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2008/12/28

資本主義はマルクス・レーニンの批判に謙虚であるべき

今年もあと3日を残すのみ。ふり返ってみると、今年はほんとうに激動の1年でした。個人のことはさておき、政治、経済、社会、すべてにおいて信じがたいほどの激震に見舞われました。
震源は、米国式の金融資本主義にあります(政治だけは別ですが)。マネーがマネーを生む金融資本主義は、不動産バブルのおかげで我が世の春を謳歌しましたが、一方で資源や穀物価格の異常とも言える高騰を生み出し、実物経済や人々の生活に深刻な打撃を与えました。
ところが、その金融資本主義が、不動産価格の急落により年の後半にもろくも破綻=崩壊します。そして今度は資源や穀物価格が暴落、深刻な金融不安が地球規模で市場を席巻します。
実物経済も金融不安のあおりを受けて一気に失速、わが国経済は急速な円高もあって青息吐息。年末になって雇用環境が(悪い方に)激変しました。

なぜ、こうなったか。それは、資本主義が反省を忘れたからです。ソ連を中心とする共産圏の崩壊。中国の市場経済化。経済のグローバル化。この過程で、資本主義、特にアングロサクソン流資本主義はその傲慢さをむき出しにしてきました。
経済の基盤は産業なのに、アングロサクソン流資本主義は産業、つまり「モノづくり」を軽視し、マネーがマネーを生む金融詐術によって世界を支配しようとしてきました。しかし、「価値の源泉は」という根本を忘れた経済が長続きするわけがありません。根太が腐った家は、外観がいかに豪華でも、いずれ崩壊するのです。

私は、今回の、世界規模のバブル崩壊→金融破綻→実物経済の深刻化を見て、マルクスとレーニンの指摘を思い出しました。
私は、このブログにおいて、マルクス・レーニン主義を否定してきました。彼らの歴史観や世界観は既に過去の遺物であると。が、マルクスやレーニンの主張をすべて否定すべきとは思っていません。彼らが間違っているのは、資本主義の後に来る(であろう)社会の設計図や、そこに至るプロセスです。彼らの資本主義に対する批判や分析は、真剣に受け止めるだけの価値があると思っています。
マルクスが明らかにした「の二重性」や「賃と資本」によって、我々は資本主義社会におけるの本質を知ることができます。「史的唯物論」は、歴史が英雄や偉人によって作られるものではないことを我々に教えてくれます。レーニンが「帝国主義論」で示した「不均等発展→市場再分割→帝国主義戦争」という構図は、二度にわたる世界大戦の本質を見事なまでに暴きだしています。
特に、今回の世界金融恐慌にまで発展しかねない資本主義の危機を眼前にすると、レーニンが「帝国主義論」の中で指摘した「金融寡頭制支配が資本主義を腐らせていく」現実を痛感します。

第2次大戦後の資本主義は、大戦をもたらした戦前の体制に対する反省と、戦後に急拡大した共産圏への対抗意識から大きく改革されました。いわゆるIMF・GATT(ブレトンウッズ)体制です。ここにおいて、世界市場は分割の対象ではなく、自由貿易体制の下に統一されることになりました。また、経済に対する政府の関与もより強化され、社会的には福祉の向上と者の権利の強化が実行されました。
これが、戦後、資本主義のさらなる発展と列強間の平和を実現する原動力になったのです。もちろん、その基軸には、米国の圧倒的な経済力と軍事力がありました。
ところが、改革された資本主義においても、レーニンの指摘した不均等発展は避けることができませんでした。米国と英国の産業(製造業)が凋落する反面、我が国とドイツが台頭する、そして近年では中国の成長が著しくなってきました。

そういう中で、米国(そして英国)の金融資本は、レバレッジ(てこの原理)とデリバティブで詐術的に信用創造された数百兆円のマネーを動かし、巨額のマネーがさらに巨額のマネーを生むというシステムを築き上げました。これによって、米国は再び世界経済の牽引役に返り咲きます。
しかし、このシステムは、レーニンの言う「金融寡頭制支配が資本主義を腐らせていく」ものにほかなりません。で、結局、バブルははじけ、金融危機・信用収縮が世界規模で広がり、それが実物経済や人々の生活にまで深刻な影響を及ぼす結果になりました。

