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2006/03/27

胡錦濤を国賓として扱わない米国

4月に予定されている中国の胡錦濤国家主席の訪米について、その格付けを巡って
中国と米国の間で激しい駆け引きが続いている。

米ホワイトハウスのマクレラン報道官は24日の会見で、今回の胡主席の訪米は、
『国賓』ではなく『公式訪問』と位置づけていることを確認した。
つまり、米政府は、胡主席を国賓より格下の公賓として迎えるということだ。
一方の中国政府は、国事(賓)訪問(秦剛・外務省副報道局長)である、と主張して譲らない。

では、「国賓」と「公賓」はどう違うのか?
「国賓」とは、外国の元首・首相など、公式の資格で来訪し、国家の賓客として国の
費用で接待される外国人(大辞泉 )
「公賓」とは、政府が、正式の客として待遇する外国人。国賓より下で、外国の王族・
閣僚・特使およびこれに準じる人(大辞泉)

世界の大国であることを自認し、国の内外にその威信を示したい中国としては、
国家主席の訪米が「国賓」訪問ではなく、「公式」訪問である、とされることは屈辱で
あろう。
だから、中国政府は、米政府が何と言おうと、胡主席は外交儀典上で最も格式が高い「国賓」であると強調する。

このような中国政府の姿勢に対し、マクレラン報道官は、「中国政府が胡主席の外国訪問をすべて『国賓待遇』と定義することは理解している」とした上で「(各国要人の)ホワイトハウス訪問はそれぞれが唯一無二で比較するものではない」とかわした。
つまり、マクレラン報道官は、中国政府が(国内向けに)今回の胡主席訪米を「国賓」と位置付けるのは構わないが、各国要人のホワイトハウス訪問に対する米政府の格付けは、相手次第で変わる、と言っているのだ。

実際のところ米国は、中国の格付けを1ランク落としながらも、中国の面子(めんつ)も
立てている。胡主席をホワイトハウス南庭での儀仗兵による歓迎式典で迎え、迎賓館のブレアハウスへ宿泊させる。

つまり、「国賓」ではないが、国賓並みの待遇はしますよということだ。ただ、
大統領夫妻主催の正式な晩餐会は開かず、「昼食会に招待するだけ」というところで 、胡主席は「国賓」ではない、ということを内外に印象付ける。

中国と米国の間には、様々な深刻な問題が横たわっている。貿易不均衡、知的財産権侵害、人権問題、そして中国の急激な軍拡と不透明な軍事費。

米国の貿易統計によると、対中貿易赤字は昨年、なんと前年比24.5%増の2016億ドル(23兆5872億円)という巨額なものになっている。
その反面、米国が要求する「人民元改革」は遅々として進んでいない。

知的財産権の侵害も深刻である。昨年の中国内の知的財産権侵害によって米国が
被った被害総額は80億ドル(9360億円)に上る。米国は、中国市場で流通するソフト
ウェアの90%以上が海賊版であると指摘している。
これに対し中国側は、「米国は知的財産権の保護制度を構築するのに一世紀以上の時間を費やしてきた。中国は建国してまだ数十年しか経っていないのだから、米国は
辛抱強く待つことも必要だ」と開き直っている。

米国内における、中国の人権問題に対する批判も厳しさを増している。
米国務省は今月8日、世界各国の人権状況に関する2005年版の年次報告書を発表し、中国を北朝鮮などの「圧政国家」と同列に位置付け、「世界で最も組織的な人権侵害」が行われていると批判した。
これに対し中国は激しく反論。
米国の人権状況について「民族差別」「他国の人権の侵害」など7項目に渡って分析し、「米国の民主主義は金持ちのためのゲーム」と断じた。
また、先進国の中で貧困率が最も高い国の1つであるとも指摘し、米軍によるイラクでの捕虜虐待問題もとりあげ、米国の人権対応は「二重基準」だと痛烈に批判した。

中国の急激な軍拡と不透明な軍事費に対しても、米国には根強い不信感がある。ライス米国務長官は今月16日、オーストラリアのダウナー外相と会談した後の共同記者会見で、中国の06年の国防予算が前年比14.7%増となったことについて「これは多い」と述べ、中国の軍拡路線に懸念を示した。
また、米国防総省は、中国の実際の国防予算は900億ドル(約10兆5000億円)に上り、公表された額の約3倍であると見ている。

