中国崩壊シリーズ

2009/01/03

黒字倒産しそうな中国

年が明けてから、過去の人気エントリの再掲を続けています。今日は、2006年9月11日にアップした「黒字倒産しそうな中国」です。

中国では今、世界的な金融危機を受けて倒産が続出しているようです。特に、「世界の工場」と称された中国の象徴でもある広東省東莞市は、讀賣新聞によれば――民工という主役を失った街は空洞化しつつある。従業員7000人以上を抱えていた玩具工場の「門前町」だった東莞市樟木頭地区は、ゴーストタウン化していた――というのが現状のようです。

靴や玩具、電子機器などの工場が集中し、民工が人口約1000万人の8割を占める東莞市では、外資系も含めた企業の倒産、撤退が今も相次いでいる(讀賣新聞)そうです。
「低賃金と外資」に依存した中国式成長モデルが破綻しつつある中で、突然に世界的規模の金融危機が東莞市を襲った。この現実の前に、中国企業も当局もなす術がない、というところでしょう。

東莞市では、民工たちの抗議行動が頻発しているようです。そして、これは東莞市に限らない。中国当局は必死の対応で民工たちをなだめているようですが、危機がますます深刻化すれば、このような小手先の対応ではどうにもならない、そう思います。
何しろ中国全土で、民工の数は、1億3000万人にのぼると言われています。そのうち、すでに780万人が失業して帰郷。民工は、我が国で言えば期間従業員や派遣労働者のようなものですから、今後は失業者が急増していくのは間違いありません。

胡政権は来年、「(雇用確保の最低ラインとされる)8%経済成長を死守する構え」(中国筋)だが、外交筋からは「経済対策によるGDP(国内総生産)押し上げ効果を加えても6%台になる可能性がある」との悲観的な見方も出始めている(讀賣新聞)とのことです。

今の中共体制を支えているのは「無限の経済成長」と中華民族主義(特に反日主義)と言われています。その一方の、「無限の経済成長」が今、脆くも崩れ去ろうとしている。
1億3000万人にのぼる民工が失業したらどうなるのか?彼らの出身地である農村には、その受け皿はまったくありません。彼らには帰郷して農村でくすぶるのか、都市部でホームレス化して流浪するのか、という選択肢しかないのです。

まさに、中共率いる中国は激動(激震)の時代に突入した、そう認識すべきです。

では、「黒字倒産しそうな中国」を再度掲載します。

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相変わらず「中国経済バラ色」論をふりまく人たちがいる。
これも無理はない。公式に発表される数字は、どれも目を剥くようなものばかりである。

8日付の中国紙「中国経済時報」によると、中国・国家外貨管理局幹部は、中国の外貨準備高が9月中に1兆ドルを超えるとの見通しを示した(ちなみに、日本の8月末の外貨準備高は8,787億ドル)。
また、同局幹部は、2006年の貿易黒字が1,200億ドル超となる見通しも併せて示している(前年の貿易黒字は、1,019億ドル)。

つまり、外貨準備高、貿易黒字とも依然として高い伸びを示しており、いずれもダントツの世界一であるということだ。

経済成長も高い水準を持続している。
アジア開発銀行(ADB)が6日に北京で発表した改訂版「2006年アジア発展展望」では、投資と輸出の急増によって、今年の中国の経済成長は10.4%に達すると指摘されている。

これらの数字を見れば、中国・国家統計局の邱暁華局長が北京大学の学生たちを前にして「2010年までに中国のGDPは、おそらくドイツに追いつくだろう」「15年後の2021年には、おおむね日本に追いつく」などと豪語するのもうなづける。

が、邱局長は聴衆である学生たちに対して、「中国経済は急速に発展する条件を備えている。皆さんは、経済の前途を信じなければならない」と強調する一方で、「経済発展のマイナス要因になるものは資源と環境だ」とし、「中国は多くの重要な資源がない国だ。資源問題はこれまで以上に中国経済にとって大きな制約になる」とも述べている。

つまり中共幹部も、「中国経済バラ色」論をふりまきながら、本音の部分では資源的制約と環境的制約が中国経済の足枷になっていることを認めているわけだ。

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中国の環境がいかにひどい状況にあるかは、中国食品薬品監督管理局の内部資料がその一端を明らかにしている。

内部資料は、中国全土の河川の6割が水銀など危険な重金属や農薬で汚染され、こうした水質悪化が疾病の8割、さらには病死の3割に関係していたと指摘。
汚染危険地域は、中国経済を牽引する①北京、天津などの環渤海湾地域、②上海、
南京などの長江デルタ地域、③広州、深圳などの珠江デルタ地域-の三大工業地帯に集中し、汚染面積は2,000平方キロメートルに及んでいることを明らかにしている。
これは、ほぼ東京都の面積(2,187km²)に匹敵する。

大気汚染や砂漠化も深刻である。
中国・国家環境保護総局によると、中国では都市住民のおよそ3分の1が汚染度2級以上の都市で、1億1,600万人が汚染度3級の都市で生活しているとされる。汚染度2級は「人の健康に悪影響を及ぼす程度」、3級は「非常に危険な程度」。
世界銀行では「中国では年間約40万人が、肺炎や心臓病など大気汚染が原因とされる疾病にかかり死亡している」との報告を行っている。

国土の砂漠化も深刻で、中国全土のおよそ28%が既に砂漠化しており、それは北京
近郊にまで押し寄せている。大都市近郊まで砂漠化が進んでいるということは、飲料水の確保さえ難しいということだ。

昨年9月には、中国共産党政治局員も兼任する張徳江・広東省党委員会書記が、次のように嘆いている。
「広東省は中国の経済改革の先駆的存在であり、急激な経済成長などの奇跡を達成
したと思われているが、実際の広東省の運営は綱渡りの状態だ」
「急激な経済開発に伴い、耕作可能な土地が減少し、水質や大気の汚染が極度に
悪化。飲食物の安全を確保できない状態だ」
まさに危機感を露わにした発言である。
ちなみに、広東省の中核は、上海と並んで「中国経済の双頭の龍」と言われる珠江
デルタ地域そのものである。

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環境問題と並んで資源問題も深刻である。

中国は、既に米国に次いで世界第2位の石油消費国である。国内総生産(GDP)は
米国の約15%、日本の約38%に過ぎないのに、この状況なのである。しかも、エネルギー消費の約6割を石炭が占めているにもかかわらず、膨大な量の石油を必要として
いる。
なぜか?
その理由を、今月初頭に中国を訪れた御手洗冨士夫・日本経団連会長らの日中経済協会訪中代表団が明らかにしている。代表団の一員である今井敬・特別顧問(新日鉄名誉会長)は、独自に調べた資料に基づき、中国の国内総生産(GDP)ベースの一次
エネルギー消費は日本の約8倍に達していることを明らかにした。そして、これは中国の発展の制約要因となると警告を発した。
つまり、中国の経済成長は、資源の大量浪費と背中合わせなのである。だから、「資源パラノイア(偏執狂)」と揶揄されても、石油を始めとする世界中の資源を買い漁らざるをえない。

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深刻な環境問題と資源問題、この二つが中国経済が成長を続ける上での桎梏になり
つつあることは、中共当局も解っている。だから、今年からスタートした「第11次5か年
計画」では、①エネルギーの消費効率を改善する、②リサイクル経済を発展させる、
③環境問題を解決する、の3点を、農民・農村問題や格差問題の解消とともに重点目標として掲げている。
が、現実は一向に改善されない。
中央政府が何と言おうと、中共トップがどういう方針を出そうと、既に現場は「カネが
第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されているからだ。
環境保護や省エネなど、金儲けにとっては障害物でしかない。第一、国有企業の大半は赤字で、そんな余裕はどこにもない。それが中国の現実なのだ。
だから、張徳江・広東省党委員会書記のような「嘆き節」が聞こえてくる。

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実は、世界一の外貨準備高、世界一の貿易黒字も、一皮むけば中国経済のいびつな姿の象徴でしかない。

外貨準備高の急増は、輸出がしにくくなる「元高ドル安」の進行を防ぐため、外国為替市場(上海)で中国当局が「元売りドル買い」の為替介入を繰り返した結果である。
その結果、市場に大量の人民元が放出される。このあふれる人民元が過剰流動性を
生み出し、バブルに繋がっているのだ。

貿易黒字も、この中国当局による為替操作の恩恵という側面が強い。が、経済の実勢を反映しない為替相場は、世界中からバッシングを受けている。
この状況を変えるには、輸出牽引型から内需主導型に経済構造を転換しなければならない。中国人民銀行(中央銀行)の総裁も「貿易黒字縮小のため内需拡大を急ぐ必要がある」と指摘している。が、そんなにうまく行くはずがない。
内需を拡大するには、まず一般国民の所得を向上させ、中間層の比率を高めなければならない。ところが、中国の魅力は、何といっても「安い人件費」なのだ。

中国経済は、一言で言えば「外資依存型経済」である。中国の貿易総額はGDP(国内総生産)の約70%を占め、そのうち外資系企業が輸出の約60%を担っている。
そして、この外資系輸出企業にとって、中国の生産コストの安さが最大の魅力なのである。しかも、そのような外資系企業は労働集約型の産業が多い。
もし、内需を拡大させるために大幅な賃上げを行うような事態になれば、外資系輸出企業は一気に中国を逃げ出す。その結果、輸出は減り、貿易黒字も縮小するかもしれないが、それ以上に失業者が発生し、内需も拡大しない。

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3,100億元(約1,640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、英Financial Timesによると、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・(E&Y)は、5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9,000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

このような状況下では、輸出企業に打撃を与えるような人民元の大幅な切り上げも、
内需拡大のための大幅な賃上げもできない。
輸出と経済成長が現体制の命綱である限り、経済成長に即効的な効果が見込めない環境保護や省エネに巨額の投資を行うことはできない。なにより、「カネが第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されている現場が、そんなことをする
わけがない。
軍備の拡張や有人月面探査計画に費やしている巨額の費用を環境保護や省エネに
回せばよいのだが、安全保障や国威発揚を考えれば、それもできない。

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つまり今の中国は、外貨を貯めこみ、黒字を稼ぎ、環境を破壊し、世界中の資源を浪費し続ける体制を継続するしかない。そこから脱皮しなければ明日がないというのは、
頭では解っているのだが、肝腎の手足が思いどおりに動かない。

もう黒字倒産しか残された道がない、それが今の中国である。

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2008/10/06

米金融危機よりもっと怖い中国崩壊

10月4日に書いた、米国における金融危機に関するエントリには、多くの反論が寄せられた。批判する人たちからすれば、私の主張は「楽観的にすぎる」ということらしい。
もちろん私は、批判的な人たちの主張を頭から否定するものではない。最悪はそうなる可能性もあるが、私はそれほど悲観的には見ていない、ということだ。それは、米国も欧州諸国も、1980~90年代の我が国の失敗をしっかりと学習しているからだ。
今後も破綻の連鎖は続くだろうし、それが世界経済の足かせになるのは間違いない。が、私は、それが米国発の金融恐慌にまで発展するとは思わない(可能性は完全に否定するわけではないが)。
私は、それより、「カネがカネを稼ぐ」という異常なビジネスモデルが破綻し、本来は「黒子」であるはずの金融が実体経済を支配する時代が終焉を迎えたことの方が長期的に見ればプラスに働く、と思うのである。

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ところで、私は、米国のバブル崩壊以上に中国のバブル崩壊の方が怖いと思っている。この問題は、讀賣新聞や朝日新聞など、我が国のメディアもときどき取り上げているが、なぜか大きなニュースになっていない。

今年3月末の上海株式市場の総合指数は5カ月間で約40%も下がっている。中国の驚異的な経済成長の象徴である広東省深圳市では2007年後半から不動産取引が激減。07年後半の不動産取引はピーク時の6分の1程度に落ち込んだ。
この傾向は今も変わらず、オリンピック後の8月でみると、都市部の不動産価格は年初から25%余りも下落、上海株式市場の株価指数はピークだった昨秋の約3分の1にまで下落してしまった。

こういう状況下において、金融機関は膨大な不良債権を抱え込んでいるはずである。が、それが表面化しない。
なぜか?
それは、中国の4大商業銀行が実質的に国営だからである。つまり、いくら不良債権が増えても、国の管理下にあるから不良債権も金融危機も表面化しない。
これを可能にしているのは、中国が誇る世界一の貿易黒字であり外貨準備高である。要は、中国は国家として世界有数の金持ちなのだ。だからバブルが崩壊しても危機が表面化しない。

が、今回の米国の金融危機による景気のリセッションによって中国の輸出は大きな打撃を受ける。また、賃金の急速な上昇による国際競争力の低下も今後は不利に作用するだろうし、原油や穀物価格の高止まりも輸入大国でもある中国の貿易黒字を押し下げる。そして株価も、世界市場に同調してさらに下落するだろう。
つまり、これからの中国は、不良債権は増大し続けるが、貿易黒字は縮小傾向に向かうということだ。現に、ブルーンバーグ社によると、7月の輸出量は2月以来の低い伸びになりそうで、貿易黒字は4カ月連続で縮小する見込みである。
これは、国家による「不良債権隠し」が長続きしないことを意味する。

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今、世界的に大問題になっているメラミン混入事件だが、もっとも問題なのは、薄めた原料牛乳の蛋白質含有量を多く見せかけるために、有毒物質が故意に添加されたいう点だ。これは偽装ではなく贋造である。つまり、我が国で問題になっている事故米や消費期限の偽装とは質が違うのだ。
本来は添加されるはずがない、あるいは混入する可能性がまったくない有毒物質が意図的に添加される。これは、我が国で言えば、戦後の混乱期に多くの失明者を出したメチルアルコールを使用した密造酒に匹敵する。

製造メーカーが中国最大手の乳業グループ・三鹿だったことも、この問題の根深さを物語っている。しかも、三鹿は当初、同社のミルクの安全性には何の問題もない、原因は三鹿ブランドを名乗る偽造品だと主張していた。
要は、中国の企業には、最大手であってもコンプライアンス(遵法性)が欠如しており、コーポレートガバナンス(企業統治)がなっていないということだ。

これは、企業に限らない。今回、牧場や乳牛飼育団体の関係者が逮捕されているが、コンプライアンスの欠如は社会の末端まで浸透している。
過去のエントリでも指摘したが、「農薬まみれの野菜を作って、自分では食べないとうそぶく農民がいる」「人体に有害なのは知っている。でも、この薬(塩酸クレンブテロール)を使うと、そうでない肉より高く売れる」と記者の前で平然と語る精肉業者がいる。
もう偽装、贋造が中国そのものになっているのだ。

なぜ、中国崩壊の危機に関するエントリの中でメラミン混入事件に言及したのか。それは、メラミン混入事件も不良債権問題も同根であるからだ。
中国の金融機関が抱えているであろう巨額の不良債権もモラルハザードによるものであり、それが表面化しないのも、国家による偽装のせいである。

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2006年には中国最大の国有商業銀行である中国工商銀行が、調達金額で世界最大となる新規上場を果たした。これを可能にしたのは不良債権比率が大幅に改善されたからである。
04年末時点で、公表された分だけで21.2%もあった工商銀行の貸出総額に占める不良債権の比率は、05年末には4.7%まで低下した。もちろん公的資金の注入もある。が、工商銀行は、4590億元(約6兆8000億円)もの不良債権を簿価で資産管理会社に譲渡して処理している。要は「不良債権飛ばし」である。
これで、4大国有商業銀行のうち3行が上場したことになるが、他の2行も似たようなものだろう。

2006年5月には、米国会計事務所の大手である「アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)」が、中国の金融機関が抱える不良債権総額は、05年の国内総生産(GDP)の約4割にあたる9000億ドル(約105兆円)を超えるとのリポートを発表した。
中国人民銀行(中央銀行)の強い抗議を受けてリポートは撤回されたが、「実際の不良債権額は、発表を大きく上回っている」との見方をする金融関係者も少なくない。

実際、工商銀行は、最初はニューヨーク市場での上場を目指した。で、それが果たせないと分かると、次はロンドン市場に向かった。が、ロンドンでも工商銀行は受け入れられなかった。理由は、金融機関にとって最も重要な「コンプライアンスとコーポレートガバナンスに問題あり」とされたからだ。
で、結局、審査がもっともゆるい香港市場に上場した。

中国当局は、公的資金の投入と「不良債権飛ばし」により国有銀行の不良債権比率を大幅に下げ、国際市場で上場することにより、一気に国有銀行を改革しようとしたのだろうが、世界は本質的な問題を見抜いていたということだ。
では、なぜ中国の国有商業銀行はコンプライアンスやコーポレートガバナンスに問題があるのか?それは、上部構造(頭)が共産党独裁で下部構造(体)が市場経済という、中国の国家体制のいびつな構造にある。
銀行は共産党官僚の支配下にあり、非効率かつ不採算であっても国有企業は支援しなければならない。だから、慢性的に不良債権が発生する。

国際通貨基金(IMF)は2006年4月1日、「中国4大国有銀行は融資を行う際のリスクに鈍感だ」などとする報告書を発表した。
4大国有商業銀行の貸出総額は、中国全体の貸出総額の約60%に達している。この中国の金融システムの根幹を成す4大国有商業銀行について、IMFの報告書は、

①4大国有銀行は大規模な改革を行ってきたが、より根本的な革新が必要
②国有企業に対して大量の貸付を行っているが、リスク評価をしていない
③企業の業績に基づいて融資を行っているとは思えない
④商業ベースで経営がなされているとはいいがたい
⑤4大国有銀行の内部コントロール(企業統治や法令遵守)にも懸念が残る

などと、非常に厳しい指摘を加えている。
商業銀行が「リスク評価をしていない」「企業の業績に基づいて融資を行っていない」「商業ベースで経営がなされていない」なんて、資本主義国家ではありえないことだ。
これでは、4大国有商業銀行の不良債権は底なし沼のように増え続ける。

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中国崩壊の要因はいくつもある。①資源的制約、②環境的制約、③極端な所得格差、④行政や司法の腐敗と横暴、⑤急速に進む少子高齢化・・・が、いちばんの問題は、やはり国有企業の慢性的赤字体質と、それを支える4大国有商業銀行の巨額な不良債権である。

これまで中国は、海外からの巨額の投資と旺盛な輸出により驚異的な経済成長を続け、巨額の貿易黒字を生み出してきた。おかげで、その矛盾に満ちた体制を維持できてきた。が、中国自体のバブルが実質的にはじけている上、米国発の金融危機で世界経済は大幅なリセッションに突入しようとしている。国内賃金の大幅な上昇による国際競争力の低下と併せて、中国のいびつな体制を支えてきた前提条件が崩れようとしているのだ。

輸出が落ち込み、経済成長が鈍化したら中国はもたない。そして、その崩壊が世界に与える影響は今回の米国の金融危機以上になる可能性がある。何しろ中国は「巨大なブラックボックス」である。その崩壊と混乱に世界が対応できるかどうか大いに疑問だ。
中国は、まもなく我が国を抜いて世界最大の米国債の保有国になる。米国の金融危機による世界的なリセッションの中で、世界最大の米国債の保有国が崩壊したらどうなるのか、考えただけでも恐ろしいものがある。
しかも、大量に発生するであろう経済難民、その波は我が国にも間違いなく押し寄せてくる。

米国発の世界的なリセッションは、やがて乗り越えられるだろうが、中国経済の崩壊は闇の中にあるだけにまったく予想がつかない。

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中共中央は、科学的発展観に基づく第11次5か年計画(2006~10年)において、

①経済構造が不合理で、自主的革新の能力が低く
②経済成長方式の転換も遅れており
③エネルギー資源消費量が過大で、環境汚染が深刻化していること
④雇用における矛盾がかなり突出していること
⑤投資と消費の関係がアンバランスであること
⑥都市部と農村部、地域間の発展のギャップ及び一部の人たちの間における所得
格差が引き続き拡大していること

などを中国が抱える重大な問題点として指摘している。

この問題意識は正しい。
さすがの中国政府も、このままでは立ち行かないと自覚しているのだ。
そして、中国政府は、同計画の中で以下のような処方箋を示している。

同計画は、

①エネルギーの消費効率を改善する
②リサイクル経済を発展させる
③環境問題を解決する
④農村部の所得を引き上げ、三農問題(農業・農村・農民)を解決する
⑤地域間・階層間における不均衡を是正する
⑥経済成長の牽引役を投資から消費へシフトさせる

など、調和の取れた文明型経済モデルへの大胆な転換を提起している。

この処方箋も正しい。
問題は実行できるか否かである。
しかも、一刻の猶予も許されない状況下にある。

私は、第11次5か年計画が成功するように祈っている。

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参照
中国、バブル崩壊の兆し 株価下落、不動産も異変 (2008年03月31日 FujiSankei Business i )
[社説]五輪後の中国 祭りが終わって試練が始まる (2008年08月25日 讀賣新聞)

上記以外は、このブログの過去のエントリを参照しています。

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2008/01/20

草の根の抵抗と凶暴な中共

このバナーは、2008年8月7日まで常にトップに表示されます。ボイコットに賛成の方はこちらまで。Bandeau_gb
       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

北京オリンピックと空前のバブル経済に沸く中国だが、オリンピック景気やバブルの恩恵に無縁の人々の間で、今、中共体制への抗議・抵抗が静かに拡大しているようだ。
昨年までは、失地農民を中心とする暴動・騒乱が中心(年間8万件以上)だったが、今年に入って目にするニュースを読むと、抗議・抵抗の手段がネットや海外メディアを利用する、あるいは正式に法的手続きを踏む、などの形に変わってきていることが分かる。

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以下は、目に付いた記事からの引用である。

中国の湖北省天門市で今月7日、地元建設会社幹部の魏文華さん(41)が都市管理局の取り締まり隊員による民衆暴行を携帯電話で撮影したところ、袋だたきに遭い死亡したことが報じられ、波紋を広げている。米国のCNNテレビが、「都市管理局は露天商の取り締まりや交通整理などが任務だが、市民へのひどい仕打ちでも有名」と報じるなど、今回の事件は外国メディアの注目も浴びている。

魏さんは事件当日、天門市内で乗用車を運転中、都市管理局の取り締まり隊員50人余りがごみ投棄反対デモを繰り広げていた市民を殴打している場面を目撃し、携帯電話で写真撮影を始めた。ところが、それに気付いた取り締まり隊員から5分間にわたり暴行を受け、現場で意識不明となり、病院に収容されたが死亡した。

~中略~

中国の大手ポータルサイト、新浪網に掲載された魏さんに関する記事には、17日午後までに10万件の書き込みがあり、「都市管理局員はマフィアよりたちが悪い」などという批判が集中した。

中国政府は今回の事件を受け、天門市職員一人を解雇し、100人余りに対する取り調べを進めている。CNNテレビは、過去には都市管理局員との衝突が起きても被害者は泣き寝入りだったが、インターネットが普及したことで状況が変わったと報じた。

役人の暴行撮影した市民、袋だたきで死亡 (朝鮮日報)

【ロンドン=木村正人】26日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、中国で、複数政党制による民主的選挙を求めて南京市の元大学教授が新党「新民主党」の結成を宣言した。また陜西、黒竜江、江蘇の3省と天津市では、農民らがインターネット上で、地方当局に収用された土地の返還を要求している。同紙はこれらの動きについて、「中国共産党の独裁支配に対する2つの挑戦」として、当局が農民らを拘束するなど警戒を強めていると伝えた。

~中略~

一方、今月12日、北部の陜西省で、農民7万人を代表して農地など1万ヘクタールの所有権を主張する公開質問状をネット上に掲載した3人が4日後の16日、国家転覆扇動の疑いで拘束された。その約1週間前には、東北部の黒竜江省で、小作農4万人を代表して10万ヘクタールの土地の返還を要求した指導者が拘束されている。

~後略~

中国で「新民主党」結党を宣言 地方では土地返還要求運動 (産経新聞)

【北京=野口東秀】「海外メディアと接触するな」-。北京の当局者は、国家政権転覆扇動容疑で逮捕した男性A氏を釈放する際、こう警告したという。昨年12月に同容疑で逮捕した著名な民主活動家の胡佳氏(34)の妻は軟禁され、外部からの連絡・接触はほぼ不可能だ。いずれも海外メディアとの接触を断つためとみられ、他の活動家に対しても同様の措置が講じられている。北京五輪が近づくにつれ、活動家への締め付けが一段と強化されているようだ。

A氏は五輪に向けた再開発で自宅を強制撤去され、これに抗議していたが、昨年9月に国家政権転覆扇動容疑で逮捕され、「公安局の秘密の場所に拘束された」(同氏)後、今月初旬に釈放された。

釈放は「起訴できる内容がないから」(A氏)だという。拘束中、海外メディアとの接触や五輪反対の文書のインターネット上での掲示に関連、当局者は「おまえは国家(の顔)に泥を塗っている」と批判した上で、「売国奴だ。五輪を持ち出すな。五輪はとても敏感(な問題だ)。(家屋の強制)撤去は撤去。五輪と結びつけるな」と強調。さらに「取材を受けるな、文章を発表するな、(地方からの農民ら)陳情者と交流するな。(警告を)聞かないならいつでも拘束する」と警告したという。

~後略~

北京当局、活動家に「五輪は敏感。メディアと接触するな」 (産経新聞)

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以上の記事を読まれて、どう思われたであろうか。
たまたま通りかかって、都市管理局員による暴行現場を撮影しただけで殴り殺される。言葉を失うほどの凶暴さ、まさに「都市管理局員はマフィアよりたちが悪い」。
この都市管理局員や警察官の、民工(出稼ぎ労働者)など法的立場の弱い人たちに対する暴行・恐喝は日常化していると言われる。
しかし、インターネットが普及したことで被害者が泣き寝入りしなくなった、これだけでも大きな変化である。中共の、人を人とも思わない専横ぶりも、段々と通用しなくなっていくだろう。

それにしても、二束三文で取りあげられた土地の返還要求を、ネット上で公開しただけで「国家転覆扇動」の疑いで逮捕される。自宅を強制撤去されたことに抗議し、海外メディアと接触、ネット上に「五輪反対」の文書を掲示しただけで「国家転覆扇動」の疑いで逮捕される。
北京オリンピックに向けて華やかに変身しつつあるかに見える中国だが、その中身は相変わらず「暗澹たるもの」ということだ。

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ところで気になるのは、上記の3本の記事のうち、2本が欧米メディアからの引用という点だ。
なぜ、わが国のメディア(産経新聞を除く)は、もっとこのような中共による人権弾圧を報じないのだろう。
メディアは本来、基本的人権の侵害には敏感なはずだ、国の内外を問わずに。
記事を読めば分かるように、中共当局は海外メディアとネットを恐怖している。ということは、わが国のメディアが報道することは、中共による人権弾圧に対する大きな牽制になるはずだ。
おそらく日本のメディアは、文化大革命当時に、朝日新聞を除いて「追放処分」にあったことがトラウマになっているのかもしれない。
しかし、隣国で起きている深刻な人権弾圧を報じないということは、メディアの責任放棄とも言える。

※産経だけではなく、昨年までは讀賣新聞もけっこう上記のようなニュースを報道していたのだが、今年に入ってプッツリ。やはり間近に迫った北京五輪に配慮しているのだろうか?

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産経新聞の福島香織さんによると、土地を強制収用された農民たちは、当局側の村長を解任し、民主的な選挙で自治組織をつくり、農地を奪還をしていく運動を進めているそうだ。ネット上にも主張や情報を公開し、全国的な支持を仰いでいる。
このような行動は、民主活動家の地道な支援と指導によるものだろう。だから中共当局は、民主活動家の拘束・隔離に躍起になっている。
ちなみにネット上で公開された情報は、ブログや掲示板上のコピー&ペーストによって、またたく間に広まっているそうだ。

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中国の農民たちは抗議・抵抗に立ち上がった。これは中国民主化への第一歩と見て間違いない。
今までの歴史を振り返ると、国が豊かになると民主化に向かう傾向が強い。が、ただ豊かになるだけでは政治体制は変わらない。アラブや中央アジアの石油成金の国々を見ればそれが如実に解る。
つまり、カネが入っただけでは意識は変わらないのだ。
やはり、工業化の進展による人口の流動化、様々な階層の出現と分化、これによって生まれる多様な価値観と利害関係、これが、豊かになるにつれて「自由への欲求」として噴出するのだ。

中国では「改革・開放」によって一部の富裕層とかなりの規模の中産階層が生まれた。が、まだ大部分は貧しいままだ。ただ、この貧しい、取り残された層にも、社会の近代化によって様々な情報が伝わるようになった。
都市と農村の格差、沿海部と内陸部の格差、都市部の持てる者と持たざる者の格差、一部企業家と共産党官僚の癒着、共産党官僚の特権と底なし沼のような腐敗・堕落、これらの情報が全国的に知られるようになった。
教育レベルも上がり、共産党官僚、大企業家、中小企業家、零細企業家、ホワイトカラー、労働者、出稼ぎ労働者(民工)、富農、貧農、大商人、小商人、知識人、学生、中国社会も様々な階層に分化されてきた。昔のような共産党官僚、労働者、農民、零細商工者、党の御用知識人という単純な構成ではなくなっている。

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社会の急速な変化によって表れた民主化の要求、あるいは失地農民や環境汚染に苦しむ人たちの抗議の動き、中共はこれらを強権によって抑え込んで来た。
が、これらの、水が川上から川下に流れるような動きを人為的な力で止めることはできない。
それを中共指導部も解っている。だから経済成長至上主義からの脱却と、「調和のとれた持続可能な発展(科学的発展観)」を繰り返し強調し、国民の信頼をつなぎとめようとしているのだ。
が、現実は遅々として進まない。地方の特権官僚が党中央の指示に従わないのだ。どこまで行っても経済成長至上主義。成長率は毎年10%を超え、不動産も株も高騰、農地の強制収用も後を絶たない。
それでも中共は、工業化の進展、経済の発展に伴う体制の近代化を避けては通れない。

昨年10月に施行された物権法がその典型だろう。この法には、私有財産権保護が盛りこまれ、農地使用権(農地請負経営権)も用益物権として位置づけられ保護の対象となった。農地の収用は、あくまでも「公共の利益」を目的とし、なおかつ、農民に対する土地補償、移転補償、社会保障を十分に行うことが規定された。
農民たちが、この法律によって勢いを得たのは間違いない。特権官僚たちがこの法律を有名無実化しようとすれば、国民の党に対する信頼はなくなるばかりだ。

-------------------------------------------------------------------

では、中国は驚異的な経済発展によって豊かになった、様々な階層が出現・分化した、経済発展に合わせて「法」も整備されてきた、だから民主化される、のだろうか?
答えは「否」である。
私は、かつて「血で獲得した政権が中国共産党だ。政権を転覆させたいなら、相手は血の犠牲を払うしかない」という中共関係者の言葉を紹介した。
民主化は共産党官僚にとって「死」を意味する。特権を失い甘い汁を吸えなくなる。
だから党中央が「調和のとれた持続可能な発展」を強調しても、特権官僚たちは無謀でいびつな経済成長至上主義にこだわるのだ。

株や不動産の高騰に象徴されるバブルは、いつか必ず崩壊する。環境を破壊し、資源をがぶ飲みする無謀極まりない経済成長も遠からず行き詰る。
それによって大打撃を被るのは直接的には中国の金融機関だが、もっとも深刻な被害を受けるのは都市の中産階層であり、中小・零細企業家であり、貧しい出稼ぎ労働者(民工)たちである。

現在でも「今ほど共産党が恨まれている時はない」と言われるほど、中共は怨嗟の的になっている。これにバブルの崩壊と経済の失墜が加われば社会は大混乱に陥るだろう。
で、この大混乱が民主化の方向に収束されるかというと大いに疑問なのだ。
その最大の理由は、人民解放軍が「国家の軍隊」ではなく「党の軍隊」であるからだ。「国家の軍隊」であり、シビリアンコントロールが機能していれば、軍も国民に銃口を向けることに躊躇する。が、「党の軍隊」であれば、国民の窮状など関係がない。平気で国民に向かって発砲する。それは、昨年のミャンマーの例を見ればよく解る。
もう人民解放軍自体が巨大な利権集団になっている。中共と人民解放軍はメダルの裏表なのだ。だから民主化は、彼らにとっても「死」を意味するのだ。

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中国共産党(中共)が中国を支配する正統性は二つしかない。
一つは、中共が列強による支配(特に日本の侵略)から中国を解放したということ(だから反日意識を煽る)。
もう一つは、中共の指導によって国家が繁栄の道を歩み、国民も豊かになりつつあるということ。
が、中共が煽る反日意識も、経済の崩壊による国民生活の窮状が現実になれば、何の効果も発揮しない。逆に「反日」が中共に対する鬱積した憤懣に火をつける可能性の方が高い。

つまり、バブルが崩壊し、経済が失墜すれば、中共が中国を支配する正統性は二つともなくなってしまうのだ。

朝日新聞の編集委員・山田厚史氏は、かつて次のように書いた。

13億人の中国が混乱すれば世界が揺さぶられる。最大の問題は失業だろう。高成長の現在でさえ3億5000万人の「不完全就労」がある、と推計される。高成長が挫折すれば、億単位での失業の増加も予想される。職を失った人が周辺のアジア諸国に流出し、人口流動に拍車がかかる。
08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない。

人民元切り上げ問題がはらむ中国リスク(AERA 2005年5月16日号・抜粋)

風船はパンパンになるまで膨れあがり、極限の状態になったところで、「針の一刺し」で完膚なきまでに破裂してしまう(讀賣新聞中国総局長・藤野彰氏・当時)。
バブルを軟着陸させようとすれば人民元を大幅に切り上げざるを得ない。人民元を大幅に切り上げれば経済が持たない。かといって、バブルを放置すれば傷口はますます大きくなる。今でさえ脆弱な中国の金融機関は、天文学的な額の不良債権を背負い込み、奈落の底に落ちる。

つまり、下部構造が市場経済で上部構造が共産党独裁という、本来ならありえない今の中共体制は必然的に崩壊するのだ。
社会主義という計画経済(統制経済)なら、政治が経済を支配できる。が、市場経済は政治が介入できる幅が極めて狭い。下部構造が抱える矛盾を、政治が強制的に抑え込んでも矛盾が深化するだけなのだ。

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確かに中国では、農民を中心に、今の中共体制に異議を唱える動きが強まっている。
既に、2005年秋に広東省太石村で「民主化の小崗」(注-1)と呼ばれる農民の行動があった。
当局側に立つ村長が農地を不当に奪ったとして、村民たちが法に則ったリコール運動を展開し、罷免寸前にまで追い込んだのだ。それまでの「実力行使」や「直訴」と違うこの農民たちの行動は、彼らの政治的成熟を物語っている。

結局、民主化の「星火」になると期待されたこの運動は、最後は当局側の理不尽で強圧的な対応の前に挫折する。が、土地を強制収用された農民たちが、当局側の村長を解任し、民主的な選挙で自治組織をつくり、農地を奪還していく運動を進めている「今」につながっている。
そして、この農民たちの運動はネット上では全国的に支持されている。

ちなみに中国では、「村」レベルでは、全国66万カ所以上(2005年)で村長選挙に直接選挙を導入している。が、当局の干渉が激しく、実際は共産党の傀儡村長がほとんどである。

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中国では草の根レベルで「民主化」の動きがある。が、それは中共が絶対に許さない。
太石村の場合も、村民たちの運動に対し、中央政府は調査チームを送り込んだ。が、その後の対応は、運動に対して広がる支持を封じ込めるものだった。理由は「腐敗が省幹部らに及ぶことが分かったため」だと言われている。

やはり、「政権を転覆させたいなら、相手は血の犠牲を払うしかない」ということだ。

(注-1)「民主化の小崗」
安徽省は1978年、百年ぶりの大干魃(かんばつ)に見舞われ穀物生産は壊滅。農民たちは続々と上海などに物ごいに出た。被害を大きくしたのは、農民の労働意欲を奪った人民公社という集団経済制度だった。
同省鳳陽県の小崗村。村の二十戸からなる生産隊(人民公社の末端単位)の二十一人は同年暮れ、死中に活を求め密約を結ぶ。生産隊の田畑を各戸に分割、それぞれが生産に責任を持つ請負制の取り決めだ。人民公社制への反逆だった。
当時の華国鋒政権は通達で請負制を禁じ、党機関紙「人民日報」が批判キャンペーンを展開。これに対し、安徽省の万里・党第一書記(当時)は「人民日報は農民を食わせられるのか」と小崗農民を支持した。
79年、小崗生産隊は平年の四倍という穀物大増産を達成。80年5月、既に政権の実権を掌握していた鄧小平氏が高く評価したのを機に請負制は全国に広がり、やがて人民公社は崩壊する。

