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2006/09/25

中国に民主主義を押し付けてはならない

中国共産党(中共)と中国政府は、最近、中国人海外旅行者のマナー違反の代表例をまとめ、「礼儀の国のイメージ」を守るための提言を出した。

提言は、マナー違反の代表例として、所かまわず痰(たん)を吐き、手鼻をかみ、たばこを吸う。大声をあげる。先を争って乗り物に乗り、列に割り込む。シャツやズボンのすそをめくり上げる―といった国内では日常的な光景のほか、外国人と強引に記念撮影する、バイキング式の食事で取りすぎて残す、ホテル備品を持ち帰る、などもヤリ玉に挙げている。

北京市でも、2008年の五輪を控え、今年の3月から「文化水準向上キャンペーン」が
展開されている。これも、五輪に際し、北京を訪れる外国人観光客に「礼儀の国のイメージ」を植えつけるのが狙いである。

しかし、これらの、中国人の行儀の悪さ、公共道徳の欠如は、中国の歴史的経緯によるもので、したがって「公共精神が育つとは考えにくい」という主旨のことを、北京在住のサーチナ・サポーターである岡崎英遠氏が書いている。
岡崎氏の論旨は、痰吐き規制から中国における公共性の歴史を考察 (2006/09/24)を読んでもらいたい。

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私が、今回、あえて中国人の社会的マナーの悪さを取り上げたのは、別に中国人を
バカにするためではない。中国人にも礼儀正しい人間はいる。
私が、かつて賃貸マンションに住んでいたとき、隣に中国人の家族(主人はIT関連の
技術者)が住んでいたが、愛想もよく、マンションの規則もきちんと守っていた。
また、私の中国語教師の劉先生は、品の良い紳士だった(なお、私は、不真面目だったため中国語はダメです)。

つまり、個々人としては立派な人間もいるが、社会総体として見ると、中国人は公共
道徳に欠ける面が多いと言ってよいのではないか。

ここで何が言いたいかというと、今の中国に、我が国や欧米のような民主主義を求めても無理ではないかということだ。むしろ、中国の安定のためには、中共による社会的
統制と強権支配の方がむいている、そう思うのである。

次の記事を読んでもらいたい。


【北京24日共同】中国重慶市の公安当局が地元の有力企業家128人に対し、警備や
捜査の面で一般市民より優遇する「特権待遇」を与えていたことが分かった。重慶日報(電子版)が24日までに伝えた。

公安当局は128人を対象とした「著名企業家を保護するための連絡事務所」を開設。
これらの企業家から警察に助けを求める通報が入った場合は「即座に現場に急行し、事件解決に当たる」(同紙)としており、一般市民とは別扱いする方針を明確に示した。

急速な経済成長で貧富の格差が広がる中、地方政府、党機関と密接な関係を持つ
資産家を厚遇することが公安当局にとって有利と判断したためとみられるが、新華社電は「富を愛し、貧しさを嫌うような態度はおかしい」と批判している。

企業家128人に特権待遇・中国重慶の公安当局 (日本経済新聞)

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重慶市といえば省と同格の直轄市、つまり我が国における大阪市や横浜市などの政令指定都市に相当する。この、中国の代表的な都市の警察(公安)が、128人の金持ち(資本家)を特別扱いし、専用の連絡事務所まで設ける。
まさに、これが、中共が支配する中国社会の実態なのである。「富を愛し、貧しさを嫌うような態度」、中共が標榜する共産主義の象徴としてピッタリの例ではないか。

まあ、それだけ治安が悪く、資産家が狙われる恐れが高いということでもあるのだろうが、治安当局がこんな調子では、「平等」などという考えは、雲の上の存在である。

これまでも、今の中国で、農民や出稼ぎ者(民工)がいかに差別され、ひどい目に遭っているかを書いてきたが、行政・治安当局が貧富によって、これほどまでに市民を差別しているとは思わなかった。
こういう例を見ると、中国政府及び中共が、今まで以上にメディアに対する統制を強め、その規制が外国通信社にまで及び始めたことの理由がよく解る。
ここにおいては、法の下(もと)での平等とか基本的人権とかは、まったく無縁である。

