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2009/01/03

黒字倒産しそうな中国

年が明けてから、過去の人気エントリの再掲を続けています。今日は、2006年9月11日にアップした「黒字倒産しそうな中国」です。

中国では今、世界的な金融危機を受けて倒産が続出しているようです。特に、「世界の工場」と称された中国の象徴でもある広東省東莞市は、讀賣新聞によれば――民工という主役を失った街は空洞化しつつある。従業員7000人以上を抱えていた玩具工場の「門前町」だった東莞市樟木頭地区は、ゴーストタウン化していた――というのが現状のようです。

靴や玩具、電子機器などの工場が集中し、民工が人口約1000万人の8割を占める東莞市では、外資系も含めた企業の倒産、撤退が今も相次いでいる(讀賣新聞)そうです。
「低賃金と外資」に依存した中国式成長モデルが破綻しつつある中で、突然に世界的規模の金融危機が東莞市を襲った。この現実の前に、中国企業も当局もなす術がない、というところでしょう。

東莞市では、民工たちの抗議行動が頻発しているようです。そして、これは東莞市に限らない。中国当局は必死の対応で民工たちをなだめているようですが、危機がますます深刻化すれば、このような小手先の対応ではどうにもならない、そう思います。
何しろ中国全土で、民工の数は、1億3000万人にのぼると言われています。そのうち、すでに780万人が失業して帰郷。民工は、我が国で言えば期間従業員や派遣者のようなものですから、今後は失業者が急増していくのは間違いありません。

胡政権は来年、「(雇用確保の最低ラインとされる)8%経済成長を死守する構え」(中国筋)だが、外交筋からは「経済対策によるGDP(国内総生産)押し上げ効果を加えても6%台になる可能性がある」との悲観的な見方も出始めている(讀賣新聞)とのことです。

今の中共体制を支えているのは「無限の経済成長」と中華民族主義(特に反日主義)と言われています。その一方の、「無限の経済成長」が今、脆くも崩れ去ろうとしている。
1億3000万人にのぼる民工が失業したらどうなるのか?彼らの出身地である農村には、その受け皿はまったくありません。彼らには帰郷して農村でくすぶるのか、都市部でホームレス化して流浪するのか、という選択肢しかないのです。

まさに、中共率いる中国は激動(激震)の時代に突入した、そう認識すべきです。

では、「黒字倒産しそうな中国」を再度掲載します。

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相変わらず「中国経済バラ色」論をふりまく人たちがいる。
これも無理はない。公式に発表される数字は、どれも目を剥くようなものばかりである。

8日付の中国紙「中国経済時報」によると、中国・国家外貨管理局幹部は、中国の外貨準備高が9月中に1兆ドルを超えるとの見通しを示した(ちなみに、日本の8月末の外貨準備高は8,787億ドル)。
また、同局幹部は、2006年の貿易黒字が1,200億ドル超となる見通しも併せて示している(前年の貿易黒字は、1,019億ドル)。

つまり、外貨準備高、貿易黒字とも依然として高い伸びを示しており、いずれもダントツの世界一であるということだ。

経済成長も高い水準を持続している。
アジア開発銀行(ADB)が6日に北京で発表した改訂版「2006年アジア発展展望」では、投資と輸出の急増によって、今年の中国の経済成長は10.4%に達すると指摘されている。

これらの数字を見れば、中国・国家統計局の邱暁華局長が北京大学の学生たちを前にして「2010年までに中国のGDPは、おそらくドイツに追いつくだろう」「15年後の2021年には、おおむね日本に追いつく」などと豪語するのもうなづける。

が、邱局長は聴衆である学生たちに対して、「中国経済は急速に発展する条件を備えている。皆さんは、経済の前途を信じなければならない」と強調する一方で、「経済発展のマイナス要因になるものは資源と環境だ」とし、「中国は多くの重要な資源がない国だ。資源問題はこれまで以上に中国経済にとって大きな制約になる」とも述べている。

つまり中共幹部も、「中国経済バラ色」論をふりまきながら、本音の部分では資源的制約と環境的制約が中国経済の足枷になっていることを認めているわけだ。

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中国の環境がいかにひどい状況にあるかは、中国食品薬品監督管理局の内部資料がその一端を明らかにしている。

内部資料は、中国全土の河川の6割が水銀など危険な重金属や農薬で汚染され、こうした水質悪化が疾病の8割、さらには病死の3割に関係していたと指摘。
汚染危険地域は、中国経済を牽引する①北京、天津などの環渤海湾地域、②上海、
南京などの長江デルタ地域、③広州、深圳などの珠江デルタ地域-の三大工業地帯に集中し、汚染面積は2,000平方キロメートルに及んでいることを明らかにしている。
これは、ほぼ東京都の面積(2,187km²)に匹敵する。

