例の、米議会の慰安婦決議案、米国メディアでは話題にすらなっていなかった。ところがここに来て、外国メディアに潜り込んだ「反日」日本人(と思われる)ジャーナリストによって世論誘導が行われようとしている。
以下は産経新聞・古森義久氏のレポート。
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【ワシントン=古森義久】「慰安婦」問題で日本に謝罪を求める決議案が出ている米国議会で、最近の安倍晋三首相の言明の報道が、同決議案への反対派を混乱させるという屈折した現象が起きている。反対派は河野談話などを基に「日本がすでに非を認めて十分に謝罪した」という立場をとり、決議案推進派の動きを「日本の民主主義を無視している」と批判してきたが、安倍首相が慰安婦問題への日本の責任を全否定するかのように報じられたからだ。
下院本会議に出された「慰安婦」非難決議案に対し、議会内に反対勢力が厳存することは日本側ではあまり伝えられていない。だが2月15日の下院外交委員会アジア太平洋小委員会が開いた公聴会でも共和党のデーナ・ローラバッカー議員は(1)日本の首相や閣僚は慰安婦問題について1993年以来、何度も謝罪してきた(2)現在の日本国民を二世代前の先人がした行為を理由に懲罰することは不当だ(3)世界のどの国も過去には罪を犯してきたが、米国を含めてそれほど謝罪はしていない(4)決議案はいまの日本が米国の同盟国として人道主義を推進し、世界的にも重要な民主主義の旗手であることを無視するに等しい-などと述べて、決議案への反対を明言した。
(中略)
しかし、日本側の立場を結果として擁護する反対派の議員たちも2日、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストにより安倍首相の言明が「首相が性的奴隷への日本軍の役割を否定」とか「首相は女性が戦時の売春宿に強制徴用されたことを否定」という表現で報道されたことで、動揺を示した。
共和党のある議員補佐官は「わが議員も決議案に反対だが、もし日本当局の慰安婦へのかかわりや従来の謝罪がすべて否定されるとなると、賛成に回らざるをえない」と述べた。だが、現実には安倍首相は1日、記者団の質問に「当初、定義されていた強制性を裏づける証拠はなかった」と述べ、日本軍による女性の組織的な強制連行はなかったことを強調しただけだとされている。
日本側は今回、米国議会に対し「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明してきた」(加藤良三駐米大使の声明)という見解を同公聴会の開催前に積極的に伝達してきた。この声明は、河野談話を踏まえた形になっており、米側とすれば、日本政府がすでに慰安婦問題への軍の関与を認め、そのうえですでに謝罪をしたという認識だといえる。
ところが首相の新たな言明が、河野談話や従来の責任自認、謝罪などの一切を否定するような印象で米紙で報じられるとなると、決議案反対の米側議員も反対の根拠を否定されたような受け止め方になる。この点でも日本側の対応には緻密(ちみつ)な配慮が求められることとなる。
米議会の慰安婦決議案
米メディア「安倍首相 全否定」報道で反対派議員困惑 (産経新聞)
この決議案に関しては、在米の韓国系米人や、彼らを選挙区に抱える議員たちが騒ぎ立てているだけで、米メディアを始め世論は極めて無関心だと言われてきた。
ところが、安倍晋三首相の“狭義の強制性”=“旧日本軍による強制連行“を否定する発言を捉えて、米メディアが問題視し始めたのだ。
そこでは、安倍首相の発言を、悪意を持ってわい曲したとしか思えない報道がなされている。
私が「お薦めBLOG」に揚げている苺畑(ichigo)さんによると、火元はAP通信のようだ。
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【東京】日本の国粋主義総理大臣は木曜日、日本軍が第二次世界大戦中に女性を強制的に性奴隷としていた事実を否認し、同国歴代政府の謝罪に疑いの影を投げかけアジア近隣諸国とのもろい関係に危惧を及ぼしている。
1993年の性奴隷に関する謝罪を撤回しようとしている政治家のメンバーである安倍晋三の発言は「慰安所」といわれた軍売春宿に関して首相としてこれまでにない明確なものであった。
歴史学者たちによると1930年代から1940年代にかけて20万人に及ぶ女性たちが、主に朝鮮と中国から日本軍の売春宿で勤めたという。犠牲者の多くが日本兵に拉致されたうえ強制的に性奴隷にさせられたと証言している。
しかし9月に首相に就任して以来日本の学校において愛国心を促進する積極的な外交政策を取り入れてきた安部総理は女性たちが強制的に売春行為をさせられたという証拠はないと語った。
「事実として強制があったことをを裏付ける証拠がない。」と安倍氏は語った。(“The fact is, there is no evidence to prove there was coercion,” Abe said.)
