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2006/07/28

中国の「平和的発展」の実態とは?

●「海外での事故例」 (JI保険「海外での事故例」より一部抜粋)

=2004年度=
中国  バス搭乗中に悪路のためバウンドし、腰椎圧迫骨折。
(保険金支払額6,326,607円)
中国  転倒して左大腿骨骨折。手術を行い入院。
(保険金支払額4,319,430円)

=2003年度=
中国  腹痛・胃潰瘍となり現地で入院・手術。日本から家族が駆けつける。
(保険金支払額4,519,436円)

《[7.11]海外旅行保険への加入のお願い》 2005-7-14 中国留学.COM

上記の記事は、中国留学専門サイトに掲載されていた「日中文化交流センター」からの、中国留学生向けの「お願い文」からの抜粋である。

「お願い文」は、「ご出発まで間近となり、皆様ご留学へ向け着々とご準備を進めて
いらっしゃる事と思います。この度、センターではご留学の皆様に、海外旅行保険へのご加入を強くお願い申し上げます」という書き出しで始まる。
そして、上記のような例を挙げて、「海外では、日本と異なり自由診療となるため治療費は医療機関、病気・ケガの程度によって異なります。一覧は目安として下さい」と、強く注意を促している。

JI保険は、JTBとAIGの合弁会社であるから、このデータの内容は信用できる。
つまり中国では、骨折の治療で430万円~630万円、胃潰瘍の手術で450万円の医療費を要するということだ。
中国では元々医療費が高いうえ、不必要な検査や投薬が日常茶飯事に行われているという。上記の金額は、保険会社が精査した結果のものであるから、不必要な検査や薬は含まれていないものと思われる。

では、保険会社が絡まない場合は、どのくらい医療費がかかるのか?


黒竜江省のハルビン医科大学付属病院に皮膚がんで入院し、治療を受けた末、死亡した老人(74)のケース。かかった医療費は、2カ月の入院・検査費140万元と治療に使用するという名目で病院が家族に薬局で買うように指示した医薬費410万元の計550万元(約8千万円)
カルテでは1日170キロの点滴など常識では考えられない治療が行われたことになっている。患者が買わされた医薬品は、医者が裏金を受け取っていた製薬会社の製品で、患者の治療には使われないものだった。

深セン市の病院でも、必要のない高額医療を患者に説明なく行い、120万元(約1千750万円)も請求したことが問題視され、世論の圧力に院長が辞職に追い込まれた。

北京駅で吐血した男性が救急車で病院に運ばれたものの、金がないことを理由に十分な治療が受けられず、痛みでのた打ち回りながら死亡した

(2005年12月30日 産経新聞 「中国の医療機関ずさん 皮膚がん治療費8000万円、
点滴1日170キロ」より抜粋)

癌の治療費約8千万円。
入院・検査費だけで約2千万円。常識では考えられない量の点滴と、治療には不必要な大量の薬で約6千万円。こんなことが、医科大学の付属病院でまかり通るのである。
そして、カネがなければ、のた打ち回りながら死ぬしかない。

ところで中国では今、次のような狂歌がはやっている。
「病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない」
「病気になったら焦る。焦る。病気になったら、計画経済が懐かしい」


中国ではやっている中国式狂歌である。最近、医療への不満をぶちまける歌が増えている。

計画経済が中心だったころは、職場が医療費を負担した。だが、市場経済化に伴って、国有企業が次々に解体し、多くの人たちが医療費を自分で工面しなければならなくなった。おまけに、病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくない。
貧しい人は病院に行けない
のだ。

中国の経済発展はめざましいが、国民の収入の差は大きい。国家統計局が都市住民の収入を調べたところ、上位10%の人たちに富の45%が集まっていた。下位の10%の人たちは2%も得ていない。

医療だけでなく、福祉や年金の制度もくずれたため、貧しい人たちの生活は悲惨だ。
このままでは5年後に社会がもたなくなる
、と政府系の賃金研究所でさえ警告している。

(2005年10月14日 朝日新聞【社説】より抜粋)

