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2012/11/11

2020年までにGDPと国民の平均所得を2倍にする
崩壊に向けてさらに加速する中国の成長至上主義

北京で開会中の第18回中国共産党大会で、胡錦濤国家主席(共産党総書記)は科学的発展観の更なる深化を強調した。
そして、同大会で科学的発展観は、従来のマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、三つの代表(江沢民)の4理念と並ぶ党の「行動指針」へ格上げされた。

科学的発展観は、和諧社会の構築につながる持続可能な協調発展を目指した考え方であり、和諧社会とは各階層間で調和の取れた社会を目指すというスローガンのことである。
具体的に言うと、沿海部と内陸部の格差解消、都市と農村の格差解消、官僚や党員の腐敗一掃、環境汚染の改善、輸出主導型から内需主導型への転換である。

この胡錦濤が提起した問題意識は極めて正しい。
上部構造(政治)は共産党独裁で、下部構造(経済)は資本主義という木に竹を接ぐような体制は最初から歪んでおり、発展すればするほど矛盾が深刻化することは避けられない。
そして今、その矛盾はピークに達しようとしている。

年間に発生する暴動は18万件(一説によれば20万件)を超え、昨年の争議件数は約131万件に達した。
これは、1日当たり暴動が約500件、争議が約3600件発生しているということだ。
つまり一向に解消されない腐敗と格差に対する国民大衆の怒りは、もう限度を超えているのだ。

実際、共産党幹部は千億円単位で不正蓄財し、子女を海外に留学させている。
また、国営企業幹部の収入は出稼ぎ者(農民工)の4553倍に達している(毎日新聞 中国経済)。
そして農民工は、医療保険に加入できないため満足な医療を受けられず、その子供は義務教育を終えた後の進学(高校や大学への進学)ができない。
さらに中国には、1日1ドル(80円)以下で生活する極貧層が2億人近くいる。

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このような現実を前にして、中共指導部がその改善を国家目標とするのは当たり前のことだ。
が、それは可能だろうか。
私は「否!」と断言せざるを得ない。

共産党幹部の不正蓄財や国営企業幹部の超高額所得は支配側の既得権益であり、それを支配側が自ら改革できるとは思えない。
これは、今の中国の体制が抱える構造的問題であり、構造を根本的に変えない限りその実現はあり得ない。
が、社会構造の根本的変革は共産党一党独裁の否定に他ならず、それを共産党が自らできるはずがない。

内需主導型経済への転換も容易ではない。
今の中国の驚異的成長は輸出と不動産投資に支えられている。
具体的に言うと、外資主導とバブルである。
が、外資主導は賃金の高騰で既に限界に達しつつある(工場の海外移転)。
また、過剰な不動産投資は中国各地に数多くの鬼城(ゴーストタウン)を生み出し、地方政府や国営企業は膨大な数の不良不動産(不良債権)を抱える羽目に陥っている。
地方政府と国営企業が当事者だから巨額の不良債権は表面化していないが、成長が鈍化すれば一気に吹き出す可能性が高い。

輸出と不動産投資主導型の経済を内需主導型に転換する。
そのためには中間層の拡大と第3次産業の育成が欠かせない。
が、中国における富の分配はいびつ極まりなく、経済規模の割に中間層は少ない。
ボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した研究報告によると、中国の中間層と富裕層の合計は1億5千万人であり、これは全人口の11%超を占めるにすぎない。
また、第3次産業の割合も徐々に伸びているとはいえ、その就業人口は約35.7%でしかない。
ちなみに、我が国の中間層の割合は81%で、第3次産業の就業人口は約75%を占めている。

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Chuukyou

結論から言うと、和諧社会は実現しない。
その前にバブルが崩壊して中国は極めて困難な状況に直面するだろう。
経済の主体は、株式を上場しているとはいえ実質的には国営の企業であるから、不良債権も含めてその負の部分は表面化していない。
が、都市部の空きビルの数や郊外の鬼城(ゴーストタウン)の現状を見ると、地方政府や国営企業が天文学的な額に上る不良債権を抱えているのは疑いない。

中共指導部は、今回の共産党大会で、「2020年までにGDP(国内総生産)と国民の平均所得を2010年に比べて2倍にする」という新たな目標を掲げた。
そして胡錦濤は、「都市と農村の発展や、国民の所得の格差は依然、大きく、一部では腐敗現象が次々と起きている。我々はこうした問題を重視して真剣に解決しなければならない」と述べた。
が、それを可能にする具体的プロセスはまったく明らかにされていない。
と言うより明らかにできないのだろう。

