訪米する盧武鉉は、今度も豹変するのか?
盧武鉉くんが来月訪米するという。おそらく、有事に際しての韓国軍に対する戦時作戦統制権をめぐる米国との摩擦を解消するためだろう。
2012年までに戦時作戦統制権を返せという韓国に対して、米国は3年も前倒しして2009年に返還すると回答した。
軍事技術的な観点から見れば、2012年の返還でさえ現実的でないとしていた米国が、逆に韓国側の要求より3年も早く返すと言う。
これは、米国の意趣返しなのだが、これに対して盧武鉉くんは「今すぐ返してもらっても何の問題もない」と強がって見せた。
が、強気の盧武鉉くんに対する韓国内の反発は強く、危惧の念も深い。歴代の国防長官や予備役の将軍たちも、こぞって反対している。
果たして盧武鉉くんは、韓国内で口にしている「反米だからどうだと言うのだ」という言葉をブッシュ大統領に向かって吐けるのか。それとも毎度のごとく、太平洋を渡ると、米国のご機嫌を取るような態度に豹変してしまうのか。
私的には、すごく関心がある。
ところで、今回の訪米に関して、朝鮮日報の記者とブッシュ政権の元高官による、笑える質疑応答があるので紹介しよう。
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盧大統領が来月米国を訪問する。クロフォード牧場に招かれない理由は?
「私の個人的な考えでは、盧大統領は(ブッシュ米大統領が所有する)クロフォード牧場に当然招かれなければならないと思う。オーストラリアのジョン・ハワード首相、英国の
トニー・ブレア首相など、クロフォード牧場に招かれた指導者は、過去1年以内に自国で“米国との同盟関係が重要だ”と強調している。この違いが牧場に招かれるかどうかを左右している」
この質疑応答は、朝鮮日報のワシントン特派員とマイケル・グリーン米・戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問・日本部長とのやり取りである。
マイケル・グリーン氏は、元大統領補佐官で国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長だった。つまり、昨年までブッシュ政権の中枢にいた人物なのだ。
ということは、彼の発言は、ブッシュ政権の考えを代弁していると考えてもよい。
クロフォード牧場とは、テキサス州クロフォードにあるブッシュ米大統領の私邸がある
牧場のことである。
ブッシュ大統領が外国の首脳を迎えた時、①テキサス州クロフォードにある私邸で会談する②大統領の公式別荘であるキャンプ・デービッドで会談する③大統領官邸である
ホワイトハウスで会談する、という三段階がある。
これは、端的に言うと、大統領と外国首脳との信頼関係を表している。したがって、クロフォード牧場(私邸)に盧武鉉くんが招待されないということは、それだけ信頼されていないということを意味する。
それどころか盧武鉉くんは、2003年、2005年と2回米国を訪問しているが、いずれもキャンプ・デービッドにも招待してもらえず、会談場所はホワイトハウスだった。
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実は、上記の質疑応答の前段として、以下のようなやり取りがあった。
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現在の韓米同盟についてどう評価するか?
「表面上では何ら問題はない。イラクへの派兵や韓米FTA(自由貿易協定)などといった面だけ見れば、うまく行っている。しかし韓米同盟に対する韓国政府の姿勢はとても
否定的だ。特に盧武鉉政権は韓米同盟についてとても否定的な発言をしている」
▼
韓国が作戦統制権を単独行使することになれば米軍は撤退するのか?
