「物権法」は吉と出るか凶と出るか!
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今、中国では、地方政府と開発業者が結託して住民の土地を二束三文で強奪する事件が頻発している。
もちろん住民は強烈な反発を示しており、農村では暴動に発展するケースも珍しくない。
下の写真は、そのような中国の現実をあからさまに示す記念碑的画像である。
土地の明け渡しを拒絶しているのは重慶市の楊武さん。
開発業者の補償金が少なすぎるとして立ち退きを拒否しているわけだ。
業者が最初に提示したのは市場価格の7割。住民は低すぎるとして拒否したが、業者側が補償額を上積みした結果、退去に応じた。
が、楊さんの家は商売を営んでおり、しかも家が比較的新しい。そこで楊さんは商売の営業補償も要求したようだ。それに対する業者側の回答は、電気・水道を止め、楊さん宅の周囲をブルドーザーで掘削して道路もなくしてしまうという荒っぽい手段だった。
で、写真に見られるような文字どおりの“陸の孤島”が出現した。
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なぜ開発業者は、我々の常識では考えられない暴挙とも言える行動に出たのか?
それは中共率いる中国では土地の私有が認められていないからだ。
おまけに地方政府や司法までが業者と癒着している。
開発業者の目的は「地域を開発し、マンションやショッピングモールを含んだブロードウェイスクウェアを作る」ことだそうだ。そのような極めて公共性の低い営利目的の行為にもかかわらず、裁判所は「3月22日までに自宅を明け渡すこと」という判決を出した。
日本という法治国家に住み、基本的人権が法的に保障されている我々には理解できない現実である。
「200万元の補償金、あるいは世界の終わりまであの家にいるか」
開発業者側のセールスレディは言い放った。200万元と言えば日本円にして約16万円。ほぼ中国の平均的勤労者の年収に等しい。これで家・屋敷をふんだくられたのでは、確かに「ふざけるな」と怒るのも無理はない。
(訂正)
上記は為替の換算を勘違いしたまま書きましたので、文章全体が意味をなさず、よって削除します。
楊さんは2000万元を要求して徹底抗戦の構えだったようですが、和解(妥協)が成立した旨、先日の
中日新聞が伝えていました。
350万元+営業補償といったところか。
「楊さんの粘り勝ち」という声も上がっているようですが、中日新聞は、「物権法」が成立したので、今後は楊さんのような人が増えるのではないかと指摘していました。
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しかし、なぜこうまで農民や庶民の土地が理不尽に奪われるのか?
それは、経済は資本主義なのに法律は共産主義だからだ。つまり中国の土地はすべて国家に帰属している。
今回も、楊さんが同意していないのに、土地の使用権は既に開発業者側に移っているという。だから業者は電気・水道を止め、裁判所は「3月22日までに自宅を明け渡すこと」という判決を出した。
開発業者の「法定代表人」は地区政府の副書記長だという。
ここでも公権力を笠に着た共産党官僚と金儲けしか眼中にない悪徳資本家が結託して庶民を弾圧・搾取するという構図が見事なまでに出来上がっているのである。
で、楊さんだが、事件が中国国内のみならず世界的にも有名になったこと、冒頭の写真に見られるように民衆が楊さんの側に付いたことなどが幸いして、開発業者や当局との妥協が成立、無事、自宅から退去できたようだ。
これは5月1日付の中日新聞が報じていた。
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私は、下部構造が資本主義で上部構造が共産党独裁などといういびつな体制が長続きするはずがないと過去のエントリーで書いた。
今回取り上げた楊さんの事件が典型だが、全国的にも、主に土地収用をめぐる対立で暴動・騒乱が年間87,000件も発生している。
5月1日付の中日新聞には、上海万博のための再開発が進む中で、「万博が来ると聞いたときは誇らしかった。だが、現実は我々家族を不幸にしただけだ(要約)」という、再開発で土地を奪われた市民の怨み言が載っていた。
4月4日付の讀賣新聞にも、北京オリンピックで立ち退きを迫られ、最後まで抵抗すると、最初は不良グループの嫌がらせを受け、最終的には官憲の手によって強制的に家を追い出されるという老女の悲しい話が書かれていた。
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中国では、この3月、私有財産保護を明記した「物権法」が制定された。この法律が、市場経済がもたらした「社会主義の空洞化」をさらに加速させることは間違いない。
が、中共の狙いは資本家や外資の私有財産を保護するためであって、けっして一般大衆や農民のそれを保護するものではないと私は考える。
が、楊さんのように、当局や悪徳資本家の横暴に体を張って抵抗するような勇気ある庶民や人権活動家たちにとっては、この「物権法」は有力な武器になるはずだ。
中共が定めた「物権法」が吉と出るのか凶と出るのか。
土地や生産手段の私有を認めることは、市場経済を安定的に発展させる上で欠かせない。
が、それは、北京オリンピックや上海万博のために痛めつけられた庶民たちの怒り、
あるいは資本の利益のために理不尽にも土地を収奪された農民たちの怒り、これらが爆発する呼び水となる可能性もある。
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まさに2008年の北京オリンピック後、そして2010年の上海万博後から目が離せない。
パンパンにふくれ上がった風船が針の一刺しで一気に破裂するのか?
