野田・谷垣の極秘会談 その狙いは成就するのか?
民主党の野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁の極秘会談が永田町で波紋を広げている。
野田首相:「会ってません」
谷垣総裁:「断固話しません。会ってない。それだけです」
両者とも「会っていない」と強く否定しているが、会ったのは間違いない。
2月25日正午ごろ、場所は東京・虎ノ門のホテルオークラ内にある日本料理店である。
私が「会ったのは間違いない」と断言するのは、永田町情報だけではない。
29日の党首討論がそれを証明している。
谷垣氏は前回の党首討論とは違い、「消費税増税はマニフェスト違反」という理屈での解散要求を抑制。
また、野田首相の質問に答える形で、基礎年金の国庫負担財源確保のための消費税増税の必要性に言及した。
自民党が2012年度予算案の対案に「将来における償還財源を明確にした上で赤字国債を発行する」と明記した点について、野田首相が「償還財源は消費税か」と迫ると、谷垣氏は「その通りだ。間違いない」と即答した。
この谷垣氏の即答に議場内は大いにどよめいた。
私もニュースでこの場面を見たが、正直びっくりした。
党首討論4日前の極秘会談は、財務省の幹部が仲介したという。
野田首相と谷垣氏はともに財務相経験者で、消費税の増税による財政再建という方向性についてはおおむね同じ考えだ。
この方向性は財務省の立場とも共通する。
だから財務省が動いた。
そして、「消費税の増税による財政再建」という流れを確かなものにするために財務省が極秘会談をリークした。
この報道は間違いないだろう。
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野田首相と谷垣自民党総裁には共通点も多い。
これは、民主党主流派と自民党主流派と言い換えたほうが適切かもしれない。
民主党も自民党も主流派は消費税増税容認、TPP参加賛成である。
で、自民党内には、国民に不人気な消費税増税を民主党政権にやらせた上で解散した方が自党に有利だという声も多い。
消費税増税をやらずに解散して政権に復帰しても、今度は自民党(自公)政権が立ち往生するからだ。
参院の与野党逆転は自公が与党になっても変わらない。
今の民主党政権の桎梏が、そのまま自公政権の桎梏になるだけなのだ。
消費税増税もTPP参加賛もすんなり行くわけがない―この危機感が自民党にはある。
野田首相が今月中に国会提出する消費税率引き上げ関連法案は、参院で多数を握る野党の協力を得なければ成立できない。
にもかかわらず、肝心要の民主党内では小沢一郎元代表が増税反対の立場を明確にした。
もう野田首相は自民党との協力関係の構築に本腰を入れる以外に選択の余地がないのである。
一方の谷垣氏も、苦しい立場にある。
党内では「今国会で衆院解散を実現できなければ、9月の党総裁選で再選の目はなくなる」(党幹部)と言われている。
まあ、こういう自民党内の事情と、党内が事実上分裂している民主党の事情が重なって野田・谷垣極秘会談が行われた。
そう思えば納得がいく。
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ところで、谷垣氏が「消費税増税はマニフェスト違反」という強硬姿勢から野田首相との極秘会談という立場に転じた裏には安倍晋三元首相の存在がある。
安倍氏と谷垣氏は、このところ親密だとされる。
二人は消費税増税容認、TPP参加賛成という点も共通している。
安倍氏は、野田、谷垣両氏の極秘会談当日、消費税率引き上げ関連法案への賛成と引き換えに衆院解散する「話し合い解散」に前向きな意向を示した。
これは明らかに谷垣氏に対する援護射撃である。
自民党の次期総裁候補に擬せられているのは次の4氏である。
石破茂前政調会長、安倍晋三元首相、林芳正参院政調会長代理、石原伸晃 幹事長。
が、それぞれ難点がある。
石破氏と石原氏は党内に足場がない。
林氏は参院議員。
安倍氏には、何と言っても、前回の首相辞任時のマイナスイメージが強い。
ただ、今の自民党で支持基盤がもっとも厚いのは安倍氏である。
自民党内には、保守派を中心に安倍氏の再登板を期待する声が強い。
安倍氏は、谷垣首相が実現した後での禅譲を期待している節がある。
彼は57歳、まだ若いし本人も再登板に意欲満々である。
が、消費税率引き上げ関連法案成立後の衆院選で選挙の顔になるにはまだ荷が重い。
安倍氏の谷垣接近の裏には、こういう事情がある。
また、ポスト谷垣であれば、禅譲でなくても保守派の支持を背景にカムバックできるという自信がある。
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極秘会談で何が話し合われたか?