氏の発言は1992年に歴史学者たちが発掘した日本軍が直接仲買人を使って強制的に女性たちを調達していたことを示す書類の証拠と矛盾することになる。
これらの書類は、売春宿は東アジアにおいて広がっていた占領軍による無制御な強姦に対応するため日本政府によって設置されたという犠牲者や兵士らの証言にと一致している。
~後略~
Japan's Abe: No proof of WWII sex slaves By KOZO MIZOGUCHI (AP通信記者)
このコーゾー・ミゾグチなる記者、明らかに偏向している。その偏向ぶりは、あのニューヨーク・タイムズのノリミツ・オオニシ(大西哲光)と五十歩百歩である。
このブログの読者であれば「今さら」と思うであろうが、まず「日本軍が第二次世界大戦中に女性を強制的に性奴隷としていた事実」という表現からして事実誤認、偏見のかたまりである。
「女性たちが、主に朝鮮と中国から日本軍の売春宿で勤めた」と言うが、もっとも多いのは日本人女性だった。
「1992年に歴史学者たちが発掘した日本軍が直接仲買人を使って強制的に女性たちを調達していたことを示す書類の証拠」などと書いているが、これも明らかにわい曲である。
この「書類」は、昭和13年(1938年)に出された陸軍省の「軍慰安所従業婦等募集に関する件」をさすと思われるが、これは「誘拐紛いの募集」などの「公娼制度を逸脱した違法な行為を禁止し、取締りを命じる通達」である。
ところがコーゾー・ミゾグチは事実をねじ曲げ、記事をねつ造してまで、安倍首相や日本政府を貶(おとし)めようとしている。そして、記事をもっともらしく見せるために、冒頭で「国粋主義の首相」と断定し、文中で「日本の学校において愛国心を促進する(政治家)」と形容することで、ことさら安倍首相が右翼的な国粋主義者であることを印象付けている。
これは、明らかに米議会(下院)に上程されようとしている「慰安婦決議案」を支援するための世論操作である。
国内の「反日メディア」=朝日新聞が、事実を突きつけられて沈黙したかと思えば、今度は海外メディアに潜り込んだ「反日」ジャーナリストたちが世界にねつ造情報を流す。
こいつらの執拗、かつ狡猾なやり口には、心の底から激しい怒りが湧き上がってくる。
まさに、国内外にネットワークを張りめぐらせた「反日」主義者たちが総力を挙げてわが国を攻撃している――そう捉えなければならない事態であると言える。
ところで、当然のことながらノリミツ・オオニシもニューヨーク・タイムズ紙上で偏向・ねつ造記事を書いている。(木走まさみずさん訳)
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【東京,3月1日,木曜日】安倍晋三首相は、日本の政府の長年の公的立場に逆らって、第二次世界大戦中の日本軍が性的奴隷制度を外国人女性に強制してきたことを否定した。
安倍氏の声明は、政府が否認する準備をしている、売春宿を設置し性的な奴隷制度に女性を強制したことに直接もしくは間接的に軍の関与を認めた1993年の政府声明からは、最も明確に遠いものとなった。 当時の宣言は遠回しに「従軍慰安婦」と呼ばれた女性たちへの謝罪も言及していた。
「当初定義されていた強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実だ」と、安倍氏は報道陣に発言。 「定義が大きく変わったことを前提に考えなければならない」(ichigo注:木走さんには申し訳ないが、英語の原文には「当初定義されていた」とは書かれていない。これはichigoが本文中で指摘した通り。)
アメリカ議会下院では、日本政府が戦時の性奴隷制度における軍の役割を「謝罪しかつ認める」ように呼びかける決議について審議を始めている。
しかし、同時期、日本の戦時の歴史を改訂しようとする最近の傾向が保たれている中で、与党自由民主党内の保守派は、1993年の宣言を無効にせよとの主張を促進させている。安倍氏は、一連のスキャンダルにより支持率が急降下し、リーダーシップが無いと認識されはじめているが、このグループ(保守派)に同調するようだ。