それとも極限まで風船はふくれ続け、自ら暴発するのか?
中共体制は間違いなく崩壊する!!!
参照1:重慶の強制立退き事件
参照2:House is an island
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2007年5月2日現在
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コメント
同様のコメントが多く寄せられているとは思いますが、200万元は2600万円程度ではないでしょうか。
投稿: 韓流の輪 | 2007/05/04 16:27
法治国家でない中共が「公共の利益」の為の「物権法」?法律なんていわれる代物では有りません「法」がまやかしそのものですね。
農民の土地・財産をふんだくった「中共」が、今度は共産党幹部や共産党員が「公共の利益」?の為に「私物化」しようとするものでしょう?
「物権法」自体が誰の為の「法」なのかを見れば「国有財産私物化法」と呼ぶのが正確で司法の「公正」など求められない中共では「混乱」の要因には成る、大きな「賭け」でしょう。
「賭け」を承知で「物権法」にゴーサインを出したのは「胡」ですね。チベットを弾圧・平定したのも彼、自信が有るのでしょう。言動を見ていると人権など「内政問題」放言、外国の企業を引き付ける算段のみで頭の中には有りません。住民だよりの崩壊待ち、内乱待ち、外圧が経済発展の中に企業と共に人質に取られた状況から1歩・2歩引いていかないとダメなのですがそんな兆候が見えない。
人口の20%が近代的な生活を享受すれば反乱も抑えられる、残りは「公共の為」「国益(共産党員)」の為?犠牲は仕方が無い。
こんな処を「落としどころ」にゴーサインを出しているのでは無いでしょうか?煙幕は日本を取り巻く「南京」「慰安婦」を遮二無二に出し話題を永延ばす事、大きくする事で、中共の人権問題を小さく扱わせる。
もう加藤・山拓・二階・河野はその線で操られていると考えすぎでしょうか?暴動が87,000件之をどの様に処理をしているのか?軍事と同じでさっぱり判らない。大都市を発展させ、後は観光地の回りを整理する外貨を呼び込む算段、見せたく無い所は得意の手、見せなければ良い酷い話ですが過去の「共産党独裁」が辿って来た手品の一種。怖い。
投稿: 猪 | 2007/05/04 16:42
韓流の輪さん
ご指摘ありがとうございます。
2007-05-04 15:35(日本時間)現在、1元=15.62円です。
http://yahoo.searchina.ne.jp/exchange/
2,000,000×15.62≒31,130,000になると思います。
訂正いたします。
そう言えば、5月1日付の中日新聞の記事に「楊武さんは粘り勝ちをした」と言われていること。
「物権法」が制定されたら楊さんのような人がたくさん出てくる可能性がある旨のことが書いてありました。
やはり楊さんは闘った結果、相場以上の補償金を得たと理解するのが妥当だと思います。
それにしても為替レートを逆算するなんて、慣れない連休で疲れているのかなあ(笑)
投稿: 坂 眞 | 2007/05/04 17:04
猪さんのご意見にほぼ同意です。
取りあえず、江拓民の桎梏から脱した胡主席の政権維持に対して課せられたモノは間違いなく「繁栄の維持」でしょう、繁栄を維持するには、外資への魅力を復活させる施策が必要になりますから、物件法は、その為のエサと考えて良いと思います、但し、シナのことですから時限的な性格が潜んでいると考えて良いでしょう、しかも飽く迄、外資企業向けのみの話しだと、私も思います。
もし大衆相手に、私有財産を今更認めるなんてマネをすれば、既に土地を不法に取り上げられて流民化して居る民衆4億人が暴動を起こすでしょう、彼等は生産手段を奪われて悲惨な生活をしていますから、一斉蜂起するに足る理由があれば、何時でも立ち上がるダケの恨みを募らせていると思います、ソウでなくとも、座して死を待つより、乾坤一擲でしょう。
伝え聞くに、シナ歴代王朝の崩壊パターン宜しく、地方官僚組織の腐敗、財政の封建領主化が始まっているようです、私兵の徴募は未だ行われていませんが、人民解放軍の地方軍組織が中央との乖離を次第に深めれば、同じ事になります、そうすれば、群雄割拠で内乱状態が予想されますが、胡主席が昨年行った、軍の給与の大幅上昇(1.5~4倍、平均2倍)が奏効して軍幹部の暴走発言が成りを潜めています、ドウセ、北京オリンピック迄、曾慶紅達太子党に様子観させると言う約束を取り付けているのでしょう、バーターは一体何か判りませんが。
怖いのは、北京オリンピックがボイコットを食らって開催されないとか、大会中に大暴動が発生して、中止せざるを得なくなる様な事態です、胡政権も、命が惜しいでしょうから、暴動鎮圧に大きなエネルギーを割く事になる、地方が呼応して鎮圧が長引くと、国際的な信用は当分回復せずシナの経済は間違いなく破綻します。
それは上海万博でも同じ事でしょう、胡主席達はこのハードルを2つも越えなければ成らないワケです、彼等の目指しているのが、シナの経済を破壊せずこのままの状態で外資との友好関係を保って、資本主義社会に移行・軟着陸させようと言う目論観なのなら、その最大の危機は、私有財産を認める、乃ち、共産主義体制を止めた瞬間に訪れるのだと思います。
そう言う意味で、この物件法は、その序曲なのかも知れませんね。
温家宝は、嘗て江派の一員でしたが今は胡の右腕です、その彼が、民主化は後10年やらないと言っていますから、その言辞を信じれば、この10年で、経済を完全に資本主義化すると言うことでしょう、でも、共産主義の理想を捨て切れていない共産シナの扱いをどうするのか、これからが見物です。
投稿: ナポレオン・ソロ | 2007/05/04 18:08
こんばんわ。いつも楽しみにしています。
早く共産党体制崩壊して欲しいですね!!
