜共栄圏のような黄色人種の共同体を作ろうと・・・。
これは左翼だけではありません、右翼の中にも人種の差異に
拘泥し、米英を敵視する人たちがかなりの割合でいます。
これを中国側が見抜き、日本に金を出させて米国と戦う原資に
しようと作戦を転換したら、また悲劇を繰り返します。
それだけは避けないと。

投稿: ろろ | 2006/03/30 02:30

福沢諭吉の脱亜論における主張は現代においてさらに輝きを増している。

  
   福沢諭吉『脱亜論』

「日本にとっての不幸は、“中国と朝鮮”である」

「この2国は古来文化は近かったはずなのに、日本と精神性が全く違う」

「情報が発達し、近代文明や国際法を知る時代になっても過去にこだわり続ける中国と朝鮮の精神は千年前から変わっていない」

「もうこの2国が国際的な常識を身につけることを期待しても意味がない」

「東アジアの一員として互いに繁栄できる、という幻想は捨てた方がいい。日本は、中国や朝鮮と絶縁し、欧米と共に進んだ方がいい」

「中国や朝鮮に“ただ隣国だからといって”特別な(親しい)感情を持って接するのは間違いである」

「この2国に対しては国際的な常識に従い、国際法に則って接すればよい」

「悪友と親しくする者は、他人から同類と見られることを避けられない」

  (愛國日記より)

投稿: lark | 2006/03/31 02:01

 今、ある中国人作家の作品を読んでいるのですが、それが今回の記事を連想させる変な短編なんです。
 ある都会のドラマ撮影隊が、牛を屠殺するシーンを撮影するためにある農村に入るのですが、一頭の牛を殺した後、それを見ていた村民もろとも興奮して次々と村の牛を様々な方法で殺しまくるという感じで話が進んで行くのです。気になったのは、文革がもたらした興奮や“楽しみ”を失った農民たちが牛の“虐殺”によって精気を取り戻していくという話の展開です。
 この作家、家も土地も奪われ娘も売りに出された農民が政府幹部に自爆テロを行う、というような小説も書くような人なのですが、文革の残虐性を農民の嗜虐的な牛“虐殺”によって表現しようとしているのかもしれません。
 “中国人は”という言い方はしたくありませんが、中国人の精神文化の中に何かしらそういう嫌な感じのするものがあることは彼らにも分かっているのかもしれません。

投稿: duzhe | 2006/03/31 18:26

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