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2006/09/02

安倍晋三が出馬表明

安倍晋三官房長官が、昨日、自民党総裁選への出馬を表明した。
メディアは、昨日の夕方から今朝にかけてこの話題で持ち切りだった。今日の新聞各紙も、すべてが一面トップで大々的に報じている。
今朝のフジテレビの番組だったと思うが、谷垣禎一財務相や麻生太郎外相の時と比べて、今日の朝刊に占める安倍出馬を扱う記事の割合が2倍近く大きいのだそうだ。
まあ、それだけ、メディアも安倍氏が総理・総裁になるのは間違いないと思っているのであろうが、少々不公平ではないかと思わないでもない。

Abe4
















安倍氏の発表した政権構想は、やや総花的で具体的方法論に欠ける。だから、現時点で突っ込んだ評価をするのはむつかしい。
が、政権構想やその後のテレビ番組での発言を聴いていると、安倍氏の理念やその
目指すところはおおよそ解る。
以下、それを私なりにまとめてみた。

①首相官邸主導の政治
②日本の伝統的価値観の重視
③戦後体制(レジーム)からの脱却
④主張する外交
⑤歳出削減と経済成長促進による財政再建
⑥再挑戦できる社会的システムの構築

①について言えば、小泉内閣で確立された首相官邸主導型の政治を、さらに進化させるということだ。
目玉は、官邸の外交・安全保障に関する司令塔機能をさらに強化すること(日本版「国家安全保障会議(NSC)」の創設)と情報収集機能を充実させることである。
これは、激動する現在の国際情勢に、効果的に即応していくためには不可欠なものと考える。

②は、日本の文化・伝統・自然・歴史を大切にする、家族の価値や地域の絆を再生させるということだ。
教育の抜本的改革(基礎学力の向上、規範意識の涵養)と教育基本法の改正(愛国心、公共精神の涵養)、民間の自律(自由と規律)と過度の公的援助依存体質からの脱却なども、この考え方の反映であろう。
これも、現代社会のモラルハザードを目の当たりにすれば喫緊の課題であると思う。が、心や道徳の問題は、家庭教育に負うところも大きいから、その辺をどうするのかと
いう課題は残る。

③は何と言っても憲法改正である。
21世紀の国家像にふさわしい新憲法の制定について、政権構想の最初と最後で二度も言及している。
もう一つは、国際社会に対して、国力に見合った負担と貢献を、目に見える形で推進するということだ。その象徴として国連安保理常任理事国入りを目標に掲げている。

④は③とも関連するのだが、まず日米同盟の強化と片務性の解消を挙げている。つまり、日本が米国を必要とする今の関係を、米国も日本を必要とする双務的関係にまで
高めるということだ。
そのためには、憲法の改正を待つのではなく、現時点での集団的自衛権行使の可能性を、個別的・具体的に検討するとしている。
また、アジア諸国との強固な連帯関係を構築し、近隣の中国や韓国とは信頼関係を
強化する。が、一方で、オーストラリアやインドなどの、自由と民主主義という価値観を共有する国家との関係を深め、米欧とも連携して「自由な社会の輪」を広げることも目標にしている。

③と④をまとめて表現すると、「外国が作ったルールや土俵の中でいい相撲をとって
ほめてもらおうという姿ではなく、日本もルール作りに参加し、貢献する外交を展開する」ということである。
これらは、日本の安全保障、国家の将来を考えれば、当然すぎるほど当然の主張、
方向性であると言える。

⑤は、今の日本が背負っている国家的課題である財政再建に対するアプローチの方法である。財政再建は、まず歳出の削減(国債発行額の縮小や公務員改革)と経済成長による税収増によって進める。消費税などの増税は、その次の段階で考えるべきというものだ。
これは、考え方としては正しいと思う。ただ、経済成長のキーワードとして、イノベーション(技術革新)とオープン(開かれた経済社会)を挙げているが、これについては、今の段階では何とも言えない。

なお、小泉純一郎首相のキャッチフレーズは「改革なくして成長なし」だったが、安倍氏のそれは「成長なくして財政再建なし」である。

⑥は、「小泉改革」で生じたひずみを是正するということだ。
一つは、既にスタートしている「再チャレンジ」、「勝ち組、負け組が固定しない社会」のシステムを構築するということである。が、これは社会システムの問題だけではなく、
個人のモチベーションも絡む問題であるから一朝一夕には機能しないだろう。
それよりも、女性や高齢者の積極的雇用促進やその支援を打ち出しているが、こちらの方が、より早くて効果的な社会の活性化につながると思う。

