経済

2011/10/22

「移民の促進」を放棄しない限りTPPには反対!

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐる動きが加速してきた。
野田佳彦首相は、11月にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の際に「交渉参加」を表明するそうだ。
ところで、民主党のみならず自民党も主流派は「賛成」なのだが、両党ともかなりの割合で「反対派」を抱えている。
が、今の情勢を見る限り、おそらく「交渉参加」で押し切られてしまうだろう。
なぜなら反対派には大儀がないからだ。

なぜ大儀がないのか?
反対派は国内農業保護を掲げているが、そもそも農業生産のGDP比は0.9%に過ぎない。
しかも、農業生産額の3割を占める野菜の関税は既にほとんどゼロに近い(財務省貿易統計 実行関税率表)。
中にはコンニャク芋のような例外(関税率1706%)もあるが、農産物として生産され、市場に流通しているのは日本のみである。
主要農産物である小麦は9割以上が輸入品だ。
もっとも影響を受けると思われるのは関税率778%のコメだが、世界のコメのほとんどは日本人が食べない長粒種であり、品種転換は容易ではない。
こういう状況下で「国内農業保護」を掲げても説得力に欠ける。

Noukyou私は農家の3男坊で、父親は全農福岡の理事だった。だから農民の気持ちは解る。が、一般国民に支持は広がらないと思う。

私は、真に食糧安保を考えるのであれば、「単純な反対」ではなく、この機会を利用して日本農業の構造改革を促進する政策を掲げるべきだと思う。
農協という既得権益団体に押されて「TPP反対」を叫んでいるのであれば、本末転倒である。
日本農業の国際競争力を高めるための施策と予算を政府に要求する、それが本来のあるべき姿なのだ。

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私はTPPに反対であるが、すべてがマイナスのように主張する連中には同意しない。
輸出産業にとって有利に働くのは間違いない。
「米国がドル安により輸出振興政策を志向すればTPPに参加しても日本の輸出は伸びない」という主張は、1960年代から現在に至るまでの日米貿易の実態を無視した「為にする議論」である。
自動車や家電などの耐久消費財に関して言えば、米国に国際競争力はなく規格も違いすぎる。
どんなにドル安になっても、米国の車や家電が日本市場に受け容れられるとは思えない。
食品や衣類などの非耐久消費財についても同じことが言える。
日本人と米国人は味覚に大きな相違があるし、衣類でユニクロに対抗できる米企業が存在するだろうか。
米国がドル安をテコに輸出振興政策を推進したとして、いったい日本に何を売ると言うのだ。
たとえドル安が続いても、輸出産業にとって関税は低い方が有利に決まっている。

もうずいぶん前だが、さくらんぼ(チェリー)が自由化された時の思い出がある。
スーパーには米国産のチェリーが山積みになっていた。
我が家も1パックだけ買ったが、それで終わった。
粒は小さいし、見た目は悪いし、味もまずい、こんなもの売れるわけがないと思っていたら、1か月で店頭から姿を消した。
チェリーは「cherry」であって「さくらんぼ」ではなかったのだ。
リンゴもそうだ。
米国産リンゴも早々に市場から姿を消した。
日本は「リンゴ」であって、米国は「apple」、まったく違う果物なのだ。
小さくて、不ぞろいで、味がすっぱくて、甘味に劣るappleを日本人が好むとは思えない。
コメに至っては論外だと思う。
10数年前、記録的な凶作で、政府はタイ米や米国産米を緊急輸入したが、結局、かなりの量が政府の倉庫に眠ったままで終わった。
とにかくまずいと言うか、私に言わせれば「コメ」ではない、「rice」なのだ。
まあ、菓子業界や外食産業にはある程度売れるかもしれないが、一般消費者には受け容れられないだろう。

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私は、TPPはプラスとマイナスのどちらが大きいかで判断すればよいと思う。
輸出産業にとってはプラス。
ただ、企業は潤うかもしれないが、今の雇用構造を考えると、その恩恵が国民に還元されるかは疑問が残る。
農業は、反対論者が言うほど打撃を被るとは思わないが、それでも日本農業の構造改革と国による支援は避けられないだろう。
果たしてこれがうまく行くのか?
医療等に関しては、公的保険が普及していない米国と国民皆保険の日本ではその制度が違いすぎる。
日本の制度を米国流に改めることなどありえない中で、米国の医療産業が日本に本格的に参入するとも思えない。
「米国主導のTPPの主要な狙いのひとつが、日本の国民皆保険制度を非関税障壁として解体し、代わりに医療分野に市場原理を導入すること」などというバカげた主張もあるが、論外。
そんな事態になったら暴動が起きるし、そのとき、私は先頭に立つ(笑)

金融に関しては、またぞろ「TPPは年次改革要望書の復活であり、郵貯かんぽのカネを収奪する」などという主張が散見されるが、性懲りがない、という感想しかない。
もう異常と言ってもよいレベル。
米金融資本がどうやって「郵貯かんぽのカネを収奪する」のか?説得力のあるプロセスを明らかにせよ、と言いたい。
銀行に関しては、私はまったく心配ないと思っている。
確かに日本のメガバンクは国際競争力に劣る。
が、これは1980~90年代初頭のバブルに懲りて積極的にリスクを取らないからだ。
が、逆に言えば、それだけ「安全」ということでもある。
リーマンショックの時を振り返れば、それがよく解る。
ただ、日本のメガバンクが現状のままでよいとは少しも思わない。

TPPに関しては、「価格の低い商品が今以上に輸入されてデフレがさらに進んでしまう」という主張もある。
が、これもどうかと思う。
デフレを世界中に輸出しているのは中国であって、TPP参加予定国に中国ほどの力がある国はない。
むしろ日本企業の海外生産拠点が中国から参加予定国のベトナムやマレーシアに移転した方が日本の国益に適うのではないか。

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私は、ネットを徘徊している「TPP反対論」の大半はプロパガンダだと思っている。
反米主義者か売名狙いか、そのどちらかとしか思えない。
しょせんその程度の連中だから言ってることに説得力がないし、政治を動かすだけの影響力もない。
が、だからと言って私はTPPに賛成ではない。

私がもっとも危惧するのは「人の移動の自由」である。
これは杞憂ではない。
経団連は「移民の促進」を掲げ、もうずいぶん前から政治的動きを強めている。
彼らは「移民の促進」の理由として、「成長力の強化」「未来世代の育成」「経済社会システムの維持に必要な人材の活用と確保」の3点を挙げている。
言ってることはもっともらしいが、その裏に隠されているのは低賃金者の獲得である。

経団連は「人口減対策に早急に取り組まなければ、若い世代の将来不安は解消しない」と言うが、それは逆である。
今でさえ非正規雇用者の増大がもたらす社会的ひずみが問題になっている。
非正規雇用者は既に全雇用者の 1/3 を占める。
そして賃金は、パート等の短時間者を除いても正規雇用者の約半分に過ぎない。
こういう状況下で低賃金の外国人者が何百万人も押し寄せたらどうなるのか。
「未来世代の育成」どころではない。

経団連の米倉弘昌会長は今年1月に、少子高齢化に伴う人口減に対応するためには「移民の受け入れが解決策だ」と述べ、「シンガポールのケースが参考になる」と指摘した。
が、そのシンガポールが既に移民抑制策に転じているのだ。
理由は、外国人(単純者)の急増に対する国民の不満が高まったからである。
元々が移民の国で、多民族国家のシンガポールにして現実はこれなのである。
ほぼ単一民族に近く、均質社会である我が国に移民がなじむとは到底思えない。

参照:「移民の受け入れ」に断固として反対する! 2011/01/24 依存症の独り言

私に言わせれば、移民の大量導入は日本の文化と社会に対する破壊行為であり、反国家的策謀である。
企業が利益を追求するのはもちろんだが、その結果、国民が不幸になるようではその国は滅ぶ。
企業あっての国民ではない、国民あっての企業なのだ。
履き違えてはならない。

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TPP反対がネットで声高に叫ばれる中で、「人の移動の自由」≒「移民の促進」に言及する人は少ない。
何でもかんでも「米国が…」である。
まるで「米国の米国による米国のためのTPP」と聞こえる。
が、そんな言い分が多数派を獲得できるわけがない、断言する!

