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2006/04/27

粛々と主権を貫く外交を進めよ!

私は、昨日のエントリーで次のように書いた。

「今の韓国との関係は異常だ」と政府を批判する人たちがいる。これは、中国との関係についても同様だ。が、それは間違っている。
韓国や中国との関係は異常、つまり悪化しているというより、本来のあるべき姿になりつつある、つまり正常化の過程にあるということだ。
一見『異常』に見えるのは、今まで一切口にすることのなかった国家としての『主権』を我が国が主張するようになった。その我が国の当たり前の変化に、これまでの異常な二国関係に馴れきっていた中・韓が対応できない。
そういうことだ。

この「今の中国や韓国との関係は異常だ」と政府を批判する人たちの典型が、皆さん
ご承知の朝日新聞である。
以下は、朝日新聞の昨日の【社説】からの抜粋である。

米ブッシュ政権にぴったり寄り添って対米関係を安定させる一方、北朝鮮から拉致被害者とその家族を取り戻したのはよかった。だが、中国、韓国との近隣外交は崩壊状態である。

中韓の側に問題がないと言うつもりはない。だが、5度も靖国神社の参拝を重ねた
結果、首脳はおろか外相同士も満足に会談できない状況に陥ってしまった。

あの戦争を正当化しようとする日本国内の勢力を勢いづける結果にもなり、頼みの米国にも戸惑いと不信の声が出ている。中国などとの不仲は、日本の国際的な存在感を
弱めないではおかない。

小泉政権5年 賞味期限が切れてきた (2006年4月26日 朝日新聞【社説】)

「5度も靖国神社の参拝を重ねた結果、首脳はおろか外相同士も満足に会談できない状況に陥ってしまった」と朝日新聞は書く。
が、本当に首相の『靖国参拝』が、日・中、日・韓の関係悪化の原因なのか?

『A級戦犯』14人が靖国神社に合祀されたのは、1978年の秋季例大祭前日の霊璽
奉安祭である。一般に知られたのは翌79年の新聞報道だ。しかし、それ以降も、太平首相は3回、鈴木善幸首相は8回、中曽根首相に至っては10回も靖国神社に参拝している。
にもかかわらず、1985年8月15日の中曽根首相による靖国参拝までは、中国も韓国も我が国総理大臣の靖国参拝を非難しなかった。

1985年8月15日の中曽根首相の靖国参拝を最初に非難したのは、我が国の野党や
左翼である。非難の根拠になったのは、中曽根首相が、それまで『公私』があいまい
だった参拝を『公式参拝』としたことである。
この非難の背景には、『戦後政治の総決算』を掲げ、『日本は不沈空母』などと発言する中曽根政権の右傾化に対する左翼陣営の危機感があった。
しかし、この時点でも、中・韓の反応は鈍かった。すると、野党のある有力政治家が
中国を訪問し、時の中国の胡耀邦政権を煽りたてて『靖国参拝』を外交問題化したのである。

この時の中国や韓国の批判と抗議を受けて、中曽根首相は翌年から靖国参拝を中止する。そして、中国と韓国は、『靖国参拝問題』という日本に対する新しいカードを手に入れた。

日・中、日・韓の間に横たわる問題は『靖国参拝問題』だけではない。
中国は首脳会談を拒絶する一方で、東シナ海の自国領化を着々と進めている。『南京虐殺』などの事実をねつ造してまで、旧・日本軍の極悪非道ぶりを児童生徒に教育している。
韓国も、存在しなかったと証明されている『従軍慰安婦』や『強制連行』を史実として
取りあげている。李承晩が戦後のどさくさに紛れて強奪した竹島を、『歴史的な自国領』と喚きたて、武力衝突も辞さない態度である。

つまり、日・中、日・韓の関係悪化は、中国や韓国の歴史の歪曲や、『互恵平等』『共存共栄』という『友好』の前提となる精神を欠いた態度に大いなる原因があるのだ。『靖国参拝』は、そのような両国の本質が暴露されるキッカケになったにすぎない。

我が国の首相が靖国神社参拝をやめても、日・中、日・韓の関係が真に改善することはない。我が国が主権を貫く限り、今後とも摩擦は続く。
摩擦を避けるために我が国が一方的に譲歩するという、森内閣以前の外交に戻るの
なら話は別だが、もはや国民がそれを許さない。

小泉首相も小泉内閣も、中・韓に安易に妥協するつもりはサラサラないようだ。
以下は25日のANNからの抜粋である。

小泉総理大臣:「外国の首脳は、すべて私の言っていることは理解してますね、話すと。『小泉さんの言うことは正しい』、『中国・韓国はおかしい』と言っていますよ。『あぁ、何でこういう問題で首脳会談を行えないなんて、おかしなこと言っちゃったんだろう』って、後で後悔する時があると思いますよ」

就任5年の小泉総理 格差拡大の批判に反論 (2006/04/25 ANNニュース)

