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2018/11/19

JR東日本に巣食う「革マル派」というカルト


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今日は、我々が思いもつかぬところに巣食う極左勢力について言及しよう。

一般国民の日常生活に絡むところに潜む「国家の破壊活動をたくらむ勢力」―その最大のものはJR総連である。JR総連は傘下組合員6万1000人を誇り、JR連合(組合員7万5000人・右派)と並ぶJR労組内の一大勢力である。特にJR東日本では、経営側のバックアップもあって労組員の約8割を占め、圧倒的影響力を持っている。

この、日本を代表する公共交通機関であるJRの巨大労組が、なぜ国家の破壊活動をたくらむ勢力なのか?
それはJR総連が革マル派によって完全支配されているからである。

JR総連の前身は国鉄動力車労働組合(動労)である。この動労、国鉄民営化前は順法闘争やスト権ストを繰り広げ、「鬼の動労」の異名を取っていた。
で、このJR総連を革マル派が支配するようになったのは、元動労委員長で現JR総連・JR東労組顧問の松崎明氏抜きには語れない。

松崎氏は、1936年生まれ。1955年、国鉄入社。日本共産党に入党。1958年、(革マル派の教祖)黒田寛一氏と出会う。1959年、共産党を離党。革命的共産主義者同盟(革共同)に加入。
この松崎氏が、左翼運動及び労働運動の中で大きな存在感を発揮するようになるきっかけは、1963年の革共同分裂である。革共同が中核派と革マル派に分かれた時、松崎氏は黒田氏率いる革マル派についた。そして副議長(組織名:倉川篤・愛称:クラさん)になった。

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私が左翼だったころ(38年前)、松崎氏は動労東京地本の書記長だった。が、このとき既に、松崎氏は「動労の最高実力者」と言われていた。
この松崎氏、敵であったが、その卓抜した指導力とカリスマ性は認めざるをえない。この松崎氏の秀でた能力と革マル派の組織力(組織論)が一つになって、革マル派による動労支配が確立されていくのである。

革マル派というのは、新左翼(過激派)の中では異端とも言える存在だった。ほかのセクト(党派)が大衆闘争(学園闘争や街頭闘争)に力を入れていたのに対し、革マル派だけは、組織の強化(前衛党建設)にひたすら励んでいた。
彼らにとって大衆闘争は、組織を拡大するための手段でしかない。だから、国家権力と対峙する局面を迎えると、闘争より「組織の温存」を選んだ。東大闘争がその典型である。彼らは、あの安田講堂攻防戦の時、与えられた持ち場からこっそり抜け出した(=逃げ出した)のである。
だから、全共闘にも入れてもらえず、他党派と常に衝突した(内ゲバ)。特に中核派とは近親憎悪もあってか、「血で血を洗う」抗争を繰り広げ、双方合わせて100名近い死者と無数の重傷者を生み出した。

私が左翼に絶望した直接の原因は、妙義山の山岳アジトにおける連合赤軍による大量リンチ殺人であるが、これはまだ、追い詰められた末の、閉鎖空間における極限的な状況が生み出した面もあるという言い逃れができた。
しかし、革共同両派の内ゲバは、もう「アイツは革命の敵だ!敵は殺せ!」という論理でしかなかった。かつては同志だった者たちが、鉄パイプや金属バットで相手を滅多打ちにしたり、バールで頭蓋骨を打ち砕いたりする。
「人間の真の解放」「人間の真の平等」を叫ぶ連中がこんなことをする。私は、このとき、はっきりと「共産主義」というイデオロギーが“狂気”であることを認識した。

特に革マル派は、その独善性、排他性、意見の異なる者への攻撃性という点で、もう「共産主義」という名のカルト集団にすぎないと確信した。そして私は、きっぱりと「共産主義」と縁を切った。

