なぜ日中歴史共同研究なのか???
10月の安倍晋三首相訪中の際に、胡錦涛国家主席との間で合意された日中歴史共同研究の初会合が26、27の両日、北京で開催される。
委員は日中それぞれ10人で構成。日本側座長は北岡伸一・東大教授、中国側座長は歩平・社会科学院近代史研究所長が務める。
この共同研究の目的は、日中両国の歴史認識の溝を埋めるためとされ、両国関係改善のカードの一つとされている。今後、年2回程度のペースで会合を重ね、08年中に研究成果をまとめる方向である。
しかし、このような共同研究を立ち上げたからといって「日中両国の歴史認識の溝を埋める」ことなどできるのだろうか。両国関係改善のカードの一つになりうるのであろうか。
答えは「否」である。
むしろ今回の共同研究は、両国の歴史認識の違いを改めて再認識する機会になるだろう。そして、両国首脳の合意が、関係改善の「カード」ではなく、表づらを取りつくろうための単なる「パフォーマンス」にすぎないことも明らかにされるだろう。
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中国は共産党一党独裁の国である。そこには言論や表現の自由はない。したがって、歴史認識も当局が定めた特定の史観を逸脱することは許されない。
研究といっても、当局が定めた史観を補強するためのものであって、都合のよいものは事実以上に誇張されるが、都合の悪いものは無視、もしくは否定される。
このような国と歴史を共同研究しても、何が得られるというのだろう。人と時間と税金をむだ遣いするだけではないか。
考えても見てほしい。
かけがえのない同盟国である米国との間でさえ、その歴史認識には深い溝がある。
太平洋戦争をめぐっても、米国は「日本の侵略」「反ファシズム戦争の一環」と捉えているが、わが国では日中戦争はともかく、太平洋戦争に限れば、単純に「侵略」という捉え方はしていない。
原爆もそうだ。
米国は「原爆が戦争終結を早め、多くの人命を救った」と原爆投下を正当化している。が、わが国から見れば、原爆投下は無差別大量殺戮の戦争犯罪である。
そもそも歴史も文化も利害も異なる国同士がいくら共同で研究しても、歴史認識が一致するわけがないし、その溝も根本の部分では埋まらない。
ましてや中国は国(共産党)が定めた史観が唯一絶対の国家である。その史実は「事実」ではなく「プロパガンダ」である。日中戦争の犠牲者数も「南京虐殺」の犠牲者数も、年を経るごとに増えていく。
こんな国は相手にするだけむだである。
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日本側座長の北岡教授も「日中間の歴史認識のギャップを一致させようということは考えていない。イメージが肥大化して実際より大きく見えているので、学問的な議論を積み重ねて、もう少し狭めることはできないかが第一の関心だ」と強調、最初から「両国の歴史認識の溝を埋める」ことなど無理であることを認めている。
当局の正史に逆らう論文を掲載し、停刊に追い込まれた週刊紙「氷点週刊」の元編集主幹、李大同氏(解任処分)が来日している。その李氏も、今回の共同研究について「中国は国家を代表し、日本は学者個人の見解を語る。結果は言いっぱなしでしょう」と看破している。
李氏のような“危険人物”が自由に出国し、このような大胆な発言ができるのは、「中国当局の弱体化が進んでいる」からだという。
中国(中共)が日中の関係改善を急ぎ、そのパフォーマンスを繰り広げるのも「弱体化が進んでいる」からだろう。
要は、中国には「背に腹は変えられない」事情があるとみなして間違いない。
中国はわが国の力、助けを必要としている。もう面子にこだわってはいられないほど現体制の矛盾は深化し、行きづまっているのだ。
それを見越して政府は中国に対応するべきである。
安易に手を貸して、残忍で獰猛な国家をこれ以上増長させてはならない。
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中共が支配する中国とは「共存関係」はありえても「友好関係」など絶対にありえない。うかつに近づき、気を許すと、むさぼられて食い散らかされるだけである。
国も企業も、中国の現状と本質をシビアに見極めなければならない!!!