第一は民自の協力による消費税率引き上げ関連法案の成立である。
次は、その後の衆院解散である。
そして最後が小沢一郎民主党元代表の排除だ。
党首討論で谷垣氏は、民主党の小沢氏や国民新党の亀井静香代表が消費増税に反対していることを指摘し、「足元をしっかり固めていただかないといけない」と注文した。
また谷垣氏は2月の講演で、小沢氏が消費増税に反対する場合は、首相が離党を促すべきだとまで主張している。
これに対し、野田首相は「51対49の党内世論でも、手続きを踏んで決めたらみんなで頑張っていく」と述べ、反対論を押し切ってでも消費税率引き上げ関連法案を国会に提出する決意を示した。
谷垣氏は「方向性を定めるのを固唾(かたず)をのんで見守りたい」と応じた。
この野田首相と谷垣氏のやり取りを素直に聞くと、
谷垣氏:「小沢氏や国民新党を排除すれば消費税率引き上げ関連法案に賛成できる」
野田首相:「小沢氏や国民新党が反対すれば彼らを切ってでも消費税率引き上げ関連法案を提出する」
と理解できる。
ただ、野田首相は、費税率引き上げ関連法案成立後の衆院解散を確約しなかったようだ。
が、野田首相の後見人的な存在である藤井裕久元財務相は次のように語っている。
民主党の藤井裕久税制調査会長は2日夜、TBSの番組収録で、消費増税関連法案に野党の協力を得るのと引き換えに衆院を解散する「話し合い解散」を支持するかどうかを問われたのに対し、「もちろんだ」と述べた。藤井氏は野田佳彦首相の後見人的な存在。首相と谷垣禎一自民党総裁による極秘会談が発覚して以降、首相に近い議員で話し合い解散への支持を明言したのは初めて。
藤井氏はまた、解散の前提として、最高裁が「違憲状態」とした衆院小選挙区の「1票の格差」の是正が必要だと指摘。首相に対し、格差是正を急ぐよう進言していることも明らかにした。
首相と谷垣氏の極秘会談について、藤井氏は「二人ともないと言っていると一応信用する」としながらも、「相当な意思の疎通があったのは間違いない。なぜなら、その後の党首討論で全く呼吸が合っている」と述べ、会談はあったとの見方を示した。
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今後の展開が、野田首相や谷垣氏の思惑通りに進展するのか否かは皆目分らない。
ただ、小沢氏排除、民自連携の大きな流れができつつあるのは間違いない。
思惑通り消費税率の引き上げと衆院解散が実現すれば、自民党と小沢抜きの民主党の大連立もありえるかもしれない。
ただ、橋下新党がどうなるか今のところ分らない。
どうも民主党も自民党も、橋下新党の態勢が整わないうちに総選挙をやりたい、と考えているように思えてならない。
野田内閣の支持率は20%台に低迷し、民主党の支持率も10%台とさらに低い。
が、対する自民党の支持率も民主党と五十歩百歩。
調査によっては民主党を下回る場合もある。
要は、このまま行けば、民主惨敗は確実だが自民党も大幅には伸びない。
大きく伸びるのは第3極。
これが現実である。
「会期末(6月)の話し合い解散は、野田首相と谷垣氏のどちらにもメリットのある話だ。党首を降ろされる前に選挙ができ、小沢氏に邪魔されず消費税増税が可能で、橋下氏の準備が整っていない間に選挙をする“橋下封じ”にもなる。公明党も早期解散は大歓迎だ。実現の可能性はかなり高いのではないか」
という浅川博忠氏(政治評論家)の話はそのとおりだろう。
が、6月総選挙だと、みんなの党がキャスティング・ボートを握るという最悪の結果もありえる。
私は橋下新党に期待したい。
橋下徹なら民自の姑息なやり方をぶっ飛ばしてくれそうな気がする。
なお、みんなの党が大阪維新の会に色目を使っているが、惑わされないようにしてもらいたい。
また、石原新党はおそらく無理だ。
石原慎太郎、亀井静香、平沼赳夫3氏の方向性が違いすぎるし、世論の支持も極めて低い。
共同通信が2月18、19両日に実施した全国電話世論調査では、大阪維新の会の国政進出については61.2%が「期待する」と回答しているが、石原、亀井、平沼3氏が結成を目指す新党については「期待しない」が68.5%である。
石原新党が期待されないのは「亀井、平沼両氏に既成政党のイメージが強いため、支持が広がらないのではないか」(与党幹部)。
私は、最終的に、石原氏は橋下氏と組む、というか後ろ盾になる、そう確信している。
石原・橋下新党―おそらく大爆発を起こす。
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【追記】
以下は、本日の最新ニュースである。
民主、自民両党幹部が、消費税増税関連法案を成立させる観点から、次期衆院選後の大連立を含めた連携の可能性に関し水面下で協議を進めていることが2日、分かった。
野田佳彦首相が今国会中に衆院解散を断行することを前提に
(1)選挙は年金制度改革など双方の主張を掲げて戦う
(2)選挙後は連立か、政策ごとに連携する「パーシャル(部分)連合」を組む
(3)小沢一郎民主党元代表ら増税反対派の「排除」も辞さない
―との構想が軸だ。背景には、橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」の国政進出に対する強い危機感がある。
2月25日の首相と谷垣禎一自民党総裁との極秘会談でも、こうした構想が話し合われたとみられる。
民主、自民両党幹部とは?