メディアは、中国の華々しい成長面ばかりを取りあげる。上記のような、中国の「負の
部分」を取りあげる記事も、最近はいくらかは増えてきているが、まだまだ少なすぎる。
だから、私は「負の部分」を中心に取り上げる(苦笑)

しかし、中国13億人のうち、医療保険に加入しているのは34%にすぎない。残りの3分の2は、医療費を全額自己負担しなければならないのである。
かつては、農村では人民公社が面倒を見てくれたし、者は朝日新聞の社説にも
あるように、国有企業が医療費を負担した。
が、今は人民公社は活動を停止し、国有企業も次々に解体され、残っている企業も
民営化を迫られている。

都市部の者の平均的月収は1万円程度とされるから、今の医療と保険の実態では、風邪をひいたくらいでは医者にはかかれない。
ましてや、無保険で収入の少ない人たちは、重症を負えば、それこそ産経新聞の記事にあるように「痛みでのた打ち回りながら」死ぬしかないのである。

中国には、1日の収入が1ドル未満(月収約3,500円未満)の貧困人口が1億7千3百万人もいる(アジア開発銀行報告)。その内、月収にして1,000円以下の人たちが8600万人を占める(国務院扶貧弁公室)。
こういう人たちにとって、今の中国は「絶望の大国」である。

以下は、今年1月16日の讀賣新聞朝刊に掲載された「中国『開発独裁』の代償」という、藤野彰中国総局長の署名入り記事の要約である。

記事は、「庶民は共産党を憎んでいる。心底憎んでいる。共産党以外の政党が許されたら、俺も参加するよ」という共産党員歴30数年の中国人の激烈な発言で始まる。

この藤野彰氏の知人である中国人は、「今の中国は社会主義ではなく、官僚資本主義。高級幹部は病気になっても国が全部面倒をみてくれる。金のない庶民は癌にでもなったら、死ぬのを待つだけだ」「社会の不公正は許し難い」と怒りを爆発させている。
つまり、一般の党員レベルでも中国共産党に対して抑えがたい怒りを抱いているということだ。

藤野氏は書く。
「彼に限らず、庶民レベルでは党を腐(くさ)す声は耳にしても、ほめ言葉などまず聞かれない。党を取り巻く、冷え冷えとした空気を実感する」
と・・・

そして藤野氏は、中国の「真の脅威」は、「驚異的な経済成長」や「急速な軍備増強」
ではなく、「共産党の威信が地に落ちるなか、独裁体制がシロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか、その過程でどれだけの混乱が生じるか、という
不透明感にこそ内在している」

と指摘する。

この藤野氏の指摘は正鵠を射ている。
世界一貯めこんでいる外貨を、世界一稼いでいる貿易黒字を、貧困対策や極端な格差是正に回せない。

2004年の中国の軍事費は、実に843億ドル(約9兆5,000億円:ミリタリー・バランス2006)にのぼる。
一方において、巨額の費用をつぎ込まざるをえない有人宇宙船を飛ばす。このプロジェクトは「嫦娥工程」と呼ばれ、2024年までに有人月面着陸を実行する計画である。
米国でさえ、その費用対効果に耐えられず、「アポロ計画」を中断した。その「アポロ
計画」と同じか、それ以上のことを中国はこれからやるのだ、という。

人民の意志が反映されず、人民の生活実態を省みない政治を執行するしかない今の中国。
こういう全体主義的独裁国家にとっては、その体制を維持するために、軍事力の強化や国威発揚のためのプロパガンダ(「嫦娥工程」)が必要不可欠なのである。
そして、そのような巨額の国家予算の浪費が、さらに人民の生活を圧迫する。もう悪循環を繰り返すだけなのだ。

今の中国は「張子の虎」のようなものだ。藤野氏の言にあるように、シロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか。
そこで、もっとも重要な問題は、その過程である。どのような混乱が起きるのか想像がつかない。

