構造改革&小泉内閣

2006/09/23

小泉内閣を総括する

我が国の戦後政治において、一つの時代を築いた小泉純一郎内閣も、いよいよ終幕を迎えることとなった。
「小泉マンセーブログ」という、光栄なる称号を授かった当ブログとしても、その功罪を
総括しなければならない時が来たということだ。

ところで、私の評価を述べる前に、メディア、特に讀賣、朝日、毎日の三大紙が実施した世論調査の結果をお伝えしておこう。

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読売新聞が9月9、10の両日に実施した全国世論調査(面接方式)によると、小泉首相や小泉内閣の実績を全体で評価するかどうかでは、「評価する」が計66%で、「評価しない」計30%を大きく上回った
毎日新聞が9月1~3日に実施した全国世論調査(面接方式)では、5年5か月に及んだ小泉内閣について、「評価する」と答えた人が64%で、「評価しない」は34%だった。
朝日新聞が8月26、27の両日実施した全国世論調査(電話)では、小泉首相のもとで政治が「よくなった」と思う人は45%で、「悪くなった」の27%を上回った。

朝日新聞は調査方式が違い、設問内容にもニュアンスの違いがある。また、小泉内閣との距離間も各新聞社によって違う。
が、各紙に共通しているのは、小泉内閣を肯定的に評価する世論が、否定的なそれを
2倍近く上回っているということだ。

讀賣新聞によれば、2001年4月の発足以来の小泉内閣の平均支持率は56.0%で、
現行の調査方式となった1978年3月調査(福田内閣時)以後の歴代内閣の平均支持率では、細川内閣の67.2%に次いで2番目だった。
また、朝日新聞の調査でも、在任中の平均支持率は50%で、戦後の吉田内閣以降では細川内閣(平均支持率68%)に次ぐ高い人気だった。
細川内閣が、わずか9か月弱の短命だったことを考えれば、(世論調査上では)小泉内閣が戦後もっとも人気が高い政権だったということである。

反小泉の姿勢が顕著な朝日新聞でさえ、「不人気にまみれて退陣する内閣が大半のなか、政権末期でなお50%近くの支持を維持する内閣は異例だ。最近では、非自民の連立政権だった細川内閣が発足からわずか8か月後に57%で総辞職した例があるが、村山、橋本、小渕、森の各内閣はいずれも最後の支持率は不支持率を大きく下回った」と書いている。

では、なぜこんなに人気があったのか?
この点は、三紙ともバラバラである。

讀賣新聞は、小泉内閣が取り組んだ課題で特に成果を挙げたもの(複数回答)として、「郵政3事業の民営化」の43%が最多で、「北朝鮮問題」28%、「道路4公団の民営化」21%などが続いたとしている。
毎日新聞によれば、「良かったもの」は(1)北朝鮮から拉致被害者の一部を帰国させた51%、(2)郵政民営化18%、(3)積極的な不良債権処理9%-の順。
設問内容にニュアンスの違いがある朝日新聞では、「よくなった」理由を聞くと「首相のリーダーシップが強くなった」が42%でトップ。次いで「政治が分かりやすくなった」34%、「政治の進め方が速くなった」19%だった。

まあ、これは、選択肢の問題や質問の仕方、内容が違うので、答えや数字が異なるのはやむを得ない面もある。例えば、選択肢の項目が「北朝鮮問題」と「北朝鮮から拉致被害者の一部を帰国させた」では、回答者に与えるインパクトがまったく違う。
が、郵政民営化と(北朝鮮)拉致被害者の問題が評価の上位を占め、多くの人が、
首相のリーダーシップと「政治の分かりやすさ」を政治がよくなった理由として挙げて
いるのは納得できる。

では、私は小泉内閣をどう評価しているのか?
以下に、そのことについて述べる。

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郵政民営化をテコにして官の肥大化に歯止めをかけ、流れを逆転させた点は高く評価できる。特に、政・官・業の癒着構造にメスを入れ、税金をばらまき、その見返りを受け取るといった金権・派閥政治を崩壊の淵に追い込んだことは特筆ものだろう。
その副産物として、国や地方の建設談合や同和利権などが次々と暴かれるようにも
なった。

また、金融機関に公的資金を注入し、不良債権を強制処理させたことも見逃せない
成果である。おかげで、どん底に沈んでいた日本経済が去年あたりから一気に回復してきた。デフレ脱却も、あと一歩のところまで来ている。

が、金権・派閥政治を崩壊の淵に追い込んだのは、選挙制度の変更や首相権限の
強化といった、小泉内閣以前の改革によるところも大きい。
景気の回復も、経済界が血を流す努力をして、設備・雇用・債務という「三つの過剰」を解消したことを抜きにしてはありえなかった。
つまり、小泉首相の姿勢や内閣の政策が、時代の流れ、その要請とうまくマッチングしたから政治の改革や景気の回復が進んだのである。

もちろん、だからといって、小泉首相及び小泉内閣の果たした役割を過小評価するつもりはない。北朝鮮を電撃訪問し、拉致被害者の一部を帰国させたことも小泉内閣であればこそできたことである。
それまでは、「日本人拉致疑惑の解明を前提にしては対話の前進は望めない」(2000/01/30 日本経済新聞)という声の方が強かったのだ。今では考えられないが・・・

ただ、それでも、数ある小泉内閣の成果の中で、私がもっとも評価したいのは、任期中に毎年行った靖国神社参拝である。中には、参拝形式を問題にする人たちもいたが、
そんなことは本質的な問題ではない。
1985年の中曽根参拝までは、何の問題もなく行われてきた我が国首相による靖国参拝が、それ以降、中・韓、特に中国の難癖で中止されてきた。1996年7月に橋本龍太郎首相(当時)が社頭でチョロっと参拝したが、それさえ中国の圧力に屈してやめてしまった。
つまり、我が国首相による靖国参拝は、英霊に感謝の誠を捧げるだけではなく、我が国が主体性のある国家に戻ることができるかどうかの試金石でもあったのである。

この問題は、歴史教科書問題や従軍慰安婦問題と同様、我が国内の反国家的勢力が中・韓と連携して我が国を攻撃するという、あってはならない、世界でもめずらしい中傷・干渉であった。
小泉首相が、内外の反日勢力に屈しなかったからといって、中・韓や国内の反国家的勢力が我が国に対する攻撃をやめるとは思わない。が、もう難癖は通用しないという
ことだけは悟ったはずである。
このことは、我が国の今後にとって、極めて大きな成果であったと言ってよい。

安倍晋三官房長官(次期首相)も、同じ姿勢を貫くはずである。これも小泉首相の靖国参拝がなければありえないことだ。

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最後に、小泉内閣の負の部分に言及したい。

負の面は、やはり何と言っても「格差問題」であろう。が、誤解してほしくないのは、格差の拡大が、小泉内閣が推進した構造改革によって生じたわけではないということである。
今、問題にされている格差は、1990年代の後半に始まっている。それは2000年の森喜朗内閣のころに大きくなり、今もその水準は変わらない。
つまり、日本経済がバブル崩壊から立ち直る過程、すなわち日本企業が設備・雇用・債務という「三つの過剰」の解消を進める中で格差問題が発生し、大きくなってきたということだ。

リストラ、新規採用の抑制、非正規雇用者の増大、これらが格差問題の元凶であるが、
これは日本経済が回復する過程と表裏の関係にある。要は、景気の回復と同様に、
格差問題も小泉内閣の構造改革だけが原因ではないのである。
小泉内閣に責任があるとすれば、拡大していた格差を縮小する手立てを講じなかったということだろう。というか、未曾有の経済危機に直面して、景気回復を優先させざるを
えなかった。
もし、亀井静香氏が主張したように、財政出動による景気回復策を実行していたら、
景気回復も格差解消もどちらも中途半端、つまり虻蜂取らずになっていたはずである。しかも、財政赤字はよりいっそう深刻になっていた。
そういう意味では、小泉構造改革路線は総体としては間違っていなかったと思う。だからこそ、小泉内閣を肯定的に評価する世論が、否定的なそれを2倍近く上回っているのである。

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が、いずれにしても、格差がこれ以上拡大しないように手を打たなければならないのは事実である。非正規雇用者は、平成17年に1,633万人に達し、雇用者全体の3割を占めるに至っている。

(1)賃金格差
雇用形態別の年間収入は、正社員の453万円に対して、パートタイム者111万円、派遣社員204万円、契約・嘱託250万円となっている。
(2)雇用継続率が低い非正規雇用
1年以上の雇用継続率は、正社員が、90%を越えているのに対し、パートタイム者は70%台、派遣社員は、60%台となっている。
(3)能力開発機会の格差
非正規雇用者に対する企業の能力開発の意識は、4割以上が能力開発を重視していないと回答するなどかなり低い。

これらは、以下の諸問題を引き起こす。
(1)技術継承への影響、(2)社会保障への影響、(3)少子化への影響。
実際、製造業の空洞化が進み、若年者がサービス産業に流れていった米国では(1)の問題が深刻化し、経済成長のネックになりつつあるという。

私が、過去のエントリーで何度も指摘してきたように、正社員と非正規雇用者の格差を是正すること、非正規雇用者の割合を減らすこと、そして真の能力主義を確立することが喫緊の課題なのである。
三重県にある、某メーカーの最新鋭の液晶テレビ生産工場は、非正規雇用者の割合が実に45%に達するという。このような状態は、けっして正常とは思えない。
能力による格差は当然であるが、スタートラインから格差があるのは亡国への道であることを、経済人も肝に銘じてほしい 。

安倍新政権には、女性や高齢者の雇用促進と共に、正社員と非正規雇用者の格差是正に真正面から取り組んでもらいたい。

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※小泉内閣の構造改革は、まだ途上にあり、真の評価は3~4年後になると思う。したがって、今回は、第一次総括として受け止めてほしい。

また、産経新聞の「正論」で、佐伯啓思京都大学教授が、「(小泉政治は)一口で言えば、政治の見世物化であり、人気主義(ポピュラーイズム)への著しい傾斜であり、政治の情緒化である」と批判しているが、これほど的外れのものはない。

