« 中国製品は「死と背中合わせ」 | トップページ | 大陸中国は、戦前から一歩も進歩していない »

2007/06/23

「右」のブントでありたい

私が、かつて「極左」に属していたことは、既に何度も書いた。ただ、「極左」と言うのは日本共産党(日共)が名づけたもの(極左暴力団)で、われわれは「新左翼」とか「革命的左翼」と称していた。
その「新左翼」の中で、私は「ブント(Bund)」という組織の一員だった。「ブント」というのはドイツ語で「同盟」を意味し、「パルタイ(Partei)」である日共とは明確に違う「共産主義者の組織」であることを示していた。
「パルタイ」はドイツ語で「党」を意味し、英語の「Party」に相当する。
つまり、日共から排除された学生党員たちは、マルクスとエンゲルスが史上最初に作った共産主義者の組織・共産主義者「同盟」を名乗ることによって自らの正当性をアッピールしたのである。

私は、今でも「ブント」の一員であったことに「秘かなる誇り」を抱いている。当時の日本を席巻した全共闘運動は「ブント」の存在なくしてはありえなかった。

全共闘のモットーは「別個に立って共に闘う」だった。つまり、多少の主義主張や立場の違いはあっても目標が一緒であれば手を携えて闘う―これが全共闘だった。
これは「排除の論理」に支配された日共主導の左翼運動に対する強烈なアンチテーゼ(Antithese)だった。
当時の左翼は、大衆運動とか統一戦線とか言いながら、その実際は他組織を侵食する、あるいは大衆を囲い込む便法にすぎなかった。
全共闘は、そのような既成左翼や日共の欺瞞的手法に「No!」を突きつけたのである。

同じ新左翼であっても、革共同両派(革マル派と中核派)の本質は日共と同じだった。少数の前衛(職業的革命家)が無知蒙昧な一般大衆を指導する―これが彼らの考え方である。そこにあるのは自らの絶対的な無謬性、つまり自分以外はすべてが間違っているという思想―独善である。
これが100人近い死者(廃人は数知れず)を出した革マル派と中核派の内ゲバを生み出した。
この「前衛神話」=「党の無謬性」という点においては、革共同両派と日共はまったく同じである。だから、少しの意見の違いで相手を抹殺しようとする。

その点、「ブント」は違った。「ブント」は「同盟」を名乗りながら、主義主張は十人十色。一人一人言うことが違い、「一人一党」と揶揄されていたが、私はそれが「ブント」の良さだと思っていた。
要は、「ブント」自体が統一戦線、「別個に立って共にに闘う」組織だったのである。だから全共闘運動の中で「ブント」はもっとも大きな存在感を発揮した。
東大闘争、中大闘争、明大闘争、京大闘争などはブント主導だった。もちろん日大闘争など、全共闘(ノンセクト)主導のものも多い。が、革共同両派(革マル派と中核派)に主導された学園闘争なんてない。

今の私は、共産主義そのものが間違っていると思っている。だから、振り返れば、当時の「ブント」の主張そのものが「マンガ」だったと自覚している。
ただ、今の私はどちらかと言えば「右」にいるが、「右」の勢力の中にも左翼の裏返しみたいな連中が多い。自らの無謬性を声高に主張し、異なる意見を暴力的に(言論を装いながら)攻撃する。
私は、こんな連中に同調することもないし、ましてや屈服することもない。

「右」であれ「左」であれ、人間存在は自由でなければならない。それは肉体的にはもちろん精神的にも。
それを束縛する勢力―宗教、あるいは政党にもそういう連中が跋扈している。
私は、そういう勢力と命を賭して闘う。

※「ブント」から日本赤軍や連合赤軍の「一部」が生じたことに深い反省の念を抱いています。

|

« 中国製品は「死と背中合わせ」 | トップページ | 大陸中国は、戦前から一歩も進歩していない »

個人」カテゴリの記事

コメント

>「右」であれ「左」であれ、人間存在は自由でなければならない。それは肉体的にはもちろん精神的にも。

ここは強く同意します。ただし、これは非常に難しいことではあるかもしれません。可能な限り多様な意見を調べ、柔軟性を失わないようにしたいと思っています。

投稿: t03s828e | 2007/06/23 22:09

(新しい教科書を)つくる会において、似たような教科書をつくるなといっている人物がいる。
彼らは、サヨクの独善的な奴らと同じ穴の狢ですね。

投稿: 同感です | 2007/06/23 22:22

自らの無謬性を声高に主張し、異なる意見を暴力的に(言論を装いながら)攻撃する。
→確かにこういう事は往々にしてありますね。私も気をつけなければいけないと思います。

冷静さ、客観性は常に必要ですね。保守主義の方々の中にはそうした要素を持っている人が多いとも思うのですが…。

投稿: おれんじ | 2007/06/23 23:14

いい文章ですね。
深く感じさせられました。
何だか勇気が出ます。
有り難うございました。

投稿: そんそん | 2007/06/24 05:35

篠田邦雄さんにお世話になった事があります。
西部邁さんも元ブントですか?

