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2006/10/30

郵政造反議員の安易な復党に反対する-2


日本経済新聞社の世論調査では、郵政民営化に反対して自民党を離れた造反組の
復党問題について「反対」が51%と「賛成」の33%を大きく上回った。安倍内閣の発足
1カ月の仕事ぶりは中韓歴訪などを理由に「評価する」が5割を超え、順調な滑り出し。
ただ党内でも意見の割れる造反組の処遇を誤ると、今後の政権運営の波乱の芽になりそうだ。

造反組の復党は、自民支持層でも反対が47%となり、賛成の38%を上回った。連立を組む公明支持層は反対が65%で、賛成派は31%。民主支持層では反対が71%に
達し、賛成は22%にとどまった。「支持政党なし」の無党派層では反対が47%、賛成が 32%だった。

造反組復党「反対」51%に・日経世論調査 (日本経済新聞)

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この世論調査は、日本経済新聞が27~29日に実施したものだが、野党支持者だけではなく、与党や無党派層でも、郵政造反議員の安易な復党に反対する声の方が大きく上回っているということだ。
理由は簡単である。
まず、造反組は「郵政民営化」という自民党の選挙公約を踏みにじった者たちであるということ。次に、昨年の衆院選で党公認候補がいる選挙区に出馬し、公認候補の当選を妨げるという反党行為を行ったということ。
だから、離党勧告という処分を下されたのだ。

自民党が、より近代的な政党であれば、除名も含むより厳しい処分が下されたはずだ。が、自民党には極めて日本的なあいまいさがある。それは短所でもある反面、長所でもあるわけだが、あいまいさの度が過ぎると無節操ということになってしまう。
今回、郵政造反議員の安易な復党を認めれば、自民党は節度のない旧態依然とした政党であるとみなされ、多くの有権者、特に無党派層から見放されるだろう。

自民党は元々、よく言えば「融通無碍」、悪く言えば「原理原則がない」政党だった。
それは、竹下派=経世会が支配した1980年代後半から2000年までがもっとも顕著だった。
しかし、小選挙区比例代表制が導入されたことで党執行部の力が強くなった。また5年半にわたる小泉内閣の下で、政治が党(=族議員)主導から官邸主導型に変わった。
その結果、派閥が弱体化し、政策決定の過程から族議員が排除されるという、いわゆる自民党政治の変革が促進された。

だから小泉内閣が5年半も続き、その間の平均支持率が50%を超えるという、近年の
自民党では考えられなかった事態が出現したのである。

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郵政造反議員の無条件早期復党を声高に叫んでいるのは、自民党参院の青木幹雄
議員会長や片山虎之助幹事長であり、あるいは森喜朗元首相や津島派の笹川尭党紀委員長である。
いずれも古い自民党=派閥政治・族議員全盛時代の政治家たちであり、ここ10年間の政治の構造変化や有権者の意識変化に取り残された者たちばかりである。

このような顔ぶれが表に出れば出るほど、有権者は、郵政造反議員の復党は参議院選挙のためとしか受けとめないであろう。そして、無党派層はますます自民党から離れていく。
特に来年改選になる片山氏の選挙区には造反組の平沼赳夫氏がいる。また、落選組の同時復党までも求めている笹川氏は、昨年の郵政選挙で落選した藤井孝男元運輸相に極めて近い。

22日に行われた衆議院の補欠選挙でも、自民党は2勝したが、神奈川、大阪のどちらの選挙区でも無党派層は民主党支持の方が多かった。
これは、有権者(無党派層)が常に政治に「何がしかの変化」を求めている、自民党の独り勝ちにだけはさせたくないという心理が働いていることの証明でもある。
だから、支持率では、よくて自民党の半分、いつもは3分の1以下でしかない民主党が、前回の参議院選挙のように自民党を上回る票を得るという現象が起こるのだ。
昨年の郵政選挙で自民党が圧勝したのは、この無党派層が小泉内閣支持に回ったことが決定的要因だった。

もし、「参議院選挙のために郵政造反議員の復党を認めた」と有権者が受けとめれば、無党派層は完全に自民党を見捨てる。それは、復党した議員がもたらす票を圧倒的に上回ることにことになるだろう。
そして自民党は参議院選挙に敗北する。
政局を読む天才とされる小泉純一郎前首相が、「既得権者の票をあてにしたら、参院選は負ける」と述べたのはズバリ核心を突いている。