この件について書き出すと長くなるので、本格的な反論は別の機会にしたい。ただ、
次のことだけは指摘しておく。

短く核心をつくワンフレーズ、これこそ小泉純一郎の真骨頂である。ワンフレーズ・ポリティクスと非難する人もいるが、政治家にとって言葉は命である。ダラダラとしゃべり、
言語明瞭・意味不明などと揶揄されるのは、言質(げんち)を取られまいとするが故の
自己防衛にすぎない。
短く発言するのは勇気がいる。誤解されたら一瞬にして命取りになる。釈明に100倍の言語を要する。が、言いたいことを歯切れよく、インパクトを強めて発信すれば、相手の心にも響くのだ。
これをメディア、特にテレビを使ってうまく国民に伝えたのが小泉首相である。これは、彼の才能であって、誰しもが真似できるものではない。

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参照1:小泉内閣の平均支持率は56%、歴代2位 (讀賣新聞)
参照2:小泉政権:64%が評価 毎日新聞世論調査 (毎日新聞)
参照3:小泉支持率47%、平均で歴代2位 本社世論調査 (朝日新聞)
参照4:変わり行く市場~非正規雇用の活用~
    (平成18年6月 東京都議会・調査リポート)

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2006/05/24

平沼赳夫を論じる。

保守を自認する人たちの中に、平沼赳夫氏を評価する方がけっこういる。その人たちは、たいていの場合『反小泉』である。
もちろん、私のブログにも反発している(笑)『小泉マンセーブログ』であると(爆笑)

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ここで断っておきたいのだが、私は小泉純一郎首相のすべてを肯定しているわけではない。彼の構造改革路線を支持しているだけである。

私は、かつて以下のように書いた(赤字)。

俺はこの政治家を信用できない。彼は世襲政治家の典型であり、自民党のHPに掲載されている彼の経歴は、まさしく政治エリートそのものである。
要は、生活者の視点や考え方など理解できない政治家なのだ。その点はブッシュに
似ている。ウマが合うはずだ。
実際のところ、二度も厚相を務め、自民党の厚生族の実力者でありながら、エイズや
ハンセン氏病の問題を解決できなかった。いや、もともと関心がなかった、と云った方が正確だろう。つまり小泉という政治家は、弱者の痛みを知らないのではないかと考えざるをえないのだ。
しかし、こんな小泉首相に対する個人的な好き嫌いと、郵政民営化における彼に対する評価は、また別問題である。

(2005/04/09 小泉首相の「郵政民営化」を考える

なぜ私は、小泉首相の構造改革路線を支持するのか?それは、私の人生経験と表裏の関係にある。私は、これまで二度、奈落の底に突き落とされた。1回目は33歳のとき(1985年)、2回目は46歳のとき(1998年)。
1回目のときは、その直後にバブルが始まったお陰で何とか短期間で復活できた。が、2回目のときは『失われた10年』の真っ只中で、やっと起き上がることができたのは、
つい3年前のことである。

私は、二度にわたる挫折と復活の過程で、この国の高度成長を支えてきた体制の限界を痛感した。経営の側から見れば、行政指導・護送船団・横並び・株式の持合い。公共事業と談合。働く側から見れば、終身雇用と年功序列。定昇(定期昇給)とベア(ベースアップ)。
この体制は、実は1990年の時点で既に限界に達していた。そして、1995年に住専
(住宅金融専門会社)問題が表面化した時点で、それは誰の目にも明らかになった。
にもかかわらず、政治はその後も問題の根本的解決を先送りし、その一方で金融の
『日本版ビッグバン』を実行した。お陰で、まだ体力のあった金融機関までもが疲弊し、『貸し渋り』や『貸しはがし』が横行。日本経済は奈落の底に沈み、私が幹部を務めて
いた会社も破綻した。

今、銀行は、私が役員を務める会社に、向こうから「金を借りてくれ」と言ってくる。5~6年前であれば考えられないことだ。
やはり、これは小泉内閣が金融機関に公的資金を強制注入し、不良債権を強制処理させたことが大きい。もちろん、民間企業が血の滲む努力によって設備・雇用・債務という『三つの過剰』を解消したことが景気回復の原動力であることは論を待たない。
景気が急回復する中で、私の会社も順調に業績を伸ばしている。もう、年収300万円の生活はコリゴリである。親子4人では食っていけない(笑)

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平沼氏に、小泉首相のようなことができただろうか?100%否である。

『郵政民営化』が争点になっていた当時、郵貯・簡保の総資産量は340兆円に上り、
我が国の個人金融資産の4分の1を占めていた。
つまり国が個人金融資産の4分の1を吸い上げていたのである。しかも、その大半を
国民の目が届かない国や地方の公社・公団・事業団に垂れ流していた。そして、それが自民党の族議員や地方議員の利権の温床にもなっていた。
この体制を異常と思わない方がおかしい。国が『官』の信用によって国民の資産を吸い上げ、それを採算も効率も考えずに使う。政治・経済の構造を改革するうえで、この
『郵政民営化』は絶対に避けては通れない関門だったのである。

にもかかわらず、平沼氏は郵政民営化に真っ向から反対した。日本国が抱える根本的問題に背を向ける政治家が、公的資金の強制注入や不良債権の強制処理など決断できるわけがない。

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当時、『郵政民営化賛成』のキャンペーンを張っていた『空色さん』の質問メールに、
平沼氏は以下のように答えている(青字)。

郵政法案と人権擁護法案は表裏一体、公明党は郵政法案成立に協力し、自民党は
人権擁護法案成立に協力する、このふたつの法案は「セット」と申しても良いものです。

性急で強引な進め方も双子のように似ています。ひとつはアメリカの注文、ひとつは
公明党の注文、いずれも原案通りに進めることが注文先の希望と利益になることですから、修正・変更には応じず、内容の吟味や議論の打ち切りを行い、何が何でも可決を目指そうとする姿勢に納得が出来ます。

(2005/08/30 平沼赳夫氏からのメール

私は、これに対して以下のように反論した(赤字)。

公明党の意向を受けて「人権擁護法案」成立に向けて馬車馬のごとき働きを見せたのは古賀誠元幹事長である。その古賀氏は「郵政民営化法案」に関しては、今度は逆に反対派の一方の旗頭になった。本人は、派閥の都合もあって土壇場で棄権に回ったが、彼の手兵の相当数が民営化反対に回ったのは事実である。
「郵政法案と人権擁護法案は表裏一体」で「セット」というのであれば、創価学会=公明党と太いパイプを持つといわれる古賀氏の行動はどう説明するのか?この二つの法案がリンクしていないからこそ、古賀氏のような行動が可能になったのではないか。
古賀氏が師と仰ぐ野中広務氏も「民営化反対」で強力に動いた。その野中氏は人権擁護法案には賛成である。つまり、自民党内で人権擁護法案の中核になっているのは、反小泉派・郵政民営化反対派なのである。

先週の土曜日(2006/05/13)、讀賣新聞朝刊に面白い記事が載っていた。小泉政権5年 泣かされた人たちというシリーズ記事である。
この中で、片山虎之助自民党参院幹事長は次のように述懐している(青字)。

(参院の)郵政民営化法案の反対者には「反安倍(官房長官)」が理由だった人もいた。
古賀(誠・元幹事長)さんらが進めていた人権擁護法案に、安倍さんはじめ拉致議連関係者が猛烈に反対し先送りになったから、メンツをつぶされたと感じ、郵政法案に反対しようとした面もあったと思う。

つまり、参院自民党の郵政民営化反対派のかなりの部分が、人権擁護法案推進派
だったということである。
要は、「郵政法案と人権擁護法案は表裏一体、公明党は郵政法案成立に協力し、自民党は人権擁護法案成立に協力する、このふたつの法案は『セット』と申しても良いものです」という平沼氏の主張は、まったくの作り話であったということだ。
現に人権擁護法案は、今国会でも早々と見送りになった。

平沼氏の「郵政民営化はアメリカの注文」というのも、言いがかりと言ってよい。

先日お亡くなりになった松野頼三・元自民党総務会長は、若かりし日の小泉首相に
ついて以下のように語っている(青字)。

首相が郵政民営化を唱え始めたのは1979年、大蔵政務次官になったころ。「郵貯、
簡保は金融界の租界にいるようなものだ。民間より有利な条件で国民からお金を集め、そのお金が特殊法人に流れて無駄遣いされている。不公平だ」
松野頼三・元自民党総務会長は、若き小泉氏が憤っていたことを覚えている。

(2005/10/17 読売新聞)

また、私は過去のエントリーで以下のようにも書いている(赤字)。

小泉首相は、1992年の宮澤内閣で 郵政大臣に就任した。このとき、就任の挨拶で
「郵政民営化」をぶつ大臣に対し、No.2の次官が「大臣がなんと言おうと民営化なんてありえない」と反論するという、前代未聞の事態が発生したのである。
小泉首相が「郵政民営化」をいつから最大の政治信条にしたのかは知らない。が、少なくとも20年にはなると思う。これだけでも並の政治家ではないが、そのころは高度成長時代の爛熟期である。「郵貯→財政投融資→政府関係機関への資金の垂れ流し=
非効率・不採算=国民の財産の無駄遣い」という、彼が提起する問題に同調する政治家などいなかった。それでも彼は信条を曲げずに今日に至ったのである。このことは
率直に評価したい。

つまり、小泉首相の『郵政民営化論』は、27年前(1979年)に始まり、それが公に知られるようになったのは14年前(1992年)。私が『郵政民営化』を支持し始めたのも14年前からである。
これを2004年の米国の『年次改革要望書』が『郵政民営化』を取り上げたからといって、「郵政民営化はアメリカの注文」というのは、『政治的プロパガンダ』以外の何ものでもない。

この「郵政民営化は米国の要求に従ったもの」という主張は、当時の自民党・反民営化派から民主党、共産党、社民党、果ては極左の革共同中核派まで、ありとあらゆる
政治勢力が主張していた。
そして、この主張に飲み込まれた保守の人たちもいた。
が、郵政民営化論の歴史と本質を知る人にとっては、これがプロパガンダであることは一目瞭然、「えっ???」という感じだった。

バカバカしい、の一言!!!