金融資本主義が破綻したからといって、資本主義そのものがダメになったわけではありません。ましてや社会主義(とその先にある共産主義)が復権するわけでもない。
ただ、来年は、資本主義のあり方を見直し、反省するべきところは反省し、修正するべきところは修正する。銀行はレーニンの言う「控えめな仲介者」、つまり「経済の黒子」に徹するべきです。そして、「価値の源泉は」にあるということを世界中が再認識するべきだと思います。
特に米国、国民の収入より消費の方が大きいなんて異常すぎます。この国が真剣に反省してくれないと資本主義の未来は暗い。

ところで、私が金融資本主義を批判すると、何か考え方を変えたかのように指摘するコメントが散見されます。断っておきますが、私は新自由主義を無条件で賞賛したことなど一度もありません。人間は、経済活動も含めて自立的であるべきだ。が、弱者に対する配慮も忘れてはならない。要は、「自立と共生」が私の持論です。
小泉構造改革にしても、私は、金融機関への公的資金の注入と不良債権の強制処理、利益誘導型政治と既得権益勢力の打破、そしてその象徴である郵政民営化を支持したのであって、弱肉強食を肯定したことなどありません。

「結果の平等」は悪ですが、「機会の平等」が保障されない社会はダイナミズムを喪失し、衰退してしまいます。つまり、競争の結果として格差が生じるのは仕方がないが、格差が固定されてはならないということです。
この点も、私は資本主義の未来にかかわる重要なポイントだと思います。

今年は、これでブログの更新を終わります。それでは、みなさん、来年は少しでも良いお年をお迎えください。

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経済」カテゴリの記事

コメント

アメリカという国家が、いかに全世界に対して
経済的に影響力を持っていたか今更ながら実感
する今日この頃です。
我が日本国は、静かにアメリカから離れていく
術を身につけねばならないのではないでしょうか。
静かにです。

投稿: 読者 | 2008/12/28 21:56

「自立と共生」日本は「自立」することでこの目標を達成できる唯一の国で有りかけたのです。が~残念ながら日本自体に「自立」をする気のない事。アメリカが日本の「自立」をアメリカの「国益」に沿わないと考えたのでしょう。

軽々と日本は、その車に乗りグローバル化の波に飲み込まれていきました。
結果が今日の「努力が報われない」・「格差社会」?私の周りは御蔭さまで一人は税理士の嫁・一人は企業の中間職で私の仕事を継いだのは他人ですが頑張っています。

日常生活に必要欠く事が出来ない仕事ゆえ細々とやって居ます。タッチはして居ませんが、事業主として自ら精力的に働いている姿を見ていると頼もしくも感じます。

企業も国も同じでしょう。競争が無くては生きている実感もないでしょうが、国が「自立」を目指す事で国民自体が覚醒する。国民が覚醒するように政治家・企業家が果たさなければならない事は非常に多いと思います。

来年は「日本人」が如何にすればこの国が「自立」を目指せる政府を作れるか?先ず国民が覚醒する事からスタートする。その為にも「依存症の独り言」に期待する処は大きいものです。

投稿: 猪 | 2008/12/29 12:12

資本主義を国の経済の基盤においている国で、社会主義に謙虚でなかったのは、アメリカぐらいではありませんか。

金融工学万能を信じ込み、傲慢な態度で日本に構造改革を迫ってきたアメリカの手先になって、小泉ー竹中が推し進めてきた構造改革、小泉は郵政民営化を行財政改革の本丸と決めつけ、また軽薄なマスコミもこれをあおり立て、郵政事業の民営化を強行しました。

金融システムの構造改革の必要性は否定するものではありませんが、同時に農林業だとか水産業など生産性の低いそのくせ産業の基盤である分野こそその必要性は喫緊のものだったのですが、強力な族議員の存在があるため放置されました。