参照1:埋まるか日中歴史認識 共同研究、26日から初会合 (朝日新聞)
参照2:2006/12/21 【産経抄】 (産経新聞)
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コメント
>中国側座長は歩平・社会科学院近代史研究所長
私、実はこの人と話をしたことがあります。もう3-4年前の事だったと思いますが、当時中国の新聞紙上に盛んに「日本の“侵略の証拠”が見つかった!」という記事が載っかっていた頃です。
そういう記事の中に「日本の“侵略の証拠”を探せ、という中国政府の呼びかけに答えて・・・」という文章があったんで、歩平氏に直接聞いてみたわけです。本当に中国政府はそういう呼びかけをしているのか?と。
何しろ当時は、日本の国宝を紹介する写真集を“侵略の証拠”に挙げて「この本に載っているものはみんな中国から奪ってきたものだ!」などというとんでもない記事が載っていた頃です。こうした扇動的な記事の氾濫を彼がどう見ているのか聞いてみたかったのです。
でも、彼は結局何も答えませんでしたね。中国政府が如何に“反日”感情を煽り立てているのか、それが如何に正当性のかけらもないデタラメな政策であるか、彼にも分かっていたんでしょう。根は真面目そうな人でしたから。
まぁ“日中友好団体”の会合でしたから、私の質問は大いに場をしらけさせたので質問はそこまでにしましたが、二人だけだったらもっと聞きたいことがありましたね。北岡伸一氏には、かわりに徹底的にやってもらいたいと心から願っています。
投稿: duzhe | 2006/12/21 20:48
日中間のやり取りを公開するのならば、有益なものになるですが。
投稿: LiX | 2006/12/21 23:27
日中の学者だけでなく、いろんな国の学者を入れて公開でやって欲しいですね。
投稿: 奈々氏 | 2006/12/22 00:14
ノムヒョン書面白そうですね、近所の本屋に頼んで置きました。
まあ、中共の学者なんて学者とは呼べませんから、日本に居る連中でも蒋介石政権がどんなもので有ったのか、当時の大陸の状況がどんな状況に有ったもかも知らないのが現状、”紫禁城の黄昏”でも読めば満州が中共の言う傀儡政権で無い事も判るのでしょうが、先ず政治有りき、の中共学者には無理、従い、日中の学者が夫々の見解を述べ合い公表し世界の人に見せる事を考えるべきと思います。
満州が語れなければ大陸の話など出来ません、中共の見解は傀儡政権、
又日本人も日本を中心に物事を考える癖をつけないといけません、中共に影響されるのでなく、日本は厳然として残る、相手はひっくりかえるもの、その時に日本の対応を考えて置く事の方が最近は必要では無いかと考える様に成って来ました。
最近のマスコミの論調を見ていると安倍内閣下ろしの酷い報道、余程彼らには危機感が迫って居るのでは無いかと思う様な感じ、之だけ酷い報道を繰り返しても以前ほど国民の反応が無い、ネットで見ると若い人たちが日本のマスコミをバカにし始めている、良い傾向だと感じています日本は中共や韓国とは異なる国だ。と若い人たちが思っているのが最近は感じます。差別ではなく区別でしょうね。
ノロウイルスは酷いですよ。皆さん気をつけて下さい、帰宅時には、うがいと手洗いを励行するのが良い様です。
投稿: 猪 | 2006/12/22 09:56
日中の歴史というなら台湾の学者も招かないといけないような気がしますね。
投稿: ゆみこ | 2006/12/22 10:42
お邪魔します。
テーブルから見る風景は座する人々からは違って見えます。
利害が異なる国々では尚更ですよ
勝てば官軍、負ければ賊軍。
今の中狂につける薬は無く、壊れてもらわないと
正常な話し合いなんか出来ません。
>日中の学者だけでなく、いろんな国の学者を入れて公開でやって欲しいですね
船頭多くでなんとか(笑)国連が機能しておりますか?
アメリカの横暴が優先(笑)
ロ助はロ助で核廃棄の無責任極まりない鬼畜
チトーの理念は破壊したし、更の泥沼
一緒の歴史観なんて絵に書いた餅で大甘(笑)
騙されて亡国になるのがおちです。
投稿: 尾翼 | 2006/12/22 12:02
奈々氏さん>
>日中の学者だけでなく、いろんな国の学者を入れて公開でやって欲しいですね。
おっしゃるとおりだと私も思います。
しかし、もしそれが可能だとして中国側の「儒学」に眼を白黒させるのではないでしょうか(笑
事実関係に立脚するのではなく、「私の主張は無謬であり、相違する現実が間違っている」というのが儒学ですからね。
いわゆる歴史認識問題とは、韓国の国会あたりが「日本は欧州起源の国際法や外交パラダイムから脱却し、東アジア固有の秩序に復帰し、反省せねばならない」とか吼えた例が代表なのですが、日本が正しい歴史認識を持てば韓国の偉大さを疑う事が無く、民族や国家の優劣(日本は劣位)を受け入れるはずだ、との主張ががベースになっています。
ところが日本マスゴミや日本リベラルはその辺りが理解できず、「日本が侵略戦争を反省していないから」と誤解してしまっています。ですから彼らは韓国人が何故福沢諭吉を憎悪するのか(福沢は朝鮮が「折角日本が清朝からの独立を犠牲を払ってまで朝鮮に与えたのに、結局古臭い華夷秩序に戻ってしまった。もう知らん!」と主張)、思考停止のあげくに「中韓様の仰せの通りにせよ」と唱和して自己満足するだけです。
(日本マスゴミや日本リベラルは「中国韓国北朝鮮は正しい>ゆえにその覇権主義も正しい」等と主張し、お追従を言う事をアジア重視だと定義している様です)