参照:【中国を読む】農村から民主が始まる

関連エントリ
1:中国【民主化の小崗】挫折
2:中国:農村から起こる地殻変動

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2008/01/08

平成も早20年、そして今後は

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

今年は平成20年。
個人的にも社会的にも変化の激しい、激動の19年間だったように思います。

バブル景気、55年体制崩壊、細川・非自民連立政権、村山・自・社・さ連立政権、バブル崩壊、未曾有の大不況・大リストラ、金融ビッグバン、変人・小泉純一郎首相誕生、郵政民営化、景気の劇的な回復、非正規雇用者の急増、教育基本法改正と国民投票法制定、

まさに、昭和が終わったときには想像もできなかったことばかりが続きました。
行政指導・横並び・護送船団、年功序列・終身雇用・ベースアップ、もう死語に近いですね。

生活環境も変わりましたね。
携帯電話とインターネットの急速な普及と進歩―これこそ変化の最たるものでしょう。もう“驚異”と言ってよい。

で、世の中よくなったのか、悪くなったのか。
能力のある者が相応の対価を得やすくなった、という点は、可能性を追求しやすい社会になったという意味で評価できます。が、一方で雇用環境が不安定になった、という点は、将来に不安を感じやすい社会になったという意味でマイナスかもしれません。
家族の絆が弱くなり、家庭内の虐待や親による子殺し、子による親殺しなども増えましたね。でも、社会に無償で貢献したいという善意の人たちが老若を問わず増えているのも事実です。

中国や韓国・朝鮮の理不尽な要求に国民・とりわけ若い人たちが疑問(怒り)を抱き始めたのもよい傾向でしょう。自衛隊に対する評価も昭和の時代とは様変わりです。
が、一方で「日中友好が第一」「慰安婦に謝罪を」「憲法を世界遺産に」などという、相変わらずの化石的思考から抜け出せない人たちもいます。

世の中、やはり分化しつつあるんですかね。
いずれにしても、「行政指導・横並び・護送船団、年功序列・終身雇用・ベースアップ」という、世界に冠たる“日本株式会社”はもうありえないのですから、そして一国平和主義もありえないのですから、自分が置かれた、あるいは自分が選んだポジションで精いっぱい頑張るしかない、個人も国も、そして思いやりの心を失わないことが大事―そう思います。

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ところで、日本も変わりましたが世界はもっと変わりましたね。
しょっぱなが「ベルリンの壁」崩壊。
それに続くソ連崩壊と東欧圏の民主化、ユーゴ内戦・民族浄化、イスラム過激派の世界的台頭、9.11テロとアフガン戦争・イラク戦争、中国の台頭と経済のグローバル化、
いや、すごい変化ですよ。
世界を2分していた共産圏が崩壊し、ロシアや中国もグローバリゼーションの波に乗る、そしてイスラム過激派が公然と唯一の超大国・米国を攻撃する、
これも、昭和の終わりにはまったく予期できなかった出来事です。

で、世界はよくなったのか、悪くなったのか。
これは「悪くなった」とはっきり言えます。
まず、中国の台頭。
これ自体は非難されるものではないのですが、その無軌道・無秩序な膨張のため世界中に混乱が拡散しています。
デフレと失業の輸出、底なしの環境破壊、資源の浪費による国際価格の急騰、世界最速レベルの軍拡などなど、この国の成長がもたらした負の側面は極めて大きい。
得をしているのは中国共産党の幹部とその周辺、あとはグローバル企業とハゲタカファンドくらいですかね。

それから、ソ連崩壊で“傲慢な米国”がさらに傲慢になった。
これも「悪くなった」と言える理由です。
自らの価値観を力で世界に押し付ける。これが世界を不安定にさせている大きな要因の一つ、間違いありません。
しかも、「イスラエルによる中東支配」という夢を成就させたい勢力が中枢に巣食っているから手に負えません。
確かに「テロは悪」だし、許せませんが、米国の中東政策がテロを助長している側面も否定できません。
まあ、わが日本はこの国に安全保障を頼っていますから、正面から非難できないという面はありますが―情けないけど・・・

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米国はポスト・ブッシュで大きく変わりそうですね。
共和党が継いでも、民主党に変わっても、もう世界の警察官として単独主義を貫く、というのは限界でしょう。
そういう点では、中東情勢も多少は変わるかもしれません。
ただし、テロがなくなるとは思えませんが。

じゃあ、中国はどうなのか?
讀賣新聞の1月6日付社説中日新聞の1月8日付社説が興味深い。
どちらも中共率いる今の中国には悲観的ですね。
まあ、讀賣はもともと「反共」ですから驚きませんが、東海地方で圧倒的なシェアを誇り、あの朝日新聞よりもっと左寄りの中日新聞(≒東京新聞)が中共体制を批判するのは異例です。

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両紙とも、中国の大国としての台頭がいちじるしいことを挙げ、その象徴が北京オリンピックの開催であるとしています。が、この台頭いちじるしい新興大国が、その内部に大きな矛盾を抱えていることも同時に指摘しています。

讀賣新聞は、①格差拡大②汚職のまん延③底なしの環境汚染など、社会不安の種が尽きないとし、とりわけ異常なまでの過熱ぶりを見せるバブル経済への懸念を表明。

そして、

胡錦濤政権は昨年末、過熱経済の制御とインフレ抑止を今年の最優先課題とする方針を決めた。当然の措置だが、問題はその方針を徹底できるかどうかだ

と問題提起し、

だが、地方政府は地元利益を最優先し、中央政府の指示を無視する傾向が強い。今回の引き締め策も地方政府の面従腹背で空回りに終わる可能性がある

と、中央政府(胡政権)のバブルを軟着陸させる能力に疑問符を付けています。

ご承知の方も多いと思いますが、中国の金融システムはいまだ脆弱です。1990年代初頭のバブル崩壊時のわが国金融機関とは比較になりません。
そんな脆弱な中国でバブルが崩壊したら、金融システムは壊滅的な打撃を受けるでしょう。
そして、それが世界経済に及ぼす悪影響は計り知れない――讀賣新聞の論説委員はその点を憂慮しているのです。

讀賣新聞は次のようにも指摘しています。
人権問題など意に介さない露骨な資源外交、19年連続2けたの伸びで増え続ける軍事費と急速な軍拡が世界から不信を招いている、と。

そして最後は、

経済、政治、軍事など、あらゆる分野での中国の膨張が、地域や国際社会の大きな不安定要因となっている。「中国問題」は、ますます国際社会全体の中心的な課題となっていくだろう

と結んでいます。

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中日新聞は、というと、中国の政治・経済両面における国際的存在感の大きさを指摘した上で

日中関係、中国と周辺世界の将来は手放しで楽観できません。中国の国防費は公表分だけでも19年連続で二けたの伸びを続け、07年には、日本の07年度防衛予算を上回りました。軍事力の透明性が他国に比べ低いのも気掛かりです。「鉄砲から国家権力が生まれた」(毛沢東)国柄で軍は政治に強い影響力を持ちます

と、讀賣同様、その軍事的急膨張に懸念を表明しています。

そして、

急速な経済成長に加え単位あたりのエネルギー消費が多い粗放的な発展を遂げたため、資源の消費が急増し1993年から石油純輸入国となりました。中東のみならずアフリカ、中南米でも、エネルギー獲得の強い衝動に駆られています。

二酸化炭素の排出量が米国を抜いて世界一になったといわれますが、温室効果ガス削減には発展途上国として先進国と異なる扱いを主張しています。大気や水の汚染も深刻で進行する砂漠化が日本などへの「黄砂」の急増として影響しています。

深刻なのは国内の急激な格差の拡大です。「世界最大」(中国社会科学院)という都市と農村の所得格差は縮まらず1億2千万という出稼ぎ農民の労働条件は劣悪です。人口の7割を占める農村住民、都市の貧困層に対する医療や養老の保障は緒に就いたばかりです。人口の老齢化が始まる2020年前後から年金問題が中国を揺るがす深刻な問題になると指摘する研究者もいます

と、讀賣同様の資源・環境・格差の問題を列挙。

この大国の持続的発展と将来の安定には疑問符が投げ掛けられています。中国の政治的、経済的存在感は改革・開放以前とは比較にならないほど高まっており、国内が乱れれば中国の内政が東アジアの安全保障問題にもなりかねません

と、中共体制の危機がもたらすであろう悪夢を指摘。

まあ、さすがに中日新聞だから、最後は、悪夢を避けるために日中が協力して問題を克服すべきであるとしていますが、全体のトーンは暗くて悲観的。

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やはり、これからの世界も大きく変わること間違いなし、ということです。
それも悪い方に。

米国は多少は控え目になるでしょうから、問題は中国ですね。

讀賣の「『中国問題』は、ますます国際社会全体の中心的な課題となっていくだろう」という指摘はズバリですし、ヒラリー・クリントンの「米中関係は世界で最も重要な二国関係」というのも理解できます。
きっと、彼女は中国と心中したいのでしょう(笑)

わが国は、「敬して遠ざける」で行くべきです。
平成を平穏な時代にするためにも。

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2007/10/16

“科学的発展観”は和諧社会を実現できるのか?

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

はじめに

最近、エントリの更新頻度が落ちていることについては理由があります。
昔からの読者の方は気付いているかもしれませんが、ころところのエントリ、私自身から見ても明らかに質が低下しています。
昨年、一昨年と今年を比較してみると、その差は歴然ですね。

なぜか?
それは時間的制約もありますが、何より意欲が減退していることが大きい。

ブログといっても、私の場合は単なる日記や雑記帳のたぐいではなく、己の生き様に基づいた意思表明であり、私自身の人間性の発露でもあります。
だから、エントリひとつを書くにしても、けっこうしんどいんですね。
まず、書きたいという意欲が湧いてこないことには筆が進みません。

私の場合、まず書きたいという意欲に突き動かされ、そしてテーマが生まれてきます。
テーマは、日常の中にもあるし、過去の軌跡の中から見出されることもあります。ただ、そこには常に「思考」というものが働いていなければなりません。
意欲が湧いてきて、テーマが見つかって、そこからテーマに関連した様々な記事・情報を読みます。で、あるべき結論を見出す。
次に文章全体の構想を練ります。そして構成を考える。
これが私のブログです。

こういうエントリの手法は、相当なエネルギーと時間を要求されます。昨年までのエントリは2~3時間を要するのはざらで、中には4~5時間を費やしたこともあります。5000字を超えるものも珍しくありませんでしたしね。
それに意味があいまいな単語は辞書を引いたりもしますから、なおさら時間がかかるのです。

正直に言って、今の私には、そこまでの意欲と時間がありません。
どこかの記事を引用して10行程度のコメントを付け加えるのなら容易いでしょうが、それを許さないんですね、私自身が。
また、ブログを義務的に更新するというのも苦痛にしか感じられません。

だから、今後しばらくは更新頻度が下がると思います。また、質、量ともに過去のものには及ばないかもしれません。

それでも、ご来訪者数が多いと励みになりますので、今後とも、よろしくお願いします。

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“科学的発展観”は和諧社会を実現できるのか?

中国共産党第17回大会が15日午前、北京の人民大会堂で開幕した。
胡錦濤総書記(国家主席)は、党中央委員会報告(政治報告)で、調和のとれた持続可能な発展を目指す戦略思想「科学的発展観」を党の路線として全面的に推進することを宣言した。
これは、鄧小平~江沢民の時代に前面に掲げられた「経済成長至上主義」からの決別を意味する。

「科学的発展観」は「調和の取れた文明型経済モデル」と言い換えることができる。これの行き着くところが、中共中央が掲げる「和諧(わかい)社会=調和の取れた社会」である。
もう少し具体的に言うと
①エネルギーの消費効率を改善する
②リサイクル経済を発展させる
③環境問題を解決する
④農村部の所得を引き上げ、三農問題(農業・農村・農民)を解決する
⑤地域間・階層間における不均衡を是正する
ことである。

以上を見ると、「科学的発展観」のめざすところは正しい。やはり、胡錦濤以下の中共首脳はバカではないのだ。このままでは、早晩、中国が行き詰ることがわかっている。

昨年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で採択された第11次5か年計画(2006~10年)では、以下の点を中国が抱える重大な問題として指摘している。

①経済構造が不合理で、自主的革新の能力が低く
②経済成長方式の転換も遅れており
③エネルギー資源消費量が過大で、環境汚染が深刻化していること
④雇用における矛盾がかなり突出していること
⑤投資と消費の関係がアンバランスであること
⑥都市部と農村部、地域間の発展のギャップ及び一部の人たちの間における所得
  格差が引き続き拡大していること

つまり、国内総生産(GDP)は世界第4位(2005年)に躍進し、世界最大の外貨準備高と貿易黒字を誇る中国経済も、一皮むけば外資依存、輸出偏重。国内産業は生産性が低くて技術革新力に乏しく、労働集約型産業の割合が高い―ということだ。
また、高い経済成長も投資主導、輸出依存型で、消費主導、内需依存型にはほど遠い。だから元高圧力が止まらず、その圧力をかわすための為替介入が国内に逆流しバブルの原因になっている。
エネルギーの消費効率も、国内総生産(GDP)ベースの一次エネルギー消費は日本の約8倍に達するほどの“資源がぶ飲み型”。環境投資もほとんど行われておらず、有害な煤煙や有毒な工場排水は垂れ流し状態。
炭鉱や都市部の労働現場では、1億人を超えるといわれる出稼ぎ農民(民工)が、何の保障もないまま低賃金の過酷な労働を強いられている。
一方で、実体経済以上に株や不動産が高騰し、投機が投機を呼ぶバブルが過熱している。そしてロールス・ロイスやベンツを乗り回す富豪が続々と誕生する陰で、電気もガスも水道もない農村が数多く存在し、1日の収入が1ドル(約118円)未満の貧困人口を1億7千3百万人も抱えている。

第11次5か年計画が指摘した問題をより具体的に書くと以上のようになる。

そのような状況下、今、中国社会でどのような事態が進行しているか。
国民の3分の2(66%)が無保険な上、医療費が高額なため医者にかかれない。業者と結託した当局(地方の党・政府)に涙ガネで土地を取り上げられた失地農民は全国で4千万人以上。毎年200万人以上のペースで増加中。労働環境が劣悪なため、2005年の労災事故は69万1,057件で労災死者は11万9,827人に上る。
結果、1994年は約1万件だった民衆による暴動・騒乱が2005年は8万7,000件にまで達した。
一方で、中国では年間、5兆円以上の公費が役人の飲み食いに費やされる。公用車も400万台以上にのぼり、その維持費は6兆1000億円。

これに対し、当局幹部も「環境汚染がこのまま続けば持続的成長は困難」「水も空気も人命にかかわるレベルにまで汚染されている」「今ほど共産党が憎まれている時代はない」と危機感を募らせている。

が、第11次5か年計画が採択されてから1年半を経過しても何の解決の兆しも見えない。
5か年計画では「和諧社会」を実現するための望ましいGDPの年平均成長率を7.5%に設定した。にもかかわらず、全国各レベルの地方政府は、中央政府の指標を30~60%も上回る目標値を策定。その結果、昨年も今年も、中国の経済成長率は10%を軽く超え、株や不動産の相場はますます過熱している。貿易黒字も増える一方だ。
胡錦濤が、5年に一度開かれる党大会の政治報告で「科学的発展観」を強調し、党規約に明記することにしたのも、このような現実が背景にあるからだ。

なぜ、党中央が「今のままでは先がない」と認識・自覚しているのに事態が好転しないのか。
以下は、昨日の讀賣新聞(東京・夕刊)に載っていた関連記事(抜粋)である。

「土地、権限を握り、絶対的な力を持つ」(中国筋)各地の権力者の多くは民生を軽視し、数千万の農民が土地を奪われ、膨大な数の都市住民が職や家を失った。「高所得者層の上位10%と、低所得者層の下位10%の差は55倍」との推計が出るほど格差が広がった。

何億もの低所得者層があふれる中、株式、不動産市場はバブル状態にある。低所得者は年金までそこにつぎ込んでおり、バブルが崩壊すれば社会不安に直結する。貧困層を直撃するインフレは、社会を揺るがす大きな要因だ。河川、大気、土壌は汚染され、「持続可能な成長」どころか、住民の生命が危険にさらされている地方も多い。

党関係者は「党に対する民衆の恨みはかつてなく強まっている」と話す。党はこれまでも急成長の矛盾解消を強調してきた。だが、もはや小手先のスローガンでは安定は守れない状況になっている。

胡総書記は報告で「科学的発展観を経済社会の各方面に徹底させなくてはならない」と強調した。ただ、これは極めて難しい。「成長至上主義の最大の受益者は党」(共産党筋)であるからだ。

川を汚す企業を黙認する有力幹部を解任できるか、指導者の親族が経営参加する企業の不正を取り締まれるか、高級幹部に裏金や別荘を提供してきた不動産開発業者との縁を断ち切れるか――成長至上主義との決別の難しさは、そのようなところにある。

社会の安定に危機感 急成長のひずみ、弱者直撃 (2007/10/15 讀賣新聞)

文字どおり、私のこれまでの主張(中国崩壊シリーズ)と同じ内容である。
中国では、国家よりも中国共産党(中共)が上位に位置する。軍隊(人民解放軍)も警察も、司法も立法も行政も、すべて中共のものである。メディアでさえそうだ(中国のメディアは全て「党の舌と喉」 と位置付けられている)。
言論の自由がなく、国家の3権も中共の従属物―つまり中共やその幹部が何をしようと、それをチェックできるのは中共とその幹部でしかない。中国で上から下まで腐敗が蔓延するのは、中共体制がそういう「泥棒に縄を綯わせる」のと同じになっているからだ。
※産経新聞の福島香織さんによると「胡錦濤は“清官(クリーン)”」らしいが・・・

では、中共体制は崩壊するのか?
胡錦濤の唱える「科学的発展観」が目論見どおりに結実すれば、中共体制も中国もさらなる未来を掌中にできる。が、上部構造が共産党独裁で下部構造がむき出しの拝金資本主義というのでは、これはむつかしいと言わざるをえない。
可能性は、富の合理的再配分=小康社会(いくらかゆとりのある社会)ができたとき、法治の実現=共産党官僚の特権・横暴を抑制することができたときにのみありえる。
が、これは中共の体質と中国人の気質(かたぎ)及び中国の歴史を踏まえれば、?マークを無限大につけざるをえない。

ただ、私は中共体制の崩壊は不可避と見るが、それを望んでいるわけではない。理由は、一昨年11月の呉邦国・全人代常務委員長(政治局常務委員・党内序列第2位)が語っている。

「もし中国が混乱して1%の難民が出たら、1300万人ですよ。1000分の1としても130万人。だから、中国が安定することが周辺諸国にとってもいいことではないですか」

これは訪中した角田義一参院副議長(当時・引退)と会談した際のものである。「中国の安定こそが世界の安全への貢献」という論法だが、裏返すと、中共のNo.2も中共体制が崩壊した時の真のリスクを認識しているということだ。
中国は困難に直面している。が、今の中共体制が崩壊したらとんでもないことが起きる。だから「中国は脅威」などと言わずに協力してくれ―ということだが、これは冗談でも恫喝でもない。現実の問題だろう。

中国が軟着陸してくれることがイチバンだが、既に述べたようにそれはかなり困難だ。中共体制の崩壊は「民主化」ではなく「混乱と混沌」である。
やはり、中共体制が崩壊した時の対応策を今から準備するとともに、可能性は少ないが、中共体制のソフトランディング=漸進的民主化を求めていく(圧力を加える)しかないのではないか。

無軌道に膨張する13億人の大国。その暴走の行き着く先が何とも不気味である。

【注】引用元が明記されていないデータ等は過去のエントリを参照しています。

【追記】
冒頭と右サイドバーのバナー(画像?)は「国境なき記者団」のものです。
できるだけ多くのブロガーがページに貼り付けることを希望します。

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2007/08/21

太平洋の分割を要求する膨張中国

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否 (抜粋)

上記のワシントン・タイムズが報じたニュース、荒唐無稽な話ではない。
次のような中国の現状を見ると「さもありなん」と思うからだ。

年率2ケタ台の経済成長が続く世界一の人口大国、中国。今のペースが続けば、人民元の上昇もあり、2007年中にも中国のGDP(国内総生産)はドイツを抜き、経済規模で世界第3位となる可能性が出てきた。
中国国家統計局は19日、上半期(1~6月)の国内総生産(GDP)が速報値で、前年同期比11.5%増だったと発表した。
中国政府の2007年のGDP伸び率目標は「8%」。その目標を大きく上回る数字となった。

中国GDP3位見えた 4-6月11.9%成長 (抜粋)

中国は過去3年連続2桁の成長を続けている。それ以前の10年間も平均9.5%の高成長。このまま行けば、5年後にはわが国にも追いつくことになる。
が、である。
ほんとうに、こんなことが継続できるのであろうか?

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今の中国は、国内総生産(GDP)ベースの1次エネルギー消費量が日本の約8倍に達している。
世界第1位の石炭産出国であり、世界第7位の産油国である中国。しかも1次エネルギーの70%以上を石炭に依存している。にもかかわらず、資源がほとんどないわが国に次いで、今では世界第3位の石油輸入大国(消費量は米国に次いで第2位)。
この事実が、その信じられないまでのエネルギー効率の悪さを証明している。

こんな中国が今のままの成長を続ければ、一体どうなるのか?
おそらく、世界中の資源や食糧を貪欲なまでに呑み込まなければ、その成長を維持できない。

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中国政府は、景気の過熱(バブル景気)がこれ以上続くことを懸念しており、それを軟着陸させるためのぎりぎりの目標値が8%だった。が、実際は11.5%増。なんと3.5%も上回っている。
これは何を意味しているのか?
それは、もう地方政府に対する中央政府のコントロールが効かなくなっているということだ。
たとえば、失地農民に対する対策も、「違法な収用は行なわない。十分な保障をする」という中央政府の指示がまったく無視されている。

もう中国の実態は、中央集権的共産党独裁国家というより、地方分権的開発独裁国家なのだ。

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そもそも、歴史的に見ても中国は一つであったときの方が短い。中共が統一する前の中華民国のころは、各地に軍閥が群雄割拠し、中華民国の支配地域は限られた部分にすぎなかった。
歴史上、漢族が100年以上にわたって華北、華中、華南を統一的に支配したのは、漢、宋、明の時代だけである。

中国語と一口で言うが、その種類は多岐にわたる。大雑把に言って、①北方語(北京語など)、②粤語(広東語など)、③呉語(上海語など)、④閩語(福建語など)、⑤かん語(湖北語など)、⑥湘語(湖南語など)、⑦客家語の7大方言(郷音)に分類される。
方言といっても、我が国の方言とはレベルが違う。各方言によって、発音、字体、文法が違うので、まるで外国語と同じで、方言同士では意思疎通がまったくできないのだ(通訳が必要なレベルである)。
また、これらの方言は、地域ごとにさらに細分化され、これまた意思疎通ができないほどの隔たりがある。

中共政府は、北京語を「普通話」=共通語として普及させることに力を入れている。テレビやラジオ放送は「普通話」で、義務教育も「普通話」で行われている。現在では約7割が「普通話」を理解できるといわれる。
しかし、「普通話」が普及し始めたのは最近のことである。数千年の長きにわたって、お互いに意思疎通が不能な言語を使用し、その言語に裏打ちされた社会の下で暮らしてきたのだ。

毛沢東という絶対的権威が消滅し、その絶対支配を支えた毛沢東主義も崩壊した。このような中国が地方分権というか分立というか、中央政府のコントロールが効かない状態になるのも、むしろ当然かもしれない。
それが中国の歴史なのだ。

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では、今の中共体制を支えているのは何なのか?
それは人民解放軍の存在である。人民解放軍が今の中国の統一を支えているのだ。
軍が党を支え続ける限り、たとえ地方分権的開発独裁国家であっても中共体制は維持される。

発展を続ける中国には、それにふさわしい資源が必要である。
中央政府は省エネ、環境保護、均衡の取れた経済、そして安定的成長を唱えている。が、実際は悪無限的にルールなき膨張が続く。この膨張を維持するためには、貪欲なまでに世界中の資源や食糧を呑み込まなければならない。
そのためには新たな領土(勢力圏)と領海がいる。
民族浄化を行なっているスーダン政府を支援するのも、独裁色を強めるベネズエラと提携するのもそのためだ。
南シナ海を内海化し、今や東シナ海も内海化しようとしている。太平洋の東西分割もその延長線上にある。
で、この領土と領海の拡大を物理的に担保するのが人民解放軍なのである。だから、中国の軍事費は19年連続2桁増という凄まじい勢いで増加し続ける。

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では、領土と領海を拡大し、そのために軍事力を飛躍的に強化することでルールなき膨張は継続できるのか?
それは「否」である。
水と空気がそれを許さない。

「川や湖の7割以上が汚染されており、9割以上の都市の地下水が汚染されている」という現実。
2004年末の推計では、高濃度のフッ素やヒ素などの汚染で、安全基準以下の水を飲む農民が全国に約2億2千500万人もいる。都市人口の7割が大気汚染にさらされ、400以上の都市が水不足、年間の砂漠化面積は3400平方キロに及ぶ。
今では、さらに深刻化しているであろう。

今の中共体制では、このような環境的制約を解消できない。
経済が成長すればするほど国土が汚染され、国民の健康が侵される。それも想像もつかない規模で拡大している。
2005年末、中国国家環境保護総局の張力軍副局長は、経済規模が4倍に拡大した場合、現在の環境保護対策のままでは、汚染規模は4倍から5倍に増大するとの予測を示している。
つまり、このままでは、2020年には中国は、人間が住めない国になるということだ。

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中共体制を維持するためには、領土と領海を拡大し続けなければならない中国。
が、異様に膨張した大木も、根本が腐り始めている。
根本が腐れば、大木は倒壊する。

「科学的発展観」に基づいて「和諧社会(調和の取れた社会)」を構築するという胡錦涛政権の「第11次五ヵ年規画」。中共は、これによって「小康社会(衣食が足りた次の段階)」、つまり「多少は豊かさを実感できる社会」をめざすという。
が、軍に支えられ、軍に牽引される“地方分権的開発独裁国家”がこれを実現できるかどうか極めて疑問である。

我々は、やはり中国の動向から目が離せない。

太平洋を分割する前に中国が分裂する。間違いない!!!

【注】このエントリに引用されたデータは、「中国崩壊シリーズ」の中でソースが明らかにされています。

【追記】
冒頭と右サイドバーのバナー(画像?)は「国境なき記者団」のものです。
できるだけ多くのブロガーがページに貼り付けることを希望します。

【追記2】
Red Foxさんがワシントン・タイムズの元記事を翻訳されています。

『中国、太平洋の東西分割提案か』ワシントン・タイムズ記事全訳

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2007/08/18

橋も経済も“天ぷら” 中国は間違いなく崩壊する

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団


Konansyohashi






















上記の写真を見てほしい。
今月13日午後、湖南省の鳳凰(ほうおう)県で建設中の橋が突然崩落した時の写真である。
新華社電によると、現場にいた作業員ら29人が死亡、30人が行方不明になっているという。

私がここで強調したいのは、事故の悲惨さではない。長さ320メートル、幅12メートルの橋に鉄筋がまったく入っていないということだ。

橋は8月末に完成する予定だったというから、工事は最終の仕上げ段階に入っていたと見てよい。で、橋の建設に使っていたやぐらを解体する作業をしていたら橋が突如崩落した。

そりゃあ、鉄筋が入っていなくて、砂利をコンクリートで固めただけの橋なら、やぐらを撤去すれば崩壊する。
何とも我々の感覚では理解できない不正というかインチキというか。大陸中国はスケールがでかいと言われるが、ここまで来るともう想像を絶している。

まあ、この事故も、カネがすべてで人命は紙よりも軽いという現代中国を象徴するものだろう。そこには遵法精神のかけらもない。

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昨年の5月には、浙江省杭州市の高層分譲住宅で、鉄筋の代わりに竹の棒を使った欠陥工事が発覚した。

鉄筋コンクリートならぬ竹筋コンクリートの高層マンション。
姉歯建築士による耐震偽装とはレベルが違いすぎる。
これじゃあ、地震が来なくてもやがて自壊するだろう。

で、施工した建設会社は「出稼ぎの農民労働者が鉄筋を使い切ってしまい勝手にやったことだ」と説明しているというから、これまた中国らしい。

これらの、にわかには信じがたい現代中国での出来事から、我々は何を認識しなければならないか。

それは、実は中国の体制自体が“鉄筋の入っていない橋”であり“竹筋コンクリートのマンション”であるということだ。

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今、中国はバブルに沸いている。
不動産市場は過熱化し、上海株式市場の総合株価指数は急騰している。
この直接的な原因は、国内投資家の多くが「(政府は)北京五輪まではバブルを容認する」との見通しを立てているからだ。

が、本質は違う。
バブルの本質は、中共当局の為替操作にある。
人民元を本来の相場より低く抑えるために「元売りドル買い」の介入を行う。その結果ドルが貯まり、元が市場に放出される。元が安いから輸出が伸び貿易黒字が増大し続ける。で、さらに市場に資金がだぶつく。

要は、今の中国のバブル景気は、当局のいびつな為替政策に根本的な原因があるのだ。
では、なぜ中共当局は、米国を始めとする先進諸国の人民元相場の適正化を拒絶してまで「元安」にこだわるのか?

それは中国経済が“虚構”の上に成り立っているからだ。
世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は、昨年5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に、中共当局の公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。
つまり、中国の金融システムは既に実質的には破綻しているのだ。

これが表面化しないのは、中国の主要銀行が実質的に国有であるからだ。つまり、“国家の信用”によって支えられている。
“国家の信用”とは世界最大の外貨準備高であり、世界最大の貿易黒字である。だから為替操作をやめられない。だからバブルが収まらない。
が、中国が既に市場経済に移行している以上、為替操作はいつまでも続けられるものではない。バブルも同様だ。無理にそれを続ければ、中国はいびつな怪物になってしまう。

中国のことだから、五輪が終われば、今度は「(政府は)上海万博まではバブルを容認する」となるのだろうが、実態と乖離した不動産や株価の高騰はちょっとしたきっかけで暴落する。
それが五輪景気の終焉なのか、じわじわと上昇を続ける人民元の相場が限界を超えた時なのか、今のところそれは断言できない。
が、不動産や株価が急落した時、不良債権にまみれた中国の金融機関は、バブル崩壊を支えきれない。それどころかバブルが崩壊すれば、金融機関が抱える不良債権額はさらに増え、金融システムは完全に破綻する。
そして、バブル崩壊→企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業の増大という“負の連鎖”が始まる。この“負の連鎖”は中共の強権をもってしても止めようがない。“国家の信用”も、もはや金融システムを支えきれない。

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中共体制は、金融システムという“経済の鉄筋”が溶解した上に成り立っている。まさに冒頭の写真の橋と同じだが、中共独裁というコンクリートがまだ固いので、かろうじて崩落を逃れている。
が、バブルの崩壊と、それに続く“負の連鎖”は、中共独裁というコンクリートを簡単に突き崩すだろう。

中国は間違いなく崩壊する。

参照1:鉄筋入っていなかった?中国で橋崩落 29人死亡 (産経新聞)
参照2:中国で竹筋コンクリート 高層分譲住宅で露見 (西日本新聞)

【追記】
中国崩壊に関心のある方は「中国崩壊シリーズ」をお読みください。

【追記2】
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2007/06/04

中国はいつ崩壊するのか?(再)

このところ時間がないので、過去における私の人気エントリーを再掲していきたいと思う。
まず第一弾は、私の出世作「中国はいつ崩壊するのか?」。

これは約2年前に書いたものだが、今でもここで言及した内容は間違っていないと思う。

中共の不自然なまでのわが国に対する“友好姿勢”と、それとは相反する東シナ海のガス田問題に対するかたくなな態度。
江沢民時代よりひどくなったと言われる言論統制。

和諧(わかい)社会、すなわち調和のとれた社会を構築するという目標を掲げながら、一向に改善されない中共体制の矛盾の深化がそこに示されている。

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2005/05/23

中国は、いつ崩壊するのか?