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自分を正当化するためであればウソも平気でつく。
これは政治家の常であり、ある意味、仕方がない。政治は権力闘争であり、権力闘争は何でもありだ。
正直な政治家なんて3日でつぶれる。そんなヤワは政治家ではない。権力を握るためには信念を曲げ妥協もする。政敵を貶めるためにウソもつく。
こんなことは、保守も中道も左翼も当たり前のようにやっている。典型は日本共産党だと思う。

だから、『郵政民営化』における平沼氏のプロパガンダを非難する気はない。が、この
政治家は、余りにも政局に疎すぎる。これは致命的である。
とても政治=権力闘争を生き抜いていけない。

平沼氏は昨年、郵政民営化法案が5票差で衆議院を通過した5日後、石原慎太郎都知事を都庁に訪ねている。新党を結成し、トップに国民の人気が高い石原知事を据え、
小泉首相に対抗しようとしたのだ。
しかし、石原知事は「俺は郵政民営化に賛成だ。新党には大義がないよ」と最後まで
首を縦に振らなかった。それでも、平沼氏は「参院での法案否決-解散」に向けて突き進んだ。
造反組がまとまれば、衆院選後にキャスチングボートを握れる。小泉退陣なら自民党に戻り、総裁選に挑戦できる。
こうした展開を思い描く平沼氏は「法案否決で解散なら造反組に追い風が吹く」と断言したこともあった。

結果は皆さんご承知のとおり。政局音痴の平沼氏は爆沈した(笑)

もうひとつある。平沼氏は経済産業相のころ、中国の東シナ海におけるガス田開発に
沈黙を貫いた。確かに相棒が川口順子外相だったという制約もあったろう。が、この
事実は重要な意味を持っている。
中国によるガス田開発が一気に進んだのは、この平沼氏の経産相時代だった。
結局、この問題を正面から取り上げたのは、平沼氏の後を継いだ、安倍官房長官の
盟友・中川昭一経産相(現・農水相)と町村信孝外相(当時)のコンビである。

平沼氏は憲法や教育基本法、人権擁護法案や拉致問題でもっともらしいことを言って
いる。が、私は、彼の口から『対中外交』に関する見解を余り聞いたことがない。
「日中関係は双方にとって非常に重要な2国間関係であり、日本は中国と共に各分野の交流を強化し、友好、平和の日中関係を共に築くことを願っている」(2005/04/18
中華人民共和国駐日本大使館)といった発言くらいか。
なお、この発言の時期は、中国で反日デモが吹き荒れていたころである。

【特記】
コメント及びTBを許可制にさせていただきました。
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2006/05/14

格差社会批判は『反安倍』のプロパガンダ


自民党の加藤元幹事長はTBSの番組「時事放談」の収録で、小泉・竹中路線は格差容認だと批判したうえで、「ポスト小泉」での路線転換を求めました。

「格差をもっとつけて頑張らせなければ、経済が停滞すると竹中総務相はおっしゃるのだけれど、それなら、どうして戦後(日本は経済)第2位まで伸び上がっていったのか」(自民党 加藤紘一元幹事長)

このように述べた加藤氏はポスト小泉候補の1人、福田元官房長官について「格差社会や教育問題でも明確なメッセージを出してほしい」と述べました。

また、民主党の渡部国会対策委員長は靖国神社参拝の再考を求めた経済同友会の提言に小泉総理が「商売と政治は別」と発言したことについて、「思い上がりだ」と批判しました。

加藤氏「小泉・竹中路線は格差容認」 (2006年5月13日 TBSニュース)

「格差をもっとつけて頑張らせなければ、経済が停滞すると竹中総務相はおっしゃるのだけれど、それなら、どうして戦後(日本は経済)第2位まで伸び上がっていったのか」。
この加藤紘一元幹事長の発言は、9月の自民党総裁選を意識したプロパガンダでしかない。
小泉首相も竹中総務相も「格差をもっとつけて頑張らせなければ、経済が停滞する」などと一言も言っていない。
小泉首相が言ったのは、「格差が出るのは別に悪いこととは思っていない」「いままでは悪平等との批判が多かった。企業も国も地域も個人も『自助と自律』が大事な精神だ」(06/02/01 参院予算委員会)である。

確かに所得格差は広がっている。が、これは高齢者(年金生活者)の比率が高まっていることが主たる原因、というのが大方の見方である。
また、派遣社員やパートタイマーの比率が上昇しているのも事実である。が、これも
小泉改革とは関係がない。

高齢者の比率が高まっているのは時代の必然。派遣社員やパートタイマーの比率の
上昇も、民間企業の血の滲むような努力(リストラ)の結果。
小泉内閣がやったのは、金融機関への『公的資金の強制注入』と『金融の量的緩和+実質ゼロ金利』。
これによって経済の根幹を支える金融システムの安定と、デフレスパイラルの阻止というマクロの政策目標は達成された。
この3月期において、上場企業の多くが史上最高益を更新したのは、このような政治による経済環境の改善があったとはいえ、最終的には企業個々の努力の賜物である。

バブル崩壊後の景気の後退局面で、我が国企業は設備・雇用・債務という三つの過剰を抱えていた。これを解消しない限り企業の再生はない。
そこで実行されたのが不要設備の処分、余剰人員の解雇、過剰債務の圧縮という荒療治である。日産自動車の座間工場閉鎖などは、その典型であろう。
このような大がかりな構造調整の中で、確かに相当数の正社員が、その職を失った。

私は、派遣社員やパートタイマーの比率上昇が一概に悪いとは思わない。私は、民主党の小沢一郎代表が言う「終身雇用と年功序列は、日本社会が考えたセーフティー
ネットの最たるものだ」などとは、ちっとも思わない。それは、バブル経済以前の話である。
経済がここまでグローバル化した以上、市場はより柔軟でなければならないと
思う。日本企業は、終身雇用や年功序列と決別することによって、多くの血を流した。
が、それが今の、力強い日本経済の復活を促したのだ。

「それなら、どうして戦後(日本は経済)第2位まで伸び上がっていったのか」という加藤元幹事長の発言も、小沢代表の主張と完全にダブル。が、これは時代錯誤以外の何ものでもない。我が国が『終身雇用と年功序列』という雇用システムに帰ることは絶対にない。

問題の本質は、『終身雇用と年功序列』が崩壊したことにあるのではなく、派遣社員やパートタイマーと正社員との雇用条件の格差にある。
同じをしても、パートタイマーは正社員の60%しか給料をもらえない。あるいは、
ベテランのパートタイマーの方が新人の正社員より重い責任を持たされているのに、
パートタイマーの方が賃金が安い。
こういう、日本的な正社員優遇の制度と風土を改善し、真の能力主義を確立することが、喫緊の課題なのである。

加藤紘一元幹事長は、時代の違いを意図的に無視している。行政指導、護送船団、
横並び。その裏返しとしての終身雇用と年功序列。これは、遠い過去の遺物でしかない。
にもかかわらず、ここに来て「どうして戦後(日本は経済)第2位まで伸び上がっていったのか」と過去を引き合いに出して小泉改革を批判する。
これは、『反安倍』のプロパガンダ以外の何ものでもない。

なお、民主党の渡部国会対策委員長の発言は、『ボケ』なので無視します。

【特記】
コメント及びTBを許可制にさせていただきました。
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2006/03/26

国の借金が増えると個人の金融資産が増える???

財務省によると、国債や借入金などの国の借金残高が、2005年12月末に813兆1830億円に達した(前年同期比8.3%増)。国民1人当たりの借金は約636万円になる。
地方自治体の債務合計は約200兆円で、国と地方を合わせた借金は重複分を除いて、この3月末に1000兆円を超える見通しだという。

政府債務残高の約8割を占める国債のうち、一般会計予算の社会保障費や公共事業費の不足分を埋める普通国債は、525兆9234億円円で過去最高となった(同7.5%増)。政府系金融機関などに資金を供給するための財投債は133兆2389億円だった(同20.3%増)。

ここで、普通国債と財投債は分けて考える必要がある。まず普通国債について言及する。
普通国債の新規発行分は、減ってはいないが抑制はされつつある。では、なぜ前年比7.5%も増えるのか?

バブル経済が崩壊し、その後の不況が長期化した(失われた10年)ため税収が減少。それにともなう歳入不足を補うために、政府は多額の国債を発行した。
しかも、不況を克服するために、景気対策を目的とした国債の発行も、たびたび行なわれた。
ところが、景気は一向に回復せず、歳入不足が常態化。、過去に発行した国債の償還資金さえ不足する事態になった。このため国は、社会保障や公共事業などの政策経費の不足分を補うための国債と、発行済国債を償還するための国債を発行しなければ
ならない破目に陥った。
つまり、収入が思ったように増えないので、生活のために新規の借金をした上で、
「過去の借金を返すための借金」もする。こうして借金が雪だるま式に膨らんでいったのである。

このような事態は、どうすれば解消できるのか。それは、個人が家計を立て直すのと
同じである。
(1)無駄な支出を減らす。(国の所管事業見直し)
(2)扶養家族を減らす。(公務員削減)
(3)不要不急な財産を処分する。(国有財産の処分)
(4)収入を増やす努力をする。(景気のさらなる回復と増税)

23日から衆院本会議で審議入りした「行政改革推進法案」は、①公務員総人件費
削減、②政府系金融機関改革、③独立行政法人の見直し、④特別会計改革、⑤国の資産・債務削減を5本柱としている。
具体的には、①既存の政府系金融8機関を平成20年度に一元化し、貸付金残高を国内総生産(GDP)比で16年度の半分以下とする、②自衛官や独立行政法人を含む国家公務員の定員(約69万人、日本郵政公社を除く)を5年間で5%以上純減させる、③31の特別会計を2分の1から3分の1に減らし、平成19年度に「整理合理化法案」(仮称)を国会に提出する、④10年間で国の資産をGDP比で半減させることを目安に公務員宿舎など政府資産を売却する、ことなどが盛り込まれている。

つまり、国家公務員の数を減らし、利権の巣窟になっている特別会計のムダをなくし、国の貸付金残高=財投債を半減させる、国の資産もできる限り売却する、ということだ。

国の資産削減については、自民党財政改革研究会のプロジェクトチームが22日に、112兆1000億円の政府資産の圧縮を目指すとした中間報告をまとめた。
一方、経済同友会は23日、政府の資産を総額175兆円圧縮するべきだとした緊急提言を発表した。
同友会案では、庁舎や公務員宿舎などの資産売却で11兆7000億円を圧縮。さらに、NTT株、JT株の完全売却や独立行政法人などへの貸付金の証券化、日本郵政公社
など民営化される機関からの貸付金回収などで合計163兆円が減らせるとしている。

政府や自民党がめざしている方向そのものは正しい。あとは、それが本当に効果的に実行できるかどうかにかかっている。
何しろ相手は、霞ヶ関の官僚と公務員労組である。霞ヶ関の官僚のバックには族議員が付いている。公務員労組には野党が付いている。
その抵抗力の強さは半端ではないと思われる。が、これができないと、もっとも重要な「収入を増やす」=「増税する」ということに対する国民の理解が得られない。
増税がスムーズにできなければ、財政再建は「絵に描いた餅」になる。

