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2007/01/02

自家撞着に陥った胡錦濤の科学的発展観

明けましておめでとうございます。

今年は話題性を追い求めることなく、自己の感性により強く反応する問題について取り上げていきたいと思っています。
で、さっそくのエントリーが胡錦濤の「科学的発展観」。

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【北京=杉山祐之】中国の胡錦濤国家主席は31日、中国中央テレビなどを通じて内外向けの新年メッセージを発表した。

胡氏はこの中で、2007年は、自らの指導思想「科学的発展観」を全面的に実行し、
調和のとれた社会の構築を加速させる重要な年になるとの考えを示した。重点施策と
しては、経済構造調整、省エネルギー、環境保護、民生問題解決などを挙げた。

共産党は同年秋、第17回党大会を開く予定で、今後、胡氏の政治路線の徹底が図られる見通しだ。

中国・胡主席が新年メッセージ…重点施策に環境保護も (讀賣新聞)

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上記の胡錦濤主席の発言は、「胡錦濤国家主席、新年のあいさつ(人民網日本語版)」でより詳しく知ることができる。

2007年は「調和のとれた社会の構築を加速させる重要な年」という認識は正しい。
「重点施策としては、経済構造調整、省エネルギー、環境保護、民生問題解決などを
挙げた」という点も、的確な問題意識を持っていると評価してもよいだろう。

何しろ今の中国は「極端な輸出依存型経済」であり、「究極の格差社会」である。
元高圧力を回避するためには経済構造を内需主導型に転換しなければならない。そのためには低賃金の集約型から脱却し、付加価値の高い産業を育成して中間層の占める割合を高めねばならない。
破滅的とも言える環境破壊・汚染、世界中の資源をがぶ飲みする極限のエネルギー
浪費型経済、これらの改善も経済構造調整=経済構造転換においては避けて通れ
ない重要な課題である。

これらの課題が解決できれば、民生問題――つまり農民・農村・農業の「三農問題」や都市部の民工(無戸籍の出稼ぎ農民)問題、極端な社会的格差の問題なども並行的に解決できる。
逆に言えば、三農問題や民工問題、社会的格差問題を解決できなければ、「経済構造転換=調和のとれた社会の構築」という大目標も「絵に描いた餅」に終わる。

では、中共体制下において、胡錦濤主席が言うような「調和のとれた社会の構築」が
できるのであろうか?

ここで反省しなければならないのは、「むき出しの弱肉強食経済」と「究極の格差社会」を生み出したのは何に原因があったのかということである。
それは、簡単に言えば、無法とも言える市場経済の上に共産党独裁が君臨するという中共体制そのものにある。

中共独裁下の市場経済においては「政・官・業」に司法までもが癒着し、メディアは圧殺されてきた。「法の公正」が機能しない市場経済、批判が許されない共産党権力――
これが歪(ゆが)みきった現代中国の元凶である。
ここにおいては、権力者は底なし沼のように腐敗・堕落し、それと結託した悪徳資本家が農民・大衆を貪り食う。そして、共産党幹部は千億円単位の不正を平然と働き、一方で農民・大衆は年間8万件以上の暴動・騒乱(毎年17%増)を引き起こす。

つまり胡錦濤主席の卓見した指導方針も、今のままでは自家撞着に陥るだけなのである。かと言って、「司法の独立」や「メディアの報道の自由の保障」は、中共体制を根底から揺るがすことになる。
要は、「調和のとれた社会の構築」を実現するには今の支配体制を変革しなければならない。が、今の支配体制を変革しようとすれば、中共体制が崩壊の危機に瀕する――ということなのである。

だから胡錦濤政権は立派な将来展望を国内外に提示する一方で、足下では以下のようなことをやる。


1日付の香港紙、明報などによると、北京の月刊誌「百姓」の黄良天編集長(50)が12月31日、解任された。同誌は地方で起きている汚職や農民の強制立ち退きなどに多く誌面を割き、当局者らの反発を買っていたとされる。

黄氏は2004年9月から編集長。農業省管轄の同誌は発行部数約5万部で、06年には江蘇省の強制立ち退きや江西省で起きた学生による大規模デモなどを報道。ホームページが過去2年間に4回にわたって閉鎖されたという。

黄氏は、解任について中央の規定による幹部の定期異動とだけ説明を受けたという。(共同)

中国誌編集長を解任 (産経新聞)

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これでは、どこまで行っても「公正で公平」な「調和のとれた社会」など実現するはずもない。

結局、胡錦濤指導部が主唱する「科学的発展観」も、裏を返せば非科学的な「前近代的発展観」にすぎないのである。

中共体制の崩壊以外に中国の発展的変革はありえない!!!

