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2007/08/26

自由と民主主義は普遍的価値ではない

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

民主主義の起源は、紀元前のギリシャの都市国家(ポリス)の一つ、アテネにあるとされる。
当時のアテネでは、18歳以上の男子全員で構成される民会が司法・立法・行政の最高機関になり、直接民主政治が行われていた。

ここまでは、中学校の歴史教育で教えられる(少なくとも私の時代はそうだった)。
が、この民主主義が、奴隷制で成り立っていたことは教えられない(同)。

当時のアテネは市民が18万人。これに対し奴隷が11万人もいた。この奴隷は言葉をしゃべる“家畜”。人間としての権利など全くない。この奴隷ののおかげで、ぶらぶらして暮らせる市民たちの民主政治、それがアテネの民主主義だった。

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アテネ以来2000年以上が経過して、再び人間社会に民主主義が登場する。
18世紀後半のアメリカ独立革命、それに続くフランス大革命。
フランス大革命では、自由・平等・博愛の近代市民社会の諸原理が掲げられ、それがその後の民主主義の土台になった。

このときのアメリカ独立革命とフランス大革命で確立された価値観が、その後“自由と民主主義”として欧米諸国に波及していく。
そして、財産権の保障、思想・良心の自由、信教の自由、言論・表現の自由、結社・集会の自由、居住・移転の自由、職業選択の自由などの、基本的人権が尊重される社会が実現する。

が、ここで我々は次の事実に留意しなければならない。
19世紀から20世紀前半にかけて欧米で実現された、この“自由と民主主義”は、アジア・中東・アフリカに対する植民地支配の上に成り立っていたということだ。
欧米の民主主義諸国よりはるかに広大で人口も多いアジア・中東・アフリカが、過酷な搾取と収奪の対象になっていた。そこでは“自由”や“民主主義”は、まったく別世界の価値観だった。

つまりアテネの民主主義は奴隷制で成り立っていたが、戦前の欧米諸国の民主主義は植民地体制で成り立っていたということだ。

構図はよく似ている。

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戦後、アジア・中東・アフリカの多くが独立する。
世界体制は、自由貿易と世界市場、それを前提とした水平分業に移行する(共産圏は除く)。
これは、戦前の「ブロック経済―垂直分業」が第2次大戦を招いたことの反省による。
この戦後世界体制(ブレトンウッズ体制)は比較的うまくいった。が、ここでも“自由と民主主義”は普遍化していない。中東やアフリカ、中央アジアには独裁国家が多い。

これは、自由貿易と世界市場が、その後グローバリゼーションを進行させ、「富める国」と「成長途上にある国」と「貧困な国」に世界をはっきり色分けしたからだ。
で、「貧困な国」が圧倒的に多い。
そういう国では軍部が独裁支配するか、権威主義的政権が独裁支配するか、宗教が独裁支配するかのいずれかである。

つまり、戦後においても、経済はグローバル化したが、“自由と民主主義”はグローバル化していないのだ。この“自由と民主主義”のグローバル化を拒むのは“貧困”である。
で、グローバリズムが世界標準になっている限り“貧困”は解消されない。

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グローバリズムの恩恵を最も受けたのは中国だろう。外資が中国成長の原動力になった。次がASEAN。インドネシアやタイ、マレーシアの成長も外資のおかげだ。ベトナムもきっと成長するだろう。
中国を別として、ASEANで“自由と民主主義”が発展する可能性は高い。

が、中東やアフリカ、中央アジアは別だ。
同じ旧植民地でも、中東は貧困の解消を求める民意が宗教(イスラム教)に流れている。アフリカは、それ以前の段階。つまり、民意の前提となる教育さえ満足に普及していない。
中央アジアもそうだ。前近代からいきなり共産党独裁になり、で、いきなり共産党が崩壊。歴史的にも文化的にも民主主義的価値観とは無縁。

こういう国を前にして“自由と民主主義”を錦の御旗として掲げること自体が馬鹿げている。“自由と民主主義”は、確かに人類が獲得した基本的価値だとは思うが、それが普遍的価値かというと疑問が残る。

