自民党は与野党協議に応じよ! 行財政を徹底改革せよ!
私が、たちあがれ日本の平沼赳夫代表を肯定するのは稀です。
どちらかと言えば厳しい評価が多かった、これは間違いのない事実です。
私が彼を評価したのは、屈従を拒み、自民党への復党を選択しなかったその姿勢くらいではないでしょうか。
あの時、平沼氏が復党していれば、今では自民党の有力政治家になっていたでしょうし、脳梗塞で倒れることもなかったと思います。
逆に言えば、自民党復党を断念したその決断は、とてつもなく困難で重い、苦渋に満ちた選択だったでしょう。
が、あの一件で平沼氏は評価を上げた、間違いありません。
それにしても政治家というのは自分党、信念も理念も選挙を前にすればどうでもいい。
城内実、小泉龍司の両衆院議員は昨年末、自民党・無所属の会に合流、実質的に自民党に復党しました。
落選中は平沼氏に面倒を見てもらったくせに、です。
こういう連中を同志として抱えていた平沼氏、ほんとうに人を見る目がありません。
結局、郵政造反組で除名、あるいは離党勧告を受けた政治家の中で、自分の立場を貫いているのは唯一平沼氏だけになりました。
平沼氏の欠点は政局を読むことがヘタ、ということです。
郵政民営化の時、彼は民営化反対に追い風が吹くと思い違いし、石原慎太郎東京都知事に新党を持ちかけましたが、すげなく断られています。
理由は、郵政民営化反対には大義がない、したがって反対派に風は吹かない、と石原氏が読んだからです。
石原氏は米国の年次改革要望書には強烈に反発していましたが、「郵政民営化そのものには反対ではない」と公言していました。
石原氏は、貯マネー340兆円(当時)が「政・官・業」癒着の温床、財政投融資が自民党的「族議員政治」の元凶と捉えていたからです。
石原氏は、平沼氏のような硬直した保守ではなく、改革派の保守ですからね。
ただ、平沼氏自身も、造反した理由は、郵政民営化そのものより小泉純一郎首相(当時)の手法に対する反発の方が大きかったそうです。
つまり郵政民営化は、平沼氏にとっては権力闘争そのものだったのです。
で、反対派に分がないと見抜いた石原氏は平沼氏の誘いに乗らなかった、ということです。
こうしてみると、平沼赳夫という政治家は不器用で愚直、と言えるかもしれません。
そして、現在の政治家には稀な矜持の持ち主。
そういう意味では、「信念の人」と呼べると思います。
城内氏も「信念を貫く男」とことあるごとに強調していますが、これはマユツバ。
「信念を貫く男」とは平沼氏のことで、城内氏は裏切り者でしょう。
が、平沼氏は城内氏や小泉氏を一言も非難しません。
ここにも彼の政治家としての、男としての矜持を感じます。
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初めて平沼氏と意見が一致しました。
平沼氏は5日昼、野田佳彦首相が来週呼び掛けるとしている「社会保障と税の一体改革」に関する与野党協議について、応じる考えを明らかにしました。
「もちろん(テーブルに)着く。こちらの主張ははっきり言う」
「自分たちの主張を盛り込むために、協議くらいはすべきだ」
「景気が上向いたときに国民の合意に基づいて増税が必要ならばすべきだ。やみくもに反対はしない」
以上の言葉には、「国難より政局優先」という自民党に対する批判が込められています。
自民党は「消費税を10%に引き上げる」とした選挙公約を撤回していません。
にもかかわらず協議を拒否する、というのは筋が通りません。
消費税増税が必要なのは、責任ある政治家であれば誰もが認めています。
問題なのは、その前に政治や行政がわが身を削らないことです。
無駄な補助金の廃止、独立行政法人の見直し、天下りの禁止、公務員給与の大幅削減と縦割り行政の解消、国会議員定数の大胆な削減と選挙制度の見直し、年金と生活保護の逆転現象解消―
消費税増税は必要ですが、その前にやるべきことはたくさんあります。
これらは超党派、少なくとも民主党と自民党が協力しなければ実現不可能です。
仮に解散に追い込んで自民党が勝利したとしても、今度は自民党にとって参院の与野党逆転が桎梏になります(自民+公明でも少数派)。
つまり、自民党政権が実現しても歳出削減や行政改革、政治改革は一向に進まず、逆に増税圧力は強まるばかり、という状況になるのです。
で、相変わらず大胆な景気対策も打てない。
ここは、平沼氏が主張するように、「自分たちの主張を盛り込むために、協議くらいはすべきだ」というのが正論ではないですか。
無駄の削減を徹底するには何が必要か?