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中国(政治)」カテゴリの記事

コメント

>「法の公正」が機能しない市場経済、批判が許されない共産党権力
古の王朝から全く進歩しない支那そのもの。

投稿: 笹団子 | 2007/01/02 01:20

坂さん、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
全く同感です。共産党の一党独裁が崩壊しない限り言っていることとやることが違う、特に報道などのメディアに対する弾圧・抑制は続くと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
ではでは。
http://blog.goo.ne.jp/sakuragaokanogen/e/926ad21ab455bd33d7e6566dddbfbe9d

投稿: ヨン様 | 2007/01/02 07:45


中国の今後の「共産主義」、というものはどんなものになるんでしょうね?

投稿: アイムザパニーズ | 2007/01/02 11:47

新年あけましておめでとうございます。
「中共体制の崩壊以外に中国の発展的変革はありえない!!!」
とのことですが、それは平均的アメリカ人と同じくらい物事を単純化しすぎなような気がしてなりません。体制が変わっても支配する人が変わらなければ情治は続くのではと思います。政治の世界水準を目指す中国人っているんですかね? トルクメニスタンみたいになっちゃうんじゃないですかね。

終戦から台湾脱出までの国民党政府のふがいなさを見たら、やっぱムリ って気がするんですけど、どうでしょう?

投稿: Kawai Oyaji | 2007/01/02 12:05

 タイのテレビ放送局の報道局幹部と家族が韓国旅行のため仁川(インチョン)空港で入国審査を受ける途中、違法入国者と疑いをかけられ、入国を拒否されて戻ってきた事件が、タイ新聞に大々的に報道され、韓国のイメージが大きなダメージを受けている。

 さらに、タイのタクシン・チナワット首相の家族が所有するiTVの経済部編集長、ナパ・シンプラシ(女、40)氏が侮辱的な取り扱いをされたと伝えられ、韓国に対する憤怒をあらわにしている。

 タイの有力紙らは、最近、ナパ氏が先の5日、夫、しゅうと、義理の姉妹など家族5人とともにタイ旅行会社を通じて韓国を訪れたが、仁川空港で入国を拒否され、侮辱的な待遇を受けて戻ってきたという記事を一斉に報じ「韓国に絶対行くな」と警告した。

 ナパ氏は、出入国管理事務所の職員から「あなたの夫と家族は帰国し、あなただけ入国するのはどうか」という皮肉ったことを言われ、パスポートを押収されたタイ人らが抗議したら「Shut Mouth(黙れ)」などと、ひどいことを言われたと主張している。

投稿: 真実を伝えるタイのマスコミ | 2007/01/02 13:21

 ナパ氏は出入国管理事務所の職員に外国人観光客に無礼な行動をする理由を尋ねたが、職員の英語が下手で通じず、職員がほっぺたを殴ろうとするふりまでしたと主張した。

 タイ人らが、韓国入りを拒否されたり空港で侮辱的な待遇を受けるケースは頻繁に生じていて、数回にわたってタイのマスコミに事件が報道されており、バンコク駐在韓国大使館と観光公社に抗議するなど問題になってきた。

 昨年韓国を訪問したタイ人はおよそ7万人に上るが、そのうち約3000人が入国を拒否されたものと伝えられている。

投稿: 真実を伝えるタイのマスコミ | 2007/01/02 13:22

北朝鮮の生焼け原爆よりも中共体制の動揺の方が日本国にとって面倒なことになりそうな気がします。2006年は胡錦涛が中共の権力闘争で勝利しましたが、さすがに中共自体を潰すほどの全面的な改革には踏み切れないでしょう。中共内部からの改革ではなく、中共に取って代わる新勢力(宗教勢力、黒社会、膨大な貧民層)が台頭することになりそうです。中共は、北京・天津グループ、上海グループなどに分かれて沿海部を掌握して、内陸部を支配する新政府との内戦状態に突入するシナリオが考えられます。日本政府は間違っても権益確保のためと称して派兵してはいけません。韓国なり米国なりにやらせれば良い。

投稿: 朝日将軍 | 2007/01/02 22:52

>中共体制の崩壊以外に中国の発展的変革はありえない!!!

私は、そこまで思いつめる坂 眞さんの根性を試したい。
直接中国大使館などに直訴されてはいかがでしょう?
ついでに、中共崩壊後の具体的なビジョンについてもお聞かせ
願えれば、大変嬉しく思います。

さあ、どうされますか?