日本銀行が「金融の量的緩和」を解除した。中央銀行が、半ば強制的に市中の金融機関にマネーを押し付けるという、世界に例を見ない異常な政策が転換された。
日本銀行は、「実質ゼロ金利政策」は当面の間は堅持するとしている。が、「ゼロ金利」などという金融政策を、永遠に続けられるはずもない。「量的緩和の解除」を受けて、
すでに長期金利は、ジワリジワリと上がり始めた。

金利が上がり、国債が値下がりすると、その大半を受け持っている郵貯や民間の金融機関が大打撃を受ける。
国庫も同様である。2004年度の財務省試算によれば、国債金利が2005年度から、
今の想定(10年物で年2%)より1%高くなると、3年後の2007年度の国債利払い費は
想定より約3兆7000億円多くなる。
1%の金利上昇で国債の元利払いが年間に1兆2000億円以上膨らむ。約3兆7000億円という数字は、消費税率5%のほぼ4割の減収にあたる。

つまり、金融政策が正常化されると、今のままでは、国も金融機関も持たない。一刻も早く借金(国債)を減らさなければならない。改革をすみやかに実行し、スリムな体に
なったうえで消費税を引き上げる。
もう待ったなしなのである。

なお、財投債について言えば、財政投融資の残高自体は、政府系金融機関の融資
縮小などに伴い減っている。が、01年度からの財政投融資改革で、政府系金融機関や公社・公団(独立行政法人)への資金供給のために財投債を発行するようになったので、発行残高が膨らみ続けているのだ。
これは、普通国債とは事情が違う。「行政改革推進法案」が実行に移されることによって、政府系金融機関や独立行政法人の業務見直しや統廃合、民営化等の経営効率化が実現されれば、財投債は確実に減る。
ただ、これも、霞ヶ関の官僚と族議員と公務員労組が三位一体となって抵抗するのは必定であるから、心してかからなければ失敗する。

ところで、借金が813兆にも膨れ上がって我が国は大丈夫なのか?とご心配の方もおられよう。
実は、財務省が国の借金を発表した同じ日に、日本銀行が、昨年12月末の家計部門(個人)の金融資産残高を発表した。何と、前年末よりも5.2%も増えて、1509兆円と過去最高を記録した。1500兆円を超えたのは、統計が残る79年以降初めてである。景気回復で所得が増えたことに加え、株価や投資信託の価格上昇が、個人金融資産残高を押し上げたという。

統計によると、超低金利が続く中で、高い利回りが期待できる金融商品が人気を呼び、株式が前年末比48.4%増の118兆円、株式や債券で運用される投資信託も同40.1%増の51兆円、国債・財投債も同31.8%増の26兆円に達した。いずれも過去最高の水準である。

なお、金融商品に人気が集まる一方、現金・預金志向も相変わらず強く、現金・預金は同0.6%減の783兆円で個人資産のなお半分強を占めている。

この、世界第2位の1500兆円を超える個人金融資産がある限り、我が国が、かつてのロシアやアルゼンチンのような利払い停止-デフォルトという事態に陥る可能性は低い。国債の国内消化率は95%を超えているし、政府保有資産は280兆円にのぼる。
こういう我が国の特殊性を考えると、国と地方を合わせた借金が1000兆円を越えるからといって、今すぐこの国が立ち行かなくなるというわけではない。
もちろん、だからといって、前述したように、財政再建が「待ったなし」の状況であることに変わりはない。今後、金利の上昇が見込まれるだけになおさらである。

では、世界第1位の個人金融資産を誇る米国と我が国を比較してみよう。そうすれば、我が国の底力がもっとよく解る。

米国債の発行残高は、2003年7月時点で、6兆7510億ドル(約790兆円)。2005年末の発行残高は、正確には分らないが、もう少し多いであろう。
日本国債の2005年末の発行残高は、約5兆6339億ドル(659兆1623億円)。

米国の2005年の経常収支は8000億ドル超(約93兆6000億円)の赤字。日本の2005年の経常収支は約1579億ドル(18兆479億円)の黒字。

2004年末の米国の外貨準備高845億ドル。2005年末の準備高は、正確には分らないが、もう少し少ないであろう。日本の2005年末の外貨準備高は8469億ドル。

米国の個人金融資産の総額は、日本の約12兆9000億ドル(1508兆6760億円)を2倍以上上回る。
ただ、我が国の個人金融資産は現金・預金の比率が5割を超えるが、米国は株式や
投資信託のウエイトがかなり高く、したがって景気次第で大幅に変動(減額)する可能性が高い。
為替レートも実体経済以上にドル高になっており、米国の個人金融資産の総額は、
このドル高分も差し引く必要がある。
また、米国の家計には、「低貯蓄率」「過剰債務」という構造的な問題もある。

要するに、日本株式会社は借金も多いが利益も多い。会社も従業員も蓄えが多い。対する米国株式会社は、借金が多いうえに大赤字。従業員はカネを持っているが、会社の蓄えはほんのわずか。
解りやすく言えば、こんなところであろうか。
我が国の実力からすれば、財政再建は必ずできる。悲観することなく改革を進めていくことだ。

参照1:国の借金800兆円突破 05年末、前年比62兆円増
参照2:個人金融資産、初の1500兆円突破 昨年末
参照3:米国の経常赤字が世界的な資金移転を引き起す可能性
参照4:国際比較:個人金融資産1,400兆円
参照5:グローバル化の進展とマクロ経済の動向
参照6:政府資産175兆円圧縮可能…経済同友会が提言
参照7:米国家計支出はなぜ堅調か
参照8:行革実効性どこまで 推進法案審議入り 首相「最重要課題」

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2006/02/25

小泉改革の影

ここに来て、小泉改革の影の部分について言及するニュースが増えてきた。新聞などのメディアはもちろん、政治家もこの問題について発言することが多くなった。
これは、この9月に小泉純一郎首相が退陣するということが大きく影響している。
メディアは5年に及ぶ小泉政治の功罪を検証しようとし、政治家はポスト小泉における
自らの政治的スタンスを明らかにすることによって、その地歩を確保しようとしている。

この問題に対する小泉首相の立場は、「格差が出るのは悪いことではない」「『負け組』の人もチャンスがあれば『勝ち組』になるかもしれない」というものだ。
要は「再挑戦できる仕組みを整えれば、格差があっても問題はない」という立場である。
では、他の有力政治家の考えはどうか?

「『光と影』に二極分化し、格差が広がっている」(青木幹雄参院議員会長)

「構造改革の進展で、『影』というべきゆがみが広がっている」(神崎武法公明党代表)

「光と影という言葉もあるが、格差社会が進行しないように、どうしたらいいかということを、政策の柱の一つとして取り組んでいきたい」(山崎拓前自民党副総裁)

「規制緩和により、いろいろと雇用のチャンスも生まれたし、経済に活力が出てきた」「『勝ち組』『負け組』が固定されず、再チャレンジできる社会を作りたい」(安倍晋三
官房長官)

「競争したり切磋琢磨したりして、浮かぶ人もあれば沈む人もあるというのは否定できない。そういうものが構造的に固定していくとすれば、問題があり得る」(谷垣禎一財務相)

「経済が活性化する時には一時期、元気のいいのが引っ張っていくしか方法がない。
それが波及していかないといけない」(麻生太郎外相)

「中央(経済)の方もしっかりしてきましたから、これからは地方がしっかりしなければ、この改革は完成したとはいえない」「地域の格差というものも十分視野にいれて、これからの政治をしていかなければいけない」(福田康夫元官房長官)

「格差が拡大している。影が色濃く出ている」(前原誠司民主党代表)

発言の内容によって、それぞれの政治家の小泉首相に対するポジションが分かる。もっとも首相に近いのが安倍官房長官。次が麻生外相、そして谷垣財務相。
三氏以外の政治家は、首相とかなりの距離があるのが分かる。前原民主党代表は
論外だが。

ところで、「影」「影」というが、実際のところはどうなのか。
確かに地方経済は苦しいところが多い。が、これは今まで公共事業に依存した部分が大きかったからである。
小泉内閣の下で国は公共事業を削減。地方もバブル時代の無節操がたたって財政はパンク寸前。公共事業どころではない自治体も多い。大阪市がその典型である。
したがって、これをもって「改革の影の部分」というのは筋違いである。

では、影の部分はないのか?
ある。それは高齢者からの利子収入の剥奪である。


日本銀行の白川方明理事は23日の参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の低金利政策で家計が受け取る利子収入がどれだけ減ったかについて、「(高金利だった)1991年の受取利子額38.9兆円が2004年まで継続したと仮定して、現実の金利収入と比較すると、304兆円が失われたことになる」との試算を示した。

白川理事は「家計部門の利子所得の減少が、これまでの金融緩和政策のマイナス面なのは十分認識している」としたうえで、「借入金利の減少による(プラスの)影響などを含め、経済活動全般に与える効果も総合的に判断していく必要がある」と強調した。

家計の利子収入、304兆円が消えた…低金利政策で
(2006年2月24日 読売新聞)

なんと、バブル崩壊後の「実質ゼロ金利」「金融の量的緩和」という政策の下で、家計から304兆円ものおカネが消えたのである。これは、今も「現在進行形」。
もちろん、家計に対してプラス面もある。例えば住宅ローンや教育ローンを借りれば、
金利が極端に低いため家計にはプラスに働く。
したがって、借金をする世代、つまり30歳代半ばから50歳代前半までの世帯は「実質ゼロ金利」で恩恵を受ける確率が高い。
問題は高齢者世帯である。
60歳以上で、住宅ローンや教育ローンを借りる人はあまりいない。逆に、老後の備えとして退職金等を預金している人が多い。

私の知人(70歳代)は、10年以上前は金利で夫婦の小旅行ができていたと言う。が、
この10年近くは預金の取り崩しの連続で、残高も少なくなり不安でいっぱいだと言っていた。
つまり、改革は高齢者世帯を直撃しているのである。この事態を、これ以上放置し続けるわけにはいかない。

確かに、「実質ゼロ金利」「金融の量的緩和」政策を取らざるをえないという時代的背景はあった。そうしなければ、我が国の金融システムを再生することはできなかった。
また、金利が上昇すれば、国債や自治体が抱える公債の金利負担が膨れ上がり、
破綻自治体が続出したであろう。
つまり、高齢者を犠牲にして、金融機関や国、自治体が救済されたのである。これは
間違いのない事実である。