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Dourou_kakumaru

革マル派が動労を支配できたのは、共産主義者(レーニン主義者)特有の狡猾さによる。当時の動労は日本社会党と総評(現・連合)の影響下にあった。で、社会党と総評は、ベトナム戦争の泥沼化を見て、「日米安保条約反対・ベトナム侵略戦争反対」を掲げてそのための青年組織を傘下の労組の中に作った。
その名を「反戦青年委員会」と言うのだが、新左翼(過激派)各派がここぞとばかりにこの反戦青年委員会に対して加入戦術を取るのである。そして、ほどなく、反戦青年委員会は過激派の影響下に収められ、総評の「鬼っ子」になっていく。

この反戦青年委員会で勢力を誇ったのが、中核派と革マル派である(我がブントは運動論はあったが組織論がなかったのでダメだった)。で、そのころの中核派は過激な街頭闘争を運動の軸にしていた。当然、反戦青年委員会に所属する労働者にも動員がかかる。が、革マル派は組織の強化(前衛党建設)が第一であるから、労働者を街頭闘争に参加させるような真似はけっしてしなかった。
その結果、中核派系の反戦青年委員会は多数の検挙者を出し弱体化したが、革マル派系のそれはかえって勢力を増すことになるのである。

しっかりと理論武装(洗脳)された革マル派の活動家たちにとって、社会党や総評系の幹部(ダラ幹)など赤子と同じだった。彼らは、総評の青年部を確実に侵食していった。
何しろカルト集団であるから、その生存能力と繁殖力は環境に恵まれれば極めて高い。で、動労、全逓(後のJPU)、全電通(現NTT労組)、日教組などの官公労組にその勢力を広げていく。

結局、JPUやNTT、日教組などの革マル派は、中核派による度重なる襲撃などによりその勢力を衰退させた。が、動労(JR総連)の革マル派だけは、松崎氏というカリスマの存在もあってその勢力が衰えることはなかった(九州や長野県は離反したが)。

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JR総連(革マル派)の危険性は、国鉄民営化の時の対応を見ればよく解る。国鉄民営化は労働者の側からすれば、まさに大合理化そのものである。したがって、左翼党派であれば、当然反対せざるをえない。実際、当時の社会党や共産党、総評や国労は民営化に反対した。

ところが、である。最左派と目された「鬼の動労」が賛成に回ったのだ。しかも動労から見れば右翼とも言える鉄労と組んでまで。
しかも松崎氏は、このとき、運輸族のボスだった三塚博運輸大臣と手を結び、当時の自民党の実力者だったあの金丸信氏とも親交を深めた。

この、もっともネックになると目されていた動労(松崎氏)の転向によって、国鉄民営化は大した混乱もなく実現するのである。このときから、JR東日本の経営側はJR総連(というか松崎氏)の意向を無視できなくなったのだ。

このあと、動労は鉄労とともにJR総連を発足させる。が、やがてJR総連内の鉄労系組合員は、動労系のセクト主義、その攻撃性に愛想をつかして総連を脱退し、新組織を結成する。
この新組織を積極的に支援したのが、当時、JR東海の副社長だった葛西敬之氏である。で、この葛西氏、自らが非常勤講師を務める大学で革マル派に襲撃される。

JR東日本とJR東海が犬猿の仲なのは、こういう背景があるのである。

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当時、松崎氏はメディアに対して、「私は革マル派ではない」「(革マル派の教祖)黒田氏から思想的影響は受けたが、今は関係がない」と語っていた。そして、「労働者の雇用を守るために民営化に賛成した」とも語った。
が、これはウソだ。革マル派の論理に忠実に従ったにすぎない。

「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘首相(当時)は、国鉄民営化の目的を「国労を解体し、社会党・総評ブロックを消滅させ、新しい憲法を安置する」と語っている。この体制側の猛攻に、戦後政治の一方の軸であった当時の社会党・総評ブロックでさえ崩壊しかねないほどの危機に直面した。
そこで松崎氏は、勝ち目の薄い「抵抗」よりも「組織の温存」を選択したのだ。

ほんとうに転向したのなら、なぜ中核派が「松崎だけは絶対に殺す!」と言うのか?なぜ、JR総連内から意見が相違する者を暴力をもって排除しようとするのか?なぜ、護衛付きで複数のアジトを点々とするのか?