「移民の促進」反対、つまり職を移民に奪われる、異文化で育った人たちが百万人単位で押し寄せて来る、という点をもっと強く打ち出せば、TPP反対はもっと国民の支持を獲得できるはずである。
にもかかわらず、相変わらずの「米国が…」である。
こういう連中は、きっと何か他の意図を持っているとしか思えない。

私は、「人の移動の自由」に厳格な制限が設けられ、農業の構造改革とその支援策が明確に提示されればTPPに賛成である。
が、それがなければ「絶対に反対」だ。

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2011/05/17

フランスに見る極右が伸張する理由。TPP反対!

国際通貨基金(IMF)のトップ、ドミニク・ストロスカーン専務理事(62)が逮捕されたというニュースには、正直ビックリした。
ニューヨーク市警は14日、ニューヨークのタイムズ・スクエアにある宿泊先のホテルで、ストロスカーン氏が女性従業員(32)に性的暴行を加えたとして身柄を拘束した。
そして、同氏は15日未明、性的暴行、強姦未遂、監禁の容疑で逮捕、訴追された。
米メディアによると、ストロスカーン氏は女性従業員が部屋の清掃に入ったところ裸で応対、女性を寝室に引きずり込み、さらにトイレで乱暴しようとした、という。

60過ぎの爺さまがよくやるよ、と思う反面、日本では考えられない些細なことまでセクハラで訴える米国のことだから、どこまでが真実なのか分からない、という気持も強い。
ただ、この専務理事、女性に目がないようで、08年には職務上の立場を利用して元IMF女性職員と性的関係を持った疑いが持ち上がり、不適切な行為を認めて謝罪した過去もある。
エリートなのにね、というかエリートだからこうなるのかな?という気もする。

フランス人のストロスカーン氏は、パリ政治学院とパリ高等商業学校というエリート養成学校を卒業後、パリ大学教授を経て、1986年に国民議会議員に初当選。
97年には財務相に就任し、欧州統一通貨ユーロの導入に手腕を発揮した超エリートである。
日本で言えば、東大法学部を卒業後、米ハーバード大学に留学し経営学修士(MBA)を取得、筑波大学教授を経て衆院議員に当選、財務相を務めた、そんな経歴の持ち主だ。

まあ、俺は超エリートだから、という意識が強かったのだろうが、米国人とフランス人は性(セックス)に対する意識や男女の関係もまったく違うからね、そのあたりの感覚がずれていたのだろう、そう思う。
ところで、このストロスカーン氏、2012年のフランス次期大統領選で最大野党・社会党の最有力候補と目されていた、というからさらに驚きである。
同氏の逮捕を受け、フランス政界は激震に見舞われているそうだ。
有罪が確定したわけではないが、世論調査で一貫してサルコジ大統領を抑えてきた本命を事実上失った社会党は、候補選びで態勢立て直しを迫られている。

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Dominique            ドミニク・ストロス=カーン(Dominique Strauss- Kahn)氏

「大統領選でだれに投票するか」を聞いた先週のフランスメディアの調査でも、ストロスカーン氏は26%で首位。
極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(22%)とサルコジ大統領(21%)を抑え、有権者の関心はストロスカーン氏の出馬表明時期に移っていた、という。
そのストロスカーン氏が出馬断念に追い込まれれば、社会党が秋の候補選びに向けて、お決まりの内輪もめに至るとの懸念が絶えない。

サルコジ大統領にとっては最強ライバルの失点は強い追い風である。
が、極右・国民戦線のルペン氏が「移民排斥」を訴えて者層の人気を集めており、今回の事件で社会党内が混乱すれば、ルペン氏がストロスカーン支持層の票を奪う可能性も強まりそうだ、という。
ここで私たちが学ばなければならないのは、極右が現職大統領(保守)の支持率を上回っているということである。
と同時に、中道左派の社会党の支持者が、有力候補の失脚を受けて、保守(右翼)のサルコジ大統領を通過し、極右の国民戦線支持に流れそうだ、というフランスの現実である。
極右・国民戦線への支持上昇の背景には、中東や北アフリカからのイスラム系を中心とする移民に対する世論の強い反発がある。
つまり、人権や平等に敏感だったフランス社会も、価値観がまったく異なるイスラム系移民の増大には強い反発を示している、ということだ。

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フランスという国は、元々は共産党が強い国だった。
それは、保守がドイツのナチスに屈服し、ヴィシー政権という傀儡政権に逃げ込んだのに対し、共産党はレジスタンス(RESISTANCE)を組織し、最後までナチスと戦ったからである。
また、フランス最大の労組である総同盟(CGT)は、人権意識が高い同国では共産党の影響下にあった。
だからフランスでは、長年、保守(右翼)の対抗馬は共産党だった。
が、ソ連崩壊後、左翼の主導権は完全に社会党に移行した。
その社会党、つまり左翼の支持者が、今は極右の国民戦線支持に流れそうだ、という。
その根本には排外主義がある。
要は、価値観がまったく異なるイスラム系移民の増大によって治安が乱れる、あるいは単純者の職が奪われる、という不満がその背景にあるのだ。

フランスの一般国民の間には、国家よりも市民の権利擁護に重きを置く左翼支持者が、保守(右翼)支持者と同じくらいいた。
それは、ソ連崩壊までは共産党支持に向かい、ソ連崩壊後は社会党支持に流れた。
が、今は、その左翼支持者のかなりの部分が極右支持になっている、ということである。
市井の民にとって、いちばんの関心は「パン」である、ということを証明する現象だ。

私は、過去のエントリで、「どんな崇高な革命もパンから起きる」と書いた。
イデオロギーに基づく、あるいは宗教に基づく革命も、原動力は「理念」ではなく「パン」だった。
人間は生きることが本能である。
食えなければ死んでしまう。
だから、食えない社会は転覆させられるのである。

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私は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は米国の陰謀である、とか、米国の国益であって日本にはメリットがない、という主張には組しない。
バカじゃない限り、そういう主張には眉に唾をつけると思う。
が、経団連の要求する「移民の奨励」=「人材の移動の自由化」には強い反発を覚える。
看護師や介護士、あるいは単純者等々、の割りに対価の低い職種が外国人に奪われるのは目に見えている。

そして、数が少ないうちはまだしも、それが一定数を超えれば、日本人とは違うコミュニティーを形成するのは間違いない。
すでに南米から来た日系人(これも怪しい)たちが首都圏や中京圏で独自のコミュニティーを形成し、様々なトラブルを起こしている。
日系人ですらそうなのに、異文化圏の人たちが経済的な理由から大挙として日本に押しかけて来たらどうなるのか?
これは資本の論理だけでは容認できない。

自由と人権の国、フランスでさえ排外主義を主張する極右が支持を急速に伸ばしている。
日本という国がそうならないためにも、TPPには慎重でありたい。

日本は少子高齢化社会が急速に進行している。
が、女性や高齢者は、その就業機会を未だ十分に保障されていない。
「移民の奨励」=「人材の移動の自由化」など、その後のことだ、と私は強く思う。

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2011/01/27

英語が公用語なんてオツムを疑う

武田薬品工業が2013年春入社の新卒採用から、応募条件に英語能力テスト「TOEIC」730点以上の基準を設けるらしい。
楽天が、2012年末までに社内で英語を公用語にすると発表したのも話題を呼んだが、このニュースも同じくらいの衝撃波を与えたのではないか。
ただ、楽天と武田では意味が大きく異なる。

楽天は「社内からの日本語の排除」である。
一方の武田は、「日本語でも英語でもコミュニケーションができる」である。
この違いは大きい。
楽天には「日本を捨てる」つまり「国籍のない会社になる」という意図を感じる。
武田には「海外事業を拡大する」あるいは「研究開発部門に優秀な外国人を登用する」という意図を感じる。

私的には武田は○だが楽天は×である。
アイデンティティー【identity】を喪失したグローバル企業などありえない。
コカ・コーラだって、マイクロソフトだって、P&Gだって、日本法人は英語が公用語ではない。
もちろん、経営幹部は高い英語能力を求められる。
トップや役員が外国人であれば、コミュニケーションの手段は英語にならざるを得ない。
が、社内会話や文書は日本語と英語の併用だ。
日本人同士なら、当然、日本語である。