しかし『大紀元』で報道された所では、北京の「侵略者日本を打倒したのは共産党」との主張に対し「おめーら山の中にすっこんでただけじゃねーか!」との反発する青年達が多数いたそうです。何時までも嘘をつき通す事は無理だと北京も知るべきでしょう(笑
投稿: ぺパロニ | 2006/12/22 12:21
当局の正史に逆らう論文を掲載し、停刊に追い込まれた週刊紙「氷点週刊」の元編集主幹、李大同氏(解任処分)が来日している。その李氏も、今回の共同研究について「中国は国家を代表し、日本は学者個人の見解を語る。結果は言いっぱなしでしょう」と看破している。
李氏のような“危険人物”が自由に出国し、このような大胆な発言ができるのは、「中国当局の弱体化が進んでいる」からだという。
中国(中共)が日中の関係改善を急ぎ、そのパフォーマンスを繰り広げるのも「弱体化が進んでいる」からだろう。
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いかなる国家に於いても民を愚かに保ち続ける事は不可能に近いでしょう。国民党独裁時代の台湾は、反日教育が行き届いていた筈ですが、活発な交流を通して、バランス感覚に長けた人々を生み出しました。
その点で、自由民主主義国家韓国の強固にして病的な反日は、何のだろう?と不思議に思います。
投稿: 匿名(復帰) | 2006/12/22 13:08
とりあえず相互理解のために仕事はやってますよ感が強いお役所仕事的なものの典型かと思います 外交などの駆け引きでは「何もしない」も必要かと思います。 もう開催が決まったのなら仕方ないけど「今回は何も決まりませんでした」でもいいと思う。もっとも中国が自分達の歴史観の誤りに気づいてくれたらもっといいけど。
投稿: ころ | 2006/12/22 15:06
>>匿名(復帰) 様
> その点で、自由民主主義国家韓国の強固にして病的な反日は、何のだろう?と不思議に思います。
戦後一貫して続けてきた“愚民化政策”の結果ではないでしょうか。
とくに漢字教育の廃止は決定的だったように思います。10才位まで漢字教育を受けた最後の世代も、現在では50代のはずです。現在の韓国人は、自国の歴史的文献ですら自分で調べて考えることが(能力的に)不可能な状況になっているようですね。何しろ、行政庁ですら、戦後の大韓民国の憲法原案(?)を廃棄処分にしてしまった(理由:読めなかったから)そうですから、洒落になりません。
投稿: MMF | 2006/12/22 17:16
マルクス主義や毛沢東主義の行き着く先は、徹底した階級社会といびつな官僚制の腐敗構造であることは明白です。
中国共産党のシャーマンニズム否定(なのに靖国批判?おかしいですよね)や、党中央組織による言論弾圧…枚挙にいとまがありませんが民主主義国たる日本とは全く根底が相容れません。
投稿: くまがわ直貴 | 2006/12/22 19:03
【シンガポール初代首相、中国に「もっと平和的に」と呼びかけ―シンガポール】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061219-00000016-rcdc-cn
老い先が短いために、ぶっちゃける気になったのか判りませんが、シンガポールのリー・クワンユー氏が、中共の過度の「覇権主義」や偏った「反日愛国教育」に対して、激しく批判をされています。
小国シンガポールとしての立場がそうさせるのでしょうが、こういう方がいるという事実が救いになります。
投稿: 匿名 | 2006/12/23 11:27
村山政権時の日中共同歴史研究に参加していた日本人教授は、
南京事件の被害者数については、中国政府の発表している数値を支持している中国人学者はいなかった、と言っていました。
エドガー・スノーの記述に対しても、また日本軍の行為とナチスの行為とを同列視している学者もいないと。
けれども公式の場では、学者が学者としての良心に従った発言などできるわけないですから。それが中国ですから。
投稿: さくら | 2006/12/23 11:30
かつて、中日友好協会の孫平化会長は、
「南京虐殺」の真相解明<国際調査委員会>設置など、
「必要ない。30万という数字は中国共産党の決定として決まっている」
旨のたまわりました。(『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』の研究、祥伝社、1999)
中共は、教条的な世界観と権力を独占し、歴史は権力に奉仕する宣伝に過ぎないとするのが本音ですから、孫の託宣は当然でしょう。しかし、本音ではあっても、建前としては、
①実証レベルで検証される確実な事実を、②合理的に組織して、③歴史の全体像を試想する、
というまっとうな方法には、反対できないのではないか、つまり、
史観の基礎となる実証レベルでの検証に、中共配下の(御用)史家が総論的に反論するか、各論でくるかなど、興味しんしん。
いずれにもせよ、中共得意の捏造宣伝に留意必須ですが、日本にとり笑止迷惑な「歴史問題」の正常化には有益かと、愚考しております。
投稿: 3cats | 2006/12/23 14:08
管理人さま
さきほど18時過ぎのニュースでノムヒョン君が軍部相手にキレて子供のように火病を出していました。公演時間を1時間伸ばして。なにやら軍指揮権の問題で軍部が韓国防衛には米国との同盟が不可欠、と主張するのが気に入らなかったようで、名指しでコメディアンばりで荒れていました。調べてみてください。
発売著書のタイトルの通りで、時期を得た出版であることがわかりました。
投稿: 普通の国民 | 2006/12/23 19:03