中核派によると、松崎氏は晩年の黒田氏(2006年死去)とは意見が対立していたようだ。党官僚や学生が黒田氏を支持し、労働者が松崎氏を支持するといった構図らしい。
中核派の機関紙「前進」によると、2000年の12月、松崎氏は「革マルと完全に手を切った」と公言し、一方の黒田氏率いる革マル派は「JR総連本部執行部を階級敵と断罪し、打倒する」との「戦闘宣言」を出したらしい。
が、革マル派はJR総連執行部を批判しても、松崎氏個人は批判しないのだ。
共産主義者を知っている人なら分かると思うが、彼らは裏切り者に容赦しない。松崎氏が転向したのなら、革マル派から壮絶とも言える罵詈雑言を浴びせられるはずだ。「裏切り者」「階級の敵」「反革命」「権力の手先」「ファシスト」「スパイ」―おそらくこれくらいは批判(罵倒)される。が、現実はそうではない。
革マル派はJR総連の労使協調路線を批判しても松崎氏には沈黙する。

これは、黒田氏の「組織現実論」を松崎氏が実践しているからではないのか?

松崎氏は、中核派が言うように「革マル派執行部」と路線対立を起こしているのかもしれない。が、除名されたわけでもない。
私は偽装転向だと思う。

革マル派、正式名称は日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派でございますが、同派は共産主義革命を起こすということを究極の目的としている極左暴力集団であります。約五千四百人の活動家等を擁しているというふうに見ております。

革マル派は、他の極左暴力集団と比較しても、非公然性が極めて強い組織であります。これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反事件あるいは対立するセクトとの間での殺人事件等々、多数の刑事事件を引き起こしてきているところであります。

他方、革マル派は、現在、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置いて、周囲に警戒心を抱かせないよう、その党派性を隠して、基幹産業の労働組合等、各界各層への浸透を図っております。JR総連及びJR東労組への浸透もその一環というふうに見ているところであります。

平成18年10月25日 第165回国会 国土交通委員会 第3号(リンク切れ)

警察においては、平成8年以降、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の非公然アジト15か所を摘発しているが、これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、全日本鉄道組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道組合(以下「JR東労組」という。)内における革マル派組織の存在を確認するなど、革マル派がこれらの組織に相当浸透している実態を解明しているものと承知している。

平成15年3月18日 「政府答弁書」(リンク切れ)

やはり、松崎氏は「革マルと完全に手を切っていない」のだ。

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カルトと言ってもよい極左が、日本を代表する公共交通機関であるJR東日本に巣食っている。そしてJR東日本の経営陣がそれに屈服している。
異論を持つ職員や対立する労組に対して暴力さえ厭わない組織、これがJR東日本の労組員の約8割を握っている。そして―JR総連は、利益のみを追求する新自由主義的な競争社会に反対し、公平・公正な社会を築くために、「反グローバリズム運動」を掲げ、世界の仲間たちと連帯して闘っています―などと、もっともらしいメッセージを発信する。

彼らは労働運動をやっているのではない。平和(反戦)運動や人権擁護運動をやっているのではない。革命の準備運動をやっているのだ。
そして、JR総連の潤沢な資金が革マル派に流れていたのは間違いないと思う。昨年、横領容疑で警察の捜索が入ったので今は分からないが。

我々は、JR総連に代表される「普通の顔」を装う極左勢力を注視し、警戒を強めなければならない!

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今日のエントリのテーマは、一度は「書きたい」と思っていたものです。
かなりの時間を要しましたが、少しだけ満足感があります。

読者の皆さん、今後ともよろしくお願いします。


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【追記】
※この投稿は、2008/02/04の再掲です。

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