「日本国内で英語を使おうなんて、バカな話だ」
本田技研工業の伊東孝紳社長は、昨年7月20日の記者会見で、こう一刀両断した。
これについて同社広報部は「社長の発言は『英語は必要ない』ということではなく、『臨機応変に使い分けるべきだ』という意味です」と説明する。
当然だろう。

「会社の幹部ならともかく、一般社員にまで社内で英語を使わせることに、何の意味があるのでしょうか。5年に一度のハワイ旅行のために、お金を払って英会話教室に通ったら、その人は普通、バカだと思われますよね。海外赴任の可能性もない社員に英語を覚えさせるのは、それと同じくらいムダで愚かなことです」
こう語ったのは、マイクロソフト日本法人元社長で、インスパイア取締役ファウンダーの成毛眞氏である。

本田の伊東氏や元マイクロソフトの成毛氏の言うことは正論である。
逆に言えば、楽天の三木谷浩史社長は狂っていると言うことだ。
同じように「英語の社内公用語化」を宣言したユニクロの柳井正社長も。

なぜ外資系企業が英語を公用語とせず、英語と日本語を併用するのか?
それは、英語以外の言語がメインであるその国をターゲット市場と定め、そこに市場機会を求めるのであれば、その国の言葉が必要だからである。
と言うことは、楽天もユニクロも、日本で商売をし、雇用をしている限り、現地語である日本語が重要なのである。
むしろ、日本語による顧客や取引先とのコミュニケーション能力を高めることの方が求められているのだ。

私は、楽天やユニクロのような企業は日本にいらない、と思う。

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ところで「TOEIC」730点以上、というのも厳しいですね。
これは、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」レベル。
私の知り合いでは、伊藤忠の社員と、元外資系のキャビンアテンダントくらいしかいない。
私なんかとても無理です(爆)

と言うのも、私も20年くらい前に英語にチャレンジしたことがあるからです。
理由は、米国に行ったとき、新聞を読んでいたら、黒人の男性から「英語をしゃべれないのにどうして新聞が読めるんだ?」と言われたからです。
黒人は新聞を読めない者がけっこう多い。
だから不思議だったのでしょう。
が、私はバカにされたみたいで、悔しくてね(笑)

で、英語にチャレンジしたわけですが、結局ダメでした。
おカネも時間もかけたのに(泣)
なぜダメだったのか?
それは聴く能力が伸びなかったからです。

言葉は耳で覚えるものです。
音とリズム。
それができなかったんですよね、私は。
何しろ私たちのころの英語教育は読み書きと文法のみ。
リスニングやリーディングの学習など皆無。
だから、英語を頭からそのまま理解するのではなく、日本語の順序にいちいち変換してしまう。
音ではなく文字で受け入れてしまう。
だからリスニングが上達しないんです。

まあ、「TOEIC」730点はともかく、英語はできるに越したことはありません。
それもできるだけ早く習得した方がよい。
うちの娘は、幼いころから英語を学んだので、読解力は私が上ですが、リスニングと会話力は娘にかないません。
ただ、気をつけなければいけないのは、以下の言葉です。
「英語をしゃべれる人は多いけど、英語で語れる人は少ない」
これは、ある外資系の幹部の言葉です。

その心は、
「日本の歴史や日本文化を知らないから、英語はうまいけど外国人と深みのある会話ができない」
ということです。
英語を学ぶことも必要ですが、まずはアイデンティティーを確立する、これが重要なのです。

参照:社内公用語が英語って、なんか違うんじゃない?

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2011/01/24

「移民の受け入れ」に断固として反対する!

少子高齢化―人口減少―移民受け入れ、なぜこういう単純な発想になるのか?
それも、我が国において一定の責任ある立場の人間がこんな考えを安易に言葉にする。

日本経団連の米倉弘昌会長は21日講演し、少子高齢化に伴う人口減に対応するためには、「移民の受け入れが解決策だ」と述べ、外国人の定住を促す法整備を進めるべきだと指摘した。

具体的には、他国から者を受け入れている「シンガポールのケースが参考になる」と述べた。日本の少子高齢化が現在のペースで進めば、2050年代には、現役世代の1.3人が高齢者1人を支えることになる。米倉会長は「難しい事態になる」と危機感を表明した。

「移民受け入れで人口減対応」経団連会長が提言 (読売新聞)

米倉氏が「シンガポールのケースが参考になる」と言ったのは、同国の合計特殊出生率(女性が生涯の間に出産する子供の数)が1.3人で、日本(1.3人)と同じだからだ(2008年)。
両国とも人口維持に必要な水準(2.1)を大幅に下回っている。
そして、シンガポール政府は、外国人の移民受け入れに極めて積極的であると言われている。
受け入れ対象は「シンガポールの発展に貢献できる有能な人物」だ。

これなら米倉氏の「シンガポールのケースが参考になる」と言うのも解る。
我が国でも「日本の発展に貢献できる有能な人物」なら必要である。
国籍を問わずにだ。
しかし、である。
シンガポールの現実は、ほんとうにそうなのか?

現在、この国の人口は約500万人(2009年)で、なんと2000年より100万人近く増えている。
つまり人口が9年間で2割以上も増えているのだ。
有能な人材がこんなに増えるのか?
実は500万人のうち185万人が外国人である。
内訳は、永住権所持者が54万人、一時滞在者が131万人。
国籍は、マレーシア、インド、インドネシア、フィリピン、スリランカ、バングラデシュ、タイ、中国。
インドネシア、フィリピン、スリランカ出身者はメイド(女性)が多く、バングラデシュ、インド、タイ、インドネシア、中国などからやってくる男性は、清掃や建設現場での単純に従事する者が多い。
これが現実なのだ。

しかも、外国人の急増に対する国民の不満が高まり、政府は既に移民流入を抑制する措置を講じている。
具体的には、教育、住宅、医療など多様な分野で国民を優先する(移民を差別する)という政策だ。
その結果、2010年の移民の増加率は1.8%、09年の3.1%を大幅に下回ることになった。

経団連の会長様は「シンガポールのケースが参考になる」とおっしゃるが、そのシンガポールが既に移民抑制策に転じているのだ。

これは、私が予測したとおりである。
特別な優遇条件を出さない限り、有能な人材が続々と押し寄せるなんてことはありえない。
やって来るのは、母国では食えない者たちが大半になる。

しかも、シンガポールは元々が移民の国である。
その民族構成は、華人(中国系)が76.7%、マレー系が14%、印僑(インド系)が7.9%、その他が1.4%、つまり典型的な多民族国家でもあるのだ。
移民国家にして多民族国家、このシンガポールにおいてさえ国民から不満が噴出した。
ほぼ単一民族国家に近い日本ではどうなるか?
移民排斥が起こり、彼らはますます自分たちのコミュニティに閉じこもることになるだろう。

米倉氏の本音は別のところにある。
ずばり「低賃金の単純者」の輸入である。
最初は、の割りに低賃金な看護師や介護士などの専門職、次が工場のライン者、そして最後は建設現場などの単純者だ。
そうすれば、国際競争力を維持でき、企業は儲かる。

が、この会長様は、これが何を意味しているのか解っているのか?
看護師や介護士は、雇用条件が劣悪だから人手不足になるのだ。
工場のライン者は、契約社員が多いから問題視されるのだ。
建設現場などは、さらに条件が悪い日雇派遣ばかりだから批判されるのだ。

経団連の会長は「財界総理」ではなかったのか?
であれば、まず日本人者の待遇改善が急務であろう。
それを放棄して移民促進に言及するなんて良識を疑う。
まるで銭ゲバである。

人口が減少しても働ける人はけっして減らない。
雇用環境を改善すれば、もっともっと働く女性は増える。
昔と違い、今は最低でも65歳、元気な人は70歳でも働ける。
移民なんかに頼る必要はない。
多少コストがアップしても、女性や高齢者や非正規者が働きやすい雇用環境を作り上げる、
これが人手不足(人口減少)に対応するための王道であり、移民促進などというのは「亡国の主張」である。

もちろん、国籍や民族を問わずに有能な人材を求めるのは当たり前のことだ。
が、それと少子高齢化・人口減少の問題は関係ない。
また、移民もそれらの問題にリンクしない。

米倉弘昌氏は1937年生まれ、もうすぐ74歳である。
米倉氏が仕事をできるのなら、一般の高齢者だって仕事ができるはずだ、適材適所を貫けば。
日本の企業が世界的規模にまで成長できたのは、国民と国のおかげである。
一流の経営者であれば、国民と国に恩返しを考えたらどうだ。
それが日本人というものである。