中華人民共和国駐日本国大使館HP
http://www.fmprc.gov.cn/ce/cejp/jpn/

投稿: 匿名 | 2007/01/02 23:28

●明けましておめでとうございます。今年も『映画鑑賞&グッズ探求記 映画チラシin広島』をよろしくお願いします。

投稿: moviemania1999 | 2007/01/03 02:32

 今年も宜しくお願いいたします。ところでシナですが、昨年パパ・ブシュがコキントウと会談、ブシュは散々日本の悪口を言ったといわれています。すざましい権力闘争さなかのシナ、利用できるものは何でも利用しての現政権の存在を考えると、日本VSシナの構図の中でただで利用されない工夫が日本に求められていると思います。(日中友好云々は最低ですね。)小泉さんと違って安倍さんは対シナに引いた姿勢ゆえ、企業は活動が、やりやすい反面、騙されもする。自由度が高くなった替わりに、リスクも高くなったと思います。。いずれにしても世界巨大資本の手のひらの中の日本とシナ、ことしもシビアな戦いは続くと思います。

投稿: からす | 2007/01/03 09:38

 管理人様、あけましておめでとうございます。めでたさも、帰省ラッシュと共に早々に終わりですが。さて歴史は繰り返すとよく言われますが、常に破滅する道を選ぶ朝鮮半島、そして清の末期を思い出させる中国の無視できない影響力と愚かさ。日本は労働者には重税、経営者には法人税の減税で三池炭鉱などの労働争議が起きる直前のよう。
 我々日本人は歴史から学び、半島と中国大陸から距離をおいておけるでしょうか。今年はアジアからの移民問題や、北崩壊による難民の問題などで異常なほど外国人を受け入れたい草加、経団連、民主党などとネットを通じて闘う必要がありそうな予感がします。

投稿: 普通の国民 | 2007/01/03 09:55

2日の夜のゴールデンタイムのチベット鉄道賛美のNHKの報道。NHKの中国共産党の広報機関化ぶりがよく分かる非常識番組でした。中共はどのようにチベットを手に入れたのか、この鉄道の目的は何か等を少しでも考えれば、このような企画はあり得なかったはず。
いっぽうTBSのマヤ文明がなぜ滅びたかという番組は中国の崩壊を確信させる番組でした。あのTBSにしては珍しくよい番組でした。

投稿: 常識人 | 2007/01/03 12:33

あけましておめでとうございます。
今年1年いい年でありますように・・・

それにしても・・・難しい;
でも、ちゃんと知っていないといけないなって思いました。
それに読んでいて勉強になります。

投稿: 明奈 | 2007/01/03 13:56

あけましておめでとうございます。

「依存症の独り言」の主要テーマの一つであるシナ共批判ですが、独裁政権国家支那は国民の生活など第一に考える必要はありません。
シナ共の目的はあくまでも支那のアジア、そして世界における覇権にあります。
「調和のとれた社会の構築」も、その目的に沿うものであれば、それを建て前として口上するのもやぶさかではない、というぐらいのものでしょう。
そんな、所詮建て前でしかない話に面と向かって批判を述べた所で、さして意味はありません。
そもそも支那とは「一皿のスープを皆で啜(すす)り合っても、ズボンをはかなくても、核兵器を作る」(毛沢東)集団なのです。
日本人の感覚をもってしては推し量る事の出来ない集団です。

今後は勉強を優先させるという事ですので、是非、お勧めしたい本があります。
平松茂雄著「中国は日本を併合する」と伊藤貫著「中国の「核」が世界を制す」です。

平松茂雄氏については、下にあげる「正論」が参考になるかと思います。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/27772/

また、伊藤貫著「中国の「核」が世界を制す」については下の「正論」を参考にして下さい。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/15684/

自分が日本人として支那を見る際に決定的な影響を与えた二冊です。
特に伊藤貫著「中国の「核」が世界を制す」は全日本人必読の書です。

投稿: 杉本 | 2007/01/03 19:39

坂眞様、一寸時間が経ってしまいましたが、昨年の12月に「中国の研究開発費が、日本を抜き世界第二位に」というニュースがありました。(下記サイト以外でも、多くがこのニュースを報じました)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=1205&f=business_1205_010.shtml

しかしその一方で、上記と同じサイトでは数日前に「研究開発費:工業企業の投資拡大も世界とは格差」とも報じられています。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=1127&f=business_1127_008.shtml

これまで、一般に目にする情報では「中国の研究開発費の対GDP(国内総生産)比率は1%位で、日本等の先進国に比べて低い」とされてきました。
まぁ、軍事費同様、経済成長に併せ急激に研究開発費を増大させていることは確実でしょうし、榊原英資氏がテレビで言われているような徹底したエリート教育等で、先進国に追いつけ追い越せと躍起になっていることは間違いありません。我が国も安穏としては居られないと思います。
また一口にR&D費といっても使途の問題等一様に比較出来ないことも解るのですが、わずか数日間で、同じ事案に対するニュースのこの齟齬はどう理解したら良いのでしょう?
もし機会があれば、取り上げて解説頂けると有難いのですが・・。

投稿: 靖彦 | 2007/01/11 10:35

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