与野党で真剣に考えるべきです。
現状を放置したままの消費税増税なんて最悪の事態です。
それこそ国民の怒りは爆発し、政治不信が頂点に達してしまいます。
もちろん協議に応じたからといって話がまとまるとは限りません。
民主党が改革をおざなりにし、増税を強行しようとすれば、それこそ解散・総選挙に追い込む行動を徹底するべきだし、そこには大義もあります。
「社会保障と税の一体改革」を、現時点で政局にするべきではない、と私は主張します。
野田政権に徹底した改革と無駄の削減を迫るのが先決です。
その上で、新しい選挙制度と議員定数による総選挙を実施する、そう強く思います。
パーみたいな政治家が何十人も当選する今の選挙制度で総選挙をやるのは反対です。
自民党に「真の改革」の意志があるのか、自らの身を削るだけの決意があるのか、が試されています。
官僚に依存するのではなく、官僚を使いこなせるように制度を変える、そのためには政治の強いリーダーシップが必要なのです。
自民党は消費税と年金、及び行財政改革に対する自らの見解を明確にするべきです。
選挙に不利だからとそれを避けて党利党略に走り、自己保身を優先するようでは、民主党から自民党に政権が移行しても五十歩百歩、国民のむなしさは募るばかり。
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メディアの世論調査を見ると、民主党も自民党もその支持率は10%台後半から20%台前半の低いレベルにとどまったままです。
みんなの党は支持率は一桁台と低いですが、比例代表の投票先としては民主、自民両党に肉薄する勢いです。
また、大阪維新の会に魅力を感じる人が6割を超えています。
これらの数字が何を意味するのか?
自民党にはよく考えてもらいたいものです。
一方、年が明けて石原氏が新党結成に向けて動き始めました。
6日の定例記者会見では、「国のために東京都知事より大事な仕事は、そっちをやる」と、任期中の知事辞職も否定しませんでした。
石原氏は、明らかに世論の風向きを読み、反応しています。
平沼氏の5日の発言も、同じ線上にあるような気がします。
石原氏も、行財政改革と一体化した消費税の引き上げには反対していませんから。
この石原氏の言動は、橋下徹大阪市長にも通じているに違いありません。
石原氏は、今の自民党と民主党を見て、どうせ話はまとまらない、と結論付けているのです。
で、野田政権は行き詰まり、解散・総選挙。
そうなると民主党は壊滅しますが、自民党にも風は吹きません。
新党にとって千載一遇のチャンス。
与野党協議がまとまらなければ現行制度下での総選挙もやむなし、です。
その場合、私は石原・橋下新党に大いに期待します。
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コメント
もちろん、協議はすべきですね。
何でもかんでも拒否するのは、自民党の評判を下げるだけです。
私がずっと気になっているのは、現状の民主党の消費税増税案では、
実行の時期が2014年、2015年の2段階になっており、
次の衆院選(来年)で民主党が下野すれば、増税を「実行」するのは、
そのとき与党になっている「別の政党」だという点です。
民主党は、次の衆院選で自分達が惨敗することを、もう自覚しています。
世間では『 野田総理が官僚に操られて増税しようとしている!』
という意見ばかりですが、はたして本当にそうでしょうか?
下野必定の民主党が、次に考えることは何でしょう?
「何とかして、ふたたび与党に返り咲きたい」ということですね?