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参照1:【シンガポール】人口が500万人を突破、移民増加率が鈍化
参照2:シンガポールの外国人誘致政策
参照3:「ドラマチック」に平等を求める移民者
参照4:シンガポール人口

makotoban

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2008/12/28

資本主義はマルクス・レーニンの批判に謙虚であるべき

今年もあと3日を残すのみ。ふり返ってみると、今年はほんとうに激動の1年でした。個人のことはさておき、政治、経済、社会、すべてにおいて信じがたいほどの激震に見舞われました。
震源は、米国式の金融資本主義にあります(政治だけは別ですが)。マネーがマネーを生む金融資本主義は、不動産バブルのおかげで我が世の春を謳歌しましたが、一方で資源や穀物価格の異常とも言える高騰を生み出し、実物経済や人々の生活に深刻な打撃を与えました。
ところが、その金融資本主義が、不動産価格の急落により年の後半にもろくも破綻=崩壊します。そして今度は資源や穀物価格が暴落、深刻な金融不安が地球規模で市場を席巻します。
実物経済も金融不安のあおりを受けて一気に失速、わが国経済は急速な円高もあって青息吐息。年末になって雇用環境が(悪い方に)激変しました。

なぜ、こうなったか。それは、資本主義が反省を忘れたからです。ソ連を中心とする共産圏の崩壊。中国の市場経済化。経済のグローバル化。この過程で、資本主義、特にアングロサクソン流資本主義はその傲慢さをむき出しにしてきました。
経済の基盤は産業なのに、アングロサクソン流資本主義は産業、つまり「モノづくり」を軽視し、マネーがマネーを生む金融詐術によって世界を支配しようとしてきました。しかし、「価値の源泉は」という根本を忘れた経済が長続きするわけがありません。根太が腐った家は、外観がいかに豪華でも、いずれ崩壊するのです。

私は、今回の、世界規模のバブル崩壊→金融破綻→実物経済の深刻化を見て、マルクスとレーニンの指摘を思い出しました。
私は、このブログにおいて、マルクス・レーニン主義を否定してきました。彼らの歴史観や世界観は既に過去の遺物であると。が、マルクスやレーニンの主張をすべて否定すべきとは思っていません。彼らが間違っているのは、資本主義の後に来る(であろう)社会の設計図や、そこに至るプロセスです。彼らの資本主義に対する批判や分析は、真剣に受け止めるだけの価値があると思っています。
マルクスが明らかにした「の二重性」や「賃と資本」によって、我々は資本主義社会におけるの本質を知ることができます。「史的唯物論」は、歴史が英雄や偉人によって作られるものではないことを我々に教えてくれます。レーニンが「帝国主義論」で示した「不均等発展→市場再分割→帝国主義戦争」という構図は、二度にわたる世界大戦の本質を見事なまでに暴きだしています。
特に、今回の世界金融恐慌にまで発展しかねない資本主義の危機を眼前にすると、レーニンが「帝国主義論」の中で指摘した「金融寡頭制支配が資本主義を腐らせていく」現実を痛感します。

第2次大戦後の資本主義は、大戦をもたらした戦前の体制に対する反省と、戦後に急拡大した共産圏への対抗意識から大きく改革されました。いわゆるIMF・GATT(ブレトンウッズ)体制です。ここにおいて、世界市場は分割の対象ではなく、自由貿易体制の下に統一されることになりました。また、経済に対する政府の関与もより強化され、社会的には福祉の向上と者の権利の強化が実行されました。
これが、戦後、資本主義のさらなる発展と列強間の平和を実現する原動力になったのです。もちろん、その基軸には、米国の圧倒的な経済力と軍事力がありました。
ところが、改革された資本主義においても、レーニンの指摘した不均等発展は避けることができませんでした。米国と英国の産業(製造業)が凋落する反面、我が国とドイツが台頭する、そして近年では中国の成長が著しくなってきました。

そういう中で、米国(そして英国)の金融資本は、レバレッジ(てこの原理)とデリバティブで詐術的に信用創造された数百兆円のマネーを動かし、巨額のマネーがさらに巨額のマネーを生むというシステムを築き上げました。これによって、米国は再び世界経済の牽引役に返り咲きます。
しかし、このシステムは、レーニンの言う「金融寡頭制支配が資本主義を腐らせていく」ものにほかなりません。で、結局、バブルははじけ、金融危機・信用収縮が世界規模で広がり、それが実物経済や人々の生活にまで深刻な影響を及ぼす結果になりました。

金融資本主義が破綻したからといって、資本主義そのものがダメになったわけではありません。ましてや社会主義(とその先にある共産主義)が復権するわけでもない。
ただ、来年は、資本主義のあり方を見直し、反省するべきところは反省し、修正するべきところは修正する。銀行はレーニンの言う「控えめな仲介者」、つまり「経済の黒子」に徹するべきです。そして、「価値の源泉は」にあるということを世界中が再認識するべきだと思います。
特に米国、国民の収入より消費の方が大きいなんて異常すぎます。この国が真剣に反省してくれないと資本主義の未来は暗い。

ところで、私が金融資本主義を批判すると、何か考え方を変えたかのように指摘するコメントが散見されます。断っておきますが、私は新自由主義を無条件で賞賛したことなど一度もありません。人間は、経済活動も含めて自立的であるべきだ。が、弱者に対する配慮も忘れてはならない。要は、「自立と共生」が私の持論です。
小泉構造改革にしても、私は、金融機関への公的資金の注入と不良債権の強制処理、利益誘導型政治と既得権益勢力の打破、そしてその象徴である郵政民営化を支持したのであって、弱肉強食を肯定したことなどありません。

「結果の平等」は悪ですが、「機会の平等」が保障されない社会はダイナミズムを喪失し、衰退してしまいます。つまり、競争の結果として格差が生じるのは仕方がないが、格差が固定されてはならないということです。
この点も、私は資本主義の未来にかかわる重要なポイントだと思います。

今年は、これでブログの更新を終わります。それでは、みなさん、来年は少しでも良いお年をお迎えください。

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2008/10/04

米バブル崩壊は歓迎すべき出来事

サブプライムローン問題に端を発した米国の金融危機で、日本の金融機関がその存在感を急速に高めている。

先月29日には、三菱UFJフィナンシャル・グループが米証券2位のモルガン・スタンレーに最大21%(90億ドル=約9500億円)出資することで合意したと発表した。これで、三菱UFJはモルガンの筆頭株主となる。

また、昨日、三菱UFJ傘下の三菱UFJ証券とモルガンの日本法人が経営統合を視野に検討に入ったことが分かった。実現すれば、企業の合併・買収(M&A)業務の取引規模では野村ホールディングスに匹敵する国内最大級の証券会社となる。

野村ホールディングスも、破綻した米証券4位のリーマンブラザーズのアジア部門と欧州・中東部門を既に買収している。欧州のM&Aにおける野村の顧客レベルは2倍以上に広がると見られている。

そして、米連邦準備制度理事会(FRB)に救済された米保険最大手のAIGが昨日、日本国内で展開しているアリコ、AIGエジソン生命、AIGスター生命の生保3社の売却を発表した。AIGスター生命は経営破たんした旧・千代田生命、AIGエジソン生命は同じく旧・東邦生命をAIGが買収したものだ。
3事業とも収益性の高い優良事業だが、アリコも含めて、今度は逆に日本勢の傘下に収まる可能性が出てきた。

もともと、今回の金融危機で、米国金融機関に支援の手を差し伸べられるのは、中東の産油国と中国と、そしてわが国の金融機関の三者しかないと見られていた。そして、米国がもっとも信頼できるのは、わが国の金融機関だと言われていた。

米国の金融機関が急激に凋落していく中で、わが国の金融機関がその立場を取って代われるかどうかは今のところはまだ不確定だ。が、これからもマネーゲームに手を染めていた者たちが次々に倒れていく。その連鎖は、既に欧州にまで及んでいる。
その中で、わが国の金融機関だけは、80~90年代のバブルとその崩壊を経験したおかげで極めて健全である。おそらく今後は、その存在感がますます高くなるのは間違いない。
もちろん相応のリスクはあるが、讀賣新聞の取材に、あるメガバンクの首脳は「銀行は経済の黒子に徹すべきだ。もうける必要はない」と答えていた(9月27日朝刊)。この発言もバブルの教訓が生きている証だろうが、トップがこういう考えを失わない限り、わが国の金融機関は大丈夫だろう。