これまで「中国は間違いなく崩壊する」というタイトルで記事を2回書いた。これに対して、いつ崩壊すると思うか?崩壊したらどうなると思うか?というご質問があった。
もっともなご質問である。崩壊する、と断言しておいて、それがいつかに言及しないの
では欲求不満が残る。
したがって、今回は崩壊の時期について分析してみたい。
なお、崩壊後にどうなるか?については後日、予測可能な範囲で記事にしたい。

中国の先行きを占う上で、参考になる記事が二つある。
深嶋修氏の中国の成長神話を崩壊させる3つの危険要素と行天豊雄氏の中国経済と日本である。

深嶋氏は中国経済が崩壊する原因として次の4点をあげる。
①急速かつ特異な高齢化
②環境制約の顕著化
③資源制約の顕著化
④深刻化する財政悪化。

①ユネスコの高齢化社会基準は、「国または地域の60歳以上の人口が当該国または地域の総人口の10%あるいはそれ以上を占めていること、または65歳以上の人口が
総人口の7%あるいはそれ以上を占めていること」である。
中国第5次国勢調査の結果では、現在、全国の60歳以上の人口は既に1億3200万人に達し、総人口の10%を占めている。また、65歳以上の人口は8811万人に達し、総人口の約7%を占めている。
つまり、中国は既に高齢化社会に突入しているのだ。これは、一人っ子政策による人口増加率の大幅な下降と生活水準の向上による平均寿命の大幅な延びが原因である。
中国の1人当たりGDPは、やっと1000ドルを超えた程度にすぎない(日本とアメリカは
3万ドルを超える)。先進諸国は「豊かになってから高齢化した」のに対し、中国では
「豊かになる前に高齢化が始まっている」のである。

②無秩序かつ無規律な大規模開発を進めた結果、環境が急速に悪化している。都市人口の7割が大気汚染にさらされ、7大水系の7割が重度汚染、400以上の都市が水不足、砂漠化面積は年間3400平方キロに及ぶ。
この深刻な環境破壊は、農民の大規模な暴動を引き起こすほどである。

③急激な経済成長は、膨大な量のエネルギー、原料、水資源の消費をもたらしている。中国は既に、米国に次いで世界第2位の原油輸入国である。中国が、このまま成長を続ければ、深刻な世界的資源不足、食料不足をもたらすのは間違いない。

④財政赤字は、既に、国際安全ラインの対名目GDP比3%に達している。国有企業等の借金も含めると、名目GDPを超える規模の債務があると推測される。
しかし、非効率的で赤字の国有企業は、一方で何千万人もの労働者に雇用と福祉を
提供しており、地方経済の中核を担っているため容易に整理できない。その結果、それを支える国有銀行は多額の不良債権を抱える破目に陥っている。
四大国有銀行は、国内総銀行資産の60%を占めている。これらの銀行の不良債権
比率は、公式統計では19%(2004/03/31)だと言われているが、実際には、それよりはるかに高いと推測されている。

2004年3月末、中国の四大国有銀行の不良債権は融資総額の19%を占めていたが、同年9月末まで既に5.16%に下がったと中国政府は同年11月、発表した。下がるスピードが速く、しかも下がった理由について何の説明もないため、この数字に信頼性はない。米国の権威ある評価機関スタンダード・アンド・ブアーズ(Standard & Poor’s)は中国の銀行の不良債権率は45%に達していると見ている。

中国最大の危機:金融危機【大紀元日本5月5日】から引用

行天氏は、以下の点を中国経済の弱点としてあげる。
①非効率的で赤字の国有企業と多額の不良債権をかかえる国有銀行
②社会的不平等の急速な拡大と社会システムのゆがみ
③共産主義イデオロギーの崩壊に伴う社会的規範の喪失と宗教的な社会倫理に無縁な社会
④汚職の横行と一部に見られる飽くなき貪欲
⑤資源制約の顕著化
⑥環境制約の顕著化
⑦社会的・政治的自由を求める動き

以上については、既に中国は間違いなく崩壊するの中で言及した。
①⑤⑥は深嶋氏と共通している。

私は両氏の指摘の中で、崩壊の時期を決定づけるのは財政の悪化と四大国有銀行の不良債権問題だと思う。
高齢化問題、資源問題、環境問題、汚職、社会的不平等、社会的・政治的自由への
欲求等はボディーブローのようなもので、劇的な変革要因になる可能性は高くない。
しかし、国有銀行の信用不安は、成り行き次第で一気に経済を崩壊させる。日本の
バブル崩壊を想起してほしい。経済が崩壊すれば、共産党独裁体制も一蓮托生で
ある。
革命は常に経済的困窮から起きる。一見、高まいな政治理念やイデオロギー、あるいは宗教的動機に基づくと見られる革命も、根本にあるのは経済的に困窮した民衆の
巨大なエネルギーの爆発である。
中国もバブルが崩壊し、今や1億人にのぼると云われる民工が路頭に迷う事態になれば、強固に見える強権支配体制も、またたく間に瓦解する。

中国のGDPは、この5年間で1.6倍になった。それを支えているのは、海外からの投資と投機マネーの流入である。この投機マネーがバブルを引き起こしている。
不動産価格の高騰は上海や広州など沿岸部にとどまらず、重慶、成都、西安などの
地方都市にも広がっている。赤字の国有企業までが子会社を通じて投機に走っているという。
巨額の不良債権を抱える国有銀行は、中国という国の信用によって支えられており、
実態は破綻状態とまで言われている。国の財政がさらに悪化し、今のように銀行を支えきれなくなったとき、銀行は自ら不良債権を処理しなければならない。
四大国有銀行は、そういう事態に備えて公的資金の注入を受け、財務体質を改善して海外での上場を目指しているという。しかし、それが実現する可能性は低いといわれる。
追い詰められた銀行が、不良債権の整理に乗り出さざるを得なくなったとき、そこで起こるのはバブルの崩壊であり、「貸し渋り」と「貸し剥がし」である。その結果、企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業の増大という負の連鎖が始まる。

野村資本市場研究所シニアフェロー・関志雄氏がバブル崩壊後の中国経済の姿の中で次のように書いている。

中国では、投資と経済成長がお互いに促進しあう好循環の下で、不動産価格が高騰するなどバブルの様相を呈している。しかし、最近の当局による引き締め政策をきっかけに、逆に投資と資産価格が低下し、景気が減速するという悪循環に変わることが予想される。
バブルが崩壊すれば、中国は90年代の日本のように、企業部門は雇用調整、設備調整、バランスシート調整を迫られることになろう。

日本では多くの大企業が実質上終身雇用制を採っており、そのおかげで雇用調整には長い時間がかかったが、不況が深まっても大量の失業者が発生しなかった。
これに対して、中国では労働市場における流動性が高く、景気後退に伴って失業率が大幅に上昇することになる。
現在、主に農村部から都市部へ、また内陸部から沿海地域へ流れている出稼ぎ労働者は1億人にも上る。彼らの故郷への送金は経済発展から取り残されている地域の重要な所得源になっているだけに、当局にとって、雇用の維持は単に経済問題に留まらず、社会全体の安定がかかった重要な課題である。
(中略)
借り手である企業の業績が悪化する中で、銀行が抱える不良債権はいっそう増え、貸し渋りが深刻化するだろう。鉄鋼やセメント、アルミといった「過熱部門」における投資の四割は銀行融資に頼っている。
来るべき調整局面において、企業の倒産を含めた、大規模な産業再編が予想され、銀行もそのツケの一部を負担せざるを得ないだろう。
中国の銀行が抱える不良債権はすでに世界最悪の水準に達しており、バブルの崩壊に伴って、いっそうの悪化が避けられない。
日本と同じような金融危機を防ぐべく、政府としても不良債権を処理するために、銀行部門へ公的資金を注入せざるを得ないだろう。
しかし、国有銀行とその最大の融資先である国有企業にコーポレートガバナンスが欠如したままでは、公的資金の導入は不良債権を一時的に減らすことができても、その新規発生を止めることができないため、問題の根本的解決にはつながらない。
また、四大国有銀行が、近い将来海外の株式市場で上場する計画を立てているが、不良債権問題が深刻化する時期と重なることになれば、その実現は難しくなるだろう。
(中略)
雇用・設備・債務という「三つの過剰」を解決するために、日本は10年以上の歳月を費やしてしまった。そして、中国がこの日本型危機を回避するために許された時間はもはや多くないのである。(太字は筆者)

この記事が書かれたのは2004年6月22日である。そして現在はどうかというと、関氏が予測したような「バブルの崩壊」には至っていない。

これは、

過熱経済を心配する当局は金融引き締めに躍起だが、効果が出ないのは、当局の目をかいくぐって流れ込む資金があるからだ。統計で説明がつかないこの種の資金は年100億ドルを超える。密貿易や、海外の子会社との経理操作で投機資金を動かすことはたやすい

からである。

人民元切り上げ問題がはらむ中国リスク AERA(2005年5月16日号)

だからといって、関氏の分析が誤っているわけではない。バブルは必ず崩壊するし、
崩壊すれば関氏が指摘するような姿になる。
以下の記事が、それをさらに裏付ける。

4月下旬、新華社は次のように報道した:“国務院は、150億ドルの外貨準備を中国工商銀行に注入して改革を行うことを決定した。”
いわゆる改革とは、不良債権を処分して自己資本比率を引き上げ、もって上場の資格を獲得し、上場を通じて新たな資金を囲い込んで経営を支えることである。
これ以前の2003年末、中国銀行と中国建設銀行は、それぞれ225億ドルの資本注入を受け、資産・負債を処分して積極的に上場の準備を進めている。

中国の四大国有銀行は、それぞれ役割が異なっている。このうち工商銀行は、国有企業への融資を担当しており、不良債権が最も多い。2002年末時点における不良債権の残高は7920億元近くあり、四大国有銀行の全体の不良債権の45%を占めており、100元の融資のうち30元近くが“不良”となっている。
中国銀行と建設銀行には225億ドルが必要とされたことから、この150億ドルは第一回目の注入にすぎないと言ってよい。
スタンダード&プアーズの金融サービス評価担当部長・曽怡景の推計によると、中央政府は、工商銀行に対する今回の150億ドルの資本注入のほか、工商銀行及び農業銀行の資本調整に少なくとも1100億ドルが必要となる。
また、貸倒引当金や自己資本比率を保守的に計算した場合、必要な資本注入額は1900億ドルとなる。

スタンダード&プアーズが2004年の7月に推計したところによると、こうした銀行の困難を除去しようとする場合、6500億ドルもの資金が必要となるが、これは中国のGDPの約4割を占める
中国の外貨準備は6000億ドル余りで、国内債務以外に2000億ドル余りの外債を抱える中で、政府が銀行を救うための資金はどこにあるというのだろうか?
(中略)
いわゆる切離しとは、不良債権を割引いて4つの資産管理会社に売却することである。資産管理会社はゆっくりとこうした債権の回収にあたり、一部は回収できるが、恐らく大部分は回収できない。
また、一部は外国の投資銀行に売却される。これら資産管理会社もまた国有企業であって内情は複雑であり、損失や破産が起これば、国家がその全てを引き受けることになる。

1998年、政府は30年ものの長期国債を発行して四大国有銀行に2700億元の資本注入を行った。このプランが策定された当時は、97年時点でのリスク資産の規模に基づいて自己資本比率を8%とすることが目標とされていた。
2002年11月までに、四大資産管理会社もまた銀行の不良債権1600億ドルを処分した。しかし、昨年末になって再び資本注入による“改革”が実施されたことは、いくら資金を追加投入しても何の役にも立たず、古い不良債権を処分すれば今度は新たな不良債権が発生し、そのブラックホールが底なしの穴となっていることを証明している。
(後略)

中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?
【大紀元日本5月16日】(太字は筆者)

上記の記事を読むと、わが国におけるバブル崩壊後の銀行の不良債権処理と、その
ために行われた公的資金の注入が想起される。
あの時も、米国の格付け機関は、銀行の抱える不良債権は40~50兆円と予測して
いた。それに対し銀行自身は、不良債権を2~3兆円と言っていた。それが、いつの間にか25兆円に膨れ上がり、最終的には、いくらあるのか分からなくなった。
そして多額の公的資金が注入され、多くの銀行が破綻した。
おそらく中国の四大国有銀行が抱える不良債権の実額も、スタンダード&プアーズの推計が正しいと思われる。
なお、「資産管理会社」とは日本の「整理回収機構」のようなものであろう。そのうち
「産業再生機構」と似たような組織も作られるかもしれない。
ここで注意してほしい点がある。中国のバブルはまだ崩壊していない、というより、まだバブル真っ盛りなのである。バブル真っ盛りなのに、日本のバブル崩壊後と同じような対応を政府が銀行に対して取らざるを得ない。
これが、繁栄を謳歌しているように見える中国経済の現実の姿なのである。

中国政府の銀行改革の目的は、「不良債権を処分して自己資本比率を引き上げ、
もって上場の資格を獲得し、上場を通じて新たな資金を囲い込んで経営を支える」ことである。
これが成功すればよい。が、失敗すれば、それがバブル崩壊の引き金になる。
今の状況でバブルが崩壊したらどうなるのであろう。日本の銀行は、バブルが崩壊する前は、不良債権など無きに等しい状況だった。その日本でさえ、建て直しに10年以上かかった。バブルが崩壊する前から公的資金の注入や不良債権の売却が必要な中国がどうなるのか、予測するのも怖いくらいである。
前出の人民元切り上げ問題がはらむ中国リスクは以下のように書いている。

13億人の中国が混乱すれば世界が揺さぶられる。最大の問題は失業だろう。高成長の現在でさえ3億5000万人の「不完全就労」がある、と推計される。高成長が挫折すれば、億単位での失業の増加も予想される。職を失った人が周辺のアジア諸国に流出し、人口流動に拍車がかかる。
08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない。
(編集委員 山田厚史)(太字は筆者)

既に、国有銀行を海外の株式市場で上場する計画の第一弾は挫折した。前出の中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?から引用する。

工商銀行の一歩先を行く建設銀行は、2004年末に資本注入を受けた後に改革の気勢を上げている。
建設銀行会長の張恩照は、昨年の2月に開かれた2004年工作会議において、建設銀行を3年以内に国内トップの利益、効率を実現できる株式制銀行とし、10年以内に中国銀行業の中で最高の株式市場価値を実現できる株式制商業銀行にするとともに、アジア市場のトップに立つことを謳った。
また、建設銀行は、中国国際金融(中金)を上場のための財務顧問に任命した。中金は、主として建設銀行とモルガンスタンレーとの合資で成立したもので、もともと建設銀行を2005年に米国に上場して60億ドルを調達する予定であったが、モルガンスタンレーが参画しても米国では上場できなかった。
現在は、監督が緩やかなロンドンに転じたところであるが、これが成功するかどうかはまだ分からない。

米国でできなかった上場がロンドンでできるのか?
関志雄氏も「四大国有銀行が、近い将来海外の株式市場で上場する計画を立てているが、不良債権問題が深刻化する時期と重なることになれば、その実現は難しくなるだろう」と述べている。
私もおそらく無理だと思う。そして、そのときが、中国経済と中国共産党の終わりの始まりである。

【再掲終わり】

-------------------------------------------------------------------

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は2005年3月末時点で1兆3,100億元(約1,640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、英Financial Timesによると、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・(E&Y)は、同年5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9,000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

E&Yは中国でもかなりの実績があり、この数字は信頼できるものと思われる。が、E&Yは5月12日付声明で、この中国の不良債権に関する数値を「誤りだった」として撤回した。裏で、中国当局の「中国からE&Yを締め出す」という強烈な恫喝があったという。

やはり、大紀元の記事は間違いではなかったということだ。
中国の公式統計など、まったく信用できない!!!

讀賣新聞が、今回来日した李登輝・前台湾総統(84)が、7日に都内で行う講演の概要を次のように報じている(抜粋)。

中国は経済問題が深刻なため、2007年は内政問題に翻弄(ほんろう)される。昨年、経済成長の減速を図ろうとしたが失敗し、輸出はさらに拡大、引き続き過熱状態にある。中国の高度経済成長は決して健全ではない。

中国政府は経済問題により引き起こされる衝撃を緩和するため、一種の愚民政策の方針に転じている。宇宙開発計画や北京五輪開催、日本との歴史問題など、大衆の注意力を他にそらすこともこれに含まれる。

中国は対外戦略では、向こう2年間は、もっぱら東アジアの政治主導権を握ろうとするだろう。米国がイラク問題などに追われ、弱体化したままの状態でいれば、東アジアでは日本と中国が域内の権力闘争の主軸となる。日本は短期内に中国と対等に張り合う力を持てるよう努力しなければならない。

「22歳まで日本人だった」と公言する李登輝氏。
この方に比べると、いかに情けない日本の政治家が多いか!!!

ほんとうにやりきれない。

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2007/05/04

「物権法」は吉と出るか凶と出るか!

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今、中国では、地方政府と開発業者が結託して住民の土地を二束三文で強奪する事件が頻発している。
もちろん住民は強烈な反発を示しており、農村では暴動に発展するケースも珍しくない。
下の写真は、そのような中国の現実をあからさまに示す記念碑的画像である。

Jyukei1 Jyukei2_1 Jyukei3_1 Jyukei4

土地の明け渡しを拒絶しているのは重慶市の楊武さん。
開発業者の補償金が少なすぎるとして立ち退きを拒否しているわけだ。

業者が最初に提示したのは市場価格の7割。住民は低すぎるとして拒否したが、業者側が補償額を上積みした結果、退去に応じた。
が、楊さんの家は商売を営んでおり、しかも家が比較的新しい。そこで楊さんは商売の営業補償も要求したようだ。それに対する業者側の回答は、電気・水道を止め、楊さん宅の周囲をブルドーザーで掘削して道路もなくしてしまうという荒っぽい手段だった。

で、写真に見られるような文字どおりの“陸の孤島”が出現した。

-----------------------------------------------------------------

なぜ開発業者は、我々の常識では考えられない暴挙とも言える行動に出たのか?
それは中共率いる中国では土地の私有が認められていないからだ。
おまけに地方政府や司法までが業者と癒着している。

開発業者の目的は「地域を開発し、マンションやショッピングモールを含んだブロードウェイスクウェアを作る」ことだそうだ。そのような極めて公共性の低い営利目的の行為にもかかわらず、裁判所は「3月22日までに自宅を明け渡すこと」という判決を出した。
日本という法治国家に住み、基本的人権が法的に保障されている我々には理解できない現実である。

「200万元の補償金、あるいは世界の終わりまであの家にいるか」
開発業者側のセールスレディは言い放った。

200万元と言えば日本円にして約16万円。ほぼ中国の平均的勤労者の年収に等しい。これで家・屋敷をふんだくられたのでは、確かに「ふざけるな」と怒るのも無理はない。

(訂正)
上記は為替の換算を勘違いしたまま書きましたので、文章全体が意味をなさず、よって削除します。
楊さんは2000万元を要求して徹底抗戦の構えだったようですが、和解(妥協)が成立した旨、先日の
中日新聞が伝えていました。
350万元+営業補償といったところか。
「楊さんの粘り勝ち」という声も上がっているようですが、中日新聞は、「物権法」が成立したので、今後は楊さんのような人が増えるのではないかと指摘していました。

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しかし、なぜこうまで農民や庶民の土地が理不尽に奪われるのか?
それは、経済は資本主義なのに法律は共産主義だからだ。つまり中国の土地はすべて国家に帰属している。
今回も、楊さんが同意していないのに、土地の使用権は既に開発業者側に移っているという。だから業者は電気・水道を止め、裁判所は「3月22日までに自宅を明け渡すこと」という判決を出した。

開発業者の「法定代表人」は地区政府の副書記長だという。
ここでも公権力を笠に着た共産党官僚と金儲けしか眼中にない悪徳資本家が結託して庶民を弾圧・搾取するという構図が見事なまでに出来上がっているのである。

で、楊さんだが、事件が中国国内のみならず世界的にも有名になったこと、冒頭の写真に見られるように民衆が楊さんの側に付いたことなどが幸いして、開発業者や当局との妥協が成立、無事、自宅から退去できたようだ。
これは5月1日付の中日新聞が報じていた。

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私は、下部構造が資本主義で上部構造が共産党独裁などといういびつな体制が長続きするはずがないと過去のエントリーで書いた。
今回取り上げた楊さんの事件が典型だが、全国的にも、主に土地収用をめぐる対立で暴動・騒乱が年間87,000件も発生している。
5月1日付の中日新聞には、上海万博のための再開発が進む中で、「万博が来ると聞いたときは誇らしかった。だが、現実は我々家族を不幸にしただけだ(要約)」という、再開発で土地を奪われた市民の怨み言が載っていた。
4月4日付の讀賣新聞にも、北京オリンピックで立ち退きを迫られ、最後まで抵抗すると、最初は不良グループの嫌がらせを受け、最終的には官憲の手によって強制的に家を追い出されるという老女の悲しい話が書かれていた。

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中国では、この3月、私有財産保護を明記した「物権法」が制定された。この法律が、市場経済がもたらした「社会主義の空洞化」をさらに加速させることは間違いない。
が、中共の狙いは資本家や外資の私有財産を保護するためであって、けっして一般大衆や農民のそれを保護するものではないと私は考える。

が、楊さんのように、当局や悪徳資本家の横暴に体を張って抵抗するような勇気ある庶民や人権活動家たちにとっては、この「物権法」は有力な武器になるはずだ。

中共が定めた「物権法」が吉と出るのか凶と出るのか。
土地や生産手段の私有を認めることは、市場経済を安定的に発展させる上で欠かせない。
が、それは、北京オリンピックや上海万博のために痛めつけられた庶民たちの怒り、
あるいは資本の利益のために理不尽にも土地を収奪された農民たちの怒り、これらが爆発する呼び水となる可能性もある。

-----------------------------------------------------------------

まさに2008年の北京オリンピック後、そして2010年の上海万博後から目が離せない。
パンパンにふくれ上がった風船が針の一刺しで一気に破裂するのか?
それとも極限まで風船はふくれ続け、自ら暴発するのか?

中共体制は間違いなく崩壊する!!!

参照1:重慶の強制立退き事件
参照2:House is an island

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2007年5月2日現在

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2006/11/19

中国の経済成長は脅威でしかない!

「中国の経済成長は脅威ではなくチャンスだ」という声が、あちこちから聞こえてくる。
これは、経済界だけではなく政界にも同様な声がある。
また、わが国に限らず、欧米諸国や韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)なども例外ではない。
しかし、ほんとうにそうだろうか???

中国は今、“資源パラノイア(偏執狂)”と呼ばれている。高い経済成長を続けているのだから、より多くの資源・エネルギーが必要なのは自然の成り行きである。
が、中国が“資源パラノイア”と呼ばれるのはそのためではない。資源を獲得するためには秩序もルールも無視する―だから“パラノイア”と呼ばれるのだ。

中国が今、資源獲得のために密接な関係を築いている国を見てみよう。キューバ、ミャンマー、北朝鮮、イラン、ジンバブエ―これらは米国のコンドリーザ・ライス国務長官 が、昨年1月に「圧政の前線基地 」と名指しした6カ国のうちの5カ国である。
これらの国以外では、スーダンはアラブ系政府が民兵を使って黒人に対する民族浄化を行っている国であり、ベネズエラやアンゴラも民主主義とはほど遠い。

つまり中国は、世界が人権とか民主主義に問題ありとして関係を制限している国々に積極的に援助を行い、その見返りとして資源を得ているのである。
しかも、これらの国に対する援助(ODA)は、国内の貧困対策として世界銀行から借りた巨額の低利融資を原資にして、より高利で貸し付けているのが実態である。

要するに中国は、世界の秩序やルールと無縁のところで資源をむさぼっている。そして国内の経済構造は、1GDPあたり日本の9~10倍もの石油を消費するという“石油がぶ飲み”体質のままである。
これらがどういう影響をもたらしているかというと、原油や鉄鉱石を始めとする鉱物資源の価格高騰である。

中国が、今のままの秩序やルールを無視した経済成長を続ければ、早晩、世界は深刻な資源・エネルギー危機に見舞われる。

ところで、中国がむさぼっているのは、原油や鉱物資源だけではない。漁業資源も中国の乱獲で深刻な状況を迎えようとしているのだ。

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世界有数の好漁場とされる南米チリ沖の太平洋が、各国による水産資源争奪の主戦場となっている。

チリの200カイリ経済水域外の公海に中国、韓国、ロシアなど諸外国の漁船が殺到し、アジなどの乱獲に歯止めがかからない。特に目立つのが中国船だ。チリ水産庁によると、約10隻の中国船が操業しているという。

「チリの主権が及ばない海で、中国船が自由に振る舞っている」とチリの漁業者団体、全国漁業者連合会のクリスチャン・ハラ総支配人は憤る。

チリ沖はアジやホキ(タラ目の白身魚)などが豊富にとれる。しかし、近年、漁獲量は
減少傾向にある。チリ水産庁によると、2005年の漁獲量は492万トンと1990年以降の
ピークだった94年(802万トン)の約6割の水準に落ち込んでいる。

原因は、海水面温度が上昇する「エルニーニョ現象」など異常気象も指摘されているが、過去の乱獲の影響が大きいと見られる。

チリは02年にアジの漁獲規制を導入した。海を含め国内船は産卵前の体長26センチ
未満のアジを禁漁とし、26センチ以上の魚も漁船単位で漁獲量を割り当てている。首都 サンティアゴから南に約450キロ・メートルのタルカワノ港を中心とする第8州は156隻あったアジ漁船を50隻に削減した。こうした努力も、公海で乱獲が続けば台無しだ。

チリ外務省はこれまで数回にわたって中国当局にアジの漁獲量を減らすよう申し入れたが、交渉は物別れに終わった。水産庁第8州のロドリゴ・バレンシア監査課長は「(チリ政府は)中国側にアジの漁獲量だけでも教えて欲しいと求めたが、回答はない」と話す。

「爆食」と言われるほど食料需要が急増している中国は、世界各地で水産資源の確保に積極的だ。小川元・駐チリ大使は「中国の南米における最大の狙いは食料確保だ」と指摘する。

西アフリカ沖の大西洋でも中国船の動きが目立っている。中国マグロ船は、これまで
主に大衆向け刺し身用のメバチマグロやキハダマグロを漁獲してきた。近年は日本船と 同様に高級魚クロマグロを狙い始めた。

安い人件費を武器に長時間操業を続ける中国船に、資源への悪影響を懸念する声も聞かれる。カナリア諸島で日本のマグロ漁船に燃料などを供給している日本かつお・まぐろ漁業協同株式会社の具志幸正ラスパルマス駐在員代行は「10年前は体重400~500キロのマグロが普通にとれていたが、最近は150~200キロ程度の小ぶりのものが大半になった」と話す。

~略~

[揺らぐ魚食大国](中)公海、仁義なき乱獲 (2006/11/18 讀賣新聞)

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「爆食」と言われるほど食料需要が急増している中国は、もう食糧確保になりふりかまわずなのだ。だから沿岸国の漁獲規制などおかまいなし。チリにみられるように、二国間交渉にもまじめに対応しない。
行き着く先は原油や鉱物資源と同じ。価格の高騰と資源の枯渇である。

考えてみれば、日本の10倍、世界の2割を占める人口を抱える国が、毎年8~9%の
経済成長を続ければ、こういう事態が出現することは予想できたことだ。
中国がこのまま成長を続ければ、その経済規模は10年後には日本を追い越し、20年後には米国に追いつくという。

つまり、資源や食料をめぐる争いは、今後はますます深刻化していく可能性が高いということだ。これらは国家の存立に直接かかわる問題だけに、どの国も容易に譲歩しないだろう。

我々は、資源・食料戦争のとば口に今、立たされているのである。そして、その戦争相手は中国である。

ところで、中国にも豊かになる権利がある、経済成長を追求するのは当然である、その結果、資源や食料の価格が高騰し、資源不足、食糧不足に直面するのもやむを得ない―という考え方もあるだろう。
しかし、インドを見てほしい。インドも中国(13億人)に匹敵する人口(10億人)を抱えており、経済も8%という高い成長を続けている。が、中国ほどには資源や食料をめぐる
摩擦を起こしていない。これはインドと中国の経済構造及び社会構造の違いに起因する。
インド経済は石油を“がぶ飲み”しないし、社会も食料を“爆食”しない。だから、石油や食料の需要は増え続けるであろうが、中国みたいに“パラノイア”になることはないのである。

-------------------------------------------------------------------

いずれにしても、このままでは世界がもたない。中国が省エネ・省資源の経済体質に
転換し、浪費を戒める社会に変わることができるのか、それとも中国の現体制が行きづ まり、やがて崩壊するのか―そのいずれかしか、近い将来の資源・食料戦争を避ける 方法はない。

「中国の経済成長は脅威ではなくチャンスだ」などと、目先のことに惑わされるのではなく、もっと地球規模のファンダメンタルズに注意を向け、警戒心を喚起するべきである。

中国の経済成長はチャンスではない!深刻な脅威である!!!

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2006/11/16

医療から崩壊する中国-part2

朝日新聞がめずらしく中国の体制を批判する記事を掲載している。


中国・四川省広安市で10日、治療費の不足を理由に治療を拒否し、男児を死なせたとして住民らが病院に押し寄せ、施設を破壊するなどした。13日付の香港各紙が伝えた。警察との衝突で学生2人が死亡したとの情報もある。

報道によると、誤って農薬を飲んだ男児が7日、同市第2人民医院に運ばれたが死亡した。遺族は「治療費800元(約1万2000円)の支払いを要求されたが、持ち合わせがなかった。すると病院側は治療を拒否した」と主張。10日夜、病院施設や警察車両を壊し、警察は催涙弾で応戦したという。同市は「治療を拒否した事実はない」としている。

中国では、国有企業の解体などで職場を基礎とする社会保障制度が機能しなくなり、治療費を支払えない人々が増加。病院の患者受け入れ拒否が社会問題化している。

中国・四川省で住民が病院施設破壊 「治療拒否で死亡」 (朝日新聞)

-------------------------------------------------------------------

このニュースは、おそらく真実だろう。別に媚中派の朝日新聞が報じているからというわけではない。中国の医療現場の実情をみれば、十分ありうることだからである。

今、中国の民衆の間では、「病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない」という中国式狂歌が流行っている。

朝日新聞も指摘しているように、かつては人民公社が、農業生産の他にも行政、経済、教育、軍事、医療などの機能を総合的に担っていた。しかし、改革開放政策の下で人民公社は廃止され、市場経済化に伴って国有企業も次々に民営化、もしくは整理・解体された。

つまり、多くの人々が医療費を自分で工面しなければならなくなったのである。が、
医療保険に加入している人は全体の約34%(中国社会科学院)にすぎない。おまけに病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくないのが現状である。
その結果、4人に1人は医療費が支払えないため受診をあきらめているという。要は、
貧乏人は病気になっても病院に行けないのだ。

-------------------------------------------------------------------

引用した記事中の「農薬を飲んだ男児」は、おそらく農民の子であろう。そして「広安市第2人民医院」は公立病院とみて間違いない。

大都市の給与所得者でも月給が1万~1万2000円とされる中国で、さらに貧しい農民が、「治療費800元(約1万2000円)を前払いしろ」と言われても、そう簡単に払えるわけがない。で、結果は病院が治療を拒否―男児は死亡。

住民が怒り、病院を襲撃する気持も解らなくはない。

昨年末も、北京駅で吐血した男性が救急車で病院に運ばれたものの、金がないことを理由に十分な治療が受けられず、痛みでのた打ち回りながら死亡した―というニュースが報じられていた。

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●「海外での事故例」 (JI保険「海外での事故例」より一部抜粋)

=2004年度=
中国  バス搭乗中に悪路のためバウンドし、腰椎圧迫骨折。
(保険金支払額6,326,607円)
中国  転倒して左大腿骨骨折。手術を行い入院。
(保険金支払額4,319,430円)

=2003年度=
中国  腹痛・胃潰瘍となり現地で入院・手術。日本から家族が駆けつける。
(保険金支払額4,519,436円)

《[7.11]海外旅行保険への加入のお願い》 2005-7-14 中国留学.COM

上記のデータは、中国留学専門サイトに掲載されていた「日中文化交流センター」の、中国留学生向けの「お願い文」からの抜粋である。

「お願い文」は、「ご出発まで間近となり、皆様ご留学へ向け着々とご準備を進めて
いらっしゃる事と思います。この度、センターではご留学の皆様に、海外旅行保険へのご加入を強くお願い申し上げます」という書き出しで始まる。
そして、上記のような例を挙げて、「海外では、日本と異なり自由診療となるため治療費は医療機関、病気・ケガの程度によって異なります。一覧は目安として下さい」と、強く注意を促している。

JI保険は、JTBとAIGの合弁会社であるから、このデータの内容は信用できる。
つまり中国では、骨折の治療で430万円~630万円、胃潰瘍の手術で450万円の医療費を要するということだ。
中国では元々医療費が高いうえ、不必要な検査や投薬が日常茶飯事に行われているという。上記の金額は、保険会社が精査した結果のものであるから、不必要な検査や薬は含まれていないものと思われる。

以上の事例をみただけで、中国の医療費がいかにべらぼうかが分かる。おそらく保険会社の査定がなければ、費用はもっと高額になるに違いない。
これでは、医療保険に加入していない66%の国民は、とても医者にはかかれない。

「病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない」という中国式狂歌は、けっして大げさではないのである。現代中国では、もう「地獄の沙汰も金次第」という
状況が医療にまで及んでいるのだ。

-------------------------------------------------------------------

四川大学華西医院の院長は、このような医療現場の異常事態を以下のように分析している。

①中国の医療制度がまだ整っていないこと、②医療が平等でないこと、③一度病気になれば窮乏が避けられなくなること、④薬価が不合理で金額も不適正であること、
⑤医療部門の専門化が不合理であること。
これらの矛盾が激化して患者の怨恨が溜まり“生け贄要求”を引き起こしている、と・・・

“生け贄要求”とは、病院及び医師に対する民衆の怨念と憤怒のことである。

大学病院のトップがここまで解っていれば、不合理なシステムを改革すればよいと思うのだが、それができないのが今の中共体制ということだろう。

-------------------------------------------------------------------

今、中国では、国家権力に理不尽なやり方で土地を取り上げられた農民(失地農民)たちの暴動・騒乱が頻発している。今後は、今回のような医療の絶望的な現実に対する抗議・騒乱も激増していくのではないか。

人間を「人」として扱わない社会がいつまでも続くわけがない。

やはり、中国は間違いなく崩壊する!!!

参照1:医療から崩壊する中国
参照2:中国の「平和的発展」の実態とは?

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2006/11/11

外貨準備高1兆ドルは崩壊の黄信号

またまた、打ち上げ花火のような景気のよい話が中国から聞こえたきた。


【北京8日時事】中国税関総署が8日発表した10月の同国貿易黒字は238億ドル(約2兆7900億円)となり、単月での過去最大を更新した。輸出が前年同月比29.6%の大幅増加となる一方、輸入は同14.7%増にとどまった。1~10月の黒字累計は1336億ドル。通年では1500億ドルを超える可能性があり、人民元相場の一段の上昇を求める米議会・産業界との摩擦が拡大しそうだ。

10月の貿易黒字、過去最大=米との摩擦拡大も-中国


【北京=共同】6日の新華社電によると、中国の外貨準備高はこのほど約1兆ドル(約118兆3000億円)になった。貿易黒字の増加などを背景に、同国の外貨準備高は今年2月末で日本を抜いて世界1になったが、1兆ドルの大台に達したのは初めて。

外貨準備高の増加に対し、人民銀行は元の対ドル相場安定のため、元売りドル買い
介入を繰り返している。この結果、国内の流動性が過度に高まり、金融政策に影響することを懸念する声も強まっている。

中国外貨準備、1兆ドルに

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年間の貿易黒字が1500億ドル(約17兆7500億円)、外貨準備高が1兆ドル(約118兆3000億円)―いずれもダントツの世界一である。
まさに驚異的な成長と繁栄を謳歌する現代中国を象徴するような数字だ。が、実はこの数字こそ、脆弱な中国経済の実態が表出したものなのである。

この二つの数字と、現代中国のファンダメンタルズを併せて考察すれば、次のような
相関関係が浮かび上がる。

超低賃金→強力な輸出力→大幅な貿易黒字→元高圧力→為替介入(ドル買い)→
外貨準備高の膨張→過剰流動性→バブル経済→不良債権リスクの極大化→崩壊の危機―という図式である。
つまり、世界最大の外貨準備高と貿易黒字は、バブル崩壊→経済失速→企業倒産→銀行破綻→さらなる経済失速→さらなる企業倒産→失業者の激増―という負の連鎖と背中合わせなのである。

この恐怖の連鎖を回避するためには、さらなる経済成長を続けるしかない。しかし、前記の図式のままの成長を持続すれば、外貨準備高は2010年末には2兆ドルを突破する。

そもそも、為替リスクをヘッジする体制も十分に整っていない発展途上国が、1兆ドルもの外貨準備高を保有すること自体が異常なのである。 にもかかわらず、このまま行けば4年後には2兆ドルという、とんでもない額に膨れあがる。
今の状態を放置すると、米ドルを中心とする外為市場の影響をもろに受けて、一夜にしてその価値が大幅に下落する可能性すらある。

これまた、中国経済にとっては致命的なダメージになりかねないリスクである。

このような中国経済を取り巻く様々なリスクを回避するためには、輸出依存型の経済成長から内需主導型の経済成長に転換する必要がある。そのためには人民元の大幅切り上げと賃金の大幅引き上げが不可欠である。
賃上げによる中間層の拡大、元高による輸入の増大、これによって中国経済は元高圧力から解放され、輸出依存型から内需主導型経済成長への転換も可能になる。また、これによって中国は、見かけの繁栄、見かけの豊かさから、真に国民が豊かさを実感できる社会になれる。

-------------------------------------------------------------------

ところが・・・である。

大幅な人民元の切り上げや賃金の引き上げは、中国の輸出競争力を一気に弱体化させる。輸出企業の大量倒産が発生し、失業者も激増する。中国政府は、20%の人民元切り上げで1千万人以上が失業すると予測している。

この状況は、1980年代における日本の「プラザ合意」後に似ている。が、日本はこの危機を乗り越えた。
日本が、その時の急激な円高に伴う「円高不況」を乗り切ることができたのには四つの理由がある。

①企業の大胆な合理化
②コストの安い海外への生産拠点の移行
③輸入依存度の高い原材料の購入コストの低下
④輸出主導型から内需主導型への転換

そして、これを支えたのが、世界に冠たる(当時)都市銀行を始めとする金融機関であった―まあ、これが、その後のバブル発生とその崩壊につながり、日本経済は奈落の底に突き落とされる(失われた10年)のだが・・・

-------------------------------------------------------------------

では中国はどうなのか?

先月27日には中国最大の国有商業銀行・中国工商銀行が、調達金額で世界最大となる新規上場を果たし、4大国有商業銀行として3番目の上場銀行となった。04年末時点で21.2%だった工商銀行の貸出総額に占める不良債権の比率は、05年末には4.7%まで低下した。

①4大国有商業銀行のうち既に3行が上場、②最大の工商銀行は世界最大となる資金を市場から調達、③不良債権比率は4.7%にまで低下―このニュースだけを聞くと、
中国の巨大商業銀行もプラザ合意当時の世界に冠たる日本の金融機関と変わらないと思う方もおられるだろう。

これで中国も、輸出依存型から内需主導型経済成長への転換が可能になる。

が、そうは問屋がおろさないのだ。

例えば工商銀行は、4590億元(約6兆8000億円)もの不良債権を簿価で資産管理会社に譲渡して処理している。不良債権は資産管理会社の帳簿に付け替わっただけだ。
中国の金融機関が、貸出総額を01年末から今年9月までの間に約2倍に増やしたことも、急速に不良債権比率が低下した要因とされている。

今年5月には、米国会計事務所の大手である「アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)」が、中国の金融機関が抱える不良債権総額は、05年の国内総生産(GDP)の約4割にあたる9000億ドル(約105兆円)を超えるとのリポートを発表した。
中国人民銀行(中央銀行)の強い抗議を受けてリポートは撤回されたが、「実際の不良債権額は、発表を大きく上回っている」との見方をする金融関係者も少なくない。

中国・銀行業監督管理委員会が公表した商業銀行の不良債権総額は、今年6月末時点で1兆2827億元(約19兆円)に達している。
中国当局が公式に認めたものでも、これだけの不良債権があるのだ。中長期的には、新規融資がさらに不良債権化する可能性も大きい。
つまり、商業銀行が上場で得た巨額の資金を新規融資に回せば、不良債権化の悪循環に陥る懸念も否定できないのである。

要するに、中国の銀行は、日本の銀行がバブル崩壊後に苦肉の策として実行した「不良債権隠し」を、バブルが崩壊する前から積極的に行っているのだ。そして、それを支えているのは「中国という国家」である。
しかも、バブルによる巨額な新規融資は、新たな不良債権を「隠蔽した不良債権」の上にさらに上乗せしてしまう結果になる可能性が高い。

もう、元高圧力を回避するための為替介入を繰り返すことは限界に達している。一方で、バブルは収束する気配が見えない。

人民元の切り上げ、あるいは外為市場の変動、何がキッカケになるのかは分らないが、バブルが破裂し、負の連鎖が始まると、中国経済は坂道を転げるように転落していく。

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以上から結論づけると、中国は、輸出依存型から内需主導型経済成長への転換はできない―ということだ。

風船はパンパンになるまで膨れあがり、極限の状態になったところで、「針の一刺し」で完膚なきまでに破裂してしまう。

中国は間違いなく崩壊する!!!

