清官(清廉)温家宝も
実は「超」のつく裸官(汚職官僚)だった。
私は、アラブの春が瞬く間に北アフリカから中東にまで拡大した時、中国ではおそらく「春」は訪れない、と書いた。
なぜアラブ諸国と同様の長期独裁政権が続く中国に「春」は訪れないのか?
私は、その時、三つの理由を挙げた。
まずアラブ諸国と違い、個人の独裁ではなく党の独裁であること。
しかも長期独裁と言っても、政権は原則5年ごとに交代すること。
そして何より、党のトップの胡錦濤と行政のトップの温家宝が清官(清廉)であること。
国民大衆を前にして胡錦濤は強いリーダーを演じ、温家宝は優しい補佐役を演じてきた。
実際、温家宝は大規模な災害や事故が起きるたびに直ちに現場に駆けつけ、涙を流しながら被災者やその家族を慰撫してきた。
中国国民の目には、胡錦濤は頼りがいのある父親に、温家宝は慈悲深い母親に映っているのだろう。
中国共産党の官僚の腐敗ぶりが凄まじいことはご存知の方も多いと思う。
党中央の政治局常務委員クラス(トップクラス)になると数百億、時には数千億単位の不正蓄財を行っている。
これらの官僚は「裸官」と呼ばれ、中国のネットでは彼らの話題で持ちきりである。
彼らは、陰でせっせと私腹を肥やす一方、万一に備えて家族や資産をひと足先に国外に送り出している。
こういう現実を目の前にしても、胡錦濤と温家宝が清官(清廉)であることが国民大衆にとってわずかながらの救いになっていた。
が、やはり「裸官」に例外はなかった。
米紙ニューヨーク・タイムズは、26日付の北京電で、温家宝の巨額な不正蓄財について報じている。
【ニューヨーク=柳沢亨之】26日付米紙ニューヨーク・タイムズは北京電で、中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相(70)の母親や妻、弟、長男ら親族が計約27億ドル(約2150億円)相当を蓄財したと伝えた。
親族は国有会社の支援などを受けて投資を拡大してきたという。
株式保有に関する公開資料などに基づき、同紙が調査報道した。それによると、温首相の親族は、友人や勤務先の同僚などの第三者を介した複雑な投資手法で、金融、貴金属、観光開発、通信などの企業の株式を保有。この中には08年北京五輪のスタジアム「鳥の巣」建設関連企業も含まれる。
母親は、温首相の出身地、天津に登録された投資会社の名義で、金融会社の株式1億2000万ドル(約95億円)相当を保有。この投資会社は、温首相の妻の親友で天津出身の女性企業家が創設したという。
(2012年10月27日17時42分 読売新聞)
やはり中共体制は間違いなく崩壊する。
国家のトップが、陰でせっせと私腹を肥やす一方、万一に備えて家族や資産をひと足先に国外に送り出すなど、もう終わっている。
中共左派(江沢民派=上海閥)の旗手で、妻による英国人実業家殺害事件に連座して失脚した薄熙来(党中央政治局委員兼重慶市党委員会書記=当時)は、海外に数十億ドル(数千億円)の不正蓄財をしていた。
彼の長男は、2010年に英オックスフォード大学を卒業し、2012年5月には米ハーバード大学大学院を修士で卒業して米シティグループに勤務していた。
11月8日に北京で開催される予定の中国共産党第18回全国代表大会で政治局常務委員に昇格することが確実視されていた薄熙来を追い落としたのは温家宝(と胡錦濤派)である。
が、追い落とした側の温家宝も清官(清廉)どころか同じ穴のムジナだったということだ。
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実は「超」のつく裸官(汚職官僚)だった。(2012.10.29)
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コメント
“戦わずにして中国に勝てる6つの方法”に見る中国社会の矛盾 (Zakzak 2012.10.28)
日本政府が沖縄・尖閣諸島の国有化を9月に発表したことを受け、同諸島の領有権を主張する中国が猛反発し、両国間の文化交流を中断させるなどさまざまな対抗措置を打ち出した。中国のインターネットでも政府の強硬姿勢にあわせて「釣魚島(尖閣諸島の中国語名)を武力で奪還せよ」と言った勇ましい「主戦論」があふれている。そんななか、「戦わずにして中国に勝てる6つの方法」という中国の弱点を指摘する書き込みがネットで話題となった。
「ヒラリー長官の警告」と題される書き込みは、米国のクリントン国務長官が訪中した際、中国の指導者に語った内容とされているが、実態は中国人のネットユーザーによる作り話とみられる。