「カネがカネを稼ぐ」というアメリカ型ビジネスモデルは完全に破綻した。
「投資銀行」と呼ばれる米証券大手は、借入金の何倍もの資金を金融工学と呼ばれる複雑な技術を駆使して運用し、荒稼ぎしてきた。経営トップの報酬も天井知らずで、破綻したリーマンのトップは年間報酬が79億円だった。まさに「強欲で腐敗したウォール街」(ペイリン共和党副大統領候補)。
が、自らが管理できるリスクを超えた投資を繰り返すマネーゲームは、まるで賭博と同じ。必ず行き詰まる。
そして、マネーゲームは「ウォール街を代表する老舗証券5社の消滅」で幕を閉じた。

価値の源泉はであり、実体経済の屋台骨は農業を含めた製造業である。金融は、人間の体で言えば血液にたとえられる、なくてはならないものである。が、金融が実体経済を支配するという米国式金融資本主義は明らかに異常であり、いつか破綻するのは目に見えていた。

今回の金融危機は世界経済に大きなダメージを与えた。が、私は良かったと思っている。これで世界は、いくらかまともになる。
米国経済は、間違いなく、この先数年間は低迷するだろう。結果、世界中で暴れ回ってきた投機資金もおとなしくならざるを得ない。現に、ニューヨーク原油先物相場は10月3日、1バレル=93.88ドルと、7月11日につけた最高値147ドルの3分の2以下の水準にまで下落した。原油のほか小麦、銅も下落した。理由は、米議会を通過した金融安定化法案でもリセッションを防げないとの懸念が強いからだ。
米国経済の不振は世界の景気に悪影響を及ぼす。が、その結果、原油や穀物の価格がさらに値下がりすれば、ガソリン価格や食料品価格の値下りという形で我々の生活に還元される。原料高に悩まされてきた企業も一息つける。そして実体経済においては、社会の役に立つ製品を作る企業が評価され、株価も上がる。

今は最悪に見える世界経済だが、異常な姿から本来の姿に戻るための、謂わば「生まれ変わりのための痛み」と受けとめるべきだろう。

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【追記】
先月29日から「政治ブログランキング」に復帰しました。
このカテはアクセス数が10倍くらい違うんですね。
それを痛感した次第です。

クリック、よろしくお願いいたします。

【追記2】
「サブプライムローン問題」と言っても、「よく解らない」という方もおられると思う。
で、少し解説したい。

サブプライムローンは、よく「低所得者向け高金利型住宅ローン」と呼ばれるが、これは正確な表現ではない。サブプライムローンとは、「通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローン」なのである。プライム層(優良顧客)ではない人たち(サブ)に貸すのであるから、そのリスクはきわめて高い。

本来、借り入れができない人たちが融資を受けられる。当然、住宅や不動産は飛ぶように売れる。価格が上昇して資産価値が膨らむから信用度の低い人たちも何とかしのげる。が、ひとたび価格が下落に転じると不良債務者が激増する。

米国の金融機関は、このリスクを細分化して証券とし、複数の金融商品に構成要素の一つとして組み入れた。そして、魅力のある「デリバティブ(金融派生商品)」として不特定多数の投資家に売買して巨額の手数料を稼いだ。
つまり強欲なウォール街が、サラ金みたいな住宅ローンを信用度の低い人たちに大量に貸し付け、バブルを引き起こしてそのリスクを隠蔽していた。そして、リスクは金融工学というマジックを使って世界中にばらまかれていた、ということだ。
しかも、今回の米国のバブル崩壊は、わが国のそれとは桁が違う。

サブプライムローン関連の損失額は、最近の国際通貨基金(IMF)幹部の発言では総額1兆1000億ドル(約115兆円)で、わが国のバブル崩壊後の金融機関損失額と同程度である。
しかし、金利関連を中心に米銀のデリバティブ契約残高は今年3月末で米国のGDPの10倍に上ると言われている。そして、このデリバティブの全容は米国通貨当局も掌握できていない。「工学」という名の「マジック」だから、信用の格付け会社もその与信度が正確には分からない。

そこで、住宅関連のデリバティブ取引が金融機関に巨額の損失を発生させ、中身がよく分からないから、その信用不安がデリバティブ全体に及んでいる。そして、そのデリバティブの総額は米銀が抱える分だけで天文学的数字になる。
これが、今回の事態が「世界金融恐慌」につながるという不安を惹起させるのだ。だから、米国政府は不良債権の買い取りに最大で7000億ドル(75兆円)もの公的資金を投入すると発表したのだ。

市場危機のたびにFRB(米連邦準備制度理事会)は巨額の資金供給をしたが、結果は無残だった。「FRB資金は投機資金に化けて原油・穀物相場を高騰させ、世界中を混乱させた」(ロンドンの国際金融アナリストのA・シムキン氏)。で、FRBがあわてて余剰資金を市場から吸い上げると、今度は原油など商品先物相場が急落し、先物に賭けていた金融機関が破綻した。

ウォール街はサブプライム危機までは繁栄を謳歌してきた。借り手が返済する確実性や収益性が欠けていても、リスクは限りなく細分化されているから大丈夫のはずだった。
で、いつでも現金に換えられるはずの証券が爆発的に増殖したが、住宅価格が急落した途端にこれら証券はほごになった。
リスクが限りなく細分化されている分だけ、信用不安も限りなく細分化され世界中に広がった。

バブルに安住した強欲な金融機関の因果応報が今回の経営破綻である。金融大手救済に国民の税金を使うなという米国世論も解らぬではない。

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2007/09/02

反共の砦・グダニスク造船所がつぶれる?

このバナーは、2008年8月7日まで常にトップに表示されます。ボイコットに賛成の方はこちらまで。Bandeau_gb
       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

「者のための国家」が「者の反乱」によって崩壊する。それがソ連型共産主義の末路だった。で、「者の反乱」の象徴がポーランドのグダニスク造船所の自主管理労組「連帯」。

この造船所が今、存亡の危機にさらされている。往時1万7000人いた者は、既に3000人にまで減った。が、それでも先行きの目途が立たない。
ポーランド政府は、EU加盟(04年)後も計5100万ユーロ(約81億円)もの援助を行っている。が、EUの競争政策では、政府が企業に援助する場合、同時に効果的な再建策を提出する義務がある。このため造船所側は8月下旬、EUに再建策を出したが、不十分として却下された。
EUの内閣・欧州委員会は、3造船台のうち二つの閉鎖など大規模なリストラを求めているという。

暗黒の共産主義体制から脱却したら、今度はグローバリズムの荒波。やはり、どんな体制になっても「者に安住の地はない」ということか。

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ポーランドの造船業が苦境に立たされている直接の原因は中国の台頭にある。
今年1~6月の中国の船舶建造量は前年同期比43%増の755万トンに上り、手持ち受注量はなんと107%の大幅増で1億540万トンに達した。
船舶建造量の世界シェアは19%。1999年のシェアは2.3%だったから、もう台頭というレベルのものではない。まさに世界市場を“席巻”しているというべきだろう。

ポーランドの造船所がいくら頑張っても、中国に勝てるわけがない。中国の国民1人あたりのGDPは1,700ドル(2005年・外務省)。対するポーランドは7,946ドル(2005年・外務省)。つまりポーランドは中国の4倍以上。

では、ポーランドはグローバリズムの恩恵を受けていないかというと、そうではない。2006年の外国からの直接投資は100億ドル(約1兆1,500億円)を超えている。順番は米国、ドイツ、日本の順。
特にドイツでは、投資が旧東独地域を通り越して、一つ先のポーランドに向かうことが問題になっている。ここでは、旧東独地域がポーランドの犠牲になっているのだ。

------------------------------------------------------------------

この、中国・ポーランド・ドイツの関係がグローバリズムの本質をよく表している。資本は常に利益を求めて移動することを考えれば、造船が中国に流れ、ドイツの製造業がポーランドに流れることは理にかなっている。
結果、ドイツの国内向け投資が減速する。で、旧東独地域の西との格差はなかなか埋まらない。