が、景気は着実に回復軌道に乗った。金融機関も復活した。この3月期は、大多数の
上場企業が史上最高益を更新する見込みだという。
政府は、まだデフレを克服できていないという。が、日銀の福井俊彦総裁は24日の
衆院財務金融委員会で、量的緩和政策の解除について「消費者物価指数(CPI)は
この先、より鮮明にプラスになっていく。条件は少しずつ成熟しつつある」と述べ、「金融の量的緩和」解除の時期が近づいているとの認識を改めて強調している。

早期の日銀による「金融の量的緩和」政策の転換を望む。そうすれば、いずれ「実質
ゼロ金利」も解消され、「不安でいっぱい」という高齢者の心も「安心」に傾く。

【追記】
読者の方から

「経済全体からみれば、まだ資金が高齢者に集まりすぎなのでは?
高齢者で個々に苦しい人は追い詰めないように手当てが要りますが、全体には若い人に収入の道が無ければ先が暗い」

というコメントが寄せられた。
実は、下記の参照記事「格差社会 データにくっきり」の中に、以下の記述がある。

総務省の家計調査によると、貯蓄残高から負債残高を差し引いた純貯蓄額は、30歳未満の世帯で、02年の119万円から04年には53万円へと約55%も減った。60歳以上の世帯では2,146万円から2,029万円へと約5%減にとどまっている。

要は、20歳代の世帯では、02年~04年の間に、純貯蓄額は半減。しかし、60歳以上の世帯では微減ということだ。
これは、若い世代にフリーターが増えていること、貯蓄よりも(ネットの)株式などに若者の資金が流れていること。その一方、1990年代末から2000年代の初めにかけて高年者のリストラが進み、(退職金割増し等の)優遇措置を受けて早期退職した高齢者が増えていることの反映だと思う。
この高齢者の貯蓄を消費やマーケットに引き戻すためにも、「実質ゼロ金利」を解除し、将来の生活不安を解消してやることが重要だと思う。

「全体には若い人に収入の道が無ければ先が暗い」のは論を待たないが、ニートやフリーターの増加という現実は、構造改革とは別の問題が絡んでいる。
別の機会に、改めて言及したい。

【追記2】
「金融の量的緩和」+「実質ゼロ金利」を「低金利政策」と勘違いして、まったく理解不能な批判を展開するカキコがあった。ときどきいるんですよね。物知り顔で的外れな批判をする人(笑)
誤解のないよう、ここで「金融の量的緩和」について説明しておきます。

量的緩和とは、市中の金融機関が日銀に持つ当座預金の残高を大幅に上積みし、
金融機関がいつでも必要なときに必要な資金を使えるようにすること。そのために日銀は、金融機関が保有する国債や手形を大量に買い取る。

これは、資金供給量を大幅に増やし、デフレ・スパイラルに陥る懸念や金融不安を払拭するためにとられた政策である。
つまり、株価下落や不良債権問題により、景気の先行き不安が高まっていたために取られた緊急避難的措置。デフレ経済からの脱却と多額の不良債権処理に苦しんでいた金融機関を支援することが目的。
政府・日銀が、「実質ゼロ金利」政策だけでは不十分である、と判断したために取られた。
なお、「実質ゼロ金利」は金利に着目した政策であり、「量的緩和」は量に着目した金融政策である。

参照1:格差社会 データにくっきり
参照2:ホリエモンと改革の“影”
参照3:格差社会論争:小泉首相、強気に転換 「機会の平等」を強調
参照4:日銀総裁、量的緩和解除「条件は成熟しつつある」

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2005/12/13

やっぱり私は小泉支持です!

koizumi2








マレーシアを訪問中の小泉総理大臣が、靖国参拝問題を理由に首脳会談を見送った
中国の対応を「理解できない」と非難し、ASEAN=東南アジア諸国連合各国に対しても 中国批判を展開しました。

靖国参拝への反発から日本への圧力を強める中国に、13日は小泉総理が「1つの問題で首脳会談が開かれないのは理解できない」とかみつきました。これは、議長国のマレーシアから日中関係の悪化を心配する声が上がったことに対し、小泉総理が答えた
もので、「靖国参拝は戦争を美化するものではない」とつけ加えました。

12日は温家宝首相が盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と会談し、「靖国参拝は中国や韓国の国民感情を大きく傷つけた」として、小泉総理をけん制したばかりです。「時間がたてば理解される」と繰り返しながら、また火に油を注いでしまった小泉総理ですが、批判合戦が繰り広げられるなか、関係改善は絶望的です。

「理解できない」会談拒否の中国を小泉首相が批判
(2005/12/13/18:13 ANN NEWS)

やっぱり我らが小泉首相。本日の1本目のエントリー「前原代表!まだケツが青いな
における、民主党の前原代表と比較していただければ、違いは一目瞭然。
あまりにも痛快なので、つい2本目のエントリーを書いてしまいました(笑)。

>「1つの問題で首脳会談が開かれないのは理解できない」とかみつきました。

「かみつきました」というテレビ朝日の表現も笑えるが、まさに中共は「痛てっ!」でしょうね。
こういう風に書くと、また『小泉信者』(笑)という心ない(笑)カキコがあるかもしれません。が、痛快なものは痛快!
ほかに言葉がありません!

「また火に油を注いでしまった小泉総理ですが、批判合戦が繰り広げられるなか、関係改善は絶望的です」でよいではないか!テレ朝くん。

やっぱり私は小泉支持です(爆笑)。

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2005/12/06

重要なのは首脳会談ではない

(以下引用)

小泉純一郎首相は5日昼、中国が東アジアサミット前の日中韓首脳会談の延期を表明したことについて「靖国(神社参拝問題)は外交のカードにはならない。いくら中韓両国が外交カードにしようとしても無理だ。批判する方がおかしいと思っている」と述べ、中国側を批判した。

首相は「私はいつでもいいが、中国が延期する(なら)、それでも結構だ。中国の事情を尊重する」と指摘。中韓両国との関係については「靖国以外にも日中、日韓で重視していくべき問題はたくさんある。一つの問題で意見が違うと言って、ほかの問題も悪くしようという考えは(私には)ない」と述べた。

首相の靖国参拝が会談延期につながったとの見方には「そうではないと思っている。
これ(靖国参拝)は心の問題だ」と反論した。

首相官邸で記者団の質問に答えた。
(以下略)

首相、会談延期で対中批判 「靖国外交カードでない」
(2005/12/06 産経新聞)

今回の東アジアサミットにおける日中韓3か国首脳会談を中国が拒否した。先月の
韓国におけるAPECで、日中の首脳会談を拒否したことに続くものだ。
この中国の態度に対して、小泉首相が「靖国(神社参拝問題)は外交のカードにはならない。いくら中韓両国が外交カードにしようとしても無理だ。批判する方がおかしいと
思っている」と明言したことは非常にi意義がある。
今の中国(韓国)には、「靖国参拝問題」以外に外交カードがない。このカードを中国
(韓国)が取り出したときに、我が国がゼロ回答を突きつければ、もう次に打つ手がないのが実情である。逆に経済的には、中韓ともに「日本なしではやっていけない」実態がある。

APECにおいても小泉首相は、全体会議で、「一つの意見の違いとか対立で、全体の
友好関係を阻害してはならない。中国、韓国と政治的首脳の交流は途絶えているが、他の関係は良好だ。どんなに批判しても結構だ。私は何らわだかまりを持ってない」(2005/11/19 毎日新聞)と発言している。
しかもこれは、胡錦濤主席は発言が済んだ後で反論できず、議長の盧武鉉大統領も
聞き役に回るしかない状況で行われた(笑)。

APECに続く今回の発言。中韓両国とも、日本が変わったことを痛感したのではないか。特に、「中国の事情を尊重する」という小泉首相の言葉は、問題の原因は「日本国ではなく中国にあるのですよ」「それを、どう解決するかは中国次第ですよ」と言っているようなものだ。
まさに、対中・対韓外交において我が国は対等の立場に立った、といえるのではないか。
しかも、この発言はロイター経由で世界中に配信されている。中韓以外の国に、我が国の外交姿勢を知らしめるうえでも意義がある。

もはや「靖国参拝問題」は外交カードにはならない。小泉内閣が毅然とした態度を取ることによって、国内世論も大半が、この問題で外国が口出しすることを嫌っている。
朝日新聞が今年5月末に行った調査では、靖国参拝を問題視する中国の姿勢について、「理解できない」が51%で、「理解できる」の37%を大きく上回っている。
8月中旬のNHKの討論番組で行われた緊急世論調査でも、「首相の靖国参拝」は
①「国内問題として決める」が70%以上、②「他国に配慮すべき」は25%程度に過ぎ
なかった。
小泉首相の靖国参拝直後に朝日新聞が行った世論調査では、首相の靖国参拝を
「よかった」とする回答が42%で、「参拝するべきではなかった」の41%を上回ったし、
共同通信社の調査でも、参拝支持が48%と不支持46%を上回った。

これに対し、例のごとく朝日新聞が中国寄りの発言をしている。しかも【社説】で(怒)。


戦後日本が近隣国との信頼関係を深めようと積み上げてきた外交の努力が、またひとつ、崩れてしまった。

今月中旬にマレーシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓による会合の際に予定されていた、恒例の日中韓3国の首脳会談が実現できないことになった。

今回の議長役をつとめることになっていた中国政府が「現在の雰囲気と条件」を理由に、延期を発表したのである。小泉首相の靖国神社参拝と、参拝に対する内外からの批判を「わからない」などと頭からはねつけている首相への抗議の意図があるのは明らかだろう。

3国首脳会談は、99年に故小渕恵三首相の提案で実現した。消極的だった中国を日本がねばり強く説得し、史上初めて3国の首脳が一堂に会して語り合う場を設けたのである。

(中略)

民間交流や経済関係は続いていても、政治関係の異常な冷え込みは来るところまで
来てしまった。

中韓には大人の対応を求めたい。首脳の相互訪問は難しいにしても、これまではこうした国際会議などの場でかろうじて対話を保ってきた。せっかくの3国会談までやめてしまうのは失うものが大きすぎないか。

韓国はマレーシアでの日韓外相会談には応じ、日本に対する自国の怒りを伝える方針という。中国にも少なくとも外相会談の扉は開けておく冷静さがほしい。

とはいえ、これほどまで両国に強硬な姿勢を取らせた一因は、首相の外交的配慮に
乏しい言動にある。会談延期についても首相は「結構です。もう靖国は外交のカードに
ならない。中韓がいくら外交カードにしようとしても無理だ」と、妥協を探るそぶりはまったくない。

もともと過去に侵略や植民地の歴史を持つ国同士の関係は難しく、それだけに注意深さが必要だ。歴史を政治化させず、中韓が「反日」で結びつくのを防ぎ、3国協調の土台を広げる。そんな外交が求められているのに、首相のやっていることはまさに逆では
ないか。

小泉外交 対話の扉が閉じていく
(2005/12/06 朝日新聞【社説】)

朝日新聞に問う!
「せっかくの3国会談までやめてしまうのは失うものが大きすぎないか」
と言うが、「大きすぎる失うもの」とは何だ!中国の誠意のカケラもない「愛想笑い」か?
「歴史を政治化させず、中韓が『反日』で結びつくのを防ぎ、3国協調の土台を広げる」
と言うが、「歴史を政治化」させているのは中韓ではないのか!