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グローバリズムの真髄は、一言で言えば“優勝劣敗”である。そこでは国の、企業の、あるいは個人の競争力が厳しく問われる。
で、このグローバリズムの原理から疎外された国、企業、個人が大勢いる。
つまり、貧困に支配された国、企業、個人だ。

これを無視して、“自由と民主主義”を世界のスタンダードとして掲げ、強制しても、それは混乱と争いを招くだけだ。
私は、米国の誤解というか、思い上がりというか、今のイラクにおける失敗をそこに求める。

国も、企業も、個人も、自らの将来を決めるのは、それら自身でしかない。外から価値観を強制してもうまく行くわけがない。
イラクが“自由と民主主義”の国家になれるかどうかなんて、それはイラクとイラク人の問題・責任であって、米国がとやかく言うことではない。と言うか、言っても意味がない。

“自由と民主主義”は人類が獲得した基本的価値だが、それは未だ普遍的価値ではない。その国のあり方は、その国の国民自身が決めるしかない。外から押し付けても無理だ。
もちろん、人権侵害や違法・不法行為は糾弾しなければならないが、よその国を自らの思いどおりに変えようなんて、驕り以外の何ものでもない。

イラク戦争は、きっと失敗する!!!

参照:第10回  古代ギリシア(2)

【追記】
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コメント

イラクで石油が採れなくなったら、アメリカはどうするんでしょうか?その時こそアメリカの本音が露呈するような気がします。自由と民主主義の押し付け?善悪はともかく、はたしてそれがアメリカの本音でしょうか?

投稿: 読者 | 2007/08/26 22:12

スターウォーズなんていう、民主主義賛美映画(実際見てないからどうか知らんけど)が、
神話扱いされている国なんですからお里が知れるってもんでしょ。
所詮「最悪のシステムだが、しかし、それ以外のどのシステムよりもマシ」以上でも以下でもないんですがね。
資本主義にも同じ事が言ますがね。

投稿: あかさたな | 2007/08/26 23:01

確かにアメリカ合衆国の尊大さ、無知さは目に余りますね。
アメリカ人と話していて気づくのは、腹黒い頭の切れる奴か、無邪気な馬鹿かの両極端があまりに多い。
アメリカは戦後も、ほんの40年ほど前までは黒人に対する目に余る差別を国家として許していたことすら忘れています。
ワートレがテロで倒壊させられても反省はおろか、逆襲、復讐することしか目にありませんでした。(一部には「なぜわれわれは嫌われているのか?」という特集を組んだ雑誌はありましたが、、結局が怒りにかき消されてしまいました)。
でも戦前の日本が朝鮮に対して行ったことも、このアメリカのナイーヴさに似ていると思いませんか?
英国人の友人と英国の植民地支配と日本のそれとを比べて討論したことがあるのですが、彼は「英国は非植民地国の文化をできるだけ尊重して(私に言わせれば利用して)統治・支配した。だからあれほどうまく、しかも今も関係がうまく行っている。植民地国の、人民の名前を変えさせるなんて信じられない蛮行だ」。といってましたね。
日本はナイーヴすぎて良かれと思って、朝鮮人に良かれと思って、親切の押し売りをしたのかもしれません。他国を統治するなんて日本国の歴史になかったんですから。
もっとも当時の世界情勢はゆっくりした統治体制の確立を許すものでもなかったでしょうし。
やはり欧州の歴史は略奪,争い、戦略、の2000年。
「和を以って貴しとなす」の歴史とあまりにかけ離れています。

アメリカのこの馬鹿さ加減は、たかが200年の歴史(それすら奴隷制度や人種差別で成り立っていた)の底の浅さなんでしょうか?