要は、グローバリゼーションが進行する世界では、生産性の低い産業、競争力の劣る産業は淘汰される。そのような産業構造の変化が地球的規模で起こる―それは先進国であれ途上国であれ同じことだ。
で、その生産性の高低、競争力の有無は者個人も無縁ではいられない。
そこにおいて、グダニスク造船所のような生産性の低い産業、競争力の劣る産業を国家が援助することは間違っている。そこに求められるのは、企業自らの体質改善であり、技術の高度化である。それを国が支援するのは正しいと思う。
個人の場合は多少違う。
企業と違い、やむを得ない事由で生活に困難をきたしている個人に公的扶助を与えるのは、現代社会では当然だろう。が、個人も、まず求められるのは自助自立の精神、心構えである。

かつて「連帯」を率いたワレサ元大統領は、同造船所の存続を求めて活動しているらしい。が、国家が資金援助しなければ延命できない企業など存続させてはならない。
公的資金を投入する時は、再建できるという目途が立たなければならない。それが国家の責任である。

------------------------------------------------------------------

最後に、強く指摘しておかなければならないことがある。それは、国と国有銀行と企業が三位一体となって世界市場を席巻する中国の存在である。
しかも、人民元の相場は実態と乖離しており、者の賃金は極端に安い。
このような不公正な国の存在が、グローバリゼーションの弊害をますます強めている。

わが国のデフレも、非正規雇用者の増大も、中国にその一因があることを忘れてはならない。

人民元の早急かつ完全なる変動相場制移行を強く求める。

参照1:ポーランド:「連帯」発祥の造船所が閉鎖の危機
参照2:15ポイント上昇、中国造船世界シェア[製造]

【追記】
冒頭と右サイドバーのバナー(画像?)は「国境なき記者団」のものです。
できるだけ多くのブロガーがページに貼り付けることを希望します。

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2006/03/17

銀行も所詮は金貸し


小泉純一郎首相は15日午後、参院予算委員会の証券・金融問題に関する集中審議で「消費者金融」に関し「わずかなお金を借りて多額の借金を返さないといけない。高金利をむさぼっている業者に被害を受けないような対策を講じなくてはならない」と述べ、
利用者保護に取り組む考えを示した。

与謝野馨金融担当相も「高い金利で貸す消費者金融業者の広告が堂々と出て、超一流だと思っていた銀行が消費者金融業者と一緒に広告を出しているのは不愉快だ」と、大手銀行が消費者金融と共同で事業を展開する現状を批判した。

利用者保護が必要 首相、高利の消費者金融で
(2006年3月15日 共同通信)


「超一流銀行と思っていた銀行がサラ金業者と一緒に広告を出していることは不愉快だ」。与謝野金融相が15日の参議院予算委員会で、消費者金融と提携して商品広告を出している大手銀行を痛烈に批判した。

共産党の大門実紀史氏の質問に答えた。大門氏が示したのは、三井住友銀行と大手消費者金融プロミス、両社が出資するアットローンの3社が全国紙に掲載した共同広告で「三井住友銀行店内のローン契約機で、3社のお申し込みができます!」と書かれている。

金融庁は今後、有識者で構成する「貸金業制度等に関する懇談会」で、多重債務者
増加の一因と指摘される貸金業者の広告の規制を検討する。貸金業者の広告には
有識者からも「利便性ばかり強調して、肝心な利息を顧客に認識させていない」との
批判が出ていた。

大手行では、三菱UFJグループがアコムやプロミスとともに消費者ローンを展開している。

金融相が痛烈批判「大手行とサラ金の提携広告不愉快」
(2006年3月15日 朝日新聞)

「サラ金」の金利は「出資法(出資の受け入れ預かり金及び金利等の取締等に関する法律)」の金利が適用されている。この金利は年率29.20%(平成12年5月末までは40.004%)。
よく「違法金利」とか「グレーゾーン」とか言われるのは、この金利のことである。
が、実際はどうなのか?

利息を規制する法律には、実は「利息制限法」という法律がある。こちらの方が金利が安く、裁判所の判断はこの「利息制限法」に基づいて行なわれる。
だから、裁判になると「サラ金」が負けるのである。が、「サラ金」の金利自体は「違法」ではない。なぜなら、「サラ金規正法(貸金業の規制に関する法律)」は「出資法金利の有効性」を認めているからである。
ちなみに「利息制限法」の金利(年率)は「10万円未満:20%」「10万円以上100万円以下:18%」「100万円超:15%」。「出資法」の金利と「利息制限法」の金利の格差は一目瞭然である。

では、なぜ「サラ金」は「違法金利」を取っていないのに裁判に負けるのか?
「サラ金規正法」では、「出資法金利」は「任意金利」とされているからである。「出資法金利」の有効性を保つには、常に店頭で返済してもらい、「任意金利支払合意書」に
その都度サインしてもらう必要がある。だから、ATMで返済された瞬間に、「任意金利」である「出資法金利」は「合意」されていないことになる。
「合意」されていないのに「任意金利」である出資法金利を取る。これが「グレーゾーン」といわれる所以(ゆえん)であり、裁判になると「サラ金」が負ける原因になるのである。

かつて「サラ金地獄」と呼ばれた時代があった。家の前で「カネ返せ、ドロボー」と大声で叫ぶ。隣近所にふれ回る。玄関のドアに「催告書」を貼り付ける。夜中に電話をかける。電話に出ないと夜中に電報を送りつける。
当時は、こうした、返済の滞った債務者を徹底的に追い詰める手法がまかり通っていた。金利(年率)も確か50%近かったと思う。

このような状況下で自殺者が続出した。まさに「地獄」と呼んでもおかしくない状況だった。そこで「サラ金規正法」ができたのである。
今は、多重債務者の相談に乗る専門弁護士もいるし、任意整理という手段もある。が、当時は救済手段が何もなかった。
性格的に弱い人は「夜逃げ」。逃げる当てのない人は「自殺」。それくらい厳しくてひどい「取立て」が横行していた。

「サラ金地獄」を再現させないために「サラ金規正法」ができた。出資法の上限金利も
大幅に引き下げられた。が、問題が解決されたわけではない。
金利の上限は、まだ3割近い高水準に止まっている。テレビでは、簡単におカネが借りられて、楽しい生活がすぐ手に入るかのようなコマーシャルが大々的に流されている。
そこでの警告は、「ご利用は計画的に」という、ごく短いワンフレーズだけだ。

私は、今でも「サラ金」は社会悪だと思っている。
確かに、ボーナス前に50万円を借りて海外旅行に行き、帰国後にボーナスで返済(期間:1週間)すれば、数千円の金利ですむので「サラ金はコンビニエンス」と言った評論家もいた。
が、「サラ金」からカネを借りる人の大半は、そんな「健全な人」ではない。確たる返済の当てもないのに、「目先の必要」のために高利のカネを借りる。そして返済に行き詰まり、ほかの「サラ金」に手を出す。
行き着くところは「多重債務者」であり、社会生活の破綻である。中には、「サラ金」よりもはるかにあくどい「暴力金融」の食いものにされる人も現れる。

考えてみれば、「サラ金」やクレジットのキャッシングが300万円に膨れ上がった時点で、もうその人は破綻を待つ身に陥る。年収400万円の人でも、毎月の金利を返済するだけで精一杯。元金は1円も減らない(独身者は別)。
こういう事態に陥る前に、「任意整理」か「法的整理」のいずれかを選択した方がよい。そうすれば、まだ再起できる可能性がある。

「サラ金」に多少の善意というものがあれば、他の「サラ金」から融資を受けている人には新規の貸付をおこなうべきではない。
融資を申し込んだ人が、今、どのくらいの借金を抱えているのかは瞬時に分る。だから、クレジット系の会社は、「サラ金」からカネを借りている人には新規融資をしない。
銀行は、「サラ金」はもちろん、相手がクレジット会社であっても、借り入れ金額が大きい場合は融資を受け付けない。
「サラ金」も、最近は「自主規制」で多少なりとも姿勢が改められたらしい。が、ついこの間までは、3社目までは積極的におカネを貸していた。
50万円×3社=150万円。こういう、複数のサラ金から借金をする人は、クレジットのキャッシングも借りまくっている可能性が高い。したがって、借金の総額は、すぐ200~300万円になる。
つまり、「サラ金」は多重債務者への道を後押ししているのである。