以上のほかに、地方の活性化や社会保障についても言及しているが、これらは具体論を見ないと何とも言えない。

文化・伝統・自然・歴史を大切にする国。世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのあるオープンな国。これが安倍氏の言う「美しい国、日本。」であるという。
これは、国家のリーダーの持つべき基本理念としては高く評価できる。

安倍総理・総裁の誕生を祈念する。

-------------------------------------------------------------------

ところで、安倍氏の政権構想要旨は以下のとおりである。

政権構想「美しい国、日本。」

【政権の基本的方向性】

 ▽新たな時代を切り開く日本にふさわしい憲法の制定

 ▽開かれた保守主義

 ▽歴史遺産や景観、伝統文化などを大切にする

 ▽家族の価値や地域のあたたかさの再生

 ▽教育の抜本的改革

 ▽民間の自律と、過度の公的援助依存体質からの脱却

 ▽日本の強さを生かした積極的貢献

【具体的政策】

 ▽政治のリーダーシップを確立

 一、政治家を政策決定の責任者として、官邸主導の政治リーダーシップを
    明確化。

 一、21世紀にふさわしい行政機構の抜本改革・再編を行う。

 一、定員削減や能力主義導入など公務員改革を断行。

 ▽自由と規律でオープンな経済社会

 一、小さく効率的な政府の推進。

 一、イノベーション活用で幅広い産業の生産性を向上。

 一、税と金融で中小企業を強力にバックアップ。

 一、誰もがチャレンジ、再チャレンジできる社会の実現。

 一、道州制ビジョンの策定で地方分権、行政スリム化を推進。

 一、財政を確実に健全化。経済成長を前提に歳出改革に優先取り組み。
    消費税負担の在り方など中長期的視点から総合的な税制改革の推進。

 ▽健全で安心できる社会の実現

 一、年金、医療、介護、社会福祉の一体的見直しを実施。

 一、社会保障番号の導入や徴収一元化の検討。

 一、学校、教師の評価制度の導入。

 ▽主張する外交で「強い日本、頼れる日本」

 一、「世界とアジアのための日米同盟」を強化させ、日米双方が「ともに汗をかく」
    体制を確立。

 一、開かれたアジアにおける強固な連帯の確立。中国、韓国など近隣諸国との
    信頼関係の強化。

 一、拉致問題、核・ミサイル問題など北朝鮮問題の解決を目指す。

 一、世界貿易機関(WTO)体制推進と同時に、自由貿易協定(FTA)や経済連携
    協定(EPA)の積極的活用により、アジア太平洋地域での共同体形成を
    強力に推進。

 一、世界において責任ある役割を果たす国になる。人道復興支援、大量破壊兵器
    拡散防止など平和構築への積極貢献と人材育成。

 一、官邸における外交・安全保障の司令塔機能を再編し強化。

 ▽党改革・新たな責任政党のビジョン

 一、候補者選定における公募・予備選挙の活用を徹底。

 ▽「戦後レジーム」から、新たな船出を

 一、21世紀の日本の国家像にふさわしい新たな憲法の制定に向けて取り組む。

 一、国連常任理事国入りを目指す。

参照:安倍氏が正式出馬表明 自民総裁選 (産経新聞)

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政治(国内)」カテゴリの記事

コメント

旧来の所得番付の上位は、言っちゃ悪いですが虚業関係者が大部分だったと思います。これではいわゆる「勝ち組」に敬意が払われなくて当然ですし、そこから強引に新自由主義経済政策批判に結びつける政治主張が一定の支持を得る現状につながっています。虚業者が幅を利かせていたのは小泉政権以前から変わっていないのですが。
しかし安倍氏はこれらの流れと真っ向から対峙しており、技術革新により我々の生活を向上させる者が市場経済の枠組みで対価を得ることによって健全な経済発展の流れをつくろうとするのが安倍氏の主張だと思います。もちろん言うほど簡単な話ではないと思いますが、ぜひ実現して欲しいものです。

投稿: 神戸牛 | 2006/09/02 21:41

日本国を崩壊させる法案が動き始めています。

日本を守る同志のみなさん、

日本国民の言論を弾圧し、日本を中国や韓国の言いなりにしようとする売国政治家達や反日運動家等が成立させようとしている、日本の存亡を左右する法案が再び動き始めているようです。

