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2006/05/23

やっぱり中共は変わらない


山西省北部の左雲県にある新井炭鉱で18日20時30分頃(現地時間)、大規模な浸水事故が発生した。炭鉱側は行方不明になっている作業員の人数を5人と報告したが、地元の行政当局は「虚偽報告の疑いがある」との認識を示しており、中国メディアの
中には「57人が炭鉱に閉じ込められている」(21日付の中国新聞社)と伝えるところも
出始めた。

事故現場には、国家安全生産監督管理総局(安監総局)の李毅中・局長、中国共産党・山西省委員会の張宝順・書記、同省の于幼軍・省長などが20日、現地入りして
救援作業の陣頭指揮に当たっている。

新井炭鉱は1998年から生産を開始。安全生産許可証など必要書類は全てそろって
いたが、過剰生産を行っていたと見られる。

20日付の中国新聞社によると、水があふれ出したのは15日。炭鉱側は作業員に排水を行いながら採掘を進めるように告げただけで、特に対策をとらなかったという。新井炭鉱の責任者は行方が分からなくなっており、事故が発生した当時、何人が作業を行っていたか分かっていない。写真は浸水事故が発生した同炭鉱に集まってきた人々。(編集担当:菅原大輔)

山西省で炭鉱事故、行方不明57人か?責任者は逃走 (2006/05/22 中国情報局)

中共政府当局は、今年1月、2006年から、労災事故の発生状況を地方幹部の出世考課の対象に加えると発表したばかりである。国家安全生産監督管理総局(安監総局)の李毅中・局長は、この時「人命を軽視し、法律も無視して違法生産を行うものは厳罰に処す」「官民癒着や不正な利益供与に対しては、中国共産党の監察部門とともに
厳しく取り調べる」などと強調した。
で、結果がこれである。

まあ今回は、李局長のほか、共産党山西省委員会の書記や同省の省長など、党の
地方幹部や地方政府のトップが現地に駆けつけただけでも大きな進歩である。
が、「炭鉱側は作業員に排水を行いながら採掘を進めるように告げただけで、特に対策をとらなかった」「責任者は行方が分からなくなっており」では、まったく中央政府の方針が地方レベルでは無視されていると断じざるを得ない。
「安全生産許可証など必要書類は全てそろっていた」ということは、この炭鉱が地元当局と癒着していたということの証明である。
やっぱり、世界一の労災事故数、世界一の労災死者数を誇る中国の現実は容易に
解消できそうにない、ね中共くん。

2005年に生産現場で発生した事故は72万8千件で、死者は12万6760人に上った。
これをGDP比で換算すると、我が日本国で200万件以上の労災事故が起こり、30万人をはるかに超える労災死者が出たことに等しい。
もし、我が国でこんな状況が発生したら、全国民的非難が巻き起こり、労組はゼネストに打って出るであろう。

まったくもって、「人命は紙よりも軽い」「何よりもカネがすべて」という、中国の現状を
象徴する事故ではある。カネのためなら、党中央や北京政府が何と言おうと関係ない!!!である。

この国は歴史上、人民が統治者になったことが一度もない。近代史においても、辛亥革命後は軍閥の群雄割拠、そして日中戦争、日本の敗戦後は国共内戦、1949年以降は中共による独裁。
この間、人民は常に収奪と抑圧の対象だった。毛沢東治世下の大躍進や文化大革命では5000~7000万人が餓死したり虐殺されたりした。
にもかかわらず、中共政府は、この間を「辛亥革命~日本による侵略~抗日戦争~
革命戦争~偉大なる社会主義建設」の歴史としてしか描かない。そこにおいて億単位の人民が殺されたことは、まったく不問にされている。唯一責任を問うているのは、我が日本軍による『虐殺(?)』だけである。

中共が、自らの血塗られた歴史を総括しない限り、いくら口先で「人命尊重」「者や農民の権利擁護」と叫んでも、スローガンにすらならない。

ある時、農民の土地に突然ブルドーザーがやってきた。驚いた農民は「オラの土地で何をするだ」と文句を言った。すると、そばにいた役人は「自分の土地だと???ふざけるな!!!この土地は元々国家のものだ!!!おまえに文句など言う権利はない!!!」と言って農民を突き飛ばした。
これが、中国における農地収用の実態である。
炭鉱も工場も、すべてが同じ感覚で運営されているのであろう。
民衆なんてこき使い、使い捨てるのが当たり前。あいつらは人間のうちに入らない。いくら死んだって『代わり』は無尽蔵にある。

参照:炭鉱事故が出世を左右「人命軽視は厳罰化」

【特記】
コメント及びTBを許可制にさせていただきました。
カキコやTBがすぐには表示されませんが、勘違いして何度も送信することのないよう
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中国(社会)」カテゴリの記事