投稿: たがみ | 2007/06/24 10:19

 いい文章でした。これからも楽しみに読ませていただきます。お時間の許す限り更新お願いします。

 ところで、社会主義革命理論の専門家である坂さんに伺いたいことがあります。今の中国は、増大する格差、官の腐敗、生きる手段すら奪われる多数の人民の存在と、革命が起こる要件がそろってきているように思います。

あの国で、市民蜂起→革命というのは起こりませんかね。

投稿: 三等水兵 | 2007/06/24 11:07

たがみさん、こんにちわ。

篠田邦雄さんも西部邁さんも第一次ブント、つまり60年安保を闘った草創期のブントのメンバーです。
私は第二次ブント(再建ブント)の終わりころに参加しました。つまり70年安保世代ですね。

第一次ブントの「みずみずしさ」を喪失した連中が、第一次ブントの崩壊後、革共同に乗り移ったのです。
そして革共同の独善性、セクショナリズムを嫌悪したメンバーが第二次ブントを再建した。
つまり、ブントは生まれながらにして革共同(革マル派と中核派)とは異質だったのです。

だから全共闘運動の衰退とともにブントも崩壊した。逆に言えば、ブントの分裂と崩壊が全共闘運動を衰退させた。
ブントというのは、どこまで行っても「党」ではなく「運動体」だった。だから「多様な考え」が組織内に共存できた。
私は、「右」の勢力にこういう組織ができたらなあ、と思います。

投稿: 坂 眞 | 2007/06/24 11:14

三等水兵さん

>今の中国は、増大する格差、官の腐敗、生きる手段すら奪われる多数の人民の存在と、革命が起こる要件がそろってきているように思います。

>あの国で、市民蜂起→革命というのは起こりませんかね。


私は過去のエントリーで、高邁なイデオロギーや神聖なる宗教心に基づいた革命も、その実際は「パンを得ることができなくなった大衆」の膨大なエネルギーに依拠していると書きました。
そういう意味では、既に中共に対する怨嗟の声が充満している中国で、鬱積した「大衆のエネルギー」が爆発することは大いにありえます。

その危険性を察知しているからこそ中共は「反日・愛国」を煽り、有人宇宙船を飛ばし、軍備を拡張する。
つまり世界の大国「中国」を国内に向けて宣伝しているのです。
また、膨大な不良債権を隠蔽したまま、いびつ極まりない経済成長に猛進しています。
そして言論は徹底的に統制。

しかし、政治体制も、それを支える経済もますます矛盾が深化しています。
党官僚たちの底なし沼の「腐敗と堕落」、膨大な額の不良債権、飲み水さえ満足に確保できないほどの深刻な環境汚染、初期医療も満足に受けることができない膨大な数の民衆の存在。
パンパンに膨れ上がった風船は、針の一刺しで爆発する。

ただ、それは「市民蜂起→革命」とはならず、「暴動の頻発と拡大→中共体制の崩壊→大混乱と混沌→内戦→大量の難民発生」という極めて難儀な状況を東アジアにもたらすと思います。

投稿: 坂 眞 | 2007/06/24 11:46

>「暴動の頻発と拡大→中共体制の崩壊→大混乱と混沌→内戦→大量の難民発生」という極めて難儀な状況を東アジアにもたらすと思います。

同感です。
13億人のごく一部、といっても数千万人、が日本に逃れてくることになれば、国内は大混乱に陥るでしょう。それだけでなく、日本という国家自体が消滅するかもしれません。「人道的配慮」をかなぐり捨てて、領海に入ってくる難民船を片っ端から撃沈する、などという「蛮行」をこの平和ボケした日本国民に期待することはできないでしょう。
元寇以来の国難が目前に迫っています。

投稿: stopchina | 2007/06/24 13:21

管理人坂 眞 さま

>中共は「反日・愛国」を煽り、有人宇宙船を飛ばし、軍備を拡張する。

私は別の方のブログにも書かせていただきましたが、台湾人と日本人が何のわだかまりも無く政治や経済について語り合えるように、中国人と日本人が気の置けない間柄になって欲しいと願っている者です。
政治に気を使って口もきけないようでは、友人になる事は絶対にできませんが、残念ながら、日本人と(大陸の)中国人が真の友人になる日は、そういう訳でかなり先のことになると思われます。
近所に住んでいるのに、残念でなりません。

などと書くと「支那の走狗!」などと罵声が飛んでくることが多々あるのですが、私は中道右派を自認しており、共産党が大嫌いな人間です。
また民族と国家は別のものと考えていますので、在日華僑や華人(時に台湾人をも含む)を叩きまわる「自称保守」(擬似右翼、または似非保守、あるいは別の何か)の人々の心中は理解しがたいものがあります。

私も多様な保守の一人かも知れません。
今後個人的に中国人を叩く事はありませんが、中国共産党を批判する事は多々あると思います(笑)
これからもよろしくお願いします。