「ドミノ現象が起きるだろう。米国議会は韓国の反米現象に対して懐疑的なうえ、韓国が作戦統制権を単独行使することになれば、米軍がこれ以上韓国に駐留する必要が
ないと判断するのは明らかだ」
つまり、米国政府は韓国政府に対して、同盟国として強い不信感を抱いている、ブッシュ大統領は盧武鉉くんを信頼していない、そう言っているのだ。
そしてマイケル・グリーン氏は、ブッシュ政権だけではなく、米国議会まで「米軍がこれ以上韓国に駐留する必要がないと判断する」ことになるだろうと警告している。
これも無理はない。
過去のエントリーでも書いたが、盧武鉉くんは、大統領に就任する時、次のような発言をしている。
「弟(韓国)はいつも兄(米国)のカバン持ちをしていた。ところがある日、弟が兄に向かって“自分のカバンなんだから自分で持てよ”と言った。すると、兄はしばらくボーっと
していたが、弟の顔を見て何も言わずにカバンを持ったそうだ。みんな長い間、“反米は損をする”と考えていただけに過ぎないのだ」
また、夫人の父親が朝鮮党員(共産党員)で、朝鮮戦争のとき“反動分子”11人を
虐殺したとの事実が明らかにされると、「それなら妻を捨てろと言うのか」「反米だから
どうだと言うのだ」と、カッコよく啖呵を切って見せた。
にもかかわらず、いざ米国を訪問すると、「北朝鮮をそれほど信頼していない」「北朝鮮の究極的な目的は理解が困難で、目的達成のための手段や方法に同意し難い」「53年前、米国が助けてくれなかったら、私は今ごろ政治犯の収容所にいるかも知れない」
などと、米国受けする発言を連発した。
野党のハンナラ党議員が「訪米を見守りながら、『反米だからどうだと言うのだ』と話していた盧大統領が、いつハンナラ党に入党したのかと思いたくなるほどだった」と皮肉る
くらい親米的だったのである。
ところが、米国政府の目が届かない所に来ると、「北朝鮮が核とミサイルを外部脅威から自国を守るための抑制手段と主張することは、相当な合理性がある」「韓国の国民のうち、米国人よりも親米的な考え方で話をする人がいるということが私は心配で、最も
苦しい」「北東アジア地域のバランサーの役割をする」「駐韓米軍が米国と中国間の
紛争に投入されることに反対」などと米国の神経を逆なでするような発言を平気でする。
そして、ついに、在韓米軍司令官が有している米韓連合軍の戦時作戦統制権のうち、韓国軍についての統制権を2012年までに韓国に返せと要求した。つまり、米韓連合軍司令部は解体し、朝鮮半島有事に際しては韓国軍が主体になる、米軍はその支援に回ればよい、と言い始めたのである。
これでは、クロフォード牧場はおろか、キャンプ・デービッドでさえ招待されないであろう。
それを承知の上で、朝鮮日報も「(盧大統領が)クロフォード牧場に招かれない理由は?」と元・米大統領補佐官に質問し、その否定的反応を大々的に報じる。
どこか、我が国の小泉純一郎首相とメディアとの関係に似たところもあるが、内容的にはまったく逆である。
ちなみに小泉首相は、2001年年6月に初訪米した時、キャンプ・デービッドに招待された。このときが小泉・ブッシュの初顔合わせであったことを考えると、これは小泉首相への信頼というより、 米国が日本を同盟国として重要視していることの表れだったと思う。
実は、このとき、キャンプ・デービッドでの日米首脳会談を裏で演出したのが、当時、
大統領補佐官だったマイケル・グリーン氏なのである。彼は、5年以上にわたり、日本において国会スタッフ、あるいはジャーナリストやコンサルタントとして活躍した経験がある。
その後、小泉首相は2003年5月にはクロフォード牧場に招待され、今年6月には米大統領専用機「エアフォース・ワン」にブッシュ大統領と同乗し、テネシー州メンフィスにあるエルビス・プレスリーの生家を訪問した。
これらの事実は、同盟国として重要視しているという段階を超えて、既に首脳同士の
個人的信頼関係が強固なものになったことの証明であろう。
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外交は国家相互の関係である。そこには、敵対国、非友好国、友好国、同盟国など、色々な国家が存在する。
韓国と米国は、本来は同盟国の関係にある。そこでは国家相互の関係だけではなく、国家の指導者相互の信頼関係も極めて重要視される。
今の米韓関係は、指導者相互の信頼関係は完全に崩壊しており、それは国家相互の関係にまで悪影響を及ぼしている。まさに、盧武鉉くんと、その政権が、米韓同盟を
崩壊寸前にまで追い込んでいるのだ。
韓国が、今の道をこのまま進めば、その先に待っているのは国家・社会の混乱と崩壊の危機であろう。
この政権は、あと1年半も続く。たとえ支持率が20%以下であっても、盧武鉉くんがクビになることはない。
さすがに韓国民も、この大統領を見限り始めたようだが、欠陥商品を国家の指導者に
選んだことの見返りは余りにも大きすぎるようだ。
おそらく盧武鉉くんがもたらした負の遺産を解消するには、彼が君臨したのと同じだけの時間を要するのではないか。
参照1:なぜ訪米する盧大統領はクロフォード牧場に招待されないの? (朝鮮日報)
参照2:「大統領府の反米感情が韓米同盟を傷つけている」 (朝鮮日報)
参照3:【韓米首脳会談】盧大統領の対北観変わったか (朝鮮日報)
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コメント
>この(盧武鉉)政権は、あと1年半も続く。たとえ支持率が20%以下であっても、盧武鉉くんがクビになることはない。
朝鮮日報の社説は、大統領閣下!頼むから、米韓関係を壊滅的な破壊までは進めないで!と、懇願していますね・・・・大統領制と真性バカの組み合わせが招いた国家的悲劇というか、喜劇というのか・・・ん・・・?