竹中がなぜ郵政事業の民営化を急いだのか、語るに落ちるブログがあります。WSの「ネズミ講」を救済するためだったのです。幸いにして郵政民営化のペースが竹中の思惑より遅れたため、日本国民の財産をどぶに捨てずにすみました。
http://diamond.jp/series/nippon/10003/

輸出に頼る日本経済といいますが、GDPにしめる貿易収支の黒字は対GDP15%以下で、経済の根幹を揺るがす数字ではありません。農林水産業や地方の再活性化を計り内需を拡大するのが眞の構造改革です。

新しい年を迎えるに当たり、平成21年を日本経済再出発の年にしたいものです。

最後になりましたが、坂さんの弥栄とますますご健筆を振るわれんことをお祈りして筆をおきます。

投稿: weirdo31 | 2008/12/29 15:50

本年は色々勉強させていただきありがとうございました。良いお年をお迎えください。

投稿: 寅吉 | 2008/12/29 18:33

国益を考える講演会

「3月22日・・・真実を知ってほしい」

(入場無料・全席指定・定員1600名)

◆ご案内ホームページ◆
http://kokueki.cool-biz.net/

◆特別講演◆

菅沼 光弘
元公安調査庁・調査部第2部長

志方 俊之
元陸上自衛官陸将・北部方面総監

青山 繁晴
株式会社独立総合研究所 代表取締役社長・兼・首席研究員

◆特別ゲスト◆

田母神 俊雄 前航空幕僚長

投稿: 国益を考える講演会 | 2008/12/29 22:50

今年も、良い情報をありがとうございました。
来年も楽しみにしております。

では、良いお年を。

投稿: たう | 2008/12/30 11:01

 今年はこのブログと出会ってたいへん勉強させていただきました。管理人さんに感謝です。
 来年も日本人の良識を代表するこれまで同様の良質記事を楽しみにしております。
 よいお年をお迎えください。

投稿: ライト兄弟 | 2008/12/30 12:29

今日は朝早くから出かけて「伊藤公」が憲法草案された場所に行って来ました。毎年恒例の行事なのですが現役時代は月半でしたが、だんだん「横着」に成り今日に成りました。

本年も良き記事を書いて下さり勉強に成りました。筑紫氏と同様の病で術後10年を経過、来年も懸命に生きてやろうと闘志を燃やしています。そして良い日本を早く見たい。
~良き新年をお迎えください~有難う御座いました。

投稿: 猪 | 2008/12/30 15:29

今年も沢山の興味深い記事をどうもありがとうございました。私も共産主義は大嫌いですがアングロサクソン流弱肉強食型資本主義も大嫌いです。日本は日本流の人とものづくりを大事にした資本主義を進めていって欲しいと思います。

しかしあれですね、最近まで私たちに説教していたアメリカ人のやり方が大崩壊したという事は、結局あの人達のやり方が間違っていたという事で、下賎かもしれませんが、ざまあみろ、それみた事か!という気持ちです。

来年はまた激動の一年になりそうですが、混乱期到来という事で、気持ちは揺れずに行きましょう。

どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。
コメントを書かれた皆様もどうぞ良いお年を。

投稿: おれんじ | 2008/12/31 20:27

はじめまして。

>>彼らが間違っているのは、資本主義の後に来る(であ>>ろう)社会の設計図や、そこに至るプロセスです。彼>>らの資本主義に対する批判や分析は、真剣に受け止め>>るだけの価値があると思っています。

マルクス主義の誤謬は、資本主義後の設計図のみならず、多様な要素により構成される人間社会を、単なる資本家階級と労働者階級の対立として分析し説明するのみで、それ以外の文化、民族、習慣、宗教、倫理などの要素を一切排除して分析したつもりになったいたことです。
そこがマルクス主義のマルクス主義たる所以であり、愚かしさでもあります。

投稿: 善人 | 2009/01/02 00:27

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