その事実を社会的に知らしめたくない、党幹部や行政官僚や一部資産家の特権階級ぶり、腐敗のひどさをあからさまにしたくない、それが中国政府と中共の本音であろう。
このような権力者と統治機構の腐敗堕落、そして前述したような中国人民の公共精神の欠如。
以上を併せ考えると、こんな国に民主主義を求めても、どだい無理な話なのである。

やはり、今の中国には中共による強権支配がふさわしい。政治的、社会的、経済的
矛盾が、今以上に深刻化すれば、やがて体制的危機に直面し、社会は根底から揺さ
ぶられることになるかもしれない。
その先には分裂と未曾有の混乱が待ち受けている可能性も高い。が、それは、中国人民自身が甘受し、中国人民自身で克服していくしかない。

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結論的に言えば、中国にはこれ以上深入りするべきではない。あえて敵対する必要はないが、懇意にする必然性もない。この国との付き合い方を間違えると、大火傷を負う可能性が高い。敬して遠ざける、これが最上の方法ではないか。

注:「敬して遠ざける」とは
「論語(雍也)」による。孔子が、鬼神は遠くからうやまうもので、なれなれしく近付くものではないと言ったことから、うやまって近寄らないふりをして、実は嫌い避ける。敬遠する、
の意味。(大辞林)

参照:中国人よ、礼儀守れ…海外旅行急増で共産党が提言 (讀賣新聞)

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【追記】
 中川昭一 政調会長就任!

【追記2】
民主党の小沢一郎代表(64)が、今日の臨時党大会で再選された。が、体調不良を訴え、大会終了後の記者会見をキャンセルして、そのまま都内の病院に緊急入院。
民主党は、短期間の検査入院としているが、テレビの映像を見る限りでは、かなりひどそうだった。

民主党の言うような、単なる風邪とは思えない。なぜなら、明日は内閣総理大臣指名選挙の日であり、小沢氏も候補者の一人だからである。多少の発熱程度であれば、常識的には入院などしないはずだ。

大事に至らないことを祈念する。

それにしても、民主党のめぐり合わせの悪さは、どうしたことだろう・・・

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中国(政治)」カテゴリの記事

コメント

 中国国家環境総局核安全センター研究員の李旭丹彡さんという方が日本政府に亡命申請してるようですよ。何でも法倫功をやっていたそうで、中国政府の迫害を逃れるために、9月10日の学術交流会で来日した機会を利用して亡命を訴えているらしい。
 法倫功のことはよく知りません。でも、気にくわない宗教の信者だからって生きたまんま内臓取られちゃたまんないね。国連でそういう報告がなされて中国側が猛反発したらしいけれど。何とも酷い話だね。李さんのような亡命者が増えるんでしょうね、これから。

>結論的に言えば、中国にはこれ以上深入りするべきではない。

 賛成。心からそうしたい。ただ、向こうがほっといてくれるかどうか。心配。

投稿: duzhe | 2006/09/25 17:58

中川昭一氏、良かったですね。

先日、岡田 英弘 著 「この厄介な国、中国」を読みました。

これだけで中国の全てを判断する訳にはいきませんが、つくづく中国が日本と異質な国、全く違う歴史とメンタリティを持つ国なのだという事が理解できました。

以前は脱亜入欧という言葉に抵抗を感じましたが、日本は中国韓国より欧米に近いのではと感じるようになっています。

投稿: おれんじ | 2006/09/25 21:28

全くの同感です。海を隔てた隣の国の感覚で付き合うと、とんだ目になります。ヨイショされていることにも、気づかずおだてられ、日中友好を叫んでいるアホども、死ぬまで気づかないだろうが、シナを、直視してもらいたいものです。言ってもダメだろうが。

投稿: からす | 2006/09/25 21:29

<結論的に言えば、中国にはこれ以上深入りするべきではない。あえて敵対する必要はないが、懇意にする必然性もない。この国との付き合い方を間違えると、大火傷を負う可能性が高い。敬して遠ざける、これが最上の方法ではないか。>

