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2006/10/03

中国の笑えない“小話”

讀賣新聞の中国総局長・藤野彰氏の書く記事は、いつも私の共感を呼び起こす。一方は中国・北京に常駐しており、他方は日本で生活している。が、認識や視点に共通するものを感じるからである。

私は留学やビジネスで中国に滞在している人たちよりも、私のように、日本にいて内外のメディアやアナリストから中国情報を収集している人間の方が、あの国を正確に分析できると思っている。
なぜなら、中国に在留している人たちの視覚や聴覚は、日常生活のレベルを超えて広がることが少ないと思えるからだ。その点、外からあの国を見ていると、その実態を俯瞰することができる。
藤野総局長の記事に惹きつけられるのは、藤野氏が、私が知らない市井の情報に通じており、且つあの国を俯瞰できる立場にいるからだ。

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マルクスから電話がかかってきた。「資本家はみんな滅びたかね?」
答え 「共産党中央に入りました!」
雷鋒(人民解放軍の英雄)も電話してきた。「地主はみんな打倒されたかい?」
答え 「全員、共産党に加入しました!」

これは、藤野氏が10月2日の讀賣新聞朝刊で紹介している中国式のアネクドート(政治風刺小話)である。腐敗政治に飽き飽きしている民衆は、酒席で、こんな小話を携帯電話のメールでやりとりして憂さを晴らしているという。

藤野氏は次のように書く。

「半分は冗談、半分は本気だ。権力がカネを呼び、カネが権力を操るご時世。小話を
さかなに、座は盛り上がるが、笑い声にもどこか自嘲(じちょう)の響きがこもる。
オレたちの国はなんでこんなふうになっちまったのか。そんな思いがふと胸をよぎるからかもしれない」と・・・

過去のエントリーでも言及したように、上海市のトップ、陳良宇・市党委員会書記が巨額の不正事件に絡んでいるとして9月24日に解任された。驚異的な高度成長を牽引してきた中国最大の商都の顔が、汚辱にまみれて失墜したのである。
当局は「反腐敗の固い決意を示した」と自賛している。
が、藤野氏は「(国民の)心中を占めるのは『上海のトップまで腐っていたのか』という
失望感であり、『やはり、この体制ではだめだ』という無力感ではないか」と書いている。
つまり、中国の民衆は、この体制ではダメだという思いに駆られながらも、どうしようも
ない現実を前にして、無力感に打ちひしがれている。そのはけ口が、前出のアネクドート(政治風刺小話)というわけだ。

そう言えば、ソ連が崩壊する前(ミハイル・ゴルバチョフのペレストロイカ=「改革」の前)も、アネクドート(政治風刺小話)が市井で蔓延していると言われていた。今の中国も、この状況に近いのかもしれない。

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藤野氏は、中国の崩壊と再生を描いた政治予言小説「黄禍」で知られる作家の王力雄氏(53)(北京在住)に、現政権に真の改革ができるかどうかを聞いた。
答えは簡潔だった。
「現在の改革は、体制の枠内で矛盾を解決しようとする行政改革であって、政治改革ではない。こういう改革に活路はない」

つまり、胡錦濤国家主席が提唱している“科学的発展観”は小手先の対症療法にすぎず、将来はない、王氏はそう言いきっているのである。
藤野氏も、王氏の答えを受けて「結局、汚職摘発も党内という“仲間うち”の監督に過ぎず、どれだけエライさんを捕まえようが、腐敗構造そのものはびくともしない。汚職幹部は次から次へと再生産され、国民を食い物にしていく」と続ける。
これは、私が過去のエントリーで述べてきた「腐敗がシステム化されている」という認識とまったく同じである。

藤野氏によると、次のような小話もメールで飛び交っているという。

「毛沢東は貧乏人を率いた(革命をやった)」
「鄧小平は小商人を率いた(改革開放をやった)」
「江沢民は汚職犯を率いた(不正をまん延させた)」
「残ったオレらはどうするか、胡錦濤についていってなんとか口過ぎしよう」

藤野氏は、こんな小話を紹介して後で、「さて、このままでは“口過ぎ”すら危うくなりそうで、『胡錦濤は利権屋を率いた(腐敗構造を温存した)』とやゆされかねない」と結んでいる。

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以上を読むと、中国が、あれほど小泉純一郎(前)首相の靖国参拝を非難し、首脳会談を拒否していたのに、我が国の首相が代わると、靖国問題を棚上げしてまでも両国の首脳会談に応じるというのもよく解る。
つまり今の中国は、体制的に、それだけ追い込まれているということだ。安倍晋三首相も、中国のそんな足下(あしもと)をしっかりと見極め、安易な妥協や譲歩をしないことが肝要である。

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中国の小話には、環境についても面白いものがある。

中国の経済成長の象徴ともいえる上海市周辺には、大小の河川が数十もある。が、
全部が墨のように黒く、住民たちは「墨川」と呼んでいる。そして口をそろえて、「河川的氣味非常臭」=「河川から悪臭がする」と言う。
上海市周辺の工場で下水処理施設を備えた工場は20%にすぎず、その20%の下水処理施設さえも費用がかかるとの理由で、まともに稼働されていない。
要は、カネのために「河川」も「海」も殺そうとしているのである。

この上海の“笑えないジョーク”が次である。

息子が学校から「墨を持って来い」と言われた。
父親の答え 「河川の水をそのまま汲んで持って行け」

まさに、政治が腐れば自然環境も腐る。汚臭と悪臭で息が詰まりそうになる。
が、中国の民衆は、今のところ、風刺の効いた小話で憂さを晴らすしか方法がない。
しかし、民衆の“口過ぎ”すら危うくなった時、どうなるのか?
全国に“点”として多発している暴動・騒乱が、“面”にまで広がっていくのではないか?