参照:上場相次ぐ中国国有銀 不良債権処理、見えぬ実態
(2006/11/05 讀賣新聞)

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2006/09/11

黒字倒産しそうな中国

相変わらず「中国経済バラ色」論をふりまく人たちがいる。
これも無理はない。公式に発表される数字は、どれも目を剥くようなものばかりである。

8日付の中国紙「中国経済時報」によると、中国・国家外貨管理局幹部は、中国の外貨準備高が9月中に1兆ドルを超えるとの見通しを示した(ちなみに、日本の8月末の外貨準備高は8,787億ドル)。
また、同局幹部は、2006年の貿易黒字が1,200億ドル超となる見通しも併せて示している(前年の貿易黒字は、1,019億ドル)。

つまり、外貨準備高、貿易黒字とも依然として高い伸びを示しており、いずれもダントツの世界一であるということだ。

経済成長も高い水準を持続している。
アジア開発銀行(ADB)が6日に北京で発表した改訂版「2006年アジア発展展望」では、投資と輸出の急増によって、今年の中国の経済成長は10.4%に達すると指摘されている。

これらの数字を見れば、中国・国家統計局の邱暁華局長が北京大学の学生たちを前にして「2010年までに中国のGDPは、おそらくドイツに追いつくだろう」「15年後の2021年には、おおむね日本に追いつく」などと豪語するのもうなづける。

が、邱局長は聴衆である学生たちに対して、「中国経済は急速に発展する条件を備えている。皆さんは、経済の前途を信じなければならない」と強調する一方で、「経済発展のマイナス要因になるものは資源と環境だ」とし、「中国は多くの重要な資源がない国だ。資源問題はこれまで以上に中国経済にとって大きな制約になる」とも述べている。

つまり中共幹部も、「中国経済バラ色」論をふりまきながら、本音の部分では資源的制約と環境的制約が中国経済の足枷になっていることを認めているわけだ。

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中国の環境がいかにひどい状況にあるかは、中国食品薬品監督管理局の内部資料がその一端を明らかにしている。

内部資料は、中国全土の河川の6割が水銀など危険な重金属や農薬で汚染され、こうした水質悪化が疾病の8割、さらには病死の3割に関係していたと指摘。
汚染危険地域は、中国経済を牽引する①北京、天津などの環渤海湾地域、②上海、
南京などの長江デルタ地域、③広州、深圳などの珠江デルタ地域-の三大工業地帯に集中し、汚染面積は2,000平方キロメートルに及んでいることを明らかにしている。
これは、ほぼ東京都の面積(2,187km²)に匹敵する。

大気汚染や砂漠化も深刻である。
中国・国家環境保護総局によると、中国では都市住民のおよそ3分の1が汚染度2級以上の都市で、1億1,600万人が汚染度3級の都市で生活しているとされる。汚染度2級は「人の健康に悪影響を及ぼす程度」、3級は「非常に危険な程度」。
世界銀行では「中国では年間約40万人が、肺炎や心臓病など大気汚染が原因とされる疾病にかかり死亡している」との報告を行っている。

国土の砂漠化も深刻で、中国全土のおよそ28%が既に砂漠化しており、それは北京
近郊にまで押し寄せている。大都市近郊まで砂漠化が進んでいるということは、飲料水の確保さえ難しいということだ。

昨年9月には、中国共産党政治局員も兼任する張徳江・広東省党委員会書記が、次のように嘆いている。
「広東省は中国の経済改革の先駆的存在であり、急激な経済成長などの奇跡を達成
したと思われているが、実際の広東省の運営は綱渡りの状態だ」
「急激な経済開発に伴い、耕作可能な土地が減少し、水質や大気の汚染が極度に
悪化。飲食物の安全を確保できない状態だ」
まさに危機感を露わにした発言である。
ちなみに、広東省の中核は、上海と並んで「中国経済の双頭の龍」と言われる珠江
デルタ地域そのものである。

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環境問題と並んで資源問題も深刻である。

中国は、既に米国に次いで世界第2位の石油消費国である。国内総生産(GDP)は
米国の約15%、日本の約38%に過ぎないのに、この状況なのである。しかも、エネルギー消費の約6割を石炭が占めているにもかかわらず、膨大な量の石油を必要として
いる。
なぜか?
その理由を、今月初頭に中国を訪れた御手洗冨士夫・日本経団連会長らの日中経済協会訪中代表団が明らかにしている。代表団の一員である今井敬・特別顧問(新日鉄名誉会長)は、独自に調べた資料に基づき、中国の国内総生産(GDP)ベースの一次
エネルギー消費は日本の約8倍に達していることを明らかにした。そして、これは中国の発展の制約要因となると警告を発した。
つまり、中国の経済成長は、資源の大量浪費と背中合わせなのである。だから、「資源パラノイア(偏執狂)」と揶揄されても、石油を始めとする世界中の資源を買い漁らざるをえない。

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深刻な環境問題と資源問題、この二つが中国経済が成長を続ける上での桎梏になり
つつあることは、中共当局も解っている。だから、今年からスタートした「第11次5か年
計画」では、①エネルギーの消費効率を改善する、②リサイクル経済を発展させる、
③環境問題を解決する、の3点を、農民・農村問題や格差問題の解消とともに重点目標として掲げている。
が、現実は一向に改善されない。
中央政府が何と言おうと、中共トップがどういう方針を出そうと、既に現場は「カネが
第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されているからだ。
環境保護や省エネなど、金儲けにとっては障害物でしかない。第一、国有企業の大半は赤字で、そんな余裕はどこにもない。それが中国の現実なのだ。
だから、張徳江・広東省党委員会書記のような「嘆き節」が聞こえてくる。

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実は、世界一の外貨準備高、世界一の貿易黒字も、一皮むけば中国経済のいびつな姿の象徴でしかない。

外貨準備高の急増は、輸出がしにくくなる「元高ドル安」の進行を防ぐため、外国為替市場(上海)で中国当局が「元売りドル買い」の為替介入を繰り返した結果である。
その結果、市場に大量の人民元が放出される。このあふれる人民元が過剰流動性を
生み出し、バブルに繋がっているのだ。

貿易黒字も、この中国当局による為替操作の恩恵という側面が強い。が、経済の実勢を反映しない為替相場は、世界中からバッシングを受けている。
この状況を変えるには、輸出牽引型から内需主導型に経済構造を転換しなければならない。中国人民銀行(中央銀行)の総裁も「貿易黒字縮小のため内需拡大を急ぐ必要がある」と指摘している。が、そんなにうまく行くはずがない。
内需を拡大するには、まず一般国民の所得を向上させ、中間層の比率を高めなければならない。ところが、中国の魅力は、何といっても「安い人件費」なのだ。

中国経済は、一言で言えば「外資依存型経済」である。中国の貿易総額はGDP(国内総生産)の約70%を占め、そのうち外資系企業が輸出の約60%を担っている。
そして、この外資系輸出企業にとって、中国の生産コストの安さが最大の魅力なのである。しかも、そのような外資系企業は労働集約型の産業が多い。
もし、内需を拡大させるために大幅な賃上げを行うような事態になれば、外資系輸出企業は一気に中国を逃げ出す。その結果、輸出は減り、貿易黒字も縮小するかもしれないが、それ以上に失業者が発生し、内需も拡大しない。

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3,100億元(約1,640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、英Financial Timesによると、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は、5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9,000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

このような状況下では、輸出企業に打撃を与えるような人民元の大幅な切り上げも、
内需拡大のための大幅な賃上げもできない。
輸出と経済成長が現体制の命綱である限り、経済成長に即効的な効果が見込めない環境保護や省エネに巨額の投資を行うことはできない。なにより、「カネが第一」、「儲かりさえすればよい」という思想に骨の髄まで侵されている現場が、そんなことをする
わけがない。
軍備の拡張や有人月面探査計画に費やしている巨額の費用を環境保護や省エネに
回せばよいのだが、安全保障や国威発揚を考えれば、それもできない。

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つまり今の中国は、外貨を貯めこみ、黒字を稼ぎ、環境を破壊し、世界中の資源を浪費し続ける体制を継続するしかない。そこから脱皮しなければ明日がないというのは、
頭では解っているのだが、肝腎の手足が思いどおりに動かない。

もう黒字倒産しか残された道がない、それが今の中国である。

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参照1:中国外貨準備高、月内に1兆ドル超へ…当局者見通し
参照2:『靖国』素通り 御手洗流
参照3:「06年の中国経済成長率は10.4%」、アジア開銀
参照4:統計局長「15年後に中国GDPは日本に追いつく」
参照5:8月末の外貨準備高は8787.48億ドル、過去最高更新
参照6:7月貿易黒字は前年比‐0.2%、事前予想を下回る
参照7:調査結果:中国、年間40万人が大気汚染原因で死亡
参照8:中国の環境問題
参照9:中国、河川の6割“深刻な汚染” 当局内部資料流出

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2006/08/06

中国:深化する矛盾と激化する敵意

5日、中国で昨年、官民衝突などの暴動が8万7,000件発生したことがasahi.com(朝日新聞)で報じられている。この記事は、華僑向け通信社・中国新聞社からの引用である。
中国新聞社の記事は、全国政治協商会議の任玉嶺・常務委員がシンポジウムの席上で明らかにした内容に基づいている。

任常務委員によると、暴動は前年よりも約1万3,000件も増加し、その発生原因の99%は公権力による庶民の権利侵害によるものである。
そして暴動は、1993年から03年までの間、毎年平均17%の割合で増え続けている、という。

任常務委員は、暴動が増加する背景として、貧富の格差拡大や腐敗の蔓延が年々
深刻になっていることを指摘。
独占企業の制限や官僚の「灰色収入」防止とともに、「厳格な規制があるのに、腐敗した人間の権力が大きくて、庶民がものを言えない」状況を改革する必要があると訴えている。

参照:中国で暴動多発 昨年は8万7千件 (2006/08/05 asahi.com)

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私のブログを、長きにわたって読まれておられる方にとっては、上記のような内容はけっして驚くべきことではないと思う。むしろ当然のことと受け止めておられるのではないか。

2005年7月5日に開かれた国務院(内閣)の会議でも、周永康公安相は、民衆による
暴動、騒乱などを指す「集団性事件」について次のように報告している。
「集団性事件(暴動・騒乱事件)」は、1994年の1万件から昨年は7万4,00件に激増し、参加者数も同73万人から376万人に膨れ上がるなど、急速に拡大している。しかし、「基本的には経済利益上の問題で、明確な政治目的はなく、大部分は予防と適切な
処理が可能である」と。

が、任常務委員の明らかにした内容を見る限り、周公安相の言う「大部分は予防と
適切な処理が可能である」という見通しは、まったくの希望的観測でしかなかったということだ。
2005年に発生した暴動は、04年より1万3,000件も増加。増加率は17.6%。件数は増え続け、増加率は過去の水準とほぼ同じである。
なぜか?
それは、、任常務委員が訴えた「厳格な規制があるのに、腐敗した人間の権力が大きくて、庶民がものを言えない」という、現代中国が抱える体制的矛盾にある。

そもそも「基本的には経済利益上の問題で、明確な政治目的はなく、大部分は予防と適切な処理が可能である」という周公安相の認識が、根本的に間違っている。
経済利益上の問題から暴動が頻発するということは、それは単なる経済上の「紛争」ではなく、きわめて政治的な問題を孕(はら)んだ「闘争」であるということだ。
つまり、政治的・体制的矛盾が経済利益上の問題を引き起こし、それが暴動につながる。したがって、民衆による暴動や騒乱を減らすには、「予防と適切な処理」という「対症療法」では効果がないのである。

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温家宝首相は、昨年10月末、国務院(内閣)の全国会議で「農地を保護し、法に基づいて土地を管理し、農民の利益を保障しなければならない」と強調している。
しかし実態は、その法(厳格な規制)を執行する立場にある者が、腐敗の元凶なのだから、手の施しようがない。

今年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)でも、最高人民法院の蕭揚院長は「司法と地方政府が癒着し、法治の原則を脅かしている」とし、地方政府が裁判所の
経費や人事を管轄する構造を根本的問題に挙げている。

つまり、地方政府と司法がグルになって民衆の権利を侵害し、民衆からの収奪を繰り
返している。そして中央政府(胡錦濤-温家宝政権)の指示・指導には面従腹背。
要するに、ルールなき市場経済の下で、巨額の富と強大な権力を掌中にした地方幹部たちにとって、中央政府の言うことなど馬耳東風なのだ。
これが、任常務委員が指摘する、「厳格な規制があるのに、腐敗した人間の権力が
大きくて、庶民がものを言えない」状況の実態なのである。

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なぜ、共産党の一党独裁体制なのに、中央の指示・命令に地方が従わないのか?
それは30年も前に遡る。
1976年年の毛沢東の死をキッカケに、1977年には文化大革命の終結が宣言された。すると、毛沢東の死後、実権を握った鄧小平は「改革開放」を掲げ、経済政策のコペルニクス的転換を図った。
つまり、「共産主義イデオロギーより、まず食えるようになるのが先だ」というわけである。そして「先に豊かになれる条件を整えたところから豊かになり、その影響で他が
豊かになればよい」という「先富論」を唱えた。

この時点から、経済は資本主義の道を歩み始める。そして、「先富論」によって、中央の指示・命令に基づく計画経済ではなく、各地方政府が独自に発展の道を歩み始める。
政治的には、共産党独裁という制度そのものは残ったが、イデオロギーの空洞化は
加速度的に進んだ。一般社会におけるイデオロギー離れはより顕著であり、価値の
基準は共産主義思想ではなくカネになってしまった。
このような、政治的・社会的規範を欠いた世界で、皆が我先に「カネ儲け」に向かって
走り始めたのである。

そして「先に豊かになった地方」が力を増すようになる。前述したように、司法も地方政府から面倒を見てもらっている。司法だけではない。中国の独裁体制を支える人民解放軍でさえ、地方政府の影響を大きく受けるようになった。
つまり、中央政府が何と言おうと、政治的・経済的・軍事的実力を身につけた地方の
権力者たちは、自らの利益しか考えなくなったのである。

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おそらく、今後も中国における民衆暴動は増え続ける。今の中共体制が根本的に改革されない限り、それが収束に向かうことはないであろう。
任常務委員も、貧富の格差拡大や腐敗の蔓延が年々深刻になっていることを指摘している。体制が抱える矛盾は深化する一方なのだ。

このような状況下で、共産党による独裁支配を正当化する大義名分は二つしかない。
一つは、共産党が政治・社会を指導しているからこそ経済の高度成長=国民生活の
向上が続いているということ。もう一つは、「日本軍国主義」を敗北させ、中国を解放・
独立に導いたのは共産党のおかげであるということ。

しかし、経済の高度成長は、既に限界が見え始めている。資源的制約、環境的制約、極端な貧富の格差、体制に起因する腐敗の蔓延、等々。
だから中共指導部は、「日本軍国主義」の残虐さを暴き、それに対して英雄的な戦いを挑み、勝利を収めた共産党をたたえる教育・宣伝をなおさら強めざるをえないのだ。

そういう意味では、4日のエントリーで紹介した安倍晋三官房長官の中国に対する認識は正鵠を射ている。
安倍氏は6月のテレビ番組で「中国は反日教育をやっており、国民の間に反日の機運が高まっている。この問題(靖国問題)で後ろに下がると、中国の政権が大変厳しい
状況になるということだろう」と述べている。
権力者は、体制の内部矛盾が深刻化すると、必ずそれを逸らすために外部の敵を求める。その恰好の相手が日本であり、その象徴が「靖国問題」なのである。

------------------------------------------------------------------

今の中国は、放っておいても、間違いなく内部から崩壊していく。体制が変わらない
限り、矛盾はよりいっそう深刻化し、暴動・騒乱も増加の一途をたどるであろう。
だからメディアを抑圧し、情報を統制し、反日プロパガンダを繰り返し、国威発揚のために有人月面着陸プロジェクト(嫦娥工程)などの大ボラを吹くのだ。

今回の中国新聞社の報道にしろ、靖国神社参拝に関する報道にしろ、今の中国がらみのニュースは、そういう観点から捉えなければならない。

こんな国に「隣人としての配慮」など必要ない。
本当に困っているのであれば、頭を下げてくるべきだ。
配慮云々は、それからの話である。

反日教育を行っている国は友好国ではない!!!

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2006/07/28

中国の「平和的発展」の実態とは?

●「海外での事故例」 (JI保険「海外での事故例」より一部抜粋)

=2004年度=
中国  バス搭乗中に悪路のためバウンドし、腰椎圧迫骨折。
(保険金支払額6,326,607円)
中国  転倒して左大腿骨骨折。手術を行い入院。
(保険金支払額4,319,430円)

=2003年度=
中国  腹痛・胃潰瘍となり現地で入院・手術。日本から家族が駆けつける。
(保険金支払額4,519,436円)

《[7.11]海外旅行保険への加入のお願い》 2005-7-14 中国留学.COM

上記の記事は、中国留学専門サイトに掲載されていた「日中文化交流センター」からの、中国留学生向けの「お願い文」からの抜粋である。

「お願い文」は、「ご出発まで間近となり、皆様ご留学へ向け着々とご準備を進めて
いらっしゃる事と思います。この度、センターではご留学の皆様に、海外旅行保険へのご加入を強くお願い申し上げます」という書き出しで始まる。
そして、上記のような例を挙げて、「海外では、日本と異なり自由診療となるため治療費は医療機関、病気・ケガの程度によって異なります。一覧は目安として下さい」と、強く注意を促している。

JI保険は、JTBとAIGの合弁会社であるから、このデータの内容は信用できる。
つまり中国では、骨折の治療で430万円~630万円、胃潰瘍の手術で450万円の医療費を要するということだ。
中国では元々医療費が高いうえ、不必要な検査や投薬が日常茶飯事に行われているという。上記の金額は、保険会社が精査した結果のものであるから、不必要な検査や薬は含まれていないものと思われる。

では、保険会社が絡まない場合は、どのくらい医療費がかかるのか?


黒竜江省のハルビン医科大学付属病院に皮膚がんで入院し、治療を受けた末、死亡した老人(74)のケース。かかった医療費は、2カ月の入院・検査費140万元と治療に使用するという名目で病院が家族に薬局で買うように指示した医薬費410万元の計550万元(約8千万円)
カルテでは1日170キロの点滴など常識では考えられない治療が行われたことになっている。患者が買わされた医薬品は、医者が裏金を受け取っていた製薬会社の製品で、患者の治療には使われないものだった。

深セン市の病院でも、必要のない高額医療を患者に説明なく行い、120万元(約1千750万円)も請求したことが問題視され、世論の圧力に院長が辞職に追い込まれた。

北京駅で吐血した男性が救急車で病院に運ばれたものの、金がないことを理由に十分な治療が受けられず、痛みでのた打ち回りながら死亡した

(2005年12月30日 産経新聞 「中国の医療機関ずさん 皮膚がん治療費8000万円、
点滴1日170キロ」より抜粋)

癌の治療費約8千万円。
入院・検査費だけで約2千万円。常識では考えられない量の点滴と、治療には不必要な大量の薬で約6千万円。こんなことが、医科大学の付属病院でまかり通るのである。
そして、カネがなければ、のた打ち回りながら死ぬしかない。

ところで中国では今、次のような狂歌がはやっている。
「病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない」
「病気になったら焦る。焦る。病気になったら、計画経済が懐かしい」


中国ではやっている中国式狂歌である。最近、医療への不満をぶちまける歌が増えている。

計画経済が中心だったころは、職場が医療費を負担した。だが、市場経済化に伴って、国有企業が次々に解体し、多くの人たちが医療費を自分で工面しなければならなくなった。おまけに、病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくない。
貧しい人は病院に行けない
のだ。

中国の経済発展はめざましいが、国民の収入の差は大きい。国家統計局が都市住民の収入を調べたところ、上位10%の人たちに富の45%が集まっていた。下位の10%の人たちは2%も得ていない。

医療だけでなく、福祉や年金の制度もくずれたため、貧しい人たちの生活は悲惨だ。
このままでは5年後に社会がもたなくなる
、と政府系の労働賃金研究所でさえ警告している。

(2005年10月14日 朝日新聞【社説】より抜粋)

メディアは、中国の華々しい成長面ばかりを取りあげる。上記のような、中国の「負の
部分」を取りあげる記事も、最近はいくらかは増えてきているが、まだまだ少なすぎる。
だから、私は「負の部分」を中心に取り上げる(苦笑)

しかし、中国13億人のうち、医療保険に加入しているのは34%にすぎない。残りの3分の2は、医療費を全額自己負担しなければならないのである。
かつては、農村では人民公社が面倒を見てくれたし、労働者は朝日新聞の社説にも
あるように、国有企業が医療費を負担した。
が、今は人民公社は活動を停止し、国有企業も次々に解体され、残っている企業も
民営化を迫られている。

都市部の労働者の平均的月収は1万円程度とされるから、今の医療と保険の実態では、風邪をひいたくらいでは医者にはかかれない。
ましてや、無保険で収入の少ない人たちは、重症を負えば、それこそ産経新聞の記事にあるように「痛みでのた打ち回りながら」死ぬしかないのである。

中国には、1日の収入が1ドル未満(月収約3,500円未満)の貧困人口が1億7千3百万人もいる(アジア開発銀行報告)。その内、月収にして1,000円以下の人たちが8600万人を占める(国務院扶貧弁公室)。
こういう人たちにとって、今の中国は「絶望の大国」である。

以下は、今年1月16日の讀賣新聞朝刊に掲載された「中国『開発独裁』の代償」という、藤野彰中国総局長の署名入り記事の要約である。

記事は、「庶民は共産党を憎んでいる。心底憎んでいる。共産党以外の政党が許されたら、俺も参加するよ」という共産党員歴30数年の中国人の激烈な発言で始まる。

この藤野彰氏の知人である中国人は、「今の中国は社会主義ではなく、官僚資本主義。高級幹部は病気になっても国が全部面倒をみてくれる。金のない庶民は癌にでもなったら、死ぬのを待つだけだ」「社会の不公正は許し難い」と怒りを爆発させている。
つまり、一般の党員レベルでも中国共産党に対して抑えがたい怒りを抱いているということだ。

藤野氏は書く。
「彼に限らず、庶民レベルでは党を腐(くさ)す声は耳にしても、ほめ言葉などまず聞かれない。党を取り巻く、冷え冷えとした空気を実感する」
と・・・

そして藤野氏は、中国の「真の脅威」は、「驚異的な経済成長」や「急速な軍備増強」
ではなく、「共産党の威信が地に落ちるなか、独裁体制がシロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか、その過程でどれだけの混乱が生じるか、という
不透明感にこそ内在している」

と指摘する。

この藤野氏の指摘は正鵠を射ている。
世界一貯めこんでいる外貨を、世界一稼いでいる貿易黒字を、貧困対策や極端な格差是正に回せない。

2004年の中国の軍事費は、実に843億ドル(約9兆5,000億円:ミリタリー・バランス2006)にのぼる。
一方において、巨額の費用をつぎ込まざるをえない有人宇宙船を飛ばす。このプロジェクトは「嫦娥工程」と呼ばれ、2024年までに有人月面着陸を実行する計画である。
米国でさえ、その費用対効果に耐えられず、「アポロ計画」を中断した。その「アポロ
計画」と同じか、それ以上のことを中国はこれからやるのだ、という。

人民の意志が反映されず、人民の生活実態を省みない政治を執行するしかない今の中国。
こういう全体主義的独裁国家にとっては、その体制を維持するために、軍事力の強化や国威発揚のためのプロパガンダ(「嫦娥工程」)が必要不可欠なのである。
そして、そのような巨額の国家予算の浪費が、さらに人民の生活を圧迫する。もう悪循環を繰り返すだけなのだ。

今の中国は「張子の虎」のようなものだ。藤野氏の言にあるように、シロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか。
そこで、もっとも重要な問題は、その過程である。どのような混乱が起きるのか想像がつかない。

中央政府が、いくら警告を発しても言うことを聞かない地方政府や国有商業銀行。中央による統制が取れておらず、地方幹部の影響力が強いとされる人民解放軍。一方で、痛みでのた打ち回りながら死んでいく大勢の人民大衆。

李肇星・外相は「中国の発展の最大の特徴は平和的発展であり、植民地政策や帝国主義を行った以前の列強のような、他者からの略奪・他者への侮蔑・他者からの搾取といった方法は取らない」と述べている。(2004年3月8日「人民網日本語版」)
これは、中共指導部の常套句である。
が、内なる略奪、内なる搾取が続く限り、「平和的発展」などというのは「たわ言」にすぎない。本当に「平和的発展」を志向するのなら、軍備の拡張や宇宙開発計画などは
やめ、もっと民生面に資金を投入するべきである。
でなければ、中国は内側から溶解する。

今の中国を待っているのは「反平和的崩壊」だ!!!

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2006/07/25

崩壊に向けて過熱する中国経済

アルビン・トフラー(Alvin Toffler・1928年10月3日 )の名前は、ご存知の方も多いと
思う。米国の評論家、作家、未来学者で、「第三の波(The Third Wave )」(1980年)は、我が国でもベストセラーになった。
このトフラー氏が中国に関して興味深い指摘をしている。

以下は、讀賣新聞の7月23日付朝刊に掲載された寄稿文からの引用である。

いまや世界中の人々が、中国の街路は黄金か純銀で覆われていると思っているようである。だが、中国の輸出品の一つに対して、冷笑とまでは言えなくとも、少なくとも疑いの目がますます強まっている。実際この製品は、莫大な金額の負担を中国に迫るとともに、ひょっとしたら世界経済を危機に陥れかけているのかもしれない。

その製品とは、車でもコンピューターでも、その部品でもない。それは情報である。とりわけ、金融と経済に関する統計数字である。(引用終わり)

その典型としてトフラー氏は、次の二つを例として挙げている。

一つは、2005年12月20日に中国・国家統計局から発表された、2004年のGDP(国内総生産)に対する修正である。修正後は、GDP総額が何と約2,800億ドルも増えた。
これによって中国は、イタリアと英国、フランスを抜き世界第4位の経済大国になったのである。が、2,800億ドルと言えば、石油大国・サウジアラビア一国分(2005年)にまるまる匹敵する。
つまり、統計上の修正で、サウジアラビア一国分に相当するGDPが突然に増加したのである。

もう一つは、2006年 1月12日付の朝日新聞が報じた、中国の05年の貿易黒字額が
前年の3倍に膨らみ、過去最高の1,019億ドル(約12兆円)に達したという発表である。
この黒字額は、05年の日本の貿易黒字額を上回り、中国が世界最大級の「貿易黒字大国」に躍り出たことを意味する。

これらの統計数字に対し、米Business WeekはGDPは「偽物」であり、貿易黒字は
「幻影」ではないか、という記事を掲載したとトフラー氏は書いている。

まだある。

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3,100億元(約1,640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、英Financial Timesによると、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・(E&Y)は、5月に発表した「世界の不良債権(NPL)に関するリポート」の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9,000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

E&Yは中国でもかなりの実績があり、この数字は信頼できるものと思われる。が、E&Yは5月12日付声明で、この中国の不良債権に関する数値を「誤りだった」として撤回した。裏で、中国当局の「中国からE&Yを締め出す」という強烈な恫喝があったという。

つまり、世界は、中国のプラス面であるGDPも貿易黒字額も、そしてマイナス面である不良債権額も、すべて信用していないということだ。

-------------------------------------------------------------------

なぜ、こういうことが起きるのか。

それは、このブログで何度も指摘してきたように、中国は中央集権的独裁国家ではなく地方分権型の独裁国家であるからだ。人民解放軍でさえ、必ずしも中央の統制が効いているとは言えず、各地方の共産党幹部が強い影響力を持っているとされる。
したがって、各地方政府が自らに都合のよい数字を中央に報告する。中国全体の融資総額の約60%を占める4大国有銀行(形の上では民営化されつつある)や多くの国有企業も、不良債権隠しを図る。

つまり、今の中国は「巨大なブラックボックス」と化しているのである。

このブラックボックスの経済をトフラー氏は、次のような三つの側面を持つと分析している。

①依然として巨大な農民経済である。
②低技術の廉価な労働力の経済である。
③知識集約型経済である。

つまり中国は、後進的な農業経済が依然として大きな比重を占め、一方で労働集約型の低レベルな経済と高度な知識集約型経済が共存している。

そしてトフラー氏は、さらに次のような説明を加えている。

このそれぞれが、極めて異なる経済的な前提の下に活動している。しかも、さらにまずいことに、少なくとも経済の一部は、共産主義時代に作られたルールに沿って動き、
残りの部分は擬似的な市場制度の中で活動しているのである。
(抜粋)

解りやすく言うと、農業は共産党官僚による収奪の対象にされ、廉価製品を大量生産する経済は低賃金の民工(人間扱いされない出稼ぎ農民)によって支えられ、先進的な知識集約型経済は国家の保護下にある。
相変わらず赤字を垂れ流す国有企業が存在する一方で、ルールの整備されていない市場経済下で経済はバブルの様相を呈している。
トフラー氏の説明を解説すると、こうなるのである。

-------------------------------------------------------------------

胡錦濤率いる中央政府は、科学的発展観に基づく第11次5か年計画(2006~10年)において、以下の点を中国が抱える重大な問題として指摘している。

①経済構造が不合理で、自主的革新の能力が低く
②経済成長方式の転換も遅れており
③エネルギー資源消費量が過大で、環境汚染が深刻化していること
④雇用における矛盾がかなり突出していること
⑤投資と消費の関係がアンバランスであること
⑥都市部と農村部、地域間の発展のギャップ及び一部の人たちの間における所得
  格差が引き続き拡大していること

この問題意識は正しい。
さすがの中国政府も、このままでは立ち行かないと自覚しているのだ。

同計画は、上記の問題点を解決するために次のような課題を掲げた。

①エネルギーの消費効率を改善する
②リサイクル経済を発展させる
③環境問題を解決する
④農村部の所得を引き上げ、三農問題(農業・農村・農民)を解決する
⑤地域間・階層間における不均衡を是正する
⑥経済成長の牽引役を投資から消費へシフトさせる

要するに、「調和の取れた文明型経済モデル」への大胆な転換を提起したのだ。そして、そのために望ましいGDPの年平均成長率を7.5%に設定した。
にもかかわらず、全国各レベルの地方政府は、中央政府の指標を30~60%も上回る
目標値を策定したのである。(中国政府の「秘密」扱い情報誌「改革内参」:2006年5月第110号)
この「改革内参」の調査・報告は、経済専門家の房維中・中国マクロ経済学会会長が執筆した。
報告は、成長率を競い合う地方政府の暴走により中央の大方針が空洞化している実態を指摘し、「このままでは全国が混乱に陥り、収拾不能になる」と警告している。

つまり中央政府が問題点を正確に掌握し、正しい処方箋を示しても、特権階級と化し、己の私利私欲で頭が一杯の地方政府の幹部にとっては、「馬の耳に念仏」なのだ。

そこで、最新の経済情報である。

-------------------------------------------------------------------

中国国家統計局が18日発表した06年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)の
速報で、前年同期比の成長率が実質11.3%の高い伸びとなった。上半期(1~6月)の実質成長率は10.9%。03年から続く10%前後の高成長は、固定資産投資と貿易黒字に依存しており、投資の過熱に対する懸念がくすぶり続けている。

上半期のGDPの内訳は、公共投資と設備投資を合わせた固定資産投資の総額が、
前年同期比29.8%増。上海や広東省など沿海部だけでなく投資熱は内陸を含む中国全土に広がっている。

一方、上半期の輸出は同25.2%増で前年同期の伸び(32.7%増)に及ばなかった。
輸入は同32.3%増と、14%増だった前年の伸びを上回ったが、上半期の貿易黒字は
同約55%増の約614億ドル。輸出依存の経済成長と減らない黒字は、対中貿易赤字を抱える米国との摩擦を激化させる可能性がある。

外資による直接投資は同2.7%増と微増にとどまった。一方、通貨供給量は6月末段階で同18.4%増、銀行融資は上半期で約5割増で、中央銀行の中国人民銀行は過剰融資にたびたび警鐘を鳴らしている。

中国のGDP伸び率、実質11.3% 06年4~6月期 (07/18 朝日新聞)

トフラー氏の指摘を待つまでもなく、この数字を鵜呑みにするわけにはいかない。が、GDPの伸び率が、中央政府が望ましいとする年平均成長率7.5%を大幅に上回っていることは間違いない(もちろん、これは不合理な経済運営の結果であり、内実は数字に表れたほどの実態はないと思われる)。
固定資産投資も3割近く伸び、相変わらずバブルは収まりそうもない。上半期の貿易
黒字は何と約55%増。銀行融資は上半期で約5割も増えている。融資の約60%を国有銀行(元を含む)が占めているにもかかわらず、このザマだ。
まさに「秘密」扱い情報誌「改革内参」の報告が指摘した「このままでは全国が混乱に陥り、収拾不能になる」という道を「まっしぐら」なのである。

それもこれも、中央政府が地方政府を制御できない、国有銀行さえ抑えられないという、今の中国の体制的欠陥が原因なのである。
ルールなき「擬似的な市場制度」の上に、共産党独裁という「政治的制度」が乗っかっている。そして共産党は分権化され、富が社会的に極端に偏っている。

経済を運営する上で欠かせない経済的統計数字さえ正確に掌握できない中央政府。その政府を無視して暴走する地方。国有銀行でさえ中央銀行(中国人民銀行)の言う
ことを聞かない。誰も経済の正確な実態がつかめない。
過剰投資、過剰融資、過剰黒字、過剰成長、この「四つの(見せかけの)過剰」が、
トフラー氏が言うところの「 実際この製品は、莫大な金額の負担を中国に迫るとともに、ひょっとしたら世界経済を危機に陥れかけているのかもしれない」のである。

不良債権額を始め、経済的統計数字もあてにならない国に投資するべきではない。

日本企業は、今後の中国投資を自粛せよ!!!

それが、国家及び国民のためである。

関連エントリー:崩壊に向けて一歩進んだ中国

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2006/06/15

左右から追い詰められる胡錦濤

私は昨年の4月に「中国は間違いなく崩壊する」というエントリーを書いた。このエントリーは大きな反響を呼び、「株式日記と経済展望」など、いくつかのサイトで取りあげられた。
このとき私は、複数の中国問題専門家の分析を参考にして記事を書いた。この時点では、この問題に言及する主要メディアは皆無に等しく、メディアから情報が得られなかったからだ。

もちろん、私の「中国崩壊論」に反発する方々もいた。特定アジアに関するニュース
分析を専門にする当時の人気ブログ(今はない)も、真っ向から「私は中国が崩壊する
とは思わない」と書いた。
ところが翌月になると、朝日新聞が発行するAERAに「中国崩壊」の可能性に言及する記事が掲載された。

朝日新聞の山田厚史編集委員は、AERA-2005年5月16日号で次のように書いた
(抜粋)。
高成長が挫折すれば、億単位での失業の増加も予想される。職を失った人が周辺の
アジア諸国に流出し、人口流動に拍車がかかる。
08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない。

つまり山田編集委員は、「少なくとも2008年の五輪景気、あるいは2010年の万博景気までは高成長が続く」と関係者は見ているが、その崩壊リスクを見越した見方さえ
「希望的観測」でしかないと書いているのである。
このAERAの記事が出た後、中国では農民暴動が「頻発する」、と言うより「頻繁に報じられる」ようになった。あの朝日新聞でさえ、【社説】で中国の医療のひどい実態を暴露した。そして、今年に入って讀賣新聞が決定的な記事を書く(抜粋)。

讀賣新聞の藤野彰中国総局長は、2006年1月16日付朝刊で「大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、『出口の見えない混迷』に震えている」と結論づけた。

つまり、中国で取材にあたっている藤野中国総局長は、「今の中国は『混迷=混乱して分別に迷うこと。複雑に入りまじって、見通しがつかないこと(大辞泉)』の状態にあり、中共当局はその処方箋さえ見出せず、ただ震えている」と分析しているのだ。

藤野中国総局長が記事を書いてから半年が過ぎた。今の中国はどうなっているのか?