コメント

>李毅中・局長は、この時「人命を軽視し、法律も無視して違法生産を行うものは厳罰に処す」「官民癒着や不正な利益供与に対しては、中国共産党の監察部門とともに厳しく取り調べる」などと強調した。

 やっと、こんなことを言っているの。信じられない。党の中央もさすがに黙認できないことに気づいたんでしょうか。それとも単なるポーズなのか。どちらにせよ、やることが遅すぎる。党が硬直していることの証拠でしょう。

投稿: プライム | 2006/05/23 18:42

「人命は紙よりも軽い」「何よりもカネがすべて」という、中国の現状を象徴する事故ではある。>生き馬の目を抜くがごとくの中国社会。安全という担保もなく、最低給で極貧生活を強いられる炭鉱労働者と一方でロールスロイスなど超高級車を所有し、リゾート地や上海ななどの大都会に不動産投資を繰り返す大富豪の炭鉱主。ここには共産党宣言に記された搾取する資本家と搾取される労働者階級とういう図式が絵に描いたように現実となっています。共産党独裁国家で証明されるとは、あの世でマルクスも今頃、後悔の念に駆られていることでしょう。権力は腐敗し、絶対的な権力は絶対的に腐敗する格言は今まさに中国が体現していますね。

投稿: クルーソー | 2006/05/23 19:48

共産党一党独裁という政治体制そのものに中共の病理の根源があると思います。
選挙という民意を問うことなく存在する政治権力は絶対に国民の側に立ってものを見ることは出来ない。

投稿: yuki | 2006/05/23 20:49

中国の下層階級の人たちには同情してしまいます。
中共が支配している限り、劇的な改善は見込めないのではないでしょうか? 
一生懸命に働いて、最後は泥に埋もれて死ぬ人が可哀想でなりません。

投稿: グリフィス | 2006/05/24 01:59

>「何よりもカネがすべて」

此に関しては支那の民衆自体がそうですから
(自らの命すら金儲けに賭ける!)余り同情は
出来ませんね。そう言った意味では華人の執念
を考えれば余り我々の価値観を押しつけるのも
難儀かと(^◇^;)

危険を顧みず、自らの命懸けで石炭を掘り儲ける
態度は或る意味関心半分呆れ半分ですなあ(^◇^;)

投稿: abusan | 2006/05/24 05:40

但し、此を持って中共政府の態度を正当化するものでは
ありません。中共政府の人命軽視体質は厳しく断罪される
べきであります!

投稿: abusan | 2006/05/24 05:44

ここに書くことか悩んだのですが、他に連絡先も見つからず、コメントが許可制になったと言うことで書き込みます。
いつもこちらのブログを楽しみにしているのですが、玉に瑕なのがページが重いことです。トップには最新5件のエントリしか表示しないようにするなどの対策を取って戴けないでしょうか。
私のPC環境の問題である可能性もあるので、もし他の方からも同様の指摘があった場合は検討してくださると幸いです。
これからも毎日更新を楽しみにしています。

投稿: まったり | 2006/05/24 07:23

私の母親と極東アジアについて話をすることがあります。「おまえは、韓国や中国が明日にでも崩壊するようなことを言うが、そう言われて久しい北朝鮮でさえ崩壊していない。もう20年も国の形は保っている。だから私の生きている間、中国の分裂や韓国の経済崩壊などは無いのではないか」と言っています。中国は人口の多さが問題でしょう。北京で約1500万。大連で600万人。韓国の人口は4700万人くらいですから、このたった二つの市で韓国の人口の半分近くになるわけです。「中国とインドが日本人並みの生活をするためには、地球がもう一個必要になる。」と言われています。最近マグロの入荷が減少しているようですが、これは中国人に食われているわけです。限られた食料や燃料、鉱物資源をめぐって中国と戦争になる日も近いと思いますが、「また夢みたいなことを言う」と母親に言われてしまいますね。淡々と家族のためサバイバル用品を集めています。...母親の分も含めて。

投稿: 普通の国民 | 2006/05/24 08:47

今週のTHE ECONOMISTは、まるで坂さんのエントリーがそのまま英語になったかのようでした。中国で回収されることを前提に構成が成っており、これらの記事を世界中のあるレベル以上のビジネスマンが目にするのですから、実態が広く知れ渡ると思います。特に本日のエントリーにあるような「大躍進から文化大革命での悲惨な実態を検証すらせず、そのはるか前の日本軍の蛮行と、靖国問題だけ騒ぐ中共に、周辺諸国は不信をもっている」と断言してあり、やっと、マトモな批判が世界的に出回り始めたなと思います。一方で、中国の主張のみ受け入れる国内のマスコミは唾棄に等しい存在ですね。
このところのドル安ですが、なんとなく・・中国への圧力、中国投資の回収を目論んでいるかに思えてしまいます。