以上の、中国に対する批判、不満、懸念は、何もブッシュ政権に限ったことではない。むしろ、民主党も含めた米国議会の方が、よりその傾向が強い。
今回の胡主席訪米に対する米政府の対応も、「中国の経済的台頭と急速な軍備拡大路線への『脅威論』が議会を中心に高まっていることに配慮し、ブッシュ政権は最高
レベルの待遇を避けた」と言われている。

ドイツのメルケル首相は、今年1月のブッシュ米大統領との会談で、「われわれには
ルールに従わない中国のような競争相手がいる」と話し、中国への対応で連携を呼び掛けている。

「ルールに従わない中国」は、我が国にとっても同じである。我が国も、この自分勝手で礼儀というものを知らない国に、安易に妥協してはならない。
そして、米国やドイツ、英国などのEU諸国と連携し、中国に対する監視と関与を強め
なければならない。

参照1:胡主席の訪米は「公式訪問」 米報道官
参照2:胡主席の訪米は「国賓」?・米中で微妙な食い違い
参照3: 米通商代表部が改めて中国の知財侵害状況を批判
参照4: 米中間の摩擦拡大懸念 対中貿易赤字2000億ドル突破
参照5:中国を「圧政国家」と同列に 米政府05年版人権報告
参照6:中国、米国の人権状況を批判・米報告に反論
参照7:中国の国防予算増「多い」 米国務長官、軍拡路線に懸念

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政治(国際)」カテゴリの記事

コメント

いつもながら勉強になりました。ところでひとつ教えていただきたいのですが、日本の首相がアメリカを訪問するようなときは、状況に応じて国賓か公式訪問に分かれるんでしょうか?それとも、デフォルトで国賓?まさか、んなこたあないですよね

投稿: 長谷川博幸 | 2006/03/27 14:32

長谷川博幸さんへ

小泉首相訪米で大統領、プレスリーの旧宅を案内へ
http://www.sankei.co.jp/news/060323/kok003.htm
6月下旬予定の訪米で、プレスリーの大ファンの小泉首相をメンフィスに招待するのは、「大統領自身のアイデア」だそうです。

投稿: su-san | 2006/03/27 15:38

長谷川さん、コメントありがとうございます。
日本の首相が訪米するときは、基本的には国賓ですが、盟友という扱いですね。
小泉首相の場合は、それをはるかに超えています。
ブッシュ大統領の同志、最良の友人。
ブッシュ氏は小泉首相を「My Best Friend」と呼んでいます。
お互いノーネクタイで、私邸や別荘に招いて会談しています。

今度の6月の訪米も、su-sanさんが書いてあるとおり、大統領自らがプレスリーの旧宅を案内するそうです。
これには、今回の胡錦濤(中国)と小泉(日本)に対する米国の立場の違いを鮮明にする、という思惑もあるとのことです。

米大統領には①私邸で会談する②大統領の公式別荘(キャンプ・デービッド)で会談する③ホワイトハウスで会談する、の三段階があります。
韓国のノムヒョン大統領は、米韓会談の場所としてブッシュ大統領の私邸をリクエストしましたが、アメリカから拒否されました。
キャンプ・デービッドにも招待してもらえず、結局、会談場所はホワイトハウスでした。
米国にとって、今の韓国は、その程度だということです。

なお、長谷川さんのエントリーに、ときどきTBするのですが、まったくうまくいきません。
どうしてでしょうか???

投稿: 坂 眞 | 2006/03/27 16:41

何時も楽しく読んでいます。
全く同感であります。アメリカ、ヨーロッパ、日本を機軸とする資本主義の発展を望みます。
ルールが守れないなら、「ビッグマウスを開くな!それより足元の火を早く消せよ!」と言ってやりたいです。
ところで、胡錦濤はどんな用件で訪米なさるのでしょうか?

投稿: koubunnyuu | 2006/03/27 17:29

 昔北京のホテルでテレビドラマを見ていた時の事。中国企業のカリスマ経営者的な主人公が、自社製品をコピーされて抗議しに来た欧米系企業の社長に対して「中国人はまだ貧しい。貧しい人間が豊かになるためにはコピー商品が必要なのです。」と堂々と諭すシーンがありました。
 中国のドラマですから、相手の欧米系企業の社長は「なるほど、そういうことなのか・・」というような反応をしていましたが、さもそれが当然の事、と主張するようなドラマ展開に開いた口がふさがらなかったのを思い出します。思わずアゴがはずれるかと思いましたよ。
 中国のテレビは全て国営であり、中宣部の指導下にある訳で、これはつまり国家がコピー商品を奨励しているということです。その親玉を“国賓”扱いする国がどこかに存在しうるのでしょうかね。“犯罪者”扱いが最も妥当でしょう。“公式訪問”にしてもらえただけ胡錦濤は感謝すべきだね。 