中国共産党は、昨年の10月に開催された中央委員会第5回総会において、成長至上主義から「持続可能な発展」路線への転換を目指す「第11次5か年計画」(2006~10年)の基本方針を採択した。
この基本方針は、江沢民時代の成長至上主義を排し、貧富の格差是正、資源節約、
環境保護、内需拡大などに重点を置く内容になっている。

要は、中共自身も現状に強い危機感を抱いているのである。そして自ら、危機を打開するための処方箋を書いた。
この中共の処方箋に対して、私は次のように指摘した。

今の中国は共産党中央のコントロールが効かない状態にある。
これは「先に豊かになれるものから豊かになれ」という、一時的な経済格差を容認した鄧小平の「先富論」がもたらした必然的結果である。
地方政府は我先に外資を呼び込み、低賃金の労働力と組み合わせて輸出を伸ばすという形の経済成長を実現してきた。その過程で地方官僚は、政治権力と経済的富を
独占・私物化し、自らを肥大化させた。
胡総書記が、国土の均衡ある発展という本来あるべき姿に戻したくても、地方が独自に(=勝手に)発展を遂げ、ここまで経済規模が拡大した今では、それは不可能に近いと言わざるをえない。

(2005/11/11 朝日も認める中国の前途多難

で、現実はどうなのか?
6月13日付の讀賣新聞の記事がすべてを物語っている。

【北京=杉山祐之】中国の胡錦濤政権が最近、1970年代末から基本国策となってきた「改革・開放」の堅持を改めて強調している。貧富格差の拡大などを巡る党内外からの批判は、一党独裁を守りながら経済自由化を進めるという共産党路線の根幹を揺るがす内容も含み始めている。「改革・開放」堅持宣言は、政権の危機感も反映している。

党機関紙「人民日報」をはじめ、中国の主要各紙は今月5日、「全く揺らぐことなく改革の方向を堅持する」との署名論文を一斉に掲載した。胡総書記が3月に行った改革堅持の演説に基づく内容で、署名には党中央宣伝部の略称と同音の字を使っていた。中央党校機関紙、党理論誌は、相次いで同趣旨の論文を載せた。

「南方週末」紙は、論文の意図に関して、「党中央は、改革の方向で断固たる態度を
示しており、改革論争での雑音によって変わったことはない」とする当局者の談話を
紹介した。

胡政権の基本路線は、「大衆の利益」を重んじ、発展至上主義が生んだゆがみの是正を図るものだ。だが、政権発足後4年、格差や腐敗などに対する社会の不満は膨らみ
続けている。

政権に対する批判は強い。中国筋によると、真の安定には政治改革が必要と見なす
体制内知識人らが、3月、北京で開かれた非公開会合で、権力と金の癒着、党の特権などを徹底批判し、党の権力行使を「違憲」とする声まで出た。

事実上の独裁批判であり、その後、当局は知識人らに対する統制を一段と強め、政治改革論議を封じ込めた。

旧来の社会主義路線を重んじる左派グループは、弱者層の怒りを背に、過度の自由化に反対する文書を党中央に送ったとされる。

ある学者は「一部の者が豊かになるのを認めた鄧小平の『先富論』は失敗との結論に達した」と話した。鄧路線の否定は、中国に発展をもたらした改革・開放の見直しにつながる。

一方、別の中国筋によると、地方や政府下部機関などでは、面従腹背ムードがいつになく強まっている。「経済成長中心路線こそ、官、資本、地方当局など『改革・開放の
強者』の利益だ。彼らは胡政権の『大衆重視』路線に表向きは従順だが、従わない」という。幹部の政治成績が上がり、当局に莫大(ばくだい)な金が転がり込む再開発は、民衆の利益に関係なく猛威を振るう。

胡政権の「改革・開放堅持」宣言は、過度な論争、批判は許さないとの警告でもある。政権は今後、思想統一の動きを、さらに進めていくものと見られる。

格差批判封じ…胡錦濤政権、「改革・開放」改めて強調
(2006年6月13日 読売新聞)

右(改革派)は「権力と金の癒着、党の特権などを徹底批判し、党の権力行使を
『違憲』」とまで言う。「真の安定には政治改革が必要」と見なす。
左(保守派)は「弱者層の怒りを背に、過度の自由化に反対する。一部の者が豊かに
なるのを認めた鄧小平の『先富論』は失敗との結論」を下す。
つまり、改革派も保守派も「今のままでは中国はダメになる」という危機感は共通して
いるが、片方は「民主化」が解決策と主張し、もう一方は「過度の自由化」に反対し、鄧小平の「先富論」を否定する。
これらに対し党中央は、「改革・開放」の堅持を改めて強調し、言論統制の動きを強めるばかり。そして問題解決の「鍵」を握る地方政府や党官僚は、「面従腹背ムードがいつになく強まって」おり、「胡政権の『大衆重視』路線に表向きは従順だが、従わない」。

まさに、「今の中国は共産党中央のコントロールが効かない状態にある。・・・・・・
胡総書記が、国土の均衡ある発展という本来あるべき姿に戻したくても、地方が独自に(=勝手に)発展を遂げ、ここまで経済規模が拡大した今では、それは不可能に近いと言わざるをえない」という私の指摘がズバリと的中しているのである。

右(改革派)も左(保守派)も胡錦濤政権に叛旗をひるがえす。改革の先陣を切り、手足となって働くはずの地方政府や党官僚は面従腹背。
いよいよ、朝日新聞の山田編集委員が書いた「08年の北京五輪、10年の上海万博
までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない」という認識が真実味を帯びてきた。

「もし中国が混乱して1%の難民が出たら、1300万人ですよ。1000分の1としても130万人。だから中国が安定することが周辺諸国にとってもいいことではないですか」
と、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長は昨年11月、訪中した角田義一・参院副議長に対して述べたという。
つまり「中国の安定」=「世界の安全」という論法だが、前出の藤野中国総局長は、
この呉常務委員長の発言を
裏返すと、共産党指導者も中国の真のリスクを認識しているわけだ。難民うんぬんは仮定の話とはいえ、冗談として片づけられないところに、揺らぐ中国の不気味さがある
と受け止めている。

(2006/01/16 やっぱり中国は崩壊する

もはや、中共体制の崩壊は、その可能性を論じる段階から、崩壊後の対策をどう立てるのか、に移ってきたのではないか。

【特記】
コメント及びTBを許可制にさせていただきました。
カキコやTBがすぐには表示されませんが、勘違いして何度も送信することのないよう
ご注意ください。

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2006/05/20

崩壊に向けて一歩進んだ中国

私は、過去のエントリーで『中国崩壊』の可能性について何度も言及した。崩壊の要因はいくつもある。①資源的制約、②環境的制約、③極端な所得格差、④行政・司法の腐敗と横暴、⑤急速に進む少子高齢化・・・
が、いちばんの問題は、やはり国有企業の慢性的赤字体質と、それを支える四大国有銀行の巨額な不良債権である。
この金融機関の不良債権問題が解消されない限り、人民元の変動相場制移行もありえない。中国経済のネックになりつつある輸出依存型、外資依存型の体質も変換できない。

来る6月1日に中国銀行が香港市場に上場する。四大国有銀行としては05年10月に
上場した中国建設銀行に続くものだ。が、この『香港市場』というところに問題が隠されているのである。
ご承知の方も多いと思うが、世界の金融・資本市場では、ニューヨーク、東京、ロンドンが三大市場と呼ばれる。
中国建設銀行は当初、東京やニューヨークでの上場を目指した。が、目的を果たせず
ロンドン市場に切り替えた。しかし、これも不可。で、審査がゆるい香港で上場した。
中国銀行は、最初から東京や欧米市場でのIPO(新規株式公開)をあきらめている。
つまり、中国国有銀行の経営内容は世界標準に遠く及ばないということだ。

国際通貨基金(IMF)も今年4月1日、「中国四大国有銀行は融資を行う際のリスクに
鈍感だ」などとする報告書を発表した。
四大国有銀行の貸出総額は、中国全体の貸出総額の約60%に達している。この中国の金融システムの根幹を成す四大国有銀行について、IMFの報告書は、

①四大国有銀行は大規模な改革を行ってきたが、より根本的な革新が必要
②国有企業に対して大量の貸付を行っているが、リスク評価をしていない
③企業の業績に基づいて融資を行っているとは思えない
④商業ベースで経営がなされているとはいいがたい
⑤四大国有銀行の内部コントロール(企業統治や法令遵守)にも懸念が残る

などと、非常に厳しい指摘を加えている。
つまりIMFから見ても、四大国有銀行は『金融機関失格』なのである。

中国の公式統計では、金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3100億元(約1640億ドル)、不良債権比率は8%(中国銀行業監督管理委員会)。
ところが、世界4大会計事務所のひとつ、アーンスト・アンド・(E&Y)は、今月に
発表した『世界の不良債権(NPL)に関するリポート』の中で「中国の不良債権は控えめに見積もっても9000億ドル以上で外貨準備を上回る規模」との見込みを示した。
実に公式統計の5.5倍。不良債権比率は40%を超えることになる。

E&Yは中国でもかなりの実績があり、この数字は信頼できるものと思われる。が、E&Yは5月12日付声明で、この中国の不良債権に関する数値を「誤りだった」として撤回した。裏で、中国当局の「中国からE&Yを締め出す」という強烈な恫喝があったという。

仮に、世界一を誇る外貨準備高よりも不良債権の方が多いというE&Yの報告どおりだとすれば、既に中国は破綻しているということだ。
巨木は、実は根っこが腐っていた。この巨木がいつ倒れるか、あとはキッカケ次第である。
一部に陰りが見え始めたバブルの崩壊か、それとも人民元の大幅な切り上げか。

バブルが崩壊すれば、金融機関が抱える不良債権額はさらに増える。人民元が、欧米の圧力に抗し切れず、大幅な切り上げに追い込まれるようなことになれば、繊維や
雑貨、家電などを中心に企業倒産が続発する。
そして、バブル崩壊もしくは人民元の切り上げ→企業倒産→銀行破綻→経済失速→
失業の増大という『負の連鎖』が始まる。既に現時点で巨額の不良債権を抱える金融機関では、この『負の連鎖』を食い止めることは100%不可能である。
また、中国政府自体も現時点で既に財政赤字に陥っており、政府が救済に乗り出すとしても限界がある。

中国当局の発表する経済統計や経済指標は当てにならない、とよく言われる。それは、中国が地方分権型国家になっているからである。地方政府は、自らに都合のよいように数字をねつ造して中央に報告する。
また、企業はコンプライアンス(法令遵守)が欠如しているため、不正な会計処理が
まかり通る。私の過去のエントリーをお読みいただければ解るが、昨年も巨額の横領や巨額の不正融資が何件も摘発されている。
だから「金融機関が抱える不良債権額は今年3月末時点で1兆3100億元(約1640億
ドル)、不良債権比率は8%」などという中国当局の発表など鵜呑みにできないのだ。

-------------------------------------------------------------------

通常、独裁国家は中央集権型である。強烈な独裁者がいて、上意下達が徹底されている。ところが、鄧小平が実権を握って以降、この中央集権体制は崩れた。
鄧小平が提唱した「先に豊かになれるものから豊かになれ」という『先富論』は、地方政府の無秩序な開発・成長を呼び起こした。そこでは無法や不法は当たり前である。そして、地方の党官僚や政府高官は、巨額の富と特権を手に入れた。
このような状況下において、いくら中央政府(胡錦涛-温家宝政権)が笛を吹いても、
地方はまったく踊らない。

中央政府は、科学的発展観に基づく第11次5か年計画(2006~10年)において、

①経済構造が不合理で、自主的革新の能力が低く
②経済成長方式の転換も遅れており
③エネルギー資源消費量が過大で、環境汚染が深刻化していること
④雇用における矛盾がかなり突出していること
⑤投資と消費の関係がアンバランスであること
⑥都市部と農村部、地域間の発展のギャップ及び一部の人たちの間における所得
格差が引き続き拡大していること

などを中国が抱える重大な問題点として指摘している。

この問題意識は正しい。
さすがの中国政府も、このままでは立ち行かないと自覚しているのだ。
そして、中国政府は、同計画の中で以下のような処方箋を示している。

同計画は、

①エネルギーの消費効率を改善する
②リサイクル経済を発展させる
③環境問題を解決する
④農村部の所得を引き上げ、三農問題(農業・農村・農民)を解決する
⑤地域間・階層間における不均衡を是正する
⑥経済成長の牽引役を投資から消費へシフトさせる

など、調和の取れた文明型経済モデルへの大胆な転換を提起している。

この処方箋も正しい。
問題は実行できるか否かである。
しかも、一刻の猶予も許されない状況下にある。
果たして、これまで権力をほしいままにし、巨額の富と特権を手に入れた地方の党官僚や政府高官が、中央政府の思惑通りに動いてくれるだろうか???
結論から言うと『否』である。
それは、以下の記事を読めば解る。


【北京=藤野彰】中国の第11次5か年計画(2006~10年)の国内総生産(GDP)年平均成長率を巡り、全国各レベルの地方政府が中央政府の指標を30~60%も上回る目標値を策定し、胡錦濤政権が目指す「持続的な安定成長」の足並みに大きな乱れが生じていることが、幹部らを対象にした中国政府の「秘密」扱い情報誌「改革内参」(5月110号)の調査報告で明らかになった。

報告は、成長率を競い合う地方政府の暴走により中央の大方針が空洞化している実態を指摘し、「このままでは全国が混乱に陥り、収拾不能になる」と警告。中国では、やみくもに成長率を追求してきた結果、土地収用に絡む農民暴動、環境汚染、貧富格差などの社会問題が深刻化しており、統制を欠いた過熱経済の加速が諸矛盾を一段と増幅させることは必至だ。

報告は国務院国家計画委員会副主任(次官)などの政府要職を歴任した経済専門家の房維中・中国マクロ経済学会会長が執筆した。

それによると、中央政府が第11次5か年計画のGDP年平均成長率を7.5%に設定したのに対し、地方政府は省(直轄市、自治区)レベルで平均10%以上、地区(市)レベルで同11%以上、県レベルで同12%以上の目標値をそれぞれ定めた。省レベルでは、
数値が最も低い省でも8.5%と全国目標を上回っており、11~13%の目標を掲げた省が八つに上った。

下位の地方政府になればなるほど高い数値を掲げているのが特徴だ。過大な固定資産投資、工業重視などにより、重複建設をはじめとする不合理な経済運営が懸念される事態となっている。

中国の新5か年計画、地方が暴走…中央方針「空洞化」
(2006年5月19日 読売新聞)

中央政府は、体制の崩壊が現実化しつつあることに強い危機感を抱いている。
が、巨額の富と特権を手に入れた地方の党官僚や政府高官は、想像を絶するほどに
貪欲なのだ。経済が破綻しようが体制が崩壊しようが関係ない。
要は、自分さえ儲かればよい。
目先のカネしか眼中にない。

「このままでは全国が混乱に陥り、収拾不能になる」

これは胡錦涛の悲痛な叫びであろう。
が、その叫びは、『飽くなき貪欲』に支配された地方の党官僚や政府高官には届かない。
そして『中国は崩壊』する。
間違いない。

参照1:E&Y、中国当局から批判が出た不良債権リポートを撤回
参照2:6つの変化、中国の経済と社会生活に影響
参照3:IMF報告「中国四大銀行はリスクに鈍感」

【特記】
コメント及びTBを許可制にさせていただきました。
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2006/04/21

中国崩壊シリーズ

誤って「ふざけるな中共!!!」というエントリーを削除してしまいました。
このエントリーにコメント及びTBをいただいた皆様にお詫び申し上げます。
これも『ココログ』のトラブルのせい。本当に頭にきます。
が、今回は、私にも落ち度があるので容赦します。

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二日連続して『人気ブログランキング』のポイントが60,000を超えた。
この人気は、どこから来るのか???
このブログの原点は、何と言っても『中国崩壊シリーズ』に尽きる。これまで書いた関連エントリーは38にものぼる。
私の書いたエントリーで、中国の現実に目覚めた方も多いようだ。そういう点では、ブロガー冥利に尽きる。
今日は、『中国崩壊シリーズ』の中で、エッポックメーキングになったエントリーを再掲したい。
過去にお読みになられた方も再読願いたい。

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中国は間違いなく崩壊する (2005/04/14)

今、巷には、中国の非礼極まりない態度に対する非難の声が満ちている。これまで、
あの国にあまり関心を抱かなかった人たちも、今回はさすがに頭にきたようだ。
結果的に中国政府は今回、日本国内に「反中感情」を普及させる役回りを果たしたことになる。おそらく「政冷経熱」も「政冷経冷」に向かうであろう、徐々にではあるが。
これを「自業自得である」と云ってしまえばそれまでだが、実は中国には、そこまでせざるを得ない事情があるのだ。日本の国内世論を敵に回してまで、あるいは日本からの投資が鈍化するかもしれないというリスクを冒してまで対日強硬路線を選択せざるを
得ない事情。今回は、そのあたりの事情について書いてみたい。

中国は間違いなく崩壊する。これは希望的観測ではない。断言できる。なぜなら、下部構造(経済)が資本主義で上部構造(政治)が共産党独裁なんてありえないことだからだ。
「下部構造が上部構造を規定する」というマルクスの理論を持ち出すまでもない。要は、油(資本主義)と水(共産主義)は永遠に交わることがない、ということだ。加熱した油に水を差すと、油が弾け飛び、鍋は爆発する、これが自然の成り行きである。

今の中国を理解するうえで、過去を知ることが欠かせない。
新中国は1949年に誕生した。以来今日に至るまでいろんなことがあった。その中で
特筆すべき事件が二つある。大躍進政策と文化大革命(注-1)である。
人民公社=中国版コミューン(注-2)を軸とした大躍進政策は、1958年から61年までに3000万人もの餓死者を出した。1966年から76年まで続いた文化大革命では、武闘や
迫害で600万人以上が死んだ。
1970年代半ばごろ、大躍進の失敗とそれに続く文革による大混乱で、中国は疲弊し、まさに存亡の機にあった。これを救ったのが鄧小平である。毛沢東亡き後、四人組
(注-3)を打倒し実権を握った鄧小平は、「継続革命」路線から「改革開放」路線へと
コペルニクス的転換を図った。

1978年12月の11期3中全会において決定されたこの路線の本質は、「黒猫でも白猫でもよい。ネズミを獲る猫が、いい猫なんだ」という鄧小平の有名な言葉が総てを言い表している。この言葉は、「資本主義でも社会主義でも、どちらでもよい。要は、中国が豊かになればよい」と読み替えることができる。
この時点で中国は、政治的制度としての共産主義を維持ししつも、イデオロギーとしての共産主義は捨て去り、経済成長至上主義に転換したといってよい。実際のところ、1983年から88年の平均成長率は11.4%で、驚くべき急成長を遂げた。
このとき既に「都市と農村との格差」が顕在化していた。しかし鄧小平は、「先に豊かになれるものから豊かになれ」と、一時的な経済格差を容認する先富論を提唱し、「先に豊かになった地区(沿海部、都市部)が後発地区(内陸部、農村部)を支援すればよい」として、この矛盾の萌芽を無視したのである(これが後に中国の桎梏になる)。

ところが、この「改革開放」路線の延長線上に、1989年6月「天安門事件」(注-4)が
発生する。これは、民主化を求める学生と大衆の不満が結合した結果であった。文字
どおり「下部構造に上部構造が規定」されそうになったのである。中国共産党指導部は、この事件を戦車を動員して強権的に制圧した。
その結果「改革開放」の雲行きが怪しくなった。実際に、その後の成長は鈍化し、社会は不安定となった。なぜなら、人民の党と、その指図を受けた人民の軍が人民を虐殺
したからである。加えて、人権に敏感な欧米諸国の制裁がそれに輪をかけた(ちなみに日本は、制裁には及び腰だった)。そして、この時点で、中国共産党は人民の支持を
失った。

これに対して鄧小平は、1992年1~2月、広東省や上海市など南方視察を行い、そこで華南地区の発展ぶりを称え、「改革開放は100年流行る」と言明、「てん足女のような
ヨチヨチ歩きではダメだ。改革開放をさらに加速させなければならない」と全国に檄を
飛ばしたのである。鄧小平のこの「南巡講話」により事態は一変した。世の動きに敏感な幹部も人民も一挙に市場経済へと走り出したのである。
以上のような過去を経て今の中国がある。

今の中国の本質を、元大蔵省財務官(現国際通貨研究所理事長)である行天豊雄氏が中国経済と日本の中で見事に看破している。
氏は、「今日の中国において共産主義は、平等を追求するイデオロギーとしての役割を失っている」とする一方、「多くの中国人にとって、宗教的な社会倫理は無縁な場合が多い」と指摘している。
つまり、今の中国には、社会的規範となるはずの「共産主義イデオロギー」もなければ、その代わりとなる「宗教的社会倫理」もない(共産主義において「宗教はアヘン」であり、弾圧の対象である)。あるのは「飽くなき貪欲」=「モノ、カネ」信仰だけなのである。
日本を含む先進資本主義諸国には、「モノ、カネ」以外に共通の価値観として「自由と
民主主義」がある。「宗教的社会倫理」も「モノ、カネ」に対する一定の節度として作用している。ところが、中国にはそのいずれもが欠けている。あるのは、際限のない「汚職の横行と飽くなき貪欲」(行天氏)である。

一方において社会的矛盾は、「天安門事件」当時よりはるかに深刻になっている。開発業者と結託した腐敗官僚に農地を没収された「失地農民」は4000万人を数える。大都市に流入し、無権利、低賃金の奴隷労働に従事する「民工」も4000万~6000万人に
のぼる。これらの「盲流」あるいは「黒人」と呼ばれる無戸籍の民は、まさに現代の棄民といっても過言ではない。
地方では農民の反乱が、都市部では「民工」の暴動が頻発する一方で、年間に贈収賄や職権乱用で起訴される役人の数は4万人を下らない。

(以下は、JSSマンスリーレポート2005年1月号からの引用)
外観上順調な経済成長を続けている中国であるが、昨年は各種の住民騒動が続発し、暴動に発展したケースも散見された。
住民騒動の最大の原因は党幹部や役人の腐敗であり、開発に伴って土地を収用されたのに、土地代金を役人が着服してしまい、補償を受けられない住民よる騒動が各地で多発するなど、国民の腐敗役人に対する反発が高まっている。
また、職を求めて都市部や工業先進地域に流入する"民工"と呼ばれる出稼ぎ者たちは、都市住民から蔑視を受け、低劣な労働条件で過酷な労働を強いられていることに加え、村などが雇っている自警団員である"治安員"に、何かと言うと犯罪者扱いされて暴力を振るわれる現状に、不満が極限状態に近づいている。
東莞市では出稼ぎ者5万人の暴動が発生したが、今後もちょっとした切っ掛けで、同様の暴動が各地で発生する可能性がある。
【中国】 「頻発する住民騒動の背景」

中国で3万人暴動 公害に抗議、2人死亡(産経新聞) - 2005年4月12日
都市部と農村部の収入格差深刻化、暴動多発 2005/01/19(水)中国情報局
検察:04年は贈収賄や職権乱用で4万人を立件 2004/12/23(木)中国情報局

この現実を、胡錦濤・温家宝体制が極めて深刻に受け止めているのは間違いない。
しかし、共産党指導部がいかに「弱者救済」「腐敗根絶」を叫んでも、状況は遅々として改善されないのが実情である。かつての希望の星・趙紫陽(天安門事件当時の総書記「民主化勢力に同情的である」として解任された)も、自らの死を前にして「この国の
漸進的改革は絶望的」と悲嘆したと言われる。
胡錦濤・温家宝体制の目標は、国民がある程度の豊かさを実感できる全面的な「小康社会」の実現である、という。そのために、2020年のGDP(国内総生産)を2000年の
4倍にする目標が設定されている。しかし、これは年率7%以上の成長を持続して初めて可能になるのである。
果たして、このような高度成長が20年も続くことがあり得るのであろうか?可能であれば、深刻化する社会的矛盾や鬱積した政治的不満もやがて解消され、漸進的な政治的・社会的改革が成功する可能性はある。しかし、ひとたび成長が鈍化する事態になれば、極限まで膨らんだ風船は一気に破裂する。

前出の行天豊雄氏は、中国経済の桎梏として以下の4点をあげている。

(1)(共産党独裁であるため)中央計画経済の弊害が依然残っている。その結果、経済の肥大化により、非効率的な国有企業(ほとんどが赤字)と多額の不良債権をかかえる国有銀行を生んでしまった。しかし、国有企業の整理は極めて困難である。何故なら、国有企業は地方経済の中核だからである。

(2)貧富の格差が拡大している。この格差は、都市内部で、また都市・地方間で拡大している。全体としての平均生活水準は上昇しているが、社会的不平等は急速に拡大している。そして、汚職の横行と「飽くなき貪欲」が、その社会的歪みの是正を困難にしている。

(3)高度成長を制約する大きな要因が存在する。急激な経済成長は、膨大なエネルギー、原料、水資源の消費をもたらしている。中国は既に、世界第2の原油輸入国で
ある。しかもエネルギー産出の70%は依然石炭に依存しており、深刻な環境破壊を
もたらしている。

(4)経済発展と社会的・政治的統制は相反する関係にある。生活水準が低い状態から急速に上昇している間は、民衆は、自由の欠如にさしたる不満を持たない。しかし、
民衆が単なる物質的生活以上のものに関心を持つゆとりが出てくると、社会的・政治的自由に関心が生まれる。

そして最後をこう結んでいる。
「指導部は、非常に慎重な速度で自由化を進めようとしています。それが成功するか
どうかは、まだ分からないと言わざるを得ません」と。
(要約:坂眞)中国経済と日本

以上の指摘をどう解釈するかは人それぞれだろう。が、年率7%の成長を20年の長きにわたって持続することは極めて困難であると理解するのが自然である。
幸い、今の中国は持続的高成長を維持している。この高成長がもたらすパイの拡大で、かろうじて政治的、社会的安定を保っている。しかしこれは、極めて脆弱な安定である。前述したように、高成長に伴い、社会的不平等の急拡大と汚職の横行という否定的
側面も体制の根幹を揺るがしかねないレベルにまで達している。
従って、ひとたび成長神話が崩壊すれば、たちまち
「このコンフリクト(対立・相克)が暴力的な形で出現することになる」(行天氏)
のである。
そして、それが「天安門事件」の比ではないことは誰の目にも明らかである。もちろん
賢明な中国共産党指導部が、これらのことに気づかぬはずがない。だからこそ「反日
騒動」を定期的に繰り返し、膨らんだ風船のガスを抜く必要があるのだ。
比較的裕福で、インテリ層に属する学生たちの政治的不満が、苦難にあえぐ農民や「民工」の社会的不満と結合し、反政府へと向かうのを防ぐには、とりあえず「反日」が手っ取り早いのである。

人民の支持を失くした共産党が、社会的規範を失くした人民に対して、その独裁支配を正当化する途は、もはや経済成長と「日本軍国主義から祖国を解放したのは共産党である」という錦の御旗の二つしかない。だからこそ「歴史の歪曲」や「軍国主義の復活」に強硬に反対する姿勢が欠かせないのだ。
労働者と農民の党・中国共産党が支配する国で、労働者と農民が搾取され抑圧されている、という大いなる皮肉は、歪みきった中国の今の姿の反映であろう。
共産党独裁という今の体制が続く限り、国家が発展し経済が成長すればするほど社会的・政治的不満は拡大し深化する、という政策レベルではどうにもならない構造的矛盾にさいなまされ続けるのである。なぜなら今の共産中国には、「市場経済」=弱肉強食を制御する民主主義もなければ宗教的な社会倫理も存在しないからである。
やはり、この矛盾を解決する途は、もはや共産党支配の終焉=現体制の崩壊しかありえない。そしてその日は、そんなに遠くはない。

最後に「歴史の歪曲」を声高に叫ぶ中国政府が、自国の教科書でいかに「歴史を歪曲」しているかを指摘しておく。
昨年の12月6日付のニューヨーク・タイムズは、上海発で、中国の教科書について「歴史をゆがめ、政治の必要に応じて修正されている」と報道した。
そして、ゆがみの実例として
(1)中国軍はチベットやベトナムに侵攻したのに自衛以外の戦争はしたことがない、と教えている
(2)第二次大戦で日本は米国ではなく中国共産党軍により敗北させられた、と教えている
(3)1950年代に毛沢東主席が断行した「大躍進」の政策失敗で3000万人も餓死した
事実は教えない
(4)朝鮮戦争は米国と韓国が北朝鮮を侵略したことで始まった、と教える
ことなどをあげている。
「中国教科書 歴史を歪曲」米紙報道
米紙報道 日本叩きが国民的娯楽
2004年12月8日-産経新聞

なお、今回で、このブログにおいて中国の「反日」に絡む記事を書くのは終わりにしたい。
また、引用元が明らかでない記事や数値は、マスメディアやネット上で私が調査した
内容に基づいている。
記事の内容が、いちばん最初の記事中国は何処にと重複していることをご容赦願いたい。

(注-1)文化大革命
1965年から約10年間にわたり、中国全土を大混乱に巻き込んだ思想・政治闘争。
社会主義を資本主義に変質させようとする修正主義と常に戦わねばならないという、毛沢東の階級闘争理論が基礎となっているが、実際は、大躍進政策に失敗し、国家主席を辞任することとなった毛沢東が、自らの復権と絶対的権威の確立を目指し、開始したとされる。

(注-2)人民公社
中国において1958年から1982年の間に、農村を基盤として普及した、政治や経済、
さらに文化、軍事までをも含んだ農業集団化機構。
工・商・農・学・兵が結合した「政社合一」の組織であり、農業生産の他にも、行政、
経済、学校、軍事、医療などを合わせもった。
1958年に開始された大躍進政策の実行単位として組織されたが、1962年の条例で、
人民公社・生産大隊・生産隊の三級所有制として再編された。

(注-3)四人組
1960年代半ばから約10年間にわたり、毛沢東が発動したプロレタリア文化大革命
(文革)によって浮上した江青(中央文革小組副組長、毛沢東夫人)、張春橋(副首相、政治局常務委員)、姚文元(政治局委員)、王洪文(党副主席)の新権力グループを
指す。文革では様々なグループが登場したが、林彪グループと並ぶ一大勢力を形成、主に上海を拠点にして活動した。
73年8月の10全大会では4人全員が中央政治局入り。政治局内で四人組を形成、文革の主導権を確立した。その後、批林批孔運動による周恩来批判、さらには復活していた鄧小平の打倒へと向かった。

(注-4)天安門事件
中国北京の天安門広場において起きた民衆の抗議運動。
文化大革命が否定される中、1981年に中国共産党主席に就任した胡耀邦は、思想解放を掲げ、改革を推進したが、反発を受け、1987年に失脚した。
その後、1989年4月に死去した胡耀邦の追悼行事が天安門広場で行われ、これを非難する当局に対して、学生や市民の抗議運動が広がっていった。
1989年6月4日、天安門広場において、民主化を求める学生や市民に対して人民解放軍が武力弾圧する事態となった。
欧米諸国は、中国の人権抑圧を厳しく非難して、経済制裁措置をとった。

関連記事1:中国は崩壊後どうなる?
関連記事2:中共:崩壊する統治能力
関連記事3:中国崩壊への胎動
関連記事4:中国に奇跡は起こるのか?
関連記事5:中国は間違いなく崩壊する part3
関連記事6:石油をガブ飲みする中国の末路
関連記事7:中国崩壊の序章-part2
関連記事8:中国崩壊の序章
関連記事9:中国は、いつ崩壊するのか?
関連記事10:中国は間違いなく崩壊する part2
関連記事11:むき出しの欲望帝国
関連記事12:中国の本音
関連記事13:ついに民工が「反日」で動き出した
関連記事14:中国は何処に

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中国は、いつ崩壊するのか? (2005/05/23)

これまで「中国は間違いなく崩壊する」というタイトルで記事を2回書いた。これに対して、いつ崩壊すると思うか?崩壊したらどうなると思うか?というご質問があった。
もっともなご質問である。崩壊する、と断言しておいて、それがいつかに言及しないの
では欲求不満が残る。
したがって、今回は崩壊の時期について分析してみたい。
なお、崩壊後にどうなるか?については後日、予測可能な範囲で記事にしたい。

中国の先行きを占う上で、参考になる記事が二つある。
深嶋修氏の中国の成長神話を崩壊させる3つの危険要素と行天豊雄氏の中国経済と日本である。

深嶋氏は中国経済が崩壊する原因として次の4点をあげる。
①急速かつ特異な高齢化
②環境制約の顕著化
③資源制約の顕著化
④深刻化する財政悪化。

①ユネスコの高齢化社会基準は、「国または地域の60歳以上の人口が当該国または地域の総人口の10%あるいはそれ以上を占めていること、または65歳以上の人口が
総人口の7%あるいはそれ以上を占めていること」である。
中国第5次国勢調査の結果では、現在、全国の60歳以上の人口は既に1億3200万人に達し、総人口の10%を占めている。また、65歳以上の人口は8811万人に達し、総人口の約7%を占めている。
つまり、中国は既に高齢化社会に突入しているのだ。これは、一人っ子政策による人口増加率の大幅な下降と生活水準の向上による平均寿命の大幅な延びが原因である。
中国の1人当たりGDPは、やっと1000ドルを超えた程度にすぎない(日本とアメリカは
3万ドルを超える)。先進諸国は「豊かになってから高齢化した」のに対し、中国では
「豊かになる前に高齢化が始まっている」のである。

②無秩序かつ無規律な大規模開発を進めた結果、環境が急速に悪化している。都市人口の7割が大気汚染にさらされ、7大水系の7割が重度汚染、400以上の都市が水不足、砂漠化面積は年間3400平方キロに及ぶ。
この深刻な環境破壊は、農民の大規模な暴動を引き起こすほどである。

③急激な経済成長は、膨大な量のエネルギー、原料、水資源の消費をもたらしている。中国は既に、米国に次いで世界第2位の原油輸入国である。中国が、このまま成長を続ければ、深刻な世界的資源不足、食料不足をもたらすのは間違いない。

④財政赤字は、既に、国際安全ラインの対名目GDP比3%に達している。国有企業等の借金も含めると、名目GDPを超える規模の債務があると推測される。
しかし、非効率的で赤字の国有企業は、一方で何千万人もの労働者に雇用と福祉を
提供しており、地方経済の中核を担っているため容易に整理できない。その結果、それを支える国有銀行は多額の不良債権を抱える破目に陥っている。
四大国有銀行は、国内総銀行資産の60%を占めている。これらの銀行の不良債権
比率は、公式統計では19%(2004/03/31)だと言われているが、実際には、それよりはるかに高いと推測されている。

2004年3月末、中国の四大国有銀行の不良債権は融資総額の19%を占めていたが、同年9月末まで既に5.16%に下がったと中国政府は同年11月、発表した。下がるスピードが速く、しかも下がった理由について
何の説明もないため、この数字に信頼性はない。米国の権威ある評価機関スタンダード・アンド・ブアーズ(Standard & Poor’s)は中国の銀行の不良債権率は45%に達していると見ている。
中国最大の危機:金融危機【大紀元日本5月5日】から引用

行天氏は、以下の点を中国経済の弱点としてあげる。
①非効率的で赤字の国有企業と多額の不良債権をかかえる国有銀行
②社会的不平等の急速な拡大と社会システムのゆがみ
③共産主義イデオロギーの崩壊に伴う社会的規範の喪失と宗教的な社会倫理に無縁な社会
④汚職の横行と一部に見られる飽くなき貪欲
⑤資源制約の顕著化
⑥環境制約の顕著化
⑦社会的・政治的自由を求める動き

以上については、既に中国は間違いなく崩壊するの中で言及した。
①⑤⑥は深嶋氏と共通している。

私は両氏の指摘の中で、崩壊の時期を決定づけるのは財政の悪化と四大国有銀行の不良債権問題だと思う。
高齢化問題、資源問題、環境問題、汚職、社会的不平等、社会的・政治的自由への
欲求等はボディーブローのようなもので、劇的な変革要因になる可能性は高くない。
しかし、国有銀行の信用不安は、成り行き次第で一気に経済を崩壊させる。日本の
バブル崩壊を想起してほしい。経済が崩壊すれば、共産党独裁体制も一蓮托生で
ある。
革命は常に経済的困窮から起きる。一見、高まいな政治理念やイデオロギー、あるいは宗教的動機に基づくと見られる革命も、根本にあるのは経済的に困窮した民衆の
巨大なエネルギーの爆発である。
中国もバブルが崩壊し、今や1億人にのぼると云われる民工が路頭に迷う事態になれば、強固に見える強権支配体制も、またたく間に瓦解する。