投稿: SAKAKI | 2006/05/24 09:32

 中共真理教徒からのバカコメント削除作業ご苦労様です。坂眞さんのブログはおそらく中国国内からは見ることができないでしょうから、中国国内から来るバカコメントは中共の指示によって行われていると考えた方が理屈として通りますね。日本国内からのものも、その種のメールは中共の工作活動の一環なのかもしれません。ただのバカかもいるかもしれませんが。

 何が原因だか解りませんが、中国の人達には法や規則、秩序を真っ当に解釈して尊重するという姿勢があまり見られません。むしろ人間関係の“情”に流されながらズルズルとこうしたものがねじ曲げられ、無視されていく傾向があります。私自身も中国人とのつきあいの中で、中国社会はそういうもんなんだ・・・と流されがちです。もちろんそうでない中国人もいますが。
 でも、そういう中国流のなれ合い関係の中で、貧しい人達は犠牲になっていくんですよね。炭鉱事故の犠牲者が何万人出たって中共の幹部連中には関係ないんですよ。処罰される連中も「もっとうまくやればよかったな・・・」程度の“反省”しかしないでしょうね。

投稿: duzhe | 2006/05/24 10:37

こんにちは
いろいろなところから中国の不協和音が聞こえてくるが、軍事的な行動がなく中国が民主化されることを望みます。
民衆の暴動から内戦になったり、台湾有事で日米を巻き込んだ紛争になれば、世界の産出の80%を占めているレアーメタルが輸入できなくなります。ご存知のようにレアーメタルはIT産業を支える重要な金属で、20年前なら影響は無かったと思いますが、現在はレアーメタル無しには経済は語れません。政府が備蓄している量は一ヶ月分だと聞いています。企業での備蓄がどれほどか分かりませんが、一年分は持っていないでしょう。内戦、紛争が長引けば世界経済、特に先進国に与える影響は大きいでしょう。

投稿: nasadon | 2006/05/24 10:48

御參考まで。

写真で読む中国 ~ 人民とその社会
中国:炭鉱労働者たち
http://blog.livedoor.jp/chinalifestyle/archives/50283068.html

投稿: anonymous | 2006/05/24 19:20

皆さん、こんばんわ。
コメントありがとうございます。

中国、やっぱり崩壊するしかないでしょうね。
くわばら、くわばらです(笑)
しかし、不気味です、中共体制の崩壊後を考えると。
想像を絶する!!!

>玉に瑕なのがページが重いことです。

まったり、さん
表示エントリーを15に抑えてみました。
その後、アクセスが改善されたかどうか、ご連絡いただければ幸いです。

投稿: 坂 眞 | 2006/05/24 21:24

今、中国にいます。ブログを毎日拝見しております。(別段検閲なくみれています)貴殿の言われているように、人名は紙より軽し現象や中国4大銀行の不良債権等は一切こちらのマスコミは報道しません。ただ、日々報道されているのは日本の侵略歴史をドラマにした時代劇や台湾の独立体制等自国を美化するドキュメンタリーばかりです。また、大都市圏では日本人向けのクラブ(飲み屋)では
日本人からカネをいかに搾取するか、日本人独身者をいかに捕まえて結婚し日本国籍を手にいれるかという大富豪願望が著しく顕在化し社会全てがこのような現象に覆われてそこかしこで詐欺や偽者の高値売付現象が横行しています。また、すべてが賄賂で解決できる
国であり、不正が正常化しています。早くこの国を”正常”に戻すには日本からの投資を極力控えることと外交的に1歩も引かずこの国に不正を暴き、中共を国際的な孤児にすることが肝要です
方法としては、経済的な成長を止めることで必ず民衆が暴動(貧富差を解消したい)を起しこの国を液状化させ、そのあと発生するであろう略奪行為を外国の勢力が抑えて親欧米日政府を樹立することと
旧満州(現東北地区)、チベット、台湾各独立させることでシナに戻します。これにより国力を分散させることで当面の間(50年~100年)は大中華思想は復活を防ぎます。

ただ、この過程でこの国に本当に自由を最大の価値とする民主主義が根ずくかどうか心配です。この国は数百年の間一度民主主義らしきものが定着したことが無い上、日本のような王朝が何千年も続いた歴史ないため、道徳観念が民衆の間で涵養された形跡が見当たりません。(孟子・孔子時代を除き)一番重要なのは中共が崩壊した後は国家及び地方政府の権力が民衆に及ばない政治構造を作りあげ、現在のロシアのような強権政治が復活できないようにすることと考えますが、貴殿の意見を頂き度く。

投稿: takamori | 2006/05/29 04:26

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