だとすれば、次の与党に増税を「実行」させるのが
最高の方法ではないでしょうか?
もちろん、民主党はその時、ちゃっかり増税に反対しているわけです。
私の知っている「民主党」とは、そういう政党です。
つまり私は、いま野田政権が必死で出している消費税増税案は、
まさに「政局」以外のなにものでもない、と見ています。
だとすれば、自民党はこれにうかつに賛成するわけにはいきません。
さりとて「増税しない」と言うことも出来ない。
協議はすべきですが、自民党は難しい対応を迫られますね。
今回の消費税増税案の話を聞いた時から、私はずっとこう考えています。
どこかおかしい点があったら、ご指摘くださるとありがたいです。
投稿: 鳩槃荼 | 2012/01/07 17:51
平沼さんについての評価はさておき、坂さんの「自民とは民主党との協議に応じるべきだ」というご意見には賛成です。
石原幹事長は「(消費税などについて、民主)党内をまとめて来い!」と述べています。これはそれなりに筋が通っており、後ろから鉄砲玉が飛んでくる状態で「協議を」と呼びかける野田総理も問題がありますが、(民主)党内がある程度まとまりそうであれば、協議に応じるべきだと思います。
財政赤字については小泉内閣で「30兆円」を超えるかどうかで議論がありましたが、民主党政権になってあっけなく40兆円を超えました。民主党に大きな責任がありますが、そもそも30兆円という数字そのものが「とんでもない」ことで、自民党の責任も極めて大きいわけです。
だから「全員参加」で財政赤字問題に取り組むしかありません。
さらに坂さんが主張するように「自民党が政権を取っても問題解決にはならない」ということは明らかです。
だったら民主党政権に‘嫌な’政策の実行を迫る方がずっと「得」だと思います。
すなわち、国会議員の定数・人件費削減、公務員の人件費削減などの実行を迫ればよいのです。
投稿: ii1920 | 2012/01/07 18:11
みんなの党の渡辺代表は、消費税率の引き上げなどを巡る与野党協議について、
「増税したいなら国会で議論すればいい。事前の談合協議には応じない」と述べ
応じない考えを表明した、とのことです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120107-OYT1T00654.htm
私は「みんなの党」を現状では評価していませんが、
まぁこれに関しては、一理あるかな、と。
投稿: 鳩槃荼 | 2012/01/07 19:01
がっかりです。不器用だとか矜持の持主だとかそんな下らないことで平沼氏を持ち上げるとは残念です。先の読めない政治家なんか飼っておく余裕なんか我が国には無いはずです。城内氏や小泉氏のことは好きではないが彼らも恩は感じてるがこの人といても先が無いとなれば袂を分かつのは支援者がいる身なればしかたがないのでは?自民党には協議に応じず、公約違反でまず民意を問えと一日でも早い解散に追い込んでもらいたいです。我々は完全に騙されて嘘つき詐欺師を議員にし高い給料を支払い続けています。こんなカス共に将来を決められることは断固拒否します総選挙を行い新しく選ばれた人たちの協議を望みます。
投稿: archer | 2012/01/07 21:30
はっきり申し上げますが、現在の政権与党である民主党は「日本人のための政治」をしているとはとても思えません。したがって、現時点で最大野党である自民党が与野党協議に応じる必要は微塵もないと考えます。もちろん、今の谷垣自民党が「よい」とはとても申せませんが。おそらく、「政局」しか考えてはいますまい。しかしそれでもよいのです。今の日本に必要なのは、2009年の衆議院選挙で有権者が間違って選んでしまった民主党を、1日も早く政権与党の座から追い落とすことです。
投稿: 大阪人 | 2012/01/07 22:26
不況に増税など基地外沙汰です.