投稿: 転びバテレン | 2007/08/27 00:14

 管理人様、「待ちぼうけ」という歌があります。ウサギが勝手に木の切り株に頭をぶつけ、何もしなくとも獲物になる歌です。米国は英国を除けば日本が最初の海外での戦争でした。国力の差と戦争観の違いで日本は降伏しましたが、その占領モデルが米国の戦争への姿勢を決定したのかもしれません。すなわ「あの日本を米国が民主化に成功した。」と。ベトナムの共産化阻止、アフガニスタンの民主化、イラクの民主化、その際に繰り返し言われるフレーズです。1992年ビル・クリントンが大統領に選ばれるの時でしたか、ロス・ペロー氏が「中国は民主化可能だ。なぜなら我々はあの日本の民主化に成功した。」と言っていました。
 米国の報道で、日本に関するイメージは民主主義とは正反対だったからでしょうか、「我々アメリカが日本を民主化させた。」とのまちがいが、まるで「待ちぼうけ」の歌の主人公のように米国の「異文化に対する研究」を怠けさせ、その結果米国の若者が今も戦争で死んでいるわけです。「大正デモクラシー」の言葉を生み、議会制民主主義を行っていた戦前の日本はまったく米国では知られていません。現在でも中国や米国では外国の報道は非常に少ないようです。
 イスラム文化に対する潜在的な恐れと宗教の違いから、敵対してしまう。特にイランへの異常な敵視。あの嘘つき中国に親しみを感じる愚かさ。敗戦国となった日本への侮蔑と無理解。周辺国カナダ、メキシコを一段低く見る態度。我々の国もマスコミの悪意ある誘導で中国との戦争に導かれていますが、米国も世代が替わり、昔ほど世界とうまくいかなくなっているのかもしれません。ベトナムと同じことをイラクで繰り返している気がします。これでクリントン(妻)が軽水炉を北朝鮮に提供すれば「歴史は繰り返す」なのかもしれません。

投稿: 普通の国民 | 2007/08/27 01:02

流石は本物の「左翼」だと改めて感服する次第であります。

左翼の本質は平等と最低限の生活の追及でありますが
実際には、どちらも実現されていない国が圧倒的と
言って良いでしょう。貧困国の貧民は明日の食料や水
にも事欠く、北朝鮮人民が典型的な例と言えるでしょう。

そういった貧困国の人々は明日の命すら保証されない。
だから武器を取って戦うことも厭わない、しかし、
その戦いに依る破壊行為が更なる貧困と貧富の格差を
生むと言う悪循環に陥っているのが貧困国の現状と
言えるでしょう。

そう言った意味では旧思考な偽善的サヨク共も米国も
大して変わらない、それを打破するにはどうすれば
良いのかネオコンサバティブな人にもネオリベラリスト
にも要求されているのが世界の実情と言えることでしょう。

朝日新聞的な主張では解決絶対不可能なのは勿論ですが
ブッシュ政権がイラク問題を解決出来るとは到底思えない。
有力な友好国かつ民主国家である我が日本にさえ、言い分
を聞かず従軍慰安婦非難決議案を容易く通す様な体たらく
でイラクの民主化を叫ぶなんぞ片腹痛い限りです(^_^メ)
そんな程度の考えで何が「世界の民主化だ!」と??
フザけんな(ー_ーメ)と言いたいですな。

と言うわけでabusanも「イラク戦争敗戦」を
確信しているクチであります(^◇^;)

予想が外れるに越した事は無いのですが、残念ながら
私はそう主張せざるを得ません。 > イラク民主化

投稿: abusan | 2007/08/27 01:28

アテネの民主主義のことについて少々批判的な書き方がされているよう
ですが忘れてはいけないのが当時の一般的常識として「人間としての権利」というものじたいが希薄であったようです。
また現在の感覚で奴隷というと虐げられている人たちというイメージが
先行しますが奴隷というのは売り買いされるものであり、主人にとっては「財産」でもありました。ですので奴隷を酷使して財産を無駄にする主人は馬鹿にされるというわけです。
優れたスキルを身につけた奴隷は高待遇を受け高価な値段で取引される
商品でもありその主人は自分の財産である奴隷を可能な限り保護しようとしました。
まあ、現在の社会人も会社経営者からみればアテネの奴隷とおなじということですね。
また ぶらぶらして暮らせる市民による民主政治とありますが選挙権を
てにして政治にかかわるには兵役に志願しなくてはならなかった記憶が
あるのですがどうでしたっけ?
兵役をこなして参政権を得た人たちが「市民」だったような気がするのですが。いまのようにその市にすんでりゃ「市民」というのとは違ったと思います。

投稿: k | 2007/08/27 01:31

自由と民主主義。う~~~む・・・。

独立と隷属。自由と抑圧。民主主義と独裁主義。自由と民主主義。抑圧と独裁主義。少数の民主主義国と大多数の独裁国。科学技術を独占する先進国と隷属する途上国。富を独占する先進国と貧困に喘ぐ途上国。東西の再対立。