胡錦濤が科学的発展観を打ち出してから9年以上が経過するのに、格差や腐敗、環境汚染は深刻化するばかりで一向に改善される気配がない。
そういう中で新たな目標を打ち出しても、それは何ら有効性を持たない主観的決意表明=空虚なスローガンにすぎない。

成長至上主義が深刻な格差や環境汚染、幹部の腐敗などを生み出した。
で、それを解消するのが、処方箋を欠いた科学的発展観≒さらなる成長至上主義と言うのだから完全なる自己矛盾である。
まず成長ありきではなく、いびつな富の分配を根本から是正するのが先決である。
そのためには、共産党による独裁と実質的国営企業による独占を変えなければならない。
が、これは共産党とその幹部たちの既得権益の否定であり、ほとんどあり得ない。

世界第2位の経済大国は、世界最大の内部矛盾を抱えたまま突き進む以外に方法がない。
その先にあるのは何か?

中国は間違いなく崩壊する。

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中国崩壊シリーズ」カテゴリの記事

コメント

シナの王朝興亡史を眺めると、王朝が崩壊するのは次の3つの要因でしかないことがわかります。
「重臣のクーデター」「異民族の侵攻」「流民の反乱軍化」です。

「重臣のクーデター」により倒れたのは、前漢、魏、東晋にはじまる南朝各王朝、北魏、北周、五代の各王朝など。
これは体制内革命というべきで、後続の王朝もさほど変わりばえがしないことになります。
一応世襲を廃した中共としては、この種の「易姓」はあまり意味が無くなったと言えるでしょう。

「異民族の侵攻」により倒れたのは、西晋、南北の宋などで、これは王朝は倒れてもむしろシナ社会そのものには新たな活力を与えることが多いようです。
とはいえ、今やあからさまに他国に侵攻することは憚られる時代ですので、現代のシナにはあまり期待できません。

残るは「流民の反乱軍化」です。
これにより倒れた王朝は、秦、新、隋、元など。
食べるものが無くなった庶民が流民化し、その「食を求める」エネルギーを利用した地方軍閥などが首都へ攻め上って前王朝を斃すというパターンです。
中共の体制崩壊があるとすれば、このパターンがいちばん起こりうるでしょう。
(ちなみに後漢、唐、明、清は、3要因のうち複数がからみあっていますが、別に独特の要因があったわけではありません)

これらの要因のいずれかが調わないうちは、どれほど政治が腐敗しても案外倒れないというのがシナ社会の不思議さで、それは現代でも同様と思われます。
大躍進政策時代など、何千万人の餓死者が出るほどの惨状であっても、飢民の反乱軍化を押さえきるだけの力が中共政府にあったために、崩壊は免れました。
流民が発生し、それが政府を打倒するだけの力を持つかどうかが、シナの将来を見極めるポイントであろうと愚考いたします。

投稿: 面毒斎 | 2012/11/12 02:28

“戦わずにして中国に勝てる6つの方法”に見る中国社会の矛盾 Zakzak 2012.10.28

 日本政府が沖縄・尖閣諸島の国有化を9月に発表したことを受け、同諸島の領有権を主張する中国が猛反発し、両国間の文化交流を中断させるなどさまざまな対抗措置を打ち出した。中国のインターネットでも政府の強硬姿勢にあわせて「釣魚島(尖閣諸島の中国語名)を武力で奪還せよ」と言った勇ましい「主戦論」があふれている。そんななか、「戦わずにして中国に勝てる6つの方法」という中国の弱点を指摘する書き込みがネットで話題となった。

 「ヒラリー長官の警告」と題される書き込みは、米国のクリントン国務長官が訪中した際、中国の指導者に語った内容とされているが、実態は中国人のネットユーザーによる作り話とみられる。

 クリントン長官は中国の指導者に対し、「貴国がフィリピン、ベトナムおよび日本と開戦すれば、米国は6つの対策を考えている。一兵卒も使わず、中国を負かすことができるだろう」と言ったという。

 具体的な「対策」とは以下のようになっている。
(1)中国の政府高官が所有する海外の銀行口座の残高を発表し凍結
(2)米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表
(3)米国に住んでいる中国人高官の家族の名簿を公表
(4)ロサンゼルスにある「妾村」を一掃
(5)米国在住の中国人高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容
(6)中国国内の失業労働者などの不満分子に武器を提供。

