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2007/02/13

“腐敗分子”摘発にみる中共の権力闘争

以下は産経新聞・野口東秀記者の記事から引用。


中国の国営新華社通信などによると、党・政府幹部の「腐敗分子」の大部分に「愛人」がいる。

ぜいたくに愛人を囲う費用を捻出するため、わいろや公金に手をつけることが背景にあるが、逆に「愛人」に逆襲され、政治生命を終えた軍幹部もいた。

新華社電によると、調査・処分を受けた「腐敗幹部」の95%に「愛人」がおり、ある弁護士が関与した20人余の腐敗案件では愛人を囲っていないケースはなかったという。官僚の中には、公然と愛人を宴会や公共の場所に同行させる者もいる。

20数人の愛人を一同に集めた宴会を開いていたケース、140人余もの愛人をMBA(経営学修士号)の知識を使った方法で“管理”していた腐敗分子もいたとインターネットでは指摘されている。

昨年解任された幹部のうち、著名な事例では中国海軍の王守業・前副司令官の事例。香港メディアなどによると、王氏は1億6000万元(約24億円)の公金流用と収賄に手を染め、5人の愛人がいたという。

王氏は、北京などの自宅の電子レンジと冷凍庫、洗濯機に、換算すると約10億3000万円に上る人民元と米ドル、事務所の金庫に約5000万元(約7億5000万円)を預金した通帳を隠匿するなどしていたとされる。

愛人は軍の歌舞団などに所属、うち1人に子供ができ、その愛人からの数百万元の「補償」を拒否したため、愛人は北京市内の海軍施設前で連日、陳情ビラをまくなどしたため、調査が入り王氏は逮捕された。

関係筋によると、上海大型汚職事件の渦中の人物、陳良宇(ちんりょうう)・前党委書記にも複数の愛人がいたとされるほか、北京市の劉志華・前副市長、邱暁華・前国家統計局長も愛人がいた。(北京 野口東秀)

「酒池肉林」…中国腐敗分子95%愛人持ち、20人以上でパーティーも

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発展途上国で、政府高官や軍の高官が腐敗堕落している例はけっして珍しくない。が、中国はGDP(国内総生産)世界第4位の経済大国であり、軍事費も1989年以降2桁の伸びが続いている超軍事大国候補である。
このような国において、政・官・軍ともに深刻な腐敗堕落が中枢部において進行している。
これはわが国を含む近隣諸国にとっては看過できない事態である。

もちろん、わが国の政治家や官僚にも腐敗している事例が散見される。が、中国の場合は、その数もスケールも桁違いだ。
わが国においてはその腐敗堕落が体制的危機にまで及ぶことはない。が、中国はその危険性が非常に高い。

陳・前上海市共産党委員会書記は党中央の政治局員も務めていた大物であり、中国経済を牽引する一方の雄である上海を仕切っていた。また、彼は江沢民・前総書記の人脈に連なる。
彼の摘発は、胡錦濤・現政権と江沢民に連なる上海閥との暗闘(権力闘争)の結果とも言える。邱・前国家統計局長のケースも同様だ。

この事件(上海政変)から透けて見えることがいくつかある。

一つは党中央(胡錦濤政権)が目指す調和社会(和諧社会)に公然と異を唱え、そのためには経済指標(統計数字)さえごまかすという地方政権の独立王国ぶりである。
もう一つは、業者と結託して農民の土地を強奪し、一方において出稼ぎ農民(民工)を奴隷のごとく酷使するという中国型(上海型)経済成長が臨界点に達しているということだ。
数千万人にのぼる“失地農民”、今や1億人を突破したとも言われる無戸籍の民工。彼らの怒りは既に沸点に達しており、このまま事態を放置しておけば体制が揺らぐ。

昨今の相次ぐ政府・党官僚の腐敗の摘発は、胡政権としては民衆の怒りの暴発を未然に防ぐ―つまり怒りの矛先をかわすということだろう。
が、共産党(中共)組織及び政府・官僚機構を蝕んでいる腐敗の根は恐ろしく深い。それは軍も同様である。
腐敗の根は、共産党一党独裁という国家の統治形態そのものにあり、軍も国家のそれではなく“党の軍”であるというところに原因がある。

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ところで、香港の時事月刊誌「多維」の最新号(1月22日)は、中国人民解放軍の実質的統帥権者は江沢民元主席であり、胡主席はナンバー2にすぎないと報じた。
ことの真偽は不明だが、軍の内部でも胡錦濤派(団派)と江沢民派(上海閥)の壮絶な主導権争いが続いているのは間違いないだろう。海軍の王・前副司令官の摘発も権力闘争とは無縁ではなかろう。

先月のミサイルによる衛星破壊実験についても“軍の独走”という見方が出ている。米国のスティーブン・ハドリー国家安全保障担当補佐官は「胡首席は中国軍部によるミサイル発射について完全に知らなかった可能性もある」と述べた。
これは、実験後10日以上も中国政府が沈黙していた上、米国が経緯を説明するよう要求しても、駐米中国大使館は「本国に照会する」という回答を繰り返すだけだったからだ。
後になって事実を「公式に確認」した中国外務省・劉建超報道官の「宇宙平和利用の立場に変わりはない」「いかなる国にも脅威にならない」という発言(釈明)も、いかにも歯切れが悪かった。
これも真偽のほどは不明だが、先の潜水艦によるわが国領海侵犯が軍の独走で、中国政府には知らされていなかったことを考えれば、党中央(胡政権)が軍を掌握しきれていない可能性は高い。