投稿: takahsr | 2012/01/07 22:33
いつもブログ読んでます。読んでいて気持ちよいです。保守な俺にとって、よくぞ言ってくれたと同時に、勉強になる事も多々あります。これからもガンガン気持ちよいブログをお願いします。ずっとファンです。
投稿: フクシマ | 2012/01/07 23:25
坂さま
こんにちは。
個人的には消費税は上げるのがよいと思っています。
現役世代の負担は限界にきています。
それでも今回は消費増税協議には応じるべきでないと思います。
民主党はまともな政党ではありません。
おかしい相手とまともな議論をしても無駄だと思います。
政権政党だった過去は捨てて、解散総選挙に追い込むことに全力を上げてほしいです。
谷垣総裁はきっと協議に応じたいと思っているでしょう。
それなら政権をとってから考えてほしいのです。
民主党政権がこれ以上続くことは危険だと思っています。
とにかくくだらない議員が多すぎる。
リセットする機会を与えてほしいです。
投稿: はやぶさ | 2012/01/08 10:36
がっかりです。
失望しました。
国民は与野党協議なんて興味ありません。
民主党が作った協議機関なんて単なる免罪符。
国会でやればいい。何のための国会なの?
民主党は日本国のことなんかこれっぽっちも考えてないことはマニフェストの大嘘で明らか。
まずは民主党の崩壊ですよ。
そのあとで与野党協議でもなんでも勝手にやればいい。
国民が望んでいるのは強いリーダーシップのもと一致団結した姿だけです。
たとえ内部がメチャクチャであっても独裁であってもです。
反対に国民が一番嫌うのは、開かれた・正々堂々の・喧々諤々の議論です。
与野党協議なんて、協議過程をネガティブ報道し「民主もダメだが自民もダメ」と言って政治に失望させ、「現状維持=民主党政権」を延命させるための手段にすぎない。
投稿: りょう | 2012/01/08 12:18
仙谷翁えらくはりきっています(笑)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00214851.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120107/t10015118871000.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/342089.html
今回の民主党のやり方から、この人の匂いをプンプン感じるのは気のせい??
そしてマスコミは、
「民主党が協議を求めているのに自民党は拒否して解散解散ばかり言っている」
という論調ですよね。
だからこそ匂うのです。ヘンだな~と。 大衆におもねるとするならば普通
「増税いかがなものか?」という論調になりませんか?
それが何だか、「日本経済のタメなら、増税やむなし」のような言い方。
マスコミは、日本の経済を不安に思っているからこそ、
ジャーナリズムの責任において、そう報道してるのでしょうか?
そして野田総理は、心から日本の経済を案じているからこそ、
厳しい世論を覚悟の上で、勇敢に増税を訴えている・・・のでしょうか??
何となく、坂さんはそう思われているように文面から感じます。
私も、マスコミや民主党にその位真面目であってほしいなぁ、とは思いますが。
投稿: 鳩槃荼 | 2012/01/08 13:50
法律を軽視するような民主党相手に協議などというのは、免罪符にするための言い訳でしょう。
どうどうと国会で議論すべきだし、マニフェストで嘘をついたのですから、解散して国民に信を問うのが先でしょう。
投稿: みやとん | 2012/01/08 17:21
平沼氏の他にも協議には参加すべしとの意見が保守の方にも在ることに、危うさを感じています。「政局より大局」いつか聞いたフレーズではないですか。「コンクリートから人へ」結果どうだったでしょうか。「コンクリートも人も」であり、「政局も大局も」であらねばならないと考えています。即ち、協議参加すべしは正論であることは否定しませんが、大局とは、民主党左翼政権が1日・1分・1秒でも長く続くことの危険性です。消費税より東北しいては国の復興が先でしょう!解散・総選挙に持ち込むことを基軸として考えるべきと思います。
投稿: exit | 2012/01/08 17:28
「平沼氏の欠点は政局を読むことがヘタ」
あったくそう思います。
つまり、何かのセンスが大きく欠けているのではないでしょうか。
この欠けているものはある意味風見鶏ではない証明でしょうが、また政治家としての何かの欠落のような気がします。
ここには書かれていませんが、与謝野馨が入党した時にこの党に興味は失せました。
橋下、石原氏の連携に注目しています。
投稿: | 2012/01/12 12:48