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私は、郵政造反議員の復党に頭から反対しているわけではない。中には復党してほしいと願っている議員も数名いる。が、「大義もなく、筋道も通らない復党は認めるべきではない」と言っているのだ。
なぜなら、郵政造反議員の処分に関して、自民党には何の落ち度もない。だから離党勧告を受けた議員たちも、異議を唱えずに処分に従ったのである。
であれば、自民党の方から復党をお願いしているようにしか見えない「無条件早期復党」などというバカなことは言うべきではない。

平沼氏は「礼節を持ってちゃんと前非を悔いてやるなら話は別だ。安倍さんの政治手法をしっかり見ていきたい」とテレビ番組で公言した。自民党に向かって「前非を悔いてやるなら(復党してやる)」という発言を公然とする議員を「無条件」に復党させたら、それこそ自民党は天下の笑い者になる。

やはり、郵政民営化を含めた前回の衆議院選挙における自民党の公約を全面的に
受け入れること、そして安倍内閣の方針、政策を全面的に支持すること、これが復党を認める最低条件だろう。
そして、当面は、院内で統一会派を組み、国民の多数が納得する雰囲気が醸成されたところで復党を検討するべきである。

日本経済新聞の世論調査では、安倍内閣の支持率は68%だった。政権発足後1カ月が経過した時点でこの高支持率ということは、これまでの安倍晋三首相の姿勢が評価されているということだ。
特に、支持理由の半分(50%)が「人柄が信頼できる」というのが理由であることに注目したい。これは、安倍首相が「古いタイプの自民党政治家とは違う」と受けとめられていることの証明でもある。

郵政造反議員の安易な復党を認めれば、このイメージは一気に崩れる。

大義なき郵政造反議員の復党に断固反対する!!!

関連エントリー:郵政造反議員の安易な復党に反対する

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参照:安倍内閣支持68%、なお高水準・日経世論調査 (日本経済新聞)

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政治(国内)」カテゴリの記事

コメント

平沼さんにはちょっとがっかりですね。ご紹介の発言以外にも某議員に対して「俺の復党を阻止したら、抹殺するぞ」云々の恫喝があったようだし、頭は良いのかもしれませんが傲慢の極みですね。党あってこその自分と思うなら、頭を下げるのは自分のほうだろうし、自分に非はまったくないと言うならそのまま党とは関係なく活動すればよいと思います。

本当に、彼らの復党を急ぐと無党派層の支持を失いますね。なあ~んだ、数が欲しくて腰砕けかよってね。でも、よく考えたら数が欲しいから怪しげな宗教政党と連立組んでるんですが、そういうことも改めてクローズアップされてしまうかも。

空気を見誤ると大変です。

投稿: ゆみこ | 2006/10/30 14:13

 ゆみこ氏の言われているように、私も平沼氏にはちょっとガッカリしました。平沼氏がなぜ強気の発言をするのかも理解できますが、どうせ強気の発言をするのであれば、いっそのこと自民党より右よりの政党を結成してほしいですね。勿論、そのなかに綿貫とか亀井を入れてはいけません。あれらを入れると平沼氏自身も「終わった政治家」の仲間入りしますからね。城内氏は良いと思います。
 せっかく中川(酒)氏が「核武装議論しよう」って言っているのだから、「核武装賛成」の党がひとつくらいあってもいいでしょう。そういう政党は、在日コリアンの特権や資格の廃止、解放同盟の解散、政教分離原則の強化、保守系マスコミ(TV局)の創設、日本版FBI創設などなど、安倍さんが言いたくても言えないことを言わなくてはなりません。そういう政党を作って、「今まで本当の日本国民が言いたくても言えなかったこと」を圧力に屈せず叫び続ければ、自民党に復党するより良い結果になることは間違いないのだけれど・・・平沼さんにはそういう政党創ってほしいです。
 

投稿: ナルト | 2006/10/30 15:24

全く自由民主党が「慢心」しているとしたら、これでしょう。
あの衆院選の意味を全く理解していない「政治屋」がまだまだいるという事ですか・・・

あの衆院選の構図は「議員を選ぶ事は二の次で、政策を選ぶ擬似国民投票だった」というものです。前総理は選択肢を提示し有権者はそれに「意義を感じて」選択したのです。
ですから今「無条件で復党」を許したら、有権者は裏切りと感じ、次回選挙で大敗は免れないでしょうね。

真実がどうであれ造反組は「時代に逆らった化石」というラベルが貼られてしまいましたし、それは「政治的真実」というべきものです。

安倍総理にはこの程度の問題で失敗して欲しくないですね。

投稿: ぺパロニ | 2006/10/30 15:27

この国の常識はやはり非常識と再度、指摘されないように願うばかりです。管理人さんの仰るとおり大義無き国家は衰退する。他国に犯罪組織と認定されている創価公明党と連立も何とかしてもらえなければ明日の日本は無くなる。野党はろくなもんじゃない。