クリントン長官は中国の指導者に対し、「貴国がフィリピン、ベトナムおよび日本と開戦すれば、米国は6つの対策を考えている。一兵卒も使わず、中国を負かすことができるだろう」と言ったという。
具体的な「対策」とは以下のようになっている。
(1)中国の政府高官が所有する海外の銀行口座の残高を発表し凍結。
(2)米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表。
(3)米国に住んでいる中国人高官の家族の名簿を公表。
(4)ロサンゼルスにある「妾村」を一掃。
(5)米国在住の中国人高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容。
(6)中国国内の失業労働者などの不満分子に武器を提供。
内容は若干の重複があるが、今日の共産党政権の“アキレス腱(けん)”を見事に指摘した書き込みといえる。
少し説明すると、今日の中国では、家族と財産を海外に移し、本人がいつでも逃亡できるように外国のパスポートを持っている共産党幹部が多くいる。中国の捜査機関がなかなか手を出せないとの理由で、高官家族の移住先として圧倒的に人気が高いのが米国だ。例えば、高速鉄道建設に絡む汚職事件で昨年に摘発された張曙光・元鉄道省運輸局長は米国で3軒の高級邸宅を持っているほか、米国とスイスで28億ドルの預金があると報道されている。
張元局長のケースはあくまで氷山の一角といわれている。米国が中国の政府高官の海外財産のリストを公表すれば、共産党政権への中国民衆の怒りは一気に噴出するに違いない。中国内部が大混乱することは必至で、外国と戦争をするところでなくなる。
また、ハーバード大学に一人娘を留学させている習近平国家副主席を始め、多くの中国の指導者の身内が米国内にいる。すでに米国に“人質”を取られているといえ、中国の指導者は米国に強く出られない事情がある。
「ロサンゼルスの妾村の一掃」とは、多くの高官は妻を米国に移住させたほか、愛人にも米国の豪邸を買い与えている。それがロサンゼルス周辺に集中しているため、ネットでは「ロサンゼルスに中国の妾村ができた」と揶揄されている。妻よりも愛人を大事にしている高官が多いため、家族だけではなく愛人を一緒に刑務所送りすれば、中国高官たちへ与えるダメージはさらに大きい、ということを言いたいようだ。
最後にある「不満分子に武器を提供する」というのはシリアの反政府勢力に欧米が武器を提供したことからえた構想のようだが、中国当局が一番恐れる措置かもしれない。
中国国内では、土地の立ち退き問題などで毎年20万件以上の暴動が起きているとされており、不満分子に武器が提供されれば、人民解放軍を相手にたちまち内戦が始まりそうだ。
「ヒラリー長官の警告」は多くの中国国内のサイトに転載されている。「恐ろしい。戦争ができないのではないか」「これらのアイデアを絶対にアメリカに教えてはダメだ」といった感想が寄せられている。
投稿: | 2012/10/29 20:44
日本においても、共産党、社民党、民主党の幹部、労働組合の元締め(連合)は、中国共産党と変りはありません。(スケールの面においてはミミッチーものではありますが?)
清く正しくなどを己の口から言う人間ほど怪しいものです。
「労働貴族」と言う言葉を聞いたことありますが、図星ではありませんか。
投稿: 道産子爺 | 2012/10/30 07:17
昔から、地方官を3年務めただけで3代は食うに困らないと言われたシナのことですから、汚職体質はもう血肉に染みこんでいると考えたほうが良いでしょうね。
歴史上「清廉」と言われた政治家も、程度の問題に過ぎません。
収賄額が「適正」であっただけです。
「適正な」袖の下は、もう贈賄するほうも、収賄するほうも、ワイロという感覚自体が無くなっているでしょう。
故・安能務氏が言っていたように「ゼニは万能の宝貝(パオペエ)」というわけです。
また、ひとりが出世すれば、一族全員がそれにしがみついて成り上がるというのも、シナ古来の人文風景です。
出世した者が、一族の者を引き立てる、一族に儲けを還元する、というのが、儒教の最高価値とされる「孝」の体現にほかなりません。
日本では「孝」はせいぜい親孝行という程度の意味にしか捉えられていませんが、そんなのは「孝」の概念のごく一部に過ぎないのでした。
本人は「清廉」であっても、多数の族人の中にはたちの悪いのも居て、高官の族人であることを笠に着て横暴な振る舞いをしたり、金品をゆすりとったりすることも珍しくありません。
前漢の霍光、後漢の梁商など、本人はあくまで謹厳で清廉で、能力もあったのに、族人の恣行のために晩節を汚した人物は多いようです。
彼らがなぜ族人の恣行を抑えられなかったかというと、やはり「孝」が何よりも優先されるという儒教倫理のためでしょう。