民主党
幹事長:輿石東
幹事長代行:樽床伸二
政調会長:前原誠司
国対委員長:城島光力
自民党
副総裁:大島理森
幹事長:石原伸晃
総務会長:塩谷立
政調会長:茂木敏充
国対委員長:岸田文雄
このうち民主党は樽床・前原の松下政経塾コンビ、自民党は大島、石原両氏がその「幹部」だろう。
そして樽床・前原両氏の背後には岡田克也副総理や仙谷由人内閣官房長官がいる。
大島、石原両氏には森喜朗元首相がついている。
なんだか反小沢で結束した自・社・さ連立政権を連想させる。
が、今回の主たる動機は―橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」の国政進出に対する強い危機感―だろう。
なんとなく「情けない」という気がするね。
そんなに橋下が怖いのか?
と訊きたい!
自民党は、もっと毅然としてほしい。
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コメント
これ、どうでしょうねぇ・・・
「民主党に消費税増税をやらせた方がラク」と言いますが、野田首相は
「税率引き上げは衆院選の後に新しい政権が最終判断する」と、
すでに実施する時の政権の責任にしていますし、
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201201/2012012600521
仮にその時野田氏は文句を言わないとしても、残りの現民主党議員たちが
自分たち以外の与党の増税実施に文句を言わないはずがないと思います。
よしんば、消費税増税に自民党が賛成したとしても、その後に、
解散→連立 という流れになるものでしょうか?
まず、解散という約束が守られるという保証がないです。民主党が相手では。
野田氏は解散に比較的抵抗がないかもしれませんが、
現・民主党執行部も小沢派も、解散なんて勘弁してくれと思っているのでは?
法案は通したけど、いや、あれは野田総理の個人的な思いだっただの、
一票の格差がどうのこうのと、けっきょく解散はうやむやにされるのとか。
極秘会談では証拠になりませんから、あとで「そんな約束はしなかった」と
言われればおしまい。 自民党は「菅されちゃう」可能性あり(笑)
連立話の方は、もう何だか聞き飽きた感があります。
マスコミは、自民党政権時代に「解散!解散!」と言っていたのと同じ頻度で
民主党政権になってからは「連立!連立!」と言っておりますね。
それは事実の報道というよりも、マスコミの願望連呼にすぎない。
選挙の「後に」連立をするとすれば、民主党は与党のアドバンテージを
失った状態で連立するということで、なおさら変に感じます。
彼らは、下野したら与党叩きしてる方がイキイキするのではないでしょうか。
自民党が仙谷たちと組む?? 想像できません。
解散や連立の方はともかく、消費税増税法案に自民党が賛成したら
私はガッカリですね。
「増税はマニフェスト違反だから民主党政権に言う資格はない」
という主張には大義があります。
裏で何を約束したとしても、消費税増税法案に賛成するのは、
自民党が大義を曲げることです。
もしもそんなことになれば、「自民党も堕ちたもの」と
言わざるを得なくなるでしょう。
投稿: 鳩槃荼 | 2012/03/03 14:36
う~ん 確かに党首討論は茶番劇でしたね。
でも、本当に消費税の事で極秘会談したんですかね?