笑ってしまったが、その通りかもしれません。「敬して遠ざける」とは至言。

投稿: KappNets | 2006/09/25 21:30

「国に民主主義を求めても、どだい無理・・・強権支配がふさわしい。」
そのとおりですね、仮に政治体制だけ民主化しても中身はやはり人治社会であり続け、官民差別や貧富差別が続くと思います。
民主主義は、「どんな社会的立場にあろうと、根本的に人間は平等である」と思う人たちが、ある程度以上の割合で存在するようになったときに初めて実現するものです。どんなに社会的立場が高かろうが、法の下には裁かれるということを大多数の人たちが信じることのできる社会体制ができないと成り立たないのです。普通、こういった法治社会の確立には数世紀かかります。

投稿: 四文字 | 2006/09/25 22:37

「押し付ける」って表現が詐欺っぽいですよ。つまり左翼臭ただよう言い換え表現です。「はじめからあり得ない幻想を前提として措定し、そこを後ろから叩く」これが左翼が戦後以来ずっとやってきたことですよ。今回の立論方式はそれと同じではないでしょうか。中共と日本の中共シンパはこんな援護射撃があって大喜びでしょうよ。

少なくとも今現在日本人一般が「理念」を他国におしつけるような振る舞いにでる兆候があるでしょうか。「そのような勇気はヨーロッパ人にもない。それを持っているのはアメリカ人しかいない」と司馬遼太郎も昔どこかで書いていましたが(「蛮勇だ」と書き添えてましたが)、ほんとにそうでしょうよ。

明治維新時の日本の民主主義が欧米諸国にどのようにみられていたか思い出してみるといいですよ。それに「集団主義」というと即日本人的というような反応がいまでは出てくるでしょうが(それも近代教育の結果ですよ)、「日本人は集団行動ができない」と近代軍創設の目的のために幕末時に日本に教官としてやってきた外国の軍人は嘆いていたではないですか。しかし今ではどうです。

たくさんの「ステレオタイプな日本人観」がその後、現代人の意識のなかに深くもぐり込んでしまっているじゃないですか。自国民に対してさえステレオタイプでしか思考できないのが「現代日本〈知識人〉の実態」なら、外国人に対してならなおさらそうでしょうよ。

日本人は「中国が民主主義国家に脱皮することを期待すればいい」のであって、そして実際多くの人々が実際にそうしております。どうも今回のエントリーには、「中国は今のままの方が日本の国益にあう」という不可思議なことを言う自称保守派論客の影響力をかなり受けておられるようです。

もし人権の面で助けてほしいという中国人がいたら、国際社会の常識の中、われわれにできる範囲で当然助けてやればいいです。それとも「ベトナム人やミャンマー人は歴史的に中国人と公共心が異なっているから、彼らには可能性がある。彼らならば、〈われわれが〉民主主義を〈押し付けて〉もよい」とでもいいたいのでしょうか。そもそも「押し付ける」などとそんな「不遜なこと」を考えている日本人なんぞ初めからいませんよ。いったい「現代日本人の政治的振る舞いの〈どのような現実〉」をたたきたくて今回のエントリーを思いついたんでしょうか。

ほんとにそんなふうに思考しているとするなら、なんという思い上がりな人間だろうかということですよ。ほんとに保守なんですか?

投稿: ムーンライダース | 2006/09/25 23:50

ちと、蛇足ぎみですが一言いいますと、「民主主義」
なるものは基本的に欧州以外の国や民族にとっては
「押し付け」られてきたものですよ?なぜならこれは
キリスト教による文化と血の闘争により「結果」として
生み出されたものだからです。これが日本に定着したのは
たまたま日本文化の中に似たような概念があったためで
世界中の人間がそうなれるというのはある種の「過信」
じゃないかと最近は思います、悲しいですけどね。