気をつけましょう。これが通れば日本は完全になくなります。

現在のところ詳しく解説してあるのは下記2ブログです。

http://myuuta.blog32.fc2.com/#entry362


http://myuuta.blog32.fc2.com/blog-entry-364.html


日本を守ろうとしている、同士達へ知らせてください。よろしくお願いします。

投稿: 日本を愛しています。 | 2006/09/03 01:02

いつも有難うございます、拝読させて頂いてます。

安倍氏には強いリーダシップの発揮を期待しています。
ただ今回の総裁選、「勝ち馬にのっとけ」的な派閥・議員が多く見受けられる為、組閣内容によってはその後の運営が危ぶまれます。最悪、足を引っ張られて何もさせてもらえないことに・・・。

こんなこと云っても詮無きことですし失礼承知で云えば、主張が同方向の麻生氏が先に総裁になってワンクッションあった方がよいかもしれませんね。

投稿: 良p | 2006/09/03 13:52

>戦後体制(レジーム)からの脱却

なんですと!日本は未だ戦後なんですか?

谷垣さんのように敗戦の年に生まれた方ですら、もう既に還暦を迎えられ、一般企業ならめでたく定年退職されているというのに(溜息)

歴史オンチの私は今まで自虐的な感覚を以って日本が「敗戦国」だと感じた事はありません。
それどころか、高度成長期以降の「豊かな国日本」に育った私達は、甘やかされて傲慢な大人になっているかもしれないと思います。その事について反省や自戒をする事はあっても、個人的には「日本人である」という理由でアメリカ人やフランス人に対して「引け目」を感じた事はありませんし、韓国人や中国人に「負い目」を感じた事もありません。今でも私は日本に生まれた日本人である事に誇りを持っています。ですから、日本の古い政治家達が自虐的な国策を取る意味がわかりません。

戦後生まれの安倍さんなら「引け目」や「負い目」に縛られずに「主張する外交」を展開できるのではないかと期待しています。

今朝の「サンデープロジェクト」に亀井静香が出演していました。「安倍氏の支持率がだんとつ高い」事に対して、あの方は「国民は政治をファッションくらいにしか思っていない。」という発言をしていました。国民をバカだと思っているのでしょうね。亀井静香センセイのお膝元では支持者(亀井静香が大得意の○○業界)から「悪代官」と呼ばれているのを、ご存知ないのでしょうか?その支持者と言う名の寄生虫からバカにされて利用されていたのはご自分ですよ、お可哀想に…

どうやら亀井「国民新党」は小沢「民主党」と「協力」して政権を取るそうです。やれやれ…

安倍さん、魑魅魍魎達を再び闊歩させないよう、頑張って下さい!

投稿: 妖子 | 2006/09/03 15:01

「美しい日本」、ぶれないで21世紀の日本を語り、理想に向かい大きく羽ばたいて欲しい。
一言、一言区切りながらの氏のコメントを心強く感じながら聞いております、戦後の総理にに感じなかった新しい空気を感じるのです。

憲法改正、大事な教育改革、政治主導の外交、米国との相対同盟、安全な国の形を見せる事で日本は大きくも成り、元々美しい国が立ち直るのは必然の事、戦後に政治家が清算すべき問題を引き伸ばして誤解を与え、隙を与え、自ら作り出した自虐史観を持つ無能な人は之を機にお引取り願いたい。
前回はNs氏、Mi氏、No氏、Na氏が削除?されました、今回もK,K,K,K,Y氏等は自民党から消えて欲しいものです。

岸信介、佐藤栄作氏共に好きな政治家でした、刺されても怯まない岸氏、マスコミをたたき出した佐藤氏、小泉さんも戦うのを好みました。政治が外交、国防をしっかりすれば、経済などはついてきます、小沢氏の出る隙を作ってはいけません。
小沢氏が出れば日本は元の木阿弥、村山政権以上の訳の判らない国に変貌するでしょうから、安倍さんには長期政権を維持させ新しい国作りを任せたい。人事も「適材適所」で。


投稿: 猪 | 2006/09/03 16:16

管理人様も書かれていますが、安倍氏のお話は抽象的でいまひとつわかりづらいですね。(苦笑)
自民党の党大会が各地で行われていますが、総裁候補各氏の演説を聞いてみると、お話の面白さ・わかりやすさでは、麻生氏>谷垣氏(靖国・中韓関係以外)>安倍氏という感じがしました。

安倍氏の目指す方向には賛同しますし、近い将来、安倍氏が総理になることに何の異存もないのですが、麻生氏が総理になっても面白いだろうなぁ…という想いは捨てきれずにおります。(笑)

投稿: わか | 2006/09/04 12:45

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