朝日新聞に言う!
今回の東アジアサミットでの最大の問題は、日中韓3か国の首脳会談が開かれるか
どうかではない。「東アジア共同体」において、日中両国のどちらが主導権を握れるかが重要なのだ。
我が国は、東南アジア諸国連合と日中韓の、いわゆる「ASEANプラス3」に、今回のサミット参加国であるインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた形での「東アジア共同体」を想定している。この先には、「将来的な米国の加盟」もにらんでいる。
ところが、中国の思惑はまったく違う。


(前略)
中国は「共同体」実現を急いでいる。東アジアから米国を締め出し、米国と同盟関係にある日本を抑え込んで、自らの覇権を築くことに狙いがあるからだろう。
その中国が、「共同体」構想の議論を深める場は東アジアサミットではなくASEANプラス3だ、と言い出した。
日本の強い主張で、北京開催が阻まれた上、当初想定しなかったインドなどが参加する。これでは、中国主導でサミットでの論議を進めるのは難しい、と判断したためと見られている。
ASEANには経済的な影響力を行使し、韓国とは歴史問題で共闘して、日本を孤立化できる、という読みも、ASEANプラス3重視の背景にある。
中国の「変心」に最も反発しているのがインドである。インド抜きで東アジアの国際秩序づくりが進むのは容認できない、という明確な意思表示だ。
(後略)

[東アジア外交]「変化を見据えた戦略が大事だ」
(2005/12/04 讀賣新聞【社説】)

讀賣新聞の主張は、私が先月のエントリー「中国に譲るな東アジア共同体」で書いた
ことと、ほぼ同じである。
つまり、情勢をまともに読んでいれば、今回の東アジアサミットで何が重要なのかが
分かってくるはずなのだ。にもかかわらず、朝日は問題点を「日中韓3か国首脳会談」に矮小化する。
「日中韓3か国首脳会談」が開かれれば、中国が我が国の立場に近づいてくるとでも
言うのか!!!

我が国と同じ価値観を共有するオーストラリアとニュージーランド、そして中国と並ぶ
新興経済大国・インドが「東アジア共同体」に加われば、「自らの覇権を築く」という中国の野望は、一気に潰えることになる。
将来的に米国が加盟する余地を残せば、「東アジアから米国の影響力を排除する」という、中国の最大の狙いも頓挫する。だから中国は必死になっているのだ。
朝日が「クオリティ・ペーパー」を自認(笑)するのであれば、これくらいは読み解いて
見せるのが自らの責任であろう(笑)。

小泉首相は、このあたりを踏まえたうえで、今回の東アジアサミットに参加しようとしている。


「東アジア首脳会議」の初会合で、小泉純一郎首相が行う基調演説の内容が3日、
明らかになった。演説で小泉首相は、将来の東アジア共同体形成に向け、(1)会合の透明性と開放性(2)地域の多様性を前提とした機能的な協力(3)民主主義、自由や
人権など普遍的価値の共有-の重要性を訴える。日本側は共同宣言にこれらの文言を盛り込むよう議長国マレーシアに働きかけ、東アジアで主導権確立をねらう中国を
牽制(けんせい)する考えだ。
2005/12/04 産経新聞

(1)会合の透明性と開放性(2)地域の多様性を前提とした機能的な協力(3)民主主義、自由や人権など普遍的価値の共有
まさに、中国の思い通りにはさせない、という強い意志が読み取れるし、「東アジア共同体」構想に原則的には反対である米国への配慮も感じられる。
我が国は、中国の思惑に「最も反発しているインド」やオーストラリア、ニュージーランドと連携して「東アジア共同体」の主導権を握らなければならない。

最後に朝日新聞に言う。
小泉首相の一連の発言は、上記のような日中を対立軸とした、国と国との国益をかけた熾烈な争いの中で読み解かねばならないのだよ。
超一流大学を卒業した(はず?)朝日の英才が、【社説】でピンボケ記事を書くなんて???
「反日愛中」の度が過ぎて、頭がおかしくなったのではないか(爆笑)

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2005/11/13

ポスト小泉:権力闘争が始まった

このブログで比較的に多いエントリーは、中国と韓国に関するものである。が、実は
私がもっとも好きなのは政局がらみの記事なのである。
なぜか?そこでは、権力をめぐるむき出しの人間ドラマが見られるからである。そういう意味では、郵政民営化をめぐる攻防は、どんなドラマよりも面白い「血湧き肉躍る舞台劇」(笑)だった。

郵政民営化をめぐる攻防が小泉首相の一方的な勝利に終わり、政局は今、小康状態にあるように見える。が、既にポスト小泉をめぐる凄まじい前哨戦が始まっている。
今日は、そのあたりについて書いてみたい。

ポスト小泉をめぐる政局を読むキーワードは「政府系金融機関改革」「消費税率引き上げ」「国立追悼施設建設」の三つである。

私は、ポスト小泉について次のように考えている。
本命・安倍晋三官房長官、対抗・谷垣禎一財務相、三番人気・麻生太郎外相、穴馬・福田康夫元官房長官、大穴・与謝野馨金融・経済担当相。
巷間で取りざたされる竹中平蔵総務相や小池百合子環境相の目は、今の自民党の
権力構造を考えれば、まずありえない。

本命に安倍氏を挙げるのは、国民的人気の高さと所属する森派が最大派閥であることだ。確かに派閥は、以前のような結束力は失くしたが、総裁派閥になれる魅力はまだ捨てたものではない。

対抗に谷垣氏を挙げるのは、その政策能力と周囲に敵を作らない温厚な人柄である。谷垣派は衆参合計15人の小派閥だが、盟友関係にある山崎派(34人)が全面的に
バックアップする。

麻生氏を三番手にしたのは、所属する河野派が河野洋平衆院議長を入れてもわずか11人しかいないためである。
また、対立軸の一つになるであろう「国立追悼施設建設」=「靖国神社参拝の是非」に関しても、同じ側に安倍氏がいるため求心力を発揮しにくい。
また、「野中(広務)のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」と平気で
発言するなど、党内に敵が多く人望がない。

福田氏が穴馬なのは、自民党内に「近隣外交を考えれば、次期首相は靖国参拝慎重派がよい」という意見がかなりの割合であるからである。
「国立追悼施設建設」=「靖国神社参拝の是非」が争点として浮かび上がれば、福田氏が一方の雄として担ぎ上げられる可能性は残されている。

与謝野氏は、人格、識見、時代感覚において他の候補を引き離している。無派閥ゆえに可能性は少ないが、ワンポイントリリーフとしては最適である。
また、東京一区が選挙区だけに、なかなかの都会的センスの持ち主でもある。

ところで、政府・与党内における各氏の関係はどのようになっているのであろうか。
まず、政府系金融機関を一つに統廃合する考え方については、安倍氏は積極的で
谷垣氏は否定的。安倍氏を竹中氏が「(政府系金融機関を)二つ以上にする理屈は
何もない」と言って側面援護すれば、与謝野氏は「組織論の前に、どういう機能を残すべきかという議論が必要だ」と言って谷垣氏に理解を示す。

消費税率引き上げについては、谷垣氏が「平成19年(07年)の通常国会に案を出せるようにしなければならない」と主張すれば、安倍氏は「消費税率引き上げよりも歳出
見直しを第一に実施するべきだ」と反論する。
竹中氏も「少し経済が良くなり(衆院選で)自民党が勝ったので一部の税関係者が
『増税、増税』と言っているが、形を変えた抵抗勢力で徹底的に戦う」と述べるなど谷垣氏と財務省に対する敵対心を露わにする。
一方、与謝野氏は「自民党が決定した通りの手順で物事が進むべきだと思う」つまり「2007年度をめどに所得税、法人税を含め一体的に見直すべきだ」と述べ、谷垣氏と
同じ立場に立つ。

党内では中川秀直政調会長(森派)が、「消費税の税率引き上げ法案を07年の通常
国会に提出したいという谷垣財務相の考えは拙速だ。デフレの克服と歳出削減、資産圧縮をやって、最後に増税の議論だ。初めに増税ありきみたいな考え方は取るべきでない」と述べ安倍氏を全面援護する。

小泉首相は、「政府系金融機関改革」については「一つに統廃合する」、「消費税率引き上げ」についても「消費税率引き上げよりも歳出見直しを第一に実施するべき」という立場である。
これだけを見ると、ずい分と安倍氏寄りに見える。が、実はそうではない。2007年に
「消費税率引き上げ」を決定しなければ、どうにもならないのは安倍氏も解っている。
その前に、歳出削減で目に見える効果を上げる必要があることは谷垣氏も解っている。
「政府系金融機関改革」についても、与謝野氏の言うように、「数」を問題にする前に
「機能」をまず議論するのが正論である。そんなことは皆そう思っている。
にもかかわらず、こういう対立した議論が表面化する。これはポスト小泉を意識した宣伝合戦の色彩が強い。

谷垣氏は、自らの主張が小泉首相の考えと反しているように見えても、自らの主張を
撤回しようとしない。これは自らの考えに自信を持っているのと同時に、安倍氏や竹中氏との違いを際立たせることで党内及び世論にその存在感をアピールしているのだ。
そして、小泉首相も本音の部分ではそれを認めている。

既に、首相周辺で、安倍-竹中-中川(秀)と谷垣-与謝野のラインが分立している
ことが分った。では麻生氏と福田氏はどうなのか。
麻生氏は外相という立場上、今のところ出番がない。が、政府・与党の双方でフリーハンド(無役)の立場にある福田氏は、内閣と党役員の改造を受けてさっそく動き出した。