法輪功の問題ですが、以前読んだ物に分かりやすい
解説がありました。ようするに超規制社会に起こりやすい
現象なのです、日本のお役所に代表されるように規制とは
縦割りになりやすいもの、所が宗教とは基本的に神の元に
平等を謳うものです。信者の集会では様々な立場の人が
立場を忘れて対等に振舞うわけです、自然とそれは日々の
不満や愚痴など言い合いが多くなるでしょう、人民の
ガス抜きで終わる間は良いでしょうが、団体の規模が大きく
なれば、近所の村の話が隣の省、中国全土、実は外国は・・
という話になり、原始的なインターネットになってしまうのです、
中共政府が躍起になって規制(弾圧)するのも明白
ではないですか、日本にも加賀一向一揆の例がありますからね。

投稿: 通りすがり | 2006/09/26 03:52

ムーンライダースさん

>つまり左翼臭ただよう言い換え表現です。

元は極左だった方ですから徹底的に保守的な意見を
求めるのは如何かと。サヨクと左翼の区別はつけられたし。
極右に左翼的発言を求めるが如しです。

投稿: abusan | 2006/09/26 06:08

>今の中国に、我が国や欧米のような民主主義を求めても無理ではないかということだ。むしろ、中国の安定のためには、中共による社会的統制と強権支配の方がむいている、そう思うのである。

このエントリーの文意を読めば、この言葉どおりに受け取る人はいないだろうと思っていたが、「ムーンライダース」さんのコメントを見て、私の思い違いに気が付いた。私の理解は一面的かなと。

これを「中共と日本の中共シンパはこんな援護射撃があって大喜びでしょうよ。」と理解される方がおられるとすれば、書かれた「坂さん」もびっくりでしょう。中国(というより中国政府)のあり方や日本(世界)に対する対処の仕方に対して、日本人がずっと感じている戸惑い、怒り、反発、憐憫、同情、むなしさ等々を、こうした表現に込めたものであって、中国の実態を見れば、居丈高に、あるいは、短兵急に中国の公共性のなさや非民主性を非難しても無理ではないかという、皮肉を込めた表現だと私は理解したのですが。

「ムーンライダース」さん、批判する訳ではないんですが、「ある言葉、ある表現」に対する過剰反応ではないですか。抑圧された中国国民の悲鳴は世界中に充ち、知らない人がいないくらいなのに、中国の経済力、横暴さの前にだんまりを決め込んでいるのは日本が一番です。「ムーンライダース」さんが言われるような、

>もし人権の面で助けてほしいという中国人がいたら、国際社会の常識の中、われわれにできる範囲で当然助けてやればいいです。

というレベルは、はるかに超えた悲惨さでしょう。だから私は、「坂さん」がブログでの過激な表現で啓蒙し、私たち無力な日本人は、それを見て「うさを晴らしている」のだと思っているのですが。

投稿: 田舎のダンディ | 2006/09/26 07:21

おはようございます。


ムーンライダースさん、あなたはこのエントリーの主旨を誤解されているか曲解されているかの、どちらかですね。

>少なくとも今現在日本人一般が「理念」を他国におしつけるような振る舞いにでる兆候があるでしょうか。

私の書いていることは、ある意味、逆説的なもの。
言いたいことは、結論で書いた「敬して遠ざける」ということです。

「中国に民主主義を押し付けてはならない」というのは、中国に民主化は不可能という意味です。
過去の膨大な「中国崩壊シリーズ」をお読みになっていれば、こういう誤解・曲解はないのでしょうが、読み方が皮相的にすぎます。

左翼は、今の中国を過渡的な体制と捉えており、このまま成長すれば、やがて「小康社会」が実現し、漸進的な民主化が進む、だから中国は擁護すべきであるという発想ですね。
私は、そうは思いません。
今の中共体制がこのまま進行すれば、やがて崩壊・分裂すると見ています。
その後に起こるのは大混乱で、部分的には民主化される地域も出てくる可能性はありますが、多くは無理でしょう。
ソ連の崩壊と、その後を見れば、いくらかは解ります。
もっともロシアと中国は違うので、同じ過程をたどるとは言い切れませんがね(中国の方がもっとひどいと思う)。

>日本人は「中国が民主主義国家に脱皮することを期待すればいい」のであって

これこそ、日本のリベラルや左翼の願望であり、言い換えれば「押し付け」がましい発想です。
実際に「押し付けるのは」米国の伝統的リベラルやその裏返しとしての「ネオコン」です。
「ネオコン」が、レーガンが登場する以前は、民主党だったのはご存知ですか?
私は、「中国が民主主義国家に脱皮することを期待」する以前に、そんなことは無理だと言っているのです。