赤字国債の事ではなくて、だとしたら自民に何の利益もないですね。
首相動静をみると、会うとしたら正午のホテルオークラでしかありえないですけど
産経では、公邸で会ったって書いていたような・・・
それにしても、番記者って沢山いるだけで本当に使いっ走りなんですね。
総理と官房長官が会食している席に、野党の党首がいるのも
見抜けないとは・・・
投稿: みやけ | 2012/03/03 16:07
民事連立、ありえません。
野田は、民主左派の基盤の上に乗っかっており、民主左派の思惑は、
1に、民主政権の維持延命
2に、小沢排除
3に、自民の弱体化
です。
不人気な消費増税を自民に凭れ掛かれば、成功すれば民主の手柄、失敗すれば自民の所為に出来ます。
情報を漏らしたのは民主の官邸ですよ。
自民と消費増税を話し合ったことを小沢と世論に知らしめる為です。
総選挙などするものですか。
法案通れば勝ち。
解散しなくとも、野田が総辞職して、前原に委譲すれば済む話ですから・・・
投稿: merlin | 2012/03/03 18:14
55年体制の逆ですね。
自民党も、
天皇は、君主であり象徴
9条は、戦争放棄で自衛軍
意味が分からないのでいくらでも民主と同じようなひとがいるのでしょうね。
石原の、憲法破棄が橋下と組めば、恐らく日本は動くと思います。逆55年体制には期待できない。
文部省・日教組の55年体制の遺制である、百人斬り授業を許さない!!
投稿: amotoyamatotake | 2012/03/03 18:42
坂さま
こんばんは。
党首討論を見て、これは会ったなと思いました。
民主党主流派と自民党主流派の連立、いいじゃないですか。
野田首相と谷垣総裁は人気はないですが、私は信頼できると
思います。
国のことを真剣に思ってくれるならいい。
一部連立に賛成です。
投稿: はやぶさ | 2012/03/03 20:16
小沢排除はいいですね。
民主党も、党にとって勝負所の肝心要の時になればなるほど、自分の存在感を増すためだけに配下議員を使って足を引っ張る小沢一郎氏にさすがに堪忍袋が緒もろとも破裂したんでしょう。
首尾一貫しない党批判ばっかしやがって手前ぇいい加減にしろよ、と。
手前ぇの代表時代から今までのタワ言全部をイッペン手前ぇで振り返ってみろよ、と。
筋が通ってるなんてほざくのは、手前ぇが金で丸抱えしてる自由報道ナンチャラでのたくってる手前ぇの手下くれえだぞ、と。
そんなに気に入らねえなら、手前ぇのロクデもない北辰なんだかって会派のアホ共連れてトットと出て行きやがれ、と。
出てく時は手前ぇがガメた民主党の組織対策費22億円、耳を揃えて置いていけよ、と。
どうせ山岡や佐藤の懐を素通りして手前ぇんチの金庫の中にあるんだろうが、と。
それとも世田谷と宜野湾の地面代で使っちまたのか、と。
そういったところなのではないでしょうか。
投稿: ブルー | 2012/03/04 17:18
密談ねぇ、わたしゃそんなものなかったと思いますし、仮にあったとしても消費税増税ひきかえに解散なんかじゃなく予算と予算関連法案ひきかえじゃないですか?
だとすると予算自然成立の絵も書けない政権与党とマスゴミは叩かないといけないんじゃないですか?
クソみたいな予算でも成立しないと余計に国民生活に関わりますし、市場は混乱じゃないですか?
財務省は暫定予算の具体的な検討に入ったとの報道も見た記憶がございますが、なんで与党の責任がどうたらこうたらってミンス政権のときは言われないのでしょう?
※なかったと思うソース、なんで各社こんなに内容バラバラなんでしょ?官僚がセッティングした?もし現役ならこれこそ政治介入の大問題でしょう、防衛官僚は叩いても財務官僚様は叩けないってか?そもそもそんなリスク小役人が犯しますかね?A議員って手塚?
【時系列順】 野田首相と自民党・谷垣総裁の極秘会談報道の検証まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133064843606252901
ん?現場の記者は問題意識持ってるようなのになんで大きく扱われないの?マスゴミは相変わらずミンス痘には甘いんですねw
野田・谷垣密談 予算自然成立消滅を報道しなかったマスコミ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17148303
投稿: タケ坊 | 2012/03/05 01:11