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今秋行われる予定の中国共産党第16回大会を控え、首都・北京では党最高指導部の人事に関するあらゆる噂が飛び交っている―と香港の日刊紙「亜洲時報」が今月7日に報じた。団派が、ここで権力闘争にある程度の決着をつけようと目論んでいるのは間違いない。
おそらく、権力闘争がらみで今後も腐敗幹部の摘発が仰々しく報じられるのだろうが、それは団派のプロパガンダにすぎず、中共体制の腐敗体質はビクともしない―と見るのが正解だろう。

これからも政・官・軍の深部で団派と上海閥の主導権争いは続く。権力闘争―そこにおいては国民(人民)のことなど眼中にない。
17人の愛人をかかえ、毎日フカヒレアワビを食べる金満生活を満喫していたらしい北京市の劉・前副市長のような“腐敗分子”は、上海閥だけではなく政権中枢(団派)にも何食わぬ顔で居座っているに違いない。

権力闘争の帰趨がどう決着しようと、中共体制の腐敗堕落と人民の悲哀はとどまることがない。
そして軍の実権をめぐる暗闘が中国に政情不安をもたらし、それが東アジアの不安定要因になる可能性も否定しきれない。

参照:香港誌「胡主席は中国ナンバー2にすぎない」

関連エントリー1:反腐敗闘争は単なる権力闘争で終わるのか?
関連エントリー2:上海政変は中国を変えるのか?

【追記】
拙著『韓国が世界に誇る ノ・ムヒョン大統領の狂乱発言録』を紹介する携帯電話用のサイトを立ち上げました。ご覧いただければ著作の概要がご理解いただけます。
http://www.ms-s.net/w/view.php?uid=33573
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コメント

こんなことをやってる役人がいるんだから、
ある意味、まだまだ後進国なんだと思います。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
【中国】雲南:ペンキ塗って「山を緑化」に非難・失笑・落胆

        ( 中国情報局 2月13日14時54分)

雲南省昆明市内の富民県で、同県林業局がペンキを使って山の岩肌数千平方メートルを「緑化」していたことが明らかになった。新華社は13日付で「周辺住民も当惑を隠せない」などと報じた。

 現場は石の採掘場跡で、約10人の作業員が20日以上かけてペンキの塗布を行ったという。周辺は冬期であるために、低木などがくすんだ色を見せているが、「緑化作業」の対象地帯だけは鮮やかな緑色だ。

 低木地帯と岩肌の境目では、岩石の灰色を少しでも出さないよう、低木の枝や葉にも丁寧にペンキが塗られており、放置された空き缶が転がっている。ペンキの成分の環境への影響は明らかになっていないが、除去するのは不可能だという。

 新華社は「漫才のネタにもあった『ペンキで緑化作業』。失笑してしまうような話が、現実に行われていた」と批判。「それだけの費用があれば、山全体に植樹することも可能だったはずだ」という周辺住民の憤りの声を紹介している。

 このニュースに接した中国人からは「森林を保護し、植樹などを率先して行うべき林業関連部門が、緑化の大切さを理解していない。レベルの低さにがっかりしてしまう」といった声も聞こえる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070213-00000011-scn-cn

投稿: yuukoku | 2007/02/13 22:48

>中国はDGP(国内総生産)世界第4位の経済大国であり
GDP(Gross Domestic Product)です。

お気付きであれば、申し訳ないです。

投稿: | 2007/02/14 04:42

>GDP(Gross Domestic Product)です。

ありがとうございます。
うっかりミスです。
訂正しました。

投稿: 坂 眞 | 2007/02/14 09:00

17人の愛人を抱え、フカヒレ、アワビを食って居る、こう言う類の地方の権力者ゴロゴロ居るのでしょうね。

対シナ大陸対策、日本も真剣に考えていかないと中共の人輸出、国立大企業の大赤字、中小企業の偽物作り、偽者輸出と合せて世界に偽人間、偽物、犯罪を世界にばら撒く、近いところが豊かな日本、人の良い日本人、大陸を知り、偽者を排除する知識を身に付けていかないと酷い眼に合うと思います。

本当に日本人は人が良いと思います。核議論にしても、中川氏が言う様に「非核4原則」に成った。反対理由らしきものは、アメリカが許さない、核を持つメリットがない、唯一の核の被害国、平和国家の憲法が許さない、酷いのは近隣諸国が非難する等、何で日本に核が使われたか、敗戦時の悲惨さを反省しない民族だなあと感じますね。

中共の軍事力、世界覇権を狙って居るとしか思えませんよ、こんな国に対抗するのは「恐持て」の国の顔しか無いのですが、60年の平和が齎した弊害、初めから対抗しようなんて気概を亡くしている状況、中共はウハウハ。最近は軍艦の相互訪問の話、しかも日本の新聞紙は嬉しそうに「小泉首相の靖国神社参拝で滞っていた」と報道している、アホとしか言い様が有りません。


投稿: 猪 | 2007/02/14 17:01

NHKの深夜1時頃のニュースで珍しく、97000人もの中国共産党員が処分されたと伝えていました。
ただ、腐敗はどこの国にもあり、中国共産党員は7000万人もいて、割合から言えば特に多いとはいえない(笑)ので、中国共産党のシステムの問題ではないという中国政府の言い分も紹介していましたが。

投稿: るな | 2007/02/14 19:49

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