大気汚染や砂漠化も深刻である。
中国・国家環境保護総局によると、中国では都市住民のおよそ3分の1が汚染度2級以上の都市で、1億1,600万人が汚染度3級の都市で生活しているとされる。汚染度2級は「人の健康に悪影響を及ぼす程度」、3級は「非常に危険な程度」。
世界銀行では「中国では年間約40万人が、肺炎や心臓病など大気汚染が原因とされる疾病にかかり死亡している」との報告を行っている。

国土の砂漠化も深刻で、中国全土のおよそ28%が既に砂漠化しており、それは北京
近郊にまで押し寄せている。大都市近郊まで砂漠化が進んでいるということは、飲料水の確保さえ難しいということだ。

昨年9月には、中国共産党政治局員も兼任する張徳江・広東省党委員会書記が、次のように嘆いている。
「広東省は中国の経済改革の先駆的存在であり、急激な経済成長などの奇跡を達成
したと思われているが、実際の広東省の運営は綱渡りの状態だ」
「急激な経済開発に伴い、耕作可能な土地が減少し、水質や大気の汚染が極度に
悪化。飲食物の安全を確保できない状態だ」
まさに危機感を露わにした発言である。
ちなみに、広東省の中核は、上海と並んで「中国経済の双頭の龍」と言われる珠江
デルタ地域そのものである。

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環境問題と並んで資源問題も深刻である。

中国は、既に米国に次いで世界第2位の石油消費国である。国内総生産(GDP)は
米国の約15%、日本の約38%に過ぎないのに、この状況なのである。しかも、エネルギー消費の約6割を石炭が占めているにもかかわらず、膨大な量の石油を必要として
いる。
なぜか?
その理由を、今月初頭に中国を訪れた御手洗冨士夫・日本経団連会長らの日中経済協会訪中代表団が明らかにしている。代表団の一員である今井敬・特別顧問(新日鉄名誉会長)は、独自に調べた資料に基づき、中国の国内総生産(GDP)ベースの一次
エネルギー消費は日本の約8倍に達していることを明らかにした。そして、これは中国の発展の制約要因となると警告を発した。
つまり、中国の経済成長は、資源の大量浪費と背中合わせなのである。だから、「資源パラノイア(偏執狂)」と揶揄されても、石油を始めとする世界中の資源を買い漁らざるをえない。

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深刻な環境問題と資源問題、この二つが中国経済が成長を続ける上での桎梏になり
つつあることは、中共当局も解っている。だから、今年からスタートした「第11次5か年
計画」では、①エネルギーの消費効率を改善する、②リサイクル経済を発展させる、
③環境問題を解決する、の3点を、農民・農村問題や格差問題の解消とともに重点目標として掲げている。
が、現実は一向に改善されない。
中央政府が何と言おうと、中共トップがどういう方針を出そうと、既に現場は「カネが
第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されているからだ。
環境保護や省エネなど、金儲けにとっては障害物でしかない。第一、国有企業の大半は赤字で、そんな余裕はどこにもない。それが中国の現実なのだ。
だから、張徳江・広東省党委員会書記のような「嘆き節」が聞こえてくる。

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実は、世界一の外貨準備高、世界一の貿易黒字も、一皮むけば中国経済のいびつな姿の象徴でしかない。

外貨準備高の急増は、輸出がしにくくなる「元高ドル安」の進行を防ぐため、外国為替市場(上海)で中国当局が「元売りドル買い」の為替介入を繰り返した結果である。
その結果、市場に大量の人民元が放出される。このあふれる人民元が過剰流動性を
生み出し、バブルに繋がっているのだ。

貿易黒字も、この中国当局による為替操作の恩恵という側面が強い。が、経済の実勢を反映しない為替相場は、世界中からバッシングを受けている。
この状況を変えるには、輸出牽引型から内需主導型に経済構造を転換しなければならない。中国人民銀行(中央銀行)の総裁も「貿易黒字縮小のため内需拡大を急ぐ必要がある」と指摘している。が、そんなにうまく行くはずがない。
内需を拡大するには、まず一般国民の所得を向上させ、中間層の比率を高めなければならない。ところが、中国の魅力は、何といっても「安い人件費」なのだ。