>「中国は今のままの方が日本の国益にあう」

私はそう思います。
今、中国が民主化に動いたら、体制は崩壊・分裂し、日本の投資は大打撃を受け、大量の難民が発生するでしょう。
今の中国が民主化されるとは100%と思いませんが、体制が崩壊・分裂する前に日本は手を引くべきだ(少なくとも、もっとリスクを考えるべきだ)と言っているのです。
「敬して遠ざける」、これが最上です。

>自称保守派論客の影響力をかなり受けておられるようです。

「自称保守派論客」?
誰のことでしょう???
私は、特に誰にも影響を受けておりませんが。
そもそも「保守派論客」なる言葉を信用しておりませんし、本も読んだことはありません。
だから、「保守派論客」なる人の批評もしたことがありません。
(そもそも「保守派論客」ってマスコミ用語(レッテル)でしょう!)

>それとも「ベトナム人やミャンマー人は歴史的に中国人と公共心が異なっているから、彼らには可能性がある。

これも、なかなか難しいでしょう。
特にミャンマーはね。
私のエントリーを読んでそう感じませんか?
感じなかったとしたら、あなたは、かなり「鈍い」方です。

どこから
>民主主義を〈押し付けて〉もよい」とでもいいたいのでしょうか。<
などと読み取れるのですか???
理解不能な論法ですな。

それから、あなたの文章は、言っていることにかなり自己矛盾が含まれています。
まず、自らの主張の検証をお勧めします。


通りすがりさん、仰っていることよく解ります。

>世界中の人間がそうなれるというのはある種の「過信」
じゃないかと最近は思います、悲しいですけどね。

私は、ずいぶん以前からそう思っています。
特に今のイラクや、世俗革命後のアラブ(エジプト、シリア、アルジェリア等々)、ソ連崩壊後の中央アジア諸国を見ていると、その感をより強くします。
逆説的な意味で、イラクの一般民衆は、フセインの時代を懐かしんでいるのではないですかね。

投稿: 坂 眞 | 2006/09/26 08:31

私にはコラムの筆者は中国の将来に期待を抱くあまり、最近の中国の「逆コース」を嘆じておられるのだと思います。

第二次天安門事件で趙紫陽がみせた良識が、中共指導部のものとなっていれば、中国の民主化は素晴らしい展開をみせていたでしょう。

しかし、当時政権維持だけが目的だった指導層が、趙紫陽を軟禁し民主化のうねりを武力制圧したのです。

もっとも、当時趙紫陽路線をとったとしても、守旧派による抵抗は大混乱をもたらした可能性は否定できません。

現在国家主席と党総書記を兼務する胡錦涛は、趙紫陽の盟友胡耀邦の薫陶を受けています。胡錦涛は中国経済が市場経済化すれば、政治形態も民主化に向かわざるを得ないということは理解していると思います。

ただ、政治体制の現状維持で得るところの多い特権階級の抵抗もすさまじいものがあります。あれやこれやで、中国に対して愛想を尽かしたくなるということを坂さんはいいたいのだと思います。

投稿: H.H生 | 2006/09/26 08:42

坂眞様>
>逆説的な意味で、イラクの一般民衆は、フセインの時代を懐かしんでいるのではないですかね。

クルド人やシーア派の庶民は全くそう思ってないでしょう。

そもそも[ある民族に民主化が可能かどうか?」という問い自体が怪しいのではないでしょうか?
むしろ歴史的に
「強い支配力を持った政府(王権)が長期間存在した」
「法令の浸透度(実施範囲)が高かった」
「温帯にあり農業生産性が比較的高い」
「強大な宗教勢力が排除されている」
という特徴を備えた地域のみ健全な民主的政治体制が可能なのでは、と愚考いたします。むろん種苗としての啓蒙思想が必須である事は言を待ちません。

つまりある国、ある地域で上の諸条件がどの程度存在するかに「民主化可能性度数」は依存していると思います。
となると、中国の民主化というのは「ものすごくハードルが高い」とは思えません。

やっかいなのは中国共産党が「何百万人殺しても平気」だということでしょう。これは全ての共産主義について言える事でありますが。

投稿: ぺパロニ | 2006/09/26 09:19

>ペパロニ様
民主的政治体制の実現に関する御意見、基本的には賛成致しますが、実際に中共に当てはめるとすると、

「強い支配力を持った政府(王権)が長期間存在した」
問題は易姓革命の常として、前政府(王権)が否定される事で、国家としての認識が居留する住民に定着しているか?