そのとおり。
日本国総理大臣の靖国神社参拝を「おかしい」と言っているのは、外交関係がある国の中では中・韓両国だけである。 そして、政治的関係を悪化させることによって損をするのは中・韓両国の方である。
もし、これ以上悪化させて、本当に物理的対峙まで状況が進めば、経冷が一気に進んで中・韓の経済は崩壊の危機に直面する。

ところで、以前、読者の方から尖閣諸島や竹島について「『実効支配」という言葉を使うのはおかしい」という問題提起があった。
尖閣諸島は我が国の領土として統治下にある、竹島は我が国の領土でありながら
韓国が『不法占拠』している、これが事実なのではないかと。

言われてみれば、そのとおりで、尖閣諸島は我が国の統治下にあり、竹島は韓国に『不法占拠』されているという表現が事実に即している。
にもかかわらず、メディアはもちろん、私までもが『実効支配』という言葉を安易に使い、何の抵抗も感じなかった。それだけ精神が、これまでの我が国の軟弱姿勢に侵されていたということだ。

我が国政府は、その辺りから改め始めた。
すごくよい傾向だと思う。

政府は26日、韓国が竹島(韓国名・独島)に警備隊員を常駐させるなどして「実効支配」を主張していることに関し「『実効支配』は韓国から見た言い方であり、不法占拠の正当化につながりかねない」(外務省幹部)として今後は「不法占拠」との表現を徹底する方針を決めた。

鹿取克章外務報道官も同日午後の記者会見で「日本政府の見解としては不法占拠だ」と述べた。

ただ昨年の教科書検定では、一部の中学公民教科書が、竹島について「韓国が不法占拠」との記述に修正されたことに韓国が反発、日韓関係が悪化した経緯がある。
竹島周辺海域の海洋調査問題で緊張が高まった直後でもあり、「不法占拠」と強調することで韓国側が姿勢を一層硬化させることも予想される。

「韓国は不法占拠」を徹底 政府、竹島問題で (2006年4月26日 共同通信)

今の小泉内閣の外交は官邸主導だと言われる。
先日の日韓外務次官協議も安倍官房長官の内諾を得たうえでのことだった。協議の
経過も、逐一安倍官房長官に報告され、最後は官房長官の決断だったという。
今回の『実効支配』という言葉をやめ、『韓国が不法占拠』という表現に徹底するというのも、おそらく安倍官房長官サイドから出てきたものと思われる。

「アジア外交の建て直しが急務」などという、政局がらみの戯言に惑わされることなく、粛々と主権を貫く外交を進めてほしい。

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コメント

 また一番目ですみません。

>われわれはこれ以上、新たな謝罪を要求しません。すでに行った謝罪に合った行動を要求するだけです。

 前のエントリーで紹介されていたノ大統領の言葉です。私の経験からすれば中国の要求も同じです。
 しかし、こんな言葉を平気で言える考え方が問題なんです。“謝罪に合った行動”の範囲は彼らの頭の中で限りなく拡大していく傾向をもっています。時に日本や日本人を全否定する言動や行為をしても、彼らはそれを日本側が受け入れることが当然と考えている事があります。
 それにきちんとノーと言う。
 主権国家としての外交もそうですが、私自身もそういう姿勢を持たねばならないと感じました。

投稿: duzhe | 2006/04/27 18:42

 ノムヒョンさんはあっさり前言を翻したみたいですが、
これも国内向けでしょうか。
 やはり測量を遂行した方が良かったんでしょうかね。

投稿: hide | 2006/04/27 19:25

小泉首相が5年間かけて未だ完璧ではないにせよやっと日本外交が普通の国の外交が出来るようになってきました。

靖国参拝はある種のシンボリックな意味があると思います。
小泉首相は歴代の首相の中で唯一と言って良いが朝日新聞の論調が日本国民の世論を代表していないと見抜いている。
朝日新聞もそこを判っているているから執拗に靖国参拝批判をしているのだと思う。
普通の政治家は選挙の洗礼を受ける人気商売なのでどうしても”メディアの評判”に惑わされやすい。
日本が粛々と日本の国益に沿った外交を継続するには、反日メディアに持ち上げられるような人、例えば福田氏のような人をポスト小泉にしてならない。

投稿: yuki | 2006/04/27 20:37

このところは眺めてばかりでしたが、毎度毎度秀逸な記事、楽しませていただいております

さて、竹島を巡ってのことで、さきほどNHK BS2で韓国KBSのニュースが流れていたのですが、こんなことを言っていました
「『竹島』が韓国の領土であることが記された、国際的な地図が初めて見つかりました。1982年にアメリカ空軍が作成した防空識別圏を示した地図で、これによると『竹島』の上空は韓国の範囲とされています。アメリカが『竹島』を韓国の領土と認めている、重要な証拠となり、日本の主張を覆す決定的な資料となるでしょう(ちょっと端折ってます)」

防空識別圏というのは、あくまで軍が使う目安でしかなく、領土云々とは全く関係が無いと思うのは私だけでしょうか?
どこで見つけてきたのか、こんなものまで持ち出して日本に勝ちたいんでしょうか(いや、『勝つ』とは違うのかもしれませんが・・・)

極端な話、このような国の方々とはもう関わりたくないですね。なんとかならんものなんでしょうか?