中央政府が、いくら警告を発しても言うことを聞かない地方政府や国有商業銀行。中央による統制が取れておらず、地方幹部の影響力が強いとされる人民解放軍。一方で、痛みでのた打ち回りながら死んでいく大勢の人民大衆。

李肇星・外相は「中国の発展の最大の特徴は平和的発展であり、植民地政策や帝国主義を行った以前の列強のような、他者からの略奪・他者への侮蔑・他者からの搾取といった方法は取らない」と述べている。(2004年3月8日「人民網日本語版」)
これは、中共指導部の常套句である。
が、内なる略奪、内なる搾取が続く限り、「平和的発展」などというのは「たわ言」にすぎない。本当に「平和的発展」を志向するのなら、軍備の拡張や宇宙開発計画などは
やめ、もっと民生面に資金を投入するべきである。
でなければ、中国は内側から溶解する。

今の中国を待っているのは「反平和的崩壊」だ!!!

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中国崩壊シリーズ」カテゴリの記事

コメント

中国外相の言い訳?は日本向けなのでしょうね、しかも朝日新聞記者用~
日本と同様の医療が中国に完備したとしたら天文学的でも計算出来ない支出を政府はしなきゃならないでしょうね、中国の人が日本に来たがる要因の一つに医療の問題も有るのでは無いでしょうか?
最近は孟子、孔子も読めない中国学者が日本の大学教授で、日本の優秀な中国研究者が優秀であれば有るだけ疎外され、下らない中国政府派遣の工作員が教授として給与を取り家族の健康を日本の病院で面倒を見て貰う、便利な国でも有りますね。

新聞記事などを見ると不法滞在で子供を作り、逮捕されると子供は日本語しか話せない、日本が良いなんて言い出し、それを応援する日本の弁護士、滞在が許可されれば後は野となれ山となれ、こんな事がでかでかと記事に成る。
中国や韓国がどうなろうと知った事じゃないのですが、私が何時も心配するのはこの様な無法が許されている日本に「近代とは無法が通用する国」なんて日本を目指して野蛮人が来日し、それに対して「善人」「悪人」の判断も出来ない国で有っては「国」としての義務を放棄したのも同様では無いかと危惧を抱くのです。

中国の言う「平和的発展」の中身が上記の医療の現実を見れば日本も医療の安全どころか国民の安全を真剣に取り組むのが第一の仕事と思うのです。
非核三原則の放棄、男女共同参画予算のカットと軍事費への転用、最低限之位の事はやって欲しいですね。
靖国神社なんて騒いでる暇がありゃ、中国の医療の話からずれましたが、日本人の安全に取り組んで欲しいと思いましたので~愚痴を申して申し訳有りません。

投稿: 猪 | 2006/07/28 19:14

いやー中国ではだいぶ医療費かかりますね。
私医者していますので患者さんにどれだけ医療費がかかっているかって見てますが、日本ではこんなに医療費かかっていませんよ。下手したら10倍以上じゃないですかね。

日本の人件費のほうが高いにもかかわらずになんでこんなになるんでしょうね(笑)。

医療水準も日本のほうがだいぶ高いんですがねえ。

OECDでも日本の医療制度を「もっともコストパフォーマンスの優れている」と絶賛していますよ。
だけど、日本国内では捏造マスコミによって日本の医療は「医療費が高くてレベルが低い、医療ミスも多い」なんて酷評されてますけどあんなの嘘嘘。

日本の医療にけちをつける人は外国では医療を受けられませんね。

投稿: ぴん | 2006/07/28 19:23

小泉のブレーンに田中直樹という経済評論家(経済専門家ではない)がいる。もう大分前のことになるがNHKで中国経済の発展ぶりを絶賛していた。

この男が、新聞掲載の「今、一番注目されている総合情報誌8月号」の広告によると、福井の後釜に名乗りをあげているそうです。

投稿: H.H生 | 2006/07/28 20:00

村ごと隔離された「エイズ村」や「癌の村」も話題になりましたよね。地方行政が自分たちの失態を隠すため、そういう人権侵害がまかり通っているわけですが。。。

有人宇宙船を打ち上げる金を医療や環境の整備にまわせばと思うのですが、実は、この有人宇宙船も打ちあがるまで、散々失敗して、多くの人が犠牲になっているようですねぇ。。。