投稿: | 2007/06/24 14:05

坂様。
初めて投稿させていただきます。今まで、貴ブログを日課のように楽しみにしてきた者です。
さて、本日のエントリーには驚かされました。なんというのか、複雑な気分です。

私もまた、あの時期、関東のブントのある一派に属しておりました。貴兄が関西派に属していたであろうことは想像に難くありません。貴兄とまったく同じ生まれ年ですから、高校の時に全共闘をかぶり、大学の頃は内ゲバと爆弾闘争しかなかった世代だと思われます。

坂様。
その中からそのような荒廃した「内ゲバと爆弾」の流れを作り出した張本人はまがうことなく共産主義者同盟赤軍派だったのではないのでしょうか。共産主義者同盟、つまりブント、さらに言うとその中の最武闘派であることを誇った関西ブントです。

>「ブント」は「同盟」を名乗りながら、主義主張は十人十色。一人一人言うことが違い、「一人一党」と揶揄されていたが、私はそれが「ブント」の良さだと思っていた。
貴兄は過去を美化していらっしゃいます。ならばどうして毎月の日比谷野音でのブント内部の醜い内ゲバが恒常化されていたのか。また、同盟議長の仏氏をリンチしあろうことか放置するような冷酷なことができたのか。

貴兄は今回のブログの最後でこう書いていらっしゃいます。
>「ブント」から日本赤軍や連合赤軍の「一部」が生じたことに深い反省の念を抱いています。
この内容をどこかでぜひお話いただきたい。私はこの連合赤軍という日本近代史に特筆される陰惨なあの事件は、あなたのおっしゃる闊達で運動でのみ結ばれるブントのいったいどこから発したものなのでしょうか?

赤軍派が分派した時、もっとも衝撃を受け、その最良の部分を赤軍に行かせてしまった関西ブントとは何者なのでしょうか?一人一派というだけなのでしょうか。違うと思います。
革共同、日本共産党という「前衛神話」=「党の無謬性」でくくり、その対極で「ブント」という構図は非常に分かりやすい。しかし、そのように単純なのだったとは、残念ですが、同時代を生きた私には了解がつかないのです。

投稿: ゴメスの名はゴメス | 2007/06/24 16:37

前衛党神話に本気で対応し(ようとし)たのは解放派だったと思います。革マル派との内ゲバ戦になり、ついには仲間内で殺しあったのは本当に残念です。ブントの理論ははっきり言って訳わからないですが、唯一前衛党を求めた挙句、バラバラになったのではないでしょうか。

ブントと解放派は「つるや連合」や「三派全学連」とか結構親和性があったように思うのですが、この辺どうなんでしょうか。

投稿: | 2014/07/13 19:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91171/15533615

この記事へのトラックバック一覧です: 「右」のブントでありたい:

» 中国「南京大虐殺否定は右翼」by赤旗 [ネトウヨのブログ]
 中国が、各紙で「南京大虐殺否定は右翼」としているようです。なお、言論の自由の存在しない中国におけるメディアは事実上国策メディアです。  赤旗より転電します。 中国各紙が批判  【北京=山田俊英】自民党議員がつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が十九日、一九三七年の日本軍による南京大虐殺について中国が主張する三十万人の犠牲者数を否定したことについて、二十一日付の中国各紙が批判しています。  人民日報が主管する国際問題紙の環球時報は、南京大虐殺を「(自民党議員が)虚構だと公言した」と伝... [続きを読む]

受信: 2007/06/24 14:19

» 改憲手続き法が民主主義破壊の上に軍靴の響きと共産党 [ネトウヨのブログ]
 共産党が、改憲の動きなどを評して、民主主義を破壊するという論説を発表していました。さて、改憲可能とされる憲法を改正するための手続きを定めて、民主主義破壊とはこれいかに。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-06-25/2007062513_01_0.html 列島だより 「教え子を戦場に送らない」 行動する教師たち  安倍自公政権が改悪教育基本法や改憲手続き法など戦後の民主主義制度を壊し始めています。その内閣の足元から、自衛隊の国民監視という“軍... [続きを読む]

受信: 2007/06/25 23:23

» りか12才は第2の赤井邦道!?(笑) [★★反日ブログ監視所★★]
朝日新聞「声」に12歳の反日小学生の投稿が掲載された。赤井邦道(漁師)の再来??? いかにも「釣り」っぽい・・・。 住所を「座間市」として、反基地運動のプロ市民との関連性を匂わせ、名前を「尾崎」として、尾崎豊に共感しない近頃の青少年のアンチ反体制的志向を嘆いた朝日新聞の「尾崎豊特集記事」を揶揄しているのではないだろうか。 祭りの予感がwww 朝日のアカ投稿   ←今、ここ ↓ 2ちゃんねるで�... [続きを読む]

受信: 2007/06/26 00:14

« 中国製品は「死と背中合わせ」 | トップページ | 大陸中国は、戦前から一歩も進歩していない »