投稿: あるす | 2006/04/27 23:13

>『竹島』が韓国の領土であることが記された、国際的な地図が初めて見つかりました。

韓国では官民あげて「独島が韓国領であることの証拠」探しが続いているようですね・・・韓国領である確定的な証拠が見つかれば国際司法裁判所で争えると躍起になっているようですが、その証拠がなかなか見つからないのです・・・そうですよね、もともと日本領ですから・・その韓国は外国のマスコミが「竹島は日本領」といった報道をすると、「報道を取り消せ!」と喚くようですね・・・
>仏テレビ局、Webサイト上でも「竹島は日本領土」表記
http://k-mokuson.at.webry.info/200503/article_35.html

投稿: 疑問符 | 2006/04/27 23:45

『あぁ、何でこういう問題で首脳会談を行えないなんて、おかしなこと言っちゃったんだろう』って、後で後悔する時があると思いますよ>小泉首相のこの発言が余程癪に障ったのか悔しかったのか、朝鮮日報がダボハゼのごとく食いついてきた。

中略~日本が国境を接して隣り合っている国は韓国と中国だけだ。その両隣国に受け入れられないのに、国際社会においてどうして指導的役割を夢見られようものか。日本が死に物狂いで追いすがっている米国でも、アジアで排斥されている日本が気まずくなる日が来るだろう。それほど遠くない時期に、小泉首相の‘おかしな考え’に惑わされ正気を失ったのを日本が後悔する時があるだろう。>大手の朝鮮日報でこの体たらくだ。三流のタブロイド紙でも書かないような薄っぺらな現状把握というしかない。そもそも国境を接しているのが中韓だけだなどど、戯けたことを恥ずかしくもなく書くところが韓国紙らしい。ノ政権も異常だがそれに負けず劣らず韓国メディアは異常だ。善隣友好などと唱えて通じる相手ではない。小泉政権は過去5年中韓と対等な外交を展開してきた。今後5年の外交で日本の将来は決まる。正念場ではないだろうか。

投稿: クルーソー | 2006/04/28 00:03

>日本国総理大臣の靖国神社参拝を「おかしい」と言っているのは、外交関係がある国の中では中・韓両国だけである。

 そもそも中共と姦国は、東京裁判にもサンフランシスコ講和条約にも何の関係もない。当事国でもないのに「A級戦犯が、A級戦犯が」と喚くのは、「靖国」を日本に対する外交カードとして用いることしか考えてないからだ。

投稿: 中凶殲滅 | 2006/04/28 00:48

 なぜ、朝日が靖国問題にここまで拘泥するのだろう。朝日は総理の靖国参拝を軍国主義の復活の予兆と捉えているのだろうか。こういう見方は、左翼思想的発想からでてくるのだろうが、いかにも古臭い。こんな発想が、今どき人々に受け入れられるとは到底思えない。また、中国の要求に屈する事で、日本の軍国主義復活の懸念が払拭されるとでも思っているのだろうか。だとしたらおめでたい限りだ。いずれにしても、朝日はリアリストの視点を欠いた似非ジャーナリズムと言わざるを得ない。
 それとも、朝日は中国・韓国人の工作員の巣窟となりはてたのか?それだったらすんなり納得がいく。
 

投稿: プライム | 2006/04/28 01:21

>そもそも中共と姦国は、東京裁判にもサンフランシスコ講和条約にも何の関係もない。

確かに歴史をさかのぼれば、韓国は旧日本領でわが国と共に戦ったはずですが、韓国はいつの間にか連合国の一員として戦勝国組に入ったつもりのようですね・・・もっとも
>お前は連合国ではない!と、英国と米国から火事場泥棒のように罵られています。
ということのようですが・・・・
http://blog.livedoor.jp/kingcurtis/archives/50124794.html
>臨時政府の「対日宣戦布告」64周年の記念式(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=70473&servcode=200§code=200
ん・・・?「史実は忘却するもの、歴史は捏造するもの」を基本理念にする韓国のことですから、まあ、いまさら驚きもしませんが・・・

投稿: 疑問符 | 2006/04/28 12:22

皆さん、こんばんわ。
コメントありがとうございます。

国家や国民を愛せない新聞。
誇りをもてない新聞。
朝日新聞には早く潰れてほしい。
毎日新聞は、まだ良識がありますが、朝日はサイテー、モラルさえ喪失している。

投稿: 坂 眞 | 2006/04/28 21:52

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