今月9日、超党派の議員連盟「国立追悼施設を考える会」の設立総会が国会内で開かれた。
会長には自民党の山崎拓元副総裁。副会長に公明党の冬柴鉄三幹事長と民主党の鳩山由紀夫幹事長、事務局長に渡海紀三朗・自民党衆議院議員がそれぞれ就任した。

「考える会」の設立には、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に対する中国、韓国の反発を和らげる狙いがあるとされる。が、それは表向き。
実際は「親中派」と「反安倍派」の合流である。
10月28日の発起人会に出席した自民党議員の顔ぶれを見ればそれがはっきりする。福田康夫元官房長官、加藤紘一元幹事長、額賀福志郎防衛長官、大島理森(高村派)、渡海紀三朗(元新党さきがけ)、竹山裕(参議院議員 )の各議員。
まさに自民党内の「近隣外交を考えれば、次期首相は靖国参拝慎重派がよい」という勢力が結集しているのである。

加藤氏は谷垣財務相の政治的師匠であり、名だたる親中派。山崎氏はその「偉大なる盟友」。
福田氏は、対中外交及び靖国参拝で小泉首相と対立し、今回も入閣を固辞した人物。
額賀氏は津島派(旧・経世会)の総裁候補で、次の次を狙うとされる。ここで51歳の
安倍氏が首相になれば一気に代替わりし、61歳の額賀氏に総理総裁の目はなくなる。
大島氏は高村派幹部で、郵政民営化法案を棄権した高村正彦氏の側近である。
おそらく、この「国立追悼施設を考える会」は、いずれ谷垣応援団か、福田応援団に
変身するであろう。

郵政民営化法案をめぐる攻防が、小泉内閣の倒閣という権力闘争であったように、今回の「国立追悼施設を考える会」の動きも、ポスト小泉を睨んだ権力闘争の前哨戦の始まりである。

ところで、ここでまたあの人物が暗躍し始めた。


野中元官房長官はTBSの番組「時事放談」の収録で、ポスト小泉に向けた動きで、
自民党の山崎前副総裁と加藤元幹事長が連携する可能性を指摘しました。

「山崎・加藤氏は、小泉さんとは違って、本当にどんな苦労も共にしてきました。そして、山崎さんは『私はどういう時期が来ても加藤を超えることはありません』と、僕に言いましたよ」(野中広務 元官房長官)

野中氏は、山崎氏と加藤氏が年金や国立の追悼施設の問題で相次いで議員連盟を
立ち上げたことに触れ、両氏が連携する可能性を指摘しました。

また、福田元官房長官も依然ポスト小泉の有力候補であるという考えを示しました。

野中氏「山崎・加藤氏、連携の可能性」
(2005年11月12日16:58 TBS News i)

■参考記事一覧

政府系金融1機関化は「懐疑的」 谷垣財務相が表明
(2005年11月 1日 朝日新聞)
政府系金融改革:「予想以上に進展する」--与謝野馨金融・経済担当相に聞く
(2005年11月3日 毎日新聞)
政府系金融機関は一つに集約を…官房長官と総務相
(2005年11月11日 讀賣新聞)
谷垣財務相、消費税引き上げ案「19年に国会提出」
(2005年11月 1日 産経新聞)
07年度の消費税引き上げは「拙速」 自民政調会長
(2005年11月 6日 朝日新聞)
消費税率上げよりも歳出見直しを第一に実施すべき=官房長官
(2005年11月 7日 ロイター)
党の手順で進めるべき 消費税率アップで与謝野氏
(2005年11月 8日 共同)
歳出削減を優先 竹中総務相
(2005年11月 7日 産経新聞)
項羽の四面楚歌の心境 消費税率アップで谷垣氏
(2005年11月 8日 共同)
追悼施設建設へ議員連発起人会 会長に山崎元副総裁
(2005年10月29日 産経新聞)

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2005/11/12

日本郵政社長に西川善文氏

昨日のビッグニュースは、やはり「日本郵政株式会社」社長に三井住友銀行前頭取の西川善文氏の起用が決まったことだろう。
讀賣、朝日、毎日、日経、産経、東京の主要6紙が、すべて今朝の社説で採り上げて
いる。民間会社のトップ人事を全紙が社説で採り上げる、あまり記憶にない出来事で
ある。
それだけ政財界やメディアの関心が高く、極めて重要な人事であったということだ。

西川氏は銀行時代、「最後のバンカー」と謂われたほどの辣腕ぶりを発揮した。総合商社・安宅産業破綻の事後処理、中堅商社・イトマン破綻の事後処理、バブル崩壊後の不良債権の処理、三井銀行との財閥の垣根を越えた合併。
なにより、全国銀行協会の会長を二度も務めたところにその実力者ぶりがうかがい
知れる。

西川氏のバンカー及び経営者としての実力は、一つの伝説になっている。
「お公家集団」の三井銀行と、悪く言えば「追いはぎ集団」のような(笑)住友銀行が、
合併後も争いなく無事で来れたのは、西川氏のカリスマ性に拠るところが大きいと言われる。
西川氏は、戦国の武将・織田信長の直線的な生き方に惹かれるという。どこか小泉首相に通じるところがありそうだ。

ところで、西川氏は最後の最後につまづいた。東京三菱銀行とUFJ銀行の合併に横槍を入れたことが金融庁の逆鱗に触れ、三井住友銀行は金融庁の長期の検査を受ける破目になった。
検査の結果、不良債権処理費用の積み増しを命じられ、3月期決算で巨額の赤字を出すところまで追い込まれた。西川氏は、その責任を取って6月の株主総会で辞任せざるをえなくなったのである。

しかし、政治とは面白いものだ。実質的に金融庁によって追い落された格好の西川氏が、「日本郵政株式会社」という日本最大の民間金融機関のトップとして甦る。
経団連の奥田会長などは、「利益相反」を理由に銀行業界からのトップ起用に反対していた。また民間企業出身の生田郵政公社総裁の横滑りを支持する声もかなり根強い
ものがあった。
それらの声を押し切り、一度は金融庁から睨まれた西川氏をトップに起用する。ここに
竹中総務相の政治的力量がいかに強くなったかを痛感する。

私は今回の小泉首相及び竹中総務相の人事を支持する。
「従業員26万人の金融・物流の複合企業体を束ね、巨大官業を早期に真の民間企業に生まれ変わらせる」(日経新聞)には、バンカー及び経営者としての実力に定評が
あり、なおかつカリスマ性を併せ持った西川氏のような人物が欠かせないからだ。
小泉首相は、西川氏を官邸に招き、直々に就任を要請する力の入れようだったという。


ここで、郵政公社が郵政株式会社に変身していくうえでの問題点と課題を挙げておこう。

①従業員26万人の金融・物流の複合企業体を束ね、巨大官業を早期に真の民間企業に生まれ変わらせる重責を新経営陣は担う。政府は保有株式の売却を急ぎ、民営化会社が他の民間企業と公正な競争をできる環境を早期に整える必要がある。

②西川氏がいくら有能であっても、1人で巨大官業を変革させることはできない。政府は西川氏が十分な指導力を発揮できるような環境を整える必要がある。

③まず民営化後の郵政会社は早期に真の民間企業に生まれ変わることが緊急課題である。そのためには経営陣は民間出身者が中心のチームで当たるのが望ましい。
民間出身者は西川氏だけで、その周りは郵政公社職員や官僚出身者ばかりということでは、本当に民間並みの経営の効率化は進まない恐れがある。

④その意味で今回発表になった人事には気になる点がある。
西川氏を委員長に発足する民営化後のビジネスモデルを検討する経営委員会の委員に、旧郵政省出身の団宏明・日本郵政公社副総裁と旧大蔵省出身の高木祥吉・推進室副室長の2人の官僚出身者が入ったことだ。

⑤経営委員会の委員から民営化後の事業会社トップが選ばれる見通しだが、民間企業経営の経験がない官僚出身者が民営化会社の初代トップに就くのであれば問題だ。
真の民営化を目指すには、郵便、郵貯銀行、郵便保険、窓口サービスの四事業会社のトップは民間から有能な経営者を選ぶべきだ。

参照:2005年11月12日 日本経済新聞【社説】

⑥郵政民営化関連6法には、自民党内の慎重派に配慮して、改革を後退させる内容も盛り込まれた。例えば、持ち株会社は貯金、保険の金融2社の株式をいったん完全に処分する。
しかし、持ち株会社は株式を買い戻すこともできる。それによって、経営の一体性を
回復させる狙いだ。
西川氏が改革の趣旨を理解しているならば、こうした“抜け穴”は使えないはずだ。常に改革の狙いを念頭に置いて、重要な経営判断に当たるべきだろう。

参照:2005年11月12日 読売新聞【社説】

それにしても、新聞が変われば同じ件でも主張がずい分と変わる。
以下は、毎日新聞と東京新聞の社説の抜粋である。


郵政民営化が本来目指していた国営金融機関の肥大化批判にもしっかりと応えていかなければならない。そのためにも、新しいビジネスモデルとは何なのか、早い段階で
提示し、国民の理解を得る必要がある。
今回の郵政民営化に危うさを感じるのは、役割が終わった国営金融機関を民間会社という形で再生しかねないからである。民間会社になったら、何をやっても自由との論理もあるが、今回の民営化は勝手気ままな会社にするためではない。

郵便における全国一律サービスの維持は任務であるが、同時に、金融事業では民間ではあるが既存の金融機関の補完を基本にするということであろう。それは西川氏の
「銀行のまねはしない」という発言と理解したい。

(2005年11月12日 毎日新聞【社説】より)


郵貯、保険とも当面は資金運用の手段は限られ、国債や財投債の購入が主体となら
ざるを得ないだろう。資金を「官」から「民」へと流れを変え、効率化するというの目的はすぐには実現できない。
そうした制約を抱えて出発する民営化郵政だからこそ、西川氏の剛腕が期待されたに違いない。

同氏は、民間銀行経営の経験を最大限に生かして、「官業」の世界に浸りきっていた
郵貯をはじめとした郵政事業に、「民」の活力を吹き込んでほしい。その結果、民営化
郵政が古巣の銀行業界の有力な競争相手になっても、結果的には業界の利益にも
つながるはずだ。

(2005年11月12日 東京新聞【社説】より)