投稿: | 2006/10/30 16:25

造反議員復党を最も熱心に推し進めようとしているのは、日歯事件を村岡氏に押し付けて辛くも逃れた青木幹雄氏。
自民党が、時代の流れを読めない、汚いイメージが付きまとう古いタイプの政治家の意向に大きく左右されるようだと、小泉改革も逆戻りという印象は避けられません。
造反議員、特に山本議員を「抹殺してやるぞ」と恐喝するような「大物ゴロツキ議員」の復党は大きなトラブルのもと。
5年を要した改革が、たったひとつの決定で元の木阿弥になってしまうことを懸念します。

投稿: 有権者は馬鹿でない | 2006/10/30 16:40

 どなたかが書いていましたが、プロボクサーは別に才気煥発でもなく普通の人、あるいは不器用で奥さんに毎日どなられている小柄な方が多いそうです。それがひとたびリングに上がり、試合をすれば見るものを感動させる試合をするのは不思議である、と。小泉氏はマスコミの悪意でプレスリーのモノマネなんかをする「なさけない」姿がこれでもか、とテレビで放送されたりします。しかし郵政解散の時の小泉氏の「国民に直接問うてみたい」と話をした演説は、「これが政治家の演説というものか」と思わずゾクッときたほど感動しました。首相の仕事が、国のあるべき方向を決めることであれば、小泉首相は十分に仕事を果たしました。この人がいなかったら橋本派が残り、郵政組織も残り、中国や韓国に過度な謝罪したままだったでしょう。ちなみに解散時オカダ党首はガッツポーズをきめ、マスコミは自民党惨敗を予想していました。
 
「既得権者の票をあてにしたら、参院選は負ける」の予言は的中するでしょう。残念ながら。この「読み」こそが小泉氏の才能なのですから。

 前回のエントリーで管理人さんや読者の方から米国民主党について教えていただき、ありがとうございました。米国とは同じ民主主義国、価値観を共有する面も多いわけで、(もちろん米国の自国利益優先は知っていますが)これからの政権について少し勉強しようと思います。

投稿: 普通の国民 | 2006/10/30 17:06

>大義なき郵政造反議員の復党に断固反対する!!!

理由も含めて同意します。

投稿: プライム | 2006/10/30 17:15

全面支持です。個人の意見は有っても「公約」「党」に対する「造反」は許されるものでは有りません。中国なら「死刑」もの、ましてその後に選挙を戦い公平に捌きを受けたのだから、一から出直すのが人間としての「筋」。自民党に入るか、脱自民党?か無所属?で当選させた応援者の意向と自己の理由を明示し、「筋」を通した「帰党」「離党」を明確に示すのが議員としても必要でしょう。
こんな事でくじける様じゃ日本の為にと云われても信用できない、之を機に党も相応しくない人は公認しないで欲しい、もう古い選挙対策はムダ、マスコミに振り回される国民はドンドン減少している。

投稿: 猪 | 2006/10/30 17:16

ブログ主様のご意見に賛同いたします。

民主党の小沢代表は代表就任後に取った行動は政策を練り上げる事ではなく選挙目当ての業界団体廻りに終始しているように見えます。
いま民主党の支持率は一桁台です。小沢氏の代表就任後に一時的に民主党の支持率が上がったのは国民は小沢氏に堂々と自民党を政策論争をする期待値があったと思います。

いま民主党の支持率が低迷して自民党の支持率が高いのは改革政党としての自民党に期待している国民の意思が表れていると思います。
もしここで郵政造反組の復党を認めれば旧田中派的な選挙のための政官業に癒着体質を国民に思い起こさせ選挙に惨敗することになるでしょう。
自民党が選挙に負けても受け皿となる政党があれば良いのですがいまの民主党にとてもその資格があるとは思えません。
だからなんとしても自民党は安倍総裁中川幹事長にリーダーシップを発揮して欲しいと願っています。

投稿: yuki | 2006/10/30 19:13

毎日新聞・在日記者「朴鐘珠」が知事にかみつく Name としあき 06/10/30(月)17:36 No.625668
毎日記者 「天皇と皇后が佐賀に来ることの意味って何ですか」…佐賀県知事とやり取り
在日記者「朴鐘珠」が知事にかみつく
http://www.youtube.com/watch?v=xBvWHz5oYX0
>> 無念 Name としあき 06/10/30(月)17:37 No.625669
毎日新聞 佐賀支局
朴鐘珠(ばく ちょんじゅ)