もちろん、カネを借りるのは自己責任である。借りたものは返さなければならない。貸す方が悪いのではなく、借りたカネを返さない方が悪い。
これはそのとおりである。が、暴利の金融から簡単にカネが借りられるという社会状況は改善されるべきである、と私は思う。

タバコの警告表示は、「吸いすぎると健康に害を与える場合がある」という抽象的なものから、「喫煙は脳卒中による死亡の危険性を約1.7倍に高める」、あるいは「肺がんによる死亡の危険性を約2倍から4倍に高める」という具体的なものに変わった。また、テレビコマーシャルも禁止された。

「サラ金」も、それを利用することによって「多重債務者」に陥る危険性があることを、
明確に告知するべきである。
それができなければ、テレビコマーシャルを禁止する。
そうすることによって、「サラ金」を利用する人がなくなることはないが、利用者が減ると同時に、利用する前に慎重に判断するようになるのは間違いない。
また、金利が金利を生み、借金が雪だるま式に膨れ上がるような「出資法」の金利を、大幅に引き下げることが必要である。

パチンコやその他のギャンブルのために「サラ金」にはまった、あるいは海外旅行やブランド物の誘惑に負けて「サラ金」にはまった、そういう話を見聞きするたびに、「欲望喚起型消費社会」の罪深さと家庭や学校教育の堕落を感じる。
そして、そんな「欲望喚起型消費社会」において、銀行と「サラ金」が提携して、しかも
一体となった広告を出すなんて、銀行の社会的使命感の喪失を痛感せざるを得ない。

ここでも、「カネさえ儲かれば、そして違法でさえなければ何でもあり」という、経営者のモラルの荒廃が如実に表れている(怒)

参照:サラ金・消費者金融の内情(企業研究や就職希望向け)

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2006/02/23

日本は「成熟した債権国」

昨日の讀賣新聞朝刊に興味深い記事が載っていた。
とても参考になるので、全文を転載する。


海外とのモノやカネのやりとりの収支を示す日本の2005年の経常収支で、海外への
投資に伴う配当金や金利収入などの黒字額が、モノのやりとりでの黒字額を初めて
上回った。日本は長い間、海外への製品輸出で外貨を獲得してきた「貿易立国」だったが、海外への投資でも外貨を稼ぐ「投資立国」に変わりつつある。(黒川茂樹)

経常収支は、配当金や金利収入などの所得収支、製品の輸出入による貿易収支の
ほか、海外旅行者が土産品を買ったり食事をして支払った額の収支などを示す「サービス収支」、途上国への政府開発援助(ODA)の一部などを示す「経常移転収支」をあわせたものだ。
05年の経常収支の黒字額は18兆479億円で4年ぶりに減ったが、ドイツ(円換算で
約12兆4000億円)などを大きく引き離し、依然として「世界一の経常黒字国」となって
いる。
経常収支のうち、貿易黒字は10兆3502億円、所得黒字は11兆3595億円で、全体を
押し上げる2本柱となっている。

所得収支は、日本企業が海外に工場を建てたり、海外企業の株を買ったりして得た
配当や利子などと、海外の企業が日本で得た配当や利子などの差額をいう。投資額
そのものは資本収支に区分けされ、経常収支には含まれない。
20年前には日本の所得黒字はわずか約1兆6000億円で、貿易黒字(約13兆円)の8分の1程度だった。しかし、1985年9月に、先進5か国がドル高を是正していくことを決めた「プラザ合意」で、1ドル=約240円だった為替相場は円高が進み、所得黒字と貿易黒字の差が縮まる大きなきっかけとなった。
それまで主に欧米へ工業製品を輸出して外貨を稼いできた日本の自動車や電機メーカーは円高で輸出がしにくくなり、一斉に生産拠点を海外に移すグローバル化を進めた。日本からの輸出が現地生産に移って貿易黒字が抑えられ、一方で海外などにつくった生産子会社などから得る配当などは増え続け、所得黒字の拡大につながった。
日本国内の需要(内需)拡大や、バブル崩壊以降の景気回復を狙って日本の金利が
低く抑えられたことも、所得黒字拡大を後押しした。国内投資家が金利が高い欧米へ
積極的な証券投資を続けたためで、04年末の日本の対外資産残高は約434兆円と
99年末より4割以上も増え、利子や配当を生むようになっている

「経常収支の変化は、国の経済の発展段階を反映している」という「発展段階説」に従うと、日本は経常黒字が大きい「未成熟な債権国」から、貿易・サービス赤字を所得黒字が補う「成熟した債権国」の段階に向かいつつある。
この説によれば、目立った輸出産業がない発展途上国は、海外からの投資(借金)で国内産業を育成する。この段階では貿易・サービス、所得とも収支は赤字だが、輸出産業が稼げるようになれば、もうけを海外への投資にも回せるようになり、その国は「借りる側」の債務国から「貸す側」の債権国に移行する。

しかし、人件費の高騰などで、国内産業は次第に国際競争力を失い、貿易黒字はその後、減少に向かう。しばらくは所得収支の黒字が穴埋めして経常収支は黒字だが、
貿易収支が大幅な赤字になると、海外から国内の株式市場などに投資を呼び込まなければ必要な資金が賄えなくなる。これが海外の負債が資産を上回って増える「債権
取り崩し国」で、巨額の経常赤字を抱える米国はこの状態にある。貿易黒字が1019億ドルと日本を抜いた中国は「債務返済国」で、日本は米国と中国の中間段階にある。

経済財政諮問会議がまとめた「日本21世紀ビジョン」は、2030年度の日本経済は、
貿易・サービス収支が赤字になるが、中国などへの投資による所得黒字が拡大して
経常黒字は保つ「投資立国」の姿を描いている。ただ、「高齢化が進んだ21世紀半ばには、所得黒字では貿易・サービス赤字が賄えなくなる」(櫨浩一・ニッセイ基礎研究所
チーフエコノミスト)との指摘もある。
今後、米国のように経常赤字が定着すると、赤字穴埋めのため、外国からの借金に
頼らざるをえなくなり、経済運営が不安定になりかねない。

これまでの日本の通商戦略は輸出産業の育成に力を注いできた。今後は、高い技術を持つ人材の有効活用や、グローバルな投資活動などの重要性がより高まりそうだ。

naruhodo22902



















貿易立国から投資立国へ
(2006年2月22日 読売新聞)

我が国が、ここまで成熟してきたことは奇跡と言ってよい。
20年前には日本の所得黒字はわずか約1兆6000億円で、貿易黒字(約13兆円)の8分の1程度だった。それが、05年には貿易黒字(10兆3502億円)を所得黒字(11兆3595億円)が上回った。そして、経常黒字額は18兆479億円でダントツの世界一。
まさに、1985年9月の「プラザ合意」をきっかけに日本は変わり始め、ついに変身を成し遂げたということだ。

「プラザ合意」のとき、私はある商売をしていた。それは、輸出企業にコンピュータを使った貿易システムを売り込むという仕事だった。
私は絶望的な気分になった。顧客も青い顔をしていた。「もうダメなんじゃないか」と。
なにしろ1ドル=約240円だった為替相場が、1ドル=約90円にまで急騰した
のである。
しかし、これを契機に我が国は、生産拠点の海外移転と内需拡大という路線にシフトした。そして、中曽根内閣の『民活』路線と大幅な金融緩和が状況を変えた。『民活路線+大幅な金融緩和』がバブルを生み出し、見せかけの繁栄に世の中が浮かれることになる。

が、バブルはしょせん泡。大蔵省の『不動産融資総量規制』という劇薬が効きすぎて
バブルは一気に崩壊。ここから失われた10年が始まる。
「ジャパン・バッシング(Japan bashing)」と言われるほどに世界中から嫉妬されていた国が、「ジャパン・ナッシング(Japan nothing)」と呼ばれ、バカにされるようになった。
私自身も最悪の状況に追い込まれ、「今度こそ、もうダメだろう」と観念した。
バブル崩壊によって、なんと1千389兆円もの資産が泡となって消えたのだ。家計も623兆円の損失を被った。

ただ、私には、戦後一貫して続いて来た行政主導型の成長政策、いわゆる「行政指導」「護送船団」「横並び」などの言葉に代表される経済体制を変革する、これができれば、まだ日本は捨てたものじゃない、という思いも強かった。

戦後体制は、政治・経済ともに完全に金属疲労を起こしていた。しかし、政治も経済も一向に変わる気配がない。政治においては相変わらず経世会(竹下派)の支配が
続き、金融機関の巨額な不良債権の処理は先送りされる。そして国債頼みの財政
出動。
日本沈没の危機に直面しているのに、旧態依然とした体制は変わらない。社会全体が閉塞感におおわれ、私自身もやりきれない気分に陥ったものだ。
ところがである。不可能!!!絶対にありえない!!!と思っていた小泉純一郎が総理大臣に
なった。そして2005年、日本は力強く復活した。

大多数の上場企業が、この3月期、史上最高益を更新する。
間違いない!