ともかくこういった習慣が、何千年の歴史の中で上層から下層まで染みついていますから、このことを原因とした体制崩壊ということは、私は(坂先生のお説に逆らうようですが)無いのではないかと案じております。
シナで体制が崩壊するのは、歴史的に見て、「食うものが無くなった時」以外にはあり得ないかと。
投稿: 面毒斎 | 2012/10/30 09:15
中華文明圏に腐敗はつきもの。
4000年の歴史が証明している。
現代支那も「共産主義」はあくまで
人民を統治するための方便でしかない。
人治主義だから法は都合よく捻じ曲げられ、
コネクションのある者だけが「勝ち組」になれる。
世襲制は清朝や国民党を倒して成立した統治システムだから
さすがに表向き廃止されたが、共産党組織の中では生き残っている。
それと面毒斎さん、支那は「食うのに困る」事態に直面していますよ。
各地の工場周辺は公害がひどく、汚染された食料ばかりとか。
農薬汚染も深刻で、数万人単位の健康被害が続発しているそうです。
一方で沿岸部の住民は日本などから輸入した安心・安全な高級食料品をたらふく食って、
内陸部との生活格差は広がる一方。
公害汚染による飲料水不足も限界に近づいているとか。
小生も支那の崩壊は近いと思います。
恐らく、各地で軍閥(武装盗賊団)が復活するでしょう。
支那政府の人民解放軍との内戦に発展し、
ことによると核兵器が使用されることも有り得る。
日本がとばっちりを受ける可能性も否定できません。
投稿: やす | 2012/10/30 17:00
中共の高級幹部の不正蓄財は公然の秘密でしたが、今や周知の事実になりつつあります。
何たって 桁が違いますので、バレるはずですよ。アメリカと太平洋の覇権を争おうという国の指導者が、いざという時にはアメリカにトンズラすべく、清官三代、裸官は百代くらいの蓄財を図っていのですから、真面目で小心な日本人には想像もつかない事だろうと思います。下は下でちゃんと稼いでおりますしね。支那四千年の歴史と伝統は、今なお脈々と党官僚に受けつがれているのでありました。
中国が一応清潔だったのは 文革の時期くらいでしょうか。しかし、あの時は良くて下放、悪くすれば紅衛兵による集団リンチのオマケ付き…日本には売れない革命を輸出しょうとして。中国は真面目になった時の方が危険です。
中国人自身が中国というシステムと、その象徴たる貨幣を信じていないですね。最終的にはドルやスイス・フランスに持ち替えたいと切に願っています。
家族はアメリカやカナダに予め逃がしておいて、自分は鉄火場のような中国に踏みとどまり、最後のひと稼ぎ…!?命懸けでありますが、これも一応「家族のため」か。
壮年期は不正蓄財に精を出し、リタイア後は欧米流の法治社会に引っ越して、安全・安心な生活を送る…これが今や正しい「党生活者」のようですよ。
昔、北京放送の零時二十五分、「日本の労働者・友人の皆さん、さようなら!」
最後のアナウンスと伴に高らかに流れる「インターナショナル」を聴きながら涙を流していた全共闘八年生の先輩は、 今、何を思って生きているのだろう。
投稿: レッドバロン | 2012/10/30 20:36
浙江省寧波で住民デモを受けて市当局が石油化学工場の建設計画を撤回したそうですね。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE89S00L20121029
こうした住民意識が政治に反映されることは、中国では珍しい。もはや中国共産党の一党支配では中国民衆の権利意識を抑えられなくなっていることの証左でしょう。
日本でも幕末には訴訟事が山ほど増え、維新の前後には打ち壊しが頻発した。形式的には直訴がご法度だったにも関わらず、もう関係ないという時代になっていたわけだ。
伊藤博文は、高まる国民の権利意識を立憲君主制下の帝国議会の中に収めることに成功したけれども、今の中国の指導者たちに、それができるか。天安門事件で積み残しになっていたこと(皇帝と王による人治政治→法の下の自由、私有財産の保証、議会制と選挙制度の導入)を、今の中国はやらなければならない。
ところが、現実の中国は、百年前の中国の顔にますます似てきた印象を受ける。
北京には中国全土を支配しているはずのところ、実態としていつ倒れるか分からない中央政府があり、役人たちは相変わらず腐敗のきわみにあり、民衆はあいかわらず無教養で民度が低く、全体としては中華思想がようやく統一中国というアイデンティを支えている。
避けられないバブル崩壊から暴力と狂乱に向かうか、正気を取り戻す方向に向かうか。見ものというべきでしょう。
投稿: ピラニア軍団 | 2012/10/30 21:29