投稿: ゆみこ | 2006/07/28 20:11

中国\(^o^)/オワタ


ってことですかね。
インド株を今、研究中です。5年先に伸びる会社に投資しようと思っています。さー、もう一回言っておきましょうか。


中国\(^o^)/オワタ

投稿: ちなみつ | 2006/07/28 22:40

実は、支那の「发展」は、本当に凶悪で残虐の发展ですね。
医療・教育・住宅は今の支那愚民の新しい「三つの大山」ですね。
今の支那の所謂「景気」は、見かけだけの繁栄ですね。

投稿: 熱血漢奸 | 2006/07/28 23:58

共産主義の革命が失敗に終わってしまって、もう大混乱しか起きないのだろうか。中国は辺境の人々を除いて、漢民族は
滅亡の道を突き進んでいるようにみえる。

投稿: kaz | 2006/07/29 01:18

この調子で、北京オリンピックまで持つのでしょうか?

もう、隠し通せない事が随分明らかになっていますが・・・。

投稿: bibibi | 2006/07/29 03:09

北京オリンピックの開催が決まった時、2004年ぐらいならともかく2008年じゃあの国どうなってるかわからねえなあ、
と思っていたら案の定ですね。

投稿: 愛子様の弟 | 2006/07/29 09:51

英国の国際戦略研究所は5月24日、
04年の中国の軍事費は843億ドルで、世界第2位の規模。
05年は995億ドルで「急激な増加傾向にある」と指摘。

7月23日付け読売紙上で米評論家アルビン・トフラー氏は
「中共の情報、特に金融と経済に関する統計数字が、
莫大な金額の負担を中共に迫るとともに、
世界経済を危機に陥れかけている」と。

国民の経済活動に対して、法の規制が不十分であるため、
統計が取れない。従って誰も
中共経済の実態がつかめない状態になっている。
中共当局の統計数字は、
過剰投資、過剰融資、過剰黒字、過剰成長を示すが、
これらが正しいという保障も全く無い。

経済専門家の房維中・中共マクロ経済学会会長が執筆した、
「改革内参」06・05・110号の調査・報告によると、
地方政府が成長率を競い合い暴走しているため、
中央の大方針が空洞化していると。そして
「このままでは全国が混乱に陥り、収拾不能になる」と。

上記の当ブログ氏の要約を読むだけでも
もう中共は終わっている。
このような中共の現状を知れば
対中政策はおのずから共産独裁政治体制崩壊後を見据えたものになる。

投稿: docdoc | 2006/07/29 10:48

中国については、
数限りなく存在する悪いニュースは一切報道せず、
捏造が入り、内容はかなり怪しい
「良いニュース」にみ報道する。
一方、日本については、
数限りなく存在する良いニュースは一切報道せず、
レアケースに過ぎない悪いニュースを連日のように報道し続ける。その結果、日本について、最も評価が低く、有益な情報に疎い国民が日本人となっています。

米国に来て毎日24時間やってるニュースを、
数日見れば、日本のマスコミの洗脳が溶けますよ。

投稿: 商人 | 2006/07/29 10:58

ちょっと気になったのですが、無関係な記事を一方的にトラックバックする「読んだもん勝ちBLOG」ってどうなんですかね?
サイト検索してみたら無関係な同じ記事をここの複数の記事に一方的にトラックバックしているようですし。
内容はといえば、とてもこことリンクを結ぶのにふさわしくない電波極まる内容ですし。

なんか一方的に利用されているだけのように見受けられるのですが。
トラックバックの本来の意味からすれば本質的にスパムと変わらないと思うのですが。

投稿: 万打無 | 2006/08/02 18:32

この記事へのコメントは終了しました。

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