この国は、あらゆる意味で脅威なのである。文字どおり“目が離せない国”だ。

参照:政治小話に漂う無力感 (2006/10/02 讀賣新聞)

(注)口過ぎ=食物を得ること。暮らしを立てること。生計。糊口(ここう)。【大辞泉】

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中国(政治)」カテゴリの記事

コメント

安倍さんを日本の大宰相に仕上げて長期政権を。9日の韓国に慌てたのか8日に決まり?朝日の言う「曖昧」は「無視」と同意語と考えて良いと思います。
まあ、訪問しても言いたいことを言えば良いだけの事で中共から政治的に得るものも無い、ドンドン日本企業を叩けば良い、自分に帰るだけ、天に唾はきゃ自分に落ちる。
日本の平成維新を、不要な「付属品」も自民党がしっかり国民に説明すれば政策が違うのだから「不用品」と判る。

明日の「中共」~軍事大国、侵略大国、非人権大国、汚職大国、人種大国、非衛生大国、環境破壊大国、死刑大国、之だけ品揃えが出来るのも世界でこの国位でしょう、脅威です。
日本国内の監視も強化して呉れないと困ります、とだけは言って置きたい、日本独自で出来る事ですからね。

投稿: 猪 | 2006/10/03 17:22

中国の人民は、いくら世の中に不満を持っても政治を変える事は出来ない。
憤懣を溜め込み暴発したところで、中共の軍隊に鎮圧される。
小話でうつろに笑い合うしかないのでしょう。
胡錦濤に権力が集中すればするほど人民は不幸になると言う逆説。
それでも為政者は真剣だ。必死で体制を維持しようとする。
いつまで続くのか、こんな人権圧殺体制。
中国の真の変革はいつ、どういう形で実現するのだろう。
その日が爆発ではなく、静かにおとずれることを切に願う。
しかし、無理だろうなぁ。

投稿: プライム | 2006/10/03 19:57

 もう中国は一度崩壊しないと駄目だとみんなわかっているんだと思います。
ただ、中国人独自の中華思想や守銭奴と間違われそうなほどのお金に対しての執着心がそれを実行させないのかもしれません。
中国人は、宗教というものがなく(道徳心がなく)、文化よりも力を好む傾向にあり(話し合いよりも暴力や恫喝、謀略での解決を好む)、結局崩壊してもまた同じ道を歩みそうです。
だって、今までの中国の歴史がそうだったから・・。
だが、それに巻き込まれる周りの国はいい迷惑です。
ほんと・・朝鮮といい、中国といい、世界の問題児ですねぇ・・。

投稿: Asid | 2006/10/03 20:04

往年の開高健の名エッセイ「小さな話で世界は連帯する」を思い出しました。冷戦下の東側庶民の呻吟を感じさせるアネクドートが紹介されていたと記憶しています。
こういうのを読む度に、確かに異常に民度が低く、こすっからく、マナー最低の彼らながら、わき上がる同情をいかんともしがたいんですよね、中国の田舎をあちこち旅した身としては。未だに鍬をつかって人力で(なぜか背広をきたりして)耕してたり、舗装された道に稲をならべて通り行く車を利用して脱穀してたり、、、上海で高層ビルの合間を上半身素っ裸で大八車をひく屈強な労働者たちのことやら、上海書城(上海最大の書店)で分野を問わず床に座ってむさぼり読んでいる膨大な数の人たちをみて「これほど勤勉な彼らが報われないなんて間違ってる」と思った事やら、、、、、日本にだって最低最悪の奴らがうじゃうじゃいること(高速SAで身障者用の屋根付き駐車場に駐めてるのは何故か決まってベンツ)など思い浮かべ、世の理不尽を嘆くのであります。
日本に生まれたこと(全然自分の手柄じゃないです)に感謝しなくちゃ、と思ったり、かといって中共に下手に援助しても問題を長引かせるだけだと思ったり、分裂っつーたって核の拡散やら、環境問題の悪化やら、国境(今だって確定してない)が入り組んで棄民の群れが大量発生するに違いない事やら、、、胸塞ぐ想いにかられます。やれやれ。
わけのわからんコメントですみません。しかし、やりきれないなぁ。

投稿: かろかろ | 2006/10/03 20:19

プライムさん、中国が改革できるはずはありません。ご存知の通りの「国家体制」と「人民の質」と「内乱の元凶」がありますから。そうではなくて、日本が正義と秩序と平定と幸福の原理の元、中国を征服するという考え方の方が正しい。これは帝国主義ではなくて、ナチズムの考え方と言えるでしょう。