日本は倫理の再構築ができるか?このままモラルハザードが進むか?エントロピーが減少するか、増大するか。自由を望むか発財を望むか。歴史始まって以来の岐路に立っているといえるでしょう。有形のものを尊重するか、無形のものを尊重するか。

う~~~む・・・。

投稿: toki | 2007/08/27 09:27

グローバリズムと民主主義は別物と思います。

グローバリズムは資本の論理です。貿易の自由化や投資の自由化で世界を一つの市場にしようというものです。19世紀の列強による帝国主義政策もその一つと見られるし、近年では米国主導による世界の画一市場化と同義語の面がある。ブロック経済が第2次大戦の素因ともなったことを思えば良くなった面もあるかも知れませんが、強者の論理であり、格差が進む負の側面もあります。だから反グローバリズムのデモが行われるわけですね。

民主主義は手っ取り早く言えば議会制民主主義でしょう。ただし単に多数決主義と理解するのは極端で「多様な意見を持つ同士の互譲を含む理性的対話」がなければならない。また「多数決により選ばれたヒトラーなどの独裁制」の経験から、「人権」が民主主義における至高の価値観として(西欧では)定着してきている、という点を押さえておく必要がある。

民主制はあくまで君主制や寡頭制、独裁制よりもマシな制度という意味合い以上のものを持たず、一つには大局観や広い視野、教養を併せもつエリートの存在が必要と思われます。そのような階層がないところで民主主義は成功しない可能性があります。

また一つにはおっしゃられるように奴隷制や植民地主義と相容れてしまう矛盾を抱えています。「強国(よく言えば先進国)が合理的に国の中を治めるための制度」なのでしょう。奴隷や植民地は有権者でないとすれば、有権者間で争いは起きない。

独裁国を非難する時の外交カードとしては使えますが、どの国にも安易に押し付けてよいシステムかとなると、問題はありますね。

投稿: KappNets | 2007/08/27 10:08

小泉さんとか安倍さんが自由と民主主義の価値観を言うのにとっても違和感があったの。
すごぉ~く居心地が悪い感じ。
アテネのときは奴隷からの搾取、大航海時代は植民地からの搾取、現代のグローバリズムでは弱者からの搾取。
欧米型の民主主義って、搾取とセットだよね。
すごいバランスが悪い気がする。


投稿: ぷぅ | 2007/08/27 18:39

サル山のボスを取り除いてみんなで平等にしなさいって言ってるようなもので、現段階では独裁体制でないと治まらない国もある。
平和の反対は無秩序であって、国民のより多くの人が無秩序にさらされない体制が正しい体制ということですよね。

投稿: の | 2007/08/28 09:40

>転びバテレンさん
貴方は英国の植民地の歴史をきちんと調べたことがおありですか?
私は個人的にインド、中東史に関心があるので事情が分かってますが、貴方はその実態をまるで分かっていませんね(或いは無視?)。

「英国は非植民地国の文化をできるだけ尊重して(私に言わせれば利用して)統治・支配した。だからあれほどうまく、しかも今も関係がうまく行っている。植民地国の、人民の名前を変えさせるなんて信じられない蛮行だ」
そもそも英国人が自国の植民地支配を自画自賛するのは当り前であり、彼らくらい「嘘とでっち上げの優等賞」(J.ネルー)を取る欺瞞に長けた民族はいない。

日本の朝鮮支配は英国のアイルランド支配(8世紀に亘り続く)を参考にしています。
母国語のゲール語は禁止され、今でもアイルランド人はゲール語を話せる者は少ない始末。名前を見れば分かりますが、英国式名称になっている。白人でもカトリックのアイルランド人と英国人の結婚が禁止されていたこともある。まして、インド人への扱いなど書くまでもない。

19世紀のアイルランドの大飢饉は有名であり、このためアメリカはじめ新大陸に移民がどっと出た。また、インドも19世紀後半だけで4度も未曾有の飢饉が起きた。植民地に飢饉を頻発させるのが英国式統治。

投稿: mugi | 2007/08/28 23:17

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