 内容は若干の重複があるが、今日の共産党政権の“アキレス腱(けん)”を見事に指摘した書き込みといえる。

 少し説明すると、今日の中国では、家族と財産を海外に移し、本人がいつでも逃亡できるように外国のパスポートを持っている共産党幹部が多くいる。中国の捜査機関がなかなか手を出せないとの理由で、高官家族の移住先として圧倒的に人気が高いのが米国だ。例えば、高速鉄道建設に絡む汚職事件で昨年に摘発された張曙光・元鉄道省運輸局長は米国で3軒の高級邸宅を持っているほか、米国とスイスで28億ドルの預金があると報道されている。

 張元局長のケースはあくまで氷山の一角といわれている。米国が中国の政府高官の海外財産のリストを公表すれば、共産党政権への中国民衆の怒りは一気に噴出するに違いない。中国内部が大混乱することは必至で、外国と戦争をするところでなくなる。

 また、ハーバード大学に一人娘を留学させている習近平国家副主席を始め、多くの中国の指導者の身内が米国内にいる。すでに米国に“人質”を取られているといえ、中国の指導者は米国に強く出られない事情がある。

 「ロサンゼルスの妾村の一掃」とは、多くの高官は妻を米国に移住させたほか、愛人にも米国の豪邸を買い与えている。それがロサンゼルス周辺に集中しているため、ネットでは「ロサンゼルスに中国の妾村ができた」と揶揄されている。妻よりも愛人を大事にしている高官が多いため、家族だけではなく愛人を一緒に刑務所送りすれば、中国高官たちへ与えるダメージはさらに大きい、ということを言いたいようだ。

 最後にある「不満分子に武器を提供する」というのはシリアの反政府勢力に欧米が武器を提供したことからえた構想のようだが、中国当局が一番恐れる措置かもしれない。

 中国国内では、土地の立ち退き問題などで毎年20万件以上の暴動が起きているとされており、不満分子に武器が提供されれば、人民解放軍を相手にたちまち内戦が始まりそうだ。

 「ヒラリー長官の警告」は多くの中国国内のサイトに転載されている。「恐ろしい。戦争ができないのではないか」「これらのアイデアを絶対にアメリカに教えてはダメだ」といった感想が寄せられている。

投稿: 64 | 2012/11/12 08:45

 ま、ベルリンの壁崩壊から20年かけて共産主義なんちゃらかんちゃらのキツネツキが取れて、本来の中国の姿に戻ったっていうことでしょうね。賄賂横行、役人腐敗、拝金主義、人権蹂躙、無知蒙昧、中華意識、昔の中国の姿そのままですよ。

 巷間よく言われる経済格差も、「富みを得られる者がまず富めばよい」と、鄧小平時代から改革開放路線をひたすらに走ってきた当然の帰結ですわな。

 本来の中国が持っている諸々の問題を、北京の人民大会堂で誰かが演説を一席ぶったからって、どうにもなるものじゃない。

 例えば、海外移住は、ここ百年ばかり続いてきた中国人の夢ですからね。不潔で貧しく文化水準も低い中国を脱して世界各地に分散するチャイナタウンに潜り込み、そこでカネを儲けて故郷に錦を飾る、この心理は、そう簡単には変わらない。

 そういう人間が持つ幸福追求の本能に比べたら、毛沢東や共産主義なぞ、しょせんは「噴飯もの」であり「蟷螂の斧」でしょう。

 20世紀は「戦争の世紀」といわれるが、共産主義に振り回された世紀でもある。でも、ソ連はロシアになってしまうし、北朝鮮の金豚は去年死んだ。キューバのカストロも、もう数年のうちに死ぬ。21世紀に入って共産主義の看板を今でも大々的に掲げている勢力は中国共産党だけだけれども(あとは、朝鮮労働党と日本共産党があるが、これはグリコのおまけみたいなものでしょう)、中国の中身が資本主義的レッセフェールになっちまっているのだから、もうどうにもならんでしょうな。

 高まる中国大衆の権利意識を、結社の自由と多党制に基づく近代的な議会制度に吸収するか、さもなくば自分が吹っ飛ぶか、中国共産党に選択の余地はないでしょうね。

投稿: ピラニア軍団 | 2012/11/12 14:02

マジで中国のことを研究したくなり、下記HPを始めました。

ご来訪戴ければ幸いです。

中国崩壊熱烈歓迎
http://www.howitzer.jp/china/page03.html

投稿: ピラニア軍団 | 2013/07/18 10:26

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