(以下略)
Abe Rejects Japan’s Files on War Sex By NORIMITSU ONISHI
それにしても、「狭義の意味での強制性を裏付ける証言はなかった。官憲が人さらいのごとく連れて行くという強制性はなかった。いわば『慰安婦狩り』のような強制連行的なものがあったということを証明する証言はない」(安倍首相:讀賣新聞)という発言が、AP通信やニューヨーク・タイムズの「反日」記者の手にかかると上記のようになってしまうのだから恐れ入る。
今月2日の読売新聞のインタビューで、今回の決議案の裏には「反日、反米、親北朝鮮の民間活動団体(NGO)などが絡んでいることもある」と、知日派の代表格であるマイケル・グリーン前・米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は答えている。
おそらく「慰安婦問題」の背後では、「拉致問題」をウヤムヤにしたい北朝鮮が暗躍しているのだろう。米民主党のマイケル・ホンダ議員や日本の岡崎トミ子参院議員などは、その主観的意図はともかく、この北朝鮮の陰謀に乗せられているのは間違いない。
では、わが国はどう動けばよいのか?
ここに難しい問題がある。それは、わが国が「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明してきた」と米国議会に対し働きかけてきたからだ。
だから米メディアの報道に、決議案に反対の議員も「決議案に反対だが、もし日本当局の慰安婦へのかかわりや従来の謝罪がすべて否定されるとなると、賛成に回らざるをえない」と動揺することになる。
また、「強制性があろうとなかろうと、被害者の経験は悲劇で、現在の感性では誰もが同情を禁じ得ない。強制性の有無を解明しても、日本の国際的な評判が良くなるという話ではない」(マイケル・グリーン氏)という見方も説得力がある。
で、靖国神社問題で日本の立場に理解を示したマイケル・グリーン氏も「米議会がこの問題に関与するのは大きな間違いだ」としつつ、「慰安婦問題で議会に呼ばれたら、残念ながら日本を擁護できない」と言わざるをえない。
つまり、日本が毅然とした態度を取らず、「既に謝罪済みの問題」という“逃げの姿勢”で問題を収拾しようとして来たことが完全に裏目に出ているのだ。もう、すっかり北朝鮮が書いた絵図にはめられている。
私は前回のエントリーで「わが国は早急にこの『談話』を見直し、撤回(破棄)しなければならない」と書いたが、ここはまず、“慰安婦決議案”の否決に全力を挙げるべきではないか。その上で「(河野)談話」の見直し―撤回を図る、事態がここまでこじれてくると、これがもっとも効果的だと思う。
「この点でも日本側の対応には緻密(ちみつ)な配慮が求められることとなる」という産経新聞・古森氏の指摘は、このあたりを指してのことだろう。
安倍首相は5日の参院予算委員会で「(河野談話を)基本的に継承していく」と改めて表明した上で、“慰安婦決議案”が米下院に提出されていることについて、
「決議があったから、我々が謝罪するということはない。決議案は客観的な事実に基づいていない。引き続き理解を得るための努力を行っている」
「そのときの経済状況もあった。本人が進んでそういう道に進もうと思った方はおそらくいない。間に入った業者が事実上強制していたケースもあった。広義の解釈では強制性があった」
と述べている。
「河野談話」を見直すのは当然だが、今は“実”を取るために一時的に我慢するのが得策なのかもしれない。
参照1:首相の慰安婦強制性否認発言、米各誌が批判 (苺畑より)
参照2:NYTノリミツオオニシ記事には気を付けろ! (木走日記)
参照3:慰安婦問題、米決議でも謝罪せず…参院予算委で首相 (讀賣新聞)
参照4:「慰安婦」歴史家に任せよ マイケル・グリーン氏に聞く (讀賣新聞)
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2007年3月4日現在
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