…って気楽に言ってはいけないのかもしれませんが、やはりリーダー達のとんでもない発言・行動を見るとそう思います。
庶民・農民から搾取しつつ自分達はちゃっかり海外に子女を留学、海外の銀行に汚職で得た資金を預けて崩壊後の逃亡準備完了!
…んなこと許されるか!
崩壊後は文化大革命ばりの共産党員大総括をやって欲しいです。
…さすがにそれはちょっと過激かなあ。まあとにかく大混乱になるでしょうからそれまでに日本国内にも正しい情報を流布しておいて、不法入国者を水際で止める準備をしておかなければいけませんね。
トンデモ発言で失礼しました。
投稿: おれんじ | 2007/05/04 21:42
中共も中共ですが,お隣もまたまた東海論争をIHOに出すそうですね。いつになってもネタが尽きない特ア諸国ですね。
投稿: 正成 | 2007/05/04 22:08
記事とは全く関係ない事で恐縮ですが、こんな投稿を見つけました。これ、ホントでしょうか?
人気ブログランキングの政治ランキング(←クリックでランキングに飛びます)で急に20位以内に入ってきた『韓国によって創られた日本という国』というブログがあります。
で、その冒頭に
ブログランキング 1位博士の独り言
ブログランキング 2位極右評論
ブログランキング 3位依存症の独り言
ブログランキング 4位この国は少し変だよ
ブログランキング下位韓国によって創られた日本という国
というリンクが貼られています。
ところが、各リンクのプロパティを開くとアドレスはすべて
http://blog.with2.net/link.php?460184になっています。
つまり、クリックするとすべてが『韓国によって創られた日本という国』のポイントになる仕組み。
ちょっと信じられませんね。
ちなみに、このブログ主、「在日」ではなく「現役の韓国人」
ぽいらしいですよ。エントリーの内容からして。
皆さん、けっしてクリックしないで下さい。
投稿: 血祭 | 2007/05/05 00:51
中共が済南事件の捏造を始めたようです→http://www.recordchina.co.jp/group/g7715.html
投稿: tarochan | 2007/05/05 01:26
管理人様、いつも拝見しています。
中国の異常さには驚かされますが、一方で今の日本社会が正常だとも思えません。
私が住む福岡市南区にバイパス道が3年前に完成しているのに、途中の民家2軒が立ち退かない為に開通できない道があります。卑怯者の私は「誰かが放火してくれないかな」と本気で空想しています。日本全国にそういう場所がいたるところにあるはずです。
首都圏の外環状道路を美濃部時代に造っていたら、破格のコストで完成できたとは石原都知事の弁です。成田闘争や沖縄反戦地主の闘いの裏で、我々は莫大な遺失利益を見落としていることにも注目すべきです。民主主義にはコストがかかるのだと頭では理解しようと努力するのですが、皮膚感覚からすれば中国がうらやましく思える時があります。
私権と公益を考える時、いつも思い出すのが今村昌平監督「楢山節考」のワンシーンです。ある夜、村の掟に従わない子供を含む一家全員を、村人総勢で生き埋めにして殺す場面です。姥捨て山も間引きも忘れ去られた悪習ですが、全体の利益を守る為に日本人には本来そういう因習を許容するマインドがあったことも事実です。
あの時代に戻れるはずはありませんが、今の行き過ぎた私権・人権を制限するルール作りも必要だと思います。さもなければ放火された被害者が同情されない社会がうまれるはずです。
投稿: 純国産 | 2007/05/05 02:08
はじまして。二十代の新参者です。 。
私の会社の先輩に教えてもらってから、毎日のように拝見させてもらっています。
自分もまだまだ勉強中で、自分なりの意見というものを持ってはいませんが、紹介している記事には共感する部分が多く、加えて納得の出来るものが多いので、いろいろと勉強させてもらっています。
御身体に気を付け、これからも頑張ってください。楽しみにしています
投稿: tokisaka | 2007/05/05 12:30
あ
投稿: か | 2009/04/10 09:49