中国のGDPは、この5年間で1.6倍になった。それを支えているのは、海外からの投資と投機マネーの流入である。この投機マネーがバブルを引き起こしている。
不動産価格の高騰は上海や広州など沿岸部にとどまらず、重慶、成都、西安などの
地方都市にも広がっている。赤字の国有企業までが子会社を通じて投機に走っているという。
巨額の不良債権を抱える国有銀行は、中国という国の信用によって支えられており、
実態は破綻状態とまで言われている。国の財政がさらに悪化し、今のように銀行を支えきれなくなったとき、銀行は自ら不良債権を処理しなければならない。
四大国有銀行は、そういう事態に備えて公的資金の注入を受け、財務体質を改善して海外での上場を目指しているという。しかし、それが実現する可能性は低いといわれる。
追い詰められた銀行が、不良債権の整理に乗り出さざるを得なくなったとき、そこで起こるのはバブルの崩壊であり、「貸し渋り」と「貸し剥がし」である。その結果、企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業の増大という負の連鎖が始まる。

野村資本市場研究所シニアフェロー・関志雄氏がバブル崩壊後の中国経済の姿の中で次のように書いている。

中国では、投資と経済成長がお互いに促進しあう好循環の下で、不動産価格が高騰
するなどバブルの様相を呈している。しかし、最近の当局による引き締め政策をきっかけに、逆に投資と資産価格が低下し、景気が減速するという悪循環に変わることが
予想される。
バブルが崩壊すれば、中国は90年代の日本のように、企業部門は雇用調整、設備調整、バランスシート調整を迫られることになろう。

日本では多くの大企業が実質上終身雇用制を採っており、そのおかげで雇用調整には長い時間がかかったが、不況が深まっても大量の失業者が発生しなかった。
これに対して、中国では労働市場における流動性が高く、景気後退に伴って失業率が大幅に上昇することになる。
現在、主に農村部から都市部へ、また内陸部から沿海地域へ流れている出稼ぎ労働者は1億人にも上る。彼らの故郷への送金は経済発展から取り残されている地域の
重要な所得源になっているだけに、当局にとって、雇用の維持は単に経済問題に留まらず、社会全体の安定がかかった重要な課題である。
(中略)
借り手である企業の業績が悪化する中で、銀行が抱える不良債権はいっそう増え、
貸し渋りが深刻化するだろう。鉄鋼やセメント、アルミといった「過熱部門」における投資の四割は銀行融資に頼っている。
来るべき調整局面において、企業の倒産を含めた、大規模な産業再編が予想され、
銀行もそのツケの一部を負担せざるを得ないだろう。
中国の銀行が抱える不良債権はすでに世界最悪の水準に達しており、バブルの
崩壊に伴って、いっそうの悪化が避けられない。
日本と同じような金融危機を防ぐべく、政府としても不良債権を処理するために、銀行部門へ公的資金を注入せざるを得ないだろう。
しかし、国有銀行とその最大の融資先である国有企業にコーポレートガバナンスが欠如したままでは、公的資金の導入は不良債権を一時的に減らすことができても、その新規発生を止めることができないため、問題の根本的解決にはつながらない。
また、四大国有銀行が、近い将来海外の株式市場で上場する計画を立てているが、
不良債権問題が深刻化する時期と重なることになれば、その実現は難しくなるだろう。
(中略)
雇用・設備・債務という「三つの過剰」を解決するために、日本は10年以上の歳月を
費やしてしまった。そして、中国がこの日本型危機を回避するために許された時間は
もはや多くないのである。(太字は筆者)

この記事が書かれたのは2004年6月22日である。そして現在はどうかというと、関氏が予測したような「バブルの崩壊」には至っていない。
これは、
「過熱経済を心配する当局は金融引き締めに躍起だが、効果が出ないのは、当局の
目をかいくぐって流れ込む資金があるからだ。統計で説明がつかないこの種の資金は
年100億ドルを超える。密貿易や、海外の子会社との経理操作で投機資金を動かす
ことはたやすい」
からである。
人民元切り上げ問題がはらむ中国リスク  AERA(2005年5月16日号)
だからといって、関氏の分析が誤っているわけではない。バブルは必ず崩壊するし、
崩壊すれば関氏が指摘するような姿になる。
以下の記事が、それをさらに裏付ける。

4月下旬、新華社は次のように報道した:“国務院は、150億ドルの外貨準備を中国
工商銀行に注入して改革を行うことを決定した。”
いわゆる改革とは、不良債権を処分して自己資本比率を引き上げ、もって上場の資格を獲得し、上場を通じて新たな資金を囲い込んで経営を支えることである。
これ以前の2003年末、中国銀行と中国建設銀行は、それぞれ225億ドルの資本注入を受け、資産・負債を処分して積極的に上場の準備を進めている。

中国の四大国有銀行は、それぞれ役割が異なっている。このうち工商銀行は、国有企業への融資を担当しており、不良債権が最も多い。2002年末時点における不良債権の残高は7920億元近くあり、四大国有銀行の全体の不良債権の45%を占めており、
100元の融資のうち30元近くが“不良”となっている。
中国銀行と建設銀行には225億ドルが必要とされたことから、この150億ドルは第一回目の注入にすぎないと言ってよい。
スタンダード&プアーズの金融サービス評価担当部長・曽怡景の推計によると、中央
政府は、工商銀行に対する今回の150億ドルの資本注入のほか、工商銀行及び農業銀行の資本調整に少なくとも1100億ドルが必要となる。
また、貸倒引当金や自己資本比率を保守的に計算した場合、必要な資本注入額は1900億ドルとなる。

スタンダード&プアーズが2004年の7月に推計したところによると、こうした銀行の困難を除去しようとする場合、6500億ドルもの資金が必要となるが、これは中国のGDPの約4割を占める
中国の外貨準備は6000億ドル余りで、国内債務以外に2000億ドル余りの外債を抱える中で、政府が銀行を救うための資金はどこにあるというのだろうか?
(中略)
いわゆる切離しとは、不良債権を割引いて4つの資産管理会社に売却することである。資産管理会社はゆっくりとこうした債権の回収にあたり、一部は回収できるが、恐らく
大部分は回収できない。
また、一部は外国の投資銀行に売却される。これら資産管理会社もまた国有企業で
あって内情は複雑であり、損失や破産が起これば、国家がその全てを引き受けることになる。

1998年、政府は30年ものの長期国債を発行して四大国有銀行に2700億元の資本
注入を行った。このプランが策定された当時は、97年時点でのリスク資産の規模に基づいて自己資本比率を8%とすることが目標とされていた。
2002年11月までに、四大資産管理会社もまた銀行の不良債権1600億ドルを処分した。しかし、昨年末になって再び資本注入による“改革”が実施されたことは、いくら
資金を追加投入しても何の役にも立たず、古い不良債権を処分すれば今度は新たな
不良債権が発生し、そのブラックホールが底なしの穴となっていることを証明して
いる。
(後略)
中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?
【大紀元日本5月16日】(太字は筆者)

上記の記事を読むと、わが国におけるバブル崩壊後の銀行の不良債権処理と、その
ために行われた公的資金の注入が想起される。
あの時も、米国の格付け機関は、銀行の抱える不良債権は40~50兆円と予測して
いた。それに対し銀行自身は、不良債権を2~3兆円と言っていた。それが、いつの間にか25兆円に膨れ上がり、最終的には、いくらあるのか分からなくなった。
そして多額の公的資金が注入され、多くの銀行が破綻した。
おそらく中国の四大国有銀行が抱える不良債権の実額も、スタンダード&プアーズの推計が正しいと思われる。
なお、「資産管理会社」とは日本の「整理回収機構」のようなものであろう。そのうち
「産業再生機構」と似たような組織も作られるかもしれない。
ここで注意してほしい点がある。中国のバブルはまだ崩壊していない、というより、まだバブル真っ盛りなのである。バブル真っ盛りなのに、日本のバブル崩壊後と同じような対応を政府が銀行に対して取らざるを得ない。
これが、繁栄を謳歌しているように見える中国経済の現実の姿なのである。

中国政府の銀行改革の目的は、「不良債権を処分して自己資本比率を引き上げ、
もって上場の資格を獲得し、上場を通じて新たな資金を囲い込んで経営を支える」ことである。
これが成功すればよい。が、失敗すれば、それがバブル崩壊の引き金になる。
今の状況でバブルが崩壊したらどうなるのであろう。日本の銀行は、バブルが崩壊する前は、不良債権など無きに等しい状況だった。その日本でさえ、建て直しに10年以上かかった。バブルが崩壊する前から公的資金の注入や不良債権の売却が必要な中国がどうなるのか、予測するのも怖いくらいである。
前出の人民元切り上げ問題がはらむ中国リスクは以下のように書いている。

13億人の中国が混乱すれば世界が揺さぶられる。最大の問題は失業だろう。高成長の現在でさえ3億5000万人の「不完全就労」がある、と推計される。高成長が挫折
すれば、億単位での失業の増加
も予想される。職を失った人が周辺のアジア諸国に流出し、人口流動に拍車がかかる。
08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない。
(編集委員 山田厚史)(太字は筆者)

既に、国有銀行を海外の株式市場で上場する計画の第一弾は挫折した。前出の中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?から引用する。

工商銀行の一歩先を行く建設銀行は、2004年末に資本注入を受けた後に改革の気勢を上げている。
建設銀行会長の張恩照は、昨年の2月に開かれた2004年工作会議において、建設銀行を3年以内に国内トップの利益、効率を実現できる株式制銀行とし、10年以内に中国銀行業の中で最高の株式市場価値を実現できる株式制商業銀行にするとともに、アジア市場のトップに立つことを謳った。
また、建設銀行は、中国国際金融(中金)を上場のための財務顧問に任命した。中金は、主として建設銀行とモルガンスタンレーとの合資で成立したもので、もともと建設銀行を2005年に米国に上場して60億ドルを調達する予定であったが、モルガンスタンレーが参画しても米国では上場できなかった。
現在は、監督が緩やかなロンドンに転じたところであるが、これが成功するかどうかはまだ分からない。

米国でできなかった上場がロンドンでできるのか?
関志雄氏も「四大国有銀行が、近い将来海外の株式市場で上場する計画を立てているが、不良債権問題が深刻化する時期と重なることになれば、その実現は難しくなるだろう」と述べている。
私もおそらく無理だと思う。そして、そのときが、中国経済と中国共産党の終わりの始まりである。

参考記事:1中国の成長神話を崩壊させる3つの危険要素
参考記事:2中国経済と日本
参考記事:3中国最大の危機:金融危機【大紀元日本5月5日】
参考記事:4バブル崩壊後の中国経済の姿
参考記事:5人民元切り上げ問題がはらむ中国リスク AERA(2005年5月16日号)
参考記事:6中国国有銀行のブラックホールはどれだけ深いのか?
【大紀元日本5月16日】
参考記事:7中国総合データ(中国情報局)

関連記事1:中国は崩壊後どうなる?
関連記事2:中共:崩壊する統治能力
関連記事3:中国崩壊への胎動
関連記事4:中国に奇跡は起こるのか?
関連記事5:中国は間違いなく崩壊する part3
関連記事6:石油をガブ飲みする中国の末路
関連記事7:中国崩壊の序章-part2
関連記事8:中国崩壊の序章
関連記事9:中国は間違いなく崩壊する part2
関連記事10:むき出しの欲望帝国
関連記事11:中国の本音
関連記事12:ついに民工が「反日」で動き出した
関連記事13:中国は間違いなく崩壊する
関連記事14:中国は何処に

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中国は崩壊後どうなる? (2005/08/26)

私は、これまで10回にわたって中国崩壊に関する記事を書いてきた。その過程で、
「いつ崩壊するのか?」というご質問があった。これについては、変動相場制移行→
金融不安→マネー流出→バブル崩壊→企業倒産→銀行破綻→経済失速→失業者の増大という負の連鎖が、いつ起こるかによると説明した。
中共政府も、このあたりは心得ていて、変動相場制移行をできるだけ遅らせ、国有銀行への公的資金の注入と外資との提携を急いでいる。しかし、コーポレート-ガバナンスとコンプライアンスを欠如したままでは見通しは暗い。
おそらく、早ければ2008年の北京オリンピック後、遅くとも2010年の上海万博後には、深刻な危機に直面すると思われる。
これらの私の記事に対して、「では、崩壊後はどうなるのか?」というご質問があった。したがって、今日は、崩壊後の姿について可能な範囲で書いてみたい。

崩壊後の姿を考察するには、①政治的側面、②歴史的側面、③経済的側面、④文化的側面、⑤民族的側面の五つの要素を踏まえて分析する必要がある。

政治的側面から分析する前に、まず「国家」とは何かを認識してもらいたい。日本人は「国家」を誤解している方が多い。かなりの方が、民族的・文化的・経済的共同体が
国家であると誤解している。
しかし実際は、ほとんどが同じ民族で、同じ言語をしゃべり、共通の歴史的・文化的
背景を持つ国家なんて、世界では極少数派である。
例えばスイスを見てみよう。民族構成はドイツ人、フランス人、イタリア人、ロマン人
(人口順)である。有名な都市であるジュネーブはフランス語であり、チューリヒはドイツ語である。九州よりも小さな国の中に、民族・言語・宗教・文化が違う人たちが共存しているのだ。
もっと解りやすいのはアラブである。民族・言語・宗教・文化が共通しているにもかかわらず、10カ国以上の国に分かれている。しかも国境線は、西欧列強が人為的に引いたものだ。
つまり、国家とは極めて政治的なものであり、民族や言語、宗教や文化とはイコールではないのである。したがって、政治的条件が変動すれば、当然のことながら国家も根底から変貌する。そして、その政治的条件を突き動かすのが下部構造-経済なのである。

中国の現状は共産党独裁国家である。これは間違いない。しかし、ここで多くの日本人が共産党独裁国家というとソ連を連想する。これが、中国を誤解する最初の第一歩なのだ。
共産主義国家は、共産主義イデオロギーで末端まで統一されている中央集権的独裁体制である。ソ連がまさにそうだった。しかし、今の中国は違う。中共政府の指示・命令に、必ずしも地方政府が従わないという、地方分権的な独裁国家に変貌しているのである。
これは、鄧小平の時代に、イデオロギーとしての共産主義を捨て去り、経済成長至上主義に転換したことが大きく影響している。しかも鄧小平は、「先に豊かになれるものから豊かになれ」と、一時的な経済格差を容認する「先富論」を提唱した。この結果、地域によって、同じ国とは思えないほど経済格差が広がった。
この地域ごとの経済格差に、伝統的な地域主義が結びついて、中央政府のコントロールが効かない地方政府が出現したのである。

そもそも、歴史的に見ても中国は一つであったときの方が短い。中共が統一する前の中華民国のころは、各地に軍閥が群雄割拠し、中華民国の支配地域は限られた部分にすぎなかった。
歴史上、漢族が100年以上にわたって華北、華中、華南を統一的に支配したのは、漢、唐、宋、明の時代だけである。中共政府以外で、東北地域(旧・満州)や西域(新疆ウイグル)、内モンゴル、チベットまでを版図に収めたのは、モンゴル族の元と女真(満)族の清以外にはない。
つまり、中共政府が出現するまでは、漢族の支配地域は華北、華中、華南に限られ、しかも分裂・抗争が常であり、匈奴を始めとする異民族の侵略・支配を受けることもしばしばだった(例外的にシルクロードのころ西域を支配下においたことはある)。
したがって、前述した政治の実態に歴史的経緯を加味すれば、経済的破綻が即、中国の分裂に繋がる可能性は極めて高い。要は「カネの切れ目が縁の切れ目」なのである。
(※唐王朝の李氏は、鮮卑系である(との見方が支配的)ことが分かりましたので、「唐」を削除します)

今、中国には四つの経済先進地域がある。

①<長江デルタ地域>
上海市
江蘇省(南京、蘇州、無錫、常州、揚州、鎮江、南通、泰州)
浙江省(杭州、寧波、湖州、嘉興、紹興、舟山)
②<珠江デルタ地域>
広東省(広州、深セン、珠海、佛山、江門、中山、東莞、恵州、恵陽、恵陽、恵東、
博羅、肇慶、高要、四会等)
③<福建東南地域>
福建省(福州、厦門、泉州、漳州、莆田の5沿海都市)
④<環渤海湾地域>
北京市天津市河北省遼寧省山東省

これらが、お互いをライバル視し、対立・競争している。これらの地域の地方政府は、
国家や国民のことなんて眼中にない。「先富論」を拠りどころにして、自分たちが豊かになることしか考えていない。
したがって、経済的破綻が社会的混乱→政治的混乱にまで至れば、これらの四つの
地域が自らの権益を優先し、それを守るために政治的独自性をさらに強める可能性は高い。

中国語と一口で言うが、その種類は多岐にわたる。大雑把に言って、①北方語(北京語など)、②粤語(広東語など)、③呉語(上海語など)、④閩語(福建語など)、⑤かん語(湖北語など)、⑥湘語(湖南語など)、⑦客家語の7大方言(郷音)に分類される。
方言といっても、我が国の方言とはレベルが違う。各方言によって、発音、字体、文法が違うので、まるで外国語と同じで、方言同士では意思疎通がまったくできないのだ(通訳が必要なレベルである)。
また、これらの方言は、地域ごとにさらに細分化され、これまた意思疎通ができない
ほどの隔たりがある。各方言の後ろに「など」を付けたのは、そのためである。
そこで、中共政府は、北京語を「普通話」=共通語として普及させることに力を入れている。テレビやラジオ放送は「普通話」で、義務教育も「普通話」で行われている。現在では約7割が「普通話」を理解できるといわれる。
しかし、「普通話」が普及し始めたのは最近のことである。数千年の長きにわたって、
お互いに意思疎通が不能な言語を使用し、その言語に裏打ちされた社会の下で暮らしてきたのだ。
しかも、言語の違いは、四つの経済先進地域に重なる。

①長江デルタ地域:呉語
②珠江デルタ地域:粤語
③福建東南地域:閩語
④環渤海湾地域:北方語

つまり、政治(地方政府)も違うし、経済圏も違う。歴史も違うし言語も違う。一つの国であることの方がおかしいのである。

中国には言語、文化、歴史の異なる56の民族がいる。92%を漢族が占める。が、同じ漢族でも、華北と華南では体型や肌の色に違いが見られる。
その昔、中国南部には「南蛮」と呼ばれたタイ族が住んでいた。人口増や戦乱により
南下した漢族は、このタイ族と混血したのである。一方、北の漢族は、北方から侵入してきた遊牧民族と混血する。つまり、北京と上海や広東では、DNA的な均一性に欠けるのである。
北京と上海は特に対抗意識が強く、お互いにボロクソに言うらしい。北京人に言わせれば「北京語をしゃべれる者が人間」であり、上海人は北京語をしゃべりたがらず、「北京なんて田舎だ、遅れてる」と言う。
漢族の中でもこれだけ違うのに、さらに55もの少数民族が住んでいる。主な少数民族は、モンゴル族、回族、ウイグル族、チワン族、チベット族、朝鮮族、満族である。
このうち、民族意識の高いモンゴル族、ウイグル族、チベット族は、政治的・経済的・
社会的混乱が続けば、それに乗じて独立する可能性が高い。

結論から言うと、漢族は、経済圏ごとの①長江デルタ地域、②珠江デルタ地域、③福建東南地域、④環渤海湾地域に、⑤重慶を中心とする四川省を加えた五つに分裂し、
モンゴル族、ウイグル族、チベット族が独立するという形にならざるを得ないのではないか(香港は別と考える)。
後は、中共政府を支える人民解放軍がどう動くかである。150万人を数える人民武装警察は、中共政府の意思に忠実に動くであろう。しかし、総兵力231万人(2001年)の
人民解放軍が中共政府に忠実であるとは限らない。
なぜなら、人民解放軍は国家の軍隊ではなく、中国共産党の軍隊であるからだ。したがって、中国共産党が地域ごとに分裂すれば、人民解放軍が混乱する可能性は高い。
実際に、文化大革命のときに、人民解放軍の一部が「実権派」の側に立って「造反派」に対抗した「武漢事件」が起きている。毛沢東全盛のときでもそういうことがあったのだ。
胡錦濤主席にカリスマ性はなく、指導力も絶対ではないと言われる。人民解放軍が、
政治的・経済的・社会的混乱が起きたときにどう動くかだけは読めない。

中共体制が崩壊し中国が分裂しても、中国という社会がなくなるわけではない。したがって、中国に進出、あるいは投資している日本企業が大きな被害を被るとしても、壊滅的打撃を受けるとは限らない。
それより怖いのは、政治的・経済的・社会的混乱の中で、1億~2億に達するであろう
追い詰められた貧民による民族大移動が起こることである。
東シナ海を超えて我が国に百万人単位で中国人難民が押し寄せて来たらどう対応するのか、ちょっと想像が付かない事態である。それは現実問題として大いにありうることである。実に恐ろしいことだ。

参考資料1:漢民族
参考資料2:中国
参考資料3:中国語の言語
参考資料4:中国の歴史
参考資料5:中国簡略史
参考資料6:中国の少数民族
参考資料7:省市自治区・主要都市別の地域情報
参考資料8:中国人民解放軍
参考資料9:アジアの都市とアジア人
参考資料10:

関連記事1:中国は間違いなく崩壊する
関連記事2:中国は間違いなく崩壊する part2
関連記事3:中国は、いつ崩壊するのか?
関連記事4:中国崩壊の序章
関連記事5:中国崩壊の序章-part2
関連記事6:石油をガブ飲みする中国の末路
関連記事7:中国は間違いなく崩壊する part3
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関連記事9:中国崩壊への胎動
関連記事10:中共:崩壊する統治能力

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中国は間違いなく崩壊する part4 (2005/12/30)

私が、このブログを立ち上げたのは今年の3月12日だった。最初のころのご来訪者数は、1日40~50人程度だった。1ヶ月後の4月11日の時点で、アクセス数は延べで1300人超。
これが、4月14日に『中国は間違いなく崩壊する』を上梓してから、一気にご来訪者数が増えた。このエントリーは好評を博し、いくつかのブログで紹介された。アクセス数は7週連続して第1位であった。
今でこそ、讀賣や産経などでも中国の深刻な現状が報じられるようになったが、当時はそういう記事は主要メディアでは皆無に等しかった。だから、ある意味、衝撃的だったのだろう。

次にエポックメーキングなエントリーになったのが、5月23日の『中国は、いつ崩壊するのか?』である。このエントリーをキッカケに、急激にアクセス数が増え始めた。調べてみると、当時の人気ブログ『娘通信♪』さんが高い評価を与えてくれていた(感謝!)。
また、人気ブログの中には、『中国は崩壊しない!』という反論を書くところもあった(笑)。
そして、4ヶ月目の7月13日に17万人を突破、11月26日には100万人突破。今では、
毎日1万人前後の方にアクセスしていただけるまでになった。ちなみに今現在のアクセス数は、延べで132万4312人。
読者の皆様に深く感謝いたします。

このブログの特徴は、何といっても『中国崩壊』に関するエントリーが多いことである。
これまでに、既に28本ものエントリーを上梓している。昨日、『中国崩壊シリーズ』というカテゴリーを新たに作り、関連エントリーをまとめたので、関心のある方は、正月休みの間に通読してみてほしい。
ところで、最近は、この『中国崩壊』に関するエントリーの人気がパッとしない。やはり、内容が過去のエントリーと重複するのと、他のブログでも『中国崩壊』に言及するエントリーが増えてきたためと思われる(要は、もうインパクトに欠ける~笑)。

振り返ってみれば、読者の反応がもっとも高いのは、『韓国の瑣末なことを取り上げ、
韓国及び韓国人をあげつらう』エントリーである。それだけ国民の間に、韓国に対する
フラストレーションが溜まっている、ということであろう。
私は、それを否定するものではない。が、極力『韓国及び韓国人をあげつらう』ことは
やめたいと思う(このブログでは、そういうエントリーは稀)。もちろん、盧武鉉政権と
韓国の愚かな行為は徹底的に批判するつもりだが・・・

という訳で、今日のエントリーも『中国崩壊シリーズ』である(笑)。

中国で、民衆の中共政府に対する不満が噴出している。
根本の原因はカネ。そして、そこから派生する『カネがないから医療が受けられない』という現実。
『拝金主義』の中国では、カネがなければ生きていけない。カネのない庶民は、医療さえ受けられない。これは切羽詰った問題である。何しろ『生死』に直結する問題である
からだ。
ところで、このカネと医療の問題は、中共体制の必然的な帰趨であるから手の施しようがない(笑)。

官僚組織の際限のない腐敗・堕落。すべてをカネでしか判断できない社会。
中国で、共産主義の『平等思想』が崩壊して久しい。『共産主義共同体』の象徴であった『人民公社』はとっくに廃止され、国有企業も民営化か解体の運命にある。
つまり、労働者も農民も、平等主義の『共産主義共同体』から弱肉強食の『拝金主義
社会』に放り出されたのだ。
そこで、彼らが直面したのが、『カネがないから医療を受けられない。医療を受けられ
なければ死ぬしかない』という社会の現実なのである。

中国の悲惨な医療の現実は、あの朝日さえ最近、記事や社説で書いている。
朝日新聞によれば、今年2月の時点で医療保険に加入していない人は全体の約66%。4人に1人は医療費が支払えないため受診をあきらめている(中国社会科学院)という(2005/12/23 朝日新聞)。
つまり、8億人以上が無保険状態にあるということだ。この状態がどのような現実を引き起こしているか!


『病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない』『病気になったら
焦る。焦る。病気になったら、計画経済が懐かしい』
中国ではやっている中国式狂歌である。最近、医療への不満をぶちまける歌が増えている。

計画経済が中心だったころは、職場が医療費を負担した。だが、市場経済化に伴って、国有企業が次々に解体し、多くの人たちが医療費を自分で工面しなければならなくなった。おまけに、病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくない。
貧しい人は病院に行けないのだ。

中国の経済発展はめざましいが、国民の収入の差は大きい。国家統計局が都市住民の収入を調べたところ、上位10%の人たちに富の45%が集まっていた。下位の10%の人たちは2%も得ていない。

医療だけでなく、福祉や年金の制度もくずれたため、貧しい人たちの生活は悲惨だ。
このままでは5年後に社会がもたなくなる、と政府系の労働賃金研究所でさえ警告している。

参照:(2005/10/14 朝日新聞【社説】)


黒竜江省のハルビン医科大学付属病院に皮膚がんで入院し、治療を受けた末、死亡した老人(74)のケース。かかった医療費は、2カ月の入院・検査費140万元と治療に使用するという名目で病院が家族に薬局で買うように指示した医薬費410万元の計550万元(約8千万円)。
カルテでは1日170キロの点滴など常識では考えられない治療が行われたことになっている。患者が買わされた医薬品は、医者が裏金を受け取っていた製薬会社の製品で、患者の治療には使われないものだった。

深セン市の病院でも、必要のない高額医療を患者に説明なく行い、120万元(約1千750万円)も請求したことが問題視され、世論の圧力に院長が辞職に追い込まれた。

北京駅で吐血した男性が救急車で病院に運ばれたものの、金がないことを理由に十分な治療が受けられず、痛みでのた打ち回りながら死亡した。

北京の在留邦人の妻(中国人)は、出産前の誤診で、帝王切開にすべきところを自然分娩にされ、母子ともども命の危険にさらされた。
胎児が仮死状態になったので、主治医の誤診を口外しないことを条件に緊急に帝王切開に切り替えてもらったが、今度は開腹手術ミスで子宮内の動脈を傷つけ、患者の体と心に重い後遺症を残してしまった。

ミスを指摘すると、担当医は『訴えてみろ。こちらは経験があるので裁判に負けることはない』『私は衛生局幹部と知り合いだ』『命を拾ったと思いありがたく思え』と高圧的に
なり、賠償や謝罪などは一切なかった。

夫は『妻の入院中、患者を間違えるケースなど2~3日に一度は見かけた。感染症は
患者の体力が原因だから責任がもてないとも言われ、輸血による感染症は病院の責任を問わないとする証明書へのサインを迫られた。医療ミスにあった患者は【失敗例】と
呼ばれ、人間的な扱われ方をしてもらえない』など、病院の恐るべき実態を打ち明けたが、『患者には泣き寝入りしかない』という。

参照:(2005/12/30 産経新聞

この現実に、産経新聞は

世論の怒りが噴出している

と書いている。

朝日新聞さえ以下のように書いている。

『国民の声が政策に反映する民主的な仕組みができない限り、貧しい人たちの不満は収まらないだろう。
光り輝く計画の一方で、影の部分に本当に光をあてることができるのか。世界がその
成り行きを見つめている』と・・・

もちろん、世論の怒りは医療だけではない。 FujiSankei Business i.は今日の記事で、

『胡錦濤・中国国家主席の人気が、この一年間で急落した。江沢民・前国家主席の
影響力が薄れ、胡主席は確実に権力を掌握しつつある。しかし、このところの保守化
傾向の強まりや民主化軽視の姿勢に対する“胡錦濤離れ”が、貧富の格差拡大を背景に、従来の知識層から農民にも広がっており、胡主席は危機感を強めている』

と書き、そして

『香港の中国筋によると、胡主席は民衆の立場に立った政治を行うとの「親民主義」を掲げてはいるが、人気低落が農村部にも広がりつつあることに強い危機感を抱いて
いる。胡主席は人気ばんかいのために、来年春の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、「所得の均等化」を強く訴えると伝えられているが、「時すでに遅し」と見る向きもある

と指摘している。

参照:(2005/12/30 FujiSankei Business i.

胡錦涛は、『親民主義』、『所得の均等化』、『調和社会の実現』とかとか、極めて耳障りのよいスローガンを掲げている。が、これは単なる『スローガン倒れ』に終わる可能性が高い。
実際の胡錦涛は、『調和の取れた文明型経済モデルへの大胆な転換』などとっくに
諦めている。

胡錦涛は、昨年秋の党中央委員会総会後の内部会議で、国際的な流れと逆行する
北朝鮮やキューバの共産党一党独裁体制を称賛し、『中国も北朝鮮の金正日総書記やキューバのカストロ大統領を見習わなければならない』などと発言している(同上FujiSankei Business i.)。
つまり、胡錦涛の主唱する『科学的発展観』の中身は、化粧をはがせば、金正日の
『悪魔の体制』と同じである、ということだ。
中共指導部の脳裏を離れないのは、『旧・ソ連の崩壊』であるという。情報公開や民主化を安易に進めれば、その先に待ち受けているものは何か!彼らも解っている。
民主化=体制崩壊、独裁強化=体制維持、これが本音であろう。が、1日の収入が
1ドル(約117円)未満の貧困人口が1億7千3百万人もいる現実を考えると、独裁強化
=体制維持の先に何があるのか???
これもまた地獄である。

讀賣新聞も、

『中国の胡錦濤政権が掲げる弱者重視路線が、正念場を迎えている。来年3月の全国人民代表大会(国会)で、政権は、農民や出稼ぎ労働者、失業者らに配慮した「調和
社会」建設を急ぐ「第11次5か年計画」(2006年~10年)を制定する。だが、現実には、民衆を軽視した当局の不祥事が相次いでおり、政権に対する信頼は急速に失墜しつつある』

と書き、

民衆が政府を見限りつつあるようにも見える。「調和社会」のスローガンに背き、
「弱者」を顧みない例が、あまりに多いためだ』

と極めて中共体制の将来に対して悲観的だ。

参照:(2005/12/25 読売新聞

一方において、胡錦涛は、『民の声』を聞き、『民の痛み』を知ることによって『公正』、『公平』な社会を作るのではなく、強権的に『民の不満』を押さえ込むことで現在の苦境を乗り切り、現体制を維持しようとする動きを本格化させている。


【北京=竹腰雅彦】独自報道で人気の高い中国紙「新京報」の編集局長ら複数の幹部が更迭され、これを不服とする同紙の記者や職員らが29日から大規模なストライキに
入ったことがわかった。

同紙関係者が明らかにした。中国メディアでストが行われたことが表面化するのは、
極めて異例のことだ。

新京報は2003年11月に発行を始めた日刊大衆紙。当局の厳しい規制下にある中国紙の中で、市民のニーズに沿った紙面と独自報道が持ち味で、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)患者の後遺症問題や、土地収用を巡る河北省の住民襲撃事件などをスクープ。

最近の松花江汚染問題でも11月24日付の社説では、中国当局による事実公表の遅れを「遺憾」だと論評していた。編集幹部更迭は当局の規制強化の一環とみられる。関係者によると、記者らは処分の撤回を求めている。
(後略)

幹部更迭に抗議、人気中国紙の記者らが大規模スト
(2005/12/30 読売新聞)

民衆に真実を知らせる=当局にとって都合の悪いことも公にする、このメディアとしての当たり前のことを実践した新聞社を弾圧する。
国務院(政府)の新聞弁公室は29日、『突発事件や関心の高い問題への記者会見を
充実させるほか、報道官育成に力を入れるなど、内外メディアへの情報公開を強化する方針を明らかにした』。
『2008年北京五輪を控え、国際社会に透明性をアピールする狙い』(2005/12/29 時事通信)というが、インチキ極まりない。
いくら『記者会見を充実させ』、『報道官を育成』しても、中身が『偽りあり』であれば欺瞞でしかない。そんなことも解らないのか???
第一、2008年の北京五輪まで『現体制』が持つのかどうか???力の入れどころを勘違いしている(爆笑)。

新型インフルエンザの世界的流行という危機が秒読みになる中、『真実の報道』を志向するメディアを弾圧する。一方において、デタラメな医療機関が世の中を跋扈する。
今の中共体制の明日は、『最悪の結果』で終わることは間違いない。断言する!