>現政権はこの3年半の間に韓米関係を根本から揺るがした。だが少なくとも、次の政権が修復を試みることのできる余地だけは残して任期を終えてほしい。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/08/17/20060817000003.html
投稿: 疑問符 | 2006/08/18 00:07
盧武鉉大統領はタイタニックの船長の様である。但し、タイタニックが沈む頃は船長ではない。氷山にぶつかる様な航路を選んだのにその責任を取らない可能性が高い。正しく亡国の大統領。しかし、この方を選んだのは国民なのだ。最終的には国民がその責任を取らなくてはならない。此処に至っても、弾劾もクーデターの兆候も無いのは如何した事なのか? 何もしないと座して死を待つ事になるのだが。
投稿: 青雲空 | 2006/08/18 01:30
マスコミの報道問題に関して、TBSに抗議するデモを行います。
【スケジュール】 8月20日(日) 16:30集合→17:00集会開始→17:30デモ出発→18:30デモ終了解散
【集合・集会場所】 宮下公園(東京都渋谷区神宮前6-20-10 渋谷駅東口から徒歩3分)
地図 http://www.enjoytokyo.jp/NT002Map.html?SPOT_ID=l_00002000 フットサルAコート南側(駅側)広場
【デモコース】 宮下公園→公園通りやスクランブル交差点など渋谷市街を行進→宮下公園内中央口にて解散
・集会途中、デモ途中からの飛び入り・離脱も大歓迎
・ただ出来れば事前(前日まで)に参加希望の方は下記メールアドレスに参加意思を知らせてください。(HNでいいです)
主催者連絡用メール info@powup.jp (注:主催者はデモ当日はメールチェック出来ません)
★ボランティアで当日の誘導、警備、掛け声、ビラ配布などのお手伝いをしてくださる方も求めています。★
お手伝いいただける方は、上記メールアドレスや下記OFFスレッドにてお知らせください。質問にも答えます。
その他デモについての詳細は下記スレをご覧になってください(馴れ合い→大規模OFF板)
【デモ決定】TBS放送免許剥奪を求める署名OFF22
http://off3.2ch.net/test/read.cgi/offmatrix/1155827685/
投稿: ご連絡 | 2006/08/18 06:41
不思議なのは、このような事態になっても大統領の弾劾をハンナラ党が推進しないことだ。今回なら勝てると思うのに前回の失敗に懲りているのか。1年半待てば政権が奪えると言う判断をしているかもしれないが、その間に国家が修復不能なほどガタガタになっては意味がないだろう。
こういう国家的な危機に有効な対抗勢力がなく内輪もめするだけの韓国というのは、歴史的に見てこの国の国民性か?
投稿: hokuto | 2006/08/18 09:24
ろぶげん大統領閣下
貴国の生存にとって無くてはならない同盟国の一つ(もう一つ貴殿の理不尽な暴挙暴言にもかかわらず、忍耐強く友好関係を維持している国があります)の信頼をつなぎ止めておきたかったら、ワシントンへいったら真っ先にアーリントンを訪れ、北鮮の侵略から貴国を護るために命をなげうった3万7千余の将兵の墓碑の前に跪くことです。
投稿: H.H生 | 2006/08/18 12:02
盧武鉉劇場と言えますね。(笑
ただ、小泉劇場は、自国民だけでなく、他の国の人さえもいろんな意味で魅了するものに対して、盧武鉉劇場は、他国の人々どころか、自国民さえ呆れて見る気が失せてしまうほどのお粗末なものという違いがありますが・・・・。(笑
今、彼は、自分の作った舞台で一生懸命演じています。
すばらしき大統領という役を・・・。
ただ、残念なことは、だれもそれを見たくないと思っていることでしょうね。(笑
きっと、誰もが思っていることでしょう。
こんなつまらないものさっさと終わらないかなと・・。(笑
投稿: Asid | 2006/08/18 14:13
今回の訪米はヤバイでしょ・・北朝鮮は核実験しようとしてますし・・そこに食糧支援してますからね・・
投稿: ゼーゼマン榊 | 2006/08/18 15:05