投稿: JFS | 2006/10/03 20:32

 どなたかが仰っていましたが、今回の訪中は北鮮崩壊後のシナリオについての会談が目的なのでしょうか?もしそうだとしたら、これは凄い大きな意味を持つ訪中ですね。中国がどこまで金正日を支えるつもりなのか・・・。中国という突支棒が外れたら、北鮮はすぐ崩壊します(中国だって、国内問題で崩壊寸前なのに、隣の中世封建国家なんかの面倒見てる余裕があるのでしょうか)?そのとき、難民問題が発生し、少なくとも数十万の北チョンが日本に漂着します(ドサクサにまぎれて南チョンも大挙して押し寄せます)、そして日本国内の在日および極左およびバカサヨと連携取って暴れ出したら・・・もしそうなったら・・・想像するだけでも恐ろしくなりませんか?

投稿: 中凶殲滅 | 2006/10/03 21:11

旧ソ連や東欧の小話は有名ですね。例えばこんな物。
アメリカとソ連の政府関係者が話していました。
ア「君の国は酷い国だ。アメリカでは、ホワイトハウスで大統領の悪口を言っても逮捕なんかされない。」
ソ「それはわが国でも全く同じである。」
ア「嘘をつくな。現に何人も逮捕しているじゃないか」
ソ「では試してみるがいい。クレムリンでアメリカ大統領の悪口を言っても、決して逮捕されない。」

旧ソ連の小話が政治的なのに対して、中国は経済的な小話が多いようですね。それにしても、中国がもし崩壊した時には、環境がメチャメチャになっていそうで、非常に不安です。

投稿: るな | 2006/10/03 21:12

これじゃ~易姓革命万歳ですな。

オマケに近隣の手下のコントロールもままならない。

まぁ、我が国にも言えることですが
上に策あれば、下に対策有り。という国柄ですから。
飲酒運転で人を跳ねてその場で救護しないで、逃げて酒が覚めてから出頭又は逃走って具合で。

酷いもんだ。

我々は、中国式の嫌な習慣、例;科挙 宦官 大量討殺 等を捨て去り独自の文明を築き上げたのだが
それが気に入らないらしいな。
日教組、全教を通じそれらの道徳を破壊したのが現在の状況だ。

今こそ問う
全教と日教組の加盟者は、懲戒免職にすべきである。

投稿: 義侠 | 2006/10/03 21:13

はじめまして!いつもブログを拝見させて頂いてます。
本日のブログの内容とは関係が無く申し訳ないのですが、
一体どうなってしまうのだろうと心配なので書かせて頂きたいと思います。
いよいよ北朝鮮が核実験を行うと公式に宣言をしたそうです。
具体的な時期等は明言していようですが、
詳細な部分が全く見えないだけに不安に思います。

更に、国連の次期事務総長が韓国の潘外相で内定したと
本日のニュースで言っていました。
潘外相という方もやはり反日色の強い方のようで、
日本にとって不利益な事態にならないか心配です。

投稿: 心配です>< | 2006/10/03 22:35

>息子が学校から「墨を持って来い」と言われた。
>父親の答え 「河川の水をそのまま汲んで持って行け」

この河川の水がそのまま日本海に流れ込み、汚染された海産物が我々の口の中へ入り込むと考えると、それこそホントに笑えない。

崩壊するにしろ自浄できるにしろ、日本海が壊滅する前にお願いしたいものです。

投稿: namibia | 2006/10/04 01:05

中華人民共和国の一般大衆の多くが気がついてほしいものです。

投稿: みぎよりますたー | 2006/10/04 04:39

こんな話があります。
「越前くらげ」は中国の河川に垂れ流される糞尿であれだけ大きくなった。

困り果てたが、さすが日本、研究の結果、越前くらげの食用化に成功し、貴重な蛋白源に変身した。

突然中国から抗議が来た。
越前くらげは、われわれの領海で育てたものだ。
越前くらげの所有権は中国にある。製法特許とともにわれわれに即刻引き渡せ。

投稿: 古だぬき | 2006/10/04 14:29

皆さん、こんにちわ。
コメント、ありがとうございます。

中国、何となく旧・ソ連の末期に似てきました。
小話に民衆の本音がうかがえますね。
ただ、胡錦濤指導部も、このままではダメだとは解っているようですが…

どうしたらいいのか分らない。
北朝鮮だけでも億劫なのに、日本ともうまくいってない、米国もあれこれ口出しをしてくる。

“口を出すより銭をくれ”、これが中共の本音なのではないでしょうか。
銭とは資本であり、技術であり、ノウハウのことです。
まだ、途上国なんだから大目に見て助けてほしい、と言ったところだと思います。

投稿: 坂 眞 | 2006/10/04 16:15

「この体制ではダメだという思いに駆られながら」って北朝鮮と同じですね。「体制の枠内で矛盾を解決しようとする」って民主党やその他の野党、創価学会などもそうですね。いや、解決しようとすらしているようには見えませんね。

投稿: 知足 | 2006/10/04 17:33

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