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やっぱり中国は崩壊する (2006/01/16)

今朝の讀賣新聞朝刊に面白い記事が載っている。「中国『開発独裁』の代償」という
藤野彰中国総局長の署名入り記事である。
記事は、
「庶民は共産党を憎んでいる。心底憎んでいる。共産党以外の政党が許されたら、俺も参加するよ」
という共産党員歴30数年の中国人の激烈な発言で始まる。

この藤野彰氏の知人である中国人は、
「今の中国は社会主義ではなく、官僚資本主義。高級幹部は病気になっても国が全部面倒をみてくれる。金のない庶民は癌にでもなったら、死ぬのを待つだけだ」
「社会の不公正は許し難い」
と怒りを爆発させている。
つまり、一般の党員レベルでも中国共産党に対して抑えがたい怒りを抱いているということだ。

藤野氏は書く。
「彼に限らず、庶民レベルでは党を腐(くさ)す声は耳にしても、ほめ言葉などまず聞かれない。党を取り巻く、冷え冷えとした空気を実感する」
と・・・

そして藤野氏は、中国の「真の脅威」は、「驚異的な経済成長」や「急速な軍備増強」ではなく、
「共産党の威信が地に落ちるなか、独裁体制がシロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか、その過程でどれだけの混乱が生じるか、という不透明感にこそ内在している」
と指摘する。

藤野氏は、
「体制のほころびは既に幾多の悲惨な現実となって露呈している。近年、中国では農民暴動、炭鉱災害、環境汚染など、異常な重大事件が続発しているが、それらには共通の要因がある」
とし、
「利権体質、官僚主義に象徴される政治・行政の腐敗と非民主制、そして国民を軽んじて恥じない権力者たちのおごり」
をその要因として挙げ、激しく非難している。

「もし中国が混乱して1%の難民が出たら、1300万人ですよ。1000分の1としても130万人。だから中国が安定することが周辺諸国にとってもいいことではないですか」
と、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長は昨年11月、訪中した角田義一・参院副議長に対して述べたという。
つまり「中国の安定」=「世界の安全」という論法だが、藤野氏は、この呉常務委員長の発言を
「裏返すと、共産党指導者も中国の真のリスクを認識しているわけだ。難民うんぬんは仮定の話とはいえ、冗談として片づけられないところに、揺らぐ中国の不気味さがある」
と受け止める。

そして、大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、『出口の見えない混迷』に震えていると結論づける。

参照:2006年1月16日 讀賣新聞朝刊「ワールド・ビュー」

私の1月14日のエントリーに対して
「21世紀は中国(の時代)になる」
「中国は最も優秀な資本主義の国、労働意欲も高く、貯蓄率も高い。一 時的な調整局面もあるが、数十年の単位で経済発展が続く」
という、ヘッジファンド「クォンタムファンド」を運営した投資家・ジム・ロジャーズ氏の発言をもってして、「皆さん、このサイトの中国崩壊説は、鵜呑みにしては危険です」とカキコするノー天気な中国大好き人間がいた。

このノー天気人間は、「明らかにこのサイトの情報は信用に値しないと思います」とまで書いている。
しかし、ヘッジファンドは短期のリターンを重視する。そのヘッジファンドで成功した人物の、何の根拠も示さない長期見通しを真に受けて、このブログの分析を非難する。
貯蓄率が高いのは、医療も含めた社会保障制度がまったく未整備のためであり、中国企業のコーポレートガバナンスの欠如やコンプライアンスの低さは世界的に有名である。労働意欲も高く???
あのゴールドマン・サックスも、「中国は10年後にGDPで日本を抜き、2040年代には米国を抜いて世界一になる」と予測している。ファンド系は利害が絡んでいるから、概して「中国バラ色」論が多い。

讀賣新聞の藤野中国総局長の見方を取るのか、ジム・ロジャーズ氏の「バラ色」論を
支持するのか???
私は、藤野総局長の方が現実を直視していると確信する。ジム・ロジャーズ氏の発言には「利害」が絡んでいる。

【追記】
自称『護憲派ブロガー』が、このブログにイチャモンを付けた件は、「親バカ」氏がブログ上で以下の謝罪の言葉を表明しています。

最後に、勘違いが発端になったとは言え、結果的に実験台みたいにして使ってしまった「依存症の・・・」さんには大変失礼なことをしてしまったことをお詫びし、前回のエントリーは非公開にします。

親バカ党宣言

前回、結果的に「親バカ」氏のブログをアシストしてしまうという皮肉な結果(爆笑)を招いてしまったので、今回はリンクを貼りません(笑)。

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2006/02/20

矛盾の深化に言論弾圧で対抗する中共


事実をありのままに伝えただけで処罰される。そんな不条理がいつまで続くのだろうか。

中国で言論統制の動きが、またも強まっている。

昨年暮れ、独自報道が持ち味の日刊紙「新京報」の編集長が突然、更迭された。土地収用を巡る騒乱事件のスクープといった「大胆な報道」が、更迭につながった。

先月には有力紙「中国青年報」の付属週刊紙「氷点週刊」が停刊処分を受け、編集長も更迭された。中国の歴史教科書は事実を記していない。日本批判だけでなく自国の教科書も見直すべきだ――。そう主張した論文の掲載が、処分の主因と伝えられている。

中国のメディア界はいま変動のさなかにある。従来、中国では共産党系の出版物が、報道の中核を担ってきた。だが、市場経済の浸透によって多様化が進み、新聞・雑誌は1万種を超えた。部数拡大を狙って独自色も強めつつある。

メディア管理は、共産党政権にとって独裁体制維持の要だ。新潮流の先頭走者でもある「新京報」と「氷点週刊」を摘発して緩み始めた統制を締めなおす。それが当局の狙いだろう。

胡錦濤政権は国民重視を意味する「親民政治」を掲げて発足した。当初は、言論自由化への取り組みが始まるとの期待もあったが、統制は強まるばかりだ。

昨年には、党の方針と相容(い)れない言論や思想を封じ込める規則や規定を乱発した。インターネットでの情報流通を厳格な管理下に置く新たな法規も定めた。

胡錦濤政権を統制強化へと駆り立てているのは、全土で続発する騒乱事件や重大事故で揺らぐ体制への危機感だ。化学工場爆発による昨年末の松花江汚染問題は、国民の命さえ軽視する中国の情報隠しの実態をさらけ出した。

統制強化と情報隠しは表裏の関係にある。情報の隠蔽(いんぺい)は、中国の国際的な信用を失墜させた。同時に国民の政権不信にも拍車をかけている。
(以下略)

[中国]「言論統制に『綻び』が見える」
(2005年2月19日 讀賣新聞【社説】)

上記の記事にもあるように、胡錦濤政権は国民重視を意味する「親民政治」を掲げて
スタートした。これは、経済成長一辺倒で、地域間及び階層間の経済格差を極端に
拡大させた江沢民の政治に対する反省だった。
このような背景の下に発足した胡錦濤政権には、当然のことながら言論自由化への
期待もあった。ところが、事態は逆方向に推移している。

2004年9月の第16期4中全会で、胡錦涛政権は、和諧(わかい)社会という新しいスローガンを打ち出した。「和諧」とは「調和がとれている」という意味である。
和諧社会は、都市と農村の発展の調和、地域の発展の調和、経済と社会の発展の
調和、人と自然の調和ある発展、国内発展と対外開放の調和を目的とする。
この和諧社会をめざすことによって、全面的に小康社会(いくらかゆとりのある社会)が建設され、中国はより安定的に発展を続けることができる。
これが、胡錦涛政権のめざすところであった。

今の中国には、都市と農村の極端な経済格差、拡大する一方の階層間の貧富の差、近い将来、人が住めなくなるとまで言われる環境破壊、検察官や裁判官ですらカネ
次第と言われる統治機構の腐敗・堕落、ひっ迫する資源・エネルギー事情など、絶望的なまでの難題が山積している。
2005年3月、第10期全人代第3回会議で温家宝首相は、これらの問題に対して、中国政府は一連の措置を講じて、民主的な法による統治、公平と正義、誠実と友愛、満ち溢れた活力、安定した秩序、人と自然の和睦などで互いに対処できる調和の取れた社会の建設に力を入れる」とし、「社会主義調和社会の構築」の実現に努力すると宣言した。
要するに、胡錦涛政権が2004年の第16期4中全会で打ち出した「和諧社会」構築の
再確認である。

ところがである。「民主的な法による統治」「公平と正義」などと、いくら声を大にして叫んでも、現実には「非民主的な、法に違反した統治」「不公平と不正義」がますます横行している。
なぜか!!!
昨年の11月、突然発行停止となった「深圳法制報」の元記者・何清漣氏(49歳)は、
讀賣新聞のインタビューに答える中で、 「胡錦涛政権は、問題を根本的に解決できないと悟った。指導部は、民衆を愛しているという演出と、党への脅威と感じる批判や行動を抑圧することだけに専念している」と断じている。

つまり、胡錦涛政権に「問題解決意識」はあっても、現実の矛盾は、その意識をはるかに超えたレベルにあるということだ。
「どんな手を打っても無駄」というより、「どんな手を打てばよいのかさえ分らない」というのが現実なのだ。
讀賣新聞の藤野彰中国総局長の言う、中国が直面している『出口の見えない混迷』が、これなのである。

「民主的な法による統治」「公平と正義」を実現しなければ体制が持たない。が、事態は逆へ逆へと動いていく。権力による不法行為がまかり通り、不公平と不正義がますますひどくなる。
これに対して、農民や民衆の抗議のための騒乱事件が頻発する。新聞を中心とする
メディアも政権に対する批判を強め始めた。もう建前にかまっている余裕はない。とにかく騒乱を強権を用いてでも鎮圧し、言論は問答無用と弾圧する。それによって、とりあえず時間を稼ぐ。
胡錦涛政権の実態は、およそそんなところであろう。

しかし、農民や民衆の暴動・騒乱が一向に収まる気配を見せないのと歩調を合わせるように、メディアも抵抗を始めた。

中国当局から更迭処分を受けた中国青年報の付属週刊紙「氷点週刊」の李大同・前編集長(53)と盧躍鋼・前副編集長は、18日までに、処分について「言論の自由の抑圧」とする抗議声明を海外のウェブサイトやメールを通じて公表した。
声明は、中国の歴史教科書を批判した論文を載せた「氷点週刊」を停刊処分とした
当局の対応を「職権乱用」とあらためて批判。当局が更迭理由に挙げた「外国メディアとの接触」について、「中国の法律のどこに外国メディアとの接触を禁止する条文があるのか」と強く非難している。
さらに李氏は、更迭処分は「党規約に反する」とした異議申立書も公開。異議申立書は胡錦濤国家主席、温家宝首相らに宛てており、「(メディア規制を担当する)共産党中央宣伝部の幹部は重大な憲法違反と党規約違反を犯した」などと指摘した。

学者や知識人も動き始めた。

中国青年報の付属週刊紙「氷点週刊」が、共産党中央宣伝部から停刊処分を受けたことについて、同紙に執筆経験のある北京大、清華大など国内の学者や知識人13人が17日、胡錦濤国家主席ら指導者に宛てた公開書簡をインターネット上に公表した。公開書簡で学者や知識人は、「言論や報道の自由をはく奪した。断固反対する」と党中央を非難。
これは、明らかに「氷点週刊」編集長を更迭された李大同氏を支援する動きである。
中国において、学者や知識人が党中央の決定に抗議の姿勢を明確に示すのは極めて異例の出来事である。

学者や知識人の公開書簡は、「氷点週刊」が掲載した歴史教科書に関する評論に対して、党中央が反対意見を示すことなく、強圧的に「(学者らが)見解を発表する機会を
奪ったことに断固反対する」と強調。
胡錦濤主席が以前、「憲法による監督制度」を重視する演説をしていたことを指摘し、
停刊処分は「言論、出版、集会、結社、デモなどの自由を認めた憲法に違反している」と批判。さらに「(違憲の事実は)容易にお分かりになると思いますが」との皮肉まで
交えている。

また、民主や法の支配の確立に向けた動きは「緩慢であっても正確でなくてはならない」と指摘し、胡錦濤指導部がスローガンとして掲げる「調和の取れた社会(和諧社会)」建設には、「異なる価値観を尊重する公正な制度が不可欠だ」と強調している。

出口の見えない混迷の中で、膨張中国はどこへ行く???

参照記事1:「言論の自由抑圧」と抗議 中国、更迭の前編集長ら (共同通信)
参照記事2:中国:「氷点」発行停止 処分を非難、学者らが公開書簡 (毎日新聞)
参照記事3:言論の自由奪ったと批判 中国、学者らが公開文書 (共同通信)
参照記事4:調和ある発展で小康社会を目指す
参照記事5:噴火口上の中国

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2006/02/12

出口の見えない中国に圧力を加える米国

どうにも米国の真意が読めない。
対中貿易赤字が過去最大の2000億ドルを突破するなか、米議会は「中国たたき」に
動き始めた。
超党派の上院議員らが9日、中国市場の閉鎖性などを理由に、同国への恒久的な最恵国待遇(MFN)を打ち切るべきだとする対中制裁法案を提出したのである。
巨額の貿易赤字、遅々として進まない人民元改革、知的財産権侵害の横行など、米世論の対中感情の悪化を受けて、議会が対中制裁に動くのは無理もない。

が、である。中国は今、危機に直面している。北東アジアの大国という仮面の下で、「出口の見えない混迷に震えている」。
このような中国を、米国は崩壊させようとしているのか、それとも漸進的な民主化を要求し、軟着陸させようとしているのか???
冷戦時代の(旧)ソ連に対する米国の戦略は、明らかに「ソ連を崩壊させる」というものだった。が、当時は政治のみではなく経済も断絶していた。それに対して今の米中は
経済的に相互依存関係にある。もっとも中国の一方的な黒字だが・・・

クリントン政権時代は、中国を「戦略的パートナー」と呼んだ。しかし、今のブッシュ政権の位置づけは、「中国は戦略的競争相手であり、戦略的パートナーではない」というものだ。むしろ中国は、「アジア・太平洋地域の安定への潜在的脅威」であり、「台湾及び南シナ海における覇権確立に強い野望を抱く国」として捉えている。
米国は中国に対して、人民元の大幅切り上げを要求し、知的財産権の保護と侵害行為の具体的かつ強力な取り締まりを求めている。そして、これらの要求が満たされなければ、報復措置を取るという強硬姿勢を示している。
ブッシュ政権の対中基本姿勢からすれば、これは「中共体制を崩壊させる」とまでは
いかなくても、「中共体制が崩壊してもやむをえない」と思っているのではないか。

中国は、ますます混迷の度合いを深めている。まさに、米国がその気になれば、中共体制は崩壊の危機に直面する。
以下は、2006年 2月11日付けの産経新聞朝刊に掲載された記事を参照に、ますます深刻化する中共体制の危機を分析したものである。

中国では、これまで農村と都市の収入格差が大きな社会問題になっていた。04年の
ジニ係数(格差の指標:注-1)は0.45~0.53(国連人類発展報告)にまで拡大。暴動
リスクをはらむ「危険ライン」を越えている地域が広範囲に広がっていた。実際に、05年に中国で起こった暴動や騒乱は8万7千件にのぼる(中国公安省)。

ところが、最近の調査では、都市内の住民の収入格差もジニ係数で「警戒ライン」上の0.4前後に達している。とくに、首都・北京の所得格差はジニ係数で0.5前後(中国社会科学院)。これは、暴動リスクをはらむ「危険ライン」に
北京が既に達している
ということを意味する。
ジニ係数0.5ということは、上位25%の金持ちが地域の総所得の75%を占めているということだ。この貧富の格差は半端ではない。社民党や共産党が格差社会の典型として非難する米国でさえ0.36。ちなみに我が国のジニ係数は0.31(2005年 OECD)。
調査の結果について、李迎生・人民大学社会学部教授は「新聞晨報」上で、「低所得層に“剥奪感”が生まれ、心理バランスが崩れ、社会報復行動にでる恐れがある」と
警告している。
また中共政府自身(労働・社会保障部労働給与研究所)も、「中国における収入の格差は2003年以来、急速に拡大し、すでに『イエロー・ゾーン』の状態だ。有効な措置をとらなければ、5年以内に『レッド・ゾーン』に突入する」と認めている。
ここで思い出すのが、「庶民は共産党を憎んでいる。心底憎んでいる。共産党以外の
政党が許されたら、俺も参加するよ」という讀賣新聞・藤野彰中国総局長の知人で、
共産党員歴30数年の中国人の激烈な発言である。

中国の2005年末時点での外貨準備高は8,189億ドル(約93兆6,000億円)で僅差の
2位。貿易黒字は1,020億ドル(約11兆6,600億円)でダントツの世界一。とくに対米黒字は2,016億2600万ドル(約23兆429億円)にものぼる。
ここまでくれば、当然のことながら人民元の大幅な切り上げと内需の急速な拡大を国際社会から求められる。ちょうど1985年9月のプラザ合意当時の我が国と同じ状況なのだ。
国際社会からの要求に応じなければ、当然のことながら相手国から報復措置を受ける。冒頭記事にある、米国の「最恵国待遇(MFN)見直し」などもその一環である。

ところが、今の中国は人民元の大幅な切り上げもできなければ、内需の急速な拡大も期待できない。
人民元を大幅に切り上げれば、繊維や雑貨、電気製品などの輸出産業が大打撃を
受け、中小企業の倒産、失業者の増大など、国内経済が大混乱する。既に暴動リスクをはらむ「危険ライン」を越えている状態にある中で、このような事態は受け入れられない。
内需の拡大に関して言えば、ジニ係数が0.45~0.53の社会、つまり「富が偏在する(人口の20%~25%を占める金持ちが、地域の総所得の50%~75%を占めている)社会」で内需が伸びることはない。
「深圳法制報」の元記者で「中国人権」の研究員である何清漣氏も、中国の中産階層の少なさ(全体の15%)や農村や都市の余剰労働力の膨大な数(農村3億人、都市部数千万人)を挙げ、中国に中産階層社会ができるという幻想を否定している。

人民元改革も内需拡大もできない。頼みの綱は輸出だけ。
つまり、今の中国は、世界中の国々と摩擦を起こしながらも、輸出第一主義で突っ走るしかないのだ。そして、突っ走れば突っ走るほど国内の矛盾は深化し、今や首都・北京さえ暴動リスクをはらむ「危険ライン」に達しているのである。
米国はそれを承知しているはずである。にもかかわらず米国は、「最恵国待遇(MFN)
見直し」などという圧力を加える。「最恵国待遇(MFN)見直し」の次は、不公正貿易国としてWTO(世界貿易機関)に中国を提訴する段取りに入るであろう。
ロイター通信によると、米国政府は知的財産権の保護をめぐって、「中国側から実体を伴う回答がなければ、WTOに中国を不公正貿易国として正式に提訴するしか選択肢がなくなる」と言明している。

何度も引用したが、何氏は、今の中国を出口のない状態と指摘する。讀賣新聞の藤野彰中国総局長は、「大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、出口の見えない混迷に震えている」と分析している。そして、朝日新聞の山田厚史編集委員さえ「08年の北京五輪、10年の上海万博までは成長は持続する、と見られているが希望的観測の域をでない。桁外れに大きな隣国の混乱は他人事では済まない」と書く。

米国は、このような中国の背中を押そうとしているのであろうか???
米国が制裁を正式に課せば、EUが追随する可能性が高い。ブラジルなどの途上国も、中国のソーシャルダンピングには不満を募らせており、制裁をちらつかせている。
輸出による膨大な黒字と外貨準備高でかろうじて現体制を維持している今の中国から、輸出という宝の箱を取り上げたらどうなるのか???
米国は、事態をどこまで真剣に捉えているのであろうか???

注-1:ジニ係数
イタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案された所得分配の不平等状況を示す
係数。0から1の間を推移する統計指標で0に近いほど平等となる。
0のときには完全な「平等」=皆が同じ所得を得ている状態を、1のときには完全な
「不平等」=1人が全所得を独占している状態を示す。一般に0.3~0.4は格差もあるが競争も促進され好ましい面もあるとされる。
「警戒ライン」の0.4を超えると社会不安を引き起こす可能性があり、「危険ライン」の0.5を超えると慢性的に暴動の危険をはらむ(25%の人間が75%の富を保有している状態)。
2005年に経済協力開発機構(OECD)が公表した日本のジニ係数は0.31、米国は0.36。

参照記事1:米議会「中国たたき」――対中貿易赤字2000億ドル突破
参照記事2:中国、貧富の格差深刻 北京、暴動はらむ「危険ライン」
参照記事3:中央党校:政策に注文、貧富の格差を強く警告

【追記】
私の記事の信頼性を貶(おとし)め、中国も日本も変わらないと言いたいのか、我が国のジニ係数が0.4983というカキコがあった。
この0.4983という厚生労働省の数字は2002年のデータである(ジニ係数は4年ごとに
公表されるので、これが最新データ)。この数字は、民主党の前原代表も取りあげ、
「小泉首相の在任中に、所得の不平等指数であるジニ係数は0.50に拡大した」と1月の衆院代表質問で声高に強調した。
また、ネットで調べてみると、このジニ係数0.4983を捉えて、「日本も上位25%の金持ちが総所得の75%を占めている極端な格差社会である」と主張しているブログがけっこうある。
が、ちょっと待ってほしい。それはタメにする議論である。
まず、この0.4983という数字は、公的年金を所得として含んでいない。したがって、公的年金だけが所得となる高齢者世帯は所得ゼロとカウントされるので、高齢者世帯が
増えればジニ係数が大きくなる。
実際は、世帯所得から税金や社会保険料(年金、医療など)を引き、公的年金などの
社会保障サービス(再分配所得)を加えると、ジニ係数は0.38にとどまる。さらに、国際比較のために世帯別ではなく個人単位にしてジニ係数を算出すると0.322になる。
これはOECDが2005年に公表した日本のジニ係数0.31とほぼ同じである。
アメリカ(0.368=2000年)やイギリス(0.345=1999年)よりも格差は小さく、フランス(0.288=1994年)やドイツ、スウェーデン(0.252=2000年)よりも大きいという結果で、3年前の調査(小泉内閣発足前)とほぼ変わっていない。

参照:2006年2月12日 讀賣新聞 格差社会
参照:2004年11月3日 所得格差拡大のホントのところ

【追記2】
「我が国のジニ係数が0.4983というカキコ」は悪意ではなかったようです。
早とちりして申し訳ない。

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2006/02/08

噴火口上の中国

何清漣、49歳、米国在住。元・中国共産党深圳市委員会宣伝部職員。昨年の11月、突然発行停止となった、大胆な報道で有名な「深圳法制報」の元記者。
何氏は、1998年に現代中国の抱える問題点を突く『中国現代化の落とし穴』(邦訳・
草思社刊)を発表し、大反響を呼ぶ。が、その結果、中共当局の監視下に置かれるようになり、2001年に渡米(実質的な亡命)。
現在は、民間団体『中国人権』の研究員などを務め、研究・執筆活動を続けている。

その何氏が言う。
「中国は、性・食・余暇など生活分野の自由度は非常に大きい。しかし、政治分野では90年代後半から制約が強まり、民主化からますます遠のいている。記者や作家の
拘束、新聞・雑誌の発禁、農民暴動の鎮圧が相次いでいる」と・・・

90年代後半と言えば、江沢民から胡錦濤への権力移譲が進んでいたときだ。胡錦濤は1998年3月、全人代で国家副主席に選出され、1999年9月には軍事委員会副主席に就任している。
そして、2003年11月、中国共産党総書記に選出され、中国の最高権力者の地位に
就いた。

私は、江沢民にはよい印象を持っていない。経済成長一辺倒。強烈な反日民族主義
教育の実践者。今の中国の深刻な内部矛盾は、この江沢民の時代に作られたと思っている。
以前の私は、この上海の田舎官僚・江沢民から、共産主義青年団出身のエリート
官僚・胡錦濤にトップが代わったことで、中国は変わるのではないかという期待を抱いていた。
しかし、何氏の言うとおりであるとすれば、実際は、強権政治は江沢民の時代よりも
ひどくなっているということだ。

何氏は「中国は、以前は政権に抗議する人々にアメとムチを使っていたが、今はムチしか使わない」とも言う。
そう言えば、胡錦涛は、昨年秋の党中央委員会総会後の内部会議で、国際的な流れと逆行する北朝鮮やキューバの共産党一党独裁体制を称賛し、「中国も北朝鮮の金正日総書記やキューバのカストロ大統領を見習わなければならない」と発言している。
民主化どころか、北朝鮮のような圧殺体制が見習うべき「お手本」と言っているのだ。

この点について何氏は、「江沢民時代は腐敗も貧富の差も今ほど深刻ではなく、政権は問題を解決できる可能性があると考えていた。しかし胡錦涛時代になると、問題を
根本的に解決できないと悟った。指導部は、民衆を愛しているという演出と、党への
脅威と感じる批判や行動を抑圧することだけに専念しているのだ」と断罪する。

何氏は、中国の中産階層の少なさ(全体の15%)や農村や都市の余剰労働力の膨大な数(農村3億人、都市部数千万人)を挙げ、中産階層社会ができるという幻想を否定する。
「職がないのに中産階層社会を作れるだろうか」と、胡錦涛政権がさかんに宣伝する「調和社会」建設や「小康社会」の実現を不可能と断定する。

そして、経済成長についても、「環境的制約」「資源的制約」「低賃金」という三つの理由を挙げて、このまま高度成長が続くという楽観論に対して冷水をあびせている。
何氏は言う。
「環境(悪化)はすでに経済成長を支えきれなくなっている」「中国はすでにエネルギー資源の相当量を輸入に頼っているが、将来、依存度は50%を越える」「中国は賃金が低いので購買力に欠ける。中国経済は国内需要が伸びなければ、長く栄えることは
できない」
この何氏の分析と主張は、私がこのブログの『中国崩壊シリーズ』で述べてきたこととほぼ同じである。ここまで私の主張を裏付けるような見解を、当の中国人研究者から
披瀝されると、さすがにうれしい。
また、このように、今の中国を冷静に分析できる中国人がいるということが、もっとうれしい。

何氏は、今の中国を出口のない状態と指摘する。これは、「大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、出口の見えない混迷に震えている」という、讀賣新聞の藤野彰中国総局長の分析結果とまったく同じである。
つまり中共当局者自身が、いまの事態に、どう対処すればよいのかが分かっていない。だから、「以前は政権に抗議する人々にアメとムチを使っていたが、今はムチしか
使わない」「民衆を愛しているという演出と、党への脅威と感じる批判や行動を抑圧することだけに専念」する以外になす術(すべ)がないのである。

今の中共体制は、噴火口の上にある。

参照記事:「膨張中国」 (2006年2月7日 讀賣新聞朝刊)

【追伸】
年明けから、部下が80人に増えて、仕事量が1.5倍になりました。9:00~23:00の14時間労働。おまけに週休1日。エントリーを更新するのがやっとで、TB返しやコメント返しが満足にできません。
ただ、コメントやTBいただいたエントリーは必ず読んでいます。ご容赦を!

china-otosiana 
中国現代化の落とし穴―噴火口上の中国
何 清漣 (著)





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2006/01/31

中共官僚 くさ~い臭いの源

中国の共産党官僚が、どうしてあんなに腐敗・堕落しているのか?なぜ不正を働いても恥じることなく平然としていられるのか?

開発業者と結託して農民の土地をタダ同然で取りあげる。土地を転売して大もうけをする。本来は農民に支払われるべき補償金も自らの懐に入れる。反発する農民は警察力を動員して押さえ込む。あるいは暴力団をカネで雇って農民を襲撃させる。

炭鉱主と結託して違法炭鉱に投資し、もうけを吸いあげる。違法炭鉱は安全性を無視して採炭作業を行うから事故が続発し死者が続出する。
共産党官僚は事故を隠蔽する。そのためにはメディアの記者に現金を握らせる。それでも発覚すると、労働者のレベルが低く規則を守らないから事故が起きると言って開き直る。

病院もカネがなければかかれない。
黒竜江省のハルビン医科大学付属病院に皮膚がんで入院し、治療を受けたが死亡した老人(74)のケース。
医療費は、2ヶ月の入院・検査費140万元。治療に使用するという名目で病院が家族に薬局で買うように指示した医薬費410万元。合計550万元(約8千万円
カルテでは1日170キロの点滴など常識では考えられない治療が行われたことになっていた。患者が買わされた医薬品は、医者が裏金を受け取っていた
製薬会社の製品
で、患者の治療には使われないものだった。
国立大学の付属病院ですらこうである。一方で国民全体の約66%が健康
保険に加入していない
。つまり3人に2人は全額自己負担。

労働者の国、働く者の天国であるはずの国が、なぜこうなってしまったのか?
野村資本市場研究所シニアフェロー・関志雄氏(中国人)が言うように、「中国はもはや社会主義ではなく、資本主義」で、「しかもアジア型の開発独裁」であるからか?
しかし、かつて『アジア型の開発独裁』であった台湾やインドネシアも、ここまでひどく
なかった。朴正熙政権下の韓国は、今より汚職や犯罪が少なかった。

では、中国人及び中国社会の民度が低いからか?
これは確かに原因の一つであろう。が、民度の低さをもってしても、本来は『労働者の国』であり『働く者の天国』であるはずの国家の役人が、ここまで腐敗・堕落することの説明にはならない。

私は、主要な原因を共産党と、その独裁に求める。
共産党は前衛党である。プロレタリアート(労働者階級)の前衛。つまり『共産主義と
いう科学で理論武装した職業革命家』=『前衛』が結集した組織が共産党なのである。
当然、『前衛』は、もっとも先進的で革命的。その『前衛』で構成される共産党は、人類社会の未来を指し示し、労働者・人民を指導し教育する立場にある。
要するに、共産主義思想において、前衛はエリートであり、共産党はエリートの集団
なのである。
逆に言えば、労働者・人民は無知蒙昧。無学で文字の読み書きさえ満足にできず、
政治的・社会的意識も極端に低い。

これが、共産党官僚の貴族化・特権階級化を生み出した原因である。
実際に、ロシア革命時のロシア人は大半が農奴であったし、中国共産革命当時の中国人も多くが半奴隷状態にあった。
共産主義革命の先輩・(旧)ソ連においても、共産党官僚の貴族化・特権階級化が顕著に見られた。共産主義思想における選民意識が、中国的伝統というか特殊性によって、さらにひどくなった。

共産主義思想において『独裁』とは、「いかなる法にも、いかなる絶対的支配にも拘束されることのない、そして直接に武力によって自らを保持している、無制限的政府」のことである。
なぜなら、革命後も、全ての生産手段が社会化される社会主義社会に至るまでの時期には、反革命勢力となるブルジョアジー(資本家階級)が残存している。革命勢力で
あるプロレタリアート(労働者階級)は奪った権力を行使して、これを抑圧しなければならない。
これが共産党の言う『プロレタリア(労働者)独裁』であるが、歴史的な事実は、『プロレタリア(労働者)独裁』ではなく『共産党の独裁』であった。

このような共産党と共産党独裁が上部構造(政治)として維持されたまま、下部構造(経済)だけが公平・平等を旨とする社会主義から弱肉強食の資本主義になった。
そこには、もはや『生産手段の公有化』による平等という考え方は微塵もなく、『権力を持った者がすべて、カネがすべて』という社会しか存在しない。

中国共産党の官僚が腐敗・堕落し、不正を働いても恥じることなく平然としていられる
背景には、このような政治的・社会的状況があるのである。
『共産党独裁の政治』+『弱肉強食の経済』+『民度が極端に低い社会』。
これらが今の中国の現実を解明するキーワードであろう。

私は、出世作(笑)の『中国は間違いなく崩壊する』で、「『下部構造が上部構造を規定する』というマルクスの理論を持ち出すまでもない。要は、油(資本主義)と水(共産主義)は永遠に交わることがない、ということだ。加熱した油に水を差すと、油が弾け飛び、鍋は爆発する、これが自然の成り行きである」と書いた。

どうあがいても、中共体制は崩壊する!

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2006/01/27

言論統制強化は中共崩壊の予兆?

「民主主義の値段は2000ドル(約23万円)」という説がある。
開発途上国が発展して一人当たりの国民所得が2000ドルを超えると、民主化運動が起こり、独裁政権が倒れるケースが多いからだ。
このブログでも、その論文を何度か引用させてもらった野村資本市場研究所シニアフェローの関志雄氏(中国人)は、「中国はもはや社会主義ではなく、資本主義です」「しかもアジア型の開発独裁」と指摘する。
つまり、かつての韓国や台湾、インドネシアと同じというのだ。この3ヶ国は、いずれも「アジア型開発独裁」から民主主義に移行した。

中国の2005年現在の一人当たりの国民所得は約1300ドル(15万円)程度と予測される。都市部では既に5000ドルを突破した思われる。
ということは、そろそろ民主化を求める動きが表面化してきてもおかしくない。事実、これまで当局の完全な統制下にあった新聞や週刊誌で、中国内のネガティブなニュースや当局が隠蔽したい情報が部分的ではあるが報道されるようになった。
本来であれば、中共当局はこの動きを拡大させ、「開発独裁体制」から「民主体制」へと軟着陸を図るべきである。なぜなら、開発独裁がいずれ行き詰ることは歴史が証明しているからである。

ところが、中共当局はまったく逆の方向に走り始めた。今、中国では、言論統制が急速に強化されつつある。

中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」の付属週刊紙「氷点週刊」が25日、当局によって発行停止処分に追い込まれた。「中国青年報」は比較的自由な報道姿勢で知られており、特に斬新な切り口の記事を掲載する「冰点週刊」は人気が高かったという。
同紙が今回掲載した評論の中で、中国の歴史教科書が「正しい歴史を教えていない」と批判したことが問題視されたと見られる。問題の評論は、袁偉時・中山大教授が執筆。

評論は、「中学高校の歴史教科書をみて驚いた。青少年は(母乳ではなく偽物の)オオカミの乳を飲み続けている」として、中国の教科書が正しい歴史の知識を教えていないと批判。一例として、英国軍が一方的に侵略したと教えられる第2次アヘン戦争(1856~60)について、実際は中国側にも国際法を順守しない過ちがあったと指摘した。
また、1900年の義和団事件で、1か月内に児童53人を含む外国人231人を殺害した残虐行為の記述が中国の歴史教科書にほとんどない点なども指摘。日本の歴史教科書を批判するだけでなく、自国の歴史教科書の記述も見直すよう訴えた。

中国では、当局側の歴史認識を批判するのは極めて異例と言われる。が、歴史教科書の明白な事実誤認を指摘しただけで発行停止処分とは・・・
こんな国に、我が国の歴史認識や歴史教科書を批判する資格などない。

ところで、今回の処分から、胡錦濤政権の言論統制強化の姿勢が如実に見て取れる。昨年末にも、黒龍江省の松花江で発生した大規模な化学物質汚染事故をスクープし、当局による事件の隠ぺい工作を批判した人気日刊紙「新京報」の編集局長らが更迭され、記者らがストライキで対抗する騒ぎがあったばかりである。
広州の「南方都市報」も、広東省広州市郊外の太石村で起きた「民主化の星火」あるいは「民主化の小崗」と呼ばれた農民の抗議行動を詳報したために副編集長の夏逸陶氏が解任された。
大胆に報道することで有名な「深圳法制報」も昨年の11月、突然発行停止となった。
当局は長期的に赤字経営に陥ったためと公表しているが、実際は同紙が頻繁に社会の暗部を暴露する記事を掲載したためと言われる。
中国共産党は今月中旬、報道関係者が「党と人民の代弁者」に徹するよう求めた意見書を発表している。要は、メディアは『御用新聞』に徹しろ!それ以外の言論など百害あって一利なし!ということだ。

「中国は発展の道を歩みつづけ、人権問題でも大きな進展を得た。中国人民は宗教の自由を含む、民主主義と自由を享受している。国と国は、平等・相互尊重・内政不干渉の原則のもと、人権問題に関する対話を進めるべきだ」(中国外交部)
昨年の11月16日に、京都で行ったブッシュ米大統領の「表現や宗教の自由が保証されている台湾を見習えば、もっと中国は繁栄する」という主旨のアジア政策演説に対する反論である。
現実を見れば、もうあきれ果てて、怒りよりも笑いが先に来てしまう。胡錦濤は、あの北朝鮮の『悪魔の体制』を高く評価しているというから、これも当然か!

経済の高度成長が続いている中で言論統制強化に走るということは、
それだけ危機が深化している、ということだ!

参照1:中国、歴史教科書批判に処分 政府系紙の特設ページ停刊
    (2006年01月25日 朝日新聞)
参照2:歴史教科書批判が原因か…中国人気紙が停刊処分
    (2006年01月26日 読売新聞)

【追記】
25日に発行停止に追い込まれた中国の週刊紙「氷点週刊」の編集長の抗議文が公開された。
言論人として、極めてまっとうな主張を展開している。
こういう言論人を封殺するようでは、中共体制の前途は真っ暗である。


中国の歴史教科書について、中国の週刊紙「氷点週刊」が「正しい歴史を教えて
いない」と批判したことで発行停止処分になった問題で、同紙の李大同編集長が出した公開抗議文を26日、米国の中国ニュースサイト「多維網」が掲載した。

抗議文は、処分について「新聞人として発行停止は最も理解できず、受け入れられない」「新聞は社会の公器であり、読者と契約を結んでいる」と主張。「上層部の少数の
人間が背後で操作した」と共産党中央宣伝部を批判した。

また、歴史問題について「材料と観点を平等にし、心を静めて和やかな雰囲気で話し合ってこそ、徐々に共通認識に到達できる」として、
冷静な議論が必要と訴えた。

中国で発行停止、編集長の抗議文が米サイトに
(2006年01月27日 朝日新聞)

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2006/01/26

危機感を深める中共当局

われわれは歴史的な過ちを犯すことはできない

中共当局が危機感を深めている。
上記の言葉は、昨年末に、温家宝首相が中央農村工作会議で述べた言葉である。
中央政府のトップが、「歴史的な過ちを犯すことはできない」などと発言するとは、中国内部で、容易ならざる事態が進行しているということだ。


【香港=吉田健一】香港紙「太陽報」などが21日報じたところによると、中国・広東省トップの張徳江・共産党省委員会書記は19日、党や政府の当局者が土地収用など不動産開発に関与することを禁止し、違反した場合はただちに免職する方針を示した。

広東では現在、土地収用をめぐる当局と住民のトラブルが続発している。住民の間では、補償金の着服など、当局者の腐敗に対する不満が渦巻いている。

今月14日には同省中山市で、土地収用に抗議する農民と警察とが衝突する事件が
起きている。

当局者の不動産開発に厳罰、中国・広東省高官が方針
(2006年1月21日 読売新聞)

昨年、中国で起こった暴動や騒乱は8万7千件にのぼる(中国公安省)。発生件数は、2004年に比べて6.6%増と確実に増えている。当局の土地収用に反対する農民の抗議行動が主で、毎日238件起きていることになる。

冒頭の記事にある、広東省中山市三角鎮で14日に起きた農民と警官隊との衝突では、警官2人と農民3人が負傷している(新華社電)。
しかし、これはあくまでも当局発表であり、AFP通信は農民の話として、警官隊が電気警棒や催涙弾、放水で2万人の農民らを制圧、数十人の負傷者が出たほか、13歳の
少女1人が死亡したと伝えている。
党中央の政治局員も兼ねる張徳江・共産党省委員会書記が、「党や政府の当局者が土地収用など不動産開発に関与することを禁止し、違反した場合はただちに免職する方針を示した」のは当たり前であるが、遅きに失したと言わざるをえない。

広東省は、上海と並ぶ「珠江デルタ経済圏」を抱える。中国経済の発展と繁栄を象徴する一方の雄である。その広東省で、2万人規模の暴動が起こる。
深刻な格差は、沿海部と内陸部だけではなく、高度に発展したと思われている沿海部の先進地域内にも存在するということだ。
張書記は、昨年の10月に「広東省は中国の経済改革の先駆的存在であり、急激な
経済成長などの奇跡を達成したと思われているが、実際の広東省の運営は綱渡りの状態だ」と述べている。そして「広東省では表面に表れてこない問題や危険性が山積している」とし、具体的な問題点として「急激な経済開発に伴い、耕作可能な土地が減少し、水質や大気の汚染が極度に悪化。飲食物の安全を確保できない状態だ」と悲鳴にも近い危機感を表明している。
「広州を中心とした珠江デルタ経済圏は経済的に繁栄しているが、
省北部は厳しい貧困状態に陥っており、まったくの未開発
だ」との
実態も明らかにしている。

このような事態に危機感を抱いているのは地方政府だけではない。中央政府の温家宝首相も、昨年末に開催された中央農村工作会議で、「ある地域では適正な補償もなしに農地を不法に収用した結果、暴動を引き起こしている。これは農村ばかりでなく、
中国全体の不安定要素でもある」と述べたうえで、われわれは歴史的な過ちを犯すことはできないと指摘(新華社電)している。
つまり、中共トップも、農村と農民の中に渦巻く中共当局に対する恨みにも似た不満が、中共体制の屋台骨を揺るがしかねないという懸念を抱いているのである。

温首相は、同会議で「農民の民主的権利を守り、物質的な利益をも与えなければならない」としたうえで、「農村の生活の質を高め、公正さと正義を保証することこそが、極めて重要なことであり、緊急の責務だ」と強調した(新華社電)というが、もう手遅れである。
農民からタダ同然で取りあげた土地を開発業者に売り渡し私腹を肥やす。これは、腐敗官僚個々の問題ではない。行政、共産党、警察、検察、裁判所、人民代表者会議(議会)という、およそ統治に関わる権力機構のすべてが不正な利権に絡んでいる。
つまり、不正な利権構造は、中国共産党及び共産党が支配する統治機構の本質的な問題なのである。

過去のエントリーでも書いたが、中国では行政、立法、司法、軍事のすべてが、形式上はともかく、実際上は国家・国民によってではなく共産党によって支配されている。中国人民解放軍も「国家の軍」ではなく「党の軍」である。
これが、党幹部は言うに及ばず、一般の役人から警察官、果ては検察官や裁判官に
まで至る腐敗の元凶なのである。

根本的なねじれは、「共産党は人民の党であり、人民のためにある」という幻想がとっくの昔に崩壊したのに、未だにその虚構を拠りどころにして人民を支配している中国共産体制に起因する。
共産党が「革命の党」であったときは、まだ「人民の党」であったかもしれない。
が、「支配政党」になったときから「共産党官僚の党」になったのである。
だから、すべてが党官僚(役人)のために働くシステムとして機能していく。そこでは、人民の涙や血が、いくら流されようとも関係がないのだ。

不正な利権構造を暴き、切開手術を施せば、中国共産党が崩壊する。

経済も高度成長だが、暴動・騒乱も高度成長

水や大気の汚染が極度に悪化。飲食物の安全すら確保できない

中国の『夢物語』の結末はどうなる???