「法令の浸透度(実施範囲)が高かった」
法令は歴史的に見ればそれこそ実施範囲は広く整備されていますが、が、国民(住民)レベルで浸透しているかという点で疑問です。まぁ法治<<人治ではないでしょうか。さすれば共同体(国家としての)の一員としての認識は低いのではなかろうかと。

「温帯にあり農業生産性が比較的高い」
人口集中を可能とする余剰生産能力を持つ土地は広い範囲にわたり散在するので、日本人が考える国と地方の感覚では推し量れないのではないでしょうか? 端的に言うと砂漠化しつつある国土を持った国は再生が可能か否か(例 エジプト文明)

「強大な宗教勢力が排除されている」
共産党が最大にして唯一の宗教勢力です。

民主的政治体制に必須なものとしては共同体としての認識を持った上で尚、個々の差異を容認しうる事を国民(大多数)のレベルで実現しないと難しいのではないかと。
 そういった意味では現在の中共も立派な「中華帝国」で王朝の替わりに共産党が君臨しているので、「中国の民主化」は中華人民共和国において実現される可能性は「すんごく高いハードル」ではないかと考える次第です。

投稿: パリ リュパン | 2006/09/26 10:31

「種苗としての啓蒙思想」が浸透していなければ、いくら強権でも「文化水準向上キャンペーン」はあくまで「キャンペーン」であって建前倒れになる。民度が砂のように低ければ民主主義が育たない。せめて強権を持つ指導者層が道徳観の模範者として永く在り続けて伝染的に民度を上げて行かねば、民主主義は育たない。既に中共の指導者層は完全に腐敗し、内訌があからさまになって来た。もう民主主義など土台無理で、また聞く耳を持たない。昨年、中国は開放政策の終焉は後15年と報じたらしい。このままだと中国内に本当の革命が起るから、技術と民族資本を西側から横取りした後に、一党独裁の中華帝国に後戻りするのを夢見ているだろう。

投稿: ぷく | 2006/09/26 11:13

ペパロニさま
 米国では、中国の民主化が可能か?という問いかけを大統領候補によくしています。かって立候補した大富豪ペロー氏が「我々は日本を民主化することに成功した。だから中国も民主化可能だ。」と答えていました。イラクの民主化の時もブッシュ氏が日本の民主化が引き合いにだしたと記憶しています。米国にとって日本は「民主化」の成功例のようです。

 しかし日本は第二次世界大戦以前にも議会を持ち、まがりなりにも選挙がある民主的な国家でした。すなわち米国の指導を受けて民主化したのではなく、もともと民主的な国だったのではないでしょうか。それに比べてたとえばイラクは多民族の部族社会で、これから国家崩壊さえ心配されています。もともと民主的な国家ではなかったわけです。中国人曰く、中国人は「アジア人」ではないそうです。彼らは「中国人」であり、常に日本を含む東南アジア人を蔑視しているように思えます。これはかって唐などがアジアを支配した歴史の古さによるものでしょう。しかし、長い歴史を誇る中国において選挙や言論の自由のある民主主義的な国家運営というものが、成立したことがあるのでしょうか。ないとすれば、

>中国の民主化というのは「ものすごくハードルが高い」とは思えません。 とは思えないのですが。

 それより中国は民主主義になるどころか、あと数年で軍備は世界最高水準になります。チベット、ブータン、朝鮮半島を属国化し、カンボジアやタイ、ベトナム、ラオスに強い政治的影響力を与えているかもしれません。戦術核を持ち日本や自国民への使用もためらわない国として扱うべきです。すなわち自動車鋼板製造技術などの高度な技術は与えるべきではありません。いずれ日本に上陸する船や戦車に応用される可能性があると思いますので。
 管理人さんの意見が正しいと思います。