〒840-0811(佐賀支局)
佐賀市大財1-7-11
TEL:(0952)23-8108 FAX:(0952)26-1284

携帯:(***)****-****
E-Mail:mail@parkchongju.com

投稿: 特報 | 2006/10/30 19:55

小泉さんがあっさりと権力を譲り渡してから1ヶ月もしないうちに、いかがわしい利権屋どもが蠢きだしましたね。黒沢明の映画「乱」を思い出します(原作はシェークスピアの「リア王」です)。安倍さんが造反組の復党を許したら、小泉さんの安倍さんに対する信頼を裏切った事になりますね。小泉さんも「乱」の一文字秀虎のように「こんなはずじゃなかった」と後悔してるんじゃないでしょうか。あれは、郵政民営化に反対したと言うより、それを利用した倒閣運動だったわけで、首謀者は本来なら打ち首ですよね。一体どの面下げて復党させてくれなんて言えるんでしょうか。平沼赳夫は自称「サムライ」だそうですが、サムライなら打ち首の前に切腹でしょう。裏切り者は必ずまた裏切ります。裏切り者を赦免するなどリーダーとして失格です。安倍さんの弱点は小泉さんのような冷徹さに欠ける所でしょうか。しっかりしろ言いたいです。

投稿: Brian | 2006/10/30 20:26

安倍晋三が打ち出す改革にそぐう人物であるなら、造反組みであろうとなかろうと復党を許すべきだと思います。自民党が選挙で負け、解同など極左暴力集団とのつながりがある民主党に政権が渡ることを想像したら、選挙に強い造反組みの人たちを受け入れる復党は実に納得のいく手段であることがわかります。造反組みだろうとなんであろうと自民党の方針にかなうなら、復党をゆるし、自民党への組み入れを許し、自民党の戦力の増強を図るべきです。選挙における政治の世界を切り詰めて考えるなら勝つか負けるか、勝利か死かという単純なものになると思います。自民党が選挙で敗北するということは、政治左派の民主党に政治右派の自民党がその座を明け渡さなければならないということです。自民党は政治左派に政権を渡さない為にわざわざカルトファシズムの公明党との連立をしているのではないでしょうか。ここまでして与党に押しとどまっているのですから、復党を許すべきです。

投稿: JFS | 2006/10/30 22:15

>郵政民営化に反対したと言うより、それを利用した倒閣運動だったわけで

この手の議員の復党は絶対に認めてはいけませんね。

あと郵政民営化法案に反対の議員でも、民営化自体に反対の議員と、民営化には賛成だが法案の内容に不満があって反対票を投じた議員が居たとおもいます。

内容の修正を求めていた議員については復党を認めても良いと思います。

投稿: lark | 2006/10/30 23:19

造反組は大勢が決した郵政改革で米国政府の意向が強くかかっている側面を憂慮して反対票を投じた気骨のある政治家と思っています。

ですので『郵政造反議員の復党を望む!!!大義とともに』

投稿: mahito | 2006/10/31 01:11

復党なんて国民の誰も望んでませんが。
勝手な党の理論振りかざしてたら国民に見捨てられるぞ。

とは言え、野党が民主党みたいなのしかいないから自民党が
増長するんだよね・・・。

民主出てもっとまともな野党を作ってよ、前原さんw

投稿: ekt | 2006/10/31 03:33

安倍首相は城内実が郵政の時に無茶して離れてしまったので、
色々と思うところがあるのでは?

投稿: コラ | 2006/10/31 09:02

小生はJFS,mahitoさんに賛成です。
いま内外に反日勢力が蔓延しているなか 愛国、救国の総力を結集して 国防、国土、領海、国民の保護にあたって欲しいです。

投稿: katsu | 2006/10/31 09:20

トラックバックが届かない、もしくは拒否されているのいずれかわかりませんが、失礼ながら依存症の独り言さんのご意見に真っ向から異議がありますので、エントリーを書かせていただきました。

造反議員復党の前に自民党は反省すべき
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20061031/p1

あの選挙は議会制民主主義の破壊です。小泉的手法こそ反省すべきです。

あの選挙のために、国民は議員としての資質よりもたった一つの政策で国会気委員を選んでしまいました。その結果が、政治家どころか政治屋ですらない、小泉チルドレンという箸にも棒にもかからないジャンク議員たちです。

彼らこそ自民党から追い出すべきでしょう。

投稿: Dr.マッコイ | 2006/11/01 13:47

公約である郵政民営化に反対し、
さらにそれに便乗して倒閣運動までやるのも
議会制民主主義的にはどうかと。

投稿: 通りすがり | 2006/11/03 19:50

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