投稿: duzhe | 2006/03/27 17:32

シナが近代化に乗り遅れ日本や欧米諸国に抜かれてしまったのは自国中心の中華思想という、傲慢・驕りの自尊心が災いしたのです。
謙虚な日本人は欧米のいいところをどんどん学び吸収し、憲法をはじめ諸制度を近代化してきました。そして富国強兵を成し遂げました。
捏造・パクリ・ユスリ・タカリのヤクザ国家が何様のつもりでしょう。公式訪問でも厚遇です。
しっかしシナはまた同じ過ちを繰り返すようです。中華思想を止めないかぎり・・・・

投稿: 法大生 | 2006/03/27 18:06

「金持ちのためのゲーム」って中共がどの口でそれを言う?

投稿: 煬帝 | 2006/03/27 18:50

日本にしろアメリカにしろ最も望ましいのは、経済的影響を最小限に留めて中共が自壊すること。

投稿: yuki | 2006/03/27 19:30

本当に良く解ります、アメリカの態度が中共の実態を把握し評価している。
自分が一番偉いと思って学ばない連中には応えますね(笑)

投稿: MultiSync | 2006/03/27 21:24

天安門事件の前後の時期、友人と一緒に、アジアからの留学生と市民の交流プログラムを企画・実施したことがありました。当然中国人留学生とも何人も知り合いになりましたが、そのうちの一人、北京からの国費留学生と話をしていたときに、僕が「日本は外国から学ぶ姿勢があったから伸びた。中国も君のように学ぶ姿勢があれば、これから伸びるだろう」という意味のことを言ったら、複雑な表情をして、あまり賛同はしてくれませんでした。

今考えると、中国人ってそんなに学ぶ姿勢を持っていないということを知っていたからこその表情だったような気がします。

ある意味では、中国も他から学んで伸びて来たのだけど、謙虚に受け入れたというよりは、盗んだりパクったりばっかりで、その姿勢は金輪際変わらないのではないかと想像します。

投稿: ぬらりひょん | 2006/03/27 21:27

 アメリカの支那に対する態度とそれへの賞賛、支那人の度し難い自己中心的精神態度、皆様のコメントに全面的に賛成します。
 やはり肝心な事は日本人の態度です。「日中友好」なんてことは、今時、どの政治家も言えなくなりました。しかし「アジア外交の再確立・・」云々と、実際は媚中の連中がはこびっています。二階経産相など「福田」を広告塔とする連中です。
 ブログ上で罵っても仕方ない気がします(それも必要ですが。)。
 こうした連中を阻止するため、何らかの政治的実践活動が必要でしょう。

投稿: よっちゃん | 2006/03/27 22:58

su-sanさん、坂さん、ご丁寧に教えてくれてありがとうございます。やはり日本は信頼度のレベルが違うと言うことですね。

しかしまたクリントンみたいな、媚中嫌日野郎が出てきてもこの信頼関係を維持できるか?ちゃんと日本を別格の友好国として扱ってくれるか?それがちと心配です

もしも今、あのエロ大統領だったら、あっさり中国の尻馬に乗って靖国参拝を非難しまくっていたかもしれません。

トラックバックなんですが、ネットのことに詳しくなくどういうことなのかさっぱり分かりません。すみません。もうちょっと勉強してきます

投稿: 長谷川博幸 | 2006/03/27 23:49

http://www.rondan.co.jp/html/mail/index.html (論壇)投稿者 普通人さんの(東京裁判考察12話かえあ17話まで掲載されています)14話中の「1998年に設置されたハーグの国際刑事裁判所 (ICC) でも 「人道に対する罪」 及び 「戦争犯罪に対する罪」 は存在するが、 「平和に対する罪」 は存在しない。 「平和に対する罪」 や 「A級戦犯」 という言葉は、東京裁判以降、使われていない。 世の中に定着しなかったのである。」と17話中の「(*) 戦後、靖国神社に参拝した外国人のなかではアメリカ軍首脳が最も多い。 日本の同盟国として、日本のために戦った戦没者に対して敬意を表するのは当然と考えているからである。
3月16日から始まり1話から17話で完結です。是非 一読をお勧めします。

投稿: ようちゃん | 2006/03/28 01:16

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