やはり日本人は賢い。日本国は偉大である。将来、今の米国のような『債権取り崩し国』になるとは思わない。

ここで、讀賣新聞の記事に書かれていない問題点を指摘しておく。
我が国は、米国債の海外保有額の約4割を占めている。2005年2月現在の残高で、米国債を7千020億ドル(約82兆8千400億円)も抱えている。この米国債の利回りも、我が国が「投資立国」になった要因の一つである。
米国債をこれほどまでに抱えることになった要因は、主として円高を防ぐための為替介入にある。が、このままだと『米国と共倒れになる』という危険がある。

今の米国は財政赤字と経常赤字という巨額な双子の赤字を抱えている。にもかかわらず経済は『バブル』と言われるほどの活況を呈している。レストランのウェートレスまでが不動産投資に走っているそうだ。その米国の『バブル』を支えているのがジャパンマネーなのである。そのことを、この場で明確にしておきたい。
なお、中国も、05年11月末現在で2千498億ドル(約29兆4千800億円)の米国債を保有している。これも元高を防ぐために為替介入を繰り返した結果である。

米国債保有高 第1位:日本 第2位:中国。つまり、日・中両国で米国経済を支えている(笑)

参照1:米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?
参照2:アメリカのために日本をつぶす
参照3:バブル崩壊 家計の損失は623兆円
参照4:米上院委長 「為替操作国」と批判 元の再利上げ求める

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2006/01/25

浮利を追わず

私は、このブログを立ち上げて間もなく、「M&A」というエントリーで堀江流のビジネスに言及したことがある。


(前略)
まず、堀江貴文という男、まだ32歳だが、なかなかのモンだ。その発想と行動力。
もちろん批判はある。
「ライブドアは、わずか一年のあいだに、1株を1万株に分割するような極端な『虚業操作』を行い、『虚像資産』を確保することで肥大した」
あるいは
「『時間外取引』という、別の目的で許容されていた株式取得の方法を通じて、ニッポン放送の30%に当たる株式を一日で取得した。このようなやり方は、法の隙間を突いた
手法とも云え本来の趣旨に反する」
等である。
いわゆる「道義に反する」「商業倫理に反する」という類の批判だ。
しかし、商売の道義や倫理に普遍性はない。時代や地域によって大きく違う。
むしろ、グローバルスタンダードからすれば、ライブドアの行動は当たり前のことであり、
ニッポン放送のフジテレビに対する新株予約権発行の方が異常と映ったのではないか。
取締役が株主を選ぶのではなく、株主が取締役を選ぶのだ、という株式会社制度の
当り前のことを無視したやり方が認められるはずもない。
それに比べれば、ライブドアの行為は、あくまでも東証の市場内取引であり、非難される筋合いのものではない。
要は、堀江氏のやったことは、、ほかの人間が思いつかなかった、あるいは、思いついても現実的な手段として考えられなかった、ということだろう。
(以下略)

horiemon








読めばお分かりであろうが、全面的な『堀江擁護論』である。
私は、今でもこの考えは変わらない。日本的な馴れ合い、もたれ合い、責任のあいまいさ、これらが『失われた10年』『ジャパン・ナッシング』をもたらしたと痛感しているからである。
我が国の『失われた10年』の間に、世界は大きく変化した。グローバリゼーションが
進行する中で、世界的規模で競争が激化し、優勝劣敗の『市場主義』が世界を支配
するようになった。
これに対して、海外型(international)企業は速やかに対応したのだが、国内型(domestic)の産業は相変わらずぬるま湯的な体質から抜けきれないでいた。
ライブドアがニッポン放送の株を買い占めたころの、日米企業の同業種トップクラスの
株式時価総額の差は約10倍にものぼっていた。商法が改正され、外資による株式交換方式での買収が解禁されれば、国内型(domestic)の産業は「ひとたまりもない」というのが現実だった。
だから、警鐘を鳴らす意味でも、堀江氏の行動を支持したのである。

私が、小泉改革を支持するのも同じ理由である。『市場主義』が正しいとか間違っているとか言っても仕方がない。世界の流れがそうであれば、それに対応できるように我が国を改造するしかない。
小泉内閣が掲げる構造改革は、国際的に開かれた経済社会、自己責任原則と市場
原理に立つ自由で公正な経済社会への変革である。行政の役割を、事前規制型から事後チェック型に転換させる。規制緩和を推進し、競争政策を積極的に展開する。
ただ、この『市場主義』が正しく機能するには、『公平・公正』が大前提になる。行政に
よる差別(補助・保護)や企業による不正(粉飾・虚偽)が横行すれば、市場は機能しない。
事後チェック型行政に移行すれば、当然ながら新たなルールが必要になる。自己責任原則を確立するには、厳格な情報公開と消費者保護のためのシステムづくりが欠かせない。

ライブドアと堀江氏がやったことが報道どおりであるとすれば、新たなルールや自己責任原則を確立するためのシステムが、まだ不十分であることの間隙を突いたということだ。そして、やることなすことのすべてがうまく行ったので、歯止めが効かなくなり、旧来のルールからも逸脱した。
これは、自らレッドカードを突きつけたに等しい。速やかに市場から退場してもらわなければならない。
金儲けがすべて、金儲けのためには何をしてもよい、というのであれば、ヒューザーの小嶋社長と同列である。
ただ、堀江氏は容疑を否認しているし、検察の手法もかなり強引なところがある。最終的判断は、もう少し事態が進展してからにしたい。

ただ、これだけは言える。マネーゲームで巨利を得るという発想・行動は、人間社会を滅ぼすことになる。ものの価値や利益は、すべて額に汗して働くことから始まるという
ことを忘れてはならないということだ。
日本社会は、1970年代、田中角栄氏の『列島改造論』に湧いたころから、楽をして儲けることがカッコよくて、額に汗して働くことはダサイという風潮に染まってきた。それが
ピークに達したのが80年代の『バブル』である。
この時も『持てる者』と『持たざる者』の資産格差の大きさが社会的問題になった。しかし、『持てる者』も、結局、バブル崩壊で泣いた。私もその一人である(笑)

にもかかわらず、人間というのは、喉もとすぎれば熱さを忘れる。また『ミニバブル』と
いう言葉を耳にするようになった。『勝ち組』と『負け組』という二極化が現れ始めた。
が、『優勝劣敗』は『弱肉強食』とは違う。敗者は復活の機会を与えられなければならないし、まじめに働き、日々努力を惜しまない者が泣くようなことがあってはならない。ましてや、不正を働いた者が勝者になってはならない。

検察の狙いは、事後チェック型行政への移行に便乗して、「バレなければ何をやってもいい、儲けた者の勝ち」という風潮に冷水を浴びせることだという。
『偽装マンション事件』といい、今回の『ライブドア事件』といい・・・自助努力、勤勉、
高いモラル、『世界の奇跡』と言われた戦後の復興を支えた日本人はどこに行った。

※堀江氏は、まだ容疑者の段階なので『氏』を付けました。

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【追記】
「竹中平蔵総務相は過去5年間、小泉内閣で経済運営と金融行政の中心にいた。その人が深く付き合っていた堀江容疑者が逮捕されたことのもつ意味は大きい」
加藤紘一元幹事長の発言である。
加藤氏は、堀江氏を応援した竹中氏をヤリ玉に挙げながら、暗に小泉改革を批判している。が、その目線の先にあるのは、今秋行われる自民党総裁選である。
発言の真意は、竹中氏と足並みを揃え、小泉内閣の改革路線を踏襲するという安倍晋三氏への牽制である。

政治を愚弄する政治家・加藤紘一は退場せよ!

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