毎日新聞は「金融事業では民間ではあるが既存の金融機関の補完を基本にする」と
主張し、東京新聞は「民営化郵政が古巣の銀行業界の有力な競争相手になっても、
結果的には業界の利益にもつながるはず」と主張する。
私の考えは東京新聞の立場に近い。確かに「何をやっても自由」とまでは言わないが、「既存金融機関の補完」で終わらせるということは、将来的には「廃止する」ということに等しい。
そうではなく、政府保有株式の売却を急ぎ、「郵政株式会社」が他の民間企業と公正な競争ができる条件と環境を早期に整えることである。
公正な土俵の中でお互いが競い合う。それが我が国の金融の活性化をもたらし、郵政民営化の真の目的を達成することになる。


最後に西川氏の人となりを簡単に紹介しておこう。

nishikawa西川善文氏
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「突破口を開いていくのは、信念をもって我行かんという気持ちがいる」(西川氏)。

西川氏は、戦国の武将、織田信長の直線的な生き方に惹かれるという。大学時代の
同級生は「寡黙で映画好きだった」仲間の変貌に驚く。
「修羅場」を経て培われた眼力。護送船団行政時代のひ弱な頭取たちとは違う野太さが身上である。

座右の銘

「為さざるなり。能わざるに非ざるなり」
できないのは能力がないからではなく、やっていないからという意味の孟子の言葉

プロフィール

1938年 奈良県生まれ
1961年 大阪大を卒業し住友銀行入行
1976年 融資3部で安宅処理を担当
1986年 企画部長。その後は企画担当役員としてイトマン問題をみる
1997年 住友銀行頭取
2001年 三井住友銀行頭取
2004年 2回目の全国銀行協会会長
2005年 三井住友銀行特別顧問

家族 夫人と2人暮らし。長男は独立しエンジニア
趣味 月下美人の栽培。中学、高校では軟式テニス。大の阪神ファン

参照記事:フロントランナー

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2005/11/09

小泉対抵抗勢力:最後の闘い

小泉自民党の圧勝に終わった総選挙を終えて、およそ2ヶ月が経過しようとしている。
この間、内閣改造も無事終わり、いよいよ「小泉改革」は最終コーナーに差し掛かりつつある。
小泉内閣には、まだまだ残された改革がたくさんある。年金改革や医療改革など手付かずに近い改革がいくつもある。
この中で、二つの改革がさっそく動き出した。政府系金融機関の改革と「道路特定財源」(注-1)の見直しである。

年金改革や医療改革、三位一体改革(注-2)などは利害関係が複雑で、一朝一夕にはいかない。これらの改革に弾みを付ける意味でも、政府系金融機関の改革と「道路特定財源」の見直しを早急に成就させることが重要になる。
なぜなら、この二つの改革には財務省や経産省、国土交通省が深く絡んでおり、族議員の牙城にもなっているからだ。
政府系金融機関の改革と「道路特定財源」の見直しすらできないようでは、年金改革や三位一体改革など、「絵に描いた餅」である。

景気が低迷し、巨額な不良債権の処理という難問があったとはいえ、政府系金融機関の改革と「道路特定財源」の見直しを先送りしてきたことは、「首相の唱える改革は
郵政だけ」と酷評される格好の例であった。
しかし、郵政民営化法案は成立し、道路公団の民営化も曲がりなりにもスタートした。不良債権問題もほぼ解決し、大手金融機関の9月中間決算は高水準の利益を見込めるまでに回復した。
今が政府系金融機関の改革に着手する絶好機である。また、「道路特定財源」の見直しは、抵抗勢力に残された数少ない牙城である「道路族」を無力化し、道路行政の正常化と民営化された道路公団の健全化を促進することになる。

ところが、さっそく官僚の抵抗が始まった。
10月27日の経済財政諮問会議では、谷垣禎一財務相と中川昭一経済産業相が、
それぞれが所管している政府系金融機関の必要性を強く訴えた。これに対し、首相は「財務、経産両省がいかに抵抗しているかが分かる。役人に引っ張られてはいけない」と両大臣を叱責した。
首相はこのとき、机をたたくほどの興奮ぶりだったという。それほど重要な改革であり、首相も本気であることの証である。

この会議において首相は、「政策金融は一つも触れさせない、と言っていた人がいた」とも述べている。これは、小泉政権が発足した2001年当時の話だそうだ。
首相はこのとき、勢い込んで政府系金融機関の改革に乗り出した。しかし、当時の
自民党行革本部最高顧問だった橋本龍太郎元首相(引退)が「景気がこんな時期に
政府系金融機関には指一本触れさせない」と猛反発し、首相は改革を先送りせざるを得なくなったのである。

「道路特定財源」の見直しもそうだった「自民党をぶっ壊す」と公言して政権についた
小泉首相が、最初に打ち出した構造改革の一つが「道路特定財源」の見直しだった。
しかし、これも族議員や国土交通省の強烈な反発を食らって先送りせざるを得なくなった。

自民党の道路族がいかに強力だったか。
正式名称は自民党道路調査会。現会長こそ旧堀内派の古賀誠氏だが、それ以前は
田中元首相の流れをくむ竹下派―小渕派―橋本派が会長ポストを順送りしてきた。
1990年以降の会長には金丸信、中村喜四郎、渡辺栄一、綿貫民輔、村岡兼造、野呂田芳成と、大物の名前がずらりと並んでいる。現会長の古賀氏も野中広務氏の右腕であり、実質的には「隠れ竹下派」だった。

しかし状況は、時代とともに一変した。綿貫、野呂田の両氏は党を追われ、村岡氏は
刑事被告人。中村氏も斡旋収賄罪で議員失職し、今は無所属議員。金丸、渡辺の
両氏は故人。
しかも今回、堀内光雄、平沼赳夫、亀井静香の各実力者が離党または除名、橋本元首相も政界を引退した。野中氏も、子飼い議員が今回の選挙で落選し、昔日の面影はない。
もはや小泉改革に抵抗できる大物は一人しか残されていないのが実情である。最後の大物抵抗勢力。それは古賀氏である。

官僚は抵抗姿勢を強めている。
財務相の諮問機関である財政制度等審議会は10月26日の会合で、道路整備に充てている道路特定財源を使途を定めない一般財源にすべきだとの意見で一致した。
しかし、それを受けた財務省は、道路特定財源の見直しを段階的に実施する方向で
検討に入った。つまり、2006年度予算では環境対策などへの使途の拡大にとどめ、
使途を定めない一般財源化の結論は来年に先送りする方針なのだ。
また、一般財源化する場合も07年度以降に段階的に進める方向である。小泉首相が
今年9月、谷垣禎一財務相に年内に見直しの基本方針を検討するよう指示したにも
かかわらず、財務省はこんな調子なのだ。
国交省も財務省に歩調を合わせている。
北側一雄国交相(公明党)は、道路特定財源の見直しについて「受益と負担の関係から自動車利用者の理解が得られる範囲内で見直す。一般財源化の理解が得られるかは議論が必要」という言い回しで、実質的に反対の姿勢を示している。
官僚やその意を受けた所管大臣が抵抗するのは、族議員が背後に控えているからである。しかし、頼みの道路族に往時の勢いはない。残るは古賀氏だけ。その古賀氏に対しても、小泉首相は追い落としの態勢に入っている。


自民党の中川秀直政調会長が「族議員」政治からの脱却に向け、党の組織再編に
動き出した。政務調査会にあるさまざまな調査会長の任期を2年までと区切ることで
一部のベテラン議員を主要ポストから除外。さらに特定の利権に結びつきやすい調査会は統廃合する方針だ。ポストの目標である「小さな政府」を実現するには、まず足元の体制づくりに踏み切る必要があるとの判断だ。

任期制導入でがぜん注目が集まるのが「道路族のボス」である古賀誠道路調査会長の出方だ。古賀氏は既に在任4年近い。「古賀氏外しが任期制のそもそもの狙い」とも言われるだけに、すんなり受け入れるのかどうか。
(2005年11月7日 日本経済新聞【風向計】より抜粋)

道路族は、自民党内では郵政族と双璧をなす強力な族議員集団だった。「道路調査会」がその拠点となって公共事業の道路予算の決定に大きな影響力を発揮してきた。しかし、郵政族は既に有名無実化。道路族も瀬戸際まで追い込まれている。ここで
古賀氏を追い落とし、小泉首相の意を汲んだ政治家が後任に座れば、道路特定財源の見直しも一気に進むし、道路行政の政治家による私物化も解消の方向に大きく踏み
出すだろう。

政府系金融機関の改革と「道路特定財源」の見直し。
まさに小泉対抵抗勢力の「最後の闘い」が始まったのである。

【追記】
このエントリーを書いている間に、道路調査会の新しい会長が内定した。

自民党は9日午前、古賀誠道路調査会長の後任に、石原伸晃前国土交通相の起用を内定した。午後に正式決定する。石原氏は小泉純一郎首相が指示している道路特定財源の見直し論議について、党側の窓口として折衝に当たる。

同党は、特定の業界などと密接な関係がある族議員の影響力を排除するため、政調の調査会・特別委員会の会長任期を2期2年とすることを決めており、在任4年あまりの
古賀氏は退任する。

自民道路調査会長に石原伸晃氏
(2005年11月9日 日本経済新聞)

(注-1) 道路特定財源
道路特定財源とは、揮発油(ガソリン)税、自動車重量税などの税金を道路の建設だけに使う仕組みのことだ。51年前に導入された。今年度の国の税収は3兆5600億円を
見込んでいる。
道路特定財源は現在でもその全額を使い切れず、「使途拡大」と称して一部を道路建設以外に回している。さらに、毎年、本州四国連絡橋公団の債務返済に数千億円を
投入している。
この返済が来年度で終了すると、2007年度には7000億~8000億円もの巨額の“余剰金”が出るという試算もある。

(注-2) 三位一体改革
三位一体とは、もともとキリスト教の教義。神・キリスト・聖霊が本質的に一体であるという教え。
今、政治で騒がれている三位一体とは、
(1)国庫支出金を減らす
(2)税源を地方に移譲する
(3)地方交付税を見直す
以上の三つをいっぺんにやって、地方分権をすすめるということ。

参考記事1:5年越しの政府系金融改革 (日本経済新聞)
参考記事2:脱「族議員」は足元から (日本経済新聞)
参考記事3:道路特定財源、一般財源化は先送り・財務省 (日本経済新聞)
参考記事4:道路特定財源、税率維持し一般財源に・財制審が提言へ(日本経済新聞)
参考記事5:「道路」改革にも注目 (讀賣新聞)

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