中国経済は、一言で言えば「外資依存型経済」である。中国の貿易総額はGDP(国内総生産)の約70%を占め、そのうち外資系企業が輸出の約60%を担っている。
そして、この外資系輸出企業にとって、中国の生産コストの安さが最大の魅力なのである。しかも、そのような外資系企業は集約型の産業が多い。
もし、内需を拡大させるために大幅な賃上げを行うような事態になれば、外資系輸出企業は一気に中国を逃げ出す。その結果、輸出は減り、貿易黒字も縮小するかもしれないが、それ以上に失業者が発生し、内需も拡大しない。

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3,100億元(約1,640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、英Financial Timesによると、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・(E&Y)は、5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9,000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

このような状況下では、輸出企業に打撃を与えるような人民元の大幅な切り上げも、
内需拡大のための大幅な賃上げもできない。
輸出と経済成長が現体制の命綱である限り、経済成長に即効的な効果が見込めない環境保護や省エネに巨額の投資を行うことはできない。なにより、「カネが第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されている現場が、そんなことをする
わけがない。
軍備の拡張や有人月面探査計画に費やしている巨額の費用を環境保護や省エネに
回せばよいのだが、安全保障や国威発揚を考えれば、それもできない。

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つまり今の中国は、外貨を貯めこみ、黒字を稼ぎ、環境を破壊し、世界中の資源を浪費し続ける体制を継続するしかない。そこから脱皮しなければ明日がないというのは、
頭では解っているのだが、肝腎の手足が思いどおりに動かない。

もう黒字倒産しか残された道がない、それが今の中国である。

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コメント

 たしかに中国が今のペースで発展を続けるのは難しくなってまいりますでしょうね。

 第一に、解放経済に転じた中国では、これまでのような低賃金の維持が難しくなると思いますことよ。
 これまでの特権階級はなんらかの形で党や政府に関係する人々でございましたが、事業成功者の出現による貧富の差の拡大は社会不安の原因にもなりますわ。
 いずれも、重要な位置を占める国外企業の誘致にはマイナス要因ですわねえ。

 第二に、ただでさえ修正を迫られている為替レートへの圧力がますます高まることが予想され、これも賃金に響くと考えられます。

 第三に、契約に関して韓国のような人的関係の無茶苦茶さはないようですけれども、一種朝令暮改的な政府方針の変更や法律改正など、企業の「やる気」を削ぐ施策が散見されますね。

 だんだん、外資系企業が活動するモチベーションが薄くなってゆくのは間違いないと思いますわ。

 前回のブログ『共産主義は…』についての小考の続きを、前コメ欄に書かしていただきましたので、ご興味のある方、目を通していただければ幸いでございますわ。

 ナマコで一杯やって寝ましょうかねっ。

投稿: A子 | 2009/01/04 02:43

酷い状況の様ですね。 何でも8千万人の失業・大学生が150万人が就職できないとも聞きます。
この中で日本の「観光庁」が中国人観光客を今まで団体で来る場合の対応を広めて「個人」単位まで入国ビサの解禁をする?らしいですが狂気の沙汰でしょう。

現状では「在日朝鮮・韓国人」より中国人が多いとも聞きます、日本に混乱をもたらしている犯罪件数においてもダントツ1・2位を占める「中国」「韓国」外務省・国土交通省・法務省それぞれがマトモな仕事をしているのか心配になります。

加えて政治家が能天気、今回の田母神論文事件で日本の軍事力など「論文」一つで飛ばせて終える。早速 中間線でガス田に試掘を始めた。これなど「隙」のない中国の「諜報」のなせる技、完全に足元を読まれてなす術もないのが現状でしょう。

戸締りはしっかりしておかないと日本国内の9条患者も含めて反日山脈が暴発する恐れも有るかも知れません。
日本に与えられた少ないい時間を迅速に認識し「手」(簡単入国条件を締めれば良いだけの事)を打って欲しいものです。

投稿: 猪 | 2009/01/04 11:03

あけましておめでとうございます。
今年も鋭い分析期待しております。

猪さんのおっしゃるように最近 韓国の景気が悪いせいか、耳にするのはハングルではなく中国語のほうが多くなっています。
それも中国人の10代20代前半が多いです。彼らはどうやって、何をしに日本に来ているのでしょうか? 
中国人にはどうしても好意的に話しかけることができず、聞くことができません。

投稿: 一般庶民 | 2009/01/05 15:08

若い中国人は台湾人もけっこういますね。
卒業して就職前の旅行ということでした。

投稿: nori | 2010/06/25 20:33

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