投稿: 普通の国民 | 2006/09/26 11:18

>中国共産党が「何百万人殺しても平気」だ

 ペパロニさんのこの言葉で思い出したんだけど、先日北京で仕事をしていた時に、中国の同僚が「中国では死刑囚から臓器を取るんで、臓器移植が簡単に出来るんですよ」と自慢していたのを思い出しました。
 苦笑いしながら「それって自慢になるんかい?」って答えましたが、話がかみ合いませんでしたね。
 何でも上海の陳良宇書記が汚職だか何だかの口実で蹴落とされましたが、経済犯罪で死刑になる国ですから、場合によれば彼の臓器も移植にまわされるのかな?一般死刑囚の臓器よりも高いんだろうか?
 「敬して遠ざける」がよいですな。やはり。

投稿: duzhe | 2006/09/26 12:02

エントリの内容に全面的に賛成ですね。
中国には民主主義はなじまない。日本人は価値観のまったく違う中国人社会に深入りしてはいけない。
アメリカの「民主主義と自由は絶対善」という偏狭、「EUのようなアジア共同体を目指す」とか言ってるサヨクの無防備を見ているととめどない不安に襲われます。

投稿: OKDY | 2006/09/26 12:48

中共共産党員が特別待遇される仕組みの存在や
事実が政治意図で捻じ曲げられる現実は、
言論の自由が無く法治の概念が理解されていないことに起因する。
この上さらに中共に民主政治を求めることは夢を語るに等しい。

日本から見ると中共の権力者も官僚も腐っている。
中共人民もその体制に適応しているのだろう。
公共精神を全く欠いている。

順法精神は一朝一夕に出来るものではない。
日本の民主政治が敗戦後に米国から与えられたと主張する人が居るが
イラクを見よ。民主政治は与えられて出来上がるものではありえない。

議会も普通選挙も日本は戦前からあったことを忘れてはいけない。
それに教育を受け順法精神を身につけた賢明な日本国民の存在も忘れてはいけない。
それらがあいまって日本国民は民主国家を築けた。

中共人民は共産党に銃口を突きつけられて彼らに従っている。
人民は隙あらば法を犯してでも金儲けしようとしている。
法の存在も恣意的な適用をされるようでは遵守しようが無い。

中共体制維持には強権支配以外どうしようもない。
体制維持のためには人権など無視される。
共産党は人民に核でさえ平気で使用するだろう。

日本は自由もあり、民主政治もあり、法治もある。
中共とは全く別の国柄である。
中共は投資危険性の高い国である。
目先の利益に見る目を曇らされてはいけない。

投稿: docdoc | 2006/09/26 14:52

~敬して遠ざかる~穏健で良い言葉です。
「中共人民共和帝」未だ「国」なんて言葉を使うのは早いよ。と言いたい気がします、21世紀の今「始皇帝」の様な思考が残ってるこの大陸に40余りの混合民族の住む大地。
13,4億人、この中には人間としても優秀な人はゴマンと居られると思います、しかし為政者が過去の歴史を検証も出来ない、参考にもしない、近代に成って以降の植民地の繁栄、満州国の生い立ちと繁栄、40余りの人種の対策も全て忘れて、過去の「帝」時代に里帰りして権力者と特権階級の為の「帝」。
この前で日本は舐められているだけの事です、「歴史を鏡に」なんて言ってる中共が歴史所か自分の事すら判って居ないのに日本が勝手にゴマすってる姿は傑作。
民主化て言葉も意味も知ってると思います、拡大主義を国是として居るのですから民主化なんて、中共が出来る訳が有りません「永遠に強権支配」が「中共の政策」は正しい?と思います。

投稿: 猪 | 2006/09/26 15:07

中国は台湾を承認し、ウイグル、チベット、内モンゴルの独立を認めて民主化すべき。

投稿: 552 | 2010/07/15 12:50

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