参照:農民暴動、昨年は6%増8万7000件 (2006/01/24 フジサンケイ ビジネスアイ)

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2006/01/17

貯蓄総額198兆円を分析する

中国人民銀行(中央銀行)によると、昨年末の中国国内の貯蓄総額が約198兆1千億円(14兆1千50億元)に達したことが分った。世界一の家計金融資産を誇る我が国の2003年度末の預貯金総額は739兆円。中国の国内総生産(GDP)が我が国の3分の1であることを勘案すれば、この198兆円という数字がいかに巨額であるかが解る。
中国の貿易黒字1019億ドル(約12兆円)、外貨準備高9130億ドル(約108兆円)、いずれも世界一である。これらは、貯蓄総額と併せて、急速な経済発展による富の拡大を
象徴している。

ところで、不完全就労者が3億5千万人にのぼり、1日の収入が1ドル未満の貧困人口も1億7千3百万人いる(アジア開発銀行報告)国で、なぜ貯蓄総額が約198兆1千億円もあるのか?
それは、社会保障制度がまったく整備されていないからである。安心な日常生活を送る上で不可欠な医療保険さえ、未加入者が全体の約66%もいる。おまけに医療費や
薬価はべらぼうに高い。

高い貯蓄率は投資資金の不足を補う重要な原資となり、中国経済の高成長を支えた。増え続ける預貯金が資金の流動性を保証し、銀行経営を安定させる原動力となった。
しかし、社会保障制度が未整備であるから預貯金が増える、預貯金が多いから投資が拡大し高成長が続く、という歪(ゆが)んだ構造はリスクも大きい。

4大国有銀行を中心とする中国の商業銀行は、まだ巨額の不良債権を抱えている。
保険業投資の失敗や逆ざやで生じた損失も巨額にのぼる。中共政府の発表でも、4大国有銀行の不良債権は、2005年10月末時点で10.18%(約1兆230億元=約14兆7700億円)もある。
コンプライアンス(法令遵守)も低く、中国銀行監督管理委員会の12月の調査では、
違法融資や使途不明金などの不正資金が、4大国有銀行の貸出残高合計の約6%
(約8兆5000億円)もあった。
もし、貯蓄率が低下すれば、このような脆弱な金融システムが大きく揺らぐ可能性が
ある。

国民の貯蓄性向が高く貯蓄残高が多いということは、裏返せば、国民の消費支出が
低いということである。消費支出が低いということは、輸出主導型の経済成長から抜け出せないということである。
中国の貿易総額は、GDP(国内総生産)の約70%を占めている。我が国は約10%であるから、いかに輸出依存度が高いかが分る。
輸出依存度の高い経済成長は、ますます貿易黒字を拡大させる。貿易黒字が拡大すれば、貿易摩擦はより深刻化する。

昨年の米国の対中貿易赤字は2000億ドル(約23兆7000億円)を超える見通しである(2005/11/14:ポートマン米通商代表)。今後とも、米国を始めとする外国からの人民元切り上げ圧力をかわし続けるのは容易ではない。
が、政府直属の社会科学院経済研究所は、5%の切り上げで失業者は最大で300万人以上、20%だと、1千万人以上が失業すると予測している。そして、「数百万人もの失業者増加。こんな政治リスクに耐えられる指導者がいるわけがない」(張曙光研究員)と・・・

つまり、膨大な額の国民貯蓄も貿易黒字も、両刃の剣なのである。巨額の外貨準備高も、元高を防ぐための為替介入の結果にすぎない。
確かに中国は成長している。国家の富も拡大している。しかし、政治・経済・社会の
全般における歪(いびつ)な構造が、成長すればするほど体制の矛盾を深化させる。
そして、一つの矛盾が他の矛盾と密接にリンクしているので、どれかを解決しようとすると他の問題が火を噴く。火を噴くのを押さえ込もうとすると、別の矛盾が噴出する。

今の中国は、讀賣新聞が書いているように『出口の見えない混迷』に震えているのだ!

参照:貯蓄総額が14兆元超 経済にマイナス影響も (フジサンケイ ビジネスアイ)

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2006/01/16

やっぱり中国は崩壊する

今朝の讀賣新聞朝刊に面白い記事が載っている。「中国『開発独裁』の代償」という
藤野彰中国総局長の署名入り記事である。
記事は、
「庶民は共産党を憎んでいる。心底憎んでいる。共産党以外の政党が許されたら、俺も参加するよ」
という共産党員歴30数年の中国人の激烈な発言で始まる。

この藤野彰氏の知人である中国人は、
「今の中国は社会主義ではなく、官僚資本主義。高級幹部は病気になっても国が全部面倒をみてくれる。金のない庶民は癌にでもなったら、死ぬのを待つだけだ」
「社会の不公正は許し難い」
と怒りを爆発させている。
つまり、一般の党員レベルでも中国共産党に対して抑えがたい怒りを抱いているということだ。

藤野氏は書く。
「彼に限らず、庶民レベルでは党を腐(くさ)す声は耳にしても、ほめ言葉などまず聞かれない。党を取り巻く、冷え冷えとした空気を実感する」
と・・・

そして藤野氏は、中国の「真の脅威」は、「驚異的な経済成長」や「急速な軍備増強」ではなく、
「共産党の威信が地に落ちるなか、独裁体制がシロアリが巣くう家のように、内側から溶解していくのではないか、その過程でどれだけの混乱が生じるか、という不透明感にこそ内在している」
と指摘する。

藤野氏は、
「体制のほころびは既に幾多の悲惨な現実となって露呈している。近年、中国では農民暴動、炭鉱災害、環境汚染など、異常な重大事件が続発しているが、それらには共通の要因がある」
とし、
「利権体質、官僚主義に象徴される政治・行政の腐敗と非民主制、そして国民を軽んじて恥じない権力者たちのおごり」
をその要因として挙げ、激しく非難している。

「もし中国が混乱して1%の難民が出たら、1300万人ですよ。1000分の1としても130万人。だから中国が安定することが周辺諸国にとってもいいことではないですか」
と、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長は昨年11月、訪中した角田義一・参院副議長に対して述べたという。
つまり「中国の安定」=「世界の安全」という論法だが、藤野氏は、この呉常務委員長の発言を
「裏返すと、共産党指導者も中国の真のリスクを認識しているわけだ。難民うんぬんは仮定の話とはいえ、冗談として片づけられないところに、揺らぐ中国の不気味さがある」
と受け止める。

そして、大国の自信を誇示する中国。だが、仮面の下の素顔は、『出口の見えない混迷』に震えていると結論づける。

参照:2006年1月16日 讀賣新聞朝刊「ワールド・ビュー」

私の1月14日のエントリーに対して
「21世紀は中国(の時代)になる」
「中国は最も優秀な資本主義の国、労働意欲も高く、貯蓄率も高い。一 時的な調整局面もあるが、数十年の単位で経済発展が続く」
という、ヘッジファンド「クォンタムファンド」を運営した投資家・ジム・ロジャーズ氏の発言をもってして、「皆さん、このサイトの中国崩壊説は、鵜呑みにしては危険です」とカキコするノー天気な中国大好き人間がいた。

このノー天気人間は、「明らかにこのサイトの情報は信用に値しないと思います」とまで書いている。
しかし、ヘッジファンドは短期のリターンを重視する。そのヘッジファンドで成功した人物の、何の根拠も示さない長期見通しを真に受けて、このブログの分析を非難する。
貯蓄率が高いのは、医療も含めた社会保障制度がまったく未整備のためであり、中国企業のコーポレートガバナンスの欠如やコンプライアンスの低さは世界的に有名である。労働意欲も高く???
あのゴールドマン・サックスも、「中国は10年後にGDPで日本を抜き、2040年代には米国を抜いて世界一になる」と予測している。ファンド系は利害が絡んでいるから、概して「中国バラ色」論が多い。

讀賣新聞の藤野中国総局長の見方を取るのか、ジム・ロジャーズ氏の「バラ色」論を
支持するのか???
私は、藤野総局長の方が現実を直視していると確信する。ジム・ロジャーズ氏の発言には「利害」が絡んでいる。

【追記】
自称『護憲派ブロガー』が、このブログにイチャモンを付けた件は、「親バカ」氏がブログ上で以下の謝罪の言葉を表明しています。

最後に、勘違いが発端になったとは言え、結果的に実験台みたいにして使ってしまった「依存症の・・・」さんには大変失礼なことをしてしまったことをお詫びし、前回のエントリーは非公開にします。

親バカ党宣言

前回、結果的に「親バカ」氏のブログをアシストしてしまうという皮肉な結果(爆笑)を招いてしまったので、今回はリンクを貼りません(笑)。

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2006/01/12

中国の未来はバラ色ではない


国家統計局は、「第1回全国経済センサス」の結果にもとづいて、今月20日に2004年のGDP(国内総生産)に対する修正状況を発表する。スタンダード・チャータード銀行中国エリアの高級経済家(シニア・エコノミスト)である王志浩氏は、修正後のGDP総額が
20-30%増加すると予測。ゴールドマン・サックス(アジア)の梁紅氏は、05年のGDP総額がイタリアと英国、フランスを抜き世界第4位となると推測している。15日付で東方早報が伝えた。
(後略)

中国GDPは世界第4位?統計局修正で「三階級特進」か
(2005年12月15日 中国情報局)

中国の05年の貿易黒字額が前年の3倍に膨らみ、過去最高の1019億ドル(約12兆円)に達した。05年の日本の貿易黒字額を上回った公算が大きい。世界最大級の「貿易黒字大国」に躍り出た中国は今後、米国や欧州との貿易摩擦がさらに激しくなる可能性がある。対中貿易赤字が膨らむ米国が中国・人民元の再切り上げを強く求めるのは
確実だ。
(後略)

中国の貿易黒字1019億ドル 3倍増、日本上回る公算
(2006年 1月12日 朝日新聞)

国家統計局は9日、「第1回経済センサス」に基づき、1979年から2004年までの中国のGDP(国内総生産)の年間平均成長率を、すでに発表している数値から0.2ポイント
引き上げて9.6%に修正したことを発表した。04年のGDP成長率は速報値の9.5%
から0.6ポイント上昇の10.1%に修正された。新華社が伝えた。
(後略)

【中国】GDP成長率を修正、04年は0.6P上昇の10.1%
(2006年1月10日 中国情報局)

GDPは、米国、日本、ドイツに次いで世界第4位。貿易黒字は我が国を追い越して
第1位。成長率も依然として超高水準を維持している。中国は10年後にGDPで我が国を抜き、2040年代には米国を抜いて世界一になるとの予測もある。
中国の未来はバラ色、21世紀は中国の世紀。まさに万々歳である。
ところが、である。


2005年に赤字を計上した企業が過去最多となったもようだ。11日付で新聞晩報が伝えた。

上海及び深センの証券取引所に上場している企業1378社のうち、1月9日までに05年の業績予想を発表したのは425社。だが、このうち、181社が赤字を計上する見込み。過去3年間をみても、03年は147社で、04年は174社と、赤字企業が増加している。
なお、05年に赤字を計上する見込みとなっている企業のうち、114社は初めての赤字
計上となる。
(後略)

上場企業の赤字決算が過去最多、石化・通信など苦戦
(2006年1月12日 中国情報局)

何と業績予想を公表した上場企業のうち4割以上が赤字。まだ7割の企業が未発表であるから、赤字企業の数は大幅に増える可能性がある。 
中国の上場企業は、元国有企業である場合が多い。国有企業の大半は、生産効率が悪く赤字体質である。そのうち、業績が比較的良好な企業が民営化され、上場したわけだが、それでも企業体質は極めて脆弱であるということだ。

中国の企業や銀行は、コーポレートガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令
遵守)が欠如していると言われる。財務内容の透明性も低く、ニューヨークやロンドンの市場で上場できる企業は限られているとされる。
中共政府は、20%近くあった4大国有銀行の不良債権は、2005年10月末時点で10.18%(約1兆230億元=約14兆7700億円)まで改善されたと昨年12月初旬に明らかにした。しかし、その直後に検査してみると、違法融資や使途不明金などが6%(約8兆5000億円)もあった(中国銀行業監督管理委員会)という。
信用第一の銀行にしてこうであるから、一般の企業はもっとデタラメかも知れない。赤字の額を減らしたり、赤字なのに黒字に見せかけたり。

私は、4大国有銀行が抱える巨額の不良債権が中国経済の最大のネックと何度も書いた。
金融システムの不安を解消するために中国当局は、4大国有銀行に大胆な公的資金を注入し、外資との提携を急いでいる。が、肝腎の融資先が赤字垂れ流しでは、銀行の不良債権問題はいつまで経っても解決できない。
まるでザルに水を注ぐようなものだからだ。

極端な経済的格差、深刻な環境破壊、裁判官にまで及ぶ腐敗、頻発する暴動・騒乱、悪化する一方の治安、少子高齢化の急速な進行。
中国を裏から見ると、不安材料がいっぱいなのだ。
この、いつ崩壊してもおかしくない中共体制をかろうじて支えているのが、「中国は世界の大国」という民族的自尊心と驚異的な経済成長なのである。が、この経済成長も
内実はボロボロ。

何がきっかけになるか分からないが、経済が失速すれば、中共体制はあっという間に崩壊する。きっかけはいっぱいある。前述した金融システムの崩壊、バブルの崩壊、
人民元の大幅切り上げetc.
そして、これらは密接にリンクしており、一つの爆発が連鎖的に次の爆発を誘引し、
やがて大爆発が起こる。

見せかけの経済成長に騙されてはならない!!! 

【追記】
自称『護憲派ブロガー』が、このブログにイチャモンを付けています。なぜ、このブログが自分のブログの40倍も『週間IN』があるのか?と。
http://blog.goo.ne.jp/ko-b/e/e6d1c88f28fd362564b2968f5c5b0cba

そして、このおバカさんが出した結論は、『改憲派ブログのセッコイ小細工』(爆笑)
ここまでバカなヤツも珍しい。自分のブログがまったく人気がない事実を、人気ブログのインチキのせいにする。この程度のオツムでは、他の『護憲派』のブロガーも泣き出すのではないか?
同じに見られたくないと(爆笑)

ちなみに、昨日のご来訪者数は10,440 人です。
なお、私のブログでは、カウンターが3度壊れました。人気のエントリーにアクセスが
殺到したためです(皆さんのおかげです)。都度バージョンアップしましたが、3回目で
やめました。だから今は手動で更新しています。

それから、私は人気ブログランキングの1位になることが目的ではありません。1位だから、ということと『質』はまったくの別問題。
人気ブログランキングは結果にすぎない、と考えております。

ご来訪者数もそう。多いに越したことはないけれど、読まれているということと、支持されているかどうかは別問題。支持率の高いエントリーは7000~8000の人気ランキングポイントを稼ぎますが、低いエントリーは4000~5000ポイントのものもあります。
そして支持率の低いエントリーの中にも、私が渾身の力を込めて書いたものがあります。

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2006/01/03

医療から崩壊する中国

私は、昨年12月30日のエントリー『中国は間違いなく崩壊する part4』で、

中国で、民衆の中共政府に対する不満が噴出している。
根本の原因はカネ。そして、そこから派生する『カネがないから医療が受けられない』という現実。
『拝金主義』の中国では、カネがなければ生きていけない。カネのない庶民は、医療
さえ受けられない。これは切羽詰った問題である。何しろ『生死』に直結する問題であるからだ。
ところで、このカネと医療の問題は、中共体制の必然的な帰趨であるから手の施しようがない(笑)

と書いた。

民衆の間では、『病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない』という中国式狂歌が流行っている。
かつては、人民公社が、農業生産の他にも行政、経済、教育、軍事、医療などの機能を総合的に担っていた。しかし、改革開放政策の下で人民公社は廃止され、市場経済化に伴って国有企業も次々に民営化、もしくは整理・解体された。
つまり、多くの人々が医療費を自分で工面しなければならなくなったのである。が、
医療保険に加入している人は全体の約34%(中国社会科学院)にすぎない。おまけに病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくないのが現状である。
その結果、4人に1人は医療費が支払えないため受診をあきらめているという。要は、
貧乏人は病気になっても病院に行けないのだ。

このような状況の中で、医療現場では異常事態が現出している。
その異常ぶりを、高学歴読者に人気のある週刊紙・南方週末に掲載された『用心棒付きの医者(2004/04/01)』という記事を参考にして見てみよう。記事の舞台は、四川省成都市にある四川大学華西医院という大学病院である。

まず、華西医院の入り口には2人の警察官が立っている。警察官の横には、『成都公安局武侯分局110番受所』と書かれた控え小屋(交番)がある。
なぜ入り口に警察官が立ち、交番まであるのか?
それは病院の医師が、刃物などで襲われる例が後を絶たないからである(笑)

この病院の李寧博士は、2004年2月に、元患者の妻に刀で斬りつけられた。刀傷は
9センチで博士の頭蓋骨に達し骨を削っていた。まさに瀕死の重傷を負わされたのだ。
元患者は末期癌で助からない命だったのだが、その妻は医療過誤と思い込み、『今に見ておれ!命を貰いに行く』と言って博士を脅していた。
李博士の前にも、別の医師が担当患者の家族に13カ所を刀で斬り付けられ、目が潰れたうえに指4本を失くすという被害に遭っている。

病院は、04年4月の時点で24名の医師をブラックリストに載せている。いずれも、過去に『脅迫』や『襲撃』などを受けた者たちだ。
病院は、04年4月現在で6名の医者に1対1のボディガードを付けている。6名の内1人は女性である。1人が精神科で他は外科の教授。少し前は10人以上がボディガード付きであった。

李博士を襲った元患者の妻は56歳で、ある中学校で会計を担当しているという。日本で言えば学校事務員で、おそらく平凡な末端公務員であろう。
その平凡な公務員である妻が、夫の元主治医を刀で襲う。いくら医療過誤で夫を亡くしたと思い込んでいたとしても、ちょっと異常である。
この大学病院に何人の医師がいるのか分からないが、襲われる可能性のある医師が24名、うち6名が1対1のボディガード付き。中国の異常な医療体制が生み出した深刻な歪(ひずみ)の一つであることは間違いない。

四川大学華西医院の院長は、このような医療現場の異常事態を以下のように分析している。

①中国の医療制度がまだ整っていないこと、②医療が平等でないこと、③一度病気になれば窮乏が避けられなくなること、④薬価が不合理で金額も不適正であること、
⑤医療部門の専門化が不合理であること。
これらの矛盾が激化し、患者の怨恨が溜まって“生け贄要求”を引き起こしている、と・・・

大学病院のトップがここまで解っていれば、不合理なシステムを改革すればよいと思うのだが、それができないのが今の中共体制ということだろう。

四川省の担当役人は、
『用心棒が必要な状態は望ましくはないが当面は仕方ないでしょう。これは患者にも
先生達にも大きな精神的負担となっています。この原因は中国では医療改革が昔の
ままでほとんど改善されていないこと。薬価がべらぼうで、医者は賄賂を当然として
要求し、医療費の査定は不適正で、病院には管理や規律などが無く、現制度が不健全の一言に尽きる。このままでは緊張の激化は更に高まる一方でしょう

と語っている。

役人も、今の医療体制が問題だらけであることが解っている。にもかかわらず、『このままでは緊張の激化は更に高まる一方でしょう』などと、対岸の火事を見物しているような感覚しかない。
医療現場の責任者である院長といい、省の担当役人といい、当事者意識がまるで
ない。

中共体制崩壊の要因は多岐にわたるが、案外、このような身近な問題から変革の
うねりが起きてくるかもしれない。なにしろ医療は命にかかわる問題だからだ。

李博士の事件があったころ、現地では『政治協商会議』(注-1)が開かれていた。医療代表も多数参加し、多くの代表が発言して討議が活発に行われた。しかし現実的な
問題については誰も発言しなかった、という。
まさに、上から下まで無責任体制が行きわたっているのだ。

自分さえよければよい、という・・・

(注-1):政治協商会議

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2005/12/30

中国は間違いなく崩壊する part4

私が、このブログを立ち上げたのは今年の3月12日だった。最初のころのご来訪者数は、1日40~50人程度だった。1ヶ月後の4月11日の時点で、アクセス数は延べで1300人超。
これが、4月14日に『中国は間違いなく崩壊する』を上梓してから、一気にご来訪者数が増えた。このエントリーは好評を博し、いくつかのブログで紹介された。アクセス数は7週連続して第1位であった。
今でこそ、讀賣や産経などでも中国の深刻な現状が報じられるようになったが、当時はそういう記事は主要メディアでは皆無に等しかった。だから、ある意味、衝撃的だったのだろう。

次にエポックメーキングなエントリーになったのが、5月23日の『中国は、いつ崩壊するのか?』である。このエントリーをキッカケに、急激にアクセス数が増え始めた。調べてみると、当時の人気ブログ『娘通信♪』さんが高い評価を与えてくれていた(感謝!)。
また、人気ブログの中には、『中国は崩壊しない!』という反論を書くところもあった(笑)。
そして、4ヶ月目の7月13日に17万人を突破、11月26日には100万人突破。今では、
毎日1万人前後の方にアクセスしていただけるまでになった。ちなみに今現在のアクセス数は、延べで132万4312人。
読者の皆様に深く感謝いたします。

このブログの特徴は、何といっても『中国崩壊』に関するエントリーが多いことである。
これまでに、既に28本ものエントリーを上梓している。昨日、『中国崩壊シリーズ』というカテゴリーを新たに作り、関連エントリーをまとめたので、関心のある方は、正月休みの間に通読してみてほしい。
ところで、最近は、この『中国崩壊』に関するエントリーの人気がパッとしない。やはり、内容が過去のエントリーと重複するのと、他のブログでも『中国崩壊』に言及するエントリーが増えてきたためと思われる(要は、もうインパクトに欠ける~笑)。

振り返ってみれば、読者の反応がもっとも高いのは、『韓国の瑣末なことを取り上げ、
韓国及び韓国人をあげつらう』エントリーである。それだけ国民の間に、韓国に対する
フラストレーションが溜まっている、ということであろう。
私は、それを否定するものではない。が、極力『韓国及び韓国人をあげつらう』ことは
やめたいと思う(このブログでは、そういうエントリーは稀)。もちろん、盧武鉉政権と
韓国の愚かな行為は徹底的に批判するつもりだが・・・

という訳で、今日のエントリーも『中国崩壊シリーズ』である(笑)。

中国で、民衆の中共政府に対する不満が噴出している。
根本の原因はカネ。そして、そこから派生する『カネがないから医療が受けられない』という現実。
『拝金主義』の中国では、カネがなければ生きていけない。カネのない庶民は、医療さえ受けられない。これは切羽詰った問題である。何しろ『生死』に直結する問題である
からだ。
ところで、このカネと医療の問題は、中共体制の必然的な帰趨であるから手の施しようがない(笑)。

官僚組織の際限のない腐敗・堕落。すべてをカネでしか判断できない社会。
中国で、共産主義の『平等思想』が崩壊して久しい。『共産主義共同体』の象徴であった『人民公社』はとっくに廃止され、国有企業も民営化か解体の運命にある。
つまり、労働者も農民も、平等主義の『共産主義共同体』から弱肉強食の『拝金主義
社会』に放り出されたのだ。
そこで、彼らが直面したのが、『カネがないから医療を受けられない。医療を受けられ
なければ死ぬしかない』という社会の現実なのである。

中国の悲惨な医療の現実は、あの朝日さえ最近、記事や社説で書いている。
朝日新聞によれば、今年2月の時点で医療保険に加入していない人は全体の約66%。4人に1人は医療費が支払えないため受診をあきらめている(中国社会科学院)という(2005/12/23 朝日新聞)。
つまり、8億人以上が無保険状態にあるということだ。この状態がどのような現実を引き起こしているか!


『病院の門は大きく開いている。だけどお金がないから入れない』『病気になったら
焦る。焦る。病気になったら、計画経済が懐かしい』
中国ではやっている中国式狂歌である。最近、医療への不満をぶちまける歌が増えている。

計画経済が中心だったころは、職場が医療費を負担した。だが、市場経済化に伴って、国有企業が次々に解体し、多くの人たちが医療費を自分で工面しなければならなくなった。おまけに、病院は金もうけに走り、検査費だけで月給を上回ることも珍しくない。
貧しい人は病院に行けないのだ。

中国の経済発展はめざましいが、国民の収入の差は大きい。国家統計局が都市住民の収入を調べたところ、上位10%の人たちに富の45%が集まっていた。下位の10%の人たちは2%も得ていない。

医療だけでなく、福祉や年金の制度もくずれたため、貧しい人たちの生活は悲惨だ。
このままでは5年後に社会がもたなくなる、と政府系の労働賃金研究所でさえ警告している。

参照:(2005/10/14 朝日新聞【社説】)


黒竜江省のハルビン医科大学付属病院に皮膚がんで入院し、治療を受けた末、死亡した老人(74)のケース。かかった医療費は、2カ月の入院・検査費140万元と治療に使用するという名目で病院が家族に薬局で買うように指示した医薬費410万元の計550万元(約8千万円)。
カルテでは1日170キロの点滴など常識では考えられない治療が行われたことになっている。患者が買わされた医薬品は、医者が裏金を受け取っていた製薬会社の製品で、患者の治療には使われないものだった。

深セン市の病院でも、必要のない高額医療を患者に説明なく行い、120万元(約1千750万円)も請求したことが問題視され、世論の圧力に院長が辞職に追い込まれた。

北京駅で吐血した男性が救急車で病院に運ばれたものの、金がないことを理由に十分な治療が受けられず、痛みでのた打ち回りながら死亡した。

北京の在留邦人の妻(中国人)は、出産前の誤診で、帝王切開にすべきところを自然分娩にされ、母子ともども命の危険にさらされた。
胎児が仮死状態になったので、主治医の誤診を口外しないことを条件に緊急に帝王切開に切り替えてもらったが、今度は開腹手術ミスで子宮内の動脈を傷つけ、患者の体と心に重い後遺症を残してしまった。

ミスを指摘すると、担当医は『訴えてみろ。こちらは経験があるので裁判に負けることはない』『私は衛生局幹部と知り合いだ』『命を拾ったと思いありがたく思え』と高圧的に
なり、賠償や謝罪などは一切なかった。

夫は『妻の入院中、患者を間違えるケースなど2~3日に一度は見かけた。感染症は
患者の体力が原因だから責任がもてないとも言われ、輸血による感染症は病院の責任を問わないとする証明書へのサインを迫られた。医療ミスにあった患者は【失敗例】と
呼ばれ、人間的な扱われ方をしてもらえない』など、病院の恐るべき実態を打ち明けたが、『患者には泣き寝入りしかない』という。

参照:(2005/12/30 産経新聞

この現実に、産経新聞は

世論の怒りが噴出している

と書いている。

朝日新聞さえ以下のように書いている。

『国民の声が政策に反映する民主的な仕組みができない限り、貧しい人たちの不満は収まらないだろう。
光り輝く計画の一方で、影の部分に本当に光をあてることができるのか。世界がその
成り行きを見つめている』と・・・

もちろん、世論の怒りは医療だけではない。 FujiSankei Business i.は今日の記事で、

『胡錦濤・中国国家主席の人気が、この一年間で急落した。江沢民・前国家主席の
影響力が薄れ、胡主席は確実に権力を掌握しつつある。しかし、このところの保守化
傾向の強まりや民主化軽視の姿勢に対する“胡錦濤離れ”が、貧富の格差拡大を背景に、従来の知識層から農民にも広がっており、胡主席は危機感を強めている』

と書き、そして

『香港の中国筋によると、胡主席は民衆の立場に立った政治を行うとの「親民主義」を掲げてはいるが、人気低落が農村部にも広がりつつあることに強い危機感を抱いて
いる。胡主席は人気ばんかいのために、来年春の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、「所得の均等化」を強く訴えると伝えられているが、「時すでに遅し」と見る向きもある

と指摘している。

参照:(2005/12/30 FujiSankei Business i.

胡錦涛は、『親民主義』、『所得の均等化』、『調和社会の実現』とかとか、極めて耳障りのよいスローガンを掲げている。が、これは単なる『スローガン倒れ』に終わる可能性が高い。
実際の胡錦涛は、『調和の取れた文明型経済モデルへの大胆な転換』などとっくに
諦めている。

胡錦涛は、昨年秋の党中央委員会総会後の内部会議で、国際的な流れと逆行する
北朝鮮やキューバの共産党一党独裁体制を称賛し、『中国も北朝鮮の金正日総書記やキューバのカストロ大統領を見習わなければならない』などと発言している(同上FujiSankei Business i.)。
つまり、胡錦涛の主唱する『科学的発展観』の中身は、化粧をはがせば、金正日の
『悪魔の体制』と同じである、ということだ。
中共指導部の脳裏を離れないのは、『旧・ソ連の崩壊』であるという。情報公開や民主化を安易に進めれば、その先に待ち受けているものは何か!彼らも解っている。
民主化=体制崩壊、独裁強化=体制維持、これが本音であろう。が、1日の収入が
1ドル(約117円)未満の貧困人口が1億7千3百万人もいる現実を考えると、独裁強化
=体制維持の先に何があるのか???
これもまた地獄である。

讀賣新聞も、

『中国の胡錦濤政権が掲げる弱者重視路線が、正念場を迎えている。来年3月の全国人民代表大会(国会)で、政権は、農民や出稼ぎ労働者、失業者らに配慮した「調和
社会」建設を急ぐ「第11次5か年計画」(2006年~10年)を制定する。だが、現実には、民衆を軽視した当局の不祥事が相次いでおり、政権に対する信頼は急速に失墜しつつある』

と書き、

民衆が政府を見限りつつあるようにも見える。「調和社会」のスローガンに背き、
「弱者」を顧みない例が、あまりに多いためだ』

と極めて中共体制の将来に対して悲観的だ。

参照:(2005/12/25 読売新聞

一方において、胡錦涛は、『民の声』を聞き、『民の痛み』を知ることによって『公正』、『公平』な社会を作るのではなく、強権的に『民の不満』を押さえ込むことで現在の苦境を乗り切り、現体制を維持しようとする動きを本格化させている。


【北京=竹腰雅彦】独自報道で人気の高い中国紙「新京報」の編集局長ら複数の幹部が更迭され、これを不服とする同紙の記者や職員らが29日から大規模なストライキに
入ったことがわかった。

同紙関係者が明らかにした。中国メディアでストが行われたことが表面化するのは、
極めて異例のことだ。

新京報は2003年11月に発行を始めた日刊大衆紙。当局の厳しい規制下にある中国紙の中で、市民のニーズに沿った紙面と独自報道が持ち味で、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)患者の後遺症問題や、土地収用を巡る河北省の住民襲撃事件などをスクープ。

最近の松花江汚染問題でも11月24日付の社説では、中国当局による事実公表の遅れを「遺憾」だと論評していた。編集幹部更迭は当局の規制強化の一環とみられる。関係者によると、記者らは処分の撤回を求めている。
(後略)

幹部更迭に抗議、人気中国紙の記者らが大規模スト
(2005/12/30 読売新聞)

民衆に真実を知らせる=当局にとって都合の悪いことも公にする、このメディアとしての当たり前のことを実践した新聞社を弾圧する。
国務院(政府)の新聞弁公室は29日、『突発事件や関心の高い問題への記者会見を
充実させるほか、報道官育成に力を入れるなど、内外メディアへの情報公開を強化する方針を明らかにした』。
『2008年北京五輪を控え、国際社会に透明性をアピールする狙い』(2005/12/29 時事通信)というが、インチキ極まりない。
いくら『記者会見を充実させ』、『報道官を育成』しても、中身が『偽りあり』であれば欺瞞でしかない。そんなことも解らないのか???
第一、2008年の北京五輪まで『現体制』が持つのかどうか???力の入れどころを勘違いしている(爆笑)。

新型インフルエンザの世界的流行という危機が秒読みになる中、『真実の報道』を志向するメディアを弾圧する。一方において、デタラメな医療機関が世の中を跋扈する。
今の中共体制の明日は、『最悪の結果』で終わることは間違いない。断言する!

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2005/12/28

開かれるほど危機が深まる中共体制

世界貿易機関(WTO)への加盟を果たした中国は今、国有企業の株式会社化と海外市場での上場を急いでいる。中でも4大国有銀行の改革に力を入れている。
それは、4大国有銀行が抱える巨額の不良債権が、人民元の変動相場制移行の最大のネックになっているからだ。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁も『銀行改革が人民元切り上げの前提になる』と強調している。

金融システムの不安が解消されなければ、いずれ実体経済が崩壊する。
これは、我が国のバブル崩壊後の姿や1997年夏以来の『東アジア通貨危機』を思い起こせば、容易に想像がつく。
したがって、金融システムの不安を抱えたまま人民元の変動相場制移行を行うことは、自殺行為に等しい。

金融システムの不安を解消するために中国当局は、4大国有銀行に大胆な公的資金を注入し、外資との提携を模索することで対応しようとしている。
一番手の中国銀行は、8月、英国の大手銀行、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)による31億ドル(約3千5百億円)の出資要請を受け入れ、株式の10%を譲渡することで合意した。
また、スイスの銀行最大手、UBSグループと戦略的投資協議書に調印し、出資分を
含め5億ドル(約5百65億円)の投資を受ける。
6月には米国の大手銀行、バンク・オブ・アメリカが中国建設銀行への資本参加を
発表。中国工商銀行に関しても、米ゴールドマンサックスを中心に、ドイツの保険大手
アリアンツと米アメリカン・エクスプレスが約30億ドル(約3千3百90億円)を出資し、
株式の10%を取得する計画が明らかにされている。

しかし、公的資金の注入や外資系金融機関との提携で、ほんとうに金融システムの
不安を解消できるのか?
中国の国有企業には、コーポレート・ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令遵守)といった、(上場)企業に求められる基本的条件が欠如している。これは銀行も例外ではない。
今年1月には、中国銀行の黒竜江省の支店長が顧客口座から8億元(約100億円)を
奪って海外逃亡